JPH0537004Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、一本の遠隔操作用ケーブルで、ガバ
ナスプリングの張力と、チヨークバルブ開閉とを
共に操作することのできるエンジンのチヨーク連
動型ガバナ装置に関する。

［従来の技術］ 一般に、汎用エンジンなどには、出力軸にかか
る負荷の変動量に応じてスロツトルバルブの開度
を制御し、エンジンの回転数を一定にするガバナ
装置が併設されている。

この種のガバナ装置は、スロツトルバルブを開
弁方向へ付勢するガバナスプリングと、エンジン
回転に伴うガバナウエイトの遠心力などにて上記
スロツトルバルブを閉弁方向へ付勢するガバナス
リーブとの釣合いによつて上記スロツトルバルブ
の開度を可変設定してエンジンの回転数を一定状
態に制御するものであり、また、このガバナスプ
リングの付勢力は、このガバナスプリングを引く
スピードコントロールレバーの回動角によつて設
定される。

ところで、従来、エンジン始動の際には、上記
スピードコントロールレバーにて、上記スロツト
ルバルブをエンジン始動に充分な開度まで開弁さ
せる操作と、濃混合気を燃焼室へ供給すべくチヨ
ークレバーにてチヨークバルブを閉弁させる操作
とを別々に行つていたため操作が煩雑であつた。

とくに、芝刈機、あるいは、船外機などに搭載
されているバーチカルシヤフトタイプのエンジン
では、上記スピードコントロールレバー、およ
び、上記チヨークレバーか燃料タンク下方の狭隘
な空間に配設されており、始動時に、上記両レバ
ーを各々操作する作業は極めて煩雑である。

これに対処するに、例えば、実開昭60−195942
号公報には、スロツトルレバーとチヨークレバー
とをガバナスプリングにて連設し、且つ、このチ
ヨークレバーに操作レバーを連設し、この操作レ
バーの回動角により、チヨークバルブの開閉操作
と、上記ガバナスプリングの張力とを設定するこ
とのできる技術が開示されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、上記先行技術では始動時、チヨークバ
ルブを全閉にすると、ガバナスプリングがルーズ
になり、スロツトルバルブがガバナレバーによ
り、閉弁方向へ付勢されてしまい、所望のエンジ
ン回転数を得ることができず、始動が困難になる
ばかりでなく、良好な暖機運転が得られない課題
がある。

［考案の目的］ 本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、
エンジン始動時の操作性がよく、しかも、良好な
始動性能および暖機運転性能と、チヨーク作動時
のエンジン回転数の上昇防止が得られるエンジン
のチヨーク連動型ガバナ装置を提供することを目
的としている。

［課題を解決するための手段］ 本考案によるエンジンのチヨーク連動型ガバナ
装置は、ベースプレートに、コネクトスプリング
を介して互いに連設する第１、第２のスピードコ
ントロールレバーと、チヨークバルブに連設する
チヨークコントロールレバーとを枢支するととも
に、上記第１のスピードコントロールレバーの回
動角を規制するストツパを形成し、またこの第１
のスピードコントロールレバーに、スロツトルバ
ルブ開度を制御するガバナレバーをガバナスプリ
ングを介して連設し、さらに上記第２のスピード
コントロールレバーに遠隔操作用ケーブルを連設
するとともに、上記チヨークコントロールレバー
の当接面を対設することを特徴とする。

［作用］ 本考案のエンジンのチヨーク連動型ガバナ装置
では、遠隔操作用ケーブルを操作すると、第２の
スピードコントロールレバーが回動し、この第２
のスピードコントロールレバーがコネクトスプリ
ングを介して第１のスピードコントロールレバー
を回動させる。

すると、この第１のスピードコントロールレバ
ーが、ベースプレートに形成されたストツパに当
接されて、その回動角が規制されガバナレバーに
対するガバナスプリングの付勢力が設定され、所
定のエンジン回転数を得る。

更に第２のスピードコントロールレバーを回動
させると、この第２のスピードコントロールレバ
ーのみがコネクトスプリングの付勢力に抗して回
動し、チヨークコントロールレバーの当接面を押
圧し、チヨークコントロールレバーを回動させ
る。その結果、このチヨークコントロールレバー
に連設するチヨークバルブが閉弁される。

［考案の実施例］ 以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

図面は本考案の一実施例に係り、第１図は停止
時のチヨーク連動型ガバナ装置の概略図、第２図
は第１図の−断面図、第３図は定格運転時の
チヨーク連動型ガバナ装置の概略図、第４図は始
動時の装置の概略図である。

