JPH0539445A - 艶消し塗膜の形成方法 - Google Patents

艶消し塗膜の形成方法

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JPH0539445A
JPH0539445A JP21637791A JP21637791A JPH0539445A JP H0539445 A JPH0539445 A JP H0539445A JP 21637791 A JP21637791 A JP 21637791A JP 21637791 A JP21637791 A JP 21637791A JP H0539445 A JPH0539445 A JP H0539445A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)カルボキシル基及び水酸基を有する水
溶性含フッ素共重合樹脂、(B1)アルコキシシラン基
を有する水溶性又は水分散型アクリル共重合樹脂、及び
(C)架橋剤を含む艶消し電着塗料組成物を希釈して、
電着塗装によって艶消し塗膜を形成する方法。(B1)
以外の水溶性又は水分散型アクリル共重合樹脂(B2)
を配合することができ、さらに平均粒径0.02〜30
μmの架橋樹脂粒子(D)を配合することもできる。 【効果】 艶消し度のコントロールが可能であり、艶ム
ラの起きない耐候性のある艶消し塗膜を形成することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、艶消し塗膜の形成方法
に関し、特に水溶性含フッ素共重合樹脂、アルコキシシ
ラン基を有する水溶性又は水分散型アクリル共重合樹
脂、さらに必要に応じて他の水溶性又は水分散型アクリ
ル樹脂及び架橋樹脂粒子を混合し、架橋させることによ
り、艶消し度をコントロールするとともに、長期間安定
で、艶ムラが起きず、耐候性が良好な艶消し塗膜を得る
電着塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電着塗装によって艶消し塗膜を得る方法
としては、シリカ微粉末などの無機顔料を含有させる方
法(例えば、特開昭56−75596 号)、ポリエチレンやポ
リプロピレンなどの微粉末を含有させる方法(例えば、
特開昭60−135466号)、電着塗膜を酸性処理液で後処理
する方法(例えば、特開昭52−137444号)等が提案され
ている。しかしながら、これらの方法では、艶消し効果
の持続性や艶が一定にならずに艶ムラが生じたり、後処
理方法では工程が多くなり、処理溶液からの引き上げ時
や水洗時に艶ムラが生じ、さらに塗膜性能の面で副作用
が生じる等の欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の欠点を克服した
電着塗料の艶消し方法として、アルコキシシラン基を側
鎖に導入し、共重合体樹脂中に不溶性の粒子内ゲル構造
を形成する方法が、特公昭62−24519 号公報に記載され
ている。しかしながら、この方法では、塗装条件により
艶が変動する問題点があり、さらに艶消し度をコントロ
ールすることが不十分であり、完全艶消しから僅かに艶
が消えたレベルまでの市場ニーズに対応ができない。ま
た、形成された艶消し塗膜の用途に応じて、塗膜の柔軟
度も硬いものから軟らかいものまで幅広く揃える必要が
あり、前記方法では柔軟度のコントロールが不十分であ
り、耐候性の点でも満足できるレベルでなく、さらにま
た、ラインの条件変動による艶の変化に対処することが
困難である。
【0004】また、電着塗料組成物の中に架橋樹脂粒子
を艶消し剤として添加し、母体樹脂と架橋樹脂粒子との
界面での屈折率の差により艶消し効果を得ることも、例
えば特開昭56-49766号、特開昭58-93762号、特開昭63-6
3760号、特開昭63-41570号等に提案されている。しかし
ながら、この種の技術にあっては、母体樹脂と樹脂粒子
との屈折率の差が極めて重要であって、その差があまり
に大にすぎると塗膜の白濁の原因となるし、また差が小
さすぎると艶消し効果が得られない。従って架橋樹脂粒
子と母体樹脂との組合せにより、それぞれの屈折率を十
分に管理しなければならないという技術上の問題点を有
している。
【0005】さらに、含フッ素重合体の存在下で、アル
コキシシラン基含有ビニル単量体を必須成分とするビニ
ル単量体をラジカル重合し、得られる重合体をビヒクル
成分とするアニオン型艶消し電着塗料組成物が、特開平
2-166173号に提案されている。しかしながら、この技術
においては、含フッ素重合体とアルコキシシラン基含有
ビニル単量体を共重合させているため、得られる塗膜の
耐候性や艶消し度のコントロールが困難である。
【0006】従って、本発明の目的は、艶消し度を容易
にコントロールすることができるとともに、長期間安定
で、艶ムラが起きず、耐候性が良好な艶消し塗膜を形成
する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく鋭
意検討を重ねた結果、本発明者等は、水溶性含フッ素樹
脂、アルコキシシラン基を有する水溶性又は水分散型ア
クリル共重合樹脂、及び必要に応じて他の水溶性又は水
分散型アクリル共重合樹脂を混合し、架橋することによ
り、艶消し度のコントロールが可能となり、さらに高耐
候性で、しかも安定的に艶ムラのない艶消し塗膜を形成
することが可能となることを発見し、本発明を完成し
た。
【0008】すなわち、本発明の第一の艶消し塗膜の形
成方法は、艶消し電着塗料組成物を希釈して電着するも
ので、前記艶消し電着塗料組成物が、(A)カルボキシ
ル基及び水酸基を有する水溶性含フッ素共重合樹脂5〜
50重量%(固形物基準、以下同じ)と、(B1)アルコ
キシシラン基を有する水溶性又は水分散アクリル共重合
樹脂5〜60重量%と、(C)架橋剤20〜60重量%とを含
むことを特徴とする。また、本発明の第二の艶消し塗膜
の形成方法は、艶消し電着塗料組成物を希釈して電着す
るもので、前記艶消し電着塗料組成物が、(A)カルボ
キシル基及び水酸基を有する水溶性含フッ素共重合樹脂
5〜50重量%と、(B1) アルコキシシラン基を有する
水溶性又は水分散型アクリル共重合樹脂5〜55重量%
と、(B2) 前記(B1) 以外の水溶性又は水分散型ア
クリル共重合樹脂5〜40重量%と、(C)架橋剤20〜60
重量%とを含むことを特徴とする。
【0009】本発明を以下詳細に説明する。(A)カルボキシル基及び水酸基を有する水溶性含フッ
素共重合樹脂(以下、「水溶性フッ素樹脂」という)
【0010】本発明で用いる水溶性フッ素樹脂は、分子
内にカルボキシル基及び水酸基を含有し、後述する(B
1) 成分(又は(B1) +(B2) 成分)と相溶するも
のである。好ましい酸価は、15〜150 であり、より好ま
しくは25〜70である。酸価が15未満では、水溶性になり
にくいので、添加量に制約を受け、一方150 を超えると
耐水性が不十分となる。
