JPH0534222B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、熱収縮性の合成樹脂フイルムを熱収
縮させて、被包装物を密着掴持させる緊縮包装方
法で、特に開封手段を付与しながら包装する方法
に関する。本発明は、、例えば葉書、封書等の郵
便物の地区別区分け包装等のように、複数の被包
装物を一括して包装すると共に、得られた多量の
当該包装体の開封作業を伴なうものの包装に利用
した場合に特に有益なものである。

［従来の技術］ 従来、葉書、封書等の郵便物は、中央局で大ま
かな地区別に区分けし、これをひもで結わえたり
合成樹脂フイルムの袋に入れて適宜束ねた後、郵
便袋に収納して各地域の局へ輸送している。各地
域の局では、各郵便物の包装を解き、各々更に区
分けして配送することになる。

しかしなが、ひもで結えて束ねるのは、その作
業自体手間がかかるたけでなく、輸送途中でひも
が緩んで束ねた郵便物が郵袋の中でばらばらにな
ることが生じている。また、ひもで結えた場合、
はさみやカツターナイフ等を用いなければその解
除がしにくく、解除作業性に劣る問題もある。合
成樹脂の袋に入れて郵便物をまとめる方法は、包
装作業は比較的容易であるが、単に郵便物を袋に
投入しただけでは中で郵便物が遊んでしまい、輸
送中にフイルム破れを生じやすくなる。フイルム
を厚く丈夫なものとすればこれを防止し得るが、
それでは包装コストが高くなつて実用性が失われ
てしまうばかりか、やはりはさみやカツターナイ
フ等を使用しなければ開封しにくくなつて、開封
作業性が悪くなつてしまう。

一方、複数の被包装物を一括掴持させることが
でき、包装作業性も良い包装方法として、熱収縮
性合成樹脂フイルムを用いた緊縮包装方法が知ら
れている。この緊縮包装によれば、包装作業が容
易で、またフイルム全体でしつかり被包装物を掴
持できるので、比較的薄いフイルムを使用して
も、輸送途中で包装が緩んだり、中で被包装物が
踊つてフイルム破れを生ずるおそれを少なくし得
る。従つて、前記郵便物等の包装にこの緊縮包装
を利用することが考えられる。

しかしなが、緊縮包装の場合、包装材であるフ
イルムが被包装物に密着してしまうため、開封時
にフイルムを破ろうとしても手掛りが無く、開封
しにくい問題がある。例えば、フイルムにミシン
目を入れて開封手段とすることが知られているが
（実開昭57−114668号）、フイルムにミシン目を入
れる手間が大変である。特に緊縮包装において
は、フイルムに熱収縮応力が加わるので、これに
よつて開封手段であるミシン目が開封前に裂けて
しまうことも生じる。開封手段を設けたとして
も、開封前から当該開封部分が開いていたので
は、包装による保護効果等、方向の機能自体が低
下してしまうことになる。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は、緊縮包装方法において、包装機能を
低下させることなく簡便で扱いやすい開封手段を
設けにくく、緊縮包装体の良好な開封作業性が得
にくいことをその解決すべき問題点とするもので
ある。

［問題点を解決するための手段］ 本発明において、上記問題点を解決するために
講じられた手段は、熱収縮性合成樹脂フイルムで
ある上側フイルムと下側フイルムの内、少なくと
も一方にその引出し方向に連続してスリツトを入
れ、このスリツトを横切つて上側フイルムと下側
フイルムをシールして前方シールを施し、上側フ
イルムと下側フイルムの間に被包装物を入れて、
スリツトを入れた上側又は下側フイルムのスリツ
ト付近にその引出し方向に張力を加えた状態で、
スリツトを横切つて被包装物の後方で上側フイル
ムと下側フイルムをシールして後方シールと次段
の包装のための前方シールを施し、上記スリツト
の端縁同志の重なり部を開封手段として未融着の
まま残す工程を有する緊縮包装方法とした点にあ
る。

