JPH05428Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車などの車両用シート、特に前
端が回動自在に支持されたヒンジを支点に後端が
前側へ回動自在なシートクツシヨンを備えた車両
用シートに関する。

［従来の技術］ 第５図は、従来に係る車両用シートの一例を示
すものである。

この車両用シート１はリヤシートを示してお
り、大きくはシートクツシヨン２とシートバツク
３とで構成されている。

そしてシートクツシヨン２は、ヒンジ４を介し
て車体、すなわちリヤフロア５に前端が回動自在
に支持され、後端は解除可能な係止装置６で支持
されている。この係止装置６は、通常ロツクされ
てシートクツシヨン２の後端をリヤフロア５上に
拘束している。また、この係止装置６は、シート
クツシヨン２とシートバツク３との間に一端が導
出された細長いベルト７を矢印Ａ方向に引くとロ
ツクが解除される。そして、このロツク解除でシ
ートクツシヨン２の回動が一点鎖線で示すよう
に、ヒンジ４を支点に後端側が矢印Ｂ方向、すな
わち前端側へ得られるようになつている。またシ
ートクツシヨン２を再び実線で示す位置へ回動さ
せて戻すとロツクされて拘束状態に復帰する。

一方、シートバツク３は、リヤフロア５に固定
されたヒンジ８を介して下端が回動自在に支持さ
れており、上端側は側部に係合される解除可能な
係止装置（不図示）で支持されている。そしてシ
ートバツク３は、この係止装置のロツクを解除す
ると、矢印Ｃ方向への回動が得られて転倒可能に
なる。またシートクツシヨン２を前側に回動させ
た状態で、シートバツク３を前側、すなわち矢印
Ｃ方向へ転倒させると、シートバツク３の背面３
ａがトランクルームの床面５ａと面一になり、ト
ランクルームと車室内空間とがつながつた状態が
得られる。

［考案が解決しようとする課題］ 上述した車両用シート１における係止装置６
は、ロツク構造が複雑であるとともに部品点数が
多く、コスト高になつている問題があつた。

また係止装置６の形状が大きく、配置スペース
を得るのにシートクツシヨン２の下側を大きく切
り欠く必要があるので、クツシヨン性を悪くして
いる問題があつた。

さらにロツク時に金属部材同志がぶつかりあつ
て不快音を発生し、また車両走行時に係合ロツク
部間にガタ音が発生する問題があつた。

また、さらにベルト７の他端がシートクツシヨ
ン２の下側に設けた係止装置６に、シートクツシ
ヨン２の側面に沿つて回り込んた状態で連結され
ているので、ロツク解除時にベルト７を強く引か
ないと解除できず、操作性が悪い問題があつた。

また逆にロツクが不完全であつたりすると、急
停車が行われてシートクツシヨン２が浮き上がろ
うとする力が働いた時に、このシートクツシヨン
２が回動してしまうような問題があつた。

本考案は、上記問題点に鑑みてなされたもので
あつて、その目的とするところは簡単な構造で操
作性が良く、また確実でさらにクツシヨン性を低
下させず、かつ操作時や走行時に不快音などを発
生することのない構造にした係止手段を備えた車
両用シートを提供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案は前端がヒン
ジを介してフロアに回動自在に支持されていると
ともに後端が解除可能な係止手段で支持され、前
記係止手段を解除すると前記ヒンジを支点に後端
が前側へ回動可能なシートクツシヨンを備えると
ともに、前記シートクツシヨンが発泡樹脂成形さ
れるパツド材内にフレームをインサートしてなる
車両用シートであつて、前記係止手段が、前記フ
レームから屈曲されて前記シートクツシヨンの下
面と略平行に横たわる水平部を前記シートクツシ
ヨンの下面から下方へ向かつて設けたセツトワイ
ヤーと、前記水平部の外周に取り付けた緩衝部材
と、前記フロア上に前記水平部と対応配置されて
上方に向いて開く開口部を形成した一対の弾性支
持片を有するベース部材と、前記一対の弾性支持
片内に収納され上方に向いて略Ｖ字形に開いた開
口部を有するとともに前記緩衝部材を介して圧入
される前記セツトワイヤーの前記水平部を脱着自
在に把持するセツトスプリングとを備えた構成と
したものである。

［作用］ 上記構成によれば、被係合側となるセツトワイ
ヤーはシートクツシヨンを形成するパツド材の成
形時に一体に作られ、またフロア側に設けられる
係合側の部材もベース部材とセツトスプリングと
で構成することができるので、係止手段を極めて
少ない部品点数で作ることができ、構造の簡略化
が図れる。

