JP3001316B2 - 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法 - Google Patents

電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法

Info

Publication number
JP3001316B2
JP3001316B2 JP1854092A JP1854092A JP3001316B2 JP 3001316 B2 JP3001316 B2 JP 3001316B2 JP 1854092 A JP1854092 A JP 1854092A JP 1854092 A JP1854092 A JP 1854092A JP 3001316 B2 JP3001316 B2 JP 3001316B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
water
electrodeposition coating
weight
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1854092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05179176A (ja
Inventor
幸彦 西谷
正利 小野
英二 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Toray Industries Inc
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Toray Industries Inc
Nippon Paint Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd, Toray Industries Inc, Nippon Paint Holdings Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP1854092A priority Critical patent/JP3001316B2/ja
Publication of JPH05179176A publication Critical patent/JPH05179176A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3001316B2 publication Critical patent/JP3001316B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電着塗料組成物及び電着
塗膜を形成する方法に関し、特に、耐候性、耐汚染性、
撥水性に優れた電着塗膜を与えることができる電着塗料
組成物及び電着塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】フッ素
樹脂塗料は耐候性、耐汚染性、撥水性に優れた塗膜を与
えることができるので屋外用塗料等として使用されるよ
うになってきたが、非常に高価であるために、用途がご
く一部に限定されているのが現状である。
【0003】そこで、フッ素樹脂に他の樹脂(たとえば
アクリル樹脂やポリエステル樹脂等)を加えることによ
り、比較的安価に製造でき、かつ、フッ素樹脂塗膜のも
つ優れた耐候性、耐汚染性、撥水性と同等の性能を有す
る塗膜を与えることのできる電着塗料組成物の開発が行
われている。
【0004】フッ素樹脂とアクリル系樹脂とを含有する
電着塗料組成物として、たとえば、特開昭61-87765号に
は、酸価30〜100 を有するアクリル系ポリカルボン酸樹
脂と融点200 ℃以下のフッ素樹脂との混合物を、アンモ
ニア又は有機アミンで中和してなるものが開示されてい
る。この電着塗料組成物では、塗膜の焼き付け温度(通
常200 ℃程度) より低い融点を有するフッ素樹脂を用い
ることにより、焼き付け工程において、含まれるフッ素
樹脂を部分的に溶融又は軟化させ、塗膜中にフッ素樹脂
を均一に分布させ、耐候性の向上を図っている。
【0005】しかしながら、上述した特開昭61-87765号
の電着塗料組成物による塗膜では、フッ素樹脂の配合量
に見合っただけの優れた耐候性を得ることはできず、ビ
ルディング建造材等に要求される長期にわたる耐候性を
満足できない。
【0006】また、(a) カルボキシル基及び水酸基を有
し、特定の酸価及び水酸基価を有する含フッ素重合体の
カルボキシル基の少なくとも一部分を塩基性化合物で中
和してなる水分散性かつ電気泳動性の含フッ素重合体
と、(b) アミノプラストとを、(a) 成分/(b) 成分の重
量比50/50〜97/3の割合で水性媒体に分散してなる電
着塗料組成物(特開昭62-59676号)がある。本発明者の
研究によれば、この種の電着塗料組成物では、長期にわ
たって良好な耐候性を得るためには、比較的多くの含フ
ッ素重合体(フッ素樹脂)を用いなければならず、経済
的ではない。
【0007】さらに、フッ素樹脂塗膜のもつ良好な耐候
性と同等な性能を有する電着塗膜を比較的安価に形成す
る方法として、特開平2-122095号は、被塗物に対して第
一の電着塗装を施して被塗装面にアニオン型アクリル系
樹脂からなる皮膜を形成し、次に、第二の電着塗装を行
ってアニオン型フッ素系樹脂からなる皮膜を形成して加
熱する方法を開示している。特開平2-122095号によれ
ば、被塗装面に形成されたアクリル樹脂皮膜上にフッ素
樹脂皮膜が形成され、もって形成される塗膜の表層部分
にフッ素樹脂が多く配置されて耐久性(耐候性)が向上
する旨の記載がある。
【0008】しかしながら、本発明者等の研究によれ
ば、特開平2-122095号に記載の方法で二段階の電着塗装
を行えば、二回目の電着塗装により形成されるフッ素樹
脂含有皮膜が必ずしも塗膜表層部には形成されず、電着
塗装において電極となる被塗物の表面(被塗装面)にお
いてフッ素樹脂層が形成されやすい。したがって、得ら
れる塗膜の表層部には、それほど多くのフッ素樹脂成分
が配置されず、耐久性(耐候性)の大幅な向上はみられ
ない。
【0009】従って、本発明の目的は、良好な耐候性、
耐汚染性、撥水性を有する塗膜を形成することができる
電着塗料組成物、及びそのような電着塗膜を形成する方
法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく鋭
意検討を重ねた結果、本発明者等は、(a) 特定の酸価を
有する含フッ素共重合樹脂と、(b) 特定の酸価及び水酸
基価を有し、かつ上記含フッ素共重合樹脂よりも水溶性
又は水分散性に良好な水酸基含有樹脂と、(c)硬化剤と
をそれぞれ特定量含有する電着塗料組成物とすれば、電
着塗装により形成された(硬化前の)塗膜の表層部か
ら、水酸基含有樹脂成分の一部が電着塗料浴中に溶出
し、そのため、得られる塗膜の表層部における含フッ素
