JP2504941Y2 - ディ―ゼルエンジンのシリンダ上部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、シリンダヘッド及び該ヘッドに装着される
燃料噴射ノズル、吸排気弁とその駆動系等を含むディー
ゼルエンジンのシリンダ上部構造に関するものである。

〈従来の技術〉 燃料噴射式エンジン、殊にディーゼルエンジンにおい
て、構造の簡潔性と整備の容易性を目的として、第５
図、第６図に示す如く、エンジン１のシリンダヘッド２
に配設された燃料噴射ノズル３にパイプ４により送油す
る燃料噴射ポンプ５及び吸排気弁（吸気弁、排気弁の一
方又は両方を示す−以下同じ）６の駆動系７、即ちロッ
カアーム軸８に支持されたロッカアーム９、プッシュロ
ッド10、タペット11等をエンジン１の一側に配設した一
本のカム軸12により駆動する形式のものが知られてい
る。このような形式のエンジンでは、前記燃料噴射ノズ
ル３と、前記ロッカアーム９及びロッカアーム軸８が接
近し且つエンジンの一方側に片寄って配設されるので、
前記燃料噴射ノズル３は、殊に前記ロッカアーム軸８と
の干渉を避けるため、第５図のように傾斜させて固定さ
れている。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところで上記燃料噴射ノズル３には、シリンダ13のボ
ア14内を摺動するピストン15に形成された主燃焼室16の
周壁部分に燃料噴霧を吹き付けるため、第７図に示すよ
うにその先端に通常複数の噴孔3a、3bがそれぞれ外方に
向けて形成されているが、上記両噴孔3a、3b間の拡開角
即ち噴孔角αには、良好な燃焼を得るための適正な範囲
（例えば150〜170°）が存在する。

上記噴孔角αは垂線に対し左右に均等に形成する必要
があり、従って燃料噴射ノズル３の倒れ側の噴孔3aの中
心線と、上記ノズル３の中心線の成す角度をβとする
と、β＝α/2＋θ（θ＝燃料噴射ノズルの傾斜角）と表
わせるから、結局傾斜角θが大きくなるほど前記角度β
が大となって、第７図矢印で示すように、前記噴孔3aで
は燃料の流れが急激に曲げられ、このため該噴孔3aから
の燃料噴射量の減少や、曲がり部におけるキャビテーシ
ョンの発生を招いてエンジンの性能を低下させるおそれ
がある。

本考案は上記に鑑み、シリンダヘッドに吸排気弁の駆
動系、殊にロッカアーム軸と燃料噴射ノズルが、エンジ
ンの一方側において接近して配設され、前記吸排気弁の
駆動系及び前記ノズルに送油する燃料噴射ポンプを、エ
ンジンの一側に配設した一本のカム軸により駆動せしめ
るディーゼルエンジンにおいて、燃料噴射ノズルの傾斜
角をできるだけ小さくし、殊に倒れ側の噴孔からの燃料
の円滑な噴出を可能として良好なエンジン性能が得られ
る如きエンジンのシリンダ上部構造を提供することを課
題とするものである。

〈課題を解決するための手段〉 上記課題を解決するための本考案ディーゼルエンジン
のシリンダ上部構造の構成は、シリンダヘッドに吸排気
弁の駆動系と燃料噴射ノズルが接近して配設され、前記
吸排気弁の駆動系及び前記ノズルに送油する燃料噴射ポ
ンプを、エンジンの一側に配設した一本のカム軸により
駆動せしめるディーゼルエンジンにおいて、前記シリン
ダヘッド上に、枠形をなし、その内側に前記カム軸側に
配する一側から他側にかけてブロック部とリム部を連続
してエンジンのシリンダ数と同数形成した支持枠を設置
するとともに、前記ブロック部に支持枠の長手方向に吸
排気弁駆動用ロッカアーム軸を、また該軸よりリム部寄
りに燃料噴射ノズルを各々支持せしめたものである。

〈作用〉 上記構成により、本考案のシリンダ上部構造では、前
記支持枠によって燃料噴射ノズルはロッカアーム軸と接
近しつつも干渉することなく、比較的小さい傾斜角をも
って正確に支持される。従って、殊に倒れ側の噴孔から
の燃料の円滑な燃料噴出を可能とする。

またロッカアーム軸も支持枠の各ブロック部に軸心の
ずれもなく正確に支持される。

更に、後記シリンダヘッドカバー内のオイルが燃料噴
射ノズル周縁に侵入しようとするのを防ぐシール手段を
必要とする場合には、前記支持枠上に設ければよい。

〈実施例〉 本考案を第１図乃至第４図により詳細に説明する。な
お、第５図以下に示す従来例と同一の装置、部品、部材
は同一符号をもって表わし、詳細な説明を省略する。

本考案のディーゼルエンジンの上部構造は、基本的に
は前記と同様で、シリンダヘッド２において吸排気弁６
の駆動系７の殊にロッカアーム軸８と燃料噴射ノズル３
がエンジン１の一方側に寄せて、且つ接近して配設さ
れ、前記吸排気弁６の駆動系７及び前記ノズル３にパイ
プ４で送油する燃料噴射ポンプを、エンジン１の一側に
配設した一本のカム軸12により駆動せしめるよう構成さ
れている。

本考案のディーゼルエンジンの上部構造では、前記シ
リンダヘッド２上に以下のような支持枠17を配置し、こ
れによって前記燃料噴射ノズル３、ロッカアーム軸８等
を適切に配置するようにしたものである。

