JPH0544754A - 電磁サスペンシヨン装置 - Google Patents

電磁サスペンシヨン装置

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JPH0544754A
JPH0544754A JP2063091A JP2063091A JPH0544754A JP H0544754 A JPH0544754 A JP H0544754A JP 2063091 A JP2063091 A JP 2063091A JP 2063091 A JP2063091 A JP 2063091A JP H0544754 A JPH0544754 A JP H0544754A
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Fumiyuki Yamaoka
史之 山岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな衝撃入力によるサスペンションユニッ
トの破損を防止することができると共に、電力消費量を
低減することができる電磁サスペンション装置の提供。 【構成】 車体と車輪との間に介在されたサスペンショ
ンユニットSが、相対移動可能に形成された車体側部材
1と車輪側部材2とで形成され、かつ、両部材1,2の
相対移動を電磁力で制御する電磁アクチュエータTを備
えた電磁サスペンション装置において、前記車体側部材
1と車輪側部材2との間に、両部材の相対移動によりス
トロークして減衰力を発生する緩衝器Pを設け、かつ、
該緩衝器Pには減衰力特性を変更可能な減衰力変更手段
28を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁サスペンション装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁サスペンション装置として
は、例えば、特開平2−37016号公報に記載された
ものが知られている。
【0003】この従来装置は、車体と車輪との間に、シ
リンダ状に形成されて車体側に固定された外筒と、この
外筒内を摺動可能に設けられて車輪側に取り付けられた
ロッドとを有したサスペンションユニットが設けられ、
前記外筒内でロッドの外周には永久磁石が固定されると
共に、該永久磁石と対向する外筒の内周側にコイルが固
定された構造となっていた。
【0004】そして、コイルへの通電の向き及び電流を
制御することで、サスペンションユニットのコイルの軸
方向に駆動力を発生させ、例えば、車高を一定に保つよ
うな制御を行なう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の電磁サスペンション装置は、上述のように、
コイルの軸方向の駆動力によりサスペンションの制御を
行なうようにしていたため、コイルによる駆動力だけで
は衝撃吸収能力に限界があり、このため、車両の走行条
件によっては発生する大きな衝撃入力を吸収しきれず
に、サスペンションユニット自体を破損させる恐れがあ
ると共に、必要な駆動力を全て電力で発生させるように
したものであるため、電力消費量が過大になって車両の
燃費を悪化させるという問題があった。
【0006】本発明は、上述の問題に着目して成された
もので、大きな衝撃入力によるサスペンションユニット
の破損を防止することができると共に、電力消費量を低
減することができる電磁サスペンション装置を提供する
ことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、電磁アクチ
ュエータに加えてサスペンションユニットの車体側部材
と車輪側部材との間に緩衝器を設け、さらに、この緩衝
器に減衰力特性を変更する減衰力変更手段を設けて上述
の目的を達成するようにした。
【0008】即ち、本発明の電磁サスペンション装置で
は、車体と車輪との間に介在されたサスペンションユニ
ットが、相対移動可能に形成された車体側部材と車輪側
部材とで形成され、かつ、両部材の相対移動を電磁力で
制御する電磁アクチュエータを備えた電磁サスペンショ
ン装置において、前記車体側部材と車輪側部材との間に
は、両部材の相対移動によりストロークして減衰力を発
生する緩衝器が設けられ、かつ、該緩衝器には減衰力特
性を変更可能な減衰力変更手段が設けられている手段と
した。
【0009】
