JPH0543933A - 高強度極細金属線の製造方法 - Google Patents

高強度極細金属線の製造方法

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JPH0543933A
JPH0543933A JP22517691A JP22517691A JPH0543933A JP H0543933 A JPH0543933 A JP H0543933A JP 22517691 A JP22517691 A JP 22517691A JP 22517691 A JP22517691 A JP 22517691A JP H0543933 A JPH0543933 A JP H0543933A
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carbide
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Kenji Hyodo
健次 兵頭
Ichiro Nagao
一郎 長尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極細金属線の伸線前の金属組織を一定にする
ことにより、その線材の伸線加工性と極細線での強度、
靱性を大幅に向上させる。 【構成】 炭素を0.60〜1.20重量%含む線材を
焼入れ焼戻し処理し、その金属組織における塊状もしく
は針状炭化物の横断面形状が、長手方向の長さと巾方向
の長さの比をを2.5以下、その面積を150×10-4
μm2 以下である略細長形状あるいは、略円形状を示す
焼戻しマルテンサイト組織とし、その後、伸線加工を施
して線径が0.01mm〜0.50mmで、かつ引張強
さが300kgf/mm2 以上にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタイヤコード、ベルトコ
ード等のゴム補強材、プラスチック補強材、繊維補強
材、電磁波シールド用材、針材、ワイヤソー、精密ば
ね、ワイヤロープ、ミニロープ、釣糸等に使用する高強
度、高靱性を有する極細金属線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、これらの極細金属線に要求され
る性質は、極細径に仕上げられることと、前述利用分野
での用途に耐えることができるように十分な高強度を有
すると共に靱性も備えていること、伸線加工性に優れて
いることおよびコストの安いことである。
【0003】この極細金属線としては、高炭素鋼線が広
く用いられている。これは、通常、熱間圧延材料から途
中数回のパテンティング処理を行ない、伸線加工ごとに
伸線材の靱性が低下するのを防止しつつ、数次にわたる
冷間伸線加工によって製造されている。このため多くの
製造工程を必要とし、製造コストが高くついていた。ま
た、極細金属線のパテンティング処理方法は技術的に困
難で熱処理管理が難しく、断線原因等により伸線におけ
る加工度も限られていた。
【0004】上記方法では、冷間伸線加工における真歪
は、最高でも2.30〜3.50程度(真歪ε=2ln
Do/Df、Do=伸線前線径、Df=仕上り線径)
までで、仕上り極細金属線の強度も引張強さで通常30
0kgf/mm2 以下で、線径は0.15mm以上のも
のに主として用いられている。
【0005】また、熱処理によって焼入れ、焼戻しした
焼戻しマルテンサイト組織を利用する方法は、線材が比
較的太径であって焼入れのままでは良好な加工性を得る
ことが出来ないので、焼戻し処理して線材の強度を低下
させて、加工性を得て伸線加工等を行おうとする方法で
ある。しかし、高強度の極細金属線を得ることが出来な
いため、この分野での利用は少ない。
【0006】一方、焼入れのままで利用する方法は硬
度、強度に優れるが靱性に劣る。このためオイルテンパ
ー処理等を行い、焼戻しして強度を適当範囲に保ちかつ
靱性も備えた製品として線径1mm以上の鋼線がオイル
テンパー線として多く使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来、焼入れを行った
線材は脆く、靱性に劣り、また焼入れ、焼戻しを行った
線材は、靱性は良くなるが熱処理管理が難しく、焼戻し
方法のいかんによっては強度が大幅に低下するという問
題もあり、いずれの方法もその後伸線加工を行なうには
適していないとされていた。そのため高炭素鋼線を用い
て、最も加工性がよく高強度で靱性もよい金属細線を得
る方法としては、パテンティング組織の線材を伸線加工
する方法が最良の手段とされてきた。
【0008】しかしながら、最近は、技術進歩に伴っ
て、このパテンティング処理を行った後伸線加工する製
造方法でも要求される品質には充分対応出来なくなって
きた。単に線径をより細くするだけでなく、さらに高強
度で高靱性を保ちながら、かつ伸線加工の優れた生産性
のよい高強度極細金属線の製造方法が要求されている。