共重合樹脂成分の濃度が高くなり、もって塗膜の耐候性
が向上することを発見し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明の電着塗料組成物は、
(a) 酸価が15〜60の含フッ素共重合樹脂5〜50重量部
(固形分基準、以下同じ)、(b) 酸価が20〜150 で、水
酸基価が30〜200 の水溶性又は水分散性水酸基含有樹脂
20〜75重量部、及び(c) 架橋剤20〜60重量部を含有し、
前記(a) 成分が前記(b) 成分より低水溶性又は低水分散
性であることを特徴とする。
【0012】また、本発明の電着塗膜の形成方法は、
(a) 酸価が15〜60の含フッ素共重合樹脂5〜50重量部
(固形分基準、以下同じ)、(b) 酸価が20〜150 で、水
酸基価が30〜200 の水溶性又は水分散性水酸基含有樹脂
20〜75重量部、及び(c) 架橋剤20〜60重量部を含有する
塗料組成物を用いて電着塗装をすることを特徴とする。
【0013】本発明を以下詳細に説明する。(a) 含フッ素共重合樹脂
【0014】本発明で用いる含フッ素共重合樹脂(以下
フッ素樹脂と呼ぶ)は、分子内にカルボキシル基及び水
酸基を含有し、後述する(b) 成分と相溶するものであ
る。また、このフッ素樹脂は、基本的には電着用の塗料
組成物を調製するのに必要な水溶性又は水分散性を有す
るが、後述する(b) 成分(水酸基含有樹脂成分)よりは
低水溶性又は低水分散性のものである。
【0015】このフッ素樹脂の酸価は15〜60、好ましく
は25〜40である。酸価が15未満では水溶性になりにくい
ので、電着塗料の原料として適しない。一方、60を超え
ると水溶性が良好となりすぎ、電着塗装工程でフッ素樹
脂成分が塗料浴中に溶出しやすくなる。このようにフッ
素樹脂成分が塗料浴中に溶出しやすくなると、塗膜表層
部にフッ素樹脂成分をより多く配置するという目的を達
成することができなくなる。
【0016】一方、水酸基価は30〜200 であるのが好ま
しく、より好ましくは40〜100 である。水酸基価が30未
満では、後述する架橋剤との反応が不十分で硬化不良と
なり、一方200 を超えると、塗膜の耐水性、折り曲げ
性、耐衝撃性等に問題が生じてくる。
【0017】好ましい重量平均分子量は、5,000 〜200,
000 であり、より好ましくは5,000〜60,000である。重
量平均分子量が5,000 未満では塗膜性能全般が低下す
る。特に、耐候性に劣るようになる。一方、200,000 を
超えると粘度が高くなりすぎて取扱いが困難となり、樹
脂塗料としてフロー性が低下するので塗膜外観が非常に
悪くなる。また、他の樹脂成分との相溶性も低下する。
【0018】フッ素樹脂のガラス転移点Tgは、−20〜+
70℃であるのが好ましい。Tgが−20℃未満では塗膜が軟
質になりすぎ、また耐水性、耐薬品性等に劣るようにな
る。一方、+70℃を超すと塗膜が硬くなりすぎて脆くな
り、実用上好ましくない。より好ましいガラス転移点Tg
は−10〜+50℃である。
【0019】このようなフッ素樹脂(a) としては、フル
オロエチレン−ビニルエーテル系共重合体、フルオロエ
チレン−ビニルエーテル−ビニルエステル系共重合体、
フルオロエチレン−ビニルエーテル−アリルエーテル−
ビニルエステル系共重合体等が挙げられる。
【0020】フルオロエチレン−ビニルエーテル系共重
合体としては、旭硝子(株)より、ルミフロン926
(酸価20、水酸基価60)として市販されているもの
等を使用することができる。またフルオロエチレン−ビ
ニルエーテル−アリルエーテル−ビニルエステル系共重
合体としては、セントラル硝子(株)よりセフラルコー
トXA−5000−2(酸価36、水酸基価50)、セ
フラルコートXA−500−3(酸価33、水酸基価5
2)等として市販されているものを使用することができ
る。またアクリル樹脂の側鎖にフッ素樹脂が結合したも
のが東レ(株)よりコータックスFX−300(酸価3
0、水酸基価50)等として市販されている。
【0021】フッ素樹脂の「水溶性」及び「水分散性」
は、酸価及び中和度の調節によってコントロールするこ
とができる。一般に、酸価及び中和度を低く抑えると水
溶性が低下する。フッ素樹脂に含まれるカルボキシル基
の量を調節することで酸価を所望の値まで低下させるこ
とができる。フッ素樹脂の水溶性又は水分散性は、後述
する(b) 成分(水酸基含有樹脂)の水溶性又は水分散性
より低く設定する。
【0022】中和に用いる物質としては、モノメチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジ
イソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチル
エタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ピリジ
ン、ピペリジンなどの有機アミン、あるいはアンモニア
が好適である。
【0023】(b) 水溶性又は水分散性水酸基含有樹脂 本発明で用いる水溶性又は水分散性水酸基含有樹脂は、
分子中に少なくとも2個の水酸基を有する樹脂であり、
(b-1) アクリル樹脂、(b-2) ポリエステル系樹脂又はア
ルキド樹脂等を好適に用いることができる。特に、(b-
1) アクリル樹脂は上述した(a) フッ素樹脂との相溶性
が良好であり好ましい。
【0024】このような水酸基含有樹脂は、酸価が20〜
150 、好ましくは30〜100 であり、また、水酸基価は30
〜200 、好ましくは40〜100 である。
【0025】酸価が20未満では水希釈性が低下し、良好
な電着塗料組成物を調製することができない。一方、酸
価が150 を越すと、塗膜の耐候性及び耐水性が低下す
る。
【0026】水酸基含有樹脂の水酸基価が30未満では塗
膜の硬化性が低下する。一方、200を超す水酸基価を有
すると、塗膜が脆くなったり、耐水性が低下する。
【0027】また、水酸基含有樹脂のガラス転移点Tgは
−20〜+60℃にあるのが好ましい。ガラス転移点が−20
℃未満では塗膜の耐久性及び耐水性が低下し、一方、+
60℃を超すと塗膜が硬くなりすぎるので好ましくない。
より好ましいガラス転移点は−10〜+50℃である。
【0028】さらに、水酸基含有樹脂の重量平均分子量
は2,000 〜200,000 であるのが好ましく、より好ましく
は10,000〜100,000 である。重量平均分子量が3,000 未
満では塗膜性能全般が低下する。特に、耐候性に劣るよ
うになる。一方、200,000 を超えると粘度が高くなりす
ぎて取扱いが困難となり、また、水溶性又は水分散性が
低下する。
【0029】(b-1) アクリル樹脂 アクリル樹脂としては、(b-1-1) エチレン性不飽和カル
ボン酸と、(b-1-2) 水酸基含有アクリル系単量体と、(b
-1-3) その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体と
