JPH05339197A - しゅう酸の分離回収方法 - Google Patents

しゅう酸の分離回収方法

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JPH05339197A
JPH05339197A JP17618792A JP17618792A JPH05339197A JP H05339197 A JPH05339197 A JP H05339197A JP 17618792 A JP17618792 A JP 17618792A JP 17618792 A JP17618792 A JP 17618792A JP H05339197 A JPH05339197 A JP H05339197A
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oxalic acid
exchange membrane
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separating
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JP17618792A
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Yoshio Sugaya
良雄 菅家
Misaki Kanazawa
美咲 金澤
Haruhisa Miyake
晴久 三宅
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】多くの分野から排出される不純物含有しゅう酸
水溶液から高純度のしゅう酸を回収する方法を提供す
る。 【構成】スルホン酸基を0.5〜4.0ミリ当量/g乾
燥樹脂有する陽イオン交換膜層と陰イオン交換膜との複
層膜によって区画した拡散透析槽の、陽イオン交換膜層
に接する室に不純物を含有するしゅう酸水溶液を供給
し、他方の室に水を供給して、しゅう酸を選択的に回収
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、拡散透析により、しゅ
う酸含有溶液からしゅう酸を効率よく選択的に回収また
は除去する(分離回収)ための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】工業分野においてしゅう酸は、デンプン
の加水分解による水あめおよびブドウ糖の製造、アルマ
イト皮膜加工、金属磨き、なめし皮、染料工業、麦わら
漂白、鉄錆のシミ抜き、繊維工業、インク消し、グリセ
リンおよびステアリン酸の精製、希土類の精製などに使
われる他、アルミニウムコンデンサーの製造工程ではア
ルミニウム箔を硫酸や塩酸でエッチングした後、耐食性
を高めるためにこのアルミニウム箔をしゅう酸などの電
解液を使って陽極酸化し、表面に酸化皮膜を形成させる
ことに利用されている。
【0003】しゅう酸は河川や湖沼に流すとBOD(生
物的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)の上昇
原因になる物質として知られるが、現在使い終わった廃
しゅう酸溶液はアルカリ溶液を使って中和反応させた
り、活性汚泥による処理を施して排出している。
【0004】しかし、しゅう酸は有機酸なので、こうし
た処理を施しても河川や湖沼のBODやCODを上昇さ
せてしまう原因となるケースがあり、有効な処理方法の
開発が望まれていた。
【0005】陰イオン交換膜を使用して、酸と金属を含
有する溶液から濃度差を駆動力として酸を回収し、金属
イオンを分離する、いわゆる拡散透析は、既に多くの分
野で使用されている。かかる酸の拡散透析用膜として
は、数多くの文献等が報告されているが、最も実用的な
有益なものとして、クロルメチルスチレン(またはビニ
ルピリジン)−ジビニルベンゼン共重合体のアミノ化
(または4級ピリジニウム化)陰イオン交換膜がある。
しかし、これらの陰イオン交換膜を使用しての、3価の
アルミニウムイオンなどの不純物を含有するしゅう酸水
溶液からのしゅう酸の回収では、しゅう酸の透過性や選
択分離性が著しく低下する欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の欠点
を解消して、金属イオン、例えばアルミニウムイオンを
含有するしゅう酸水溶液からしゅう酸を回収できる拡散
透析方法を提供することを目的とし、更には、従来では
回収メリットがないとされていた製造工程液または廃液
処理に適用することにより環境保護と省資源に役立つ拡
散透析によるしゅう酸の分離回収方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、拡散透析膜の
片面に、不純物を含有するしゅう酸水溶液を接触せし