【0009】本発明は、一定化学成分を有する線材を、
最適に焼入れ焼戻しを行ない、その金属組織を一定範囲
にし、その後伸線加工する方法であって、その線材の伸
線加工性と極細線での強度、靱性を大幅に向上させるこ
とを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のパ
テンティング処理および焼入れならびに焼入れ焼戻し処
理による金属組織であるパーライト、マルテンサイト、
ソルバイト、焼戻しマルテンサイト等の伸線加工性およ
び伸線加工後の強度、靱性等について鋭意研究を重ね
た。その結果、金属組織が加工性および強度、靱性等に
大きく影響していることを再認識し、特に炭素鋼の細線
において、焼入れ、焼入れ焼戻し処理を精密に行ないそ
の金属組織を一定範囲に保つことにより従来のパテンテ
ィング処理による極細線よりもさらに優れた高強度極細
金属線が得られることを確認し、本発明をなすに至っ
た。
【0011】すなわち、本発明は重量%で炭素を0.6
0%〜1.20%含む線材を焼入れ焼戻し処理し、その
金属組織における塊状もしくは針状炭化物の横断面形状
がl/w≦2.5、S≦150×10-4μm2 (上記式
中、l:炭化物の横断面における長手方向の長さ、w:
炭化物の横断面における巾方向の長さ、S:炭化物の横
断面における面積)である略細長形状あるいは略円形状
を示す焼戻しマルテンサイト組織とし、その後伸線加工
を施して線径が0.01mm〜0.50mmで、かつ引
張強さが300kgf/mm2 以上にする高強度極細金
属線の製造方法である。また、上記焼入れ焼戻し処理に
おいて、線径0.1mm〜1.6mmの線材を750℃
〜850℃の温度に加熱後油焼入れし、続いて300℃
〜550℃の温度にて焼戻して引張強さ130kgf/
mm2 以上とした高強度極細金属線の製造方法である。
【0012】本発明における炭素含有量は、極細金属線
の伸線加工後において一定の微細繊維状組織を得るた
め、また高強度、高靱性を得るため、0.60〜1.2
0%の範囲で添加することが必要である。
【0013】0.60%より少ないと、焼入れで充分な
マルテンサイトが得られず強度的に低くなり、また1.
20%より多くなると、望む微細な組織が得られず、強
度は得られても靱性に劣り、伸線加工が困難となる。
【0014】また、金属組織における炭化物の横断面形
状で長手方向と巾方向の長さ比を2.5以下とすること
は、望む伸線加工性および強度ならびに靱性を得るため
必要である。さらにその断面積が150×10-4μm2
より大であると、高加工度の伸線加工が困難となり、ま
た強度、靱性面でも不利となる。
【0015】さらに線径を0.1mm〜1.6mmの範
囲で、加熱温度を750℃以上とするのは、線材の内部
まで均一に完全オーステナイト化するためであり、85
0℃以下とするのはオーステナイトの結晶粒を余り大き
くせず、また線材内部の中心部と表層部において結晶粒
度の大きさのばらつきを少なくするためにより好適であ
る。
【0016】焼入れ液を油とし、焼戻し温度を300℃
〜550℃の範囲とするのは、よりよい靱性を与え、し
かも焼戻しマルテンサイト組織における炭化物の形状を
より一定に保持するためこの要件が望ましい。
【0017】熱処理後の線材の引張強さを130kgf
/mm2 以上とすることにより高強度極細線の加工を、
さらに効率よく製造することができる。
【0018】
【作用】ところで、焼入れを行った鋼線はマルテンサイ
ト組織であり、冷間加工はほとんど不可能であるが、焼
入れ焼戻し処理した鋼線を冷間加工することは、線径の
大きい鋼線では既に行われたこともあり、強力、耐力が
向上することも知られている。しかし伸線での加工性は
劣り、真歪で0.69程度であり、引張強さも250k
gf/mm2 程度で靱性も高くはなかった。この原因
は、本発明者の考察によれば、その金属組織の影響であ
り、炭化物の粗大化およびその大きさのばらつき等に起
因したものと思われる。
【0019】また、伸線加工性がよく、高強度の金属細
線を得る最良の手段とされてきたのはパテンティング処
理方法であるが、このパテンティング処理方法によるパ
ーライト組織はフェライトとセメンタイトの層状組織で
あることはよく知られている。このセメンタイトが層状
であるため、伸線加工性が良好であると考えられてき
た。事実、このためパーライト組織では極細線でも真歪
で3.3程度の伸線加工が行われている。しかしなが
ら、このセメンタイトの顕微鏡組織は略平板状であり、
その横断面形状が非常に細長く、より高加工度の伸線を
行なう場合、そのセメンタイト層同志の干渉で割れ、折
れ等が発生し、加工限界が生じるものと考えられる。こ
のため、加工度はせいぜい真歪で3.5程度が限界であ
り、それ以上となると、伸線途中で断線が多発し、靱性
も急激に低下し、強力を向上するのに限界となってい
た。
【0020】本発明の高強度極細金属線の製造方法で
は、炭化物の形状を限定した針状の形状にすることによ
り、その炭化物同志の干渉をなくし真歪で4.0〜4.
