JPH0538074U - 便器装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 便器本体に付帯する洗浄水タンクやその他の
機能部等を簡単に便器本体に固定でき、機能部の拡大に
も対応できるようにすること。 【構成】 洗浄水タンク７やその他の機能部を収納した
ケーシング２を便器本体１の固定座１ｃに載せて取り付
けるに際して、ケーシングの底部側の外郭形状を示すマ
ーカー２０ｃを備えた位置決め用のプレート２０を予め
固定座１ｃに仮置きしておき、マーカー２０ｃを利用し
てケーシング２を固定座１ｃの上に載せるようにする。 【効果】 ケーシングの下を覗くことなく簡単に便器本
体への据え付けができ、ケーシングが大型になっても施
工上の障害がないので、内部に備える機能部も拡充した
設備とすることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、便器の本体に局部洗浄用の衛生洗浄装置や洗浄水タンク等の機能部 を納めたケーシングを備えた便器装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

便器に局部洗浄機能を備えた衛生洗浄装置を一体化したものが従来から利用さ れている。この衛生洗浄装置は、便器本体とこれに一体に取り付けた洗浄水タン クとは別体として組み込まれるものが一般的であった。このようなタイプに代え て、衛生洗浄装置の全体と洗浄水タンクを一つのケーシングの中に納めると共に 、このケーシングに便座と便蓋を一体に連結し、ケーシングを便器本体の上に載 せて固定したものもある。その取付け構造を図１１に示す。

【０００３】 同図の（ａ）に示すように、便器本体５０にはボール５０ａを囲むリム５０ｂ と同じ高さの据付け面５０ｃに４個の取付け孔５１と洗浄水タンクの排水管が通 る配管孔５２を開けている。一方、同図の（ｂ）に示すように局部洗浄用の衛生 洗浄装置の機能部や洗浄水タンクを納め更に便座５３及び便蓋５４を一体化した ケーシング５５の下面にはボルト５５ａを設けている。ケーシング５５は据付け 面５０ｃの上に載せられ、ケーシング５５に一体化したボルト５５ａを取付け孔 ５１に通すと同時に洗浄水タンクの底面から突き出した排水管５６を配管孔５２ に通し、ナット５５ｂをボルト５５ａに螺合するこによって、ケーシング５５が 便器本体５０に固定される。

【０００４】 このように、ケーシング５５が大きくなっても、４本のボルト５５ａを利用す ることによって、ケーシング５５を便器本体５０に固定でき、洗浄水タンクやそ の他の機能部が露出しない外観の良い設備として利用できる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 局部洗浄用の衛生洗浄装置は、洗浄水を供給するバルブユニットや温水タンク 及び洗浄水を噴出するためのノズル装置を備え、更に洗浄後の乾燥に用いる温風 ファン及びこれらの機器の制御部等の多数の機器を備えたものである。このため 、このような機器と大きな洗浄水タンクをまとめてケーシング５５の中に納める には、各機器の平面的及び空間的な密度を高める必要がある。このような背景か ら、ケーシング５５を単に据付け面５０ｃの上に立ち上げるだけでなく、据付け 面５０ｃの左右の外側に下へ垂れ下がる袖部等を設け、収納空間を増やすように する必要性が出てきた。そして、この袖部のケーシングには、たとえば各機器の 操作盤や消臭ファンや消臭カセット等を納める機種のものがある。

【０００６】 このようにケーシング５５の底面部の大きさが便器本体５０の据付け面５０ｃ よりも大きくなると、ケーシング５５を据付け面５０ｃの上に載せるときにはケ ーシング５５によって据付け面５０ｃが隠れてしまう。このため、ボルト５５ａ を取付け孔５１に差し込むときには、ボルト５５ａと取付け孔５１が見えなくな ってしまうので、作業する場合にはケーシング５５を抱える人とボルト５５ａと 取付け孔５１の位置を確認するもう一人の人が必要になる。また、二人で作業す るときでも、ケーシング５５の姿勢が悪くてボルト５５ａが取付け孔５１の中に 斜めに差し込まれるようになると、陶器製の便器本体５０を傷付けたり、取付け 孔５１を損傷しやすい。

【０００７】 このように、洗浄水タンク等を組み込んだ大きなケーシングを便器本体に固定 するには作業性の面で問題があり、特に狭い便所内での現場作業では一人で作業 するスペースしか確保できない場合が多いので、この問題は更に顕著になる。し たがって、ケーシングに納める機器の量や大きさにも制限を受けるようになり、 機能部の拡充にも障害をきたし兼ねない。

