JP2000119808A - 迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材およびその製造方法 - Google Patents

迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材およびその製造方法

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JP2000119808A JP29107898A JP29107898A JP2000119808A JP 2000119808 A JP2000119808 A JP 2000119808A JP 29107898 A JP29107898 A JP 29107898A JP 29107898 A JP29107898 A JP 29107898A JP 2000119808 A JP2000119808 A JP 2000119808A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間鍛造前の迅速球状化と、変形能を向上し
て優れた冷間鍛造性を併せて実現することができる鋼線
材、およびその為の有用な方法を提供する。 【解決手段】 C:0.2〜1.2%を含む熱間圧延鋼
線材または冷間伸線された鋼線材において、初析フェラ
イトとパーライトまたはパーライトを主体とする組織を
有すると共に、最表面から0.3mm深さまでの表層部
を除く領域における平均結晶粒径が6〜15μmであ
り、且つ当該領域における表層側と中心側の平均結晶粒
径の差が5μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中炭素鋼や低合金
鋼を球状化焼鈍後に冷間鍛造により部品に加工される様
な鋼線材およびその製造方法に関し、殊に球状化焼鈍の
際に迅速球状化が可能で冷間鍛造性にも優れた鋼線材、
およびその様な鋼線材を製造する為の有用な方法に関す
るものである。尚本発明で対象とする鋼線材は、主に熱
間圧延によって作られ、通常9.0mmφ以下の断面の
丸い鋼材をコイル状にしたものを意味するが、直径9.
5mmφ以上の棒鋼をコイル状に巻き取った「バーイン
コイル」をも含むものである。また熱間圧延した後に冷
間伸線した鋼線材も含む趣旨である。
【0002】
【従来の技術】鋼材を冷間で加工する冷間鍛造は、生産
性が高いことから幅広い分野で利用されている。冷間鍛
造に供される素材は、局部的に激しい変形を受けるため
に、材料割れによる不良の発生や、工具ダイスの破損な
どの事故が起こりやすい。こうしたことから、比較的高
硬度で成形性の悪い中炭素鋼や低合金鋼を素材として冷
間鍛造する場合には、冷間加工性を向上させるために鋼
中の炭化物を球状化するための球状化焼鈍が行なわれる
のが一般的である。
【0003】上記の様に球状化焼鈍を施すことによっ
て、鋼材の変形能の向上が図れると共に、ダイス寿命の
延伸に効果がある変形抵抗低減が達成されるのである
が、球状化焼鈍は長時間を要する処理であることが知ら
れており、迅速に球状化が可能な素材が求められている
のが実状である。またこうした迅速球状化を行なう際に
は、球状化焼鈍処理における基本的な機能である優れた
冷間鍛造性を得ること、特に変形能を劣化させないこと
が重要な要件である。
【0004】鋼材の迅速球状化に関する技術はこれまで
にも様々開発されており、例えば特公昭56−3728
8号や同59−35410号等には、球状化処理前の組
織を硬質相のマルテンサイトやベイナイトにする方法が
提案されている。これらの方法によれば、比較的短時間
に球状化が達成されるのであるが、球状化焼鈍後も鋼材
の硬度が低くならずに変形抵抗が高く、工具ダイスの寿
命低下という問題は依然として解消されない。
【0005】またフェライト・パーライト組織で微細化
を図り迅速球状化を狙う手段がいくつか開示されている
が、十分な効果が得られているとは言い難い。例えば特
公昭63−45441号、特公平2−6809号、特開
昭60−255922等には、熱間圧延時の塑性歪を残
したまま変態させて、迅速球状化させる技術が開示され
ている。しかしながらこれらの技術では、迅速球状化は
達成できても、変態後の組織は圧延方向に展伸されてい
るので、変形能はむしろ劣化している。
【0006】更に、特開昭62−139817号や同6
3−20419号では、フェライト粒径を5〜6μm以
下とすることで迅速球状化を図っているが、このように
前組織を超微細化すると、硬さを十分に低下させるのに
却って長時間の球状化時間が必要となり、本発明が想定
する迅速球状化条件(処理時間10〜15時間程度)で
