JPH053992B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は熱転写に用いられる蛍光性供与素子に
関する。 （従来技術） 最近、カラービデオカメラから電子工学的に形
成された画像からプリントを得るための熱転写シ
ステムが開発された。この種のプリントを得るた
めの一方法によれば、電子画像をまず、カラーフ
イルターによりカラー分解する。次いでそれぞれ
のカラー分解画像を電気信号に変える。次いでこ
れらの信号を操作してシアン、マゼンタおよびイ
エローの電気信号を発生させる。次いでこれらの
信号をサーマルプリンターに伝達する。プリント
を得るためには、シアン、マゼンタまたはイエロ
ーの供与素子を色素受容素子と向き合わせて配置
する。次いで両者をサーマルプリンテイングヘツ
ドとプラテンローラーの間に挿入する。ライン型
サーマルプリンテイングヘツドを用いて、供与シ
ートの裏面から熱を与える。サーマルプリンテイ
ングヘツドは多数の加熱素子を備えており、シア
ン、マゼンタおよびイエローの信号に応答して順
次加熱される。次いでこのプロセスが他の２色に
ついて反復される。こうしてスクリーン上に見え
た原画に対応するカラーハードコピーが得られ
る。この方法の詳細およびそれを実施するための
装置は米国特許第4621271号に示されている。 上記システムは可視色素画像を用いている。し
かし安全保障のためには、偽造もしくは複製を阻
止するために、または機密情報を符号化するため
に、紫外線で照射した際に可視発光を伴う蛍光を
発する、見えない紫外線吸収性画像を形成するこ
とが有利である。 米国特許第4627997号明細書には熱融解性ワツ
クスインキ層からなる蛍光性熱転写記録媒体が示
されている。このシステムでは、蛍光物質はワツ
クス材料が融解するとこれと共に転写される。 （発明が解決しようとする課題） しかしワツクス転写システムには、それらは連
続した色調を与え得ないという点で問題がある。
さらに先行技術文献による蛍光物質はワツクス材
料の不在下ではそれ自身で拡散することはできな
い。 本発明の目的は、供与素子から色素受容体へそ
れ自身で転写または拡散するのに十分な蒸気圧を
もつ、連続色調システムに有用な蛍光物質を提供
することである。 （課題を解決するために手段） これらをはじめとする目的は、熱によつて転写
しない高分子結合剤の中に分散した、式： （ここで、ＸおよびＹはそれぞれ独立に水素、
置換または無置換の炭素数１−10のアルキル基、
置換または無置換の炭素数６−10のアリール基、
窒素原子とともに５または６原子からなる複素環
を形成するのに必要な原子である） で表される無色の蛍光物質である７−アミノカル
ボスチリル化合物からなる層を一面に有し、その
裏面に潤滑剤からなる滑層を有する支持体からな
る熱転写用供与素子を提供する本発明によつて達
成された。 本発明で用いる７−アミノカルボスチリル化合
物は具体的には下記の化合物を含む。 式中、 ＸおよびＹはそれぞれ無関係に水素原子；１〜
10個の炭素原子を含む置換もしくは無置換アルキ
ル基、たとえば−CH₃，−C₂H₅もしくは−C₂H₄
OCH₃；６〜10個の炭素原子を含む置換もしくは
非置換アリール基、たとえば−C₆H₅，C₆H₄（ｐ
−OCH₃），−C₆H₄（ｏ−CO₂CH₃），もしくはC₆
H₄（ｐ−Ｃ）；またはそれが結合している窒素
原子と共に５員もしくは６員の複素環、たとえば
下記のものを完成するのに必要な原子を表わす。 本発明の好ましい形態においては、ＸおよびＹ
はそれぞれ水素原子、メチル、エチルであるか、
または６員の複素環を完成するのに必要な原子を
表わす。 本発明の範囲に含まれる化合物には下記のもの
が含まれる。

