JPH0538Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、様々な体格の人に利用されることが
できるようにした座高調節可能な椅子に関するも
のである。

［従来の技術］ この種の椅子は、学習椅子や事務用椅子等とし
て広く使用されているが、従来のものは、椅子本
体の支柱を伸縮可能なものにしておき、その支柱
の伸縮長さをねじ送り式あるいはガススプリング
式の昇降位置調節機構などにより変化させて、そ
の座高を調節することができるようにしたものが
一般的である。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このような従来形式の椅子は、
座の高さ調節をすることはできるが、着座部分の
有効面積が固定であるため、座る人の体格によつ
て、座が浅すぎたり逆に深すぎたりして安定して
着座できない不具合が生じる場合がある。また、
固設された背もたれを有する椅子においては、上
記のような理由から背もたれへの距離が不適切と
なつて、該背もたれを有効利用できない不便を伴
う。

本考案は、以上のような問題点を有効に解消
し、体格によらず安定して着座することの可能な
椅子を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、以上のような目的を達成するため
に、椅子本体と座との間に昇降装置を介設してな
る座高調節可能な椅子であつて、前記昇降装置
を、中央で相互に枢結された第１、第２のリンク
メンバをそれぞれ備えてなる左右一対のＸリンク
機構と、これら各Ｘリンク機構の第１、第２のリ
ンクメンバ同士を連結してそれら両リンクメンバ
を一定の交差角度位置に固定するとともに操作部
を操作することによりその固定角度位置を変化さ
せ得るように構成された昇降位置調節機構とを具
備してなるものにし、前下がりの姿勢をなす前記
第１リンクメンバの下端および上端を前記椅子本
体の前部および前記座の後部にそれぞれ枢着する
とともに、前上がりの姿勢をなす前記第２リンク
メンバの上端および下端を前記座の前部および前
記椅子本体の後部にそれぞれ回動およびスライド
可能に支承させたことを特徴としている。

［作用］ このような構成により、Ｘリンク機構の第１リ
ンクメンバの下端が椅子本体の前部に枢着される
とともに第２リンクメンバの下端が椅子本体の後
部に回動およびスライド可能に支承されているの
で、昇降位置調節機構の操作部を操作することに
より、前記第１リンクメンバが下端を支点にして
回動し、これとともに前記第２リンクメンバの下
端がこれに対応して回動およびスライドし、Ｘリ
ンク機構はその交差角度を変更することができ
る。

そして、座はこのようなＸリンク機構の第１リ
ンクメンバの上端にその後部が枢着されるととも
に、第２リンクメンバの上端にその前部が回動お
よびスライド可能に支承されているので、水平姿
勢を維持したまま前下がりの姿勢をなす前記第１
リンクメンバの上端（後端）の動きに追従して円
弧を描くように移動することになる。

すなわち、このようなものであれば、座は上昇
に伴つて前方へ進出し、降下に伴つて後方へ退避
する。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

この椅子は、第１図および第２図に示すよう
に、椅子本体１と、この椅子本体１に対して昇降
可能な座２と、この座２と前記椅子本体１との間
に設けた昇降装置３とを具備してなる。

椅子本体１は、例えば背もたれ１１を一体に有
した木製のもので、前記座２の下方に位置する水
平な座受部１２は、左右の側板１３間に前、後の
横架材１４，１５を架設してなる枠体状に構成さ
れている。そして、この椅子本体１の座受部１２
と前記座２との間に前記昇降装置３を設けてい
る。

昇降装置３は、前記座２を前記椅子本体１に一
定姿勢で昇降すべく連結する左右一対のＸリンク
機構４と、前記座２の昇降位置を手動操作により
変化させるための昇降位置調節機構５とを具備し
てなる。