7程度の伸線加工を可能とし、かつ強度、靱性も大巾に
向上させることができた。
【0021】尚、本発明の方法により製造された極細線
も、その金属組織を観察すると、その横断面における炭
化物の形状がl/w≦2.5、S≦150×10-4μm
2 である略細長形状または略円形状を示し、かつ上記炭
化物が結束した金属組織となっており、従来の極細線に
おける金属組織と大きく異なっていることが認められ
た。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例および従来例
とともに説明する。ここで用いた鋼材は表1に示すとお
り、主に炭素含有量を変化させた通常の硬鋼線材または
ピアノ線材に相当する線材の5種類である。
【0023】
【表1】
【0024】これらの線材を用いて、線径および最終伸
線前の熱処理条件を種々変化させ、その金属組織を調査
し、その後最終伸線における加工度を適宜選択して伸線
を行った。そして得られた金属細線の横断面における金
属組織等を観察し測定した。これを表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】実験番号1〜14は全て線径0.15mm
〜1.35mmの種々の細線を最終伸線前に焼入れ、焼
戻しの温度と時間を変化させて熱処理を行って製作した
ものである。尚、実験番号1、2は比較例、同3、5〜
14は本発明の実施例である。また実験番号15と16
は、従来のパテンティング処理を行ったものの例、実験
番号17、18は従来のバネ用材料として一般に用いら
れているオイルテンパー線の熱処理方法を行って製作し
たものの例である。尚、表中( )内はパテンテイング
処理条件である。
【0027】熱処理後の金属組織における焼戻しマルテ
ンサイト組織とは、前工程で伸線加工等を行った線材を
1 変態点以上の温度(好適には約750℃〜850℃
前後)で加熱してオーステナイト化し、その後急冷(好
適には油焼入れ)を行い、完全にマルテンサイト化した
後さらにA1 変態点以下(好適には約300℃〜550
℃の範囲)で焼戻しを行って得られる組織である。
【0028】パーライト組織(詳しくは微細パーライト
組織であるが)は、この種の線材で広く用いられている
恒温変態処理の一種であるパテンティング処理より得ら
れるもので約900〜約1000℃に加熱した後、冷却
媒体として鉛等の溶融金属または溶融塩を用いて、55
0℃前後で熱浴焼入れして得られるフェライトとセメン
タイトが互いに層状となっている組織である。
【0029】最終伸線における限界加工度とは、最終伸
線における伸線性の良否結果および同時に行った伸線限
界テスト結果より判断し、製造上可能と推定される加工
度であって、真歪ε=2ln Do/Dfで表す。
【0030】熱処理後の炭化物横断面形状とは、焼戻し
マルテンサイト組織における塊状もしくは針状の炭化物
のその横断面形状を示す。焼戻しマルテンサイト組織
は、第1図の写真に示す如く、その炭化物の配列はラン
ダムであり針状組織は、少し崩れかけたような状態とな
っている。この状態の炭化物のそれぞれの横断面形状を
確認することは困難であったが、顕微鏡写真を連続長手
方向に多数枚撮ることにより、その形状を判断した。
【0031】伸線後の炭化物形状は、横断面の金属組織
における炭化物の形状である。この場合、熱処理後の炭
化物と違うのはその配列の仕方で、熱処理後伸線前にお
ける炭化物は前述の如くランダム配列であるが、伸線後
におけるそれは1方向(伸線方向)に収束している。そ
のため、細線の横断面における金属組織の炭化物の形状
は、全て炭化物の横断面形状そのものに近くなってい
る。
【0032】その形状は図2、図3の写真に示す如く、
一様な細長形状のものだけでなく、曲がっているものも
多い。曲がっている場合、その炭化物の長さとはそれを
引き伸ばして真直な形状とした場合の長さをその炭化物
の長さとした。一方その縦断面における金属組織は図4
の如くであり、繊維状組織となっている。
【0033】また、炭化物は塊状であるため横断面にお
いてその形はきれいな形状とはならない。長手方向と巾
方向の区別は長い方又は広い方を長手方向の長さ、短い
方又は狭い方を巾方向の長さとした。図2に示す写真は
実験番号10の顕微鏡写真であり、白く見える粒状のも
