JPH0543759B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は、水性顔料インキに関し、更に詳細に
は、書き味に優れなボールペン用水性インキに関
するものである。 （従来の技術） 従来より、ボールペン用水性インキとしては着
色剤として染料を使用したものが一般的であつた
が、耐水性に劣るといつた問題を有していた。こ
れに対し最近、顔料を着色剤として使用した水性
顔料インキ（特公昭55−35434、特開昭58−
80368、特開昭58−141256）が見られる様になり、
ボールペン用インキとしても水性顔料インキ使用
のものが見られる様になつてきている。 （発明が解決しようとする問題点） 然し乍ら、従来の水性顔料インキをボールペン
に使用した場合、ボールの回転が円滑にいかず、
筆跡が掠れたり、筆記時、紙面とペン先が引つか
かるなど、書き味を損う場合が多々あるといつた
問題を有している。 かかる問題の解決のため界面活性剤の使用が考
えられるが、効果を得るための必要量を添加する
と、顔料分散系を破壊したり、筆跡が滲むといつ
た新たな問題が発生する。又、高分子カルボン
酸、高級アルコールエステル、金属石ケン等の使
用も考えられるが、この場合も、顔料分散系の破
壊、筆跡の滲み等の問題が発生し、いずれも充分
な問題解決には至つていない。 （問題点を解決する為の手段） そこで、本発明者等は上記問題点を解決する目
的で、鋭意研究を重ねた結果、従来の水性顔料イ
ンキにベンゾトリアゾールを適宜添加し、インキ
のPHを７〜10に調整することにより、ボールペン
に使用した際、書き味に優れた水性顔料インキが
得られる事を見い出し、本発明を完成したもので
ある。 即ち、本発明は、顔料と、分散剤と、水溶性有
機溶剤と、水とより少なくともなる水性顔料イン
キに、ベンゾトリアゾールをインキ全量に対して
0.1〜5.0重量％含有すると共にインキのPHを７〜
10に調整したことを特徴とする水性顔料インキを
要旨とするものである。 （作用） 本発明の水性顔料インキが何故、ボールペン使
用における書き味に優れているのかは定かではな
いが、以下の如く推察される。 ベンゾトリアゾールの水素原子は活性で、金属
と特に銅との造塩は公知である。ボールペンのチ
ツプは精密加工が要求されるため快削合金が用い
られる。快削合金としてはフエライト系又はマル
テンサイト系ステンレス、洋白、真鍮などがあ
り、ボール材質としてはタングステンカーバイト
（超硬合金）が主流である為、これらの合金中の
銅成分とベンゾトリアゾールが反応（鉄、コバル
ト成分とも僅かに反応）し、分子中の疎水基が外
側に向く為にボールとチツプ間に潤滑作用をもた
らすものと思われる。又、インキのPHを７〜10に
調整したことにより、強アルカリ域におけるベン
ゾトリアゾールのイオン化を防ぎ、ベンゾトリア
ゾールの効果を充分に発揮させると同時に、酸性
域における顔料分散系の破壊による凝集、及び樹
脂等の分散剤の析出を防止する為に結果的にボー
ルペンに使用した際の書き味が良好となるものと
推察される。 （発明の効果） 次に本発明の水性顔料インキの各成分について
説明する。 顔料は着色剤として使用するもので、従来公知
の有機及び無機顔料が全て使用可能であるが、そ
の具体例を挙げると、アゾ系顔料、縮合ポリアゾ
系顔料、フタロシアニン系顔料、ジオキサジン系
顔料、ペリノン・ペリレン系顔料、キナクリドン
系顔料、カーボンブラツク系顔料等が使用でき、
その使用量はインキ全量に対して１〜20重量％、
好ましくは３〜10重量％である。 分散剤としては通常使用される分散剤が使用可
能であり、その具体例を挙げると、アクリル酸、
メタアクリル酸系樹脂エマルジヨン、酢酸ビニル
系樹脂エマルジヨン、天然樹脂系分散剤、ノニオ
ン又はアニオン界面活性剤などある。 溶剤としては、水の他に、染料タイプの水性イ
ンキに用いられている水溶性有機溶剤が使用可能
であり、その具体例を挙げると、グリコール系溶
剤、グリコールエーテル系溶剤、グリコールエー
テルエステル系溶剤、グリセリン、ピロリドンな
どがある。 ベンゾトリアゾールはインキに潤滑性を付与す
る目的で使用するもので、その使用量はインキ全
量に対して0.1〜5.0重量％である。0.1より少ない
と効果がなく、5.0より多いと顔料の凝集等が発
生し易くなる。 インキのPHは７〜10に調整する必要がある。PH
が10より大きいと、ベンゾトリアゾールがアニオ
ン化し、その効果を発揮し難くなり、PHが７より