【0011】好ましい水酸基価は、25〜150 であり、よ
り好ましくは40〜100 である。水酸基価が25未満では、
架橋剤との反応が不十分で硬化不良となり、一方150 を
超えると、耐水性や塗膜物性(折り曲げ性、耐衝撃性
等)に問題が生じてくる。
【0012】好ましい数平均分子量は、2,000 〜100,00
0 であり、より好ましくは5,000〜40,000で
ある。数平均分子量が2,000 未満では、塗膜性能全般が
低く、一方100,000 を超えると他の樹脂成分との相溶性
が低下する。
【0013】このような水溶性フッ素樹脂(A)として
は、フルオロエチレン−シクロヘキシルビニルエーテル
系共重合体、フルオロエチレン−ビニルエーテル−ビニ
ルエステル系共重合体、フルオロエチレン−ビニルエー
テル−アリルエーテル−ビニルエステル系共重合体等が
挙げられる。
【0014】フルオロエチレン−シクロヘキシルビニル
エーテル系共重合体としては、旭硝子(株)より、ルミ
フロン926(酸価20、水酸基価60)として市販さ
れているもの等を使用することができる。フルオロエチ
レン−ビニルエーテル−ビニルエステル系共重合体とし
ては、大日本インキ化学工業(株)よりフルオネートJ
Z−443(酸価6〜9、水酸基価80〜92)等とし
て市販されているものを使用することができる。さらに
フルオロエチレン−ビニルエーテル−アリルエーテル−
ビニルエステル系共重合体としては、セントラル硝子
(株)よりセフラルコートXA−5000−2(酸価3
6、水酸基価50)、セフラルコートXA−500−3
(酸価33、水酸基価52)等として市販されているも
のを使用することができる。またアクリル樹脂の側鎖に
フッ素樹脂が結合したものが東レ(株)製よりコータッ
クスFX−300(酸価30、水酸基価50)等として
市販されているが、これらをフルオロエチレン−ビニル
エーテル−アリルエーテル−ビニルエステル系共重合体
として使用することもできる。
【0015】このような水溶性フッ素樹脂を含むことに
より、得られる艶消し塗膜の耐候性が向上する。
【0016】(B1) アルコキシシラン基を有する水溶
性又は水分散型アクリル共重合樹脂 本発明で用いるアルコキシシラン基を有する水溶性又は
水分散型アクリル共重合樹脂は、(B1−1) 分子内に
重合性不飽和結合(二重結合)とアルコキシシラン基と
を有し、アルコキシシラン基中にアルコキシル基が少な
くとも1個ある化合物と、(B1−2) アクリルモノマ
ーとを共重合して得られる。
【0017】(B1−1) 成分としては、ジビニルジメ
トキシシラン、ジビニル−β−ジメトキシエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリプロポキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキ
シシラン、ビニルトリペントキシシラン、ビニルトリ−
β−メトキシエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロ
ピルトリエトキシシラン、トリメトキシアリルシラン、
トリエトキシアリルシラン、(メタ)アクリロイロメチ
ルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイロエチルト
リメトキシシラン、(メタ)アクリロイロプロピルトリ
メトキシシランなどのような不飽和ジアルコキシシラン
化合物又は不飽和トリアルコキシシラン化合物が挙げら
れる。
【0018】また、アクリルモノマー(B1−2) と
は、(B1−2−1)例えばアクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、ビニル酢酸、イタコン酸、マレイン酸
などのエチレン性不飽和カルボン酸、(B1−2−2)
例えば2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ
エチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブ
チルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートな
どの水酸基含有アクリル系単量体、及び(B1−2−
3) 他の共重合可能なα、β−エチレン性不飽和単量体
(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸
ビニルなどのビニル化合物、アクリロニトリル、アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなど)からなる群から選ば
れた1種又は2種以上の化合物である。なお、本発明の
(B1) 成分はまた、上記アクリル共重合体の加水分解
縮合物(アルコキシシラン基の反応後シラン基が加水分
解してなる)を含む。
【0019】アクリル共重合樹脂(B1) 中における
(B1−1) 成分は、アクリル共重合樹脂(B1) に対
して固形分基準で、0.1 〜30重量%であるのが好まし
い。0.1重量%未満では、艶消し効果が得られず、一方3
0重量%を越えると、均一な塗膜が得られない。B1成
分中におけるB1−1成分の好ましい含有量は1〜20重
量%である。
【0020】アクリル共重合樹脂(B1) の好ましい酸
価は30〜100 で、より好ましくは40〜70である。酸価が
30以上であれば、水溶性又は水分散型となりやすく、ま
た 100以下であれば電着塗装後塗膜の再溶解を起こさ
ず、耐水性が十分に得られる。
【0021】またアクリル共重合樹脂(B1) の好まし
い水酸基価は30〜150 で、より好ましくは40〜100 であ
る。水酸基価が30以上であれば、硬化性が十分であり、
また150以下であれば、耐水性が十分に得られる。
【0022】アクリル共重合樹脂(B1) の好ましい数
平均分子量は、 3,000〜70,000で、より好ましくは10,0
00〜50,000である。数平均分子量が 3,000以上であれ
ば、塗膜耐久性が十分に得られ、また70,000以下であれ
ば水溶性又は水分散型となりやすく、粘度が適切で、取
り扱い性が良好である。
【0023】アクリル共重合樹脂(B1) の好ましいガ
ラス転移温度は−20〜60℃で、より好ましくは0〜40℃
である。ガラス転移温度が−20℃以上であれば、塗膜硬
度、耐久性及び強度が十分に得られ、また60℃以下であ
れば塗膜の柔軟性が十分に得られる。
【0024】エチレン性不飽和カルボン酸(B1−2−
1) の使用量としては、所定の酸価を与えるのに必要な
量を選択する。
【0025】また水酸基含有アクリル系単量体(B1−
2−2)の使用量としては、所定の水酸基価を与えるの
に必要な量を選択する。
【0026】さらにα、β−エチレン性不飽和単量体
(B1−2−3)の使用量としては、樹脂の所望のガラ
ス転移温度を決定するために必要な量を選択する。また
B1−2−1、B1−2−2及びB1−2−3の合計は
