JPH05340254A - ２サイクルエンジンの排気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排気タイミングの調整と補助チャンバの切換
えの駆動源を同一の機構で同時に行い、且つ弁部を分け
て補助チャンバの設置に自由度を持たせることにより、
構造が簡単でさらにエンジン出力の向上が図られる２サ
イクルエンジンの排気装置を提供しようとするものであ
る。 【構成】 排気通路１２より分岐する補助チャンバ１５
の連通を断続すると共に、ピストン６により開閉される
排気ポ―ト１３の上縁位置を変えてなる２サイクルエン
ジンの排気装置において、前記補助チャンバの連通をエ
ンジンの高速で遮断し、低速で接続する弁部を第１弁部
とし、前記排気ポ―トの上縁をエンジンの高速で開き、
低速で閉じる弁部を第２弁部１８とし、これら弁部が前
記排気通路及び排気ポ―トに設けられ、且つ第１弁部と
第２弁部とが互いに連動されるようにした２サイクルエ
ンジンの排気装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの低回転域か
ら高回転域までの広範囲にわたりより一層安定した出力
が得られるべく排気通路より分岐する補助チャンバの連
通を断続すると共に、ピストンにより開閉される排気ポ
―トの上縁位置を変えてなる２サイクルエンジンの排気
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、２サイクルエンジンでは、排気の
タイミングがエンジンの出力特性に大きく影響するの
で、排気バルブを排気通路の上縁近傍の排気通路内壁に
設け、この排気バルブをエンジンの回転速度に応じて回
動し、低速回転には、その外周面の一部が排気通路の開
口上縁位置を下げて排気タイミングを遅らせ、また高速
回転になった場合には排気バルブが排気通路の開口上縁
から退いて、排気通路の開口上縁を上げて排気タイミン
グを早くしエンジンの運転状況に応じ最適な排気タイミ
ングを与えるようにしたものがある。

【０００３】また、エンジンの出力特性には、排気タイ
ミングの外に排気通路内の排気の流れが影響を及ぼすこ
とから、排気ポ―トの近傍に該ポ―トに連絡する補助チ
ャンバを設け、該補助チャンバをエンジンの低速回転で
開放し、高速時に閉じるように回転速度に応じて切換え
るものがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記排気タ
イミングの調整と補助チャンバの切換えを同時に適用す
ると、低速回転域から高速回転域までの出力特性をさら
に向上することができる。しかしながら、これらはいず
れもエンジン回転速度及びスロットル開度等をセンサ―
で検知し、制御装置によりバルブ機構を作動して行う必
要があり、この両者を個々に併用すると構造が複雑とな
る不具合がある。

【０００５】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、排気タイミ
ングの調整と補助チャンバの切換えの駆動源を同一の機
構で同時に行い、且つ弁部を分けて補助チャンバの設置
に自由度を持たせることにより、構造が簡単でさらにエ
ンジン出力の向上が図られる２サイクルエンジンの排気
装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における２サイクルエンジンの排気装置は、
補助チャンバの連通をエンジンの高速で遮断し、低速で
接続する弁部を第１弁部とし、排気ポ―トの上縁をエン
ジンの高速で開き、低速で閉じる弁部を第２弁部とし、
これら弁部を排気通路及び排気ポ―トに設け、且つ第１
弁部と第２弁部とを互いに連動させたことを特徴とする
ものである。

【０００７】

【作用】上記のように構成された２サイクルエンジンの
排気装置であるので、第１弁部と第２弁部とが互いに連
動して排気タイミングの調整と補助チャンバの切換えが
同時に行われ、エンジンの低速回転時には、排気ポ―ト
の上縁は閉じられ、かつ補助チャンバは接続した状態に
なり、排気タイミングが遅くなり、補助チャンバには排
出された燃焼ガスの一部が入り、エンジンの低速回転時
に適したガスの排出となると共に、エンジンの高速回転
時には、排気ポ―トの上縁は開かれ、かつ補助チャンバ
は遮断された状態になり、排気タイミングが早くなり、
補助チャンバへの排出された燃焼ガスの進入は止まり、
エンジンの高速回転時に適したガスの排出となって、エ
ンジン出力の向上が図られながら、第１弁部と第２弁部
とは同一駆動源で作動される。また、弁部を第１弁部と
第２弁部に分割構成としたことから、第１弁部によって
開閉される補助チャンバの位置は排気通路等に拘ること
なくレイアウトされる。

