JPH05345697A - ダイヤモンド膜の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド膜の製造方法

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JPH05345697A
JPH05345697A JP4158077A JP15807792A JPH05345697A JP H05345697 A JPH05345697 A JP H05345697A JP 4158077 A JP4158077 A JP 4158077A JP 15807792 A JP15807792 A JP 15807792A JP H05345697 A JPH05345697 A JP H05345697A
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diamond
substrate
film
diamond film
temperature
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JP4158077A
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Keiko Ikoma
駒 圭 子 生
Mitsugi Yamanaka
中 貢 山
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイヤモンド核の発生密度が高く、膜の平坦
性に優れたダイヤモンド膜を製造する。 【構成】 ダイヤモンド核発生過程とそれに続くダイヤ
モンド膜成長過程を経るダイヤモンド膜の製造方法のう
ち前記ダイヤモンド核発生過程において、基体温度を上
昇させる前に炭素源ガスを導入し、基体表面温度を急激
に上昇させてダイヤモンド核発生を行うダイヤモンド膜
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤモンド膜の気相
合成法に関し、とくに異種基体上にダイヤモンド膜を形
成するのに好適なダイヤモンド膜の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】多結
晶ダイヤモンド膜の合成方法としては、マイクロ波プラ
ズマCVD(Chemical Vapor Depo
sition)法や、熱フィラメントCVD法が公知で
ある(例えば、「人造ダイヤモンド技術ハンドブック」
サイエンスフォーラム 1989年)。これらの方法
では、原料ガスとして、水素ガスで数%以下に希釈した
炭化水素ガスやアルコールを用い、マイクロ波プラズマ
や熱フィラメントによって分解して、700℃以上に保
持した基体上にダイヤモンド多結晶膜を成膜する方法と
している。
【0003】しかしながら、一般に、ダイヤモンド以外
の基体上にはダイヤモンドの初期核が発生しにくい。特
に、シリコンウエハなど鏡面仕上げされた基体上には、
ダイヤモンド核発生密度が極めて少なく、粒状ダイヤモ
ンドが生成するだけで膜状には成長しない。
【0004】ダイヤモンドの初期核の発生密度を増加さ
せる方法としては、ダイヤモンドペーストや炭化けい
素,アルミナなどの研磨剤で基体表面をポリッシングす
る方法や、これらの研磨粉を分散させたアルコールなど
の溶液中に基体を浸して超音波洗浄器で“傷つけ処理”
をする方法(湯郷成美 「NEW DIAMOND」第
20号,第7頁)が公知になっている。
【0005】ダイヤモンド膜をヒートシンクや高出力高
周波動作型回路の基体,電界効果トランジスタなど各種
電子素子材料に使用することを考えた場合、成膜装置外
に出して施される“傷つけ処理”は、プロセスの煩雑さ
や酸化汚染の点で好ましくない。
【0006】たとえば、ダイヤモンド膜を部分的に成膜
する場合、マスク材を成膜,パターニングして成膜しな
い領域を形成するが、その後一旦装置外に出して行なわ
なければならない“傷つけ処理”は大きな労力と時間を
要する問題がある。
【0007】また、すでに配線された基体や別の材料が
成膜された基体には、“傷つけ処理”によって不必要な
部分にまでダメージを与えるため、ダイヤモンド膜が形
成できない。そしてまた、凹凸のある形状の基体全体に
均質に“傷つけ処理”することは困難で、均質のダイヤ
モンド膜を形成することができない。
