JPH0539228A - アルギン酸プロピレングリコールエステルからなる徐放性製剤 - Google Patents

アルギン酸プロピレングリコールエステルからなる徐放性製剤

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JPH0539228A
JPH0539228A JP1460391A JP1460391A JPH0539228A JP H0539228 A JPH0539228 A JP H0539228A JP 1460391 A JP1460391 A JP 1460391A JP 1460391 A JP1460391 A JP 1460391A JP H0539228 A JPH0539228 A JP H0539228A
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克巳 村田
Shinji Irie
慎二 入江
Masaki Odagiri
優樹 小田切
Teruko Imai
輝子 今井
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Kibun Foods Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明は、薬効物質を適度に徐放化し、その生
体吸収効率が良いアルギン酸系徐放性製剤を提供するこ
とを目的とする。 【構成】アルギン酸プロピレングリコールエステルおよ
び生理学的に活性な物質からなる徐放性製剤、ならび
に、アルギン酸プロピレングリコールエステルとアルギ
ン酸塩の存在比を選択することにより生理学的に活性な
物質の放出パターンを画定した徐放性製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルギン酸プロピレン
グリコールエステルを含有する徐放性製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、水に難溶性の薬効物質を徐放化す
る製剤について活発な研究が行われており、これに関す
る種々の製剤が提案されている。例えば、難溶性の薬効
物質を微粉化したものや、薬効物質の周囲にコーティン
グを施したものなどが市販されている。しかし、ビーズ
状粒子からなり、しかも薬効物質の吸収量が高くて個体
差が小さい徐放性製剤はいまだ開発されるに至っていな
い。
【0003】ビーズ状粒子からなる徐放性製剤として
は、アルギン酸ナトリウムを用いた製剤が知られている
(特開平2−167220号)。しかしながら、この製
剤は徐放化という点では極めて優れた効果を発揮するも
のの、薬効物質放出パターンの調節や吸収量の上昇とい
う点になお改良の余地が残されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、薬効物質を適度に徐放化し、その生体吸収量が多い
アルギン酸系徐放性製剤を開発することを目的として研
究をすすめ、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルギン酸プ
ロピレングリコールエステルおよび薬効物質からなる徐
放性製剤を、その内容とする。アルギン酸プロピレング
リコールは、アルギン酸のカルボキシル基の一部がプロ
ピレングリコールエステルとなっている化合物であり、
例えばアルギン酸ナトリウムの水溶液にプロピレングリ
コールを吹き込む方法により合成することができる。本
発明では、成形可能で粘度が10〜200cpのアルギン
酸プロピレングリコールを使用するのが望ましい。
【0006】また、本発明の製剤には、生理学的に活性
なさまざまな物質を含有させることができる。とくに、
水に難溶性の物質を含有させ、これらを効果的に徐放化
させることができる点に従来にない本発明の特徴があ
る。例えば、ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬、プ
レトニゾロンなどのステロイド系化合物、ビンドロー
ス、プロカテロール、プロプラノロール、ピルプトロー
ル、ベフノロールなどのβー遮断薬を効果的に徐放化さ
せることができる。また、本発明の徐放性製剤はpH
6.8では薬物を放出するが、pH1.2では薬物を放出
しないため、インドメタシンのように胃で分解されやす
い薬物や胃を刺激する薬物を胃では放出させずに十二脂
腸や小腸で吸収させることを目的として本発明を用いる
のも効果的である。
【0007】本発明に従って製剤中にアルギン酸プロピ
レングリコールエステルを使用することにより、薬効物
質を望ましい期間中持続的に徐放化することが可能にな
る(実施例1および2)。すなわち、本発明によれば、
一般的な非徐放性製剤を投与した場合のように短時間に
薬効物質を全量放出してしまうことはない。また逆に、
アルギン酸ナトリウムゲルビーズとして投与した場合の
ように極めて長い間薬効物質を徐放化することもない。
アルギン酸プロピレングリコールエステルを用いた本発
明の製剤は、両者の中間をとり、徐放化が必要とされる
一般的な薬効物質に適した徐放パターンを示す点に特徴
がある。
【0008】また、本発明の徐放性製剤は、従来のアル
ギン酸ナトリウムゲルビーズの製剤に比べて薬効物質の
吸収量が多い点にも特徴がある(図2)。従って、薬効
物質を効率良く生体に投与し望ましい血中濃度を維持す
ることが可能であり、特に高価な物質の投与には効果的
である。
【0009】本発明で使用するアルギン酸プロピレング
リコールエステルは、アルギン酸ナトリウムと組み合わ
せて用いることができる。一般に、アルギン酸プロピレ
ングリコールエステルの使用量を少なしてアルギン酸ナ
トリウムの使用量を多くすれば、薬効物質の放出は遅く
なる。従って、これらのアルギン酸系化合物の存在比を
適当に選択することによって、薬効物質の放出パターン
を所望の形に変えることができる。また、放出パターン
の固体差も、アルギン酸プロピレングリコールエステル