【０００８】

【実施例】添付図面を参照して本発明の実施例について
説明する。１は２サイクル水冷エンジンのシリンダブロ
ックであり、該シリンダブロック１にはシリンダスリ―
ブ２が一体的に鋳込まれている。そして前記シリンダブ
ロック１の上部には点火プラグ３を設けたシリンダヘッ
ド４が載置され、燃焼室５はこのシリンダブロック１，
ピストン６及びシリンダスリ―ブ２により画成されてい
る。また、シリンダブロック１には吸気通路７が形成さ
れており、この吸気通路７は前記シリンダスリ―ブ２に
開口し、この開口はピストン６の上昇時にクランク室８
に連通する吸気ポ―ト９及びピストン６の下降時におい
ては燃焼室５に連通する吸気ポ―ト１０を有している。
シリンダブロック１にはさらにクランク室８に連なる複
数の掃気ポ―ト１１、ならびに排気通路１２に連なる排
気ポ―ト１３がシリンダスリ―ブ２に開口して設けられ
ている。この排気ポ―ト１３は略矩形状をなすととも
に、その開口高さを高く形成して高速回転時の排気タイ
ミングに設定されている。

【０００９】排気ポ―ト１３の上縁近傍の排気通路１２
の一方側には開口１４が形成され、後述する第１弁部１
７がはめ込めれ、該第１弁部１７を介して補助チャンバ
１５が排気通路１２から分岐し、該補助チャンバ１５は
シリンダブロック１からシリンダヘッド４側に連通して
形成されている。この補助チャンバ１５の入口１５ａは
排気バルブ１６の開閉作動により排気ガスをこの補助チ
ャンバ１５内に導き，あるいは遮断して排気の流れを変
更する作用をなす弁部である第１弁部１７により制御さ
れる。そのためこの第１弁部１７には補助チャンバ１５
の入口１５ａまで達する連通穴１７ａが形成されてい
る。

【００１０】前記排気バルブ１６には排気ポ―ト１３に
進退して排気タイミングを変えるための弁部である第２
弁部１８が設けられており、この第２弁部１８は略つづ
み型に形成され、その外周部の一方側は排気ポ―ト１３
の開口１３ａ上縁側の開口形状に合致する形状の切欠部
１８ａとなっている。そして、第２弁部１８は燃焼室５
側が排気通路１２内に進出して排気ポ―ト１３の開口１
３ａ上縁を下げ、排気ポ―ト１３の開口タイミングを調
整する作用をするのである。

【００１１】前記排気バルブ１６の一端軸芯部には回転
軸１９が突設され、また他端部には円筒状の受部２０が
形成されている。この受部２０は一方の支持部材２１に
カラ―２２を介して軸支されるとともに、回転軸１９は
他方の支持部材２３にカラ―２４及びブッシュ２５を介
して軸支されている。そして回転軸１９には排気タイミ
ング及び補助チャンバ１５の開閉制御装置２６が接続さ
れていて、エンジン回転速度あるいはスロットル開度等
からエンジンの運転状況を検出し、排気バルブ１６をエ
ンジンの回転速度に対応して所定の位置に回動するよう
になっている。即ち，エンジンの低速回転時には第２弁
部１８により排気ポ―ト１３の上方を閉じ排気タイミン
グを遅くし、かつ第１弁部１７により補助チャンバ１５
の入口１５ａを開いた状態にしている。また高速回転時
には第２弁部１８により排気ポ―ト１３の上方を開き排
気タイミングを早め、かつ第１弁部１７により補助チャ
ンバ１５の入口１５ａを閉塞する。