【0008】このような“傷つけ処理”を必要としない
でダイヤモンド膜が成長できる方法として、直流プラズ
マCVD法(犬塚直夫 「第8回結晶工学シンポジウム
予稿集」 第1頁,1991年)、プラズマジェット法
(特開平1−157496号)が提案されている。これ
らの方法に使用されるプラズマは、プラズマ密度が高
く、ガス温度が高い特徴を持つ。
【0009】そのため、成長速度が速い長所があるもの
の、プラズマが直接あたる基体表面温度が極めて高くな
るため、基体材料原子が必要以上にダイヤモンド膜中に
拡散混入して結晶性が低下したり、拡散量が少ない場合
でも不必要な不純物レベルが形成される欠点がある。
【0010】また、直流プラズマでは、絶縁性であるダ
イヤモンドが被覆し始めた基体上に広い面積にわたって
安定したプラズマを生成することは困難であるため、厚
いダイヤモンド膜を均質にかつ広い面積に成膜すること
は難しい。
【0011】一方、プラズマジェット法などの熱プラズ
マ法は、広い面積のプラズマを生成することは可能であ
るが、放電が経時的に不安定で放電生成室の金属材料が
プラズマに混入するため、不純物のない結晶性の高いダ
イヤモンド膜を生成するには問題がある。
【0012】同様に、基体に“傷つけ処理”を施さず、
成膜装置内でダイヤモンド核発生増加処理を行う方法が
提案されている。特開平1−138198号で開示され
た技術は、ダイヤモンド微結晶を含有するカーボン膜を
基体上に予備成膜した後、ダイヤモンド膜を成長させる
ものである。しかし、結晶性の優れたダイヤモンドを成
長させる場合には水素活性種が必要で、水素活性種は非
ダイヤモンド成分を除去する役割を果たしていると考え
られることが開示されている(「人造ダイヤモンド技術
ハンドブック」 サイエンスフォーラム 1989
年)。
【0013】それゆえ、微結晶を含有するカーボン膜を
形成した後、ダイヤモンド膜が形成できる条件にすれ
ば、カーボン膜や結晶性の悪い微結晶はエッチングされ
てしまう。そのような条件でカーボン膜中に含有された
ダイヤモンド微結晶を核にしてダイヤモンドを成長させ
た場合は、核が基体と結合していないため、膜の密着力
が低下する欠点がある。一方、密着力を上げるためや核
発生密度を上げるために、核になる微結晶がエッチング
されない条件で成膜したのでは、ダイヤモンド膜中にも
非ダイヤモンド成分が混在しやすくなり、熱伝導度や絶
縁性などの特性が著しく低下する問題がある。
【0014】特開平2−217396号公報に、ダイヤ
モンドを形成する原料ガスとダイヤモンドの核形成を促
進する元素ガスとを用いて成膜する方法が提案されてい
る。この方法では、平滑なダイヤモンド膜が製造できる
特徴を持つが、ダイヤモンド膜中に核形成促進ガス中の
金属が多量に混入され、熱伝導度やバンドギャップなど
の特性が著しく低下し、電子素子基体や耐熱性半導体な
どの用途には不向きである。
【0015】また、一酸化炭素と基体を構成する元素を
含有するガスとを含む原料ガスを用いて中間層を形成す
る方法(特開平2−267268号)や、金属材料表面
に金属の硅素化合物を含む中間層を形成する方法(特開
平2−54768号)、熱膨張係数がダイヤモンドに近
い炭化硅素,シリコン,モリブデンなどを中間層として
形成する方法(特開平1−145313号)が提案され
ている。このように、中間層を設けることによって形成
されたダイヤモンド核の密着力は向上させることができ
るので、切削テストや熱衝撃に対して剥離しにくくなる
長所はある。
【0016】しかし、中間層を形成した基体をダイヤモ
ンド生成条件下に置いただけでは、ダイヤモンド核の発
生密度が増加することはなく、表面凹凸の激しい膜が生
成したり、膜状に成長しない欠点がある。
【0017】残留歪みがなく密着性に優れたダイヤモン
ド膜を製造するために、原料ガスを励起して得られるガ
スを基体温度を上昇させながら基体に接触させる方法が
提案されている(特開平2−125874号)。この方
法では、ダイヤモンド膜の形成が進行する初期段階にお
いては基体温度を好ましくは500〜850℃に保持
し、続いて700℃以上の高温段階で成長させるものと
している。この方法では、切削工具等を目的とした、通
常ポリッシング仕上げが施してある超硬金属などの基体
上にはダイヤモンド核を発生させることができる。
【0018】しかし、鏡面仕上げが施してあるシリコン
などの半導体基体上や蒸着して形成した金属薄膜上で