100 重量%である。
【0027】アクリル共重合樹脂(B1) の重合方法と
しては、公知の溶液重合法、非水性分散重合法、塊状重
合法などに限らず、乳化重合法、乳化重合法における溶
剤置換法なども使用することができる。
【0028】(B1) 成分を水溶性又は水分散型とする
ために、(B1) 成分中のカルボキシル基の少なくとも
一部を塩基性物質、例えば有機アミンあるいはアンモニ
アで中和するのが好ましい。かかる塩基性物質として
は、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルアミノ
エタノール、ジエチルアミノエタノールなどの有機アミ
ン、あるいはアンモニアが好適である。
【0029】このようにして得られるアクリル共重合樹
脂(B1) は、粒子が架橋することにより不溶性のゲル
構造となり、この不溶性のゲル粒子が一次的艶消し作用
を有する。
【0030】(B2) 前記(B1) 成分以外の水溶性又
は水分散型アクリル共重合樹脂 (B2) 成分は、(B2−1) 例えばアクリル酸、メタ
アクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、イタコン酸、マ
レイン酸などのエチレン性不飽和カルボキン酸、(B2
−2) 例えば2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルア
クリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒド
ロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリ
レートなどの水酸基含有アクリル系単量体、及び(B2
−3) 他の共重合可能なα、β−エチレン性不飽和単量
体(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
酢酸ビニルなどのビニル化合物、アクリロニトリル、ア
クリルアミド、メタクリルアミドなど)の1種又は2種
以上を共重合することにより製造することができる。
(B2) 成分は、前述の(B1) 成分と相溶性を有さな
ければならないので、(B1) 成分と(B2) 成分との
溶解性パラメーター(SP値)の差(△SP)は小さい
ことが必要であり、具体的には△SPが2以下であるの
が好ましい。
【0031】また、艶消し度と塗膜の柔軟度等の物性を
コントロールするために、(B2)成分として、異なる
物性を有するものを複数種類併用するのが好ましい。そ
のために、例えば、下記(B2−イ)成分、(B2−
ロ)成分及び(B2−ハ)成分を組み合わせて用いるの
が好ましい。(B2−イ)成分は、(B1) 成分よりガ
ラス転移温度が10〜40℃高いアクリル共重合樹脂で
あり、(B2−ロ)成分は(B1) 成分とのガラス転移
温度の差が5℃以内のアクリル共重合樹脂であり、(B
2−ハ)成分は(B1) 成分よりガラス転移温度が10〜
40℃低いアクリル共重合樹脂である。なお、ガラス転移
温度としては、高分子刊行会発行「塗料用合成樹脂入
門」10、アクリル樹脂の項を参照されたい。
【0032】(B2) 成分を水溶性又は水分散型とする
ためには、(B1) 成分と同じ方法で中和すればよい。
また、(B2) 成分の重合方法も(B1) 成分の場合と
同じでよい。
【0033】(C)架橋剤 本発明で用いる架橋剤は、アミノ樹脂及び/又はブロッ
クイソシアネート化合物である。アミノ樹脂としては、
メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる
が、好ましくはメラミン樹脂である。より好ましくは、
アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキ
シ基、i-ブトキシ基などを有するアルコキシメチルメラ
ミン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、通常メラミン
にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデ
ヒドを付加反応又は付加縮合反応させて得たものを、炭
素数1〜4の1価アルコールでエーテル化して得られ
る。本発明においては、水溶性の塗膜性能及び電着性の
観点からメチル/ブチル混合エーテル型メラミンが好適
である。
【0034】上記のメラミン樹脂としては、固形分基準
で15重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好まし
くは50重量%以上が実質的に非水溶性のメラミン樹脂で
あって、実質的に非水溶性のメラミン樹脂のエーテル化
度が3.5 以上であり、ブチルエーテル基数/メチルエー
テル基数が7/3以上であるものを用いるのが好まし
い。さらに、外観、電着性の観点より、単核体及び2核
体の合計が50重量%以上のものを用いるのが好ましい。
【0035】架橋剤として、この実質的に非水溶性のメ
ラミン樹脂を用いると、水溶性又は水分散性のアクリル
共重合樹脂(B1) (又は(B1) +(B2) )を含む
塗料組成物から塗膜が形成される時に、塗膜の表層のア
クリル樹脂が水に部分的に再溶解して、表層には実質的
に非水溶性のメラミン樹脂が多く存在することになり、
塗膜の表層ほどメラミン樹脂の濃度が高くなるので、表
層ほど硬化反応が大きくなり、結果的に表層に微細な凹
凸ができる。これが2次的な艶消し作用である。この実
質的に非水溶性のメラミン樹脂による艶消しは、水の影
響を受けにくく、塗装条件、水洗条件、乾燥条件なとが
変動しても、比較的光沢が安定した艶消し塗膜が得られ
る。
【0036】また、ブロックイソシアネート化合物は、
ブロック剤でイソシアネート基の反応をブロックしたも
ので、ブロック剤(括弧内は解離温度)としては、メタ
ノール( 180〜185 ℃) 、エタノール( 180〜185 ℃)
、n−ぺンタノール( 205〜210 ℃) 、エチレンクロ
ルヒドリン( 155〜160 ℃) 、イソプロピルアルコール
( 170〜175 ℃) 等のアルコール類、フェノール( 140
〜145 ℃) 、p-ニトロフェノール( 120〜125 ℃) 、ク
レゾール( 135〜140 ℃) 等のフェノール類、アセチル
アセトン( 105〜110 ℃) 、アセト酢酸エチル( 125〜
130 ℃) 、MEKオキシム( 150〜155 ℃) 、ε−カプ
ロラクタム( 140〜144 ℃) 等が挙げられる。好ましく
は、解離温度が100 〜180 ℃のブロック剤を、より好ま
しくは解離温度が120 〜160 ℃のブロック剤を用いる。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイシアネナ
ート(TDI)系、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)系、ヘキサメチレンジイソシアネート(HD
