JPH0545549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、成人用の車両用シートに対し成人用
のシートベルト等により取付け保持され幼児等を
着座させて拘束保護するために用いて好適なチヤ
イルドシートの改良に関する。

〔従来の技術〕

この種のチヤイルドシートとしては、たとえば
実公昭57−2197号公報などを始めとして従来から
種々の構成が提案されている。その一例を簡単に
説明すると、この種のチヤイルドシートは、一般
に、腰掛け部と背もたれ部からなる略々バケツト
形状に形成されたシート本体を備えてなり、この
本体裏面側には成人用の車両用シート上に載置さ
れて支持される支持脚や成人用シートベルトが挿
通されて引掛けられる取手部材などが付設される
とともに、本体底部には幼児拘束用の安全ベルト
の基端部が引出されたりあるいは先端部が接続用
金具等を介して組付けられる緊急ロツク式リトラ
クタが配設されている。また、このリトラクタ側
に接続される安全ベルトは、背もたれ部に穿設し
た左、右一対をなす挿通孔等から幼児の両肩等を
保持する肩掛けベルトとして本体前面側に引出さ
れ、これら左、右の肩掛けベルトは略々Ｙ字状に
合流され、該合流部に幼児を保護する胸当てパツ
ト等が包み込むように付設されるとともに、腰掛
け部前端部側に設けらるバツクルに対し脱着可能
に差込まれるタング等を付設する等といつた構成
とされていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上述したような従来構造によるチヤ
イルドシートにおいて、シート本体は、一般には
ブロー成形等で樹脂成形品として形成されてお
り、この樹脂製のシート本体各部に適宜の必要部
品、たとえば成人用の車両用シートに対しての支
持脚や、成人用シートベルトが挿通して引掛けら
れる取手部材、さらに幼児を拘束する肩掛けベル
ト等を緊急時に拘束する緊急ロツク式リトラクタ
等がねじ止め等で取付け固定され、所要の機能を
果たすような構成となつているが、この場合に若
干の問題を生じている。たとえばこれらシート本
体への付設部品のうち、安全ベルト先端部がタン
グ、バツクルによる接続用金具を介して組付けら
れる緊急ロツク式リトラクタは、シート本体の腰
掛け部前端部において表面を形成するブロー成形
によるパネル部分の裏面側にねじ止め等で組付け
固定されている。

しかしながら、このような構造により緊急ロツ
ク式リトラクタをねじ止め等で取付け固定した場
合に、シート本体側の樹脂製パネル部分の厚みが
薄すぎたりすると、事故等により衝撃が加わつた
り、ダイナミツク試験（前方衝撃試験）等を行な
つたりした場合に、該部材に必要以上の過負荷が
加わると、取外し方向に引張り力が作用し、シー
ト本体側に亀裂等が入つてしまう等といつた強度
上からの問題を招く虞れがあつた。勿論、シート
本体の樹脂製パネル部分の樹脂量を増大させ、樹
脂製パネル部分の厚みを厚くして強度アツプを図
るとよいものであるが、コスト高を招き、また不
均一な厚みによる製品不良や製品のばらつき等に
対しては対処し得ないもので、これらの問題点を
一掃し得るような何らかの対策を講じることが望
まれる。

