JPH0543682Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は気密コンパクト容器に関するもので、
より具体的には化粧料を収納する凹部を備えた容
器本体と中皿と蓋体とをそれぞれの後部で開閉自
在に結合し、前記凹部の周囲またはこれに対向す
る中皿の下面に弾性シール材を配設し、蓋体が閉
じた時に前記弾性シール材が一部圧縮変形されて
前記凹部内の化粧料が密封される気密コンパクト
容器に関するものである。

《従来の技術》 従来、揮発性を有する化粧料はボトルやチユー
ブ容器に収納されていたが、持ち歩くのに不便で
あつたり、容器に鏡や化粧具が付属していないな
ど携帯性に欠ける点があつた。そこで専ら固形や
粘度の高い化粧料を収納する容器本体と化粧具を
収納する中皿および蓋体より成るコンパクト容器
を改良して容器本体と中皿の間にシール材として
ゴム等の弾性材を用いて蓋体の閉止時に揮発性を
有する化粧料を気密に保持することを可能とした
コンパクト容器が提供されている。

《考案が解決しようとする課題》 しかし、上記のような構成のコンパクト容器で
は気密度を高めるために弾性材とこれに接する部
材とをかなりの力で圧着するようになつており、
化粧料は気密に保持されるが以下のような問題が
発生する。

弾性部材がこれと接する部材と密着したり、中
皿を容器本体より開放する際には弾性材が吸盤の
ような作用をして容器内とくに化粧料の収納部内
の気圧が下がることがあり中皿と容器本体が離れ
にくくなり、使用時の操作性に欠ける。

一方、前記のような問題を解消するために弾性
材の硬度を高くすると中皿は容器本体より離れや
すくなるが逆に密着度が悪くなり、気密性に問題
が出てくる。

本考案は上記のような問題点に鑑みてなされ、
蓋体の閉止の解除とともに容器本体とその上に配
設された中皿との弾性材による密着を剥離するこ
とができるような構成とし、使用時の開放操作性
に優れたコンパクト容器を提供するにある。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために本考案では化粧料を
収納する凹部を備えた容器本体と中皿と蓋体とを
それぞれの後部で開閉自在に結合し、前記凹部の
周囲またはこれに対応する中皿の下面に弾性シー
ル材を配置し、蓋体が閉じた時に前記弾性シール
材が一部圧縮変形されて前記凹部内の化粧料が密
封されるようにしてなる気密コンパクト容器にお
いて、容器本体の前端部に切欠凹所を設け、この
凹所に対応して蓋体から爪片を設け、蓋体が閉じ
ると前記爪片が前記切欠凹所に入り閉止位置を占
めるような構成とするとともに、前記切欠凹所に
プツシユピースを前後方向に移動可能に配設し、
該中皿より前記切欠凹所に対応して垂下部を設け
て、この垂下部の前面と前記プツシユピースの前
壁後面の少なくとも一方を傾斜面として形成する
かあるいは前記プツシユピースに回動自在な作動
片を設けて、蓋体の閉止位置より前記プツシユピ
ースを後方に押圧すると前記傾斜面によつてまた
は前記作動片が上方に回動して中皿が上昇される
ようにしてなるのである。

《実施例》 以下に本考案の好適実施例について添附図面を
参照にして説明する。

第１図〜第５図は本考案の第１実施例を示し、
図中１は容器本体であり、この容器本体１の上面
には凹陥部２が設けられていて、ここには化粧料
収納のための凹部３が設けられた金皿４が嵌着さ
れている。また容器本体１の上には中皿５が配設
され、中皿５の上面にはスポンジ等の化粧具を収
納できる収納部６が形成され、下面には鏡が接着
されるとともに凹部３の周囲に対応する弾性シー
ル材７が固定されている。この中皿５の上にはさ
らに断面略逆「凹」字状の蓋体８が配設され、こ
れらの容器本体１と中皿５および蓋体８はそれぞ
れの後端部でピン９を介して開閉自在に枢着され
ている。