は、核発生密度を増加させる効果が少ないために、膜状
になることが困難であったり、表面凹凸が大きくなった
りする欠点がある。
【0019】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の問題点を解決
し、同一装置内においてダイヤモンド核発生過程とそれ
に続くダイヤモンド膜成長過程を経るダイヤモンド膜の
製造方法を提供することを目的としている。また、核発
生密度が高く、膜の平坦性に優れたダイヤモンド膜の製
造方法を提供することを目的としている。さらには、ダ
イヤモンド膜中に基体材料原子が必要以上に拡散するこ
となく、結晶性に優れたダイヤモンド膜の製造方法を提
供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、ダイヤモンド
核発生過程とそれに続くダイヤモンド膜成長過程を経る
ダイヤモンド膜の製造方法のうち前記ダイヤモンド核発
生過程において、基体温度を上昇させる前に炭素源ガス
を導入し、基体表面温度を急激に上昇させてダイヤモン
ド核発生を行う構成としたことを特徴としている。そし
て、本発明に係わるダイヤモンド膜の製造方法の実施態
様においては、ダイヤモンド核発生過程における基体表
面温度の上昇速度が、100K/min以上であるよう
にすることが必要に応じて望ましく、また、ダイヤモン
ド核発生過程において到達する最高到達基体温度が、ダ
イヤモンド膜成長過程における基体保持温度より高いよ
うにすることも必要に応じて望ましい。
【0021】ところで、ダイヤモンド核が発生するに
は、基体原子と炭素原子の結合形成が必要である。しか
し、一般的に、鏡面仕上げの基体表面上では、原子サイ
ズの凹凸やステップが少ないため、ダイヤモンドが成長
する基体温度における炭素活性種の付着率が小さく、有
効な密度で核発生起点となる基体原子−炭素原子結合が
形成しないと考えられる。
【0022】一方、ダイヤモンド成長時に炭素ガス濃度
が高すぎる場合には、非ダイヤモンド成分の混入が多く
なり、結晶性が低下することが知られている。本発明
は、このような事象を鑑み、鋭意研究の結果なされたも
のである。
【0023】すなわち、ダイヤモンド核発生過程におい
て急激に気体温度を上昇させることによって、基体に吸
着した炭素ガス分子が脱離して基体近傍の炭素濃度が減
少する前に基体原子−炭素原子結合を形成するものであ
る。また、同時に基体原子の蒸気圧をダイヤモンド核発
生過程中のみ上昇させることにより、核発生を容昜に
し、ダイヤモンド成長過程においてはダイヤモンド膜中
への基体原子の拡散を抑制するものである。
【0024】本発明に係わるダイヤモンド膜の製造方法
では、ダイヤモンド核発生過程において、炭素源ガスは
基体表面温度を上昇させる前に成膜装置内に導入される
ことを特徴とする。ダイヤモンド核発生過程前に酸化膜
や吸着不純物を除去する目的で、加熱やイオン照射など
で基体表面温度が上昇した場合は、低温にもどるのを待
って炭素源ガスを導入することが好ましい。この場合の
低温とは、ダイヤモンド膜成長温度より低い温度を指
し、基体表面に炭素源ガスの吸着が十分におこなわれる
温度を示すので、炭素源ガスの種類,基体の材料や表面
状態,圧力などに依存するが、より好ましくは、600
℃以下が良い。
【0025】本発明に係わるダイヤモンド膜の製造方法
において、基体表面温度の上昇速度は、基体の種類,炭
素源ガスの基体への吸着能力や分解温度,炭素源ガスの
濃度,炭素源ガスの分解方法などに依存するが、100
K/min以上であることがより好ましい。また、ダイ
ヤモンド核発生過程における基体表面の最高到達温度
は、ダイヤモンド核発生過程につづくダイヤモンド膜成
長過程において保持される基体温度より高くなることと
するのがより好ましい。
【0026】本発明に用いられる基体材料としては、ダ
イヤモンドが成長することが知られている既知の基体を
使用することができ、鏡面仕上げが施された半導体材料
や、種々の気相法や液相法によって形成された膜表面を
基体として用いた場合に効果が顕著であるが、これらに
制限されるものではない。たとえば、シリコン,ゲルマ
ニウム,β型炭化硅素,α型炭化硅素,SiGeなどの
半導体材料や、チタン,アルミニウム,タンタル,タン
グステン,モリブデンなどの金属が挙げられる。また、
これらの金属の炭化物,酸化物も挙げることができる。