特に、上述した緊急ロツク式リトラクタの配設
箇所は、通常、腰掛け部前端部における表面パネ
ル部分の裏面側であるため、この腰掛け部の底面
を構成するブロー成形によるパネル部分に、該部
品の組込み用開口を予め形成することが必要で、
しかもこの開口を塞ぐための蓋体等も、見栄えや
安全性の面から必要で、加工性や組立性の面で問
題をもつもので、このような点を考慮し、前述し
た強度上での問題点を解決し得る対策が必要とさ
れている。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、シート本体側の樹脂製パネル部分の裏面
側にねじ止め固定される緊急ロツク式リトラクタ
の取付け部における強度上での信頼性を確保し、
耐衝撃性を高めるとともに、従来のような加工性
や組立性、さらに見栄え等の面での問題点をも一
掃し得るチヤイルドシートを得ることを目的とし
ている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係るチ
ヤイルドシートは、腰掛け部と背もたれ部からか
るブロー樹脂成形による中空状のシート本体を備
え、前記シート本体における腰掛け部前端部側で
前記緊急ロツク式リトラクタがねじ止め固定され
る部分を、該腰掛け部表面側を形成するパネル部
分と底面側を形成するパネル部分とを積層して密
着させた重合部として形成し、前記重合部の前方
に前垂れ状の中空部を下方に延設して形成し、且
つ重合部の左右に左右中空部を下方に延設して形
成したことを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、緊急ロツク式リトラクタのね
じ止め個所が、樹脂製パネルの二枚合わせによる
重合部として構成されるため、衝撃等による過負
荷が過度に作用しても、ねじ止めされる部分が外
れたり、亀裂を生じたりする不具合を防止でき、
しかも従来のような組込み用の開口や蓋体等も不
要となり、また前記重合部の前方に前垂れ状の中
空部を下方に延設して形成し、且つ重合部の左右
に左右中空部を下方に延設して形成したので、腰
掛け部前端部が前部脚部となり、シート本体を適
宜の高さに保持することができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係るチヤイルド
シートの一実施例を示すもであつて、これらの図
において、まず全体を符号１で示すチヤイルドシ
ートの概略構成を第１図を用いて簡単に説明する
と、このチヤイルドシート１は、腰掛け部２と背
もたれ部３とからなるシート本体４を備えてお
り、図示しない成人用の車両用シートに対し成人
用シートベルト等で取付け保持されるように構成
されている。５は腰掛け部２前端部内側に配設さ
れる緊急ロツク式リトラクタで、またこのリトラ
クタ５から本体４背面側に引出される図示しない
リトラクタベルト先端には一対をなすウエビング
と呼ばれる幼児拘束用の肩掛けベルト６，６（一
方のみを図示している）が接続され、これら肩掛
けベルト６，６は背もたれ部３の所要の高さ位置
に複数段にわたつて穿設されるベルト挿通用孔７
により本体４前面側に引出されるように構成され
ている。８は上述した肩掛けベルト６，６に合流
部分を包み込むように設けられ幼児を保護する胸
当てパツドで、このパツド８の下端には、腰掛け
部２の前端部側に立設して設けられたアンカープ
レート９ａの先端にベルト９ｂを介して設けられ
るバツクル９に脱着自在に差込まれて係止される
タング（図示せず）が設けられている。なお、上
述したベルト９ｂは立設状態を保持する形状保持
性を有する合成樹脂材等の軟質な部材からなるバ
ツクル保護カバーにより被覆される。また、この
ベルト９ｂ下端はアンカープレート９ａが固着さ
れ、このブラケツト９ａが前記リトラクタ５と共
に固定部にボルト１０によるねじ止め等で共締め
されている。

なお、図中６ａは前記緊急ロツク式リトラクタ
５側に基端部が接続されるとともに背もたれ部背
面を通り安全ベルト６，６に接続される補助ベル
ト、１１はシート本体４の腰掛け部２後端側に設
けられる後部脚部で、また図中１２，１３は成人
用シートベルト（図示せず）が挿通されるシート
本体４側部に腰掛け部２と共働して開口部として
形成される通し穴である。

さて、本考案によれば、上述した構成によるチ
ヤイルドシート１において、ブロー樹脂成形によ
るシート本体４の腰掛け部２前端部において幼児
拘束用の安全ベルト６，６が組付けられる緊急ロ
ツク式リトラクタ５のねじ止め固定される部分
を、該腰掛け部２表面側を形成するパネル部分２
ａと底面側を形成するパネル部分２ｂとを積層し
て密着させた重合部２０として一体に形成し、前
記重合部２０の前方に前垂れ中空部２ｃを下方に
延設して形成し、且つ重合部２０の左右位置に左
右中空部２ｄ，２ｅを下方に延設して形成し、前
部脚部を形成している。