【表】

【表】

【表】

【表】

【表】

【表】 可視色素も熱の作用によつて色素受容層へ転写
しうる限り本発明の供与素子の別個の領域に使用
しうる。たとえば下記の昇華性色素を用いて、特
に良好な結果が得られた。 または米国特許第4541830号明細書に記載のい
ずれかの色素。上記色素を単独で、または組合わ
せて使用し、モノクロを得ることができる。色素
は付着量0.05〜1g／m²で使用され、好ましくは疎
水性である。 本発明の供与素子中の蛍光物質はたとえば下記
の高分子結合剤中に分散されている。セルロース
誘導体、たとえば酢酸フタル酸水素セルロース、
酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、
酢酸酪酸セルロース、トリ酢酸セルロース；ポリ
カーボネート；ポリ（スチレン−co−アクリロ
ニトリル）、ポリ（スルホン）またはポリ（フエ
ニレンオキシド）。結合剤は0.1〜5g／m²の付着量
で使用される。 供与素子の蛍光材料は支持体上に塗布するか、
またはそれに印刷法、たとえばグラビア法により
印刷することができる。 本発明の供与素子の支持体としては、それが寸
法安定性であり、かつサーマルプリンテイングヘ
ツドの熱に耐えうる限り、いかなる材料も使用し
うる。この種の材料にはポリエステル、たとえば
ポリ（エチレンテレフタレート）；ポリアミド；
ポリカーボネート；グラシン紙；コンデンサー
紙；セルロースエステル；フツ素ポリマー；ポリ
エーテル；ポリアセタール；ポリオレフイン；お
よびポリイミドが含まれる。支持体は一般に２〜
30μmの厚さをもつ。これには所望により下引き
層が塗布されていてもよい。 供与素子の裏面は、プリンテイングヘツドが供
与素子に粘着するのを防ぐために滑層で被覆され
ている。この種の滑層は滑剤、たとえば界面活性
剤、液状滑剤、固体状滑剤またはそれらの混合物
からなり、高分子結合剤を含有するか、または含
有しない。好ましい滑剤には油、または100℃以
下で融解する半結晶質有機固体、たとえばポリ
（ビニルステアレート）、密ろう、ペルフルオロア
ルキルエステルポリエーテル、ポリ（カプロラク
トン）、シリコーン油、ポリ（テトラフルオロエ
チレン）、カーボワツクス、ポリ（エチレングリ
コール）、または米国特許第4717711、4737485、
4738950および4717712号明細書に記載されたいず
れかの材料が含まれる。滑層に適した高分子結合
剤にはポリ（ビニルアルコール−co−ブチラー
ル）、ポリ（ビニルアルコール−co−アセター
ル）、ポリ（スチレン）、ポリ（酢酸ビニル）、酢
酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロー
ス、酢酸セルロースまたはエチルセルロースが含
まれる。 滑層に用いられる滑剤の量は滑剤の種類に大幅
に依存するが、一般には．001〜2g／m²である。
高分子結合剤を使用する場合、滑剤は用いられる
高分子結合剤の0.1〜50重量％、好ましくは0.5〜
40重量％の量で存在する。 本発明の供与素子と共に用いられる受容素子は
通常は受像層を保有する支持体からなる。支持体
は透明なフイルム、たとえばポリ（エーテルスル
ホン）、ポリイミド、セルロースエステル、たと
えば酢酸セルロース、ポリ（ビニルアルコール−
co−アセタール）またはポリ（エチレンテレフ
タレート）である。受容素子の支持体は反射性の
もの、たとえばバリタ塗被紙、ポリエチレン塗被
紙、白色ポリエステル（白色顔料を含有するポリ
エステル）、アイボリー紙、コンデンサー紙、ま
たは合成紙、たとえばデユポンタイベツク
（Tyvek、登録商標）であつてもよい。 受像層はたとえばポリカーボネート、ポリウレ
タン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ（ス
チレン−co−アクリロニトリル）、ポリ（カプロ
ラクトン）またはそれらの混合物からなる。受像
層は意図する目的に有効な量で存在する。一般に
１〜5g／m²の濃度で良好な結果が得られる。 前記のように本発明の供与素子は転写画像の形
成に用いられる。この種の方法は前記のように供
与素子を画像形成下に加熱し、蛍光物質画像を受
像素子に転写して、転写画像を形成する。 本発明の供与素子はシート状で、または連続ロ
ールまたはリボン状で使用できる。連続ロールま
たはリボンを用いる場合、これは前記の蛍光性７
−アミノカルボスチリルのみを保有するか、また
は異なる色素の交互領域、たとえば昇華性マゼン
タ、イエロー、シアン、ブラツクその他の色素を
含んでもよい。この種の色素は米国特許第
