JPH0534951B2 - - Google Patents

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JPH0534951B2
JPH0534951B2 JP63321991A JP32199188A JPH0534951B2 JP H0534951 B2 JPH0534951 B2 JP H0534951B2 JP 63321991 A JP63321991 A JP 63321991A JP 32199188 A JP32199188 A JP 32199188A JP H0534951 B2 JPH0534951 B2 JP H0534951B2
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JP
Japan
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medium
culture
cells
serum
cell
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JP63321991A
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Junji Kobayashi
Tadashi Maeda
Yutaka Sato
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、付着性細胞の培養方法に関する。さ
らに詳しくは、付着性細胞培養物に水性媒体中で
プロテアーゼを作用せしめて付着性細胞を剥離し
た後固定化プロテアーゼ阻害剤を作用せしめ次い
で培養せしめてなる培養方法に関する。 〔従来の技術〕 付着性細胞を用いた有用物質の工業的生産等に
は、先ず細胞を増殖させることが必須であるが、
付着性細胞の増殖には浮遊系細胞の増殖と異なり
培養担体への付着が必要である。したがつて、例
えば付着性細胞のスケールアツプ培養において
は、種培養時の培養担体上で増殖した該細胞を培
養担体より分離し、回収した細胞を主培養の培養
担体に移植する工程が必要となる。 従来、培養時の該細胞の付着表面積を増加せし
め栄養分の補給やガス交換が容易とせしめるため
該細胞を付着せしめる培養担体をマイクロキヤリ
ヤー等とすることが行われているが、これらの培
養担体より該細胞を剥離するには、プロテアーゼ
を使う方法が一般的に用いられている。このプロ
テアーゼを使用して剥離した該細胞を新たな培養
担体に接着せしめるに当り、該細胞の培養担体に
対する付着、伸展を良好にするため剥離した該細
胞を充分に洗浄する工程が必要であつた。この洗
浄工程は培養スケールが大きくなるほど煩雑にな
り、該工程の簡略化が大量培養における大きな問
題であつた。 上記の洗浄操作の代わりの方法として、プロテ
アーゼを使用して剥離した該細胞浮遊液に対し
て、牛胎児血清や子牛血清などを通常5〜10%
V/V添加した血清培地を用いることにより簡便
に該細胞の新たな培養担体に対する良好な付着、
伸展が行い得る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしこのような血清含有培地は、血清自体が
高価であるにもかかわらず、血清のロツド間の品
質に差異があり同一品質の血清を得ることが困難
であり、また培養された細胞培養物から目的有用
物質の単離精製をも困難にしている。 近年、無血清培地ないし低血培地による培養が
脚光を浴びている。しかし、無血清培地や低血清
培地は前述の血清培地に比べ細胞増殖速度、細胞
密度、細胞の安定性などの点で欠点があり、なお
多くの改良を必要とした。さらに同じく無血清培
地ないし低血清培地にて付着性細胞を移植して培
養するには、やはり上記の洗浄工程が不可避であ
つた。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、先に固定化プロテアーゼ阻害剤
が、無血清培地ないし低血清培地において速やか
に付着性細胞の細胞増殖を促進し、増殖を安定化
することを見出し、さらに研究の結果、固定化プ
ロテアーゼ阻害剤を用いる付着性細胞の培養法を
確立し、本発明を完成するに至つた。 即ち、本発明は、付着性細胞の培養において、