この場合の基体は、上記材料のバルクであっても良く、
また、スタッパ法,イオンプレーティング法,蒸着法な
どによって上記材料の膜を形成した基体であっても良
い。
【0027】本発明に係わるダイヤモンド膜の製造方法
において、ダイヤモンド核発生過程に用いることができ
る炭素源ガスとしては、ダイヤモンド膜が成長すること
が知られている原料ガスを用いることができる。たとえ
ば、エタン,プロパン,ブタン,エチレン,プロペン,
ブテン,アセチレンなどの炭化水素が挙げられる。ま
た、メタノール,エタノール,プロパノール,ブタノー
ルなどのアルコール類や、その他アセトン,一酸化炭
素,二酸化炭素などが挙げられる。さらに、CH
l,CHCl,CCl,CCl,C
Cl,CHF,CHF,CFなど一つ以上
のハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素が挙げ
られる。また、これらのガスを数種混合して用いてもか
まわない。
【0028】さらに、基体表面から基体原子を脱離させ
たり、基体原子同士の結合を切断する能力や、基体材料
をエッチングできる能力をもつHClやCl,O
,NOガスなどを混合して使用することもでき
る。
【0029】本発明の特徴である急激な温度上昇速度を
達成するための手段としては、RF誘導加熱やハロゲン
ランプによる加熱、基体の直接通電加熱などを挙げるこ
とができるが、これらに制限されるものではない。ま
た、ダイヤモンド膜製造用マイクロ波プラズマCVD装
置では、マイクロ波の出力調整のみで100k/min
以上の基体温度上昇速度を達成することができる。
【0030】
【発明の作用】本発明に係わるダイヤモンド膜の製造方
法では、ダイヤモンド核発生過程とそれに続くダイヤモ
ンド膜成長過程を経るダイヤモンド膜の製造方法のうち
前記ダイヤモンド核発生過程において、基体温度を上昇
させる前に炭素源ガスを導入し、基体表面温度を急激に
上昇させてダイヤモンド核発生を行う構成としているの
で、ダイヤモンド核発生過程において、膜状になるのに
十分な密度でダイヤモンドの核発生が行われることとな
り、例えば“傷つけ処理”のために装置外に取り出す必
要がないので、基体表面で酸化や汚染などを生ずること
なく、ダイヤモンド膜が形成されることとなる。また、
ダイヤモンド核の発生密度が高いものとなるので、表面
の平滑性に優れたダイヤモンド膜が形成させることとな
る。
【0031】
【実施例】以下、本発明に係わるダイヤモンド膜の製造
方法の実施例について説明する。
【0032】(実施例1)図1に、本発明の実施例1に
おいて用いたダイヤモンド膜の製造装置の概略を示す。
図1に示すダイヤモンド膜の製造装置1は、従来の熱フ
ィラメントCVD装置の石英反応管の周囲に、電気炉の
代わりにRFコイルを設置したものであって、2は基
体、3は基体ホルダ、4はフィラメント、5は石英反応
管、6はRFコイル、7は原料ガス供給管、8はフィラ
メント4に接続した直流電源、9は排気管である。
【0033】図1に示すダイヤモンド膜の製造装置1を
使用し、基体2として“傷つけ処理”をしていない鏡面
のSiウエハを用いた。そして、Siウエハを半導体洗
浄液および純水で洗浄した後、HF水溶液で表面酸化膜
をエッチングした。次いで、純水およびアルコールです
すぎ、乾燥してグラファイト製基体ホルダ3に設置し
た。そして、基体ホルダ2とフィラメント4を図1に示
すように接近して設置し、ロータリーポンプとターボ分
子ポンプを用いて石英反応管5内を5×10−7Tor
rに排気した。
【0034】続いて、まず、ダイヤモンド核発生過程を
行った。すなわち、原料ガスとして濃度10%のプロパ
ンと水素との混合ガスを導入して圧力を100Torr
に調節した。その後、RFコイル6に高周波電流を流し
て基体表面温度を温度上昇速度500K/minで昇温
し、同時にフィラメント4に直流電流を流して2300
℃に加熱した。基体温度が1100℃に達した後、RF
電力を調節して基体温度を850℃に保持した。
【0035】次いで、基体温度を上昇し始めてから10
分後にプロパンガスの供給を停止し、濃度0.5%とな
るようにメタンガスを導入してダイヤモンド膜成長過程
を3時間行った。
【0036】この実施例1の基体温度とガス導入のタイ
ミングの概略を図3に示す。
【0037】さらに、この実施例1によるダイヤモンド
膜のラマンスペクトルは、1332cm−1にダイヤモ