【０００８】 本考案において解決すべき課題は、便器本体に付帯する洗浄水タンクやその他 の機能部等を簡単に便器本体に固定でき、機能部の拡大にも対応できるようにす ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、便器本体の後部上面を固定座とし、該固定座に局部洗浄装置や洗浄 水タンク等の機能部を収納したケーシングを配置し、該ケーシングは固定ボルト 等の固定手段を下に向けて突き出して備え、前記固定座にはこれらの固定手段が 差し込まれる孔を開けた便器装置であって、前記ケーシングを、前記固定座に位 置決めして仮置きされ該ケーシングの底部部分の外郭形状を示すマーカーを備え たプレートを介して、前記便器本体に一体化したことを特徴とする。

【００１０】

【作用】

ケーシングを便器本体の固定座に据え付けるに際し、この固定座にはケーシン グを便器本体に対して位置決めするためのプレートが予め仮置きされ、固定座に 対してプレートが位置決めされている。このため、プレートに設けたマーカーに 対してケーシングの底部側の外郭形状を合わせるようにすれば、ケーシングも便 器本体に対して位置決めでき、固定ボルト等の固定手段が便器本体側の孔に整合 するようになる。したがって、ケーシングと固定座との間を覗きながら作業する ことなく、ケーシングをプレートの上に載せるだけで据え付けが行える。

【００１１】

【実施例】

図１は便器本体にケーシングを据え付ける際に利用する位置決め用のプレート を被せたときの平面図、図２はプレートの概略を示す図である。そして、このプ レートを利用して便器本体にケーシングを一体化した斜視図を図３に及びそのと きの要部の縦断面図を図４にそれぞれ示す。以下の説明では、まず便器本体にケ ーシングを一体化した構造について説明し、プレートによるケーシングの位置決 め作業は後述する。

【００１２】 図３及び図４において、便器本体１には局部洗浄機能を備えた衛生洗浄装置や 洗浄水タンク等の機能部を納めるケーシング２が一体化されている。このケーシ ング２は、図４に示すように便器本体１に固定されるベース３及びその上下にそ れぞれ配置して一体化した上ケーシング４と下ケーシング５の３個のパーツから 構成されたものである。

【００１３】 上ケーシング４の正面部の前端には便座６ａ及び便蓋６ｂがそれぞれ取り付け られ、更に上端部には手洗い鉢６ｃを設けてこれに吐水管６ｄを備えている。ま た、上ケーシング４の内部には、便器本体１に洗浄水を送り込む洗浄水タンク７ を収納している。この洗浄水タンク７はベース３を便器本体１に固定するボルト を利用してベース３側に拘束されて固定される。なお、洗浄水タンク７は通常の ものと同様に内部にボールタップ７ａを備え、このボールタップ７ａに接続管７ ｂを設けて吐水管６ｄまでの流路を連絡している。

【００１４】 図５は便器本体１の後半分を示す部分平面図であり、ボール１ａの周囲にリム １ｂを形成し、このリム１ｂと同じ高さを持たせてベース３を取り付けるための 固定座１ｃを設けている。固定座１ｃの後端の中央には、洗浄水タンク７の底面 に突き出した排水筒７ｃ（図４参照）が嵌まり込む接続口１ｄを開け、洗浄水タ ンク７からボール１ａまでの洗浄水流路を接続している。また、この接続口１ｄ を挟む左右の２ヵ所には洗浄水タンク７と共にベース３を固定座１ｃに固定する ためのボルトが通るボルト孔８を開け、更にリム１ｂに近い側にはベース３を固 定座１ｃに係合拘束させるための取付け孔９を貫通させている。

【００１５】 図６はベース３の固定座１ｃへの固定構造の概略を示す分解斜視図であり、こ のベース３は２本の固定ボルト１０及び同様に２本の拘束具１１によって便器本 体１に固定される。ベース３には便器本体１側のボルト孔８に整合する孔３ａを 開けると共に拘束具１１の下端部を差し込む２個の挿通孔３ｂを設けている。こ れらの挿通孔３ｂも同様に便器本体１側の取付け孔９に整合し、その前側には２ 本の突起３ｃを立ち上げている。

【００１６】 図７は固定ボルト１０によるベース３の便器本体１への固定を示す概略図であ り、固定ボルト１０は洗浄水タンク７の下端を挿通してベース３に開けた孔３ａ から固定座１ｃのボルト孔８に差し込まれ、固定座１ｃの下側から固定ボルト１ ０にナット１０ａを螺合している。このように、ベース３の後端部側は固定ボル ト１０によって便器本体１側に固定され、これと同時に洗浄水タンク７も便器本 体１側に拘束固定される。