【作 用】サスペンションユニットの車体側部材と車輪
側部材とが相対移動した際には、緩衝器においてこの相
対移動の速度方向と同じ方向に減衰力が生じる。従っ
て、この相対移動速度の方向と同じ方向に制御力を必要
とする場合には、緩衝器の減衰力を制御することにより
必要な制御力が得られるし、また、緩衝器の減衰力では
制御し得ない制御力が必要な場合には、電磁アクチュエ
ータを駆動させて電磁力を発生させることにより、この
制御力の不足分を補うことができる。このように電磁ア
クチュエータの電磁力のみにより制御力を得ないから電
磁アクチュエータの電力消費量を節約することができ
る。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により詳述する
と、図1は、本発明実施例の電磁サスペンション装置の
構成を示す全体図であって、この図において、Sはサス
ペンションユニットを示している。このサスペンション
ユニットSは、車体側に連結される車体側部材1と、車
輪側に連結される車輪側部材2とを有している。
【0011】前記車体側部材1は、図示のように内筒1
aと外筒1bとで、両者間に円筒状の間隙部1cを有し
た内外二重の円筒構造に形成されている。即ち、前記内
筒1aは、その上部に形成された大径筒部1dを外筒1
bの内面に嵌装することにより外筒1b内に設けられて
いる。
【0012】また、前記外筒1bの上端開口部は、その
内周側に螺合された天蓋部材1fにより閉塞されてい
る。この天蓋部材1fは、外筒1bの内周に螺合される
円筒部1pと天蓋部1rとで形成され、かつ、天蓋部1
rの上面中心部には車体側への取付用スタッド1eが突
出形成されている。そして、前記天蓋部1rの上面には
環状溝1sが形成され、この環状溝1aを挟んで内外2
重に環状受け面1t,1uが形成されていて、この両環
状受け面1t,1u上に荷重センサ9が設けられてい
る。即ち、この荷重センサ9は、板材で略環状に形成さ
れたセンサボディ9aとひずみゲージ9bとで形成さ
れ、センサボディ9aの内周部及び外周部を前記両環状
受け面1t,1u上に係止させると共に、その内周部を
内側の環状受け面1tと座金1vとの間に挟持した状態
で設けられていて、天蓋部1rの撓みに基づくセンサボ
ディ9aの撓み量をひずみゲージ9bで検出し、これに
より、サスペンションユニットSに対する荷重入力を検
出可能となっている。また、前記天蓋部材1fの中空部
内にはステップモータ14が収容され、このステップモ
ータ14のハーネス14aが、前記スタッド1eの中心
孔1wを貫通して外部に導出され、後述の制御回路6に
接続されている。
【0013】前記内筒1a及び外筒1bの下端部には、
強磁性体より成る磁性内筒部12及び磁性外筒部11が
それぞれ装着されている。尚、前記車体側部材1を構成
する部材の内で、前記磁性内筒部12及び磁性外筒部1
1以外の部材は非磁性体で形成されている。そして、前
記磁性外筒部11の内周面には、中央部に所定の間隔H
を保持して上部外側永久磁石1jと下部外側永久磁石1
kを設けると共に、磁性内筒部12の内周面には、中央
部に所定の間隔Hを保持して上部内側永久磁石1mと下
部内側永久磁石1nを設けることによって、上部外側永
久磁石1jと上部内側永久磁石1m、及び、下部外側永
久磁石1kと下部内側永久磁石1nとの間に前記間隙部
1cの間隔を狭めた上部磁界形成部1g及び下部磁界形
成部1hが形成されている。そして、前記各永久磁石1
j,1k,1m,1nは、図中一点鎖線で示す磁路Aを
形成して前記上下両磁界形成部1g,1hにおいて、間
隙部1cを磁束が半径方向に飛ぶ磁界B1 ,B2 を形成
するように極性が設定されているもので、即ち、本実施
例では、上部外側永久磁石1jと上部内側永久磁石1m
は内周側がN極で、下部外側永久磁石1kと下部内側永
久磁石1nは内周側S極に設定されている。尚、前記磁
性内筒部12の下端部には中心孔13aを有するガイド
部材13が螺合一体化されている。
【0014】一方、前記車輪側部材2は、下端部に底部
を有した有底円筒状に形成され、該底部に前記ピストン
ロッド20の下端が固定され、また、底部の下端にはロ
アースプリングシート23及び車輪側への取付用アイ2
aが設けられている。また、前記アッパスプリングシー
ト部材19とロアースプリングシート部材23との間に
サスペンションスプリング33が介装されている。そし
て、この車輪側部材2は、開口端部から間隙部1c内に