またセツトワイヤーは、フレームの一部で作ら
れるので、特にシートクツシヨンの下側に被係合
部材を別途設ける必要がなくなる。これにより小
形化された係止手段が得られるとともに、クツシ
ヨン性に影響するパツド材の切り込みを小さくす
ることができる。

さらにセツトスプリングに圧入係合される水平
部の外周に緩衝部材を取り付けているので、係合
ロツク時の不快音の発生が防げるとともに、走行
時におけるガタも防止できる。

また、さらに係合ロツクの解除は、シートクツ
シヨンの後端を持ち上げれば簡単に解除でき、ベ
ルトなどで解除機構を操作する必要もない。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面を用いて詳細に説
明する。

第１図は本考案の一実施例に係る車両用シート
の概略構成を示すものである。

この車両用シート１０はリヤシートを示してお
り、大きくはシートクツシヨン１１とシートバツ
ク１２とで構成されている。

そしてシートクツシヨン１１は、ヒンジ１３を
介して車体、すなわちリヤフロア１４に前端が回
動自在に支持され、後端は解除可能な係止手段１
５で支持されている。この係止手段１５は、詳細
には後述するが、通常はロツクされており、シー
トクツシヨン１１の後端をリヤフロア１４上に拘
束している。また、この係止手段１５は、シート
クツシヨン１１とシートバツク１２との間に一端
が導出され、他端がシートクツシヨン１１の後面
で表皮材１６に縫製固定されている細長いベルト
１７を矢印Ｄ方向、すなわち斜め上方へ引いてシ
ートクツシヨン１１の後端を持ち上げるとロツク
が解除される。そして、このロツク解除でシート
クツシヨン１１は一点鎖線で示すようにヒンジ１
３を支点にして、後端側が矢印Ｅ方向、すなわち
前端側へ回動できるようになつている。また後端
側を再び実線で示す位置へ戻すとロツクされて拘
束状態が得られる。

一方、シートバツク１２は、リヤフロア１４に
固定されたヒンジ１８を介して下端が回動自在に
支持されており、上端側は側部に係合される解除
可能な係止装置（不図示）で支持されている。そ
してシートバツク１２は、この係止装置のロツク
を解除すると、矢印Ｆ方向への回動が得られて転
倒可能になる。またシートクツシヨン１１を前側
に回動させた状態で、シートバツク１２を前側、
すなわち矢印Ｆ方向へ転倒させると、シートバツ
ク１２の背面１２ａがトランクルームの床面１４
ａと面一になり、トランクルームと車室内空間と
がつながつた状態が得られる。

さらに詳述すると、シートクツシヨン１１は、
成形型（不図示）内に表皮材１６と金属製フレー
ム１９とを配設した後、ウレタンフオームなどの
発泡樹脂材を充填してパツド材２０を成形してい
る。そして、この成形で表皮材１６、フレーム１
９、パツド材２０とが一体化された構造として作
られる。これによりフレーム１９がパツド材２０
内にインサートされた状態になつている。

そしてフレーム１９は第２図に詳細に示すよう
に、シートクツシヨン１１の平面的な基本形状を
画成する金属製のパイプ部材２１と、このパイプ
部材２１の左右両側部２１ａ，２１ｂとの間に略
等間隔で配置されて両端がパイプ部材２１の前後
両側部２１ｃ，２１ｄにそれぞれ溶接固定されて
いる金属製の一対のワイヤー２２，２３と、前後
両側部２１ｃ，２１ｄとの間に略等間隔で配置さ
れて両端が左右両側部２１ａ，２１ｂにそれぞれ
溶接固定されている金属製の一対のワイヤー２
４，２５とで構成されている。さらに各ワイヤー
２２，２３，２４，２５には、中間部分がそれぞ
れ下側に屈曲されてシートクツシヨン１１の下面
と略平行に横たわる水平部２２ａ，２３ａ，２４
ａ，２５ａが形成されている。またパツド材２０
が成形されるときに、このパツド材２０の下面に
凹部２６（第３図参照）が設けられ、この凹部２
６内に水平部２５ａの一部が露出される状態にさ
れてフレーム１９がパツド材２０内にインサート
される。そして水平部２５ａが凹部２６内に露出
されたワイヤー２５が、シートクツシヨン１１の
下面から下方へ向かつて設けられたセツトワイヤ
ーとして使用され、次に詳細に述べる係止手段１
５における被係止部側を構成している。

係止手段１５は、ワイヤー２５の水平部２５ａ
を被係止部側とする一方、リヤフロア１４上にお
ける係止部側にベース部材２７とセツトスプリン
グ２８などを設けて構成され、この要部構成は第
３図乃至第４図に拡大詳細図として示している。