は、むしろ変形抵抗が高く工具寿命が低下する問題があ
る。またこの技術では、線材断面内の平均粒径のみを規
定したものであり、断面内における粒径のバラツキにつ
いては全く考慮されていないものである。即ち、球状化
条件は、断面内で最も球状化に適していない組織を有す
る箇所で律速されるので、組織のバラツキを低減するこ
とが、線材全体の迅速球状化と冷間鍛造性確保に有効に
なると考えられる。
【0007】一方、特開昭64−73021号において
は、表層部および内部のいずれも均一微細なフェライト
・パーライト組織とする細粒鋼の製造方法が開示されて
いるが、この技術は圧延後の焼きならし処理の省略を目
的としてなされたものであり、迅速球状化可能で優れた
冷間鍛造性を有する鋼線材の実現を目指したものではな
い。またこの技術では、均一微細とは言っても、結晶粒
度8番以上(平均粒径約20μmの以下)と粗いもので
あり、しかもどの程度の均一性が必要であるかは明確に
されているとは言えず、微細な部分では6μm未満、粗
い部分では20μmに近い粒が生じ、組織的なバラツキ
が大きくなる可能性がある。この場合には、本発明が想
定している迅速球状化条件では、変形抵抗が高く工具寿
命の低下の問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした状況
の下でなされたものであって、その目的は、冷間鍛造前
の迅速球状化と、変形能を向上して優れた冷間鍛造性を
併せて実現することができる鋼線材、およびその為の有
用な方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の鋼線材とは、C:0.2〜1.2%を含む熱間圧
延鋼線材または冷間伸線された鋼線材において、初析フ
ェライトとパーライトまたはパーライトを主体とする組
織を有すると共に、最表面から0.3mm深さまでの表
層部を除く領域における平均結晶粒径が6〜15μmで
あり、且つ当該領域における表層側と中心側の平均結晶
粒径の差が5μm以下である点に要旨を有するものであ
る。
【0010】上記した本発明の鋼線材における具体的な
化学成分組成としては、Si:0.3%以下(0%を含
まない)、Mn:0.2〜1.5%およびAl:0.0
1〜0.06%を夫々含有すると共に、P:0.02%
以下(0%を含む)、S:0.02以下(0%を含む)
およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し
たものが挙げられる。また本発明の鋼線材においては、
必要によって、Cr:2%以下(0%を含まない)、M
o:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下
(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の
元素を含有させることも有効であり、これによって鋼線
材の特性を更に向上させることができる。
【0011】一方、本発明の鋼線材を製造するに当たっ
ては、熱間仕上げ圧延時の圧延出側温度が、線材断面内
の全ての領域において750〜900℃の温度範囲内に
入る様にして操業する様にすれば良い。またこの方法に
おいては、線材断面内における最高温度と最低温度の差
が80℃以下であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、球状化時間を短縮
させても変形抵抗の低減と変形能向上の両方を満足させ
ることのできる最適な前組織を検討した。その結果、フ
ェライトとパーライトを主体とする組織において、最表
面から0.3mm深さまでの表層部を除く領域における
平均結晶粒径を調整し、且つ当該領域における表層側と
中心側の平均結晶粒径の差を5μm以下とすることが有
効であることが判明した。即ち、上記領域における平均
結晶粒径を6〜15μmに調整し、且つこの領域におけ
る表層側と中心側の平均結晶粒径の差が5μm以下であ
る様な鋼線材においては、上記目的が見事に達成される
ことを見出し、本発明を完成した。
【0013】本発明の鋼線材においては、その平均結晶
粒径を6〜15μmに調整する必要がある。この平均結
晶粒径が15μmを超えて粗い組織となると、球状化時
間が長くかかると共に、線材の変形能も十分でなくな
る。逆に、平均結晶粒径が6μm未満となって微細にな
ると変形能は向上するが、硬さの低下に時間がかかり、
迅速球状化に適しない。この平均結晶粒径の好ましい範
囲は、7〜12μmである。尚通常の熱間圧延材のフェ
ライト・パーライト組織の平均結晶粒径は15〜25μ
m程度である。また本発明の鋼線材においては、上記領
域における表層側と中心側の平均結晶粒径の差を5μm
