JPH0539373Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、熱交換器の下部に設置され、反りや
きしみ音を生じない軽量かつコンパクトなドレン
パンの構造に関する。

＜従来の技術＞ 従来、空気調和機のドレンパン構造として、例
えば実開昭61−170931号公報に記載のものがあ
る。このドレンパンは、コ字状の断面を有するス
チロールからなる本体の両側に、内方への折返し
をもつ多数の打ち抜き孔を有する補強板をインサ
ート成形などで一体成形してなり、熱交換器の下
部に結露水を捕集するために設置される。そし
て、熱交換器のオン、オフ等によるスチロールの
伸縮を、これに埋り込ませた補強板の上記折返し
によつて阻止し、スチロールの伸縮に伴なつてド
レンパン本体に生じる反りやドレンパン本体と接
触する補強板等の部材との間で生じるきしみ音を
防止するようになつている。

＜考案が解決しようとする課題＞ ところが、上記従来のドレンパンは、スチロー
ル製の本体の両側面のみを補強板で覆つたものに
すぎず、本体の大部分を占める上面や下面はスチ
ロールが露出しているため、補強板の折返しによ
る反りやきしみ音の防止効果が十分でなく、空気
調和機使用時に本体の反りによつて排水に支障が
生じたり、きしみ音に悩まされるという欠点があ
る。そして、ドレンパン本体の反りやきしみ音を
なくそうとすると、本体のスチロール自体を厚く
せざるを得ず、そうすると大型化が避けられな
い。

そこで本考案の目的は、一体成形によつて少な
い部材で安価かつ能率良く製造でき、熱交換器の
オン、オフ等に伴なう反りやきしみ音を生じない
軽量かつコンパクトなドレンパンの構造を提供す
ることである。

＜課題を解決するための手段＞ 上記目的を達成するため、本考案の空気調和機
のドレンパン構造は、第１図等に例示するよう
に、内方へ突出する切り起こし片１１ａをもつ複
数の打ち抜き穴１１を有し、５面１ａ〜１ｅをも
つ箱状に形成された金属製の外板１と、この外板
１に上記切り起こし片１１ａが内部に埋設される
ように一体成形されて、上記外板１の開口側に凹
部３が形成されるスチロール樹脂製の本体２と、
この本体２の表面を覆つて形成された合成樹脂製
の防水シート４とからなる。

＜作用＞ 外板１の打ち抜き穴１１の穴径と個数は、本体
であるスチロール樹脂との一体成形時に発生する
不要なガスを完全に抜き取るように設計される。
そのため、スチロール製の本体２は、その５面を
外板１に覆われた状態でも支障なく上記外板１と
一体成形される。上記スチロール製の本体２に
は、外板１の５面１ａ〜１ｅに設けられた打ち抜
き穴１１の切り起こし片１１ａが食い込み、外板
が５面を拘束するので、熱交換器のオン、オフ等
に伴なう本体２の伸縮を拘束する。従つて、たと
え本体２が薄くとも殆んど伸縮が生じず、本体２
の反りやきしみ音も殆んど発生しない。また、本
体２の表面に合成樹脂製の防止シート４層を形成
しているので、本体２が薄くとも捕集した熱交換
器の結露水が漏れる虞れもない。

＜実施例＞ 以下、本考案の図示の実施例により詳細に説明
する。

第１図、第２図は、本考案の空気調和機のドレ
ンパンの平面図、縦断面図であり、このドレンパ
ンは、板金を底面１ａ、長手方向の前後面１ｂ，
１ｃ左右側面１ｄ，１ｅの５面をもつて上方に開
口する箱状に形成した外板１と、スチロール樹脂
をこの外板１の内面に断熱材としてインサート成
形で一体成形し、上面に熱交換器（図示せず）か
ら滴下する結露水を捕集する凹部３を設けた本体
２と、この本体２の表面を覆つて形成した高強度
のスチロール樹脂（ハイインパクトスチロール）
製の防水シート４とからなる。

上記本体２の凹部３は、第３図ｂにも示すよう
に前面１ｂ側に長手方向に延在して設けられ、右
側面１ｅに向かつて下り勾配３ａ（第２図参照）
をなす一方、右側面１ｅには、上記凹部３に連通
するようにドレンパイプ５を突設するとともに第
３図ｃの如き断面を有する皿状の水溜め部６を設
けている。また、本体２の後面１ｃ側には、図示
しない空気調和機本体のフアン取付板前面に固定
した整流板を載置する凸部７ａ，７ｂ，７ｃが左
右端と中央に夫々設けられている。そして、上記
ドレンパンは、右側の切欠き８（第１図参照）に
空気調和機本体の右側壁前端下部を挿入し、左側
面１d′に上記本体の左側壁前端下部を当接させ、
前面１ｂの上端を上記左右側壁前端間に横設され
た熱交換器の下端前縁に当接させて上記本体に取
り付けられる。