［作用］ 上記手段において、スリツトを入れた上側又は
下側フイルムのスリツト付近にその引出し方向に
張力を加えることにより、当該フイルムはそのス
リツト方向へ多少片寄せられ、スリツト端縁同志
が重なり合うことになる。そして、これによつて
スリツト端縁同志が重なり合つた状態で当該スリ
ツトを横切つて前方シールと後方シールがなされ
るので、被包装物を包むフイルムには、端縁同志
の重なり合つたスリツトが形成される。このスリ
ツトは、前方シールと後方シールにより端縁同志
の重なりが固定されていると共に、前方シールと
後方シールにより融着される部分以外の重なり部
は開封手段として未融着のまま残されているの
で、熱収縮後も同様な重なりを維持すると共に、
重なり部の未融着部分は包装体開封時の手掛かり
となるものである。

［実施例］ 第１図ないし第５図において、１ａは上側フイ
ルム、１ｂは下側フイルムで、各々原反ロール２
ａ，２ｂから引出されるものである。３は被包装
物で、押出し装置４によつてテーブル５上からベ
ルトコンベア６上へと押出されるもので、当初ベ
ルトコンベア６は停止状態にある。

上側及び下側フイルム１ａ，１ｂは、その先端
部同志が前段の包装作業によつてシール（前方シ
ール７ａ）された状態にある。被包装物３が押出
し装置に押されて前進すると、この被包装物３に
押されて両フイルム１ａ，１ｂが原反ロール２
ａ，２ｂから引出される。下側フイルム１ｂの前
反ロール２ｂにはブレーキか多少かけられてお
り、下側フイルム１ｂを上側フイルム１ａよりや
や引出しにくくすることにより、両フイルム１
ａ，１ｂ間の引出し速度に差を付けてある。従つ
て、上側フイルム１ａが下側フイルム１ｂより多
少多く引出されることによつて、第２図に示され
るように、前方シール７ａは、両フイルム１ａ，
１ｂ間に入り込んで来る被包装物３の下側に回り
込むことになる。これは必ずしも必要なことでは
ないが、前方シール７ａを被包装物３の底面側に
寄せて目立ちにくくすると、包装体の外観が向上
するので好ましい。

８は下側フイルム１ｂのほぼ中央に、第６図に
示されるように、下側フイルム１ｂの引出しに伴
つてその引出し方向に沿つて連続してスリツト９
を入れるカツターである。ところで、被包装物３
は、両フイルム１ａ，１ｂの略中央部を押すの
で、特に下側フイルム１ｂにおいては、中央付近
に設けられたスリツト９付近に張力が与えられる
ことになる。すると、第６図に示されるように、
下側フイルム１ｂは、多少中央に向つて引寄せら
れ、第７図に示されるように、スリツト６の端縁
同志が重なり合うことになる。

端縁同志の重なり合つたスリツト９を有する下
側フイルム１ｂと上側フイルム１ａとの間に挟ま
つた状態で、被包装物３は、第２図に示されるよ
うに、押え装置１０直下のベルトコンベア６上ま
で押進められる。次いで、第３図に示されるよう
に、押え装置１０が下降して両フイルム１ａ，１
ｂ間に挟まつた被包装物３を上方から押え付け、
特に下側フイルム１ｂ張力を維持させる。押え装
置１０は、次のシールカツト装置１１ａによる両
フイルム１ａ，１ｂのシール及びカツト時のずれ
を防止すると共に、下側フイルム１ｂのスリツト
９の端縁部同志の重なりを保つためのものでもあ
る。また、押出し装置４は、押え装置１０の下降
後、後退して元に戻る。

押し装置４の後退後、第４図に示されるよう
に、シールカツト装置１１ａが下降して、両フイ
ルム１ａ，１ｂに挟まれた被包装物３の後方で両
フイルム１ａ，１ｂのシールとカツトを行う。シ
ールカツト装置１１ａは、下側フイルム１ｂのス
リツト９を横切つて両フイルム１ａ，１ｂをシー
ルする２条のシーラーと、このシーラー間に設け
られたカツターを有するもので、受台１１ｂとの
間に両フイルム１ａ，１ｂを挟み付けるものであ
る。通常、シーラーは中央のカツターより下方に
突出しており、受台１１ｂに強く押付けられると
後退してカツターを突出させるものである。従つ
て、このシールカツト装置１１ａの下降により、
両フイルム１ａ，１ｂには２条のシール部がスリ
ツト９を横切るようにして形成され、かつこのシ
ール部間でカツトされることになる。この２条の
シール部の内、下流側のシール部は、被包装物３
の周囲に両フイルム１ａ，１ｂを巻き付け取付け
るための後方シール７ｂであり、上流側のシール
部は、第５図に示される、次に包装すべき被包装
物３′のための前方シール７a′となる。

