JPH0535832Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案は、針棒の上下運動に関連して加工布
支持面上の加工布を間欠的に押えるようにしたミ
シンの布押え装置に関するものである。

（従来の技術） 従来のこの種の布押え装置としては、例えば実
公昭58−36386号公報に示すように、針棒の上下
運動がミシンアームに支持された揺動レバーを介
して押え棒に伝達されるように構成したものが知
られている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、この従来構成においては、押え棒に
付与された押えばねの押圧力が揺動レバーを介し
て針棒に逆伝達されて、ミシン主軸に回転負荷が
かかつた状態にあるため、その駆動源として大ト
ルクのモータを必要とするとともに、ミシンを針
上位置などで停止させた場合に、針棒が前記押え
ばねの押圧力で下降してしまうという問題があつ
た。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） この考案は、前記のような問題点に着目してな
されたものであつて、ミシンアームに上下動可能
に支承され、かつ下端に針が取付けられた針棒
と、その針棒と間隔をおいてそれと平行に配置さ
れるように前記ミシンアームに上下動可能に支承
され、かつ下端に加工布支持面上の加工布を押え
るための布押え足が取付けられた押え棒と、基端
が前記ミシンアーム６に揺動可能に支持されると
ともに、自由端が前記針棒に作動的に連結され、
針棒７の上下動に伴つて上下に揺動される揺動部
材と、その揺動部材１７にはその揺動軸線の周囲
に延びるほぼ円弧状のカム面が形成されているこ
とと、前記揺動部材の揺動中心を通る鉛直線上の
上方位置に設けられるとともに、前記揺動部材の
揺動に伴うカム面の作用によりその揺動部材の揺
動軸線を中心とするほぼ半径方向に変位可能に支
持され、かつ前記押え棒に作動的に連結されたカ
ムフオロワとを備えている。

（作用） 従つて、この考案の布押え装置においては、カ
ムフオロワが揺動部材の揺動中心を通る鉛直線上
の上方位置においてその揺動軸線を中心とする半
径方向に変位作動されることにより、押え棒に付
与された押えばねの押圧力が常にカムフオロワを
介して揺動部材の揺動中心へ向かつて真下方に作
用した状態にあり、その押圧力が揺動部材を介し
て針棒に逆伝達されることがないため、ミシン主
軸に余分な回転負荷が作用せず、駆動源として大
トルクのモータを設ける必要がないとともに、ミ
シンを針上位置等で停止させた場合に、針棒が押
えばねの押圧力で下降するおそれを確実に防止す
ることができる。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を図面に従つて詳細
に説明する。

第１図に示すように、ミシンベツド１上には針
孔２ａを有する針板２が装着され、この針板２と
ミシンベツド１の上面には加工布支持面３が形成
されている。加工布支持面３上にはほぼ四角枠状
の送り板４が配置され、その上面には押え板５に
より加工布Ｗが装着されている。そして、所定の
縫製データに基づく図示しないパルスモータ等の
駆動により、送り板４を介して加工布Ｗに対し横
方向への送り運動が付与されるようになつてい
る。

一方、ミシンアーム６には針棒７が上下動可能
に支承され、その下端には針８が取付けられてい
る。針棒７には針棒抱き９がねじ２６により締付
固定され、その前部には連結ピン９ａが突設され
るとともに、後部には針棒クランク機構における
クランクロツド１０が取付ピン９ｂを介して取付
けられている。取付ピン９ｂの後端には角コマ１
１が固定され、ミシンアーム６内の規制溝１２に
係合して針棒７の回動を規制している。そして、
図示しないミシン主軸の回転に伴い、前記クラン
ク機構等を介して針棒７が上下動され、その下端
の針８とミシンベツド１内の図示しない糸輪捕捉
器との協働により前記加工布Ｗに縫目が形成され
るようになつている。

前記針棒７と間隔をおいてそれと平行に配置さ
れるように、ミシンアーム６には押え棒１３が上
下動可能に支承され、その下端には針挿通孔１４
ａを有する布押え足１４が取付けられている。押
え棒１３上には押えばね１５が設けられ、押え棒
１３を下方に向かつて押圧付勢している。そし
て、前記押え棒１３が下降されたとき、布押え足
１４が加工布Ｗ上又はその上面間近に配置され、
針８が加工布Ｗから上方へ抜け出す際の加工布Ｗ
の浮き上がりを阻止するようになつている。

前記押え棒１３を挟んで針棒７と反対側に位置
するように、ミシンアーム６には支持板１６が固
定されている。支持板１６の中央部には揺動部材
１７が基端において段付きねじ１８により揺動可
能に支持され、その自由端には前記針棒抱き９上
の連結ピン９ａに係合する長孔１７ａが形成され
ている。揺動部材１７の外周にはその揺動軸線の
周囲に延びるようにほぼ円弧状のカム面１７ｂが
形成され、その半径が徐々に大きくなつている。

前記支持板１６の上端には軸２３により回動レ
バー１９が支持され、その先端には軸２４を介し
て連結ロツド２０が支持されている。その連結ロ
ツド２０は軸２５を介して押え棒１３上の押え棒
抱き２１に連結されている。回動レバー１９上に
はカムフオロワ２２が回転自在に取付けられ、揺
動部材１７の揺動に伴うカム面１７ｂの作用によ
り、その揺動部材１７の揺動軸線の真上方、つま
り揺動部材１７の揺動中心を通る鉛直線上の上方
位置において、その揺動軸線を中心とするほぼ半
径方向へ変位作動されるようになつている。そし
て、このカムフオロワ２２の変位作動により押え
棒１３に間欠押え運動が付与されるようになつて
いる。