図中の符号１はベースプレートで、芝刈機、あ
るいは、船外機などに採用されているバーチカル
シヤフトタイプのエンジン本体（図示せず）の一
側に突設されたボスにボルト２にて固定されてい
る。また、このベースプレート１の一側に気化器
３が固設され、さらに、この気化器３と上記ベー
スプレート１との間にガバナレバー４が介在され
ている。

このガバナレバー４の基端が、上記エンジン本
体（図示せず）に支承されているガバナシヤフト
５の一端に軸支されている。このガバナシヤフト
５の他端はＬ字状に曲げ形成されて、エンジンの
回転に伴う遠心力を受けて突出動作するガバナス
リーブ（図示せず）に対設されている。また、上
記ガバナレバー４の先端と、上記気化器３のスロ
ツトルバルブ６に連結するスロツトルレバー７と
がガハナロツド８を介して連設されている。

一方、上記ベースプレート１に、第１、第２の
スピードコントロールレバー９，１０の基部と、
この両レバー９，１０に対峙するチヨークコント
ロールレバー１１の基部とがボルト１２ａ，１２
ｂ、スペーサ１３ａ，１３ｂを介して各々枢支さ
れている。

さらに、第１のスピードコントロールレバー９
の基部にフツク９ａが形成され、このフツク９ａ
にリターンスプリング１４の一端が掛止されてい
る。このリターンスプリング１４は上記スペーサ
１３ａに巻装され、その他端が上記ベースプレー
ト１に掛止されて、上記第１のスピードコントロ
ールレバー９を図の時計回り方向へ常時回動付勢
している。さらに、この第１のスピードコントロ
ールレバー９の中途と、上記ガバナレバー４の中
途との間がガバナスプリング１５を介して連設さ
れている。

また、上記第１のスピードコントロールレバー
９の反時計回り方向側面に受け面９ｂが曲げ形成
されており、この受け面９ｂに対設し、第１のス
ピードコントロールレバー９の回動角を規制する
ストツパの一例である調整自在なアジヤストスク
リユー１６が上記ベースプレート１に螺着されて
いる。このアジヤストスクリユー１６を進退調整
することにより上記ガバナスプリング１５の付勢
力を微調整することができる。一方、上記スピー
ドコントロールレバー９，１０の時計回り方向側
面には、上記ベースプレート１から曲げ形成され
たストツパ１ａが対設されている。このストツパ
１ａは上記両レバー９，１０の時計回り方向の回
動角を規制するものである。

さらに、上記両レバー９，１０の先端部分が、
コネクトスプリング１７を介して互いに引き合つ
ており、且つ、上記第２のスピードコントロール
レバー１０の反時計回り方向側面に曲げ形成され
ているストツパ１０ａが上記第１のスピードコン
トロールレバー９の側面に掛止されて距離が一定
に保持されている。

なお、上記コネクトスプリング１７のばね定数
は、上記ガバナスプリング１５のばね定数よりも
大きい値に設定され、ガバナ特性の悪化防止と後
述する遠隔操作用ケーブル２８のストローク拡大
を防止している。

また、上記ベースプレート１の上記第２のスピ
ードコントロールレバー１０の先端の時計回り方
向に、ストツプスイツチ１８の接点１８ａが固設
されている。このストツプスイツチ１８の接点１
８ａに上記第２のスピードコントロールレバー１
０の先端部分が接触すると、図示しない点火系の
一次線側あるいは二次線側がアースされ、点火栓
に供給する電圧が遮断される。さらに、上記第２
のスピードコントロールレバー１０の先端部の反
時計回り方向側面に受け面１０ｂが曲げ形成され
ており、上記チヨークコントロールレバー１１に
螺着されたアジヤストスクリユー２０の先端当接
面２０ａが上記受け面１０ｂに対設している。

さらに、このチヨークコントロールレバー１１
の基部に形成されたフツク１１ａにリターンスプ
リング２３の一端が掛止されている。このリター
ンスプリング２３は上記スペーサ１３ｂに巻装さ
れ、その他端が上記ベースプレート１に掛止され
て、上記チヨークコントロールレバー１１を図の
反時計回り方向へ常時回動付勢している。

一方、上記チヨークコントロールレバー１１の
時計回り方向の側部から図の上方へ、両スピード
コントロールレバー９，１０をオーバハングして
レバー部１１ｂが延出されている。さらに、この
レバー部１１ｂの先端と、上記気化器３のチヨー
クバルブ２５に連結するチヨークレバー２６とが
チヨークロツド２４を介して連設されている。