以下とする必要があるが、この差が5μmを超えると、
全ての領域で望ましい結晶粒径の確保が困難になってし
まう。
【0014】本発明の鋼線材は、前述の如く初析フェラ
イトとパーライトまたはパーライトを主体とするもので
あるが、その他微量であればベイナイトやマルテンサイ
ト等の組織が混在していても良い。但し、これらマルテ
ンサイトやベイナイトの組織が多量に生成すると、球状
化焼鈍後も硬さが低下せず、冷間鍛造時の工具寿命が低
下するので、その量は5%以下にすべきである。
【0015】ところで従来開示されている技術では、線
材断面内の組織のバラツキが大きく、十分な迅速化が達
成されていなかったのであるが、球状化処理後の冷間鍛
造性を確保する為には、線材中における最も組織の悪い
ところでも良好な冷間鍛造性を確保する必要がある。従
って、球状化条件は、線材コイル内の最も条件の悪い箇
所に合わせる必要がある。条件の悪い箇所が1箇所でも
あれば、そこだけ十分な球状化が達成されないので、そ
こが割れ発生の基点となる可能性がある。
【0016】こうしたことから、本発明の鋼線材におい
ては、最表面から0.3mm深さまでの表層部を除く全
ての領域における平均結晶粒径が6〜15μmのフェラ
イト・パーライト組織であり、且つ上記領域における表
層側と中心側の平均結晶粒径の差が5μm以下であると
いう要件を満足する必要がある。尚本発明の鋼線材にお
いて、最表面から0.3mm深さまでの表層部を組織調
整の対象外としたのは、この表層部では脱炭が起こるこ
とがあり、結晶粒径を規定出来ない可能性があるからで
ある。
【0017】本発明の鋼線材において、その平均結晶粒
径が6〜15μm(好ましくは7〜12μm)である
(フェライト+パーライト)組織にする為には、熱間圧
延条件とその後の冷却条件の制御、特に最終圧延温度の
制御が重要な要件となる。こうした観点からして、熱間
仕上げ圧延時の圧延出側温度を750〜900℃とする
必要がある。この温度が750〜900℃の温度範囲と
なる様にすれば、最終組織に大きな変化がなく、線材断
面内の全てで平均結晶粒径が6〜15μmとなる(フェ
ライト+パーライト)組織を生成し得る。
【0018】しかしながら、熱間仕上げ時の圧延出側温
度が900℃を超えると、組織の粗大化が起こる。一
方、この温度が750℃未満となると、平均結晶粒径が
6μm未満となる可能性があり、また圧延時の塑性歪を
有したまま変態し、圧延方向に展伸された結晶粒が生成
する可能性も高くなる。従って、断面内の最低温度が7
50℃となる様にすれば、断面内の組織バラツキが低減
される。また断面内の組織バラツキを低減させ、且つ表
層側と中心側の平均結晶粒径の差を5μm以下とする為
には、断面内の最高温度と最低温度の差を80℃以下に
することが好ましい。
【0019】熱間仕上げ圧延時の圧延出側温度におい
て、上記の様に適正な温度範囲に調整する為には、最終
圧延前の水冷程度のコントロールや復熱時間のコントロ
ールが重要な要件になる。最終圧延温度を適正な範囲に
収める為に、最終圧延前に設置されている水冷を強力に
実施する場合には、十分な復熱を行なって断面内温度分
布を小さくすることが必要である。
【0020】また上記の様な平均結晶粒径を有するフェ
ライト・パーライト組織を生成させる為には、最終圧延
後の冷却速度も重要な要件となる。この冷却速度が速す
ぎれば、ベイナイトやマルテンサイト等の過冷組織が生
成し、球状化後の硬さが高くなり、冷間鍛造後の変形能
が低下する。こうしたことから、最終圧延後の冷却速度
も最適な範囲があるが、この最適冷却速度は化学成分組
成によって異なるので、夫々の成分に応じて決まる最適
範囲に収める必要がある。
【0021】本発明の鋼線材は、基本的にCを0.2〜
1.2%含むものであり、また具体的な化学成分組成と
しては、Si:0.3%以下(0%を含まない)、M
n:0.2〜1.5%およびAl:0.01〜0.06
%を夫々含有すると共に、P:0.02%以下(0%を
含む)、S:0.02以下(0%を含む)およびN:
0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制したものが挙
げられるが、これらの元素の範囲限定理由は下記の通り
である。
【0022】C:0.2〜1.2% Cは、強度付与元素であり、0.2%未満では必要な強
度が得られない。一方、1.2%を超えると冷間加工性
の低下、靱性の低下があるので、これを上限とする。
【0023】Si:0.3%以下 Siは、脱酸剤として添加されるが、多量に添加すると
強度上昇が著しく、冷間加工性が低下するので、上限を
0.3%にする。尚Si含有量の好ましい下限は、0.