次に、前記のように構成されたミシンについて
作用を説明する。

さて、このミシンにおいて図示しないミシン主
軸の回転に伴い針棒７が上下動されると、連結ピ
ン９ａ及び長孔１７ａを介して揺動部材１７が揺
動され、そのカム面１７ｂの作用によりカムフオ
ロワ２２を介して回動レバー１９が上下に往復回
動され、連結ロツド２０を介して押え棒１３が上
下動される。従つて、前記針棒７の上下動に伴い
針８と糸輪捕捉器との協働にて加工布Ｗ上に縫目
が形成されるとともに、針８が加工布Ｗから上方
に抜け出す際に、押え棒１３の加工に伴い布押え
足１４が加工布Ｗ上に配置されて、加工布Ｗの浮
き上がりが阻止される。

なお、この実施例においては、カムフオロワ２
２が揺動部材１７の揺動軸線の真上方においてそ
の揺動軸線を中心とする半径方向に変位作動され
るように構成されているため、押えばね１５の押
圧力に基づく回動レバー１９の第１図時計方向へ
の回動力は、常にカムフオロワ２２を介して揺動
部材１７の揺動軸線に向かつて作用した状態にな
る。従つて、押えばね１５の押圧力が揺動部材１
７を介して針棒７に逆伝達されることなく、ミシ
ン主軸に余分な回転負荷が作用しないで、そのミ
シン主軸を小トルクのモータにより駆動すること
ができるとともに、ミシンの針上位置等の停止状
態において、針棒７が押えばね１５の押圧力で下
降されるおそれを確実に防止することができる。

又、この実施例においては、揺動部材１７と針
棒７とを作動的に連結するための連結ピン９ａが
針棒抱き９上に直接突設されているので、針８と
糸輪捕捉器との出会いを調節するために、ねじ２
６を緩めて針棒７上における針棒抱き９の取付位
置を上下に変更する際、その針棒抱き９がクラン
クロツド１０上の取付ピン９ｂにより回動を規制
されるとともに、角コマ１１と規制溝１２との係
合により回動を規制されながら上下動して、連結
ピン９ａが前方に正しく突出した状態に維持され
る。従つて、連結ピン９ａと長孔１７ａとの係合
部にこじれ等が生じるおそれがなく、前記出合い
の調節を容易に行うことができる。

なお、この考案は前記実施例の構成に限定され
るものではなく、例えば、カムフオロワ２２を押
え棒抱き２１上に直接取付けて揺動部材１７のカ
ム面１７ｂに係合させるように構成する等、この
考案の趣旨から逸脱しない範囲で各部の構成を任
意に変更して具体化することも可能である。

考案の効果 以上詳述したようにこの考案は、カムフオロワ
が揺動部材の揺動中心を通る鉛直線上の上方位置
においてその揺動軸線を中心とする半径方向に変
位作動されることにより、押え棒に付与された押
えばねの押圧力が常にカムフオロワを介して揺動
部材の揺動中心へ向かつて真下方に作用した状態
にあり、その押圧力が揺動部材を介して針棒に逆
伝達されることがないため、ミシン主軸に余分な
回転負荷が作用せず、駆動源として大トルクのモ
ータを設ける必要がないとともに、ミシンを針上
位置等で停止させた場合に、針棒が押えばねの押
圧力で下降するおそれを確実に防止することがで
きるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を具体化したミシンの部分正
断面図、第２図はそのミシンの部分側断面図であ
る。 ３……加工布支持面、６……ミシンアーム、７
……針棒、８……針、１３……押え棒、１４……
布押え足、１７……揺動部材、１７ｂ……カム
面、２２……カムフオロワ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ミシンアーム６に上下動可能に支承され、か
   つ下端に針８が取付けられた針棒７と、 その針棒７と間隔をおいてそれと平行に配置
   されるように前記ミシンアーム６に上下動可能
   に支承され、かつ下端に加工布支持面３上の加
   工布Ｗを押えるための布押え足１４が取付けら
   れた押え棒１３と、 基端が前記ミシンアーム６に揺動可能に支持
   されるとともに、自由端が前記針棒７に作動的
   に連結され、針棒７の上下動に伴つて上下に揺
   動される揺動部材１７と、 その揺動部材１７にはその揺動軸線の周囲に
   延びるほぼ円弧状のカム面１７ｂが形成されて
   いることと、 前記揺動部材１７の揺動中心を通る鉛直線上
   の上方位置に設けられるとともに、前記揺動部
   材１７の揺動に伴うカム面１７ｂの作用により
   その揺動部材１７の揺動軸線を中心とするほぼ
   半径方向に変位可能に支持され、かつ前記押え
   棒１３に作動的に連結されたカムフオロワ２２
   と よりなり、前記揺動部材１７の揺動に伴うカム
   面１７ｂの作用によりカムフオロワ２２が変位
   作動されて、押え棒１３に間欠押え運動が付与
   されるように構成したことを特徴とするミシン
   の布押え装置。 ２ 前記カム面１７ｂは揺動部材１７の外周に形
   成されている実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載のミシンの布押え装置。