JPH0535981B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈技術分野〉 本発明は、走行する自走車特に自動車を想定し
て車速に追従した送風の風を自動車に送り出す車
速追従風速制御装置に関する。

〈従来技術とその問題点〉 種々の温度・湿度下の環境状態での自動車の走
行を想定して、環境試験室内に収容した自動車
に、車速に追従した風速の風を送り出す車速追従
風速制御装置が従来より知られている。

ところで、供試体の車速が零の場合、供試車に
送り出す風の風速も零となるが、環境試験室内を
所望の温・湿度に常に制御しておくには、室内の
空気の一定量を空調器を通して循環させておく必
要がある。

そこで、供試車に直接風を送り出すメインダク
トのほかに、バイパスダクトを設けて、供試車の
車速が零の場合、このバイパスダクトから室内に
空調された風を送り出すようにしている。

従来の車速追従風速制御装置では、供試車の車
速が速いときは送風機から送り出す風の風速を単
純に大きくするという、車速信号と風速信号とが
単純に比例する制御を行なつているか、あるいは
車速信号を風速指示調節器に入力し、この調節器
の調節出力を受けて、メインダクト内のメインダ
ンパやバイパスダクト内のバイパスダンパの開
度、および送風機用の電動機の回転数を制御し、
必要とする風速を得る制御を行なつている。

ところで近年、試験精度を高めるために実走行
状態をより具体的に再現した試験を行ないたいと
いう要望が高まつている。

しかし、以上の従来の試験装置では、最近の下
記試験ニーズ、即ち 向かい風、追い風を想定した試験 CD値の異なる車の試験 車高の異なる車の試験 に対応できなくなつている。

たとえば、100Km／ｈで走行する車（シヤシ
ーダイナモメータからの車速信号）が、10m／
ｓ（36Km／ｈ）の向かい風または追い風を受け
た状態を試験（シミユレート）することは、従
来の試験装置は、車速信号に単純に比例して風
速信号を制御するか、あるいは車速信号によつ
てメインダンパーとバイパスダンパーの開度及
び送風機用電動機の回転数を制御する装置であ
るため不可能であつた。

また、CD値（車種による空気抵抗係数値）
が0.5の車と0.3の車の走行状態を試験（シミユ
レート）することは、従来の試験装置では上記
と同様の理由で不可能であつた。

乗用車とバスのように車高の異なる車種の走
行状態を試験（シミユレート）するばあい、上
記理由のほか、送風口の高さが一定であるため
供試車の受ける風速が乗用車とバスのばあいで
異なつてしまうので、同一の試験装置で試験
（シミユレート）することは不可能であつた。

〈本発明の目的〉 本発明の目的は、種々の温・湿度下での実走行
状態をより具体的に再現した試験を行なえるよう
にすることにある。

具体的には、追い風や向い風を想定した試験を
行なえるようにしたことにある。

また自動車の空気抵抗係数を考慮に入れた試験
を行なえるようにしたことにある。

さらに自動車の車高の違いにそれぞれ対応した
試験を行なえるようにしたことにある。

〈本発明の構成〉 上記目的を達成するために、本発明に係る自走
車の車速追従風速制御装置は、環境試験室内を所
定の温度および湿度に保ち、環境試験室内に収容
された自走車に、車速値に追従した風速の風を送
風口から送り出す車速追従風速制御装置におい
て、自走車の空気抵抗係数（CD値）の違い、お
よび追い風、向い風を想定して条件の設定を行な
える供試体条件設定器を設け、この条件設定器の
出力を受けて上記車速値を増減する供試体補正回
路を設け、自走車に送り出される風の風速がこの
供試体補正回路の出力に基いて制御されるととも
に、自走車の車高の違いを設定できる送風高さ設
定器を設け、この設定器の出力を受けて上記送風
口から送り出される風の風速高さが制御されるも
のである。