め、もう一方の面に水を接触せしめ、しゅう酸を選択的
に透過せしめるしゅう酸の分離回収方法において、上記
拡散透析膜が、陰イオン交換膜層と、上記しゅう酸水溶
液に接触する側の強酸性陽イオン交換膜層との複層膜か
らなるしゅう酸の分離回収方法である。
【0008】本発明で使用される拡散透析膜は、基本的
には、表面に反対電荷を有する陰イオン交換膜からな
り、これをしゅう酸の拡散透析プロセスに使用すること
により、しゅう酸の選択透過性の安定化が達成されるも
のであるが、これは、従来にない発想と新しい知見に基
づくものである。
【0009】本発明者は、選択性、透過性の優れた拡散
透析用イオン交換膜について鋭意検討したところ、不純
物を含有したしゅう酸水溶液の拡散透析において、水素
イオン/陽イオン(水素イオンを除く)の選択透過性が
優れた陰イオン交換膜ほどしゅう酸の透過性や選択性が
著しく低下する現象を認めた。
【0010】この現象が認められる理由は明らかではな
いが、しゅう酸は有機酸であるため他の酸に比べて陰イ
オン交換膜を通りにくいこと、例えば不純物としてアル
ミニウムイオンを含有するしゅう酸水溶液においてはア
ルミニウムイオンがしゅう酸と錯アニオンを形成してい
ること等が考えられる。しかしながら、かかる説明は本
発明の理解のために述べたものであり、かかる説明によ
り本発明が制限されることはない。
【0011】かかる不純物を含有するしゅう酸水溶液に
対し、選択性、透過性、性能安定性の優れた酸透析膜に
ついて検討した結果、陽イオン交換体層の薄膜を陰イオ
ン交換膜の表面に設けることにより達成できることを見
出し本発明を完成した。
【0012】本発明を詳しく説明すると、強酸性陽イオ
ン交換膜層を陰イオン交換膜層の表面に設ける方法とし
ては、陰イオン交換膜表面に陽イオン交換基を有する化
合物を付着または吸着する方法、または陰イオン交換膜
の表面をスルホン化等の化学反応により陽イオン交換基
に変換する方法なども使用できる。しかし、耐久性に優
れ、しゅう酸の透過性が低下しがたいことから好ましく
は、しゅう酸の透過性、薄膜成形性に優れた陽イオン交
換膜層に積層する方法が使用される。
【0013】かかる陽イオン交換膜層としては、CF2
=CF(OCF2 CFCF3m O(CF2n SO2
F(mは0〜2、nは0〜4、但しnとmが同時に0を
とることはない。)と四フッ化エチレンとの共重合体か
らなり、SO2 F基がSO3H基に変換された陽イオン
交換膜からなり、イオン交換容量が0.6〜2.0ミリ
当量/g乾燥樹脂、好ましくは0.9〜1.6ミリ当量
/g乾燥樹脂、厚みが0.01〜25μm、好ましくは
0.1〜10μmのものが、採用される。
【0014】別の好ましい陽イオン交換膜層としては、
実質的に芳香族環と連結基から構成された重合体であっ
て、繰り返し単位内に一般式(1)−X−Ar−Y−
(但し、式中X,Yは、−O−,−S−,炭素数1〜1
3のアルキレン基または短結合である。Arは
【化3】 を有する。
【0015】ここでR1 〜R5 は、互いに同一または異
なるハメットの置換基定数が負の置換基。aは0〜3、
b+cおよびd+eは0〜5である。)を含有する重合
体からなり、その芳香族環にスルホン酸基が導入された
陽イオン交換膜が使用される。かかる陽イオン交換膜
は、主鎖に芳香族環を有しているため機械的性質、耐熱
性、耐薬品性、薄膜成型性に優れている。
【0016】上記一般式(1)を含む重合体の好ましい
具体例としては、
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】等の重合体で、好ましくはスルホン酸基を
0.5〜4.0ミリ当量/g乾燥樹脂、より好ましくは
1.0〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂を導入した陽イオ
ン交換膜が例示される。
【0021】本発明では、更に好ましくは、芳香族系重
合体が、少なくとも2種の繰り返し単位からなり共重合
体であって、一方の繰り返し単位の芳香族環にスルホン
酸基がブロック的導入された陽イオン交換膜を使用する
ことが、透過性、選択性が高く、且つ機械的性質膜に優
れた膜を得る点で好ましい。
【0022】かかる陽イオン交換膜層としては、ポリフ
ェニレンオキシド/ポリエーテルスルホン共重合体、ポ
リフェニレンスルフィド/ポリエーテルスルホン共重合
体、ポリアリールエーテルスルホン/ポリエーテルスル
ホン共重合体、ポリアリールエーテルアリレート/ポリ
アリレート共重合体またはポリアリールエーテルスルホ
ン/ポリチオエーテルスルホン共重合体であり、例え
ば、
【0023】
【化7】
【0024】等のスルホン化膜が例示される。ただし、
m,nは、2〜200で、m/nは、100/1〜1/
10である。これらの重合体は、本出願人による特開平
1−215348、特開平2−245035および特開