シールは、被包装物３の前後のみでなく、被包
装物３の左右側面部、即ち、上側フイルム１ａの
両側縁と、下側フイルム１ｂの両側縁とをシール
することにより、四周に施してもよいが、前後の
シールのみでも、両シール１ａ，１ｂを熱収縮さ
せれば被包装物３をしつかり掴持できる。四周を
シールする場合においても、前方シールと後方シ
ールにより融着された部分以外の下側フイルム１
ｂのスリツトの端縁同志の重なり部は未融着のま
まであるため、熱収縮時の内部から空気抜きが可
能である。また、シールラインは、細かな波形等
の曲線としておくと、開封時に応力を集中させや
すく、このシールラインに沿つて引き裂きやすく
なるので好ましい。

ところで、下側フイルムのスリツト９は、前述
のようにその端縁同志が重なり合つており、上記
のシールカツト装置１１ａによる前方シールはこ
のスリツト９を横切るようになされるので、スリ
ツト９の端縁同志を重なり合つたまま前方シール
７ａ部分でシールされることになる。これは、シ
ールカツト装置１１ａによる後方シール７ａ及び
前方シール７a′共に同様である。

上記のような前方シールを後方シールにより融
着された部分以外の下側フイルム１ｂのスリツト
９の端縁同志の重なり部には、開封手段としての
未融着部分が存在している。

次に、第５図に示されるように、押え装置１０
が上昇し、ベルトコンベア６が作動して、切断さ
れて前方シール７ａと後方シール７ｂが施された
上側及び下側フイルム１ａ，１ｂに包まれた被包
装物３は、加熱トンネル１２に導入され、そこを
通過する間に両フイルム１ａ，１ｂが熱収縮して
被包装物３に密着する。このとき、下側フイルム
１ｂのスリツト９は、両フイルム１ａ，１ｂの前
方シール７ａ及び後方シール７ｂにより端縁部同
志が重なり合つて固定されているので、その状態
が維持される。一方、テーブル５上には次の被包
装物３′が用意され、前段のシールカツト装置１
１の作動によつて先端部同志がシール（前方シー
ル７a′）されている両フイルム１ａ，１ｂを押し
ながら再びベルトコンベア６上に移動され、同様
にして包装されることになる。

上側フイルム１ａ及び下側フイルム１ｂは、熱
収縮性の合成樹脂フイルムであれば良く、被包装
物３に合わせて適宜選択すればよい。両フイルム
１ａ，１ｂは、一軸延伸フイルムでも二軸延伸フ
イルムでも良いが、二軸延伸フイルムの方が良好
な被包装物３への密着性が得やすいので好まし
い。特に郵便物が被包装物３の場合、架橋ポリエ
チレン系フイルムが適しており、中でもエチレン
−酢酸ビニル共重合体を５〜15重量％含んでいる
ものが最適である。

両フイルム１ａ，１ｂは単層フイルムであつて
も積層フイルムであつても良いが、各々一枚のフ
イルムを使用するより、複数のフイルムを密着重
ね合わせたものを使用することが好ましい。これ
は特に架橋ポリエチレン系フイルムの場合に好ま
しく、包装体としたときに高いフイルム強度が得
矢すい。この理由は必ずしも明らかではないが、
フイルム面にブリードアウトした添加剤によつて
多少重ね合わされたフイルム同志が粘着し合い、
この粘着性が引き裂き力の吸引等に作用するもの
と思われる。