そして、容器本体１の前端縁の中央部は底面を
残して切欠凹所１０が設けられるとともに、この
切欠凹所１０にはプツシユピース１１が配設され
ている。このプツシユピース１１は、断面略
「凹」字状に形成され、前壁１２と底板１３およ
び前壁１２と対向する後壁１４より成り、後壁１
４の前面の上部には第１の係合突片１５が形成さ
れている。またプツシユピース１１の後壁１４の
両側面には前方に膨出して弯曲形成された弾性片
１６−１６が一体的に設けられていて、この弾性
片１６−１６の後端は前記切欠凹所１０の内奥部
すなわち収納皿４の外周壁前面に当接され、さら
にプツシユピース１１は底板１３の下面には係止
片１７が形成されていて、これが切欠凹所１０の
底面に設けられた溝孔１８の前後方向に摺動可能
に嵌合され、これによつてプツシユピース１１は
切欠凹所１０の前後方向に弾性的に移動自在とな
り、また係止片１７が溝孔１８の前端に係止され
ることにより、プツシユピース１１は切欠凹所１
０より離脱しないようになつている。

また、切欠凹所１０に対応して蓋体８の前方内
側部からは爪片１９が垂設されその後面の下部に
は第２の係合突片２０が一体的に形成され、爪片
１９の前面は後方に向かつて降下する斜面となつ
ている。

さらに、切欠凹所１０に対応して中皿５の前端
縁部の下面からは垂下部２１が垂設されていて、
この垂下部２１の前面にも後方に降下する傾斜面
２２が形成されている。また、中皿５の前端部に
は容器本体１の切欠凹所１０に対応するとともに
蓋体８に設けられた爪片９が通過できる程度の切
欠開口部２３が形成され、これによつて垂下部２
１は二又状になつており、この二又の間隔は爪片
１９の横幅よりもやや広くなつている。

そして、蓋体８を閉じると第２図および第３図
に示すように蓋体８に設けられた爪片１９と中皿
５に設けられた垂下部２１が容器本体１の切欠凹
所１０に入り、爪片１９は切欠開口部２３を通
り、切欠凹所１０内において爪片１９に形成され
た第２の係合突片２０とプツシユピース１１に形
成された第１の係合突片１５が係合して閉止位置
を占めるようになつている。この時、中皿５の下
面に固定された弾性シール材７は容器本体１の凹
部３の周囲に圧接され、凹部３内は弾性シール材
７によつて密閉されている。

使用に際して前記のような蓋体８の閉止状態よ
りプツシユピース１１の前壁１２を後方に押圧す
ると、プツシユピース１１は後方に移動して爪片
１９に形成された第２の係合突片２０より第１の
係合突片１５が離脱して蓋体８の閉止が解除され
る（第４図）。それとともに、プツシユピース１
１の前壁１２の後面上端は爪片１９の前面に当接
され、この爪片１９の前面が後方に降下して傾斜
していることにより、プツシユピース１１を後方
に押圧すると蓋体８が上昇する。また、垂下部２
１の傾斜面２２を介してプツシユピース１１の前
壁１２の上端が中皿５を押し上げることにより、
凹部３の周囲に圧接された弾性シール材７は中皿
５とともに剥離され、容器本体１より中皿５が開
放される（第５図）。

第６図および第７図は本考案の第２実施例に係
る気密コンパクト容器を示している。この実施例
による気密コンパクト容器は前記第１実施例とほ
ぼ同様の構成であつてプツシユピース１１ａは略
「凹」字状に形成され、後壁１４ａ前面には第１
の係合突片１５ａが形成され、前壁１２ａの後面
にはヒンジ部２４ａを介して後方かつ上方へ延出
する作動片２５が結合されており、第１実施例と
同様に切欠凹所１０ａに前後方向に移動可能に配
設されている。また、蓋体８ａからは第１実施例
と同じように切欠凹所１０ａに対応して爪片１９
ａが垂下されており、蓋体８ａを閉じると、第６
図に示すように、爪片１９ａは中皿５ａの前端縁
部を穿設して形成された開口部２６を通つて切欠
凹所１０ａに入り、爪片１９ａに形成された第２
の係合突片２０ａがプツシユピース１１ａの後壁
１４ａの前面に形成された第１の係合突片１５ａ
と係合して閉止位置を占めるようになる。そし
て、プツシユピース１１ａの作動片２５の上端面
は中皿５の前端下面に当接または近接し、先端は
爪片１９ａの前面に当接しており、プツシユピー
ス１１ａを後方に押圧すると、第７図に示すよう
にプツシユピース１１ａの作動片２５がヒンジ部
２４を支点として上方かつ前方へ回動し、作動片
２５の先端は爪片１９ａの前面に沿つて上昇し、
その先端が中皿５ａを押し上げ凹部３ａの周囲に
圧接されていた弾性シール材７ａは中皿５ａとと
もに剥離され、容器本体１ａより中皿５ａが開放
される。これとともに爪片１９ａに設けられた第
２の係合突片２０ａよりプツシユピース１１ａの
第１の係合突片が離脱して係合が解除され、蓋体
８ａは中皿５ａとともに上昇させられるようにな
る。