I)系、イソホロンジイソシアネート(IPDI)系等
の脂肪族、脂環族の多官能イソシアネートを適宜1種又
は2種以上用いる。必要により錫系触媒を用いてもよ
い。
【0037】アミノ樹脂とブロックイソシアネート化合
物を併用してもよく、その場合各々の反応性の欠点を補
完することにより、一段と良好なバランスが得られるこ
とになる。
【0038】前述の通り、本発明の方法に用いる艶消し
電着塗料組成物は、(A)成分、(B1) 成分及び
(C)成分、及び必要に応じて(B2) 成分を含むが、
本発明の好ましい態様においては、さらに後述する
(D)架橋樹脂粒子を含む。
【0039】(D)架橋樹脂粒子 本発明で用いることができる架橋樹脂粒子は平均粒径
0.02〜30μmのもので、(B1) 成分から得られ
る架橋樹脂粒子以外のものである。架橋樹脂粒子は、ア
クリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン
樹脂等のいずれかを架橋してなるものであるが、製法の
容易さからアクリル樹脂を架橋してなる粒子が好まし
い。
【0040】平均粒子径0.02〜30μmの架橋樹脂微粒子
は、例えば、アクリル樹脂を用いた場合、下記(1)及び
(2)に例示するモノマーの各々少なくとも1種を、通常
の乳化重合法、ソープフリー重合法、懸濁重合法、NA
D重合法、沈澱重合法、後乳化法等により共重合させ、
所望により粉砕、分級することにより得られる。
【0041】(1) 分子内に2個以上のラジカル重合可能
なエチレン性不飽和基を有する単量体(架橋用単量
体)、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチルプロパントリメタクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペン
タエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロール
ジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリ
セロールフタロキシジメタクリレート、1,1,1−ト
リスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,
1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、
1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタクリ
レート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタント
リメタクリレート、1,1,1−トリヒドロキシメチル
プロパンジアクリレート、1,1,1−トリヒドロキシ
メチルプロパンアクリレート、1,1,1−トリヒドロ
キシプロパンジメタクリレート、1,1,1−トリヒド
ロキシメチルプロパントリメタクリレート、トリアリル
シアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリ
ルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリル
フタレート及びジビニルベンゼン等。
【0042】(2) 下記に例示するような分子内に重合可
能な基を1つ有する単官能性単量体 I)カルボキシ基含有単量体、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸など。 II)ヒドロキシル基含有単量体、例えば、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレー
ト、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコー
ル、メタアリルアルコールなど。 III )含窒素アルキルアクリレートもしくはメタクリレ
ート、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジ
メチルアミノエチルメタクリレートなど。 IV)重合性アミド、例えば、アクリル酸アミド、メタク
リル酸アミドなど。 V)重合性ニトリル、例えば、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなど。 VI)アルキルアクリレートもしくはメタクリレート、例
えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エ
チルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートな
ど。 VII )重合性芳香族化合物、例えば、スチレン、α−メ
チルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンな
ど。 VIII)α−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン
など。 IX)ビニル化合物、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルなど。 X)ジエン化合物、例えば、ブタジエン、イソプレンな
ど。 XI)含ケイ素アルキルアクリレート、メタクリレートも
しくは含ケイ素ビニル化合物、例えば、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシランなど。 XII )含フッ素化合物、例えばテトラフルオロエチレ
ン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
ピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなど。
【0043】得られる架橋樹脂粒子の粒径は、その重合
法によってコントロールできる。例えば、0.02〜0.6 μ
mの粒径に対しては乳化重合法、NAD法等が適してお
り、0.2〜30μmの粒子に対しては沈澱重合法が適して
いる。
【0044】上記架橋樹脂粒子をアクリル樹脂から形成
する場合、スルホン酸基、硫酸エステル基等を有する開
始剤を用いてエチレン性不飽和単量体を重合する方法、
スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸基、リン酸エス
テル基等を有する乳化剤を用いてエチレン性不飽和単量
体を重合する方法、スルホン酸基、硫酸エステル基、リ
ン酸基、リン酸エステル基等を有する単量体を用いて重
合する方法等により、酸性基を架橋樹脂粒子表面に担持
させるのが好ましい。
【0045】スルホン酸基、硫酸エステル基等を有する
開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられ、所望によ
り他の重合開始剤、例えば有機過酸化物、有機アゾ化