付着性細胞培養物に水性媒体中でプロテアーゼを
作用せしめて付着性細胞を剥離した後固定化プロ
テアーゼ阻害剤を作用せしめ次いで培養すること
を特徴とする培養方法である。 本発明において付着性細胞とは、培養担体への
付着が細胞増殖の必須要因である細胞で、一般的
には付着性の動物細胞が例示され、例えば正常お
よび胎児組織由来の付着性正常2倍体初代または
株化細胞ならびに癌およびその他の組織由来付着
性初代または株化細胞が挙げられる。具体的に
は、ヒト組織由来細胞、例えばヒト腎癌細胞
TRC−29R(微工研菌寄第10274号(FERMP−
10274)およびヒト肺癌細胞TLC−9A(特開昭62
−38325号公報)などが例示される。 ヒト腎癌細胞TRC−29Rの性状は下記に示す
とおりである。 形態:上皮細胞様、 染色体数:高3倍体域である染色体数74本の
モーダル・ナンバーを示すことを特徴とする染
色体数の分布モード、 継代培養:無限な継代培養、 機能的特徴:ヒト−CSF産生、 細胞増殖性:細胞の増殖が進み、飽和状態に
なると重層状に増殖する傾向が見られる。特
に、5〜20%牛胎児血清を含むRPMI−1640培
地において増殖性良く、ポピユレイシヨン・ダ
ブリング・タイムは29±6時間である。 固定化プロテアーゼ阻害剤とプロテアーゼ阻害
剤を不溶性または親水性の固定化担体に固定化し
たものを示し、本発明に使用しうるプロテアーゼ
阻害剤としては付着性細胞を剥離するのに使用さ
れるプロテアーゼ、例えばトリプシンなどを有効
に阻害するものであればよく、例えばα1−プロテ
イナーゼ・インヒビター、α1−マイクログロブリ
ン、オボインヒビター、ウシ膵臓トリプシンイン
ヒビター、ダイズトリプシン・インヒビター、リ
ママメ・インヒビター、ナンキンマメ・インヒビ
ター、インゲンマメ・インヒビター、マングマ
メ・インヒビター、フジマメ・インヒビター、タ
チナタマメ・インヒビター、ソラマメ・インヒビ
ター、ポテト・インヒビター、ストレプトミセス
ズブチリシン・インヒビター、プラスミノストレ
プチン、抗プロテアーゼ抗体およびその他の合成
プロテアーゼ阻害剤、例えばベンズアミジン塩酸
塩、p−アミノベンズアミジン塩酸塩、フツ化フ
エニルメチルスルホニル、p−トルエンスルホニ
ル−L−リジンクロルメチルケトン塩酸塩等が挙
げられる。さらに、固定化プロテアーゼ阻害剤を
細菌、カビ等の微生物のコンタミの防止のため
に、熱殺菌が可能な合成プロテアーゼ阻害剤、例
えばベンズアミジン塩酸塩、p−アミノベンズア
ミジン塩酸塩、フツ化フエニルメチルスルホニ
ル、p−トルエンスルホニル−L−リジンクロル
メチルケトン塩酸塩等、が好ましい。 固定化担体としては、プロテアーゼ阻害剤を固
定化するための官能基、例えばアミノ基、イミノ
基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル
基、ヒドロキシル基、チオール基、アミド基、シ
アノ基、イソシアノ基など、またはこれらの官能
基から誘導された、少なくともプロテアーゼ阻害
剤を固定化するための反応性基を有していればよ
く、何ら限定されるものではなく、例えばアルブ
ミンやゼラチンなどの蛋白質の不溶化したもの、
アガロース、セルロース、セフアロース、デキス
トリンやキトサンなどの多糖類のエピクロルヒド
リン処理による不溶化したものや臭化シアン処理
やその他のアミノ基導入試薬、チオール基導入試
薬やカルボキシル基導入試薬にて処理した不溶化
したものなどの不溶性半合成高分子系担体、また
例えばアクリロニトリル、アクリル酸、アクリル
酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エ
ステル、ビニルアルコール、酢酸ビニル、スチレ
ン、アミノスチレン、クロルスチレン、スルホス
チレン、マレイン酸、フマル酸などのモノマーか
らなる重合体または他のモノマーとの共重合体や
例えばヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートな
どのモノマーとの共重合体の親水性担体や、さら
にそれらのハイポーラスなものなどの合成高分子
系担体やケイ素やアルミニウムなどの無機化合物
またはそのハイポーラス無機化合物の不溶性機系