そして、このような構成によれば、緊急ロツク
式リトラクタ５のねじ止め個所が、樹脂製パネル
の二枚合わせによる重合部２０として構成される
ため、たとえ衝撃等による過負荷が過度に作用し
ても、ねじ止めされる部分が外れたり、亀裂を生
じたりする不具合を防止でき強度上で優れてお
り、しかも従来のような組込み用の開口や蓋体等
も不要で、構成の簡素化や部品点数の削減化が図
れ、また加工性や組立性の面でも優れている等の
種々優れた効果を奏する。すなわち、本考案によ
れば、従来部品組込み用として穴穿けが必要であ
つたパネル部分を凹設して形成し、前述したリト
ラクタ取付け固定部に積層させる補強用パネルと
して巧みに利用したものである。そして、このよ
うな構成では、穴穿け加工や蓋体が不要で、加工
工数や部品点数を削減し、加工コストを大幅に低
減できる。また、前記重合部２０の前方に前垂れ
中空部２ｃを下方に延設して形成し、且つ重合部
２０の左右位置に左右中空部２ｄ，２ｅを下方に
延設して形成し、前部脚部を形成しているので、
別途前部脚部を設ける必要がなく、部品点数を削
減することができる。

また、本実施例では、上述した重合部２０を利
用し、バツクル９側のアンカープレート９ａ固定
用のボルト１０でリトラクタ５を共締めしている
ため、その実用上での利点は明らかであろう。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、チヤイルドシート１各部の形状、構造など
を、必要に応じて適宜変形、変更することは自由
であり、種々の変形例が考えられよう。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るチヤイルドシ
ートによれば、ブロー樹脂成形によるシート本体
の腰掛け部前端部において幼児拘束用安全ベルト
が組付けられる緊急ロツク式リトラクタがねじ止
め固定される部分を、該腰掛け部表面側を形成す
るパネル部分と底面側を形成するパネル部分とを
積層して密着させた重合部として形成し、前記重
合部の前方に前垂れ状の中空部を下方に延設して
形成し、且つ重合部の左右に左右中空部を下方に
延設して形成したので、構成部品点数を削減した
簡単かつ安価な構成にもかかわらず、緊急ロツク
式リトラクタのねじ止め個所を、樹脂製パネルの
二枚合わせによる重合部として構成でき、たとえ
衝撃等による過負荷が過度に作用しても、ねじ止
めされる部分が外れたり、亀裂を生じたりする不
具合を防止でき、しかも従来のような組込み用の
開口や蓋体等も不要で、構成の簡素化を始め加工
性や組立性の面で優れているという実用上種々優
れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るチヤイルドシートの一実
施例を示す全体の概略側面図、第２図はその要部
とする−線断面図、第３図はバツクルおよび
アンカープレートを例示する概略斜視図である。 図中、１……チヤイルドシート、２……腰掛け
部、３……背もたれ部、４……シート本体、５…
…緊急ロツク式リトラクタ、６，６……一対の幼
児拘束用肩掛けベルト、９……バツクル、９ａ…
…アンカープレート、１０……ボルト、２０……
重合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 腰掛け部と背もたれ部からなるブロー樹脂成形
   による中空状のシート本体と、このシート本体の
   腰掛け部前端部裏面側に配設され前記背もたれ部
   から引出される幼児拘束用の安全ベルトが組付け
   られる緊急ロツク式リトラクタを備えてなり、成
   人用の車両用シート上に載置された状態で成人用
   シートベルトにより取付け保持されるチヤイルド
   シートにおいて、前記シート本体における腰掛け
   部前端部側で前記緊急ロツク式リトラクタがねじ
   止め固定される部分を、該腰掛け部表面側を形成
   するパネル部分と底面側を形成するパネル部分と
   を積層して密着させた重合部として形成し、前記
   重合部の前方に前垂れ状の中空部を下方に延設し
   て形成し、且つ重合部の左右に左右中空部を下方
   に延設して形成したことを特徴とするチヤイルド
   シート。