【００１７】 図８及び図９は拘束具１１によるベース３及びケーシング２の固定を示す要部 の縦断面図である。

【００１８】 拘束具１１は、突起３ｃの上に乗るスライダ１１ａとその前端及び後端からそ れぞれ下に突き出した連結座１１ｂ及びフック１１ｃを備えた縦断面を持つ。連 結座１１ｂには上ケーシング４の正面側から通した固定ビス１２をねじ込むビス 孔１１ｄを設け、フック１１ｃの下端は固定座１ｃの下面を抱き込むように鉤状 に曲げた断面形状を持つ。なお、図１０に示すように、突起３ｃの上端の両側に は突部３ｄを設けておき、これらの突部３ｄによってスライダ１１ａが左右にず れることなく移動できるようにすることが好ましい。

【００１９】 ここで、ベース３には洗浄水タンク７を所定の位置に固定すると共に、局部洗 浄用のノズル装置や温水タンク及びコントローラ（いずれも図示せず）を固定す る。そして、これらの洗浄水タンク７や各機能部をまとめて包み込むように上ケ ーシング４及び下ケーシング５をベース３に一体化する。このとき、固定ボルト １０はベース３の下面から突き出るようにして予め組み込み、ナット１０ａとの 螺合に備えて回転しないようにセットする。また、拘束具１１も同様にベース３ に予め組み込んでおき、固定ビス１２によって突起３ｃから脱落しないようにす る。そして、この拘束具１１は、便器本体１の固定座１ｃにセットしたとき、取 付け孔９の中に差し込めるように図８に示すものよりも少し右側に位置させてお き、フック１１ｃが取付け孔９と整合可能な位置にくるように設定しておく。

【００２０】 このように、ベース３の上に洗浄水タンク７や局部洗浄用の機能部を固定して 上ケーシング４及び下ケーシング５をベース３に一体化し、更に固定ボルト１０ 及び拘束具１１も現場で直ぐに便器本体１に固定できるようにセットした状態と して工場出荷する。そして、現場に据え付けた便器本体１へのケーシング２全体 の取付け作業は、図２に示す位置決め用のプレート２０を利用して行う。

【００２１】 位置決め用のプレート２０は、たとえば厚手の紙等を利用した平板状のもので あり、図１に示すように便器本体１の固定座１ｃの後半分に被せて使用される。 そして、このプレート２０には、ケーシング２から下に突き出る排水筒７ｃを便 器本体１の接続口１ｄに通すための排水筒用挿通口２０ａと、固定ボルト１０を 通すための２個のボルト用挿通口２０ｂとを開けておく。これらの排水筒用及び ボルト用の挿通口２０ａ，２０ｂは、便器本体１の接続口１ｄ及びボルト孔８の 芯に整合するように位置させ、３点による位置決めをプレート２０を介して行わ せることでケーシング２を便器本体１に位置決めする。

【００２２】 また、プレート２０の表面には、ケーシング２がこのプレート２０に載る部分 の後部端のプロフィルに合わせたマーカー２０ｃを予め描いておく。マーカー２ ０ｃは、ケーシング２の後端部の位置と幅方向の位置とを示すことができるもの であればよく、図示の例では後端部から側部にかけてを示すことによって、ケー シング２の後端部の位置及び幅方向の位置を決めることができる。

【００２３】 ここで、現場に据え付けた便器本体１に対して、工場出荷段階で洗浄水タンク ７等を一体に組み込んだケーシング２を取り付ける要領は次の通りである。

【００２４】 まず、便所に据え付けた便器本体１の固定座１ｃの上にプレート２０を被せ、 排水筒用及びボルト用の挿通孔２０ａ，２０ｂをそれぞれ接続口１ｄ及びボルト 孔８の芯に合わせる。これらの３点を利用したセットにより、プレート２０はそ の位置を正しく便器本体１の固定座１ｃに合わせることができ、テープ等によっ てプレート２０を便器本体１側に仮固定する。

【００２５】 次いで、ベース３，上ケーシング４及び下ケーシング５を一体としたケーシン グ２をそのままプレート２０の上に運び、ケーシング２の後端部側のプロフィル がマーカー２０ｃに一致するようにその姿勢を設定する。この作業は、ケーシン グ２の側方又は上昇からケーシング２のプロフィルとマーカー２０ｃとを見なが ら行えばよい。これにより、ベース３の下に突き出た固定ボルト１０がプレート ２０のボルト用挿通口２０ｂを介してボルト孔８に整合し、同時に排水筒用挿通 口２０ａを介して接続口１ｄに整合する。そして、これらの整合と同時に、ベー ス３の下に突き出ている拘束具１１のフック１１ｃ部分も取付け孔９に整合する ようになる。

