JPH0542801U - 外部ばねを併用した巻掛伝動装置のテンシヨナ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻掛伝動装置の緊張力を内蔵ばねによらず、
主として外部ばねで得るようなテンショナ機構を提供す
ること。 【構成】 巻掛伝動装置の緊張力を増すように揺動部材
を押圧するロッドの突出方向に内蔵ばねの付勢力が付与
される巻掛伝動装置のテンショナにおいて、揺動部材と
固定部の間に外部ばねを設け、内蔵ばねと外部ばねによ
り巻掛伝動装置の緊張力を得るようになっている。巻掛
伝動装置の緊張力は、主として外部ばねによって得るこ
とになる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転駆動されるベルトやチェーンのような巻掛伝動装置、例えば、 エンジンのカムシャフト駆動用歯付ベルトやエンジンの補機駆動用Ｖベルト等の 巻掛伝動装置に緊張力を与えるためのテンショナ機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、エンジンのカムシャフト駆動用歯付ベルトに所定の緊張力を与えるた めにテンショナが利用される。テンショナは、ベルトに当接するアイドラローラ を支持した揺動部材をベルトの緊張力が増す方向に押圧するように設置される。 そして、この付勢力はテンショナに内蔵されたばねによって与えられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、エンジンの高出力化に伴ってベルトに要求される緊張力が増すと、 テンショナに内蔵されたばねの付勢力のみでは、そのサイズに制限が加えられる ことから、所望の緊張力を得られないこと、及び、アイドラローラの前後動範囲 を拡大することができない等の欠点がある。特に、摩擦伝動用のＶベルトは伸縮 量が大きく、テンショナ内蔵のばねによって、アイドラローラの全可動範囲に亘 り所定緊張力を与えることは非常に困難である。 なお、大きな緊張力を得るためには、強力なばねを利用することが一つの解決 策になるが、それに伴ってテンショナが大型化し、取付けスペース及び重量が増 加するという別の問題が生ずる。

【０００４】

【課題を解決するための手段及び作用】

本考案は、巻掛伝動装置の緊張力を増すように揺動部材を押圧するロッドの突 出方向に内蔵ばねの付勢力が付与される巻掛伝動装置のテンショナにおいて、前 記揺動部材と固定部の間に外部ばねを設け、前記両ばねによって巻掛伝動装置の 緊張力を得るようにしたテンショナ機構により前記課題を解決するものである。

【０００５】 揺動部材には、テンショナ内蔵のばねと外部ばねとにより付勢力が与えられる 。揺動部材は揺動可能であり、通常、これに支持されたアイドラローラ等が巻掛 伝動装置のベルト、チェーン等を押圧する。巻掛伝動装置への付勢力は、２つの ばねで分担されることになる。

【０００６】

【実施例】

図１及び図２は本考案の第１実施例を示している。２０は従来公知のオイル作 動式テンショナであって、油を充填した２２シリンダと、このシリンダ２２内に 小間隙をもって遊嵌されシリンダ２２をピストン前室２６とピストン後室２８に 分けるピストン２４と、ピストン後室２８に嵌装されたばね３０と、ピストン前 室２６側にピストン２４と一体的になったロッド３２と、ピストン前室２６とピ ストン後室２８とを連通する油路にピストン後室２８への油の流入を許す逆止弁 ３４とを有してなる。

【０００７】 揺動部材１０は、一端においてエンジンブロック１２に軸支されている。揺動 部材１０は他端においてアイドラローラ１４を支持している。アイドラローラ１ ４は歯付ベルト１６の背面に当接している。テンショナ２０は、内蔵されたばね ３０により、支持部材１０を歯付ベルト１６の緊張力が増す方向に押圧するもの である。そして、ピストン２４の後退時には逆止弁３４が閉じて歯付ベルト１６ の緊張力の急激な減少を阻止する。

【０００８】 １８は、外部ばねである。外部ばね１８は引張ばねである。外部ばね１８は、 一端が固定部であるエンジンブロック１２に掛け止められ、他端が支持部材１０ に掛け止められている。