挿入され、その外周には車体側部材1に対して微少な隙
間を有してコイル3が巻き付けられている。
【0015】このコイル3は、両部材1,2の相対移動
方向に沿って第1〜第10コイル3a〜3jの10の部
分に分割され、各コイル3a〜3jは、1つのボビン3
kに巻き付けられている。そして、各ボビン3kにおけ
るコイル3a〜3jを巻いた部分の長さが、前記上部外
側永久磁石1j(上部内側永久磁石1m)と下部外側永
久磁石1k(下部内側永久磁石1n)との間に形成され
た間隔Hより短く形成されている。尚、前記車輪側部材
2の先端部外周と前記ガイド部材13の外周にはドライ
ベアリング4a,4bが設けられている。
【0016】前記コイル3は、制御回路6に接続されて
いる。即ち、この制御回路6は、各コイル3a〜3jの
端子間に通電したり、短絡させたりすることが可能に形
成され、さらに、この通電時及び短絡時に、これらコイ
ル3に対して可変抵抗を接続するように構成されてい
る。ちなみに、コイル3を短絡させた場合には、サスペ
ンションユニットSがストロークすると、両磁界形成部
1g,1hの磁界B1 ,B2 を横切る向きにコイル3が
移動することで、コイル3に相対速度に比例した誘導電
流が生じ、この誘導電流が可変抵抗により電力消費する
ことで、移動エネルギーが減少するもので、即ち、減衰
力が得られる。一方、コイル3を通電駆動させた場合、
両磁界形成部1g,1hの磁界B1 ,B2 を横切る向き
に通電が成されることで、通電の向き強さに応じて、サ
スペンションユニットSの伸方向あるいは圧方向に駆動
力が生じる。即ち、図5に示すように、通電される電流
値に比例した制御力が得られる。このように、この実施
例では前記コイル3と各永久磁石1j,1k,1m,1
n等で、電磁アクチュエータTを形成している。
【0017】また、前記制御回路6には、ストロークセ
ンサ7からの入力信号に基づき、サスペンションユニッ
トSのストローク位置に応じて各コイル3a〜3jに対
する通電を個別的にON−OFFさせると共にその通電
方向を切換制御する通電切換手段6aを備えている。即
ち、この通電切換手段6aは、両磁界B1 ,B2 内に存
在しているコイルにだけ通電するような制御を行うと共
に、両磁界B1 ,B2において磁束が飛ぶ方向が互いに
逆方向になることから、両磁界形成部1g,1hで生じ
る駆動力の作用方向を一致させるために、各コイル3a
〜3jのうち、上部磁界形成部1gの磁界B1 中にある
コイルと下部磁界形成部1hの磁界B2中にあるコイル
との通電方向が互いに逆方向になるように各コイル3a
〜3jへの通電がなされると共に、サスペンションユニ
ットSのストローク位置に応じて各コイル3a〜3jへ
の通電方向の切り換え制御がなされるものである。尚、
前記ストロークセンサ7は、各ボビン3kの中央に取り
付けたホール素子(図示せず)で構成されており、この
ホール素子は、磁界B1 ,B2 の磁束に感応してその出
力電圧を変化させるもので、この出力電圧を検出するこ
とにより、磁界形成部1g,1hに対する各コイル3a
〜3jの位置、即ちサスペンションユニットSのストロ
ーク位置を検出するようになっている。
【0018】また、前記内筒1a内には液圧緩衝器Pが
設けられている。即ち、前記内筒1a内の軸心部にはシ
リンダチューブ15が設けられ、さらに、該シリンダチ
ューブ15と内筒1aとの間には内筒1aの外周に外側
室Cを形成してアウタチューブ16が設けられていて、
両チューブ15,16は、大径筒部1d内に設けられた
減衰力可変バルブ18及び内筒1aの下端部に形成され
たロッドガイド10に対し、その上下両端開口部をそれ
ぞれ嵌合固定された状態で設けられ、両チューブ15,
16内には油等の流体が充填されている。そして、前記
シリンダチューブ15内には、該シリンダチューブ15
内を上部室Aと下部室Bとに画成して摺動自在にピスト
ン17が設けられ、かつ、前記大径筒部1dを含む内筒
1a内には、減衰力可変バルブ18及びアウタチューブ
16で画成されると共に内部に封入気体による圧力下に
所望量の流体が充填されたメインリザーバ室D1 が形成
されている。尚、前記ロッドガイド10には下部室Bと
外側室C間を連通する下部連通路10bが形成されてい
る。
【0019】前記ピストン17は、前記ロッドガイド1
0のロッド挿通穴10aからシリンダチューブ15の内
部に挿通されたピストンロッド20の上端に取り付けら