物、レドックス開始剤などと組合せて使用することがで
きる。
【0046】かかる重合開始剤は、あらかじめ反応媒体
中へ入れておいてもよく、また構成モノマーと同時に滴
下してもよい。これらの重合開始剤の使用量は、通常全
単量体に対して0.05〜5%、好ましくは0.1 〜3%の範
囲で選定するが、スルホン酸基、硫酸エステル基の担持
を重合開始剤のみにゆだねる場合、重合開始剤の使用量
は、当然所定量の酸性基を粒子表面に担持するのに必要
な量以上である。さらに必要に応じて、通常の連鎖移動
剤(例えば、ラウリルメルカプタン、ヘキシルメルカプ
タンなどのメルカプタン類)を適量併用してもよい。
【0047】架橋樹脂粒子は、平均粒径が0.02μm未満
では艶消し効果が少ない。また平均粒径が30μmを超え
ると塗膜がざらつき、汚れやすくなる。好ましい平均粒
径は0.1〜5μmである。
【0048】水性媒体又は非水性有機媒体中で製造した
架橋樹脂粒子は、濾過、スプレー乾燥、凍結乾燥などの
方法で微小樹脂粒子だけを単離し、そのままもしくはミ
ルなどを用いて適当な粒径に粉砕して用いる。あるい
は、合成した分散液をそのまま又は溶媒置換により媒体
を置換して用いることもできる。
【0049】本発明に用いる艶消し電着塗料組成物中の
各成分の混合割合は下記の通りである。
【0050】本発明の第一の組成物を用いる場合、
(A)成分、(B1) 成分及び(C)成分の混合割合
は、固形分を基準にして、(A)成分が5〜50重量%、
(B1) 成分が5〜60重量%、(C) 成分が20〜60重量
%である。好ましくは、(A)成分が7〜45重量%、
(B1) 成分が10〜55重量%、(C) 成分が25〜55重量
%である。上記範囲内で所望の艶消し度になるよう選択
すればよい。
【0051】(A)成分が5重量%未満では、得られる
塗膜の耐候性が不足し、一方50重量%を超えると密着性
が悪くなり、さらにコスト高になるわりに耐候性のアッ
プが少なく、さらに低い艶を得るのが困難になる。(B
1) 成分が5重量%未満では、塗膜の艶消し効果が不十
分で、一方60重量%を超えると、塗膜の艶が引け過ぎて
ザラザラして汚れやすくなる。(C) 成分が20重量%未
満では、硬化が不十分で塗膜強度が不足し、一方60重量
%を超えると、硬くて脆い塗膜となる。
【0052】また本発明の第二の組成物を用いる場合、
(A)成分、(B1)成分、(B2) 成分及び(C) 成
分の混合割合は、固形分を基準にして、(A)成分が5
〜50重量%、(B1) 成分が5〜55重量%、(B2) 成
分が5〜40重量%、(C) 成分が20〜60重量%である。
好ましくは、(A)成分が7〜45重量%、(B1) 成分
が10〜50重量%、(B2) 成分が10〜35重量%、(C)
成分が25〜55重量%である。上記範囲内で所望の艶消し
度になるよう選択すればよい。
【0053】(A)成分が5重量%未満では、耐候性が
不足し、一方50重量%を超えると、密着性が悪くなり、
コストが高くなるわりに耐候性のアップが少なく、また
低い艶を得ることが困難になる。(B1) 成分が5重量
%未満では塗膜の艶消し効果が不十分で、一方55重量%
を超えると、塗膜の艶が引け過ぎてザラザラして汚れや
すくなる。(B2) 成分が5重量%未満では、光沢調
整、物性調整が十分できず、一方40重量%を超えると、
塗膜の艶消しと耐候性とのバランスがとりにくくなる。
(C) 成分が20重量%未満では、硬化が不十分で塗膜強
度が不足し、一方60重量%を超えると、硬くて脆い塗
膜となる。
【0054】また、必要に応じて用いる(D)成分の混
合割合は、塗料組成物(D成分を含有しない)100重
量部当り1〜100重量部(以下単に「phr」で表わ
す)、好ましくは5〜50phrである。(D)成分が
1phr未満では色ムラが出やすく、一方100phr
を超えると塗装作業性が低下する。
【0055】本発明においては、(D)成分を艶ムラ防
止及びダイス目防止のレベルアップの良好な塗膜を得る
ために配合するが、これは艶消しの目的では必須成分で
はない。
【0056】「水分散性」及び「水溶性」は、酸価と中
和度によってコントロール可能である。例えば中和度が
100のとき、酸価が35では水分散性となり、酸価が50で
は水溶性となる。
【0057】(A)成分、(B1) 成分、(C) 成分及
び必要に応じ(B2) 成分及び(D)成分は、塩基を含
む水性媒体中に分散する。これらの塩基は、電着可能な
水溶性樹脂を中和するために用いる。中和に用いる塩基
としては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、
トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、
ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール
などの有機アミンあるいはアンモニアなどがある。
【0058】水性媒体は、水、又は水と水混和性有機溶
剤との混合物である。必要に応じ、水性媒体に水不混和
性の有機溶剤を添加してもよい。水混和性有機溶剤とし
ては、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、ジ
アセトンアルコール、4-メトキシ-4- メチルペンタノン
-2、メチルエチルケトンなどがある。また、水不混和性
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、メチルイソブ
チルケトン、2-エチルヘキサノールなどがある。
【0059】さらに、所望により、乾きムラ及び水洗性
を改善するための界面活性剤、艶消し補助及び平滑性改
善のための顔料、平滑性及び艶消し改善のためのワック
ス、ラテックス等、その他に着色剤、可塑剤、酸性・塩
基性物質等を適宜加えることができる。
【0060】本発明の塗料組成物は、カルボキシル基の
ようなアニオン性官能基を含有するためにアニオン型電
着塗装に使用するが、正の電荷と親水性を与えるような
アミノ基等のカチオン性官能基を付与し、揮発性の酸で
中和することにより、カチオン型電着塗装法に使用する
こともできる。
【0061】本発明により艶消し電着塗装を実施する場
合、電着塗料浴中の塗料組成物の固形分濃度は、3〜20
重量%が適当である。3重量%未満の場合には塗装電圧
が高くなりすぎ、一方20重量%を超えると塗装系外への
損失が大きく経済的でない。好ましくは5〜15重量%で
ある。また、電着塗装は、通常電着塗料浴温度15〜35
℃、塗装電圧80〜350 V及び電着時間1〜5分の条件で
行うことができる。
【0062】電着塗装した被塗物は必要により水洗し、
ついで 150〜200 ℃で10〜60分間、加熱硬化する。この
ようにして、所望の艶消し効果を有する電着塗膜が形成
される。乾燥膜厚は、5〜30μmが好適である。
【0063】本発明の艶消し電着塗装方法に適用できる
被塗物は、導電性を有するものであれば特に限定されな