〈実施態様〉 次ぎに本発明の実施例を図面に示す一具体例に
よつて説明する。

第１図で、環境試験室１の上方には、天井隔壁
２で隔てられた機械室３が設けられている。この
機械室３には、環境試験室１内を所望の温度、湿
度に空調する空調器４と、試験室１内に収容され
る供試車たる自動車５に対して車速に追従する送
風を行なう送風機６が設けられている。

ここで、直流電動機７により駆動される送風機
６に接続された吸入ダクト８の吸入口８ａが、天
井隔壁２より環境試験室１内に臨んでいる。送風
機６の吐出ダクト９は空調器４に接続されてお
り、空調器４に接続された送風ダクト１０の先端
送風口１１が試験室１内に開口している。

この送風口１１内の上部には、電動機１２によ
つて水平軸１３ａまわりに上下に回動されるベー
ン１３が取り付けられており、このベーン１３の
開度によつて送風口１１から吹き出される風の吹
き出し高さが調節される。

また上記送風ダクト１０内には送風口１１の近
傍に、駆動機１４によつて駆動されるメインダン
パ１５が配設されており、このメインダンパ１５
の開度によつて送風口１１より吹き出される風量
が調節される。この送風口１１からの風は、試験
台１６に乗せた自動車５に向かつて吹き出され
る。

また送風ダクト１０には、メインダンパ１５の
配設位置に対して空調器４側にバイパスダクト１
７が接続されており、試験室１内のこのバイパス
ダクト１７の吹出口１８は、天井隔壁２の近傍の
高い位置に開口しており、吹出口１８からの風が
自動車５に向かつて送風されないようになつてい
る。

上記バイパスダクト１７内には、駆動機１９に
よつて駆動されるバイパスダンパ２０が配設され
ており、このバイパスダンパ２０の開度によつて
吹出口１８から吹き出される風量が調節される。

試験台１６には自動車の駆動輪によつて摩擦回
転させられる被回転ローラ２１を設けてあり、こ
の被回転ローラ２１に接続したゼネレータ２２よ
り自動車の駆動輪の単位時間当りの回転数、すな
わち車速信号が出力される。

つぎに第２図のブロツク図を説明すると、可動
接点２４ｎが供試体補正回路２３に接続された切
換えスイツチ２４の切換え接点２４ａ，２４ｂ
に、上記ゼネレータ２２と手動設定器２５が接続
されており、このスイツチ２４を切り換えること
により、ゼネレータ２２からの車速信号Ａまたは
手動設定車速信号Ｂを選択できる。

上記供試体補正回路２３には、供試体条件設定
器２６からの供試体条件設定信号Ｃが供給され
る。この設定器２６は、供試体である自動車５に
追い風または向い風が当つている場合を想定した
設定を行なうとともに、自動車５の車種による空
気抵抗係数（CD値）の違いに応じた設定を行な
う。

供試体補正回路２３では、設定信号Ｃを受けて
車速信号ＡまたはＢを増減して補正し、補正出力
信号Ｄを出力する。

この補正出力信号Ｄは、メインダンパ１５用の
開度設定信号Ｅを作るメインダンパ開度設定回路
２７と、バイパスダンパ２０用のダンパ開度設定
信号Ｆを作るバイパスダンパ開度設定回路２８に
供給される。

車速信号ＡまたはＢが零の場合は、メインダン
パ１５を全閉とする必要があり、メインダンパ開
度設定信号Ｅは零である。しかし、試験室１内の
空調は継続する必要があるので、このときバイパ
スダンパ開度設定信号Ｆはバイパスダンパ２０を
全開する信号となつている。上記メインダンパ開
度設定信号Ｅは或る車速値までは、車速値に比し
て立ち上がり、その後全開信号となる。またバイ
パスダンパ開度設定信号Ｆは或る車速値までは全
開信号となつており、その後車速値に逆比例して
立ち下がり、零となる。

上記メインダンパ開度設定回路２７は、切換え
スイツチ２９の切換接点Ｃ１，Ｃ２に接続され、
このスイツチ２９の切換接点Ｃ３がメインダンパ
全開信号送出部３０に接続されている。またこの
スイツチ２９の可動接片Ｎは、メインダンパ１５
を駆動する駆動機１４に接続されている。