第４図、第５図は、上記ドレンパンの外板１の
詳細を示す平面図、側面図である。上記外板１
は、内方へ突出する切り起こし片１１ａを周縁に
もつ多数の打ち抜き円孔１１，１１，……を各面
１ａ〜１ｅに有するとともに、内方へ突出しかつ
前後左右の４方に向くＬ字断面の爪１２ａ（第３
図ａ、第５図参照）をもつ馬蹄形の穴１２，１
２，……を有し、これらの穴の大きさと個数は本
体２をなすスチロール樹脂の一体成形時に発生す
る不要なガスを完全に抜き得るように設計されて
いる。従つて、スチロール製の本体２は、その５
面を外板１によつて覆われた状態でも支障なく上
記外板１と一体成形される。また、上記本体２と
外板１は、本体２に外板１の打ち抜き円孔１１の
切り起こし片１１ａや馬蹄形の穴１２の爪１２ａ
が食い込んで埋め込まれた状態で一体成形され
る。

上記構成のドレンパンの作用は、次のとおりで
ある。いま、上記ドレンパンが前述の如く空気調
和機の熱交換器の下部に取り付けられ、熱交換器
がオン、オフ等して温度変化が生じたとする。そ
うすると、本体２を構成するスチロールは、温度
変化によつて伸縮し、熱交換器やフアン取付板と
の間できしみ音を発生しようとする。しかし、上
記本体２は、５面が拘束され、円状の切り起こし
片１１ａおよび４方に向いた爪１２ａが多数食い
込んでいるので、スチロールのどの方向への伸縮
も拘束され、本体２が薄い場合でも伸縮による反
りやきしみ音は殆んど発生しない。また、スチロ
ール製の本体２の表面にハイインパクトスチロー
ル製の防水シート４を形成しているので、本体２
が薄くとも捕集した熱交換器の結露水が漏洩する
虞れがない。従つて、上記ドレンパンは、使用時
に熱膨張による反りやきしみ音を発生しないう
え、本体と外板の一体成形および本体の薄型化に
よつて、軽量かつコンパクトしかも少ない部材で
安価かつ能率的に製造することができる。

上記実施例では、切り起こし片１１ａをもつ円
孔１１のほか爪１２ａをもつ多数の穴１２を外板
１に設け、４方に向いた上記爪１２ａをスチロー
ル製の本体２に食い込ませているので、本体の多
方向への伸縮を拘束し阻止することができ、伸縮
に伴なう反りやきしみ音を一層有効に防止できる
という利点がある。

なお、本考案の防水シートの材料は実施例のハ
イインパクトスチロールに限らず他の合成樹脂で
もよく、本考案が上記実施例に限られないのはい
うまでもない。

＜考案の効果＞ 以上の説明で明らかなように、本考案の空気調
和機のドレンパン構造は、５面をもつ箱状に形成
した金属製の外板の内面に、この外板に打ち抜き
形成した複数の穴の切り起こし片が埋設されるよ
うスチロール樹脂製の本体を一体成形し、この本
体の表面を覆つて合成樹脂製の防水シートを形成
しているので、外板の５面が本体を拘束し、多数
の切り起こし片が本体に食い込んで熱交換器のオ
ン、オフ等に伴なう本体の伸縮を拘束して阻止
し、伸縮による反りやきしみ音を本体が薄い場合
でも有効に防止し、ドレンパン製造の能率化、低
廉化およびドレンパンの軽量化、コンパクト化に
大いに貢献する。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の空気調和機のドレン
パンの一実施例を示す平面図、縦断面図、第３図
は第１図の側面図および断面図、第４図、第５図
は上記ドレンパンの外板の詳細平面図、側面図で
ある。 １……外板、１ａ……底面、１ｂ……前面、１
ｃ……後面、１ｄ……左側面、１ｅ……右側面、
２……本体、３……凹部、４……防水シート、１
１……打ち抜き円孔、１１ａ……切り起こし片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 熱交換器の下部に設置されるドレンパンの構造
   であつて、 内方へ突出する切り起こし片１１ａをもつ複数
   の打ち抜き穴１１を有し、５面１ａ〜１ｅをもつ
   箱状に形成された金属製の外板１と、この外板１
   に上記切り起こし片１１ａが内部に埋設されるよ
   うに一体成形されて、上記外板１の開口側に凹部
   ３が形成されるスチロール樹脂製の本体２と、こ
   の本体２の表面を覆つて形成された合成樹脂製の
   防水シート４とからなる空気調和機のドレンパン
   構造。