ンドに由来するピークが認められ、1470〜1600
cm−1のアモルファス炭素に由来するピークは認めら
れなかった。さらにまた、2次イオン質量分析法(SI
MS)による不純物の分析結果から、ダイヤモンド膜層
からは基体のSi原子は検出されなかった。この結果、
本発明によれば、基体2に“傷つけ処理”することな
く、核発生密度の高い良質のダイヤモンド膜を生成する
ことができることが認められた。
【0038】(比較例1)ダイヤモンド核発生過程を行
っていない比較例を以下に示す。この比較例1では、実
施例1と同様の装置を用いて同様に洗浄したSi基体2
を設置した。そして、石英反応管5内に水素のみを導入
して圧力を100Torrに調節した。次いで、基体温
度を温度上昇速度90K/minで昇温し、850℃に
加熱保持して安定した後、濃度0.5%になるようにメ
タンを導入し、同時にフィラメント4を2300℃に点
灯した。3時間成長過程を行った基体表面には粒状のダ
イヤモンドが密度0.3μm−2以下で生成しただけで
膜状にはならなかった。
【0039】(実施例2)この実施例2では、実施例1
と同様の装置を用いて行った。そして、基体2には、シ
リコンウエハ上に既知の熱CVD法によって炭化けい素
薄膜を0.5μm形成したものを用いた。また、核発生
過程用ガスとしてエチレンガスとCFと水素の混合ガ
スを使用した。それぞれの濃度は5%と10%とした。
そして、図3に示したと同様に基体温度を最高1200
℃まで上昇させ、その後850℃に保持した。昇温を開
始してから15分後、エチレンとCFガスの供給を停
止して0.5%に調節したメタンガスを導入し、同時に
フィラメント4を2300℃に点灯して2時間のダイヤ
モンド成長過程を行った。圧力は常に90Torrにな
るように調節した。この結果、核発生密度が高い良質の
膜状ダイヤモンドが生成した。
【0040】(比較例2)この比較例2では、実施例2
と同じ基体2を用い、水素ガスを導入して90Torr
にし、温度上昇速度60K/minで昇温して850℃
に保持した。次いで、濃度0.5%になるようにメタン
を導入し、フィラメント4を点灯してダイヤモンド成長
過程を2時間行った。この結果、電子顕微鏡観察ではダ
イヤモンド核の発生は認められなかった。
【0041】(実施例3)この実施例3では、図1に示
した装置を使用した。基体2には、ポリッシングによっ
て鏡面研磨したモリブデンを使用した。そして、基体2
のクリーニングのために水素ガスを導入して圧力を30
Torrに調節し、1000℃で10分間加熱した後基
体温度を低下させた。核発生過程用ガスとしてエタノー
ルとメタンをそれぞれ濃度25%と0.5%になるよう
に導入して、圧力を30Torrに調節した。RF誘導
加熱によって基体2を600℃以下から最高1000℃
まで温度上昇速度100K/minで昇温し、その後8
50℃に保持した。昇温を開始してから8分後にプロパ
ンガスだけを停止し、ダイヤモンド成長過程を5時間お
こなった。この結果、核発生密度が高い良質の膜状のダ
イヤモンドが生成し、その表面粗さはRMA300nm
であった。このように、本発明による核発生過程を行う
ことによって、核発生密度が増加し、表面粗さが低下し
て平滑性に優れた膜が形成できた。
【0042】(比較例3)この比較例3では、実施例3
と同様の基体2を用い、同様に加熱して表面クリーニン
グを行った。そして、基体温度を850℃まで温度上昇
速度45K/minで昇温して保持した。基体温度が安
定した後、濃度0.5%のメタンガスを導入してダイヤ
モンド成長過程を5時間行った。この結果、膜状のダイ
ヤモンドが生成したが、表面粗さはRMA5000nm
であり、実施例3に示したような表面粗さが低下した平
滑性に優れたダイヤモンド膜を生成させることができな
かった。
【0043】(実施例4)この実施例4では、図2に示
したダイヤモンド膜の製造装置を用いて実施した。図2
に示すダイヤモンド膜の製造装置11は、プラズマを安
定させるために基体温度上昇用のハロゲンランプを取付
けたものであって、12は基体、13は基体ホルダ、1
4はハロゲンランプ、15は反応管、16は整合器、1
7は原料ガス供給管、18はマイクロ波発振器、19は
排気管である。
【0044】このような製造装置11を使用し、基体1
2には、実施例1と同様の洗浄したシリコンウエハを使
用した。そして、核発生過程用のガスとして濃度3%の