本実施例においてスリツトは下側フイルム１ｂ
に入れているが、上側フイルム１ａ入れても両フ
イルム１ａ，１ｂに入れて良い。また一方のフイ
ルム１ａ又は１ｂに複数入れることもできる。シ
ーラーは、両フイルム１ａ，１ｂを熱融着させる
ことのできるものであれば良いが、繰返し成され
るシールを均一にするためにはインパルスシーラ
ーが好ましい。

上側及び下側フイルム１ａ，１ｂは、ヒートシ
ールができるフイルム同志であれば同種フイルム
でも異種フイルムでもよい。またフイルム厚を
各々相違するものとしてもよい。特にスリツトを
入れる側のフイルム（本実施例では下側フイルム
１ｂ）を他のフイルムに比して薄くしたり弱いも
のとしておくと、開封時にスリツトの端縁同志の
重なり部の未融着部分を指で開き、口を開け、簡
単に裂きやすくなるので好ましい。更に、シール
ラインは、本実施例では直線としているが、例え
ば細かな波形等の曲線とすると、応力を集中させ
やすく、このシールラインに沿つて裂きやすくな
り、開封が容易となるので好ましい。

第８図は前記実施例により得られる包装体を底
面側から見た斜視図で、被包装物３は前方シール
７ａ及び後方シール７ｂで接続された環状のフイ
ルム１ａ，１ｂによつて周囲からしつかり掴持さ
れている。また、両シール７ａ，７ｂ間のスリツ
と９の端縁部同志の重なり部には、未融着部分が
存在し、これが開封時の手掛りとなるようになつ
ている。即ち、開封時には、上記未融着部分を前
後シール部まで指で広げ、未融着部分と略直交し
フイルム自体よりも比較的引張り強度の小さいシ
ール部分に集中的に引き裂き力を作用させること
により容易にフイルムの破り、開封することがき
る。このスリツト９は、コーナー部ではなく、図
示されるもののように面上に位置していることが
好ましい。コーナー部であるとスリツト９が開い
て、被包装物３が露出してしまうおそれが生じる
ためである。

特に第８図に示されるような包装体とすると、
例えば被包装物３が郵便物の場合、八つのコーナ
ー全てがフイルムが覆われるので、コーナー部が
折れ紛つてしまう心配がない。但し、本発明の方
法によつて、第９図のように両フイルム１ａ，１
ｂの帯状に被包装体３に巻付けるようにすること
もできる。

［発明の効果］ 本発明によれば、フイルムにスリツトを入れ、
このスリツト付近に張力を加えつつスリツトを横
断してシールする他は従来と同様に緊縮包装がで
きるので作業が容易である。そして、このスリツ
トの端縁部同志の重なり部の未融着部分がそのま
ま包装体に残り、開封時の手掛かりとなつて開封
作業を容易にすると共に、被包装体を露出させな
いので包装の機能を低下させることもないもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は各々本発明の一実施例の
手順を示す説明図、第６図は第２図におけるテー
ブル側からの側面図、第７図はスリツト付近の拡
大図、第８図は本実施例で得られる包装体の底面
側からの斜視図、第９図は他の包装体の例を示す
斜視図である。 １ａ：上側フイルム、１ｂ：下側フイルム、
３，３′：被包装体、４：押出し装置、５：テー
ブル、６：ベルトコンベア、７ａ，７a′：前方シ
ール、７ｂ：後方シール、８：カツター、９：ス
リツト、１０：押え装置、１１ａ：シールカツタ
ー、１１ｂ：受台、１２：加熱トンネル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 熱収縮性合成樹脂フイルムである上側フイル
   ムと下側フイルムの内、少なくとも一方にその引
   出し方向に連続的にスリツトを入れ、このスリツ
   トを横切つて上側フイルムと下側フイルムをシー
   ルして前方シールを施し、上側フイルムと下側フ
   イルムの間に被包装物を入れて、スリツトを入れ
   た上側又は下側フイルムのスリツト付近にその引
   出し方向に張力を加えた状態で、スリツトを横切
   つて被包装物の後方で上側フイルムと下側フイル
   ムをシールして後方シールと次段の包装のための
   前方シールを施し、上記スリツトの端縁同志の重
   なり部を開封手段として未融着のまま残す工程を
   有することを特徴とする緊縮包装方法。