JPH0543015B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、デツキプレートに固定して使用され
るデツキプレート用インサートに関するものであ
る。

〔従来の技術〕

デツキプレートは、コンクリートを打設する際
には型枠として機能し、取外すことなくそのまま
工場などの天井面に取付けて使用されるものであ
る。

このデツキプレートから成る天井面に諸器具を
吊り下げるために、コンクリート内にデツキプレ
ート用インサート（以下、単に「インサート」と
いう）を埋設しようとする場合、木製の型枠のよ
うにデツキプレート自体にインサートを釘付けし
て固定することができないので、デツキプレート
に対するインサートの固定が難しい。

このようなデツキプレートに固定して使用され
る従来のインサートとして、第９図ないし第１１
図に示されるようなものが知られている。

このインサートは、上端部が閉塞された円筒体
の内周面に雌ねじ２１ａが形成されたインサート
本体２１と、このインサート本体２１のほぼ下半
部に外嵌される樹脂製のキヤツプ２２と、インサ
ート本体２１の外側に摺動可能に嵌め込まれるワ
ツシヤー２３と、このワツシヤー２３とインサー
上本体２１の頭部２１ｂとの間に弾装される圧縮
スプリング２４とで構成されている。

第１０図に示されるように、キヤツプ２２の上
端部は、円周方向に沿つて複数片に分割されて弾
性変形可能な舌片２２ａとなつている。

デツキプレート２５に形成された下孔２６にイ
ンサート全体を押し込むと、キヤツプ２２の上端
部が、舌片２２ａの弾性変形によつて縮径して、
キヤツプ２２が下孔２６を完全に通過すると、キ
ヤツプ２２の舌片２２ａが原形状に復元し、圧縮
スプリング２４の弾性復元力によつて、キヤツプ
２２の上端面と、ワツシヤー２３との間にデツキ
プレート２５が挟まれて、このデツキプレート２
５にインサートが固定される。

このように、従来のインサートは、多数の部品
で構成されているため、構造が複雑で、しかもコ
ストが嵩むと共に、圧縮スプリングの弾性復元力
によつて、デツキプレートを上下から挟み込んで
固定する構造であるため、インサートに外力が加
わると、外れ易いという問題があつた。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は、インサートの構造を簡単にして、デ
ツキプレートにインサートを容易に、しかも確実
に固定できるようにすることを課題としてなされ
たものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係るインサートは、本体部の下端部に
テーパー円筒部が一体成形され、該テーパー円筒
部は、下方に向かつて外径が漸次小さくなつてい
て、その外周面に雄ねじが形成されていることを
特徴としている。

〔発明の作用〕

本発明に係るインサートをデツキプレートに固
定するには、本体部の下端部に一体成形されてい
るテーパー円筒部の最小径部分に対応する大きさ
の下孔をデツキプレートにあける。

この下孔にねじ立てをすることなく、本体部の
下端部に一体成形されたテーパー円筒部の先端部
を上記下孔に押し込んだ状態で、インサートを回
転させると、このテーパー円筒部の外周面に形成
されている雄ねじ自身がねじ立てをしながら、下
孔にねじ込まれる。

このように、デツキプレートにあけられた下孔
にねじ立てをすることなく、本体部の下端部に一
体成形されていて、外周面に雄ねじが形成されて
いるテーパー円筒部の先端部を上記下孔に押し込
んだ状態で、インサートを回転させるのみで、デ
ツキプレートにインサートを固定できるので、デ
ツキプレートに対するインサートの固定作業を迅
速に行うことができると共に、テーパー円筒部の
外周面に形成した雄ねじが下孔の内周部にねじ込
まれることにより、デツキプレートにインサート
が固定されるので、固定強度が大きくなる。

〔実施例〕

第１図ないし第６図に、本発明の実施例が示さ
れている。

第１図及び第２図に示されるように、インサー
トＡは、一体構造であつて、上端部が閉塞された
円筒状の本体部１と、該本体部１の上端部に一体
成形された鍔部２と、該本体部１の下端部に一体
成形されたテーパー円筒部３と３つの部分で構成
されている。

テーパー円筒部３は、下方に向かつてその外径
が漸次小さくなるようなテーパーになつていて、
その外周面に雄ねじ４が形成されている。このテ
ーパー円筒部３の上端部の最大外径は、本体部１
の外径より小さくなつているために、本体部１と
テーパー円筒部３との接続には、段差部が設けら
れて、この段差部に、デツキプレートＰに当接す
る当接端面５が形成されている。

円筒状の本体部１と、外周面に雄ねじ４が形成
されているテーパー円筒部３とは、同心になつて
いる。本体部１の中空部の内周面には雌ねじ６が
形成されており、この雌ねじ６は、テーパー円筒
部３の中空部３ａに接続して設けられている。

また、本体部１の上端部には、インサートＡを
回転させるための六角孔７が設けられている。

このような構成のインサートＡをデツキプレー
トＰに固定するためには、第３図に示されるよう
に、デツキプレートＰに下孔８をあける。この下
孔８の内径は、テーパー円筒部３の先端部の最小
径部分が僅かに入り込むことのできる程度の大き
さにする必要である。