を共重合して得られるものを用いることができる。
【0030】(b-1-1) エチレン性不飽和カルボン酸は主
として共重合樹脂(アクリル樹脂)に水希釈性、電気泳
動性、硬化時の触媒作用等を付与するものであり、たと
えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル
酢酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上混合
しても用いることができる。
【0031】(b-1-2) 水酸基含有アクリル系単量体は、
後述する硬化剤と共存することにより硬化性を付与する
作用を有するものであり、たとえば、2-ヒドロキシエチ
ルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、
ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピル
メタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒド
ロキシブチルメタクリレート等を用いることができる。
これらは単独でも、2種以上混合しても用いることがで
きる。
【0032】(b-1-3) その他の共重合可能なエチレン性
不飽和単量体は、主として共重合樹脂(アクリル樹脂)
の骨格を形成する成分であり、アクリル酸又はメタクリ
ル酸のアルキルエステルや、ビニル単量体等を用いるこ
とができる。アクリル酸エステル又はメタクリル酸エス
テルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレ
ート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリ
レート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリ
レート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリ
レート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシル
メタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタ
クリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エ
チルシクロヘキシルメタクリレート、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート等が挙げられる。また、ビニル単量
体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物や、アクリロニ
トリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロー
ルアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、n−
ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。これら
の化合物は、単独でも、2種以上混合しても用いること
ができる。
【0033】上述した(b-1-1) エチレン性不飽和カルボ
ン酸と、(b-1-2) 水酸基含有アクリル系単量体と、(b-1
-3) その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体とか
らアクリル樹脂(共重合体)を製造する場合、(b-1-1)
成分の配合量は、(b-1-1) +(b-1-2) +(b-1-3) を10
0重量%として3〜20重量%とするのがよい。(b-1-
1) 成分をこのように規定することで、アクリル樹脂
(水酸基含有樹脂)の酸価を上述した範囲にすることが
できる。
【0034】また、(b-1-2) 成分は、(b-1-1) +(b-1-
2) +(b-1-3) を100重量%として、6〜30重量%
とするのがよい。これにより、アクリル樹脂(水酸基含
有樹脂)の水酸基価を上述した範囲にすることができ
る。
【0035】さらに、(b-1-3) 成分については、(b-1-
1) +(b-1-2) +(b-1-3) を100重量%として、50
〜91重量%とするのがよい。
【0036】水酸基含有樹脂として上述した成分からな
るアクリル樹脂を用いる場合、特に、酸価を20〜150 、
水酸基価を30〜200 、重量平均分子量を3,000 〜200,00
0 、ガラス転移点Tgを−20〜+60℃とするのがよい。
【0037】このようなアクリル樹脂は、上述した各成
分(化合物)を用い、公知の溶液重合法、非水性分散重
合法、塊状重合法、エマルジョン重合法、懸濁重合法等
により製造することができる。特に、イソプロピルアル
コール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ等の親水性溶剤を用いた溶液重合法によ
り合成するのが好ましい。
【0038】得られたアクリル樹脂を水溶性又は水分散
性(水希釈性)とするために、樹脂中のカルボキシル基
の少なくとも一部を塩基性物質、例えば有機アミンある
いはアンモニアで中和するのが好ましい。このような塩
基性物質としては、前述の(a) 成分(フッ素樹脂)の中
和に用いた有機アミン、あるいはアンモニアが好適であ
る。このような塩基性物質による中和率は30〜100
%とするのがよいが、特に、50〜95%とすると水希
釈性が良好となり、塗膜に艶ムラを生じない。
【0039】(b-2) ポリエステル系樹脂 本発明では、水酸基含有樹脂として水酸基を有するポリ
エステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂
としては、以下に示す多価アルコールと、多塩基酸又は
その無水物と変性剤とを常法により反応させて得られた
ものを使用することができる。
【0040】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,2−ブタンジオール、1,8−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6 - ヘキサンジオール、
水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェ
ノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,
2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメ
チル−3−ヒドロキシプロピオネート(BASHP
N)、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジメチ
ルヒダントイン、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソル
ビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサン
トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トール、トリス−(ヒドロキシエチル)イソシアネート
等が挙げられる。また、これらの多価アルコールの2種
以上を組み合わせて用いることもできる。
【0041】多塩基酸又はその無水物としては、フタル
酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ
無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテ
トラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリ
ット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピ
ロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク
酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク
酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エン
ド酸等が挙げられる。これらの多塩基酸又はその無水物
の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0042】変性剤としてはヤシ油、米ヌカ油、大豆油
などの油脂、又はヤシ油脂肪酸、米ヌカ油脂肪酸、大豆
油脂肪酸、トール油脂肪酸などの長鎖脂肪酸、又はカー
ジュラEなどの1種以上を用いることによりアルキド樹
脂として使用することができる。変性剤の量は樹脂中0
〜40%が適当である。多くなりすぎると塗膜が柔軟にな
りすぎ耐久性も劣る。
【0043】ポリエステル樹脂としては、上記多価アル
コールの水酸基と上記多塩基酸又はその無水物のカルボ
キシル基とが、モル比で1.2 〜1.8 となるように多価ア
ルコールと多塩基酸又はその無水物とを混合し、反応さ
せて得られるものを用いるのがよい。このようにして得
られるポリエステル樹脂の分子内には残留水酸基が存在
する。この水酸基は、後述する架橋剤との反応部位とな
る。
【0044】水酸基含有樹脂として上述した成分からな
るポリエステル樹脂を用いる場合、特に、酸価を20〜15
0 、水酸基価を30〜200 、重量平均分子量を2,000 〜10
0,000 とするのがよい。
【0045】なお、(b) 成分として、上述のアクリル樹
脂とポリエステル系樹脂とを混合して用いてもよい。
【0046】(c) 架橋剤 本発明で用いる架橋剤は、アミノ樹脂及び/又はブロッ
クイソシアネート化合物である。
【0047】アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、好まし
くはメラミン樹脂を用いる。より好ましくは、アルコキ
シ基としてメトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、i-
ブトキシ基などを有するアルコキシメチルメラミン樹脂
が挙げられる。これらの樹脂は、通常メラミンにホルム
アルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒドを付
加反応又は付加縮合反応させて得たものを、炭素数1〜
4の1価アルコールでエーテル化して得られる。本発明
においては、水溶性及び電着性の観点からメチル/ブチ
ル混合エーテル型メラミンが好適である。
【0048】メラミン樹脂の例としては、メトキシ基を
有するタイプ(メチルエーテル型)として、サイメル30
3 、同325 、同327 、同350 、同370 (いずれも三井サ
イアナミッド(株)製)や、スミマールM40W、同M50W、
同M100(いずれも住友化学(株)製)等が挙げられる。
また、ブトキシ基を有するタイプ(プチルエーテル型)
としては、ユーバン20SE60、同20SE125 、同20SE128
(いずれも三井東圧化学(株)製)や、スーパーベッカ
ミンG821、同J820(いずれも大日本インキ(株)製)
や、マイコート506 、同508 (いずれも三井サイアナミ
ッド(株)製)等が挙げられる。さらに、混合エーテル
型メラミンとしては、サイメル235 、同238、同254 、
同266 、同267 、同285 、同1141(いずれも三井サイア
ナミッド(株)製)や、ニカラックMX-40 、同MX-45
(いずれも三和ケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0049】また、ブロックイソシアネート化合物は、
ブロック剤でイソシアネート基の反応をブロックしたも
ので、ブロック剤(括弧内は解離温度)としては、メタ
ノール( 180〜185 ℃) 、エタノール( 180〜185 ℃)
、n−ぺンタノール( 205〜210 ℃) 、エチレンクロ
ルヒドリン( 155〜160 ℃) 、イソプロピルアルコール
( 170〜175 ℃) 等のアルコール類、フェノール( 140
〜145 ℃) 、p-ニトロフェノール( 120〜125 ℃) 、ク
レゾール( 135〜140 ℃) 等のフェノール類、アセチル
アセトン( 105〜110 ℃) 、アセト酢酸エチル( 125〜
130 ℃) 、MEKオキシム( 150〜155 ℃) 、ε−カプ
ロラクタム( 140〜144 ℃) 等が挙げられる。好ましく
は、解離温度が100 〜180 ℃のブロック剤を、より好ま
しくは解離温度が120 〜160 ℃のブロック剤を用いる。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイシアネナ
ート(TDI)系、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)系、ヘキサメチレンジイソシアネート(HD
I)系、イソホロンジイソシアネート(IPDI)系等
の脂肪族、脂環族の多官能イソシアネートを適宜1種又
は2種以上用いる。必要により錫系触媒を用いてもよ
い。
【0050】アミノ樹脂とブロックイソシアネート化合
物を併用してもよく、その場合各々の反応性の欠点を補
完することにより、一段と良好なバランスが得られるこ
とになる。
【0051】本発明の電着塗料組成物は、上述した(a)
〜(c) 成分を必須成分として含有するが、上述したよう
に、(b) 成分のほうが、(a) 成分よりも水溶性又は水分
散性に良好でなければならない。(b) 成分を(a) 成分よ
りも水溶性又は水分散性にする方法として、両(樹脂)
成分又は一方の樹脂の酸価を制御する方法がある。すな
わち、(b) 成分の酸価を(a) 成分の酸価より大きく設定
(又は(a) 成分の酸価を小さく制御)することで (b)