各Ｘリンク機構４は、第３図および第４図に示
すように、細長板状の第１リンクメンバ４１と、
同じく細長板状の第２リンクメンバ４２とを中央
部において支点ピン４３により回動可能に枢結
し、第２図〜第４図に示すように前下がりの姿勢
をなす第１リンクメンバ４１の下端４１ａおよび
上端４１ｂを下部ブラケツト７および上部ブラケ
ツト６を介して椅子本体１の前部および座２の後
部にそれぞれ枢着するとともに、第２図〜第４図
に示すように前上がりの姿勢をなす第２リンクメ
ンバ４２の上端４２ａおよび下端４２ｂを前記上
部ブラケツト６および下部ブラケツト７を介して
前記座２の前部および前記椅子本体１の後部にそ
れぞれ回動およびスライド可能に支承している。

なお、具体的には、第１リンクメンバ４１の下
端４１ａおよび上端４１ｂは、ピン４１ｃおよび
ピン４１ｄを介して対応する下部ブラケツト７の
前端近傍部および上部ブラケツト６の後端近傍部
に枢着されており、前記下部ブラケツト７は椅子
本体１に設けた座受部１２に支持されている。ま
た、第２リンクメンバ４２の上端４２ａおよび下
端４２ｂにはピン４２ｃおよびピン４２ｄがそれ
ぞれ水平に突設されており、そのピン４２ｃおよ
び４２ｄを前記上部ブラケツト６の前端近傍部に
設けた前後方向に延びる水平な長孔６１および前
記下部ブラケツト７の後端近傍部に設けた前後方
向に伸びる水平な長孔７１にそれぞれ回動および
スライド可能に挿通させている。なお、第１リン
クメンバ４１の上端近傍部間、および、第２リン
クメンバ４２の下端近傍部間には、左右のＸリン
ク機構４が異なつた動きをするのを防止するため
の連結バー４４，４５がそれぞれ架設してある。
連結バー４４，４５はパイプ状のもので、対応す
るリンクメンバ４１，４２に溶接により剛着され
ている。以上のようにしてなるＸリンク機構４の
リンクメンバ４１，４２に、前記昇降位置調節機
構５の後述するステー５１，５２を係合させてい
る。

昇降位置調節機構５は、第３図に示すように、
前記両Ｘリンク機構４の第１リンクメンバ４１間
に架設された下部ステー５１と、この下部ステー
５１の上方に位置させて第２リンクメンバ４２間
に架設された上部ステー５２と、前記下部ステー
５１に設けた上下方向のねじ孔５１ｃに螺合され
その上端部５３ａを前記上部ステー５２に回転可
能でかつ軸方向移動不能に連設したねじ軸５３
と、このねじ軸５３を回動させて前記両ステー５
１，５２間の距離を変化させる操作部たる操作ハ
ンドル５４とを具備してなる。下部ステー５１
は、角形パイプ状のもので、その左右に蓋着した
端板５１ａに連接ピン５１ｂを突設している。そ
して、その連接ピン５１ｂを第１リンクメンバ４
１に回動可能に連接している。上部ステー２は、
角形パイプ状のもので、その左右に蓋着した端板
５２ａに連接ピン５２ｂを突設している。そし
て、その連接ピン５２ｂを第２リンクメンバ４２
に回動可能に連接している。なお、前記下部ステ
ー５２の中央部には、前記ねじ孔５２ｃを形成す
るナツト（図示せず）が埋設してある。

次いで、この実施例の作動を説明する。第２図
および第３図に示すように、座２が上昇している
状態から操作ハンドル５４を所要の方向に回転操
作してねじ軸５３をねじ孔５１ｃに対して螺合降
下させると、このねじ軸５３が下部ステー５１を
足場にして上部ステー５２を下方へ引下げること
になる。その結果、Ｘリンク機構４は第１リンク
メンバ４１が下端４１ａを支点にして回動し、こ
れとともに第２リンクメンバの下端４２ｂがこれ
に対応して回動およびスライドし、両リンクメン
バ４１，４２が交差角度減少方向に作動する。そ
して、前記座２は、各部のがたつきやたわみ等を
無視すれば、Ｘリンク機構４による姿勢維持作用
により水平姿勢を維持され、回動する前記第１リ
ンクメンバ４１の上端４１ｂに追従して回動し、
降下するにつれて椅子本体１に対し第５図に示す
ように後方へ退避する。