そして凹部２６内に露出された水平部２５ａの
外周部分には、弾性を有する緩衝部材２９がかぶ
せられている。この緩衝部材２９はゴム材などで
筒状に形成され、フレーム１９がパツド材２０内
にインサート成形された後から装着し得るよう
に、前後の両端にわたつてスリツト３０が設けら
れている。そして緩衝部材２９を水平部２５ａに
装着させる場合は、水平部２５ａの外周部分に接
着剤を塗布した後、スリツト３０を開かせて装着
し、水平部２５ａの外周部分に塗布された接着剤
で固定される。

ベース部材２７は、弾性を有した金属板材から
プレス成形されて作られる。そして基板部３１
と、この基板部３１の前後両側部分から上方へ略
直角に折り曲げられて上方に向いて開いた開口部
を形成してなる一対の弾性支持片３２，３２と、
左右両側部分から下方へ略直角に折り曲げられて
形成された一対の脚片３３，３３を有している。
さらに一対の弾性支持片３２，３２の各先端に
は、内側へ斜めに折り曲げた状態に形成された折
り曲げ部３２ａがそれぞれ設けられている。また
一対の脚片３３，３３の下端は、それぞれ外側へ
略直角に折り曲げられており、この折り曲げられ
た部分３３ａに取付穴３４をそれぞれ有してい
る。そして、このベース部材２７は、一対の弾性
支持片３２，３２が水平部２５ａと平行になる状
態で、水平部２５ａと対応してリヤフロア１４上
に配置され、取付穴３４にボルト３５を通してリ
ヤフロア１４側に固定される。

次にセツトスプリング２８は弾性を有した金属
板材をプレス成形して作られている。また、この
セツトスプリング２８は中間の折り返し部分に、
水平部２５ａに装着された緩衝部材２９の外径寸
法よりも若干小さい内径寸法で略逆Ω状に形成さ
れた把持部３６を設け、さらに把持部３６の開口
両側から外側へ斜め上方へ向かつて開いた状態の
受入ガイド部３７を把持部３６の一体に設けてい
る。そして、このセツトスプリング２８は、折り
曲げ部３２ａの先端に把持部３６とガイド部３７
との境界部分が弾圧して抜け止めされた状態で、
把持部３６が一対の弾性支持片３２，３２との間
に受け入れられてベース部材２７に取り付けられ
る。また、このようにして取り付けられたセツト
スプリング２８は、一対のガイド部３７が上方に
向いて略Ｖ字形に開き開口部３９を形成した状態
になる。またベース部材２７にセツトスプリング
２８を取り付けるとき、ベース部材２７の基板部
３１とセツトスプリング２８の把持部３６との間
に、ゴム材などでシート状に形成されたダンパー
３８が介装される。

このようにして形成されている係止手段１５に
おいて、シートクツシヨン１１が正規に使用され
ているときには、ワイヤー２５の水平部２５ａが
セツトスプリング２８の把持部３６内に圧入され
た状態で保持され、セツトスプリング２８によつ
て水平部２５ａが把持された状態になつている。
そこで、この把持されるに至る過程を説明する
と、シートクツシヨン１１がヒンジ１３を支点に
して矢印Ｅ方向に回動された非使用状態から第１
図中に実線で示す使用状態へ回動されるときの動
作は次のようになる。まず、シートクツシヨン１
１と一体に水平部２５ａが下側へ移動されて来る
と、水平部２５ａが一対のガイド部３７，３７と
の間に進入される。そして、この進入で一対のガ
イド部３７，３７が弾性変形されて互いに外側へ
押し広げられる。また同時に一対の弾性支持片３
２，３２も弾性変形されて互いに外側に押し広げ
られ、開口部３９の大きさが緩衝部材２９を装着
した水平部２５ａが通過するのに充分な大きさに
なる。これにより水平部２５ａが、第１図乃至第
３図に示すように把持部３６内に受け入れられ、
緩衝部材２９の弾発力と把持部３６の弾発力とで
互いに圧着状態になる。したがつて、この係着に
よつてシートクツシヨン１１の後端部がロツク状
態になり、このロツクで急停車などでシートクツ
シヨン１１に浮き上がる力が作用されてシートク
ツシヨン１１の浮き上がりを防ぐことができる。