れている。尚、前記ロッド挿通穴10a内には、ピスト
ンロッド20の外周面に当接してガイドブッシュ21及
びオイルシール22が設けられている。また、前記外筒
1bの上端外周部には、アッパスプリングシート部材1
9が設けられている。このアッパスプリングシート部材
19は、その下面外周に環状のシート面19aが形成さ
れると共に、前記メインリザーバ室D1 と符合する位置
の内周面側に環状溝19bが形成されていて、この環状
溝19bと外筒1bの外周面とで、内部に封入気体によ
る圧力下に所望量の流体が充填されたサブリザーバ室D
2 が形成されている。そして、該サブリザーバ室D2
前記メインリザーバ室D1 との間が、外筒1b及び大径
筒部1dに穿設された連通孔1x,1yにより流体の相
互流通が可能となっている。
【0020】次に、前記減衰力可変バルブ18部分の構
造を、図2に基づいて詳細に説明する。
【0021】図示のように、減衰力可変バルブ18は、
そのバルブボディ18aに、上部室Aをメインリザーバ
室D1 に連通する第1連通路Eと、第1連通路Eの途中
と外側室Cとを連通する第2連通路Fと、第1連通路E
をバイパスして上部室Aとメインリザーバ室D1 とを連
通する第1バイパス路Gと、この第1バイパス路Gの途
中と第1連通路Eの途中とを連通する第2バイパス路K
と、メインリザーバ室D1 を上部室Aに連通する第1チ
ェック流路Mと、メインリザーバ室D1 を第2連通路F
の途中に連通する第2チェック流路Nとが形成されてい
る。そして、前記第1連通路Eには、第1減衰バルブ2
4及び第2減衰バルブ25が設けられ、また、第1バイ
パス路G及び第2バイパス路Kの途中には、第1オリフ
ィス26及び第2オリフィス27を構成する調整子(減
衰力変更手段)28が設けられ、また、第1チェック流
路Mには、第1チェックバルブ29が設けられ、一方、
第2チェック流路Nには、第2チェックバルブ30が設
けられている。
【0022】また、前記バルブボディ18aは、支持パ
イプ31の下端にナット31で締結されており、この支
持パイプ31の上端は、前記ステップモータ14のケー
シングに連結固定されている。そして、前記調整子28
は、支持パイプ31の貫通孔31a内に回転自在に設け
られると共に、コントロールロッド28aを介してステ
ップモータ14の出力軸に連結されていて、ステップモ
ータ14の駆動に基づく調整子28の回転により前記第
1オリフィス26及び第2オリフィス27の開度を変化
可能に構成されている。
【0023】また、前記制御回路6は、加速度センサ8
と、前記ストロークセンサ7及び荷重センサ9からの入
力に基づきステップモータ14の制御を行うようになっ
ている。ちなみに、前記加速度センサ8は、車体に取り
付けられて車体の上下方向加速度を検出するもので、上
下方向の車体速度を求めるために設けられている。ま
た、荷重センサ9は、車体側と車輪側との相対速度を得
るべく、サスペンションユニットSからの入力荷重を検
出する。
【0024】次に、実施例の作用について説明する。
【0025】上述した構成の電磁サスペンション装置
は、サスペンションユニットSを自動車の4輪のそれぞ
れと車体の間に設け、また、制御回路6及び各センサ
7,8,9も、1つのサスペンションユニットS毎に設
けて使用するものである。
【0026】まず、液圧緩衝器Pの作用を図3に示す回
路図を参照しつつ説明する。
【0027】圧側工程時には、上部室Aが縮小し、下部
室Bが拡大される。従って、この場合、上部室Aの流体
は、下部室B及びメインリザーバ室D1 へ流通するが、
この場合に流通可能な経路としては、以下の3つがあ
る。
【0028】 第1バイパス路Gを通り第1オリフィ
ス26を経てメインリザーバ室D1 に流入する経路。
【0029】 第1連通路Eを通り、第1減衰バルブ
24を経た後第2連通路Fを経て外側室Cに流入し、さ
らに、外側室Cから、下部連通路10bを通り下部室B
に流入する経路。
【0030】 第1バイパス路Gを通り、そこから、
第2バイパス路Kへ迂回して、第2オリフィス27を
経、さらに、の経路と同様に、第2連通路Fを経て外
側室C及び下部室Bに流入する経路。
【0031】従って、第1減衰バルブ24もしくは両オ
リフィス26,27において減衰力が生じる。また、上
述の各経路,,をどのように流通するかは、両オ
リフィス26,27の開度及び第1減衰バルブ24の特
