JPH0541231Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジン燃焼室の副室構造に関し、
特に該副室をセラミツク材料で構成した場合の構
造に関する。

（従来技術） エンジン燃焼室副室をセラミツクで構成するこ
とは、従来から知られている。セラミツク材料は
耐熱性に優れているので、この点副室の構成材料
として好適であるが、一方熱伝導率及び熱膨張率
の低いとともに、もろく、特に、引張応力に極め
て弱いという金属材料とは異なる性質を有する。
このため、これらのセラミツク材料の特有の性質
に起因して生じる問題を解消する種々の提案がな
されている。例えば、実開昭58−175118号には、
副室を形成するセラミツク材料を金属スリーブに
収容して、外側から覆うとともに、これによつ
て、セラミツク材料を金属スリーブで担持させる
ようにした副室構造が開示されている。そして、
金属スリーブは、シリンダヘツドに形成された凹
部に収容されるようになつているとともに、上部
及び下部において該凹部の内壁に圧接してシリン
ダヘツドに固定されている。さらに、金属スリー
ブの外周の中間部には、凹部内壁との間に断熱空
間を形成するための溝が形成されている。この開
示された構造は、副室を構成するセラミツク材料
の外周に金属スリーブを配置することによつて、
セラミツク材料を保護するとともに、該スリーブ
外周に断熱空間を形成し金属材料が熱の良導体で
あるという性質を利用して、セラミツク材料の熱
伝導率が低いことに起因して生じるセラミツク副
室構造の内外面の間の急激な温度勾配をなくし、
熱応力を緩和して、セラミツクの割れの発生を防
止することを意図したものである。

（解決すべき問題点） 上記実開昭58−175118号に開示された構造は、
金属スリーブによつて、セラミツク材副室構造の
周囲を覆うとともに、スリーブ外側に一定の断熱
空間を設けているので、スリーブからの放熱を抑
制することができ、これによつて、セラミツク材
の内外面の温度勾配を緩和することができる。し
かし、この開示された構造では、セラミツク材料
と、シリンダヘツド及び金属スリーブとシリンダ
ヘツドとの熱膨張量の差によつて、セラミツク材
料及び金属スリーブとから成る副室構造体とシリ
ンダヘツドとの間の圧接状態がゆるみ、シール機
能が低下してノズル孔を介して副室内のガスが断
熱空間内に侵入して燃焼性に悪影響を及ぼすとい
う問題がある。

（上記問題を解決するための手段） 本考案は、上記問題を解決してセラミツク材料
と金属スリーブ及びシリンダヘツドとの間の熱膨
張量の差にかかわらず、副室の断熱空間との間の
高いシール性を確保し、耐久性の良いエンジンの
副室構造を与えることを目的としている。本考案
に係るエンジンの副室構造は、燃焼室副室を構成
するセラミツク部材と、該セラミツク部材を内部
に収容して担持する金属スリーブとを備え、金属
スリーブ外面とシリンダヘツド壁面との間には一
定の断熱空間が設けられている。そして、金属ス
リーブ上端部は前記セラミツク部材の肩部より上
方に突出して対応して前記凹部上端の周縁に設け
られた溝部に嵌合しておりこの突出部の内面でシ
リンダヘツドの前記溝部壁面に圧接するととも
に、この圧接部から前記断熱空間に到るまでの間
の金属スリーブとシリンダヘツド壁面との間隙に
ガスケツトが挟持されたことを特徴する。このガ
スケツトは断熱空間への副室からのガスの侵入経
路を遮断するシール材としての機能を果たすとと
もに、金属スリーブによつて保護されないセラミ
ツク材のノズル孔を形成した頭部と、この頭部に
対峙するシリンダヘツドの凹部内周壁上端面との
直接接触を回避する緩衝材としての役割を持つ。
なお、好ましくは、上記ガスケツトは、金属スリ
ーブ突出部の上端部付近においてシリンダヘツド
壁面との間に挟持される。

（実施例の説明） 以下、図面を参照しつつ本考案の１実施例につ
き説明する。

第１図を参照すれば、本考案に従う副室構造体
１は、シリンダヘツド２に形成された凹部３に収
容されるようになつている。副室構造体１は、内
部に副室４ａを形成するセラミツク部材４と、該
セラミツク部材４を収容して担持する筒状の金属
スリーブ５とから構成されている。金属スリーブ
５は、セラミツク部材４の上端部の周縁の肩部よ
りも上方に延びる突出部５ａを有しており、該突
出部５ａは凹部３の上端にあるリング状の溝部３
ａ内に達している。金属スリーブ５は突出部５ａ
の内面でシリンダヘツド２の溝部３ａの壁面と圧
接している。突出部５ａの先端部には、図におい
て横方向すなわち半径方向に延びる拡大部５ｂが
形成されており、この突出部５ａの先端部、拡大
部５ｂ及びシリンダヘツド２のくぼみ部３ａで囲
まれる空間部には、リング状のガスケツト６が間
挿されている。また金属スリーブ５は下端部に外
方に突出した縁部５ｃを有しており、この縁部５
ｂは、凹部３に形成された大径部３ｂに圧接状態
で嵌合している。すなわち、金属スリーブ５は上
端部及び下端部の２ケ所でシリンダヘツド２に固
定されている。セラミツク部材４は、上下２分割
されており、焼きバメによつて、金属スリーブ５
内に収容されるようになつている。従つて、常温
では、セラミツク部材４には金属スリーブ５によ
り外面から圧縮応力がかかつた状態になつてい
る。シリンダヘツド凹部３の上部には副室４ａ内
を加熱するためのグロープラグ７が配置されてお
り、グロープラグ７はセラミツク部材４に設けら
れたグロー孔４ｂを通して副室４ａ内に挿入され
ている。また、シリンダヘツド凹部３の上部のグ
ロープラグ７の対向側には、燃料噴射ノズル８が
取付けられており、該燃料噴射ノズル８から噴射
された燃料は、セラミツク部材４の上部に設けら
れたノズル孔４ｃを通して副室４ａ内に吹き込ま
れるにようになつている。また、セラミツク部材
４の下部には、副室４ａ内の燃焼ガスを燃焼室に
噴出させるための噴口４ｄが設けられている。さ
らに、金属スリーブ５の周囲には、シリンダヘツ
ドの凹部３との間に一定の断熱空間１１が形成さ
れている。以上の副室構造の相互のずれが生じる
のを防止するためにセラミツク部材４の上下分割
の接合部、金属スリーブ５とセラミツク部材４と
の接合部、及び金属スリーブ５とシリンダヘツド
２との接合部に、まわり止め１２，１３及び１４
がそれぞれ設けられている。ガスケツト６は、副
室４ａ内の燃焼ガスがセラミツク部材４の外面と
シリンダヘツド２の凹部内面との間の間隙９か
ら、側方の空間部１１に流入するのを防止するシ
ール材としての機能を有するとともに、セラミツ
ク部材４がシリンダヘツド２の凹部３の壁面に直
接接触するのを防止する緩衝材としての役割を果
たす。

（考案の効果） 本考案によれば、金属スリーブとシリンダヘツ
ド壁面との間には、ガスケツトが挟持されるた
め、副室と断熱空間との連通を確実に遮断するこ
とができ、副室内のガスが断熱空間内に侵入する
のを防止することができる。これによつて、燃焼
性に悪影響が出るのを防止することができる。ま
た、ガスケツトは金属スリーブとシリンダヘツド
との圧接部よりも断熱空間側すなわち副室から比
較的遠くに配置されている。このため、高温の副
室内のガスは、ガスケツトに達するまでに冷却さ
れる。従つて、ガスケツトの焼損防止することが
でき、耐久性及び信頼性のあるエンジンの副室構
造を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

図は、本考案に従うエンジン副室構造の断面図
である。 １……副室構造体、２……シリンダヘツド、３
……凹部、４……セラミツク部材、４ａ……副
室、５……金属スリーブ、６……ガスケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼室副室を構成するセラミツク部材と、該セ
   ラミツク部材の外周側壁に係合して担持する金属
   スリーブとを備え前記金属スリーブはシリンダヘ
   ツドに形成された凹部に収容されるとともに金属
   スリーブ外面と前記シリンダヘツド壁面との間に
   は、一定の断熱空間が設けられたエンジンの副室
   構造であつて、前記金属スリーブ上端部は前記セ
   ラミツク部材の肩部より上方に突出して対応する
   前記凹部上端の周縁に設けられた溝部に嵌合して
   おり、この突出部の内面でシリンダヘツドの溝部
   壁面に圧接するとともに、この圧接部から前記断
   熱空間に到るまでの間の金属スリーブとシリンダ
   ヘツド壁面との間隙にガスケツトが挟持され、金
   属スリーブの下端部外周がシリンダヘツドの凹部
   の下端部に嵌合していることを特徴とするエンジ
   ンの副室構造。