逆に係止手段１５による係着を解除する場合
は、シートクツシヨン１１に取り付けられたベル
ト１７を第１図中の矢印Ｄ方向へ引くと、ヒンジ
１３を支点に後端が引き上げられて回動される作
用がシートクツシヨン１１に付与される。また、
これに伴い把持部３６内で弾発力によつて把持さ
れていた水平部２５ａが強制的に把持部３６内か
ら引き出され、係着が解除される。これによりシ
ートクツシヨン１１を前端側へ回動させることが
できる。

したがつて、このように構成した車両用シート
１０において、ヒンジ１３を支点にシートクツシ
ヨン１１を後端側へ回動させて使用状態にする
と、係止手段１５の係着が自動的に得られる。ま
たベルト１７を引いてシートクツシヨン１１を前
側へ回動させると係止手段１５の係着が自動的に
解除できる。したがつて係合・解除操作が簡単に
行える。

また係合される場合も、セツトスプリング２８
と水平部２５ａとが直接に接触せず、緩衝部材２
９を介して接触するので、不快な金属音を発生す
ることがない。

さらにダンパー３８をセツトスプリング２８の
把持部３６とベース部材２７の基板部３１との間
に介装しているので、シートクツシヨン１１の後
端部分におけるクツシヨン性が均一に得られる。

また、さらに構成部品も水平部２５ａを形成す
るワイヤー２５と、ベース部材２７、セツトスプ
リング２８、緩衝部材２９など、極めて少ない部
品で構成することができるので、構造が簡単で組
立も容易になりコストの低減が得られる。また同
時に係止手段１５の小形化が図れるので、係止手
段１５を配設するための、シートクツシヨン１１
の裏側に形成する凹部２６も小さいもので良い。
したがつて係止手段１５を設けたことによるクツ
シヨンの低下を最小限に抑えることができる。

なお、上記実施例では、シートクツシヨン１１
の左右方向に横たわつた状態でパツド材２０内に
設けられたワイヤー２５の水平部２５ａを被係止
側の部材として使用した構造を開示したが、前後
方向に横たわるワイヤー２２の水平部２２ａある
いはワイヤー２３の水平部２３ａを被係止側の部
材とし、これに対応させて係止側のベース部材２
７などを前後方向に取り付けた構造にしても良い
ものである。

［考案の効果］ 以上説明したとおり、本考案に係る車両用シー
トによれば、前端側のヒンジを介して回動するシ
ートクツシヨンの回動拘束を簡単な操作で確実に
行えるとともに、解除も簡単に行えるので操作性
の工場が得られる。

またシートクツシヨンの回動を拘束および解除
する構造が簡略化されるとともに小形化できるの
で、コストの低減が図れ、同時にクツシヨン性の
低下を防止することができる。

さらに回動の拘束および解除を行うとき、およ
び車両走行時の不快音をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る車両用シート
の一部を破断して示した側面図、第２図は第１図
に示した同上シートの要部構造を示した斜視図、
第３図は第１図のＧ部拡大図、第４図は第１図に
示した同上シートの要部拡大分解斜視図、第５図
は従来における車両用シートの一例を示した側面
図である。 １０……車両用シート、１１……シートクツシ
ヨン、１２……シートバツク、１３……ヒンジ、
１４……リヤフロア、１５……係止手段、１６…
…表皮材、１９……フレーム、２０……パツド
材、２１……パイプ部材、２２，２３，２４……
ワイヤー、２５……セツトワイヤー、２２ａ，２
３ａ，２４ａ，２５ａ……水平部、２７……ベー
ス部材、２８……セツトスプリング、２９……緩
衝部材、３２……弾性支持片、３６……把持部、
３９……開口部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端がヒンジを介してフロアに回動自在に支持
   されているとともに後端が解除可能な係止手段で
   支持され、前記係止手段を解除すると前記ヒンジ
   を支点に後端が前側へ回動可能なシートクツシヨ
   ンを備えるとともに、前記シートクツシヨンが発
   泡樹脂成形されるパツド材内にフレームをインサ
   ートしてなる車両用シートであつて、前記係止手
   段が、前記フレームから屈曲されて前記シートク
   ツシヨンの下面と略平行に横たわる水平部を前記
   シートクツシヨンの下面から下方へ向かつて設け
   たセツトワイヤーと、前記水平部の外周に取り付
   けた緩衝部材と、前記フロア上に前記水平部と対
   応配置されて上方に向いて開く開口部を形成した
   一対の弾性支持片を有するベース部材と、前記一
   対の弾性支持片内に収納され上方に向いて略Ｖ字
   形に開いた開口部を有するとともに前記緩衝部材
   を介して圧入される前記セツトワイヤーの前記水
   平部を脱着自在に把持するセツトスプリングとを
   備えたことを特徴とする車両用シート。