また上記バイパスダンパ開度設定回路２８は、
切換えスイツチ３１の切換接点Ｃ１，Ｃ２に接続
され、このスイツチ３１の切換接点Ｃ３がバイパ
スダンパ全閉信号送出部３２に接続されている。
またこのスイツチ３１の可動接片Ｎは、バイパス
ダンパ２０を駆動する駆動機１９に接続されてい
る。

また上記補正出力信号Ｄは、送風高さ補正回路
３３に供給されている。この補正回路３３には、
自動車５の車高に応じて送風口１１の送風高さ
（吹出し高さ）の設定を行なう送風高さ設定器３
４からの送風高さ設定信号Ｇが入力されており、
この設定信号Ｇに基づき上記補正出力信号Ｄがさ
らに補正され、この補正回路３３から補正出力信
号Ｈが出力される。

送風口１１の送風高さが高くなつても、すなわ
ち開口面積が大きくなつても送風口１１から同じ
風速の風を送り出すには、送風器６からの風量を
多くしなければならないことから、上記補正出力
信号Ｈは、送風高さ設定信号Ｇが大きくなれば増
大する方向に補正された信号となつている。

ここで、上記送風高さ設定器３４から出力され
る設定信号Ｇは、ベーン１３を駆動する電動機１
２の駆動回路４３に供給されている。これによ
り、駆動回路４３の駆動信号を受けて電動機１２
が駆動され、ベーン１３の開度が調節され、しか
も送風口１１の送風高さが変えられる。

また上記送風高さ補正回路３３が、切換スイツ
チ３５の可動接片Ｎに接続されており、このスイ
ツチ３５の切換接点Ｃ１，Ｃ２が、切換えスイツ
チ３６の切換接点Ｃ２に接続されている。またこ
のスイツチ３５の切換接点Ｃ３が、切換えスイツ
チ３７の切換接点Ｃ３に接続されている。

また上記切換えスイツチ３６の切換接点Ｃ１に
は、風速指示調節器３８の出力端が接続されてい
る。風速指示信号Ｉを出力するこの風速指示調節
器３８には、送風口１１から吹き出される風の風
速を計測する風速計３９からの出力信号Ｊと、供
試体補正回路２３からの補正出力信号Ｄが供給さ
れており、設定したい風速が精度よく得られるよ
うにフイードバツクがかけられている。また切換
えスイツチ３６の切換接点Ｃ３は空き端子となつ
ており、このスイツチ３６の可動接点Ｎは最低回
転数補正回路４２に接続されている。

また上記送風高さ設定器３４の出力端が、切換
えスイツチ４１の切換接点Ｃ１，Ｃ２に接続され
ており、このスイツチ４１の切換接点Ｃ３は空き
端子となつている。このスイツチ４１の可動接片
Ｎは、最低回転数補正回路４２に接続されてい
る。

試験室１の空調は、室内を所望の温・湿度に保
つために常に継続しなければならず、車速信号Ａ
またはＢが零であつても、逆風機６を低い回転数
で回転しておく必要がある。したがつて、最低回
転数補正回路４２の補正出力信号Ｋは、補正回路
４２への入力値が零から或る低い値まで、或る一
定値を保ち、その後入力値の増大に伴い増大する
ような信号となつている。

上記最低回転数補正回路４２の出力端は、切換
スイツチ３７の切換接点Ｃ１，Ｃ２に接続されて
おり、このスイツチ３７の可動接片Ｎが、直流電
動機７の駆動回路４０に接続されている。駆動回
路４０の駆動信号Ｌを受けて直流電動機７が運転
され、これにより送風機６が駆動される。直流電
動機７からは帰還信号Ｍが駆動回路４０に供給さ
れており、直流電動機７の回転精度を高めるため
にフイードバツクをかけている。