4541830、4698651、4695287、4701439、4757046、
4743582および4753922号明細書に示されている。
たとえば１色、２色、３色または４色の素子は
（またはそれ以上）が本発明の範囲に含まれる。 本発明の好ましい形態においては、供与素子は
マゼンタ、イエローおよびシアン系色素、ならび
に前記の蛍光物質の順次反復領域で被覆されたポ
リ（エチレンテレフタレート）系支持体からな
り、上記処理工程が各色につき順次実施されて、
蛍光物質画像を含む３色ダイトランスフアー画像
が得られる。 本発明を利用した熱転写用アセンブリツジは以
下のものからなる。 ａ 上記の供与素子、および ｂ 上記の受容素子、 受容素子と供与素子は、供与素子の蛍光物質層
が受容素子の受像層と接触した状態になるように
重ね合わせた関係にある。 本発明を説明するために以下の実施例を示す。 実施例 下記の各層を、下記の順序で6μmのポリ（エチ
レンテレフタレート）製支持体上に塗布すること
により供与素子を製造した。 １ 下引き層：デユポン、タイゾー（Tyzor）
TBT（登録商標）、チタンテトラ−ｎ−ブトキ
シド（0.16g／m²）、１−ブタノールから塗布；
ならびに ２ 前記の蛍光物質または後記の対照蛍光物質
（0.16g／m²）を酢酸プロピオン酸セルロース
（2.5％アセチルおよび45％プロピオニル）結合
剤（0.32g／m²）中に含有する層：シクロペン
タノン、トルエンおよびメタノール溶剤混合物
から塗布。溶解度限界を越える場合、過剰の固
体を塗布前に去した。 この素子の裏面には下記のものを塗布した。 １ 下引き層：ボスチツク（Bostik）7650（登録
商標）（エムハート社）ポリエステル（0.11g／
m²）、トルエンから塗布；ならびに ２ 滑層：ガフアツク（Gafac）RA−600（登録
商標）（GAF社）ポリオキシエチレン部分リン
酸エステル（0.043g／m²）およびBYK−320
（登録商標）（BYKヘミー，米国）ポリオキシ
アルキレン−メチルアルキルシロキサンコポリ
マー（0.016g／m²）、ポリ（スチレン−co−ア
クリロニトリル）結合剤（70：30重量比）
（0.54g／m²）中、トルエンおよび３−ペンタノ
ン溶剤混合物から塗布。 対照物質 下記の物質はコダツク・ラボラトリー、プロダ
クツ・アンド・ケミカルズ・デイビジヨンから市
販されている。 受容素子はマクロロン（Makrolon）5705（登
録商標）（バイエル社）ポリカーボネート樹脂
（2.9g／m²）の、塩化メチレンおよびトリクロロ
エチレン溶剤混合物中の溶液を透明な175μmポリ
エチレンテレフタレート製支持体上に塗布するこ
とにより製造された。 ほぼ３cm×15cmの面積の供与素子ストリツプの
蛍光物質層側を、同一面積の受容素子の受像層と
比較した状態で配置した。このアセンブリツジを
直径14mmのゴムローラーおよびTDKサーマルヘ
ツドＬ−133（No.６−2R16−１）の上に配置し、
アセンブリツジの供与素子側を3.6Kgの力のばね
で押さえ、これをゴムローラーに押しつけた。 画像形成エレクトロニクスを始動させて引取り
装置にプリンテイングヘツドとローラーの間にア
センブリツジを引取らせた。同時にサーマルプリ
ントヘツドの抵抗素子をピクセル当たりパルス幅
8msecでパルスさせて、濃度勾配画像を形成させ
た。プリントヘツドに印加された電圧は約22vで
あり、これは約1.5ワツト／ドツト（12ミリジユ
ール／ドツト）を表わす。 受容素子を供与素子から分離し、分光蛍光計を
用いて固定強度360nmの励起ビームにより相対発
光を測定した。以下の結果が得られた。

【表】

この化合物はバイエルス・アンド・チヤプマン
出願の“熱転写可能な蛍光性７−アミノクマリン
類”と題する特許出願（1989年）の対象である。 （発明の効果） 以上の結果は本発明による化合物が先行技術に
よる対照化合物より蛍光性が高いことを示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱によつて転写しない高分子結合剤の中に分
   散した、式： （ここで、ＸおよびＹはそれぞれ独立に水素、
   置換または無置換の炭素数１−10のアルキル基、
   置換または無置換の炭素数６−10のアリール基、
   窒素原子とともに５または６原子からなる複素環
   を形成するのに必要な原子である） で表される無色の蛍光物質である７−アミノカル
   ボスチリル化合物からなる層を一面に有し、その
   裏面に潤滑剤からなる滑層を有する支持体からな
   る熱転写用供与素子。