小さいと顔料分散系が破壊され、顔料の凝集や、
樹脂等の分散剤の析出等が発生し易くなる。尚、
PH調整用アルカリとしては、アンモニアや、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩や、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン等の水溶性アルカノールアミン等が
好適なものである。 他の上記成分以外に防腐剤、表面張力調整の為
の界面活性剤等の添加剤や、補色用の染料等が適
宜使用可能である。 又、筆記具用インキとしては表面張力25〜
45dyn／cmに調整することが好ましい。 次に本発明の水性顔料インキの製造方法である
が、上記各成分を混合し、通常の分散機、例え
ば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、スー
パーミル、ダイノミル、アトライター等で混合摩
砕、分散することにより得られる。 （実施例） 以下、本発明を実施例に従いより詳細に説明す
るが、実施例中「部」とあるのは「重量部」を示
す。 実施例 １ カーボンブツク 10.0部 エチレングリコール 20.0部 セラツクGSN（セラツク、岐阜セラツク製造所
製） 3.0部 苛性ソーダ 0.2部 尿素 10.0部 ベンゾトリアゾール 1.0部 水 55.8部 上記各成分中、水に苛性ソーダを溶解し、次い
でセラツクGSNを溶解し、この液にエチレング
リコール、尿素、ベンゾトリアゾール、カーボン
ブラツクを順次投入し、撹拌プレミツクスする。
１時間後、ボールミルにて20時間摩砕した後、濾
過などして粗大粒子を除去する事によりPH９の黒
色インキを得た。 比較例 １−１ 実施例１に於いてベンゾトリアゾールを除き、
その量だけ水を加えた以外は実施例１と同様にし
てPH９の黒色インキを得た。 比較例 １−２ 実施例１に於いて苛性ソーダの量を0.05部に減
量し、その分水を加えた以外は実施例１と同様に
してPH６の黒色インキを得た。 比較例 １−３ 実施例１に於いて、苛性ソーダの量を1.0部に
増量し、その分水を減らした以外は実施例１と同
様にしてPH11の黒色インキを得た。 実施例 ２ 銅フタロシアニンブルー 8.0部 エチレングリコール 10.0部 プロピレングリコール 5.0部 ジユリマーET−410（アクリル系樹脂エマルジヨ
ン、日本純薬(株)製） 20.0部 モノエタノールアミン 0.5部 ベンゾトリアゾール 2.0部 エマルゲンＡ−60（ノニオン界面活性剤、花王石
鹸(株)製） 0.1部 水 54.4部 上記各成分を実施例１と同様にしてPH8.8の青
色インキを得た。 比較例 ２ 実施例２に於いてベンゾトリアゾールを除き、
その量だけ水を加えた以外は実施例２と同様にし
てPH8.8の青色インキを得た。 実施例 ３ プリリアントフアーストスカーレツト 10.0部 エチレングリコール 10.0部 ジエチレングリコール 10.0部 セラツクGBN（セラツク、岐阜セラツク製造所
製） 2.0部 ET−530（アクリル系樹脂エマルジヨン、日本純
薬(株)製） 10.0部 トリエタノールアミン 1.0部 デモールＮ（アニオン界面活性剤、花王石鹸(株)製）
0.2部 プロクセルGXL（防腐剤、ICI社製） 0.4部 ベンゾトリアゾール 0.5部 水 50.9部 上記各成分を実施例１と同様にしてPH9.4の赤
色インキを得た。 比較例 ３ 実施例３に於いてベンゾトリアゾールを除きそ
の量だけ水を加えた以外は実施例３と同様にして
PH9.4の赤色インキを得た。 （効果） 実施例、比較例で得られたインキを金属チツプ
ボールペンに充填し、ボール沈み試験、書き味試
験をインキ作成直後と、50℃、２ケ月経時後とに
行なつた結果を表−１に示す。

【表】

【表】 以上の如く、本発明の水性顔料インキは経時分
散安定性に優れ、ボールペンに使用した際の潤滑
性、耐摩耗性などが良好な、優れた書き味を付与
する、ボールペンに最適なものである。尚、ボー
ルペン以外にも他の筆記具や、インキジエツトプ
リンター用としても良好なものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 顔料と、分散剤と、水溶性有機溶剤と、水と
   より少なくともなる水性顔料インキに、ベンゾト
   リアゾールをインキ全量に対して0.1〜5.0重量％
   含有すると共にインキのPHを７〜10に調整したこ
   とを特徴とする水性顔料インキ。