次に、第４図に示されるように、本体部１の下
端部に一体成形されたテーパー円筒部３の先端部
を、デツキプレートＰにあけられた上記下孔８に
押し込む。

そして、第５図に示されるように、本体部１の
上端部に設けられている六角孔７に六角軸状の回
転工具９を挿入し、インサートＡの全体をデツキ
プレートＰに強く押し付けながら、回転工具９に
よつてこれを回転させると、テーパー円筒部３の
外周面形成されている雄ねじ４自身がねじ立てを
しながら、下孔８にねじ込まれる。本体部１の下
端面となつている当接端面５がデツキプレートＰ
に当接するまで、インサートＡを回転させて、テ
ーパー円筒部３の外周面に雄ねじ４を下孔８にね
じ込むと、第６図に示されるように、デツキプレ
ートＰにインサートＡが固定される。

第６図に示されるように、吊棒１１の上端部を
デツキプレートＰの下面に突出しているテーパー
円筒部３の中空部３ａに挿入して、吊棒１１の雄
ねじ１１ａと、本体部１の中空部の内周面に形成
されている雌ねじ６とを螺合させ、これにより吊
棒１１を介して天井面に諸器具を吊り下げる。

また、第７図に示されるように、テーパー円筒
部３の外周面に形成される雄ねじ４の部分に、該
テーパー円筒部３の軸方向に沿つて溝部１２を設
けておくと、この雄ねじ４のねじ山がつまるまき
線方向に沿つて分断されるため、デツキプレート
Ｐの下孔８に雄ねじ４をねじ込み易くなる。

なお、上記実施例では、インサートＡの本体部
１の上端部に六角７を設け、この六角７に六角軸
状の回転工具９を挿入して、インサートＡを回転
させるのであるが、例えば第８図に示されるよう
に、本体部１の上端部に設けられる鍔部を多角形
状にし、この多角形状の鍔部に回転工具を嵌め込
んで、インサートＡを回転させるようにすること
も可能であり、テーパー円筒部の外周面の雄ねじ
をデツキプレートの下孔にねじ込むために、イン
サートを回転させるための手段は、種々考えられ
る。

〔発明の効果〕

本発明によれば、デツキプレートにあけられた
下孔にねじ立てをすることなく、本体部の下端部
に一体成形されて、外周面に雄ねじが形成されて
いるテーパー円筒部の先端部を下孔に押し込んだ
状態で、一体構造のインサートを回転させるのみ
で、デツキプレートにインサートを固定できるの
で、デツキプレートに対するインサートの固定作
業を迅速に行うことができると共に、テーパー円
筒部の外周面の雄ねじがデツキプレートにあけら
れた下孔の内周部にねじ込まれて、デツキプレー
トにインサートが固定されるので、インサートの
固定強度が大きくなる。

このように、本発明によれば、本発明部の下端
部にテーパー円筒部を一体成形して、このテーパ
ー円筒部の外周面に雄ねじを形成した一体構造の
インサートによつて、従来から厄介視されていた
デツキプレートに対するインサートの固定を容易
に、しかも大きな固定強度をもつて確実に行うこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図は、本発明を説明するため
の図であつて、第１図は、本発明に係わるインサ
ートＡの破断斜視図、第２図は、同じく正面断面
図、第３図は、デツキプレートＰに下孔８をあけ
た状態の断面図、第４図は、デツキプレートＰに
あけられた下孔８に、テーパー円筒部３の先端部
を押し込んだ状態の正面図、第５図イ，ロは、そ
れぞれ本体部１の六角孔７に回転工具９を挿入し
て、インサートＡを回転させることにより、その
雄ねじ４をデツキプレートＰの下孔８にねじ込ん
でいる状態の平面図及び正面図、第６図は、デツ
キプレートＰに固定されたインサートＡに吊棒１
１を吊り下げた状態の正面断面図、第７図は、テ
ーパー円筒部３の外周面に形成された雄ねじ４の
部分に溝部１２が設けられたインサートＡの正面
図、第８図は、鍔部２が六角状となつているイン
サートＡの斜視図である。第９図ないし第１１図
は、従来の技術を説明するための図であつて、第
９図は、従来のインサートの断面図、第１０図
は、従来のインサートを構成しているキヤツプ２
２の一部を破断した斜視図、第１１図は、インサ
ートをデツキプレート２５に取付けた状態の断面
図である。本発明を構成している主要部分の符号
の説明は以下の通りである。 Ａ：インサート、Ｐ：デツキプレート、１：本
体部、３：テーパー円筒部、４：雄ねじ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 本体部の下端部にテーパー円筒部が一体成形
   され、該テーパー円筒部は、下方に向かつて外径
   が漸次小さくなつていて、その外周面に雄ねじが
   形成されていることを特徴とするデツキプレート
   用インサート。