単独の場合よりもアルギン酸ナトリウムと併用した場合
の方が小さくなる傾向にある。
【0010】本発明の徐放性製剤は、ゲルビーズのまま
投与することもできるが、通常用いられるカプセルに充
填してカプセル剤として投与することもできる。また、
賦型剤を用いて製剤化してもよい。
【0011】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明の徐放性製剤を
具体的に説明する。
【0012】実施例1 本実施例は、アルギン酸プロピレングリコールエステル
の含有量の異なる製剤の薬物放出挙動をそれぞれ検討し
たものである。
【0013】(1)ゲルビーズの調製 ニフェジピン、アルギン酸プロピレングリコールエステ
ル(紀文フードケミファ製:1%溶液の粘度105.0c
p)、アルギン酸ナトリウム(紀文フードケミファ社
製、1%溶液の粘度13.7cp)を重量比1:1:0、
1:1:1、1:0:1となるように秤量して、アルギ
ン酸の総濃度が3%になるように水に添加した。この溶
液をノズルを用いて0.1M塩化カルシウム溶液中に滴
下し、ゆっくり撹拌した後、72時間放置して完全にゲ
ル化させた。生成物を水100mlで3回洗浄した後ろ取
し、48時間自然乾燥した後、さらに24時間室温で真
空乾燥し、ゲルビーズを得た。
【0014】(2)薬物放出試験 日本薬局方XI溶出試験法(パドル法)に準じ以下の方
法で薬物放出試験を行った。 日本薬局方XI崩壊試験用第1液(pH1.2)に0.
01%ポリソルベート80を添加して作製した試験液9
00ml、1/500Mリン酸緩衝液(pH6.8)に
0.01%ポリソルベート80を添加して作製した試験
液900ml、または水900mlのそれぞれに、ニフェ
ジピン10mg相当量のゲルビーズを加え、37℃、10
0rpmで撹拌した。経時的に試料溶液を3ml採取し、2
37nmにおける吸光度を測定した。結果は図1(pH
1.2および6.8)および図2(水)に示す通りであっ
た。
【0015】図から明らかなように、pH1.2ではニ
フェジピンはほとんど放出されないが、pH6.8では
放出がみられた。しかも、その放出は、アルギン酸プロ
ピレングリコールエステル含有量が多いほど速く、ま
た、放出量も多いことが伺えた。この傾向は水に場合も
同様であった。
【0016】実施例2 本実施例は、アルギン酸プロピレングリコール含有量の
異なる製剤を生体に投与したときの、薬物血中濃度変化
の違いを検討したものである。2日間流動食(ベスビオ
R:雪印乳業)を与え、その後24時間絶食させた雄
性ビーグル犬4頭(1〜2歳:体重10〜12kg)に、
ニフェジピン粉末1mg/kg(<100メッシュ)、また
は実施例1で調製したニフェジピン2mg/kg相当量のア
ルギン酸ゲルビーズを、それぞれ00号ゼラチン硬カプ
セルに充填して水20mlとともに経口投与した。投与後
は自由に水を摂取させ、経時的に前肢静脈より3mlずつ
採血した。採血した血液をそれぞれ遠心分離して血清を
分取し、血清中のニフェジピンを抽出して高速液体クロ
マトグラフィーにより定量した。結果は図3に示すとお
りであった。
【0017】各々の製剤を投与した場合について、血清
中濃度−時間曲線下面積(AUC)とニフェジピン平均
滞留時間(MRT)を表1に示した。
【0018】 表 1 製剤 AUC0-24 MRT (ng・h/ml) (時間) ニフェジ,ピン粉末 117.61 ± 26.12b) 4.46 ± 1.03 PGAa) 152.06 ± 24.12 7.40 ± 1.95 PGA−アルギン酸ナトリウム 128.95 ± 6.82 9.38 ± 1.40b) (1:1)アルギン酸ナトリウム 14.57 ± 2.88c) 3.49 ± 0.63 a) アルギン酸プロピレングリコールエステル b) 2倍して補正 c) P<0.05 図2および表1から明らかなように、アルギン酸プロピ
レングリコールエステル含有量が多いほど、AUCが大
きくてニフェジピンの総吸収量が多かった。また、MR
Tもニフェジピン粉末を投与した場合に比べると長くな
っており、有効に徐放化されていることが伺えた。さら
に、アルギン酸プロピレングリコールエステルとアルギ
ン酸ナトリウムとを組み合わせて使用すると、ニフェジ
ピンの吸収パターンを変えることができ、固体差が小さ
くなった。
【0019】
【発明の効果】本発明を用いることによって、望ましい
放出パターンを有し、しかも薬効物質の生体吸収効率が
よい種々の徐放性製剤を提供することが可能になった。
従って、本発明は様々な疾患の治療に幅広く有効に応用
されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製剤からpH1.2または6.8の溶出
試験液中に溶出されるニフェジピン量の推移を示すグラ
フである。
【図2】本発明の製剤から水中に溶出されるニフェジピ
ン量の推移を示すグラフである。
【図3】本発明の製剤投与後のビーグル犬血中薬物濃度
の推移を示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成3年2月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
フロントページの続き (72)発明者 小田切 優樹 熊本県熊本市長嶺町1675−32 (72)発明者 今井 輝子 熊本県熊本市花立2丁目255

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルギン酸プロピレングリコールエステル
    および薬効物質からなる徐放性製剤。
  2. 【請求項2】アルギン酸プロピレングリコールエステル
    とアルギン酸ナトリウムの存在比を選択することにより
    薬効物質の放出パターンを画定した徐放性製剤。
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