成分をより水溶性又は水分散性にすることができる。具
体的には、(b) 成分の酸価Bと(a) 成分の酸価Aとの差
(B−A)の値を5〜120程度に設定する。
【0052】なお、(a) 成分及び(b) 成分の水溶性又は
水分散性の制御には、両成分のSP値(溶解度パラメー
タ)を制御する方法を用いることもできる。この場合、
(b)成分のSP値BSPと(a) 成分のSP値ASPとの差
(BSP−ASP)を1〜5程度とするのがよい。また、
(b) 成分に親水性基を導入して、(b) 成分の水溶性又は
水分散性を大きくしてやることもできる。
【0053】本発明の電着塗料組成物中の各成分(a) 〜
(c) の混合割合は、固形分を基準にして、(a) 成分が5
〜50重量部、(b) 成分が20〜75重量部、及び(c) 成分が
20〜60重量部である。好ましくは、(a) 成分が10〜40重
量部、(b) 成分が20〜60重量部、(c) 成分が30〜50重量
部である。
【0054】(a) 成分が5重量部未満では、得られる塗
膜の耐候性が不足する。一方、50重量部を超えると密着
性が悪くなり、さらにコスト高になるわりに耐候性の向
上がそれほどみられない。(b) 成分が20重量部未満では
相対的に(a) 成分を多くしなければならず、コスト高に
なる。一方、75重量部を超えると耐候性が不十分とな
る。また、(c) 成分が20重量部未満では耐候性が不十分
となり、60重量部を超えると硬くて脆い塗膜となり、実
用性に劣る。
【0055】(a) 成分、(b) 成分、及び(c) 成分は、塩
基を含む水性媒体中に分散する。これらの塩基は、電着
可能な水溶性樹脂を中和するために用いる。中和に用い
る塩基としては、例えばモノメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミ
ン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノ
ールなどの有機アミンあるいはアンモニアなどがある。
【0056】なお、「水分散性」及び「水溶性」は、酸
価と中和度によってコントロールすることができるが、
たとえば、中和度が100 のとき、酸価が35では水分散性
となり、酸価が50では水溶性となる。
【0057】水性媒体は、水、又は水と水混和性有機溶
剤との混合物である。必要に応じ、水性媒体に水不混和
性の有機溶剤を添加してもよい。水混和性有機溶剤とし
ては、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、ジ
アセトンアルコール、4-メトキシ-4- メチルペンタノン
-2、メチルエチルケトンなどがある。また、水不混和性
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、メチルイソブ
チルケトン、2-エチルヘキサノールなどがある。
【0058】さらに、所望により、乾きムラ及び水洗性
を改善するための界面活性剤、顔料、ワックス、ラテッ
クス等、その他に着色剤、可塑剤、酸性・塩基性物質等
を適宜加えることができる。
【0059】本発明の塗料組成物は、カルボキシル基の
ようなアニオン性官能基を含有するためにアニオン型電
着塗装に使用するが、正の電荷と親水性を与えるような
アミノ基等のカチオン性官能基を付与し、揮発性の酸で
中和することにより、カチオン型電着塗装法に使用する
こともできる。
【0060】本発明の電着塗料組成物を用いて電着塗装
を実施する場合、電着塗料浴中の塗料組成物の固形分濃
度は、3〜20重量%が適当である。3重量%未満の場合
には塗装電圧が高くなりすぎ、一方20重量%を超えると
塗装系外への損失が大きく経済的でない。好ましくは5
〜15重量%である。また、電着塗装は、通常電着塗料浴
温度15〜35℃、塗装電圧80〜350 V及び電着時間1〜5
分の条件で行うことができる。
【0061】電着塗装した被塗物は必要により水洗し、
ついで 150〜200 ℃で10〜60分間、加熱硬化する。この
ようにして、電着塗膜が形成される。乾燥膜厚は、5〜
30μmが好適である。
【0062】本発明の電着塗装方法に適用できる被塗物
は、導電性を有するものであれば特に限定されない。本
発明の方法は、電着塗装物全般にわたって適用し得るも
のであるが、特にアルミサッシ等のアルミニウム製品の
塗装に好適である。
【0063】
【作用】本発明の電着塗料組成物は、(a) 特定の酸価を
有するフッ素樹脂と、(b) 特定の酸価及び水酸基価を有
し、かつ上記フッ素樹脂よりも水溶性又は水分散性に良
好な水酸基含有樹脂と、(c) 硬化剤とをそれぞれ特定量
含有するが、このような構成の電着塗料組成物とすれ
ば、電着塗装により形成された(硬化前の)塗膜の表層
部から水酸基含有樹脂成分の一部が電着塗料浴中に溶出
し、そのため、得られる塗膜の表層部におけるフッ素樹
脂成分の濃度は、電着塗料組成物におけるフッ素樹脂成
分の濃度より大幅に高くなり、もって得られる塗膜の表
層部にはフッ素樹脂成分が多くなる。これにより、塗膜
の耐候性が大幅に向上する。
【0064】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例により、さらに
詳細に説明する。
【0065】合成例1 フッ素樹脂(含フッ素共重合樹脂;A−2)の製造 内容積200 mlのステンレス製撹拌機付きオートクレーブ
(耐圧50kg/cm2 )にクロロトリフルオロエチレン35重
量部と、シクロヘキシルビニルエーテル11重量部と、エ
チルビニルエーテル4.3 重量部と、ヒドロキシブチルビ
ニルエーテル11重量部と、キシレン98重量部と、エタノ
ール28重量部と、アゾビスイソブチロニトリル0.5 重量
部と、無水炭酸カリウム1.5 重量部とを仕込み、液体窒
素で冷却して固化脱気して溶存する空気を除去した。そ
の後、65℃で16時間保持して反応を進行させ、水酸基含
有含フッ素重合体を得た。
【0066】得られた水酸基含有含フッ素重合体(水酸
基価は約120 )の約60%キシレン溶液を調製し、これを
90℃に加熱し、重合体100 重量部に対し、5.4 重量部の
無水コハク酸を加え、さらに0.2 重量部のトリエチルア
ミンを添加して2時間反応させ、カルボキシル基及び水
酸基を含有する含フッ素共重合樹脂(A−2)を得た。
【0067】上記で得られた含フッ素共重合樹脂の酸価
は30で、水酸基価は60であった。なお、得られた含フッ
素共重合樹脂は、一旦溶剤を蒸発させて重合体固形分を
単離した後、新たにイソプロピルアルコールで溶解し、
約60重量%のイソプロピルアルコール溶液とした。
【0068】合成例2 フッ素樹脂(含フッ素共重合樹脂;A−3〜A−6)の
製造 上述した合成例1において、ヒドロキシブチルビニルエ
ーテルの配合量及び無水コハク酸の配合量を調節し、他
は合成例1と同様にして、酸価及び水酸基価が表1に示
す値を有する4種の含フッ素共重合樹脂(A−3〜A−
6)を合成した。なお、表1には、市販のフッ素樹脂
(ルミフロンLF-926、旭硝子(株)製、以下A−1で表