のが炭化物である。この写真は倍率20,000倍で、
腐食液4%ピクラル液で約15秒間腐食した電子顕微鏡
写真であり、はっきりと炭化物の形状が確認出来る。図
3、図4に示す顕微鏡写真は実験番号11のそれぞれ横
断面、縦断面である。
【0034】これら熱処理後の炭化物と伸線後の炭化物
の横断面形状を比較してみると、ほとんど差が認められ
ない。伸線加工によって炭化物が一方向にそろい繊維状
になると同時に、炭化物間の間隔は小さくなるが、炭化
物はほとんど延伸されないことを示している。
【0035】次に、上記実験番号1〜18の細線の伸線
後の機械的性質として、引張強さ、破断時伸び、絞り、
疲労強度比、結節強力比を測定した。これを表3に示
す。疲労強度比とは、ハンター式疲労試験機を用いて2
0℃での繰り返し数107 回の応力を疲労限強度とし、
個々のワイヤの疲労限強度(kgf/mm2 )を求め、
引張強さに対する比で表し、実験番号15のワイヤの疲
労限強度比を100とし、それに対する指数で標記し
た。結節強力比(%)は、結節強力と引張強さの比
(%)である。いずれも数値が大きい方が好適である。
尚、特に超極細線(実験番号2、5、8、11、14)
については、疲労限強度が測定困難であり、またかなり
太い線(実験番号17、18)では、比較が適当でない
ため測定値は記載されいない。
【0036】
【表3】
【0037】表3より以下のことが確認される。実験番
号15、16のパーライト組織を有する線を伸線して得
られたものは、線径0.20mmと0.32mmで,引
張強さ280kgf/mm2 、290kgf/mm2
伸び2.9%、2.8%、絞り41%、46%、疲労寿
命100、97、結節強力比53.1、55.0であ
る。
【0038】実験番号17、18の従来のばね用材等に
確認される焼戻しマルテンサイト組織を有する線を伸線
して得られたものは、線径1.5mmと1.75mm
で、引張強さ152kgf/mm2 、175kgf/m
2 、伸び2.3%、2.1%、絞り35%、32%、
結節強力比47.3、45.1である。
【0039】これに対して、実験番号3、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14においては引張
強さ310〜430kgf/mm2 、伸び2.7〜3.
0%、絞り45〜54%、疲労強度比105〜120、
結節強力比58.0〜61.4%となっており、従来例
と比較して優れていることが判明した。
【0040】また、本発明と同様の線径で、伸線前に於
いて焼入れ、焼戻しを行ったものであっても、実験番号
1、2、4のものは引張強さ230〜285kgf/m
2 、疲労寿命80〜100となっており、本発明に対
し劣っていることが判明した。これらの原因は、熱処理
後の金属組織の炭化物の形状の相違および線材の炭素含
有量の程度によるものと考えられる。
【0041】ところで、本発明における極細金属線で
は、最終伸線における伸線性が優れていることが非常に
重要なことである。従来より伸線加工を行なう重要な目
的は、細線化することと引張強さを向上させることであ
るが、引張強さが大きくなりすぎると、伸線途中で断線
が多発し、伸線が不可能となる。このため、再度熱処理
(パテンティング処理等)を行ないさらに伸線すること
になる。この場合伸線性が悪いと加工度を大きくとるこ
とが出来ず、何度も熱処理を繰り返さなくてはならず、
またダイス枚数も相当多くなる。この線種でのパテンテ
ィングは前述のとおり加熱温度は約1000℃、鉛温度
は約550℃であり、線径が細くなると温度管理が困難
で現実に鉛に浸漬中でも断線が発生し易く、又加工炉と
鉛炉間の冷却速度の制御が非常に難しく、通常直径が
0.6mm以下の線ではパテンティング処理はほとんど
不可能である。
【0042】これに対し、伸線性が本発明のように良好
であると加工度を大きくとることができ、パテンティン
グ回数を減らせることができるうえ高強力の細線でも伸
線が可能となるので、著しく製造コストを低減すること
ができる。さらに、線径0.1〜1.6mmの線材を7
50℃〜850℃の温度に加熱後、油焼入れし、続いて
300℃〜550℃の温度にて焼戻して引張強さ130
kgf/mm2 以上とする熱処理方法を用いた実験番号
7、8、9、11、13、14は、さらに優れた伸線性