担体などが挙げられる。さらに、これらの担体に
フエライト等の磁性体を含有せしめると、磁気に
よる分離回収が可能でありより好ましい。 プロテアーゼ阻害剤を固定化担体に固定化する
に当たつては、固定化担体のハイポーラス吸着能
に基づく吸着固化を行つてもよく、または固定化
担体の有する官能基またはそれに導入した官能基
とプロテアーゼ阻害剤の有する官能基またはそれ
に導入した官能基とを必要に応じて架橋剤を用い
て共有結合または抱合せしめてもよい。また官能
基を導入する場合にはスペーサー導入のための試
薬を用いてもよく、例えばスクシニルアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、な
どのジアルデヒド化合物、ω−アミノ酪酸、ω−
アミノグルタミン酸などのアミノ酸化合物または
その酸クロライド、スクシンイミドエステル、p
−ニトロフエニルエステルなどの反応性誘導体、
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸な
どのジカルボン酸化合物またはその反応性誘導
体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジア
ミンなどのジアミン化合物、3−(2′−ピリジル
−ジチオ)プロピオン酸、3−(2′−ピリジル−
N−オキシド−ジチオ)プロピオン酸、3−
(2′−ベンゾチアゾリル−ジチオ)プロピオン酸
などのチオカルボン酸化合物またはその反応性誘
導体、S−アセチルメルカプトカプトサクシニツ
ク・アンハイドライド、2−アミノエタンチオー
ル、γ−アミノプロピルエトキシシランなどの試
薬の1種または2種以上を用いてアルデヒド基、
カルボキシル基、アミノ基、チオール基などの官
能基を導入してもよい。さらにこのような固定化
担体およびプロテアーゼ阻害剤の共有結合体を得
るに当たつては、この固定化担体、プロテアーゼ
阻害剤の有するアミノ基、水酸基、カルボキシル
基、チオール基などの官能基またはその反応性誘
導体やさらに導入された官能基またはその反応性
誘導体に基づいて、必要に応じて両者を結合しえ
る架橋試薬を用いて得られる。また架橋試薬とし
ては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオ
ール基などの官能基と反応し得る基を2つ以上有
する多官能性試薬であればよく、例えばスクシニ
ルアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアル
デヒド、などのジアルデヒド化合物、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などのジカル
ボン酸化合物またはその反応性誘導体、ヘキサメ
チレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイ
ソシアナートなどのジイソシアナート化合物、マ
レイミド安息香酸、マレイミドフエニル酢酸など
のマレイミドカルボン酸化合物またはその反応性
誘導体、N,N′−エチレンビスマレイミド、N,
N′−o−フエニレンジマレイミドなどのジマレ
イミド化合物、ビスジアゾベンジジン、ジエチル
マロンイミデート、ジメチルアジピンイミデー
ト、N,N′−ポリメチレンビスヨードアセトア
ミドや3−(2′−ピリジル−ジチオ)プロピオン
酸、3−(2′−ベンゾチアゾリル−ジチオ)プロ
ピオン酸などのチオカルボン酸化合物またはその
反応性誘導体、N−〔2−(2′−ピリジル−ジチ
オ)エチル〕−3−(2′−ベンゾチアゾリル−ジチ
オ)プロピオンアミド、1−(2′−ベンゾチアゾ
リル−ジチオ)−2−(2′−ピリジル−ジチオ)エ
タンなどのジチオ化合物、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジ
グリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化
合物またはその反応性誘導体が挙げられ、これら
の試薬は、用いる固定化担体およびプロテアーゼ
阻害剤の結合に関与するアミノ基、水酸基、カル
ボキシル基、アルデヒド基、チオール基などの官
能基を考慮して選択使用すればよく、また反応媒
