JPH0534634Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案は加工布の側縁に沿う縫目を形成する
ために縫目形成位置に対して所定の位置関係を有
するように加工布の側縁を誘導案内するための加
工布案内装置を備えたミシンに関するものであ
る。

（従来の技術） 従来この種の装置においては、布送り線に沿つ
て布係合面が形成された布案内部と、その布係合
面に沿う布送り線よりも離れた位置にて加工布を
押圧する押圧部と、その押圧部による押え圧力を
調節可能な調節部とから構成されている。その加
工布案内装置を用いて加工布の側縁に沿う縫目を
形成するに際し、その縫製作業に先立ち、加工布
案内装置に加工布を挿入セツトして手作業で縫製
送り方向に移動させ、前記押圧部により加工布に
加わる押圧力を加工布の種類や布厚に応じて調節
する必要がある。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、この従来構成では、加工布案内装置
がミシンの縫目形成位置に対し布送り込み側に近
接して配置されているため、その縫目形成位置に
設けられた布押え等が邪魔になつて、前記押圧力
の調節操作を円滑に行うことができないという問
題があつた。また、前記押圧力の調節操作中に誤
つてミシンが起動される虞れがあるため、作業者
が安全に作業を行えないという問題もあつた。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） この考案は、前記のような問題点に着目してな
されたものであつて、縫目形成位置に対して所定
の位置関係を有するように加工布の側縁を誘導案
内するミシンの加工布案内装置であつて、その加
工布案内装置は、布送り線に沿つて布係合面が形
成された布案内部と、その布係合面に沿う布送り
線よりも離れた位置にて加工布を押圧する押圧部
と、その押圧部による押え圧力を調節可能な調節
部とを有し、且つ、その加工布案内装置を、加工
布の側縁を前記縫目形成位置に対して所定の位置
関係になるように案内する使用位置と、その使用
位置よりも離れた作業者側の調節位置との間で相
対移動可能に設け、さらに、前記加工布案内装置
が調節位置に位置することを検出する検出手段
と、この検出手段からの検出信号に基づきミシン
の駆動を禁止する制御手段とを設けたものであ
る。

（作用） 従つて、この考案のミシンにおいては、加工布
案内装置を縫目形成位置から作業者側に離間した
調節位置に移動配置して、その状態で縫目形成位
置にある布押え等に邪魔されることなく、加工布
案内装置の押圧力の調節を加工布の種類や布厚に
応じて容易に行うことができる。また、加工布案
内装置が調節位置に配置されたときには検出手段
からの検出信号に基づいてミシンの駆動が禁止さ
れるので、前記押圧力の調節作業中にミシンが誤
つて起動される虞れがなく、調節作業が安全に行
われる。

（実施例） 以下、この考案を具体化したミシンの一実施例
を図面に従つて説明する。

第１図に示すように、ミシンテーブル１はその
上部にミシン本体２を支持し、右側部に加工布載
置台３を備えている。上面が加工布支持面を形成
する移動台４はレール５を介してミシンテーブル
１上に前後移動可能に支持され、第１図に実線で
示す前方位置と鎖線で示す後方位置とに移動配置
される。加工布案内装置６は移動台４上に装置固
定され、移動台４の前後移動に伴い、第１図に鎖
線で示すようにミシン本体２の縫目形成位置に対
し布送り込み側において近接する使用位置と、同
図に実線で示すように縫目形成位置から作業者側
に離間した調節位置とに配置されるようになつて
いる。

次に、前記加工布案内装置６の構成について詳
述すると、第２図に示すように、下案内板７は移
動台４上に固定され、その上面には板ばね材より
なる中案内板８及び上案内板９が固定片１０を介
して開閉可能に取着されている。中及び上案内板
８，９の自由端には加工布Ｗ１，Ｗ２の布送り方
向線より作業者側に若干偏倚して位置する押圧突
起１１，１２が設けられ、各案内板７，８，９間
に加工布Ｗ１，Ｗ２を挿入してそれらの案内板７
〜９を閉じたとき、この押圧突起１１，１２によ
り加工布Ｗ１，Ｗ２に押圧力が局所的に付与さ
れ、前記縫目形成位置に設けられた図示しない布
送り装置による加工布Ｗ１，Ｗ２移送に伴つて加
工布Ｗ１，Ｗ２に対し押圧部を中心にして平面反
時計方向への回転力が生じて加工布Ｗ１，Ｗ２の
縫製側縁が縫目形成位置を通る布送り方向線の方
向へ移動するようになつている。