いが、被塗物としてアルミニウム又はアルミニウム合金
を用いた場合には、平滑性等の性能に優れた均一な艶消
し塗膜が得られる。本発明の方法は、電着塗装物全般に
わたって適用し得るものであるが、特にアルミサッシ等
のアルミニウム製品の艶消しに好適である。
【0064】
【作用】水溶性フッ素樹脂(A成分)、アルコキシシラ
ン基を有する水溶性又は水分散型アクリル共重合樹脂
(B1成分)、さらに必要に応じて、前記B1成分以外
の水溶性又は水分散型アクリル共重合樹脂(B2成分)
及び架橋樹脂粒子(D成分)を混合し、架橋剤(C成
分)により架橋することにより、艶消し度合いのコント
ロールが可能となり、さらに高耐候性で、しかも安定的
に艶ムラのない艶消し塗膜を電着塗装により形成するこ
とが可能となる。また(C)成分の一部として実質的に
非水溶性のメラミン樹脂を配合することにより、より一
層安定した艶消し塗膜が得られる。
【0065】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例により、さらに
詳細に説明する。
【0066】合成例1 アルコキシシラン基を有する水溶性又は水分散型アクリ
ル共重合樹脂(B1−a〜 B1−e)の製造
【0067】アルコキシシラン基含有単量体(B1─
1)として下記に示す化合物(B1−1−1、B1−1
−2)、エチレン性不飽和カルボン酸(B1−2−1)
としてメタクリル酸(MAA)、水酸基含有アクリル系
単量体(B1−2−2)として2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート(2HEMA)、α,β−エチレン性不飽
和単量体(B1−2−3)としてメチルメタクリレート
(MMA)、n−ブチルアクリレート(n−BA)、ラ
ウリルメタクリレート(LMA)及びスチレン(ST)
を表1に示す割合で配合し、共重合させてアルコキシシ
ラン基を有するアクリル共重合樹脂(B1成分)ワニス
を得た。
【0068】B1−1−1:ビニルトリエトキシシラン B1−1−2:メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン
【0069】重合に用いた溶剤は、イソプロパノール/
ブチルセロソルブの混合溶剤(重量比=8/2)であ
る。また表1に示す数平均分子量になるように、重合開
始剤(AIBN)の量を決めた。B1成分の特性を表1
に示す。
【0070】得られたB1成分のワニスに、カルボキシ
ル基に対して 0.6当量の割合でトリエチルアミンを加
え、均一に混合して水溶性化した。
【0071】 表1 出発モノマー B1成分の種類 の種類 B1-a B1-b B1-c B1-d B1-e B1−1 B1-1-1 4.8 9.1 − − 1.8 B1-1-2 − − 4.8 9.1 − B1−2−1 MAA 7.3 7.0 5.8 9.7 7.3 B1−2−2 2HEMA 13.3 12.7 8.8 21.1 13.3 B1−2−3 MMA 37.6 − 36.2 36.1 39.5 n−BA 37.0 34.6 − − 38.5 LMA − − 44.4 24.0 − ST − 36.6 − − −B1成分の特性値 酸価 47 45 38 63 48 水酸基価 57 54 38 90 59 Tg(℃) 20 20 0 40 20 数平均分子量 30,000 30,000 10,000 50,000 30,000 N.V.(%) 50 50 50 50 50 (加熱残分) 配合量:重量部
【0072】合成例2 水溶性又は水分散性アクリル共重合樹脂(B2−a 〜
B2−d)の製造 エチレン性不飽和カルボン酸(B2−1)としてメタク
リル酸(MAA)及びアクリル酸(AA)、水酸基含有
アクリル系単量体(B2−2)として2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート(2HEMA)及びヒドロキシプロ
ピルアクリレート(HPA)、エチレン性不飽和単量体
(B2−3)としてメチルメタクリレート(MMA)、
スチレン(ST)、n−ブチルアクリレート(n−B
A)、ラウリルメタクリレート(LMA)及びエチルア
クリレート(EA)を表2に示す割合で配合し、共重合
させてアクリル共重合樹脂(B2成分)のワニスを得
た。B2成分の特性を表2に示す。次いで、得られたワ
ニスに、カルボキシル基に対して 0.6当量の割合で、ト
リエチルアミンを加え、均一に混合して水溶性化した。
【0073】 表2 出発モノマー B2成分の種類 の種類 B2-a B2-b B2-c B2-d B2−1 MAA − 6.1 − − AA 6.4 − 6.4 6.4 B2−2 2HEMA 13.9 − 13.9 13.9 HPA − 11.6 − −B2−3 MMA 47.2 53.4 − 29.2 ST − − 52.9 − n−BA − − − − LMA 32.5 28.9 − 50.5 EA − − 26.8 −B2成分の特性値 酸価 50 40 50 50 水酸基価 60 50 60 60 Tg(℃) 20 30 50 −10 数平均分子量 20,000 30,000 20,000 20,000 N.V.(%) 50 50 50 50 (加熱残分) 配合量:重量部
【0074】合成例3 架橋樹脂粒子(D−1)の製造 攪拌機、加熱槽、滴下ロート及び冷却管を具備した1リ
ットルのガラス製丸底の反応容器に、脱イオン水38
9.5重量部とメチルメタクリレート5重量部を仕込ん
だ。80℃まで昇温した後、脱イオン水10重量部に溶
解した過硫酸アンモニア0.5重量部を投入し、5分間
攪拌を行った。その後、スチレン30重量部、メチルメ
タクリレート3重量部、n−ブチルアクリレート50重
量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2重量部、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート10重量部か
らなるモノマー混合物を2時間かけて滴下した。滴下終
了後、さらに1時間80℃に保温しながら攪拌し、白色
のエマルジョンを得た。得られた架橋樹脂粒子の平均粒
径は、0.3μmであった。
【0075】合成例4 架橋樹脂粒子(D−2)の製造 ステンレスビーカー中で、アクリル樹脂・アミン中和物
(コータックスWE−866:東レ(株)製)22重量
部、モノマー混合物(スチレン30重量部、メチルメタ
クリレート13重量部、n−ブチルアクリレート45重
量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2重量部及
びネオペンチルグリコールジメタクリレート10重量
部)、乳化剤(RA−1022、日本乳化剤(株)製)
2重量部及び脱イオン水200重量部をよく攪拌し、モ
ノマー乳化液とした。合成例2と同様の反応容器中で、
このモノマー乳化液を、開始剤水溶液(アゾビスシアノ
ヴァレリックアシッド1重量部、トリエチルアミン0.