体は、水、緩衝液、アセトン、DMF、DMSO、
クロロホルム、メチレンクロライドなどの溶媒を
選択使用すればよい。 一般的には入手の容易な市販品である固定化プ
ロテアーゼ阻害剤として、Benzamidine−
Sepharose6B(フアルマシア社製、商品名)のゲ
ル状物や磁気による分離回収が可能であるp−
Amino−Benzamidine−Agarose(磁気分離用)
ステロージンバイオケミカル社製、商品名)を用
いることもできる。 本発明の培養法は、継代培養に用いることがで
き、また、種培養等の前培養により得た付着性細
胞をさらに大量培養する後培養等において用いる
ことができる。 本発明の培養法に用いられる培養担体は容器壁
等であつてもよいが、培養時の該細胞の付着表面
積を増加せしめ栄養分の補給やガス交換が容易と
せしめるため、マイクロキヤリアー(以下、Mc
と略す)を用いることがより好ましい。Mcとし
ては、デキストラン、変性コラーゲン、ガラス、
ポリスチレン、ポリアクリルアミドやセルロース
等がよく利用され、動物細胞の培養においては、
通常、粒径100〜200μmの粒状物が使用される。
また、このようなMcに磁性体を保持せしめた磁
性体保持担体を培養担体として使用することも以
後の分離回収に有用であり好ましく、さらに好ま
しくはMc内部に磁性体を含有せしめた培養担体
を使用してもよい。 継代培養または大量培養に際しては、新たな
Mcを追加するかまたは新たなMcと置換するとよ
い。プロテアーゼ処理により剥離した細胞とMc
を分離するには、遠心分離、メツシユフイルター
および磁性体を保持する培養担体を用いた場合に
は磁気にて簡単に分離する方法が利用される。 固定化プロテアーゼ阻害剤をプロテアーゼにて
剥離した細胞浮遊液に添加し培養するに際して
は、必要に応じて固定化プロテアーゼ阻害剤と細
胞浮遊液とを一定時間作用せしめた後、該固定化
プロテアーゼ阻害剤を除去することができる。該
固定化プロテアーゼ阻害剤を除去する場合には、
例えば磁気分離用の固定化プロテアーゼ阻害剤を
用いて磁気にて簡単に分離するかまたは、遠心分
離により分離する方法や、さらに固定化プロテア
ーゼ阻害剤を充填したカラムに培養液を導入せし
めることもできる。 固定化プロテアーゼ阻害剤の形状は、用いる固
定化担体の形状に基づき粒子状や繊維状等のどの
ような形状であつてもよく、その大きさも培養液
に接触しやすさやその後の分離回収のしやすさ等
を考慮して適宜変更しうるが、通常粒子状で粒径
100μm〜1.0mm程度のものが使用される。また、
固定化プロテアーゼ阻害剤ゲル(含水率85〜95
%)1ml当りトリプシン約5〜20mgが結合し得、
ゲル1mlで50μg/mlトリプシン液約300mlを処理
できるが、好ましくは50〜200mlの範囲で調製す
ればよく、プロテアーゼ阻害剤の培地中の濃度と
しては、少なくとも0.05mMの量として用いれば
よく、通常5mM以下であればよい。さらに、好
ましくは0.3mM〜2mMである。 本発明で水性媒体とは、付着性細胞の剥離、接
着の工程における反応媒体を意味し、接着以後の
継代培養に利用しうる培地すなわちプロテアーゼ
の作用を実質的に阻害しない量以下の血清を含む
かあるいは全く血清を含まない培地であつてもよ
い。すなわち生理食塩液や緩衝液、有機溶媒含有
水溶液あるいは無血清培地または低血清培地等の
等張液が例示される。また、後記の方法により剥
離工程以前に種培養等の前培養時の培地を生理食
塩液や緩衝液、有機溶媒含有水溶液または別の無
血清培地または低血清培地等と置換することも行
い得るが、前培養時に使用した無血清培地または
低血清培地中で以後の操作を行うことが簡単でよ
い。 無血清培地とは特に限定されるものではなく、
例えばホワイト(White)の培地、フイシヤー
(Fisher)の培地、パーカー(Parker)の培地、
アーレ、(Earle)の培地、ウエイマウス
(Waymouth)の培地、イーグル(Eagle)の培
地、パツク(Pack)の培地、ハム(Ham)の培
地、トロウエル(Trowell)の培地、マツクコイ
(McCoy)の培地、ムーア(Moore)の培地、ウ
イリアムズ・メデイウム(William′ s
medium)E培地などの種々の基礎培地とその改
変培地、さらにそれらの混合培地が挙げられる。