このような構成からなる上記車速追従風速制御
装置では、供試体条件設定を設定器２６で行な
え、送風口１１の高さ設定を設定器３４で行なえ
る。また、各切換スイツチ２９，３１，３５，３
６，３７，４１が切換接点Ｃ１側に切換えられる
場合の第１のモード、切換接点Ｃ２側に切換えら
れる場合の第２のモード、切換接点Ｃ３側に切換
えられる場合の第３のモードの３つのモードを選
択することができる。

第１のモードでは、メインダンパ１５とバイパ
スダンパ２０を制御し試験室１内の温・湿度を制
御しながら、車速の一定走行に対応した試験を行
なうことができる。この場合、風速計３９で計測
しながらフイードバツクをかけて風速が制御され
るので、送風口１１からは、正確な速さの風が吹
き出される。このモードでは、車種によるCD値、
追い風や向かい風の状態での実車走行様供試体補
正がなされるよう送風機の最低回転数補正が行な
われる。

第２のモードでは、第１のモードと同様に試験
室１内の温・湿度を制御しながら、車速の加減速
走行に対応した試験を行なうことができる。この
場合、風速のフイードバツク制御を行なつていな
いので、車速の加減速にすばやく追従した風速の
風を送風口１１から送り出すことができる。この
モードでは、供試体補正、送風口の高さ補正、最
低回転数補正が行なわれる。

また第３のモードでは、バイパスダンパ２０は
全閉で、メインダンパ１５は全開となつており、
試験室１内の温・湿度制御を行なわない場合の、
車速の一定走行および加減速走行に対応した試験
を行なえる。この場合も第２のモードと同様に、
風速のフイードバツク制御を行なつていないの
で、車速の変化に忠実に追従する風を送風口１１
から送り出せる。

〈本発明の効果〉 以上説明したように、本発明では、自動車５に
追い風や向い風が当つている場合を想定した試験
や、自動車５の車種による空気抵抗係数が異なる
場合、および自動車５の車高の高さが異なる場合
のそれぞれを想定した試験を行なうことができ、
実際の走行をより具体的に再現した試験を行なえ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る車速追従風速制御装置を
備える環境試験室の全体構成図、第２図は上記車
速追従風速制御装置の構成図である。 図中、１…試験室、２…天井隔壁、３…機械
室、４…空調器、５…自動車、６…送風機、７…
電動機、８…吸入ダクト、９…吐出ダクト、１０
…送風ダクト、１１…送風口、１２…電動機、１
３…ベーン、１４…駆動機、１５…メインダン
パ、１６…試験台、１７…バイパスダクト、１８
…吹出口、１９…駆動機、２０…バイパスダン
パ、２１…被回転ローラ、２２…ゼネレータ、２
３…供試体補正回路、２４…切換えスイツチ、２
５…手動設定器、２６…供試体条件設定器、２
７，２８…ダンパ開度設定回路、２９，３１，３
５，３６，３７，４１…切換えスイツチ、３０…
ダンパ全開信号送出部、３３…送風高さ補正回
路、３４…送風高さ設定器、３８…風速指示調節
器、３９…風速計、４０…駆動回路、４２…最低
回転数補正回路、４３…駆動回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 空調空気が試験室内の供試車たる自走車から
   の車速信号に基いて回転数が制御される送風機に
   より送風口から供試車に向けて吹き出される車速
   追従風速制御装置において、供試車の車種による
   空気抵抗係数の条件、および供試車に対する追い
   風、向い風の状態の条件を想定設定できる供試体
   条件設定器と、この条件設定器からの信号と前記
   車速信号とが入力される供試体補正回路とを備
   え、この供試体補正回路からの出力により前記送
   風機の回転数が制御されて、供試車が実車走行時
   と同等な車風速になるよう前記送風口から空気が
   吹き出される自走車の車速追従風速制御装置。 ２ 前記第１項記載の発明において、送風口に送
   風高さ設定用のベーンを設け、このベーンが、高
   さ設定器を備える送風高さ補正回路からの信号に
   より供試車の車高に対応する送風高さになるよう
   作動させられる自走車の車速追従風速制御装置。