複数個の案内ピン１３は下案内板７上に突設さ
れるとともに、中及び上案内板８，９の透孔（図
示せず）を貫通して上方に延び、前記加工布Ｗ
１，Ｗ２の縫製側縁に係合して、それらの側縁を
縫目形成位置に案内保持するようになつている。
この案内ピン１３の側面は布係合面１３ａを構成
している。板ばね材よりなる押圧板１４は固定片
１５を介して上案内板９上に取着され、中案内板
８上に突設されたねじ筒体１６に螺合する調節ナ
ツト１７を回動調節することにより、この押圧板
１４のばね力が変化して、前記押圧突起１１，１
２の押圧力を加工布Ｗ１，Ｗ２の種類や布厚に応
じて設定変更できるようになつている。調節ピン
１８はねじ筒体１６の中心に回動調節可能に螺合
され、この調節ピン１８によつて各案内板７〜９
の開成状態における間隔を加工布Ｗ１，Ｗ２の種
類や布厚に応じて変更できるようになつている。

駆動手段を構成する開閉用エアシリンダ１９は
上案内板９に対応して配置され、このシリンダ１
９のプランジヤ２０が突出動作されたとき、上案
内板９及び中案内板８が下案内板７に向かつて閉
成回動されるようになつている。

第１図に示すように、検出手段としての安全ス
イツチ２１はミシンテーブル１上に配設され、移
動台４が前方に移動されて加工布案内装置６が調
節位置に配置されたとき、検出信号を出力するよ
うになつている。又、作動スイツチ２２は加工布
案内装置６に近接して移動台４上に設けられ、加
工布案内装置６が前方の調節位置に配置された状
態で、この作動スイツチ２２を操作したとき、前
記開閉用エアシリンダ１９を作動させるための信
号を出力するようになつている。

次に、前記のように構成されたミシンの制御回
路を第３図に基づいて説明すると、中央処理装置
（CPU）３１は制御手段を構成し、そのCPU３１
にはリードオンリメモリ（ROM）３２及びラン
ダムアクセスメモリ（RAM）３３が接続されて
いる。ROM３２にはミシン全体の動作を制御す
るためのプログラム等が記憶され、RAM３３に
はミシンモータの縫製運転時における回転速度デ
ータ等が記憶されている。

前記CPU３１には安全スイツチ２１及び作動
スイツチ２２が入力インターフエース３４を介し
て接続され、それらからCPU３１に各種信号が
入力される。又、CPU３１にはミシンモータ３
５及び前記エアシリンダ１９が出力インターフエ
ース３６及び駆動回路３７，３８を介して接続さ
れ、それらに対してCPU３１から駆動又は停止
信号が出力される。

そして、前記移動台４の前方移動に伴い、加工
布案内装置６が調節位置に配置されて、安全スイ
ツチ２１からCPU３１に検出信号が出力された
ときにはCPU３１は図示しないスタートスイツ
チ等の操作に基づくミシンモータ３５の駆動を禁
止し、かつ作動スイツチ２２による開閉用エアシ
リンダ１９の作動のみを許容するように制御す
る。

次に、前記のように構成されたミシンの作用を
説明する。

さて、このミシンにおいて、加工布案内装置６
が第１図に鎖線で示すように後方の使用位置に配
置された状態で、その案内板７，８，９間に２枚
の加工布Ｗ１，Ｗ２を挿入セツトしてミシンの運
転を開始すると、加工布案内装置６の押圧突起１
１，１２により加工布Ｗ１，Ｗ２に押圧力が付与
された状態で、ミシン本体１の縫目形成位置にお
いて布送り装置により加工布Ｗ１，Ｗ２に送りが
付与され、加工布Ｗ１，Ｗ２の側縁が案内ピン１
３に押付け係合されながら縫目形成位置に誘導案
内される。従つて、その縫目形成位置において周
知の縫目形成位置により加工布Ｗ１，Ｗ２の側縁
に沿つて縫目が形成され、両加工布Ｗ１，Ｗ２が
縫い合わされる。