また、上記第２のスピードコントロールレバー
１０に固設されたスイベル２７に遠隔操作用ケー
ブル２８の一端が連結されている。この遠隔操作
用ケーブル２８はケーブルガイド２９に挿通され
て、その他端が操作レバー３０に連結されてい
る。

この操作レバー３０には停止（STP）、定格運
転（Ｄ）、始動（STR）の各ポジシヨンが設けら
れており、（STP）ポジシヨンに上記操作レバー
３０をセツトするとエンジンが停止され、（Ｄ）
ポジヨンにセツトすると定格回転数にセツトさ
れ、また、（STR）ポジシヨンにセツトすると上
記チヨークバルブ２５が閉弁されて濃混合気にて
エンジンを始動させることができる。

次に、上記構成による実施例の作用について説
明する。

（始動） エンジンを始動させる場合、第４図に示すよう
に、操作レバー３０を図の時計回り方向へ回動
し、（STR）のポジシヨンにセツトする。

すると、この操作レバー３０に遠隔操作用ケー
ブル２８を介して連設する第２のスピードコント
ロールレバー１０がボルト１２ａを中心に反時計
回り方向へ回動する。

同時に、第２のスピードコントロールレバー１
０にコネクトスプリング１７を介して連設する第
１のスピードコントロールレバー９が、リターン
スプリング１４の付勢力に抗して同方向へ回動
し、ベースプレート１に螺着されたアジヤストス
クリユー１６に当接されて、その回動が規制され
る。第１のスピードコントロールレバー９が回動
すると、このレバー９に連設するガバナスプリン
グ１５を介してガバナレバー４が高速方向へ回動
し、このガバナレバー４にガバナロツド８を介し
て連設する気化器３のスロツトルレバー７が回動
し、スロツトルバルブ６が開弁される。

一方、上記第２のスピードコントロールレバー
１０は上記コネクトスプリング１７の付勢力に抗
してさらに回動し、第２のスピードコントロール
レバー１０の反時計回り方向の側面に曲げ形成さ
れた受け面１０ｂが、チヨークコントロールレバ
ー１１に螺着されているアジヤストスクリユーの
先端当接面２０ａを押圧する。

すると、上記チヨークコントロールレバー１１
がボルト１２ｂを中心に、リターンスプリング２
３の付勢力に抗して時計回り方向へ回動し、レバ
ー部１１ｂの先端にチヨークロツド２４を介して
連設する上記気化器３のチヨークレバー２６が回
動し、チヨークバルブ２５が全閉状態になる。

そして、エンジンを始動すべくクランキング操
作すると、濃混合気がエンジンに供給され起動動
作する。

（暖機運転） エンジンが完爆されると、エンジンの回転数が
次第に上昇し、遠心力にて拡開するガバナウエイ
トがガバナスリーブ（いずれも図示せず）を突出
動作させ、このガバナスリーブに対設するガバナ
シヤフト５を図の反時計回り方向へ押圧する。す
ると、このガバナシヤフト５に軸着されているガ
バナレバー４が上記ガバナスプリング１５の付勢
力に抗して同方向へ回動する。そして、上記ガバ
ナスプリング１５と、上記ガバナスリーブ（図示
せず）の付勢力とが丁度釣合つた位置で上記ガバ
ナレバー４が停止し、上記スロツトルバルブ６の
開度が制御される。よつて、暖機運転の際にもエ
ンジン回転数が一定に保たれ、回転数不足、ある
いは、回転数の著しい上昇などが有効に回避さ
れ、良好な暖機運転性能が得られる。

なお、上記チヨークバルブ２５の開度は、上記
チヨークコントロールレバー１１に螺着されてい
るアジヤストスクリユー２０を回動し、進退動作
させることにより、微調整することができる。

また、上記コネクトスプリング１７は上記ガバ
ナスプリング１５よりも高いばね定数に設定され
ているので、上記第１のスピードコントロールレ
バー９が上記ガバナレバー４の付勢力を受けて戻
されることはない。

（定格運転） 暖機運転完了後、第３図に示すように、上記操
作レバー３０を（Ｄ）ポジシヨンへ戻すと、上記
第２のスピードコントロールレバー１０が上記コ
ネクトスプリング１７の付勢力を受けて時計回り
方向へ回動する。その結果、上記第２のスピード
コントロールレバー１０の上記チヨークコントロ
ールレバー１１に対する押圧力が解かれ、このチ
ヨークコントロールレバー１１は、リターンスプ
リング２３の付勢力を受けて反時計回り方向へ回
動し、上記チヨークバルブ２５が開弁される。