また、前記操作ハンドル５４を逆方向に回転さ
せると、前記ねじ軸５３がねじ孔５１ｃに対して
螺合上昇し、前述とは逆の作動により前記座２が
水平姿勢を維持したまま上昇し、これとともに椅
子本体１に対し第２図に示すように前方へ進出す
る。

以上のようにして、昇降動作に加え座２に椅子
本体１に対する前後方向の進退動作を与えること
ができるわけであるが、このような構成であれ
ば、座２を子供が座るような低い位置に調節して
いる時は座２が椅子本体１に対し後方に退避して
着座部分の有効面積が小さくなるが、座２を大人
が座るような高い位置に調節した時は座２が椅子
本体１に対し前方に進出してきて着座部分の有効
面積が大きくなる。したがつて、このような椅子
であれば着座部分の深さ調節が自動的になされる
ので、体格に拘らず誰でも安定して着座すること
が可能となるものである。

なお、各リンクメンバやステーの断面形状は、
図示実施例のものに限定されるものではなく、本
考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能で
ある。

［効果］ 本考案は、以上のような構成であるから次のよ
うな効果が得られる。

すなわち、前下がりの姿勢をなす第１リンクメ
ンバの下端および上端を椅子本体の前部および座
の後部にそれぞれ枢着するとともに、前上がりの
姿勢をなす第２リンクメンバの上端および下端を
前記座の前部および前記椅子本体の後部にそれぞ
れ回動およびスライド可能に支承させているの
で、座が高さに応じて椅子本体に対し前後方向へ
進退する作用が得られる。これにより、座を子供
が座るような低い位置に調節した時は座が椅子本
体に対し後方へ退避して着座部分の有効面積が小
さくなり、座を大人が座るような高い位置に調節
した時は座が椅子本体に対し前方へ進出してきて
着座部分の有効面積が大きくなる。

そして、このように着座部分の深さ加減が自動
的に調節されることによつて、体格に拘わらず誰
でも安定した着座が可能となる上に、前記実施例
のように固設された背もたれを有する椅子におい
ては、座の深さが好適に調節されるため該背もた
れを有効利用することができる座高調節可能な椅
子を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は正面
図、第２図は第１図におけるＡ−Ａ線断面図、第
３図は要部を示す拡大側面図、第４図および第５
図はそれぞれ第３図および第２図に対応する作用
説明図である。 １……椅子本体、２……座、３……昇降装置、
４……Ｘリンク機構、５……昇降位置調節機構、
４１……第１リンクメンバ、４２……第２リンク
メンバ、４１ａ……下端、４１ｂ……上端、４２
ａ……上端、４２ｂ……下端、５４……操作部
（操作ハンドル）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 椅子本体と座との間に昇降装置を介設してなる
   座高調節可能な椅子であつて、 前記昇降装置を、中央で相互に枢結された第
   １、第２のリンクメンバをそれぞれ備えてなる左
   右一対のＸリンク機構と、これら各Ｘリンク機構
   の第１、第２のリンクメンバ同士を連結してそれ
   ら両リンクメンバを一定の交差角度位置に固定す
   るとともに操作部を操作することによりその固定
   角度位置を変化させ得るように構成された昇降位
   置調節機構とを具備してなるものにし、 前下がりの姿勢をなす前記第１リンクメンバの
   下端および上端を前記椅子本体の前部および前記
   座の後部にそれぞれ枢着するとともに、前上がり
   の姿勢をなす前記第２リンクメンバの上端および
   下端を前記座の前部および前記椅子本体の後部に
   それぞれ回動およびスライド可能に支承させたこ
   とを特徴とする座高調節可能な椅子。