05%であり、好ましい上限は0.25%である。
【0024】Mn:0.2〜1.5 Mnは、脱酸・脱硫剤および焼入れ性向上元素として添
加されるが、その効果を発揮させるためには0.2%以
上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が
過剰になると、球状化焼鈍後も硬さの低下が困難にな
り、冷間鍛造性や靱性の低下を招くので、上限を1.5
%とする必要がある。尚Mn含有量の好ましい下限は、
0.3%であり、好ましい上限は1.0%である。
【0025】Al:0.01〜0.06% Alは脱酸剤であると同時に、窒素の固定による冷間鍛
造中の動的歪時効を抑制して、変形抵抗の低減を図る働
きがある。こうした効果を発揮させる為には、少なくと
も0.01%含有させる必要があるが、過剰になると却
って靱性を低下させるので、上限を0.06%とした。
尚Al含有量の好ましい下限は0.015%であり、好
ましい上限は0.04%である。
【0026】P:0.02%以下(0%を含む)、S:
0.02%以下(0%を含む) PとSは、冷間加工性、特に変形能を低下させるので、
いずれも0.02%以下に抑制する必要がある。尚これ
らの元素は、いずれも0.01%以下に抑制することが
好ましい。
【0027】N:0.01%以下(0%を含む) Nは、冷間鍛造中の動的歪時効を起こし、変形抵抗上昇
と変形能の低下を招くので、上限を0.01%とする。
尚N含有量は、0.006%以下に抑制することが好ま
しい。
【0028】本発明の鋼線材における基本的な化学成分
組成は上記の通りであり、残部はFeおよび不可避不純
物からなるものであるが、必要によって、Cr:2%以
下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まな
い)およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる
群から選ばれる1種以上の元素を含有させることも有効
であり、これによって鋼線材の特性を更に向上させるこ
とができる。またこれら以外にも、V,Ti,B,Ca
等を含有させることも有効である。これらの元素の範囲
限定理由は、下記の通りである。尚これらの成分以外に
も、本発明の鋼線材には、その特性を阻害しない程度の
微量成分を含み得るものであり、こうした鋼線材も本発
明の範囲に含まれるものである。
【0029】Cr:2%以下(0%を含まない)、M
o:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下
(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の
元素 Cr、MoおよびNiは、焼入れ性確保に有効である
が、過剰に含有させると冷間鍛造性や靱性を劣化させる
ので、上限をそれぞれ2%、1%、3%とする必要があ
る。尚これらの元素による上記効果は、上記範囲内では
その含有量を増加させるにつれておおきくなるが、上記
効果を発揮させる為には、Crで0.1%以上、Moで
0.05%以上、Niで0.1%以上含有させることが
好ましい。
【0030】V:0.5%以下(0%を含まない) Vは析出強化を目的として添加しても良いが、多量に添
加すると冷間鍛造性や靱性を劣化させるので、その上限
を0.5%とする。
【0031】Ti:0.1%以下(0%を含まない) Tiは固溶Nの固定による動的歪時効抑制効果によっ
て、冷間鍛造時の変形抵抗低減に有効な元素であるので
添加して良い。特にBを添加した場合は、冷鍛後の調質
時の焼入れ性を安定させるためにN添加が不可欠であ
り、Ti添加がN固定に効果を発揮する。但し、過剰に
含有させると、粗大なTiNが析出して機械的性質を損
なうので、上限を0.1%とする。
【0032】B:0.01%以下(0%を含まない) Bは少量でも焼入れ性を上昇させるのに有効な元素であ
るので、必要により添加しても良い。但し、過剰に含有
させると靱性を劣化させるので、上限を0.01%とす
る。
【0033】Ca:0.01%以下(0%を含まない) Caは、MnSの形態を球状化して、横方向の靱性を向
上させる効果があるので添加しても良いが、過剰に含有
させると大型介在物を生成して、機械的性質を損なうの
で、上限を0.01%とする。
【0034】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0035】
【実施例】実施例1 下記表1に示す化学成分組成の供試鋼を用い、これらを
下記表2に示す条件で8〜16mの線材に熱間圧延し
た。このときの圧延温度は、最も温度が低い最表層と、
最も温度が高い中心部(D/2の部分:Dは線材径)で
評価した。最表層温度は、実測データであり、中心部の
温度は加工発熱も考慮した温度解析シミュレーションに
よって推測した。そして最終圧延前に水冷帯を設け、そ
の水量や復熱時間を制御して、線材断面内の温度分布を
種々コントロールした。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】圧延材の組織および粒径を、表層、D/
4、D/2で評価した。そして表層は最表面より0.3
mm内部からD/8を超えない部分、D/4はD/8か
らD×(3/8)の部分、D2はD×(3/8)の部
分、の夫々の範囲で測定した。また全ての箇所で、62
500μm2 の被顕面積において、一般的な切片法で線
材の長手方向と横方向の両方の平均として測定した。こ
れらの結果を、表層側と中心側の平均結晶粒径の差(D
/2部分の平均結晶粒径―表層の平均結晶粒径)と共に
下記表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】上記各線材を用いて、下記の手順で球状化