す)の物性値も合わせて示す。
【0069】 表1 フッ素樹脂 No. A−1 (1) A−2 A−3 A−4 A−5 A−6 酸価 20 30 50 20 20 80 水酸基価 60 60 60 30 150 60 Tg(℃) 35 35 35 35 35 35 分子量(2) 7000 7000 7000 7000 7000 7000 表1注(1) :ルミフロンLF-926、旭硝子(株)製。 (2) :数平均分子量。
【0070】合成例3 水溶性又は水分散性アクリル共重合樹脂(B−1〜B−
8)の製造 スチレン(ST)、メチルメタクリレート(MMA)、
n−ブチルメタクリレート(n−BMA)、2−エチル
ヘキシルアクリレート(2EHA)、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート(2HEMA)、及びメタクリル酸
(MAA)を表2に示す割合で配合し、共重合させてア
クリル共重合樹脂((b) 成分:B−1〜B−8)のワニ
スを得た。B−1〜B−8成分の特性を表2に示す。次
いで、得られたワニスに、カルボキシル基に対して 0.6
当量の割合でトリエチルアミンを加え、均一に混合して
水溶性化した。
【0071】 表2 (b) 成分の種類 (1) B−1 B−2 B−3 B−4 ST 10 10 10 10 MMA 19.9 17.9 7.8 23.9 n−BMA 23.9 24.1 25.3 23.4 2EHA 23.9 24.1 25.3 23.4 2HEMA 16.2 16.2 16.2 16.2 MAA 6.1 7.7 15.4 3.1 (b) 成分の物性値 酸価 40 50 100 20 水酸基価 70 70 70 70 Tg(℃) 20 20 20 20 数平均分子量 30,000 30,000 30,000 30,000
【0072】 表2(続き) (b) 成分の種類 (1) B−5 B−6 B−7 B−8 ST 10 10 10 10 MMA 0.6 26.7 6.3 1.5 n−BMA 22.3 25.1 21.4 6.9 2EHA 27.9 25.1 21.4 34.7 2HEMA 16.2 7.0 34.8 16.2 MAA 23.0 6.1 6.1 30.7 (b) 成分の物性値 酸価 150 40 40 200 水酸基価 70 30 150 70 Tg(℃) 20 20 20 20 数平均分子量 30,000 30,000 30,000 30,000 表2の注(1):各モノマーの配合量は重量部である。
【0073】実施例1 表3に示す割合で、(a) 成分として表1にその特性を示
したフルオロエチレン−ビニルエーテル系共重合体(ル
ミフロン926:旭硝子(株)製:A−1)、(b) 成分
として合成例3で得られた水溶性アクリル共重合樹脂ワ
ニス(B−1)、及び(c) 成分としてブトキシ/メトキ
シメチロール化メラミン樹脂(ニカラックMX−40:
三和ケミカル(株)製)を均一に混合し、純水で希釈し
て固形分10重量%の電着塗料を得た。なお、表3に示す
数字は重量部を表す。
【0074】上記電着塗料を用いて、アルミニウム板
(A6063S)にアルマイト処理(皮膜厚9μm)したも
のを陽極とし、 160Vの直流電圧にて 2.5分間電着塗装
をした。電着後水洗し、 180℃で30分間焼付けをした。
得られた各塗膜について、(1)塗膜表層部と内部におけ
るフッ素樹脂成分の含有量の差(ΔF)、(2) 塗装外
観、(3) アルミニウム板との付着性、(4) 硬度、(5) 撥
水性、(6) 耐候性、及び(7) 折り曲げ試験を下記の評価
方法及び評価基準により評価した。結果を表4に示す。
【0075】評価方法及び評価基準 (1)ΔF 得られた塗膜の表層部と内部とからそれぞれ塗膜の一部
をサンプリングし、赤外線吸光分析により、各々のサン
プルにおけるフッ素樹脂成分の含有量を求め、以下の式
に従ってΔF値を算出した。 ΔF(%)=表層部におけるフッ素樹脂含有量(%)−
内部におけるフッ素樹脂含有量(%)
【0076】(2)塗膜外観 焼付け後の電着塗膜面を目視により観察し、ハジキ、ブ
ツ、ヘコミ、ザラツキ等の異常の有無に応じて下記の基
準により評価した。 ○・・・異常なし △・・・わずかに異常あり ×・・・異常あり
【0077】(3)付着性 1mm目で10×10個のゴバン目テスト(JIS K 5400準拠)
を行い、アルミニウム素地との付着性を、剥離しない個
数/100 に応じて、以下のように評価した。 ◎・・・ 100/100 ○・・・99/100 〜95/100 △・・・94/100 〜90/100 ×・・・89/100 〜0/100
【0078】(4)硬度 焼付け後の塗膜を20℃まで徐冷後、JIS K 5400 8.4に準
拠して鉛筆引っかきテストを行った。引っかき傷が生じ
た鉛筆の硬度により塗膜の硬度を表わす。
【0079】(5)撥水性 得られた塗膜に対して、サンシャインウェザオメータを
用いて 500時間の暴露テストを行い、その後、室温で、
水平の状態で水滴(0.5cc)を塗膜に滴下し、以下の基準
により塗膜の撥水性を評価した。 ◎・・・塗膜との接触角が鈍角となる水滴が形成された
もの ○・・・塗膜との接触角が鋭角となる水滴が形成された
もの ×・・・水を滴下後、水滴が横方向に広がり、まとまっ
た形状の水滴とはならなかったもの
【0080】(6)耐候性 サンシャインウェザオメータを用い、3000時間後の塗膜
の光沢保持率を評価した。 ◎・・・異常なし ○・・・ごくわずかに変色あり △・・・少し変色あり ×・・・顕著な変色あり
【0081】(7) 折り曲げ試験 JIS K 5400 8.1に準拠して折り曲げ試験を行い、以下の
基準により評価した。 ○・・・異常なし △・・・折り曲げ部にクラックがわずかに認められる ×・・・折り曲げ部に剥離部が認められる
【0082】実施例2〜18、比較例1〜11 実施例1と同様に、表3に示す組成及び割合で塗料を作
成し、実施例1と同じ方法で塗装し、評価を行った。な
お、表3に示す(a) 成分のA−1〜A−6はそれぞれ表
1のA−1〜A−6に対応し、また、(b) 成分のB−1
〜B−8はそれぞれ表2のB−1〜B−8に対応する。
結果を表4に示す。
【0083】 表3 塗料の 実施例No. 成分 (a) 成分 A−1 20 5 50 20 20 20 20 20 A−2 − − − − − − − − A−3 − − − − − − − − A−4 − − − − − − − − A−5 − − − − − − − − A−6 − − − − − − − −(b) 成分 B−1 40 40 20 − − − − − B−2 − − − 40 − − − − B−3 − − − − 40 − − − B−4 − − − − − 40 − − B−5 − − − − − − 40 − B−6 − − − − − − − 40 B−7 − − − − − − − − B−8 − − − − − − − −(c) 成分 C−1(1) 40 55 30 40 40 40 40 40 C−2(2) − − − − − − − − C−3(3) − − − − − − − −酸価の差(4) 20 20 20 30 80 10 130 20