又、このミシンにおいて、加工布Ｗ１，Ｗ２の
種類や布厚等が変更された場合には、移動台４を
前方に移動させると、第１図に実線で示すよう
に、加工布案内装置６がミシン本体１の縫目形成
位置から前方に離間した調節位置に配置される。
そして、この状態で加工布案内装置６の案内板７
〜９間に加工布Ｗ１，Ｗ２を挿入し、作動スイツ
チ２２の操作により案内板７〜９を閉成した状態
で、加工布Ｗ１，Ｗ２を手作業で布送り方向に移
動させて、加工布Ｗ１，Ｗ２に加わる押圧力をチ
エツクしながら、調節ナツト１７により押圧力を
調節したり、調節ピン１８により案内板７〜９の
間隔を調節すれば、それらの調節操作を縫目形成
位置の布押え等に邪魔されることなく、加工布Ｗ
１，Ｗ２の種類や布厚に応じて容易かつ正確に行
うことができる。

又、このミシンにおいては、前記移動台４が前
方に移動されたとき、安全スイツチ２１から
CPU３１に検出信号が出力され、そのCPU３１
の制御のもとでミシンモータ３５の駆動が禁止さ
れるとともに、前記エアシリンダ１９の作動のみ
が許容される。従つて、前記加工布案内装置６の
押圧力の調節に際して、ミシンが誤つて起動され
るおそれは全くなく、その調節操作を安全に行う
ことができる。

なお、この考案は前記実施例の構成に限定され
るものではなく、例えば加工布案内装置６をミシ
ンテーブル１上に固定配置し、ミシン本体２を前
後に移動させて加工布案内装置６との相対位置関
係を変更するように構成したり、案内板を開閉さ
せるための駆動手段としてソレノイドを使用した
りする等、この考案の趣旨から逸脱しない範囲で
各部の構成を任意に変更して具体化することも可
能である。

考案の効果 以上詳述したようにこの考案は、加工布案内装
置を縫目形成位置から作業者側に離間した調節位
置に移動配置して、その状態で縫目形成位置にあ
る布押え等に邪魔されることなく、加工布案内装
置の押圧力の調節を加工布の種類や布厚に応じて
容易に行うことができ、また、加工布案内装置が
調節位置に配置されたときには検出手段からの検
出信号に基づいてミシンの駆動が禁止されるの
で、前記押圧力の調節作業中にミシンが誤つて起
動される虞れがなく、調節作業を安全に行うこと
ができるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を具体化したミシンの一実施
例を示す斜視図、第２図はそのミシンの加工布案
内装置を拡大して示す部分断面図、第３図は制御
回路のブロツク図である。 ２……ミシン本体、４……移動台、６……加工
布案内装置、７，８，９……案内板、１１，１２
……押圧部としての押圧突起、１３……布案内部
としての案内ピン、１６……調節部としての筒
体、１７……調節部としての調節ナツト、２１…
…検出手段としての安全スイツチ、３１……制御
手段としてのCPU。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 縫目形成位置に対して所定の位置関係を有する
   ように加工布Ｗ１，Ｗ２の側縁を誘導案内するミ
   シンの加工布案内装置であつて、 その加工布案内装置は、 布送り線に沿つて布係合面１３ａが形成された
   布案内部１３と、 その布係合面１３ａに沿う布送り線よりも離れ
   た位置にて加工布を押圧する押圧部１１，１２
   と、 その押圧部１１，１２による押え圧力を調節可
   能な調節部１６，１７とを有し、且つ、 その加工布案内装置を、加工布Ｗ１，Ｗ２の側
   縁を前記縫目形成位置に対して所定の位置関係に
   なるように案内する使用位置と、その使用位置よ
   りも離れた作業者側の調節位置との間で相対移動
   可能に設け、 さらに、前記加工布案内装置が調節位置に位置
   することを検出する検出手段２１と、 この検出手段２１からの検出信号に基づきミシ
   ンの駆動を禁止する制御手段３１とを設けたこと
   を特徴とするミシンの加工布案内装置。