熱処理を行なった。まず圧延材を180℃/hの加熱速
度で(Ac1 +20℃)まで昇温し、この温度で4時間
保持した。次いで680℃まで10℃/hで徐冷し、そ
の後放冷する方法で球状化処理を行ない、球状化の程度
を評価した。このときの球状化程度は、各々の試料の表
面とD×(1/4)の位置で球状化した炭化物の割合
と、硬さで評価した。具体的には、25μm四方の領域
を2000倍の走査型電子顕微鏡で観察し、個々の炭化
物のアスペクト比と個数を測定した。そしてアスペクト
比が3以下のものを球状化した炭化物と判断し、その全
数に占める割合を求め、10視野での平均を測定した。
また硬さは、荷重5kgでビッカース硬さを測定し、5
点の平均として求めた。
【0041】そして各鋼線材について、冷間鍛造性を切
欠き付きの据え込み試験によって評価した。このとき表
層スケールのみを除去した後、切欠きを付けたサンプル
と、D/4の部分の変形能を評価する為に、そのところ
まで表層部を切削除去した後で、切欠きを付けたサンプ
ルの両方で評価した。これらの結果を、下記表4に一括
して示す。
【0042】
【表4】
【0043】この結果から、次の様に考察できる。まず
No.2〜5,13〜15,21〜25のものは、本発
明で規定する要件を外れるものである。No.2とN
o.13は、表面圧延温度が下がり過ぎて、表層組織が
微細になり過ぎてしまい、球状化後の硬さも高くなって
いる。No.3、4および14のものは、圧延仕上げ時
の中心側温度が高く、中心の組織が粗くなり、中心部の
球状化に長時間を要する。またこのうち、No.4のも
のは、表層温度も高くなっており、表層組織も粗く球状
化時間が長くなっている。No.5のものは、表層と内
部の温度差が大きく、組織のバラツキも大きくなり、安
定した変形能が得られない。
【0044】またNo.13のものは、圧延仕上げ時の
表層側温度が低くなっており、表層側と中心側の平均結
晶粒径の差が5μmよりも大きくなっており、また中心
部の硬さが高くなっている。No.15と21のもの
は、素材の焼入れ性が良過ぎて、ベイナイトが生成し、
球状化後も硬さが高くなっている。
【0045】No.22のものは、Siが多過ぎてり、
球状化後も硬さが高い。No.23のものは、Alが多
いため酸化物のクラスターが生成し、変形能が低下して
いる。No.24のものは、Alを無添加のため、ま
た、No.25はN量が多いため、Nによる歪時効を抑
制できず、すえ込み限界が低くなっている。
【0046】これに対して、上記以外のNo.1,6〜
12,16〜20のものでは、迅速球状化が達成され、
球状化率と据え込み率の両方とも良好な値を示している
ことが分かる。
【0047】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋼
線材における冷間鍛造前の迅速球状化と、変形抵抗を向
上して優れた冷間鍛造性を併せて実現することができ
た。
フロントページの続き (72)発明者 森▲高▼ 満 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA05 AA06 AA07 AA08 AA11 AA12 AA16 AA19 AA21 AA23 AA24 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 BA02 CC03 CC04 CD01 CD02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.2〜1.2%(質量%の意味、
    以下同じ)を含む熱間圧延鋼線材または冷間伸線された
    鋼線材において、初析フェライトとパーライトまたはパ
    ーライトを主体とする組織を有すると共に、最表面から
    0.3mm深さまでの表層部を除く領域における平均結
    晶粒径が6〜15μmであり、且つ当該領域における表
    層側と中心側の平均結晶粒径の差が5μm以下であるこ
    とを特徴とする迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼
    線材。
  2. 【請求項2】 Si:0.3%以下(0%を含まな
    い)、Mn:0.2〜1.5%およびAl:0.01〜
    0.06%を夫々含有すると共に、P:0.02%以下
    (0%を含む)、S:0.02以下(0%を含む)およ
    びN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制したも
    のである請求項1に記載の鋼線材。
  3. 【請求項3】 Cr:2%以下(0%を含まない)、M
    o:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下
    (0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の
    元素を含むものである請求項1または2に記載の鋼線
    材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼線材
    を製造するに当たり、熱間仕上げ圧延時の圧延出側温度
    が、線材断面内の全ての領域において750〜900℃
    の温度範囲内に入る様にして操業することを特徴とする
    迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 線材断面内における最高温度と最低温度
    の差が80℃以下である請求項4に記載の製造方法。
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