CHClと20%のメタンと水素の混合ガスを導入
し、圧力は60Torrに調節した。基体補助加熱用ハ
ロゲンランプ14を点灯し、マイクロ波発振器18の出
力を投入して、基体温度上昇速度400K/minで1
100℃まで昇温した。その後、ハロゲンランプ14は
消灯し、基体ホルダ13に冷却水を流して冷却し、基体
温度を850℃に保持した。昇温を開始して3分後、C
Clガスの供給を停止し、メタン濃度を0.5%に
調節してダイヤモンド成長過程を6時間行った。この結
果、ラマンスペクトルと2次イオン質量分析法から不純
物を含まない結晶性が良好なダイヤモンドが膜状に得ら
れた。
【0045】
【発明の効果】本発明によるダイヤモンド膜の製造方法
では、ダイヤモンド核発生過程とそれに続くダイヤモン
ド膜成長過程を経るダイヤモンド膜の製造方法のうち前
記ダイヤモンド核発生過程において、基体温度を上昇さ
せる前に炭素源ガスを導入し、基体表面温度を急激に上
昇させてダイヤモンド核発生を行う構成としているの
で、ダイヤモンド核発生過程においては、“傷つけ処
理”を行うことなく、膜状になるのに十分な密度でダイ
ヤモンドの核発生を行うことができ、“傷つけ処理”の
ために成膜装置外へ取り出す煩雑な工程を省略し、基体
表面が酸化や汚染されることなくダイヤモンド膜が形成
できる効果がある。また、ダイヤモンド核の発生密度は
高いので、表面の平滑性に優れたダイヤモンド膜を形成
できる効果がある。さらに、本発明の核発生過程によっ
て、膜中に基体原子や不純物が拡散しない結晶性に優れ
た、半導体素材材料として使用可能な良質のダイヤモン
ド膜を形成することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜3において使用したダイヤ
モンド膜の製造装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例4において使用したダイヤモン
ド膜の製造装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1における基体温度とガス導入
のタイミングとの関係を示す説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】この実施例1の基体温度とガス導入のタイ
ミングの概略を図3に示す。また、この実施例1におい
て基体2の表面に形成したダイヤモンド膜の電子顕微鏡
(SEM)写真を図4に示す。図4に示すように、この
実施例1で形成したダイヤモンド膜は、核発生密度が高
く、膜状に成長しているものであった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】追加
【補正内容】
【図4】本発明の実施例1において形成されたダイヤモ
ンド膜の表面の電子顕微鏡写真である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】追加
【補正内容】
【図4】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンド核発生過程とそれに続くダ
    イヤモンド膜成長過程を経るダイヤモンド膜の製造方法
    のうち前記ダイヤモンド核発生過程において、基体温度
    を上昇させる前に炭素源ガスを導入し、基体表面温度を
    急激に上昇させてダイヤモンド核発生を行うことを特徴
    とするダイヤモンド膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 ダイヤモンド核発生過程における基体表
    面温度の上昇速度が、100K/min以上であること
    を特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンド核発生過程において到達す
    る最高基体温度が、ダイヤモンド膜成長過程において保
    持される基体温度より高いことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のダイヤモンド膜の製造方法。
JP4158077A 1992-06-17 1992-06-17 ダイヤモンド膜の製造方法 Pending JPH05345697A (ja)

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