性により異なるが、両オリフィス26,27の開度を開
くと低減衰力特性となり閉じると高減衰力特性となるも
ので、その減衰力特性を図4に示している。
【0032】伸側行程時には、下部室Bが縮小され、上
部室Aが拡大される。この場合、下部室B内の流体が外
側室Cを介して上部室Aもしくはメインリザーバ室D1
へ流通すると共に、メインリザーバ室D1 の流体が上部
室Aに流通するもので、この場合に流体の流通可能な経
路は、以下の3つある。
【0033】 下部室Bから外側室C流入し、そこか
ら、第2連通路F及び第1連通路Eを通り、第2減衰バ
ルブ25を開弁してメインリザーバ室D1に流入する経
路。
【0034】 と同様にして第2連通路Fを通り、
そこから、第2バイパス路K〜第1バイパス路Gを通
り、上部室Aに流入する経路。
【0035】 メインリザーバ室D1 から第1チェッ
ク流路Mを介して上部室Aに流入する経路。
【0036】従って、第2減衰バルブ25もしくは第2
オリフィス27で減衰力が生じる。この場合も、第2オ
リフィス27の開度及び第2減衰バルブ25の特性によ
り流通経路が変化し、図4に示すように、減衰力特性も
変化する。
【0037】次に、電磁アクチュエータTの作用を説明
する。
【0038】車両の走行状況に応じ、電磁アクチュエー
タTにおいて減衰力を発生させる場合には、各コイル3
a〜3jを短絡させる。そうすると、車体側部材1と車
輪側部材2との相対速度に応じて、即ち、上下両磁界形
成部1g,1hを通過するコイル3の速度に正比例し
て、減衰力(制御力)が生じる。このように、減衰力制
御を行う場合には、コイル3に通電することはなく、即
ち、全く電力消費することなく減衰力(制御力)を得る
ことができる。
【0039】姿勢制御を行う等電磁アクチュエータTに
おいて駆動力を発生させる際には、各センサ7〜9から
の入力に基づいて得られる車両状況に応じてコイル3に
通電する。これにより、サスペンションユニットSの軸
方向上向きや下向きに駆動力(制御力)が発生する。こ
の場合、通電の向き及び電力により駆動力(制御力)の
向き及び強さが変化する。ちなみに、このような、駆動
力(制御力)を、例えば、車高変化を打ち消す向きに発
生させることで、車高を一定させることができる。ま
た、駆動力(制御力)を、サスペンションユニットSを
介して車体へ伝達される路面入力を打ち消す向きに発生
させることで、車体への路面入力をキャンセルして一定
した車体姿勢が得られる。
【0040】図6は、本発明実施例装置の制御力(駆動
力・減衰力)を制御する場合の一例を示しているもの
で、同図において破線で示すのが理想的なスカイフック
ダンパとして必要な制御力特性であり、また、斜線で示
すのが液圧緩衝器Pで発生可能な制御力(減衰力)FD
である。即ち、比例定数をa、ばね上速度をvu とする
と、理想的なスカイフックダンパと等価なサスペンショ
ン制御とするためには、大きな制御力(FS =a・v
u )を必要とするが、ばね上−ばね下間相対速度の方向
が前記サスペンション制御力FS の方向と一致する領域
では、液圧緩衝器Pの制御力(減衰力)FD が働くた
め、電磁アクチュエータ部分で発生を要する制御力FG
は、FG =FS −FD となり、従って、電力消費量が節
約できる。
【0041】ちなみに、スカイフック理論とは、図7に
示す振動モデルにおいて、ばね上速度V1 に対し、下記
数式1に示す関係の制御力FSを発生させ、ばね上振動
のみを制御する理論である。尚、Mは質量、Kはばね定
数、Cは減衰係数、V1 はばね上速度である。
【0042】
【数1】
【0043】以上説明したように、本発明実施例装置で
は、電磁アクチュエータTに液圧緩衝器Pを並列に組み
込んだ構成としたことで、大きな衝撃入力によるサスペ
ンションユニットの破損を防止することができると共
に、電磁アクチュエータTの電力消費量を低減できるよ
うになるという特徴を有している。
【0044】また、減衰力制御や姿勢制御を行うにあた
り、本発明実施例装置では、間隙部1cを形成して対向
する磁性外筒部11及び磁性円筒部12と、両者の対向
面に相対移動方向に分離されると共に間隙部1cを挟ん
で互いに逆方向の磁界B1 ,B2 を形成すべく互いに対
向する2組の磁石(上部外側永久磁石1j,下部外側永
久磁石1,上部内側永久磁石1m,下部内側永久磁石1
n)とで、2つの磁界B1 ,B2 を形成する磁路Aを形