【0084】 表3(続き) 塗料の 実施例No. 成分 10 11 12 13 14 15 (a) 成分 A−1 20 − − − − − − A−2 − 20 − − − 5 − A−3 − − 20 − − − 40 A−4 − − − 20 − − − A−5 − − − − 20 − − A−6 − − − − − − − (b) 成分 B−1 − 40 − − 40 − − B−2 − − − − − 75 − B−3 − − 40 40 − − − B−4 − − − − − − − B−5 − − − − − − 30 B−6 − − − − − − − B−7 40 − − − − − − B−8 − − − − − − − (c) 成分 C−1(1) 40 40 40 40 40 20 30 C−2(2) − − − − − − − C−3(3) − − − − − − − 酸価の差(4) 20 10 50 20 20 20 100
【0085】 表3(続き) 塗料の 実施例No. 比較例No. 成分 16 17 18 (a) 成分 A−1 20 20 20 − 20 − − 60 A−2 − − − − − − − − A−3 − − − − − 20 − − A−4 − − − − − − − − A−5 − − − − − − − − A−6 − − − 20 − − − −(b) 成分 B−1 40 40 40 40 − − 60 − B−2 − − − − − 40 − − B−3 − − − − − − − − B−4 − − − − − − − − B−5 − − − − − − − − B−6 − − − − − − − − B−7 − − − − − − − − B−8 − − − − 40 − − −(c) 成分 C−1(1) 20 − 32 40 40 40 40 40 C−2(2) 20 − − − − − − − C−3(3) − 40 8 − − 0 − −酸価の差(4) 20 20 20 −40 180 − − −
【0086】 表3(続き) 塗料の 比較例No. 成分 10 11 (a) 成分 A−1 2 55 25 35 5 5 A−2 − − − − − − A−3 − − − − − − A−4 − − − − − − A−5 − − − − − − A−6 − − − − − − (b) 成分 B−1 40 25 15 50 15 80 B−2 − − − − − − B−3 − − − − − − B−4 − − − − − − B−5 − − − − − − B−6 − − − − − − B−7 − − − − − − B−8 − − − − − − (c) 成分 C−1(1) 58 20 60 15 80 15 C−2(2) − − − − − − C−3(3) − − − − − − 酸価の差(4) 20 20 20 20 20 20
【0087】表3(注)(1) :ブトキシ/メトキシメチ
ロール化メラミン樹脂(ニカラックMX−40、三和ケ
ミカル(株)製) (2) :メラミン樹脂(ユーバン120、三井東圧化学
(株)製、エーテル化度5.5、ブチルエーテル基数/
メチルエーテル基数=5.5/0、単核体及び2核体の
合計=70%) (3) :HDI/オキシムブロック(デスモジュールBL
−3175、住友バイエル(株)製) (4) :(b) 成分の酸価数から(a) 成分の酸価数を減じた
値である。
【0088】 表4 例No. ΔF 外観 付着性 硬度 撥水性 耐候性 折曲試験 実施例1 20 ○ 100/100 4H ◎ 95 ○ 実施例2 7 ○ 100/100 4H ○ 80 ○ 実施例3 18 ○ 100/100 3H ◎ 97 ○ 実施例4 25 ○ 100/100 4H ◎ 96 ○ 実施例5 30 ○ 100/100 4H ◎ 93 ○ 実施例6 10 ○ 100/100 4H ◎ 95 ○ 実施例7 35 ○ 100/100 4H ◎ 90 ○ 実施例8 21 ○ 100/100 4H ◎ 93 ○ 実施例9 20 ○ 100/100 4H ◎ 93 ○ 実施例10 15 ○ 100/100 4H ◎ 90 ○ 実施例11 25 ○ 100/100 4H ◎ 85 ○ 実施例12 31 ○ 100/100 4H ◎ 93 ○ 実施例13 18 ○ 100/100 4H ◎ 94 ○ 実施例14 18 ○ 100/100 2H ○ 80 ○ 実施例15 31 ○ 100/100 3H ◎ 90 ○ 実施例16 19 ○ 100/100 4H ◎ 96 ○ 実施例17 20 ○ 100/100 4H ◎ 97 ○ 実施例18 19 ○ 100/100 4H ◎ 95 ○
【0089】 表4(続き) 例No. ΔF 外観 付着性 硬度 撥水性 耐候性 折曲試験 比較例1 − 5 ○ 100/100 4H ○ 80 ○ 比較例2 35 ○ 100/100 4H ○ 65 ○ 比較例3 3 ○ 100/100 3H ○ 72 ○ 比較例4 − ○ 100/100 4H △ 60 ○ 比較例5 − ○ 100/100 3H ◎ 97 ○ 比較例6 7 ○ 100/100 4H ○ 75 △ 比較例7 10 ○ 100/100 3H ◎ 97 ○ 比較例8 15 ○ 80/100 5H ◎ 85 △ 比較例9 18 △ 100/100 2H ◎ 85 ○ 比較例10 6 △ 50/100 3H ○ 55 × 比較例11 7 △ 100/100 2H ○ 80 ○
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の電着塗料
組成物は、(a) 特定の酸価を有するフッ素樹脂と、(b)
特定の酸価及び水酸基価を有し、かつ上記フッ素樹脂よ
りも水溶性又は水分散性に良好な水酸基含有樹脂と、
(c) 硬化剤とをそれぞれ特定量含有するので、電着塗装
工程において、(硬化前の)塗膜の表層部から水酸基含
有樹脂成分が電着塗料浴中に溶出し、そのため、得られ
る塗膜の表層部におけるフッ素樹脂成分の濃度が電着塗
料組成物におけるフッ素樹脂成分の濃度より大幅に高く
なり、もって得られる塗膜の表層部にはフッ素樹脂成分
が多くなる。したがって、本発明の方法により形成され
た塗膜の耐候性は大幅に向上する。
【0091】本発明の電着塗装方法は、アルミサッシュ
等の建材、その他のアルミニウム製品等の耐候性塗膜形
成に適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 英二 千葉県市原市千種海岸2番1 東レ株式 会社 千葉工場内 (56)参考文献 特開 昭62−156170(JP,A) 特開 昭63−291966(JP,A) 特開 平1−203481(JP,A) 特開 平3−39369(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/44 C09D 127/12 C25D 13/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(a) 〜(c) : (a) 酸価が15〜60の含フッ素共重合樹脂5〜50重量部