一方、上記一方のスピードコントロールレバー
９は、上記第２のスピードコントロールレバー１
０に上記コネクトスプリング１７を介して付勢さ
れたままの状態にあり、その一側面に形成された
受け面９ｂが上記ベースプレート１のアジヤスト
スクリユー１６に当接されている。

なお、この定格運転領域（Ｄ）における上記ガ
バナスプリング１５の付勢力は、上記アジヤスト
スクリユー１６を回転させて、進退動作させるこ
とにより微調整することができる。

その結果、上記第１のスピードコントロールレ
バー９に連設するガバナスプリング１５が上記ガ
バナレバー４を設定値通りの付勢力で付勢し、エ
ンジンが定格回転するように、上記スロツトルバ
ルブ６の開度を制御する。

（停止） また、第１図に示すように、上記操作レバー３
０を停止（STP）にセツトすると、上記遠隔操
作用ケーブル２８の上記第２のスピードコントロ
ールレバー１０に対する引き力が解かれる。その
結果、上記第１のスピードコントロールレバー９
の上記ガバナスプリング１５に対する張力も解か
れ、第１のスピードコントロールレバー９は、リ
ターンスプリング１４の付勢力、および、上記ガ
バナシヤフト５を押圧するガバナスリーブ（図示
せず）の付勢力を受けて時計回り方向へ回動し、
上記スロツトルバルブ６が閉弁されてエンジン回
転数が低下する。

同時に、上記第２のスピードコントロールレバ
ー１０が上記コネクトスプリング１７を介して引
かれ、同方向へ回動し、その先端部が、上記ベー
スプレート１に固設されたストツプスイツチ１８
の接点１８ａに接触し、点火系の一次線側あるい
は二次線側がアースされ、点火栓に対する電圧供
給が遮断され、エンジンは停止する。

なお、本考案は上記実施例に限るものではな
く、例えば、一対のスピードコントロールレバー
の回動中心が別々に設けられていてもよく、ま
た、各スピードコントロールレバー、および、チ
ヨークコントロールレバーの回動中心が同一であ
つてもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、ベースプ
レートに、コネクトスプリングを介して互いに連
設する第１、第２のスピードコントロールレバー
と、チヨークバルブに連設するチヨークコントロ
ールレバーとを枢支するとともに、上記第１のス
ピードコントロールレバーの回動角を規制するス
トツパを形成し、またこの第１のスピードコント
ロールレバーに、スロツトルバルブ開度を制御す
るガバナレバーをガバナスプリングを介して連設
し、さらに上記第２のスピードコントロールレバ
ーに遠隔操作用ケーブルを連設するとともに、上
記チヨークコントロールレバーの当接面を対設し
ているので、ガバナ動作させたままの状態で、チ
ヨークバルブを閉弁させることができ、エンジン
回転数の低下あるいは急激な上昇がなく、良好な
始動性能および暖機運転性能を得ることができ
る。

また、一本の遠隔操作用ケーブルで、定格運転
と、始動および暖機運転を選択的に操作すると共
にエンジンストツプ動作もすることができるので
操作性がよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例に係り、第１図は停止
時のチヨーク連動型ガバナ装置の概略図、第２図
は第１図の−断面図、第３図は定格運転時の
チヨーク連動型ガバナ装置の概略図、第４図は始
動時の装置の概略図である。 １……ベースプレート、４……ガバナレバー、
６……スロツトルバルブ、９，１０……第１、第
２のスピードコントロールレバー、１１……チヨ
ークコントロールレバー、１５……ガバナスプリ
ング、１７……コネクトスプリング、１６……ス
トツパ（アジヤストスクリユー）、２０ａ……当
接面、２５……チヨークバルブ、２８……遠隔操
作用ケーブル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベースプレートに、コネクトスプリングを介し
   て互いに連設する第１、第２のスピードコントロ
   ールレバーと、チヨークバルブに連設するチヨー
   クコントロールレバーとを枢支するとともに、上
   記第１のスピードコントロールレバーの回動角を
   規制するストツパを形成し、またこの第１のスピ
   ードコントロールレバーに、スロツトルバルブ開
   度を制御するガバナレバーをガバナスプリングを
   介して連設し、さらに上記第２のスピードコント
   ロールレバーに遠隔操作用ケーブルを連設すると
   ともに、上記チヨークコントロールレバーの当接
   面を対設することを特徴とするエンジンのチヨー
   ク連動型ガバナ装置。