平2−248434に記載されている方法によって得る
ことができる。
【0025】本発明に使用する陰イオン交換膜層として
は、上記陽イオン交換膜層と同種の重合体でも、スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体等の異なる重合体でも使
用されるが、好ましくは、膜の選択透過性や機械的性質
が優れることから、実質的に芳香族環と連結基から構成
された重合体において、繰り返し単位内に一般式(1)
−X−Ar−Y−(ただし、式中X、Yは、−O−、−
S−、炭素数1〜13のアルキレン基または単結合であ
る。Arは化3を有する。ここでR1 〜R5 は、互いに
同一または異なるハメットの置換基定数が負の置換基。
aは0〜3、b+cおよびd+eはいずれも0〜5。)
を含有する重合体からなり、その芳香族環に、陰イオン
交換基が導入された陰イオン交換膜が使用される。
【0026】かかる陰イオン交換膜としては、化4、化
5、化6等の重合体に陰イオン交換基を0.5〜4.5
ミリ当量/g乾燥樹脂、好ましくは1.0〜3.5ミリ
当量/g乾燥樹脂になるように導入した陰イオン交換膜
が例示される。
【0027】本発明では、なかでも繰り返し単位内に、
上記一般式(1)をブロック的に含有する重合体からな
るものを用いるのが好ましい。例えば、ポリフェニレン
オキシド/ポリエーテルスルホン共重合体、ポリフェニ
レンスルフィド/ポリエーテルスルホン共重合体、ポリ
アリールエーテルスルホン/ポリエーテルスルホン共重
合体、ポリアリールエーテルアリレート/ポリアリレー
ト共重合体またはポリアリールエーテルスルホン/ポリ
チオエーテルスルホン共重合体である。例えば、化7の
重合体に陰イオン交換基が導入された陰イオン交換膜が
例示される。
【0028】上記重合体に陰イオン交換基を導入する方
法としては、(a)アミノアルキル基を導入、必要によ
りハロゲン化アルキルで4級化する。(b)ハロアルキ
ル基を導入後、NH3 、1〜2級アミンまたは3級アミ
ンにより1〜3級アミンの弱塩基性陰イオン交換基また
は4級アンモニウム塩の強塩基イオン交換基を導入する
方法が使用できる。なかでも反応が容易で、イオン交換
容量の制御が容易であること、イオン強度の異なる陰イ
オン交換基の導入性が優れていること、ハロアルキル基
の反応性を利用して架橋を導入できる点で、(b)のハ
ロアルキル化−アミノ化反応が好ましく使用される。
【0029】ハロアルキル基の導入方法としては、芳香
族環にアルキル基が置換されている重合体を原料とする
場合には、塩素化、臭素化等の反応も使用できるが、一
般的には、クロルメチルメチルエーテル、1,4−ビス
(クロルメトキシ)ブタン、1−クロルメトキシ−4−
クロロブタンやホルマリン−塩化水素、パラホルムアル
デヒド−塩化水素等の親電子反応性のクロルメチル化反
応によりブロック共重合体の−X−Ar−Y−繰り返し
単位の芳香族環に選択的に導入できる。
【0030】かくして得られたクロルメチル化重合体
は、好ましくは以下の方法にて膜状の陰イオン交換体と
することができる。(1)クロルメチル化重合体を溶液
化せしめ、アミンを添加、陰イオン交換樹脂溶液とした
後、流延し、膜状に成形せしめる。(2)クロルメチル
化重合体を溶液化せしめ、流延し、膜状に成形せしめた
後、アンモニアまたは1〜3級アミンと接触させ、残余
のクロルメチル基を陰イオン交換基に変換する。(3)
クロルメチル化重合体を溶液化せしめ、クロルメチル基
の0〜80モル%の3級アミンを添加し、陰イオン交換
樹脂溶液とした後、残余のクロルメチル基を加熱処理、
ルイス酸との接触、またはポリアミンと反応し架橋構造
を導入する。
【0031】本発明に使用される弱塩基性イオン交換基
導入用のアミノ化剤としては、アンモニアの他、1級ア
ミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピル
アミン、ブチルアミン、エタノールアミンが、2級アミ
ンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン等のジア
ルキルアミン、ジエタノールアミンが例示される。
【0032】強塩基性イオン交換基導入用の3級アミン
としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のト
リアルキルアミンの他、トリエタノールアミンが例示さ
れる。またイオン交換基と架橋が導入されるポリアミン
としては、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミン、ヘキシレンジアミン等の一般式R67
N(CH2k NR89 (ただし、R6 、R7 、R8
、またはR9 は、互いに同一または異なる水素または
炭素数1〜6の一価の炭化水素基。kは、1〜10。)