    (固形分基準、以下同じ)、(b) 酸価が20〜150 で、水
    酸基価が30〜200 の水溶性又は水分散性水酸基含有樹脂
    20〜75重量部、及び(c) 架橋剤20〜60重量部を含有し、
    前記(a) 成分が前記(b) 成分より低水溶性又は低水分散
    性であることを特徴とする電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】 下記成分(a) 〜(c) : (a) 酸価が15〜60の含フッ素共重合樹脂5〜50重量部
    (固形分基準、以下同じ)、(b) 酸価が20〜150 で、水
    酸基価が30〜200 の水溶性又は水分散性水酸基含有樹脂
    20〜75重量部、及び(c) 架橋剤20〜60重量部を含有し、
    前記(a) 成分が前記(b) 成分より低水溶性又は低水分散
    性である電着塗料組成物を用いて電着塗装をすることを
    特徴とする高耐候性電着塗膜の形成方法。
JP1854092A 1992-01-07 1992-01-07 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法 Expired - Fee Related JP3001316B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1854092A JP3001316B2 (ja) 1992-01-07 1992-01-07 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1854092A JP3001316B2 (ja) 1992-01-07 1992-01-07 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05179176A JPH05179176A (ja) 1993-07-20
JP3001316B2 true JP3001316B2 (ja) 2000-01-24

Family

ID=11974465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1854092A Expired - Fee Related JP3001316B2 (ja) 1992-01-07 1992-01-07 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3001316B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1123943A1 (en) * 1995-05-15 2001-08-16 Central Glass Company, Limited Water-based fluorine-containing plant
JPH1025469A (ja) * 1996-07-09 1998-01-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 撥水性表面構造およびその形成方法
US6583212B2 (en) * 2000-12-31 2003-06-24 Basf Corporation Aqueous dispersions for coating compositions
JP4666126B2 (ja) * 2001-03-26 2011-04-06 旭硝子株式会社 水性樹脂組成物
JP2003155439A (ja) * 2001-11-20 2003-05-30 Dainippon Ink & Chem Inc 金属用塗料組成物および塗膜形成方法
JP5948663B2 (ja) * 2012-02-22 2016-07-06 国立大学法人信州大学 電析材料組成物、それを用いた電析塗膜および電析塗膜の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05179176A (ja) 1993-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2846875B2 (ja) 耐酸エッチング性を有するカラー−クリアー複合コーティングを調製する方法
US5556527A (en) Process for formation of multilayer film
US6428856B1 (en) Method of forming coating films
US6228974B1 (en) Aminoplast curable film-forming compositions providing films having resistance to acid etching
US5756221A (en) Coating method
JP2863076B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、塗料組成物および塗膜形成方法
US5792806A (en) Aqueous coating composition
EP1457525B1 (en) Water base resin composition
JP2002530507A (ja) 官能基含有ポリマーを有するレオロジー改変剤を含有する組成物
JPH0759681B2 (ja) 水性被覆組成物
JP2006219731A (ja) プレコートメタルの裏面用塗料組成物、及びこれを用いたプレコートメタル
JP3295491B2 (ja) 水性塗料とその塗装方法
JP3001316B2 (ja) 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法
US6726961B2 (en) Method of forming coating
KR102217675B1 (ko) 수용성 베이스 코트 조성물
JPH08176477A (ja) 電着塗料組成物及び高耐候性電着塗膜の形成方法
KR102245709B1 (ko) 수용성 베이스 코트 조성물
JP3451600B2 (ja) 複合塗膜形成方法
JP2771848B2 (ja) 擦傷防止用トップコート塗料組成物
JPH044080A (ja) 塗膜の製造方法
JPS60229961A (ja) 高固型分被覆組成物
JPH1147686A (ja) 複層膜形成方法
JPH08120160A (ja) 硬化性樹脂組成物、塗料組成物および塗膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees