JPH0540841Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ドリツプ式コーヒー抽出具、特に輸
送、保管、販売時等に形状を圧縮することがで
き、使用時に自動的に容器形に復元することがで
きるコーヒードリツパに関する。

（従来の技術） 従来より、形態に便利なように、上下に伸縮自
在に蛇腹状乃至コイル状に形成した枠の上部開口
にコーヒー液を濾過する漉袋を取付けたものや、
ロート状の円錐周側面に複数本の折込線を周設
し、該折込線で屈曲させて圧縮せしめるようにし
たものがあつた。

しかしながら、前者は漉袋が枠の開口上部に止
着されているために、該漉袋に熱湯を注ぐとその
重みによつて枠が圧縮されると共に、漉袋自体も
圧縮されて充分な量の熱湯を注ぎ込めなかつた
り、熱湯が零れ出したりする虞れがあつた。ま
た、後者は使用時に引延すと周側面が凹凸の無い
滑らかなテーパ面を形成して強度が不足するため
に粉受具をコーヒーカツプ上に支承する補助具を
必要とした。

本願出願人は、これらの欠点を解消するため
に、コーヒーカツプ内に挿入可能な大きさで下方
に突出したコーヒー抽出部と、該コーヒー抽出部
上方に漸次拡開した多段の蛇腹胴部を形成した周
壁からなる湯充填部とを有し、上下方向に圧力を
加えて周壁を圧縮重合するコーヒードリツパを開
示した（実開平１−178835号）。

（考案が解決しようとする課題） 上記本願出願人の考案は、前記従来公知のもの
の欠点を大方解決するものであるが、周壁を圧縮
して蛇腹状胴部を重合した場合でもコーヒー抽出
部が湯充填部から下方に突出して設けられている
ために圧縮状態の周壁厚に加えてコーヒー抽出部
の厚みを合わせた厚みよりも、薄く圧縮すること
はできなかつた。また、実際上周壁を略一枚状に
なるまで重合圧縮すると、蛇腹状胴部の各襞が互
いに引掛かる等してスムーズに復元しなくなるこ
ともあり圧縮厚には自づと限度があつた。

本考案出願人は、このような点に着眼し、より
薄く圧縮可能となるようにしたコーヒードリツパ
を提供せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案は、コーヒー
カツプに載置可能な大きさを有し中央部に抽出孔
を設けた底面部より上方に、漸次上方拡開した多
段の蛇腹状胴部を有した周壁を設け、内部を湯充
填部としてなるドリツパ本体において、該ドリツ
パ本体の底部にコーヒー抽出部を形成し、該コー
ヒー抽出部は、上記底面部に略々沿つた下面フイ
ルターと、湯充填部内に突出した上面フイルター
と両フイルター間に収納されたコーヒー粉とを少
なくとも具備してコーヒードリツパを構成したこ
とを特徴とする。

この場合、ドリツパ本体を上下方向に圧縮した
際の上下厚と、コーヒー抽出部の上下厚とがドリ
ツパ本体の底面部の肉厚を除いて略々合致するよ
うに設定されるとより好ましい。

（作用） ドリツパ本体を上下方向に圧縮すれば、コーヒ
ー抽出部が湯充填部内に突出形成されているの
で、該コーヒー抽出部の厚み分に略々合致する程
度まで該ドリツパ本体を圧縮することができ、薄
い偏平体として包装等適宜手段によつて保持させ
る。

また、コーヒー抽出時には、コーヒードリツパ
の包装等を剥がして圧縮状態を解除し、必要に応
じて復元方向に引つ張れば蛇腹状胴部が伸展し、
湯充填部の形状が復元する。次に、この状態のコ
ーヒードリツパをコーヒーカツプに載置して湯充
填部に熱湯を注ぎ込むとコーヒー抽出部からコー
ヒーカツプ内にコーヒー液となつて洩出する。

（実施例） 以下、本考案に係るコーヒードリツパの一実施
例を図面によつて説明する。

第１図乃至第３図は、コーヒードリツパの一実
施例の拡開状態及び圧縮状態を表している。

１は、湯充填部２とコーヒー抽出部３を具備し
たコーヒードリツパであつて、ドリツパ本体４
と、コーヒーユニツト５とから構成されている。

ドリツパ本体４は、ポリプロピレン等の耐熱性
を有した合成樹脂より射出成形或いは圧空真空成
形等適宜手段によつて、第２図の如く拡開した状
態で、コーヒーカツプに載置可能な底面部６を有
したカツプ形に形成されており、該底面部６には
適宜形状のコーヒー液抽出用の抽出孔７が形成さ
れ、該底面部６は、平坦状に形成してコーヒーカ
ツプに対する係止突条等を僅かに突出形成する
か、或いは該抽出孔７を形成した中央部を僅かに
下方突出した面として形成され、該底面部６の外
周部が、カツプ載置面８となり、その外縁部の立
上り部９から後述する周壁１０が連設されると共
に、底面部６の外縁部内側には内周面に周方向に
走る溝を有した止着部１１が形成されている。周
壁１０は上端縁外周にリブを周設し、上記立上り
部９よりも大径の短円筒縁１２を上部に有し、該
立上り部９と短円筒縁１２との間が上方ほど拡開
した蛇腹状胴部１３に形成され、自由状態におい
て該蛇腹状胴部１３が起立し、上下方向の圧力が
加えられるとコーヒーユニツト５の略々厚み分ま
で圧縮するように成形されている。

コーヒーユニツト５は、枠体１４とフイルター
１５を具備しており、該枠体１４は、ドリツパ本
体４の止着部１１に止着可能な大きさを有した浅
底受形を上下逆にしてコーヒー粉収納部１６が上
方に突出形成された状態で止着されており、縁部
１７に止着部１１の溝に嵌合する周方向に走る凸
条が形成され、周面には端が縁部近傍に達する通
湯孔１８が複数個設けられ、上面には所望により
適宜個数、形状の通湯孔１９が設けられている。

フイルター１５は、上記枠体１４内に予め該枠
体１４と同形状に予めプレスした形状のものを嵌
め込むか、該枠体１４の下面に当てた平坦膜をプ
レスして該枠体１４内の押圧するかして形成した
不織布等からなる上面フイルター１５ａと、下面
開口側に適宜方法で封着された同様の不織布等か
らなる下面フイルター１５ｂとで形成され、両フ
イルター１５ａ，１５ｂ間の内部に予め適分量の
コーヒー粉２０が封入されている。

而して、上記コーヒードリツパ１は、第３図に
示す如く、周壁１０に上下方向から圧力を加え、
短円筒縁１２の上端がコーヒーユニツト５の上面
に略々合致する位置にまるまで圧縮すれば、蛇腹
状胴部１３の各襞が整然と圧縮重合され、同時に
圧縮した周壁１０の厚み内にコーヒー抽出部３が
略々納まつて薄い偏平形となることができ、次い
で、このコーヒードリツパ１を適宜手段、例えば
合成樹脂フイルム等によつて包被２２して固定
し、圧縮状態のまま商品化する。なお、上記にお
いて又は上記に代えて、短円筒縁１２上側及び底
面部６下側に防湿性や酸素バリア性を有した蓋体
２１を接着するようにしてもよい。

次に、上記コーヒードリツパ１を用いてコーヒ
ー液を抽出する場合には、包被２２を剥がせばコ
ーヒードリツパ１は圧縮状態から開放されて成形
時の形状に復元される。なお、蓋体２１が装着さ
れていれば、底面部６側の蓋体２１を剥がし、短
円筒縁１２上面の蓋体２１を少なくともその半ば
位まで剥がすことによつてコーヒードリツパの復
元が自動的かつスムーズに行われる。必要に応じ
て復元方向に引つ張つて復元を補助するのはもと
より任意である。

続いて、コーヒードリツパ１をコーヒーカツプ
に載置し、ドリツパ本体４の上方開口から湯充填
部２に熱湯を適量注入し、所望により任意に蓋を
し、或いは上記蓋体２１被着の場合は、再度蓋体
２１で上方開口を閉蓋する。注入された熱湯は、
通湯口１８，１９及び上面フイルター１５ａを介
してコーヒー粉２０に浸透し、コーヒー粉２０の
成分を抽出してコーヒー液となり、下面フイルタ
ー１５ｂ及び抽出孔７を介してコーヒーカツプに
洩出される。

この時、湯充填部２の低部の熱湯は、コーヒー
ユニツト周面の通湯孔１８を通つてフイルター１
５内に浸透するために、該湯充填部２の熱湯の全
量をコーヒー成分の抽出に用いて排出することが
できる。

ドリツパ本体４の周壁１０は、コーヒーユニツ
ト５の厚みに略々合致するまで圧縮されるので、
蛇腹状胴部１３の各襞が整然と圧縮重合し、使用
時に包被２２を解くなどして圧縮状態を解除する
と、各襞が互いに引掛かつたりせず、蛇腹状胴部
１３がスムーズに伸展し、湯充填部４を自動的か
つスムーズに復元させることができると同時に、
圧縮状態では極めて薄い偏平形となるので、輸
送、保管、販売等での所要スペースを減少させる
ことができる。

上記において、ドリツパ本体４の底面部６と下
面フイルター１５ｂとの間に若干の空隙が設けら
れていれば、熱湯の浸透によつて下面フイルター
１５ｂが膨潤して若干垂下し、熱湯の浸透経路を
より一層十分に確保してコーヒー抽出滞留時間を
延ばすことができる。

なお、上記実施例では、ドリツパ本体４に止着
部１１を設け、コーヒーユニツト５を止着したも
のを述べたが、コーヒーユニツト５の止着手段は
これに限定されない。また、コーヒーユニツトを
ドリツパ本体に止着せず、使用毎にコーヒーユニ
ツトを廃棄してドリツパ本体のみを反復使用する
ようにしてもよい。

また、上記実施例において、枠体１４周面に設
けた通湯孔１８は周面下部からも熱湯をフイルタ
ー１５内に浸透可能でありさえすれば、その形
状、配置、個数は限定されない。

第４図は、別の実施例を示すもので前記各実施
例と異なるところを述べれば、枠体１４を設ける
ことなく、中央部が上方に突出した上面フイルタ
ーと略平坦状の下面フイルターとによつて内部に
コーヒー粉を封入したカートリツジ状フイルター
１５ｄのみを、ドリツパ本体４の底面部６上側に
嵌め込んで抽出し、使用毎にフイルター１５ｄを
取り換えドリツパ本体４は繰り返して使用するよ
うにしたものである。

なお、この場合、上面フイルター１５ａの素材
は、熱湯の浸透によつても保形性を維持できるも
のとするのが好ましく、また、フイルタ１５ｄ内
部に、金属或いは合成樹脂等の保形材を配置した
りすることは任意である。

なお、上記各実施例において、ドリツパ本体の
底面部に設けた抽出孔７の大きさ及び形状は任意
であつて、フイルターの透水性能やコーヒー粉の
種類、挽き方、充填量、及び抽出するコーヒー液
の濃さや酸味に応じて適宜変更可能である。

また、不織布として説明したフイルターの材質
は限定されない。

（考案の効果） 以上のようにして本考案のコーヒードリツパに
よれば、コーヒー液抽出時以外は、不要な湯充填
部を上下方向に圧縮することができ、しかもドリ
ツパ本体の圧縮部内にコーヒー抽出部を納めるよ
うにして圧縮することができるので、薄い偏平形
となし得、輸送、保管、販売等での所要スペース
を減少でき、その分余分に物を運んだり、保管し
たり、或いは品揃えを多くして陳列することがで
きる等空間利用効率を高めて高めることができ
る。

さらに、本考案は、ドリツパ本体の復元力が損
なわれずしかも整然と圧縮されているために、上
下方向から加えられる圧力を取除きさえすれば、
蛇腹状胴部の各襞が互いにからまつたりせず、湯
充填部をスムーズに復元させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るコーヒードリツパの一実
施例を示す使用状態時の一部切断斜視図、第２図
は同じく使用状態時の一部切断正面図、第３図は
第１，２図のコーヒードリツパを圧縮包被した状
態の一部切欠正面図、第４図は別の一実施例を示
す使用状態時の一部切断正面図である。 １……コーヒードリツパ、２……湯充填部、３
……コーヒー抽出部、４……ドリツパ本体、６…
…底面部、７……抽出孔、１０……周壁、１３…
…蛇腹状胴部、１５ａ……上面フイルター、１５
ｂ……下面フイルター、２０……コーヒー粉。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) コーヒーカツプに載置可能な大きさを有し中
   央部に抽出孔を設けた底面部より上方に、漸次
   上方拡開した多段の蛇腹状胴部を有した周壁を
   設け、内部を湯充填部としてなるドリツパ本体
   において、該ドリツパ本体の底部にコーヒー抽
   出部を形成し、該コーヒー抽出部は、上記底面
   部に略々沿つた下面フイルターと、湯充填部内
   に突出した上面フイルターと両フイルター間に
   収納されたコーヒー粉とを少なくとも具備して
   なることを特徴とするコーヒードリツパ。 (2) ドリツパ本体を上下方向に圧縮した際の上下
   厚と、コーヒー抽出部の上下厚とがドリツパ本
   体の底面部の肉厚を除いて略々合致するように
   設定されてなる第１項記載のコーヒードリツ
   パ。