《効果》 以上のように本考案にコンパクト容器によれ
ば、容器本体と中皿と蓋体を開閉自在に結合しプ
ツシユピースを容器本体の前端に前後方向に移動
可能に設けて、プツシユピースが後方へ移動する
と蓋体の閉止が解除されるとともにプツシユピー
スの前壁が、容器本体の上に配設された中皿より
垂下されている爪片を上昇させるか、またはプツ
シユピースの前壁に結合された作動片が上方に回
動して中皿を押し上げるような構成となつている
ため、容器本体に設けられた凹部を気密に保持す
る目的で容器本体と中皿の間に用いられている弾
性シール材が容器本体あるいは中皿に強く圧接さ
れていても、プツシユピースを押すことによつて
圧接された弾性シール材を剥離する方向の力が中
皿に作用するので蓋体の閉止の解除とともに比較
的簡単に中皿を容器本体より開放することが可能
となり、開放操作性に優れたコンパクト容器とす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の第１実施例によるコ
ンパクト容器を示し、第１図は容器本体より中
皿，蓋体およびプツシユピースを分離した状態を
示す断面斜視図、第２図は蓋体を閉じた状態を示
す断面図、第３図は蓋体を閉じた状態を示す要部
拡大断面図、第４図は蓋体の閉止を解除した状態
を示す要部拡大断面図、第５図は中皿を容器本体
より開放した状態を示す要部拡大断面図、第６図
および第７図は第２実施例によるコンパクト容器
を示し、第６図は蓋体を閉じた状態を示す要部拡
大断面図、第７図は蓋体とともに中皿を開放した
状態を示す要部拡大断面図である。 １……容器本体、３……凹部、５……中皿、７
……弾性シール材、８……蓋体、１０……切欠凹
所、１１……プツシユピース、１２……前壁、１
９……爪片、２１……垂下部、２２……傾斜面、
２５……作動片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 化粧料を収納する凹部を備えた容器本体と中
   皿と蓋体とをそれぞれの後部で開閉自在に結合
   し、該凹部の周囲またはこれに対向する中皿の
   下面に弾性シール材を配設し、該蓋体が閉じた
   時に該弾性シール材が一部圧縮変形されて該凹
   部の化粧料が密封されるようなコンパクト容器
   において、該容器本体の前端部に切欠凹所を設
   け、この凹所に対応して該蓋体および該中皿よ
   りそれぞれ爪片と垂下部を設け、該蓋体が閉じ
   ると該爪片と該垂下部が該切欠凹所に入つて閉
   止位置を占めるような構成とするとともに、該
   切欠凹所には前後方向に移動可能にプツシユピ
   ースを配設し、該プツシユピースの前壁後面と
   該垂下部の前面の少なくとも一方を傾斜面に形
   成し、該閉止位置より該プツシユピースを後方
   に押圧すると該蓋体の閉止が解除されるととも
   に該中皿が該傾斜面を介して該プツシユピース
   の前壁によつて上昇させられるようにしてなる
   ことを特徴とするコンパクト容器。 (2) 化粧料を収納する凹部を備えた容器本体と中
   皿と蓋体とをそれぞれの後部で開閉自在に結合
   し、該凹部の周囲またはこれに対向する中皿の
   下面に弾性シール材を配設し、該蓋体が閉じた
   時に該弾性シール材が一部圧縮変形されて該凹
   部内の化粧料が密封されるような気密コンパク
   ト容器において、該容器本体の前端部に切欠凹
   所を設け、この凹所に対応して該蓋体から爪片
   を垂設し、該蓋体を閉じると該爪片が該切欠凹
   所に入つて閉止位置を占めるような構成とする
   とともに、該切欠凹所に前後方向に移動可能に
   プツシユピースを配設し、該プツシユピースに
   はヒンジ部を介して作動片を回動自在に結合し
   該蓋体の閉止時には該作動片の先端を該中皿の
   下面に当接または近接させて、該閉止位置より
   該プツシユピースを後方に押圧すると該作動片
   が回動してその先端が該中皿を上昇させるとと
   もに該蓋体の閉止が解除されるようにしてなる
   ことを特徴とするコンパクト容器。