を有するとともに、引張強さは350〜430kgf/
mm2 の高強度極細線となることが判明した。
【0043】尚、途中の熱処理において、パテンティン
グ処理を行ない、その後伸線加工を施した線材を用い
て、前記熱処理を行えば、さらにオーステナイトの結晶
粒度ならびに炭化物の形状を均一に細かくすることが可
能である。
【0044】また、前記熱処理に供する材料は、パテン
ティング熱処理後伸線加工した線材を用いれば、オース
テナイト化した場合の炭化物の溶け込みがよいので、短
時間でオーステナイト化を完了することができ、熱処理
後の炭化物の微細化に効果がある。又、径が太くなる
と、均一にオーステナイト化するに必要な加熱時間が長
くなり、外周部の組織の粗大化を引き起こしやすくなる
ので、この場合は高周波加熱による急速加熱が管理上有
効である。
【0045】ところで、本発明により製造された高強度
極細金属線は、タイヤコード、ベルトコード、ワイヤソ
ー等だけではなく、ばね用材、医療用極細チューブ、織
布、中空材、電気通信ケーブル、光ファイバーケーブ
ル、スキー板補強材、メガネフレーム、各種電極線等に
も使用することができる。そしてコスト低減、品質向上
に大きな効果を発揮することができる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明は材料としては従
来使用されている炭素鋼材を用いて、従来では得られな
かった高強度、高靱性でかつ耐疲労性に優れた品質をも
つ高強度極細金属線を容易に得ることができ、特に伸線
性が良好なため加工度を大きくとることができ、途中の
熱処理工程や伸線加工におけるダイス個数を削減するこ
とも可能である。また、本発明により得られた極細金属
線は用途も広く、利用価値も大きい等著しい効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いる最終熱処理後の線材の
横断面における金属組織を示す倍率10,000倍の電
子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の実施例に用いた伸線後の高強度極細金
属線の横断面における金属組織を示す倍率20,000
倍の顕微鏡写真である。
【図3】本発明の他の実施例に用いた伸線後の高強度極
細金属線の横断面における金属組織を示す倍率20,0
00倍の顕微鏡写真である。
【図4】図3の縦断面における金属組織を示す倍率2
0,000倍の顕微鏡写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で炭素を0.60%〜1.20%
    含む線材を焼入れ焼戻し処理し、その金属組織における
    塊状もしくは針状炭化物の横断面形状がl/w≦2.
    5、S≦150×10-4μm2 (上記式中、l:炭化物
    の横断面における長手方向の長さ、w:炭化物の横断面
    における巾方向の長さ、S:炭化物の横断面における面
    積)である略細長形状あるいは略円形状を示す焼戻しマ
    ルテンサイト組織とし、その後線径が0.01mm〜
    0.50mmで、かつ引張強さが300kgf/mm2
    以上有するよう伸線加工を施してなる高強度極細金属線
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で炭素を0.60%〜1.20%
    含む線径0.1〜1.6mmの線材を750℃〜850
    ℃の温度に加熱後油焼入れし、続いて300℃〜550
    ℃の温度にて焼戻して引張強さ130kgf/mm2
    上で、かつその金属組織における塊状もしくは針状炭化
    物の横断面形状がl/w≦2.5、S≦150×10-4
    μm2 (上記式中、l:炭化物の横断面における長手方
    向の長さ、w:炭化物の横断面における巾方向の長さ、
    S:炭化物の横断面における面積)である略細長形状あ
    るいは略円形上を示す焼戻しマルテンサイト組織とし、
    その後線径が0.01mm〜0.50mmで、かつ引張
    強さが300kgf/mm2 /mm2 以上有するよう伸
    線加工を施してなる高強度極細金属線の製造方法。
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