さらに例示すれば、組成公知のフイシヤーの培地
としてはV−614、パーカーの培地としては
M150、M635、M703、M858、M199、CMRL−
1066、CMRL−1415、アーレの培地としては
NCTC109、NCTC135、ウエイマウスの培地と
してはMB752/1、BME、イーグルの培地とし
てはMEM、グルベツコMEM、ジヨウワリツク、
アルフアMEM、パツクの培地としてはN15、
N16、ハムの培地としてはF7、F10、F12、トロ
ウエルの培地としてはT7、マツクコイの培地と
してはマツクコイ5A、ムーアの培地としては
RPMI−1629、RPMI−1630、RPMI−1634、
RPMI−1640などの培地またはそれらの混合培地
が挙げられる。また、例えばMEM培地、199培
地、ハム培地、RPMI−1640培地、CMRL−1066
培地、NCTC109培地等の組成においては、種々
のアミノ酸類、ビタミン類、無機塩類やその他グ
ルコース等を添加調製したものでも良い。さら
に、このような培地において、リン脂質、脂肪酸
好ましくは不飽和脂肪酸、アミン化合物好ましく
はエタノールアミン、インシユリン、グルカゴ
ン、ソマトスタチン、パラサイロイドホルモン
(PTH)、チロプロテイン・リリージングホルモ
ン、ルテイニング・ホルモン・リリージングホル
モン、(LH−RH)セレン、トランスフエリン、
アルブミン、エピデルマル・グロス・フアクター
(EGF)、フアイブロプラスト・グロス・フアク
ター(FGF)、プロスタグランジン、例えばプロ
スタグランジンF2α、プロスタグランジンE1、ト
リヨードチロニン、ハイドロコーチゾン、プロゲ
ステロン、テストステロン、エストラジオール、
ラクトアルブミン、その他抗生物質などから選択
した一種以上の化合物を添加調整してもよい。 また、低血清培地とは、具体的には、上記無血
清培地等に例えば0.5%以下の血清を添加調整し
た培地を示す。 種培養等の前培養により得た付着性細胞をさら
に大量培養する後培養においては、例えば前培養
により得た培養物を通常50μg/mlのプロテアー
ゼにて37℃10分間処理して剥離せしめた細胞浮遊
液を得、次いでこれを、固定化プロテアーゼ阻害
剤を添加しそのまま培養するか、または、室温度
で10〜30分間接触せしめた後、除去するととも
に、新たなMcを追加するかまたは新たなMcと置
換するとよい。 付着性細胞の培養に当たつては、上記の調整さ
れた水性媒体に通常5×104〜5×106個/mlの細
胞濃度となるように添加して移植すればよい。 培養条件は細胞の種類により適宜変更し得る
が、動物細胞の場合には通常37℃、5%CO2
100%相対湿度の条件にて96時間以上培養を行え
ばよい。 〔実施例〕 次いで本発明の実施例を挙げるが、本発明はこ
れらによつて何ら限定されるものではない。 実施例1、比較例1 1 前培養 マイクロキヤリアー(フアルマシア フアイン
ケミカル社製、Cytodex−1)300mgを常法にし
たがつて(Pharmacia,Microcarrier cell
culture principles and Methods)膨潤させ、無
血清培地〔RPMI−1640培地(Gibco社製)に
10ng/mlEGF(東洋紡績社製)、5μg/mlインシユ
リン(シグマ社製)、1μg/mlトランスフエリン
(シグマ社製)、1μM硫酸第一鉄(和光純薬社
製)、0.01%(W/V)低分子ゼラチン((株)ニツ
ピ社製)、10μg/ml葉酸(和光純薬社製)、10mM
へペス(シグマ社製)、0.3%(W/V)重曹(和
光純薬社製)、100μg/mlペニシリンG(明治製菓
社製)、100μg/ml硫酸ストレプトマイシを添加
した培地〕100ml中にヒト腎臓癌細胞由来の株化
細胞TRC−29R株(微工研菌寄第10274号
(FERM P−10274))懸濁液(培養液1ml当た
り3×105個含有)と共に100ml容スピンナーフラ
スコ(ベルコ社製)に加えマグネチツクスターラ
ー上、30rpmで撹拌しながら37℃、5%炭酸ガス
インキユベーター内で培養した。培養開始後2日
目より毎日80%の培養液を新たなものと交換しな
がら6日間培養を行うと、細胞がMc上で密生し、
飽和増殖(培養液1ml当たり約1.8×106個の細胞