【０００９】 歯付ベルト１６は、揺動部材１０を介して、テンショナ２０に内蔵されたばね ３０と外部ばね１８から緊張力を与えられている。

【００１０】 図３は本考案の第２実施例を示している。２０’はテンショナであって、第１ 実施例と同じ構造であるので、ここでは説明を省略する。１０’は揺動部材であ って、第１実施例と同様に、エンジンブロックに軸支されている。この揺動部材 １０’がアイドラローラ１４’を支持している。１８’は外部ばねである。アイ ドラローラ１４’は、テンショナ２０’に内蔵されたばねと外部ばねにより押圧 され、歯付ベルト１６’に所定の緊張力を与える。

【００１１】 図４及び図５は本考案の第３実施例を示している。２０”はテンショナであっ て、第１実施例と同じ構造である。アイドラローラ１４”は揺動部材１０”と一 体になっている。揺動部材１０”は軸１１の周りに偏心して揺動可能に設けられ ている。外部ばね１８”はねじりばねであって、揺動部材１０”とエンジンブロ ック１２”の間に介装されており、歯付ベルト１６”の緊張力が増す方向にアイ ドラローラ１４”を押圧する。

【００１２】 なお、以上の実施例では、テンショナに内蔵されたばねは揺動部材を押圧する 機能とピストンを前進させる機能とを有するが、この内蔵ばねを小型のもの、す なわち、ピストンが押し込まれたとき、これを戻すために必要な最小限の付勢力 を有するもの（いわゆるリターンばね）とし、テンショナにはダンパとしての機 能のみを与え、歯付ベルトに緊張力を与える源は、殆ど外部ばねに依らせること ができる。なお、このように、テンショナが主としてダンパとして機能すると、 トルク変動が大きい使用態様でも、振動の発生を抑制することができる。

【００１３】 このようなテンション機構では、テンショナ自体は歯付ベルトに緊張力を与え ることがなく、歯付ベルトの緊張力の調節は専ら外部ばねによって行うことにな る。その結果、外部ばねを交換することのみによって、種々の使用条件への適応 が可能となり、テンショナの共用化を図ることができるとともに、テンショナを 極めて小型のものにすることができる。

【００１４】

【考案の効果】 本考案は以上の構成であるから、テンショナに内蔵されたばねは小さいもので よく、テンショナを小型化することができるという効果がある。巻掛伝動装置に 要求される緊張力は使用条件によって大幅に異なるものであるが、このように簡 便に外部ばねを変更するによって、種々多様の使用条件に合わせることができ、 これによりテンショナ内蔵のばねを、ひいてはテンショナ自体を規格化して、多 品種少ロットの要求を満足させることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるテンショナ機構の第１実施例を示
した正面図であり、テンショナを断面図で示したもので
ある。

【図２】図１のテンショナ機構の側面図である。

【図３】本考案によるテンショナ機構の第２実施例の正
面図である。

【図４】本考案によるテンショナ機構の第３実施例の断
面図である。

【図５】図４のテンショナ機構の正面図である。

【符号の説明】

１０，１０’，１０” 支持部材 １２， １２” エンジンブロック １４，１４’，１４” アイドラローラ １６，１６’，１６” 歯付ベルト １８，１８’，１８” 外部ばね ２０，２０’，２０” テンショナ ２２ シリンダ ２４ ピストン ２６ ピストン前室 ２８ ピストン後室 ３０ ばね（テンショナ内蔵） ３２ ロッド ３４ 逆止弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻掛伝動装置の緊張力を増すように揺動
   部材を押圧するロッドの突出方向に内蔵ばねの付勢力が
   付与される巻掛伝動装置のテンショナにおいて、前記揺
   動部材と固定部の間に外部ばねを設け、前記両ばねによ
   り巻掛伝動装置の緊張力を得るようにしたことを特徴と
   する、巻掛伝動装置のテンショナ機構。