612重量部及び脱イオン水308重量部)に1時間か
けて滴下した。さらに、1時間保温しながら攪拌しエマ
ルジョンを得た。得られた架橋樹脂粒子の平均粒径は
0.1μmであった。
【0076】合成例5 架橋樹脂粒子(D−3)の製造 非架橋性のメチルメタクリレートを種子粒子として用い
た以外は、合成例3と同様にして平均粒径2μmの架橋
樹脂粒子を得た。
【0077】実施例1 表3に示す割合で、(A)成分としてフルオロエチレン
−シクロヘキシルビニルエーテル系共重合体(ルミフロ
ン916:旭硝子(株)製)、(B1)成分として合成
例1で得られたアルコキシシラン基を有する水溶性アク
リル共重合樹脂ワニス、及び(C)成分としてブトキシ
/メトキシメチロール化メラミン樹脂(ニカラックMX
−40:三和ケミカル(株)製)を均一に混合し、純水
で希釈して固形分10重量%の艶消し電着塗料を得た。得
られた艶消し電着塗料中の各成分の相溶性を評価した。
結果を表4に示す。
【0078】上記電着塗料を用いて、アルミニウム板
(A6063S)にアルマイト処理(皮膜厚9μm)したも
のを陽極とし、 160Vの直流電圧にて 2.5分間電着塗装
をした。電着後水洗し、 180℃で30分間焼付けをした。
得られた各塗膜について外観、艶消し度(光沢)、耐候
性、アルミニウム板との付着性及び硬度を下記の評価方
法及び評価基準により評価した。結果を表4に示す。
【0079】評価方法及び評価基準 (1)相溶性 ガラス板に乾燥膜厚が約5μmとなるように塗布し、 1
40℃で20分間加熱した後で透明度を目視により観察し、
透明度に応じて下記の基準により評価した。 ○………透明 △………わずかに濁りあり ×………濁りあり
【0080】(2)塗膜外観 焼付け後の電着塗膜面を目視により観察し、ハジキ、ブ
ツ、ヘコミ、ザラツキ等の異常の有無に応じて下記の基
準により評価した。 ○………異常なし △………わずかに異常あり ×………異常あり
【0081】(3)艶消し度 60°鏡面反射による光沢度を JIS K 5400 7.6 に準拠し
て測定した。
【0082】(4)耐候性 サンシャインウェザロメータを用い、3000時間後の塗膜
外観の変色度を以下の基準により評価した。 ◎………異常なし ○………ごくわずかに変色あり △………少し変色あり ×………顕著な変色あり
【0083】(5)付着性 1mm目で10×10個のゴバン目テスト(JIS K 5400準拠)
を行い、アルミニウム素地との付着性を、剥離しない個
数/100 に応じて、以下のように評価した。 ◎……… 100/100 ○………99/100 〜95/100 △………94/100 〜90/100 ×………89/100 〜0/100
【0084】(6)硬度 焼付け後の塗膜を20℃まで徐冷後、JIS K 5400 8.4に準
拠して鉛筆引っかきテストを行った。引っかき傷が生じ
た鉛筆の硬度により塗膜の硬度を表わす。
【0085】実施例2〜22、比較例1〜7 実施例1と同様に、表3に示す組成及び割合で塗料を作
成し、実施例1と同じ方法で塗装し、評価を行った。結
果を表4に示す。
【0086】 表3 塗料の 実施例No. 成分 A成分 A−1(1) 30 5 50 35 35 15 45 20 A−2(2) − − − − − − − − A−3(3) − − − − − − − −B1成分 B1−a 35 − − − 15 − − − B1−b − 60 − − − − − − B1−c − − 15 − − − − − B1−d − − − 30 15 50 − − B1−e − − − − − − 30 30B2成分 B2−a − − − − − − − − B2−b − − − − − − − − B2−c − − − − − − − − B2−d − − − − − − − −C成分 C−1(4) 35 35 35 35 35 35 25 50 C−2(5) − − − − − − − − C−3(6) − − − − − − − − C−4(7) − − − − − − − −D成分 D−1 − − − − − − − − D−2 − − − − − − − − D−3 − − − − − − − − 配合量:固形分重量部(但し、D成分はphr)
【0087】 表3(続き) 塗料の 実施例No. 成分 10 11 12 13 14 15 A成分 A−1(1) 10 20 15 − − 35 25 A−2(2) − − − 25 − − − A−3(3) − − − − 25 − −B1成分 B1−a 35 35 10 20 20 30 − B1−b − − − − − − 20 B1−c − − − − − − − B1−d − − − − − − − B1−e − − − − − − −B2成分 B2−a 20 10 40 − − − − B2−b − − − 20 − − − B2−c − − − − 20 − − B2−d − − − − − − 20C成分 C−1(4) 35 35 35 35 35 − − C−2(5) − − − − − 35 − C−3(6) − − − − − − 35 C−4(7) − − − − − − −D成分 D−1 − − − − − − − D−2 − − − − − − − D−3 − − − − − − − 配合量:固形分重量部(但し、D成分はphr)
【0088】 表3(続き) 塗料の 実施例No. 成分 16 17 18 19 20 21 22 A成分 A−1(1) 25 25 35 − − 25 − A−2(2) − − − 25 − − 25 A−3(3) − − − − 25 − −B1成分 B1−a − − 30 − − − − B1−b − − − 20 − − − B1−c 20 20 − − 20 − − B1−d − − − − − 20 − B1−e − − − − − − 20B2成分 B2−a 20 20 − 20 − − − B2−b − − − − 20 − − B2−c − − − − − 20 − B2−d − − − − − − 20C成分 C−1(4) 15 17.5 35 35 35 5 10 C−2(5) − − − − − − − C−3(6) − − − − − − − C−4(7) 20 17.5 − − − 30 25D成分 D−1 − − 30 − − 10 70 D−2 − − − 30 − − − D−3 − − − − 30 − − 配合量:固形分重量部(但し、D成分はphr)
【0089】 表3(続き) 塗料の 比較例No. 成分 A成分 A−1(1) 3 60 50 − 40 10 5 A−2(2) − − − − − − − A−3(3) − − − − − − −B1成分 B1−a 60 10 − − 50 20 10 B1−b − − 3 70 − − − B1−c − − − − − − − B1−d − − − − − − − B1−e − − − − − − −B2成分 B2−a − − − − − − 50 B2−b − − − − − − − B2−c − − − − − − − B2−d − − − − − − −C成分 C−1(4) 37 30 47 30 10 70 35 C−2(5) − − − − − − − C−3(6) − − − − − − − C−4(7) − − − − − − −D成分 D−1 − − − − − − − D−2 − − − − − − − D−3 − − − − − − − 配合量:固形分重量部(但し、D成分はphr)
【0090】(注): (1) :フルオロエチレン−シクロヘキシルビニルエーテ