濃度)に達した。 2 剥離工程 前記で得た飽和増殖Mcを沈澱させ上清を廃棄
し、ついでPBS(−)〔日水製薬社製、Ca2+
Mg2+不含有のリン酸緩衝液(PH7.2)〕に溶解し
たトリプシン(500μg/ml、バイオザイムラバラ
トリーズ社製)10mlとPBS(−)を加えて最終容
量100mlとし、撹拌を行つてMcより細胞を剥離さ
せた。次いで100メツシユフイルターで細胞マイ
クロキヤリアースラリーから使用済Mcを分離し、
細胞浮遊液をPBS(−)で100mlにメスアツプし
た後、2本のフラスコに50mlずつ分注した。 3 接着 一方のフラスコには、磁性体含有の固定化プロ
デアーゼ阻害剤(p−アミノベンズアミジン−ア
ガロース(磁気分離用)ビーズ、ステロジンバイ
オケミカル社製)を1ml容加え、10分間弱い撹拌
を行つて阻害剤にトリプシンを結合させた。磁石
を用いて、固定化プロテアーゼ阻害剤ビーズを一
カ所に集めながら細胞浮遊液を8ml分取し、5倍
濃度のNaClおよびNa2HPO4・12H2O不含有無血
清培地〔無血清培地からNaClおよびNa2HPO4
12H2Oを除去した培地、以後5倍濃度培地と略
する〕を2ml加え、種細胞液とした。予め準備し
ておいた無血清培地とMc300mgとの懸濁培地90ml
を100ml容スピンナーフラスコに加え次いでこれ
に種細胞液10mlを接種した(実施例1)。 他方のフラスコにはPBS(−)1mlを加え10分
間弱い撹拌を行つた後、細胞浮遊液8mlを採取
し、5倍濃度培地2ml加え種細胞液とした。実施
例と同様に無血清培地とMc300mgとの懸濁培地90
mlを100ml容スピンナーフラスコに加え次いでこ
れに種細胞液10mlを接種した(比較例1)。 前記の実施例1および比較例1のそれぞれスピ
ンナーフラスコをマグネチツクスターラー上20〜
30rpmで撹拌しながら37℃、5%炭酸ガスインキ
ユベーター内で培養した。細胞を播種した翌日に
Mcに接着した細胞数を核染色法(Sanf ord,K
11773J.Nat.Cancer)で測定した。表1に細胞継
代時の細胞接着率を示す。細胞接着率とは、接種
した細胞数に対する翌日までにMcに接着した細
胞数の比を百分率で示したものである。また、培
養開始後2日目より毎日80%の培養液を新たな培
地と交換しながら8日間培養を行い、到達細胞数
を測定し表1に示した。 実施例1の方が比較例1より接着率、到達細胞
数いずれも高く、固定化プロテアーゼ阻害剤使用
の効果が明らかであつた。 【表】 実施例2、比較例2 1 接着 実施例1の1)前培養および2)剥離工程にて
得られた細胞浮遊液50mlずつを分注した2本のフ
ラスコを用意し、一方のフラスコには固定化プロ
テアーゼ阻害剤(フアルマシア社製、ベンズアミ
ジン−セフアロース6B)1mlgelを充填したカラ
ム(8×20mm)の還流装置を無菌的に装着させ、
4ml/分の流速で30分間還流することにより、カ
ラム内の固定化プロテアーゼ阻害剤にトリプシン
を結合させた(実施例2)。 他方のフラスコには滅菌したp−アミノベンズ
アミジン(シグマ社製)を最終濃度10mMとなる
ように加え30分間ゆつくりと撹拌した(比較例
2)。 それぞれ細胞浮遊液を8mlに、5倍濃度培地2
mlずつを加え、種細胞液とした。予め準備してお
いた無血清培地とMc300mgとの懸濁培地90mlずつ
をそれぞれ100ml容スピンナーフラスコに加え次
いでこれに種細胞液10mlずつを接種した。それぞ
れのスピンナーフラスコをマグネチツクスターラ
ー上20〜30rpmで撹拌しながら37℃、5%炭酸ガ
スインキユベーター内で培養した、細胞接着率お
よび到達細胞数の結果を表2に示した。 実施例2の方が比較例2より接着率、到達細胞
数いずれも高く、固定化阻害剤使用の効果が明ら
かである。 【表】 実施例3、比較例3 1 前培養 マイクロキヤリアー(フアルマシア フアイン
ケミカル社製、Cytodex−1)600mgを常法にし
たがつて膨潤させ、無血清培地200ml中にヒト腎
臓癌細胞由来の株化細胞TRC−29R株(微工研
菌寄第10274号(FERM P−10274))懸濁液
(培養液1ml当たり3×105個含有)と共に250ml
容スピンナーフラスコ(テクネ社製)に加えマグ
ネチツクスターラー上、30rpmで撹拌しながら37