【００１２】次に、この実施例の作動について説明する
と、エンジンが低速回転時には、排気バルブ１６は第２
弁部１８が排気通路１２内に進出するように回動され、
このため排気ポ―ト１３の開口１３ａ上縁は閉じられ、
かつ補助チャンバ１５の入口１５ａは連通穴１７ａと接
続した状態になる。したがって、ピストン６の上昇に伴
う排気ポ―ト１３の閉塞時には、上縁側が閉じられてい
るので早く閉塞され、またピストン６の下降時には排気
ポ―ト１３の開口時期は遅くなる。このため排気タイミ
ングが遅くなり、爆発した燃焼ガスは膨張してピストン
６を十分に押し下げて燃焼室５から排出される。そして
補助チャンバ１５の入口１５ａが開口しているため、前
記排出された燃焼ガスの一部は補助チャンバ１５に入
り、エンジンの低速回転時に適したガスの排出となる。

【００１３】またエンジンの高速回転時には、排気バル
ブ１６は第２弁部１８の切欠部１８ａが排気通路１２に
対向合致するように回動され、このため排気ポ―ト１３
の開口１３ａ上縁は開かれ、かつ補助チャンバ１５の入
口１５ａと連通穴１７ａとの連通は遮断される。したが
って、ピストン６の上昇時には排気ポ―ト１３の完全閉
塞が遅れるとともに、逆に排気ポ―ト１３の開口時期は
早くなる。このため排気タイミングが早くなり、排気ガ
スは燃焼室５から十分に排出される。そして補助チャン
バ１５の入口１５ａが閉じているため、前記排出された
燃焼ガスは補助チャンバ１５を通ることはなく直接に排
出されることになって、エンジンの高速回転時に適した
ガスの排出となる。

【００１４】以上の実施例において、第１弁部１７と第
２弁部１８とを同一駆動源である排気タイミング及び補
助チャンバ１５の開閉制御装置２６と回転軸１９を介し
て互いに連動させるので、排気タイミングの調整と補助
チャンバ１５の切換えの駆動源の構成が単一化されるの
である。そして、第１弁部１７の連通穴１７ａを適宜の
長さに設定することによって、補助チャンバ１５はエン
ジンの冷却水通路２７等を勘案して適当な位置に所望の
大きさに設定することができることから、補助チャンバ
１５のレイアウトは勿論のことエンジンの冷却水通路２
７等のレイアウトも容易となる。

【００１５】なお、上記実施例では単気筒のものについ
て説明をしたが、多気筒にも同様に適用できる。この場
合，補助チャンバ１５をそれぞれ連結することができ
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明は以上のように、補助チャンバの
連通をエンジンの高速で遮断し、低速で接続する弁部を
第１弁部とし、前記排気ポ―トの上縁をエンジンの高速
で開き、低速で閉じる弁部を第２弁部とし、これら弁部
を前記排気通路及び排気ポ―トに設け、且つ第１弁部と
第２弁部とを互いに連動させたので、エンジン出力の向
上が図られながら、第１弁部と第２弁部とは同一駆動源
で作動され、そのため駆動源の構成が単一化されてその
構造が簡単になる。

【００１７】また、弁部を第１弁部と第２弁部に分割構
成としたので、第１弁部によって連通が断続される補助
チャンバの位置は排気通路等に拘ることなくレイアウト
することができ、エンジン全体の設計が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る２サイクルエンジンの排気装置の
一実施例の一部側面断面図である。

【図２】図１のイ―イ断面図である。

【図３】その第１弁部及び第２弁部の斜視図である。

【符号の説明】

１ シリンダブロック ２ シリンダスリ―ブ ６ ピストン １２ 排気通路 １３ 排気ポ―ト １３ａ 排気ポ―トの開口 １５ 補助チャンバ １５ａ 補助チャンバの入口 １７ 第１弁部 １８ 第２弁部 １９ 回転軸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排気通路より分岐する補助チャンバの連
   通を断続すると共に、ピストンにより開閉される排気ポ
   ―トの上縁位置を変えてなる２サイクルエンジンの排気
   装置において、前記補助チャンバの連通をエンジンの高
   速で遮断し、低速で接続する弁部を第１弁部とし、前記
   排気ポ―トの上縁をエンジンの高速で開き、低速で閉じ
   る弁部を第２弁部とし、これら弁部を前記排気通路及び
   排気ポ―トに設け、且つ第１弁部と第２弁部とを互いに
   連動させたことを特徴とする２サイクルエンジンの排気
   装置。