【００２６】 このような位置合わせの後、ケーシング２を下にゆっくりと降ろせば、固定ボ ルト１０がボルト孔８に，排水筒７ｃが接続口１ｄに及び拘束具１１のフック１ ｃが取付け孔９の中に嵌まり込み、ケーシング２を固定座１ｃの上に載せること ができる。そして、この段階で、プレート２０を切り裂くようにして固定座１ｃ とベース３との間から引き抜いて除去する。

【００２７】 ベース３を固定座１ｃに載せ終われば、固定ボルト１０にナット１０ａを螺合 してベース３の後端部側を固定座１ｃに固定する。次いで、上ケーシング４の正 面にその頭部が位置している固定ビス１２にドライバを掛け、この固定ビス１２ が拘束具１１のビス孔１１ｄの中にねじ込まれる方向に回す。固定ビス１２を更 にねじ込んでいくと、拘束具１１は固定ビス１２と一緒には回転しないので、図 ９の矢印に示すように上ケーシング４の内壁側へ移動する。そして、最終的には 同図の状態となり、フック１１ｃが取付け孔９の内壁に突き当たると同時に下端 が固定座１１ｃの下面を抱き込むようになる。このため、ベース３は拘束具１１ のスライダ１１ａが突起３ｃの上面を圧下して固定座１ｃに押し付けられ、ベー ス３は便器本体１に２本の固定ボルト１０と共に一組の拘束具１１によって固定 される。

【００２８】 以上のように、位置決め用のプレート２０のマーカー２０ｃを利用することに よって、便器本体１にケーシング２を一体化するときに、このケーシング２の下 を覗き込むような作業が不要となる。すなわち、固定ボルト１０や排水筒７ｃ等 が固定座１ｃのボルト孔８や接続口１ｄに差し込まれるのを作業者が確認しなく ても、ケーシング２を持った作業者がマーカー２０ｃにケーシング２の後端部側 を合わせるだけで、簡単にケーシング２を便器本体１にセットできる。このため 、一人の作業者でも楽にケーシング２の固定が行え、狭い便所内の作業も簡単に なる。

【００２９】

【考案の効果】

本考案では、便器本体側に仮置きした位置決め用のプレートを利用して便器に 対するケーシングの位置を正しく設定できる。このため、ケーシングの形状や重 量が大きいものでも、作業する人はケーシングの底部の固定ボルト等の位置を確 認することなく便器本体側のボルト孔等に簡単に差し込むことができ、狭い作業 現場であっても簡単にケーシングの据え付けができる。したがって、便器本体と 大きなケーシングとを別体とし、これを現場で組み立てる仕様であっても、作業 者の負担が少なく施工性のよい製品として供給できる。また、ケーシングが大型 になっても便器本体への据え付けが簡単なので、ケーシングの内部に組み込む機 能部も拡充できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】便器本体に位置決め用のプレートを仮置きした
ときの要部の平面図である。

【図２】プレートの詳細を示す図であって、同図の
（ａ）はプレートの平面図、同図の（ｂ）はその斜視図
である。

【図３】便器本体にケーシングを一体化した便器装置の
斜視図である。

【図４】ケーシングの内部の構造を示す縦断面図であ
る。

【図５】便器本体の固定座部分を示す平面図である。

【図６】ベースの固定構造を示す概略分解斜視図であ
る。

【図７】固定ボルトによるベースの後端部側の便器本体
への固定を示す概略断面図である。

【図８】ベースを拘束具によって便器本体に固定しよう
とする過程での要部の縦断面図である。

【図９】ベースを拘束具によって完全に便器本体に拘束
したときの要部の縦断面図である。

【図１０】図８のＡ−Ａ線矢視による断面図であって、
拘束具のガイドの一例を示す図である。

【図１１】便器本体にケーシングを固定する従来例を示
す概略図である。

【符号の説明】

１ 便器本体 ２ ケーシング ３ ベース ４ 上ケーシング ５ 下ケーシング ７ 洗浄水タンク ７ｃ 排水筒 ８ ボルト孔 ９ 取付け孔 １０ 固定ボルト １１ 拘束具 １２ 固定ビス ２０ プレート ２０ａ 排水筒用挿通口 ２０ｂ ボルト用挿通口 ２０ｃ マーカー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器本体の後部上面を固定座とし、該固
   定座に局部洗浄装置や洗浄水タンク等の機能部を収納し
   たケーシングを配置し、該ケーシングは固定ボルト等の
   固定手段を下に向けて突き出して備え、前記固定座には
   これらの固定手段が差し込まれる孔を開けた便器装置で
   あって、前記ケーシングを、前記固定座に位置決めして
   仮置きされ該ケーシングの底部部分の外郭形状を示すマ
   ーカーを備えたプレートを介して、前記便器本体に一体
   化したことを特徴とする便器装置。