℃、5%炭酸ガスインキユベーター内で培養し
た。培養開始後2日目より毎日80%の培養液を新
たなものと交換しながら6日間培養を行うと、細
胞がMc上で密生し、飽和増殖(培養液1ml当た
り約1.8×105個の細胞濃度)に達した。 2 剥離工程 前記で得た飽和増殖Mcを沈澱させ上清を廃棄
し、ついでPBS(−)に溶解したトリプシン
(500μg/ml、バイオザイムラバラトリーズ社製)
10mlとPBS(−)を加えて最終容量100mlとし、
撹拌を行つてMcより細胞を剥離させた。次いで
100メツシユフイルターで細胞マイクロキヤリア
ースラリーから使用済Mcを分離し、細胞浮遊液
をPBS(−)で100mlにメスアツプし細胞浮遊液
を得た。 3 接着 100ml容フラスコに細胞浮遊液50mlを分注し、
磁性体含有の固定化プロテアーゼ阻害剤(p−ア
ミノベンズアミジン−アガロース(磁気分離用)
ビース、ステロージンバイオケミカル社製)を1
ml加え、10分間弱い撹拌を行つて阻害剤にトリプ
シンを結合させた。磁石を用いて、固定化プロテ
アーゼ阻害剤ビーズを一カ所に集めながら細胞浮
遊液を40ml分取し、5倍濃度培地を10ml加え、種
細胞液とした。予め準備しておいた無血清培地と
Mc1500mgとの懸濁培地200mlを500ml容スピンナ
ーフラスコ(ベルコ社製)に加え次いでこれに種
細胞液50mlを接種した(実施例3)。 別に50ml容遠心チユーブに上記2)剥離工程に
得た細胞浮遊液40mlを無菌的に移し、1000rpm、
5分間遠心を行つて細胞を沈澱させ、上清のトリ
プシン液を廃棄した。次いで50mlのPBS(−)で
細胞を充分洗浄した。再度1000rpm、5分間遠心
を行つて細胞を沈澱せしめ、洗浄液を廃棄した
後、無血清培地50mlに細胞を充分分散させ種細胞
液とした。 次に予め準備しておいた無血清培地とMc1500
mgとの懸濁培地200mlを500ml容スピンナーフラス
コに加え種細胞液50mlを接種した(比較例3)。 それぞれのスピンナーフラスコをマグネチツク
スターラー上15rpmで撹拌しながらエイブル社製
システムフアーメンター(Model AlS−12)に
より、37℃、5%炭酸ガス条件下で培養した。細
胞を播種した翌日に無血清培地を250mlずつをそ
れぞれのフラスコに加え500ml容量とし、撹拌を
30rpmに上げて培養を行つた。培養開始後2日目
より連続的に培地を1日当たり400ml交換する方
法で8日間培養を行つた。細胞増殖経過を第1図
に示した。−●−は実施例3を、−〇−は比較例3
を示す。 図から明らかのように固定化プロテアーゼ阻害
剤を使用した継代法で培養した細胞の増殖性を従
来の継代法で培養した細胞と同等であつた。 〔発明の効果〕 本発明の固定化プロテアーゼ阻害剤を用いる培
養法によれば極めて簡単な操作で付着性細胞の付
着が可能となり伸展等の細胞の増殖においても影
響が抑え得るものであつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例3および比較例3の継代培養
結果を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 付着性細胞の培養において、付着性細胞培養
    物に水性媒体中でプロテアーゼを作用せしめて付
    着性細胞を剥離した後固定化プロテアーゼ阻害剤
    を作用せしめ次いで培養することを特徴とする培
    養方法。 2 付着性細胞が、付着性動物細胞である特許請
    求の範囲第1項記載の培養方法。 3 付着性細胞をマイクロキヤリアーにて培養す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    培養方法。 4 水性媒体が、無血清培地または低血清培地で
    ある特許請求の範囲第1項記載の培養方法。 5 固定化プロテアーゼ阻害剤のプロテアーゼ阻
    害剤が、熱殺菌可能である特許請求の範囲第1項
    記載の培養方法。 6 固定化プロテアーゼ阻害剤の固定化担体が、
    磁性体保持担体である特許請求の範囲第1項記載
    の培養方法。
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