ル系共重合体(ルミフロン916:旭硝子(株)製) (2) :フルオロエチレン−ビニルエーテル−ビニルエス
テル系共重合体(フルオネートK−701:大日本イン
キ化学工業(株)製) (3) :フルオロエチレン−ビニルエーテル−アリルエー
テル−ビニルエステル系共重合体(セフラルコートA−
201TB:セントラル硝子(株)製) (4) :ブトキシ/メトキシメチロール化メラミン樹脂
(ニカラックMX−40、三和ケミカル(株)製) (5) :HDI/オキシムブロック(デスモジュールBL
−3175、住友バイエル(株)製) (6) :C−1/C−2の混合物(固形分の重量比C−1
/C−2=8/2) (7) :実質的に非水溶性のメラミン樹脂(ユーバン12
0、三井東圧化学(株)製、エーテル化度5.5、ブチ
ルエーテル基数/メチルエーテル基数=5.5/0、単
核体及び2核体の合計=70%)
【0091】 表4 実施例No. 塗膜特性 相溶性 ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ 外観 ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ 艶消度 20 8 15 25 22 5 30 25 耐候性 ○ △ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ 付着性 ○ ◎ △ ○ ○ ○ △ ○ 硬度 4H 4H 4H 4H 4H 4H 3H 5H
【0092】 表4(続き) 実施例No. 塗膜特性 10 11 12 13 14 15 相溶性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 外観 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 艶消度 22 21 35 27 25 21 12 耐候性 △ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ 付着性 ◎ ○ ○ ○ ○ △ ○ 硬度 4H 4H 4H 4H 4H 4H 4H
【0093】 表4(続き) 実施例No. 塗膜特性 16 17 18 19 20 21 22 相溶性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 外観 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 艶消度 24 27 23 11 25 10 40 耐候性 ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ 付着性 ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ 硬度 4H 4H 4H 4H 4H 4H 4H
【0094】 表4(続き) 比較例No. 塗膜特性 相溶性 △ ○ ○ × ○ ○ ○ 外観 × ○ ○ × ○ ○ ○ 艶消度 8 40 70 3 15 28 45 耐候性 × ◎ ◎ × × × △ 付着性 ○ × △ ◎ ○ ○ ○ 硬度 4H 4H 4H 4H H 5H 4H
【0095】
【効果】以上に詳述した通り、本発明の艶消し塗膜の形
成方法においては、(B1)成分により艶消し作用を有
する粒子内ゲル構造が得られるので、艶消し度を任意に
コントロールすることができ、従って安定的に所望の艶
消し度が得られる。また、水溶性フッ素樹脂を配合する
ことにより、耐候性が向上する。さらに、水溶性又は水
分散型のアクリル共重合樹脂として所望のガラス転移温
度を有するものを使用することにより、電着塗膜の柔軟
度等の物性をコントロールすることができる。さらに実
質的に非水溶性のメラミン樹脂を含む架橋剤を用いるこ
とにより、一層安定した艶消し塗膜を形成することがで
きる。本発明においては、上記特徴を発揮し得る塗料組
成物を被塗物に応じて使い分けることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 13/00 G 7179−4K (72)発明者 小野 正利 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社東京事業所内 (72)発明者 谷口 英二 千葉県市原市千種海岸2番1 東レ株式会 社千葉工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 艶消し電着塗料組成物を希釈して電着す
    る艶消し塗膜の形成方法において、前記艶消し電着塗料
    組成物が、 (A)カルボキシル基及び水酸基を有する水溶性含フッ
    素共重合樹脂5〜50重量%(固形分基準、以下同じ)
    と、 (B1)アルコキシシラン基を有する水溶性又は水分散
    型アクリル共重合樹脂5〜60重量%と、 (C)架橋剤20〜60重量%とを含むことを特徴とする艶
    消し塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 艶消し電着塗料組成物を希釈して電着す
    る艶消し塗膜の形成方法において、前記艶消し電着塗料
    組成物が、 (A)カルボキシル基及び水酸基を有する水溶性含フッ
    素共重合樹脂5〜50重量%と、 (B1) アルコキシシラン基を有する水溶性又は水分散
    型アクリル共重合樹脂5〜55重量%と、 (B2) 前記(B1) 成分を除く、水溶性又は水分散型
    アクリル共重合樹脂5〜40重量%と、 (C)架橋剤 20〜60重量%とを含むことを特徴とする
    艶消し塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の艶消し塗膜の形
    成方法において、前記電着塗料組成物が、(D)平均粒
    径0.02〜30μmの架橋樹脂粒子(但し、前記(B1) 成
    分から得られる架橋樹脂粒子を除く)1〜100phrを
    さらに含むことを特徴とする艶消し塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の艶消し
    塗膜の形成方法において、前記架橋剤はメラミン樹脂を
    含有し、前記メラミン樹脂の15重量%以上は実質的に
    非水溶性のメラミン樹脂であって、前記実質的に非水溶
    性のメラミン樹脂はエーテル化度が3.5 以上であり、ブ
    チルエーテル基数/メチルエーテル基数が7/3以上で
    あることを特徴とする艶消し塗膜の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002129099A (ja) * 2000-10-26 2002-05-09 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物およびこれを用いる多層塗膜形成方法
CN104151968A (zh) * 2014-08-13 2014-11-19 经阁铝业科技股份有限公司 一种彩色水溶性电氟漆及其生产工艺

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JP2002129099A (ja) * 2000-10-26 2002-05-09 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料組成物およびこれを用いる多層塗膜形成方法
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