即ち前記支持枠17は、その内側に前記カム軸12側に配
する一側17aから他側17bにかけて、ブロック部18aとリ
ム部18bを連続して一体的に、且つエンジン１のシリン
ダ数と同数形成するとともに、長手側側面17c及び前記
各ブロック部18aに、支持枠17の長手方向に吸排気弁駆
動用ロッカアーム軸８を支持する穴17d、18cを、また該
穴18cよりリブ部18b寄りに燃料噴射ノズル３の挿入穴18
dを各々形成し、且つ前記ロッカアーム軸支持穴18cに対
し前記ノズル３と反対側に燃料噴射ノズル固定ボルト19
の挿入穴18eを形成したのである。

組付時には、まず前記穴17d、18cにロッカアーム軸８
を挿通支持せしめ、このとき第４図のようにロッカアー
ム９を前記軸８に嵌装する。

次に上記の如き支持枠17を、その一側17aが前記シリ
ンダヘッド２のカム軸12側と一致するようシリンダヘッ
ド２上に載置し、前記ロッカアーム９の各端部を別途シ
リンダヘッド２に組込んだ吸排気弁６のステムとプッシ
ュロッド10の各上端に当接させ、この状態で前記ボルト
穴18f、18gにボルト20を通してシリンダヘッド２に固定
する。

次に前記燃料噴射ノズル３を前記穴18dからシリンダ
ヘッド２の挿入穴2aまで挿通し、一端を支持枠17上面に
当接したノズル固定アーム21の他端を前記ノズル３の上
部に掛け、ボルト19をノズル固定アーム21及び前記挿入
穴18eを貫通し、先端をシリンダヘッド２のねじ孔2bに
ねじ結合して前記燃料噴射ノズル３を固定する。

以上のように構成された本考案のシリンダ上部構造で
は、前記支持枠17によって燃料噴射ノズル３はロッカア
ーム軸８と接近はするが干渉することなく、比較的小さ
い傾斜角をもって正確に支持される。従って、殊に倒れ
側の噴孔3aからの燃料の円滑な燃料噴出を可能とする。

またロッカアーム軸８も支持枠17の各ブロック部18a
に軸心のずれもなく正確に支持される。

更に、シリンダヘッドカバー22内のオイルが燃料噴射
ノズル３周縁に侵入しようとするのを防ぐシール手段を
必要とする場合には、前記支持枠17上に設ければよい。

〈考案の効果〉 本考案のディーゼルエンジンのシリンダ上部構造は、
シリンダヘッドに吸排気弁の駆動系と燃料噴射ノズルが
接近して配設され、前記吸排気弁の駆動系及び前記ノズ
ルに送油する燃料噴射ポンプを、エンジンの一側に配設
した一本のカム軸により駆動せしめるディーゼルエンジ
ンにおいて、前記シリンダヘッド上に、枠形をなし、そ
の内側に前記カム軸側に配する一側から他側にかけてブ
ロック部とリム部を連続してエンジンのシリンダ数と同
数形成した支持枠を設置するとともに、前記ブロック部
に支持枠の長手方向に吸排気弁駆動用ロッカアーム軸
を、また該軸よりリム部寄りに燃料噴射ノズルを各々支
持せしめたので、支持枠によって燃料噴射ノズルは駆動
系の部材中、殊に前記ロッカアーム軸と接近はするが干
渉することなく、比較的小さい傾斜角をもって正確に支
持され、従って、殊に倒れ側の前記噴孔からの燃料の円
滑な燃料噴出を可能として、エンジンの性能を向上せし
める。

また前記ロッカアーム軸も支持枠の各ブロック部に軸
心のずれもなく正確に支持されることにより、ロッカア
ームの作動がより円滑になる。

更に、前記シリンダヘッドカバー内のオイルが燃料噴
射ノズル周縁に侵入しようとするのを防ぐシール手段を
必要とする場合には、前記支持枠上に設ければよいの
で、熱対策を含めシール手段が簡単に設置できる効果も
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案シリンダ上部構造を備えたディーゼルエ
ンジンの燃料噴射ノズルを通る横断面図、第２図は本考
案の要部である支持枠の部分的斜視図、第３図は本考案
シリンダ上部構造を備えたディーゼルエンジンの吸排気
弁を通る横断面図、第４図は同エンジンのシリンダヘッ
ドカバーを外した平面図、第５図は従来のシリンダ上部
構造を備えたディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルを通
る横断面図、第６図は同吸排気弁を通る横断面図、第７
図は第５図の燃料噴射ノズルの先端付近における燃料の
流れを示す縦断面図である。 1;エンジン、2;シリンダヘッド、3;燃料噴射ノズル、3
a、3b;噴孔、5;燃料噴射ポンプ、6;吸排気弁、7;吸排気
弁の駆動系、8;ロッカアーム軸、9;ロッカアーム、10;
プッシュロッド、11;タペット、12;カム軸、13;シリン
ダ、15;ピストン、16;主燃焼室、17;支持枠、18a;ブロ
ック部、18b;リム部、19;燃料噴射ノズルの固定ボル
ト、20;ボルト、21;固定アーム。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッドに吸排気弁の駆動系と燃料
   噴射ノズルが接近して配設され、前記吸排気弁の駆動系
   及び前記ノズルに送油する燃料噴射ポンプを、エンジン
   の一側に配設した一本のカム軸により駆動せしめるディ
   ーゼルエンジンにおいて、前記シリンダヘッド上に、枠
   形をなし、その内側に前記カム軸側に配する一側から他
   側にかけてブロック部とリム部を連続してエンジンのシ
   リンダ数と同数形成した支持枠を設置するとともに、前
   記ブロック部に支持枠の長手方向に吸排気弁駆動用ロッ
   カアーム軸を、また該軸よりリム部寄りに燃料噴射ノズ
   ルを各々支持せしめたことを特徴とするディーゼルエン
   ジンのシリンダ上部構造。