成し、かつ、複数に分割された各コイル3a〜3jへの
通電方向を、一方の磁界B1 と交差するコイルと他方の
磁界B2 と交差するコイルとで互いに逆方向になるよう
に切り換える制御回路6を備えた構成としたため、サス
ペンションユニットSのストロークを大きくする場合で
も磁路Aを長くする必要性がなく、従って、ストローク
の大小に拘らず一定の十分な制御力を得ることができる
という特徴を有している。
【0045】また、実施例では、10に分割された各コ
イル3a〜3jの内、制御力(駆動力)を発生するため
に必要なコイル部分だけに通電するように制御すること
で、消費電力を節約することができるという特徴を有し
ている。
【0046】また、本発明実施例装置では、サスペンシ
ョンユニットSのストローク位置を検出するためのスト
ロークセンサ7として、ホール素子等の磁束センサを用
いることで、サスペンションの基本長を長くすることな
しにサスペンションユニットSのストローク位置を検出
することができ、これにより、車載する上でスペースの
自由度が高くなるという特徴を有している。
【0047】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
てきたが、本発明の具体的な構成はこれらの実施例に限
られるものではない。例えば、実施例では、車体側部材
を二重構造に形成した例を示したが、実施例装置の車輪
側と車体側とを逆にして、車輪側部材を二重構造に形成
することもできる。また、実施例では、上下2組の磁界
形成部間で磁路を形成するようにする場合を示したが、
1組の磁界形成部と磁性部材とで磁路を形成するように
することもできる。また、実施例では、永久磁石により
磁界を形成するようにしたが、電磁石により磁界を形成
するようにしてもよい。また、実施例では、磁界を形成
する両磁石及びコイルを環状に形成し、両者を同心円状
に配置させるようにしたが、両磁石及びコイルの形状や
配置関係は任意に設定することができる。また、ストロ
ーク位置によって各コイルの巻き数を相違させることに
より、ストローク位置によってその制御力を任意に変化
させることができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の電磁
サスペンション装置では、電磁アクチュエータに加えて
サスペンションユニットの車体側部材と車輪側部材との
間に緩衝器を設け、さらに、この緩衝器に減衰力特性を
変更する減衰力変更手段を設けた手段としたため、緩衝
器の緩衝作用により大きな衝撃入力によるサスペンショ
ンユニット自体の破損を防止できるという効果が得られ
ると共に、電磁アクチュエータを、緩衝器の減衰力では
制御し得ない制御力が必要な場合にのみ駆動させるよう
にして電磁アクチュエータの電力消費量を節約すること
ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の電磁サスペンション装置を示す
全体図である。
【図2】本発明実施例装置の減衰力可変バルブ部分の拡
大断面図である。
【図3】本発明実施例装置における液圧緩衝器の回路図
である。
【図4】本発明実施例装置における液圧緩衝器の減衰力
特性図である。
【図5】本発明実施例装置における電磁アクチュエータ
の制御力特性図である。
【図6】本発明実施例装置をスカイフックダンパとして
制御する場合の制御力特性図である。
【図7】スカイフック理論を説明するための説明図であ
る。
【符号の説明】
S サスペンションユニット P 液圧緩衝器 T 電磁アクチュエータ 1 車体側部材 2 車輪側部材 28 調整子(減衰力変更手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と車輪との間に介在されたサスペン
    ションユニットが、相対移動可能に形成された車体側部
    材と車輪側部材とで形成され、かつ、両部材の相対移動
    を電磁力で制御する電磁アクチュエータを備えた電磁サ
    スペンション装置において、 前記車体側部材と車輪側部材との間には、両部材の相対
    移動によりストロークして減衰力を発生する緩衝器が設
    けられ、かつ、該緩衝器には減衰力特性を変更可能な減
    衰力変更手段が設けられていることを特徴とする電磁サ
    スペンション装置。
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