で示されるアルキレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン等のポリエチレンイミン化合物、フェニレンジアミン
等の芳香族ポリアミンなどが例示される。
【0033】かくして本発明を構成する陰イオン交換膜
層は、全イオン交換容量が、0.5〜4.5ミリ当量/
g乾燥樹脂、好ましくは1.0〜3.5ミリ当量/g乾
燥樹脂、特には1.6〜3.0ミリ当量/g乾燥樹脂の
高いイオン交換容量を有するにもかかわらず、4ミリ当
量/g水以上、好ましくは6ミリ当量/g水以上、特に
は10ミリ当量/g水以上と高い固定イオン濃度を有
し、選択性と透過性が大きい特徴を有する。
【0034】かくして得た陰イオン交換膜層を、本発明
で使用される拡散透析膜とするため、その表面に陽イオ
ン交換膜層を設ける。かかる形成方法としては、個別に
製膜した後、加熱、加圧等により接合する方法、適宜の
接着剤、例えばイオン交換樹脂溶液により接合する方
法、離型性フイルムに、陽イオン交換樹脂溶液をキャス
ト製膜せしめた後、陰イオン交換樹脂溶液を陽イオン交
換膜層上にキャストし複層化せしめる方法、または、陽
イオン交換樹脂溶液を既製の陰イオン交換膜に塗布、造
膜せしめる方法が使用される。
【0035】かくして得られる拡散透析用膜は、陽イオ
ン交換膜層の厚みが、0.01〜25μm、好ましくは
0.1〜10μmで、陰イオン交換膜層の厚みは、上記
陽イオン交換膜層よりも大きく、1〜300μm、好ま
しくは1〜100μmが選ばれ、拡散透析膜の厚みは1
〜325μm、好ましくは10〜125μmにせしめら
れる。
【0036】本発明で使用される拡散透析膜は、寸法安
定性、取扱性等の強度を大きくするために、多孔性基材
により、補強することができる。かかる多孔性基材は、
イオン交換膜層に埋め込んで、補強された複合イオン交
換膜として使用できる他、透過性を損なうことを防止す
る目的で、イオン交換膜の薄膜層と多孔性基材層との複
層イオン交換膜とすることができる。
【0037】膜の形状は、一般的な平面状だけではな
く、袋状、スパイラル状、中空糸、中空管などとして使
用される。
【0038】次に、本発明における分離回収すべき不純
物を含有するしゅう酸溶液としては、デンプンの加水分
解による水あめおよびブドウ糖の製造、なめし皮、染料
工業、麦わら漂白、繊維工業、インク消し、グリセリン
およびステアリン酸精製の分野において発生する排しゅ
う酸液が例示され、なかでも金属磨き、鉄錆のシミ抜
き、希土類元素またはその化合物の精製、アルマイト皮
膜加工の分野において発生する金属を含む排しゅう酸液
が好ましい。
【0039】かくして本発明に使用される複層膜の陽イ
オン交換膜層側に不純物を含有するしゅう酸溶液を接触
させ、もう一方の陰イオン交換膜層側に水もしくは希薄
溶液を接触せしめることにより、しゅう酸溶液中の不純
物である上記陽イオンまたは陰イオンは、本発明におけ
るイオン交換膜を通過することなく、しゅう酸が選択的
に膜を透過し、しゅう酸を選択的に分離、回収せしめる
ことができる。
【0040】
【作用】本発明に使用される拡散透析膜は、スルホン酸
基等の強酸性の陽イオン交換膜層を表面に有しており、
酸水溶液中にて解離できるため、陰イオンの透過を阻止
する作用を有するが、その作用は陰イオンの大きさに依
存すると考えられる。厚みが小さい陽イオン交換膜層
は、陽イオン、特にはプロトンの透過性が優れているた
め、陽イオンの透過とともに、小さい陰イオンも電気的
バランスを保つため透過できるが、大きな陰イオンは陽
イオン交換膜層を透過できない。
【0041】一方、陽イオン交換膜層を透過したプロト
ン以外の陽イオンは、陰イオン交換膜層を透過できず、
その結果、陰イオンを成分とする酸が選択的に透過分離
されると説明される。しかしながらかかる説明は本発明
の理解のために述べたものであり、かかる説明により本
発明が制限されることはない。
【0042】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0043】[実施例1]特開昭61−168629に
記載された合成法と同様にして、4,4−ジフェノール
とジクロロジフェニルスルホンとを反応せしめ、芳香族
ポリスルホンのユニットからなる固有粘度0.22のプ
リカーサーを合成し、ついで該プリカーサーとジクロロ
ジフェニルスルホンと硫化ナトリウムとを反応し、芳香
族ポリスルホンとポリチオエーテルスルホンが等モルか
らなる固有粘度0.65のブロック共重合体Aを得た。
【0044】次に、該共重合体Aを、無水硫酸/トリエ
チルホスフェート錯体と反応せしめ、スルホン化共重合
体Bを得た。共重合体Bは、NMR測定により、ジフェ
ノールの芳香環に選択的にスルホン酸基が導入されてお
り、イオン交換容量が1.9ミリ当量/g乾燥樹脂であ
ることがわかった。得られた共重合体BをN−メチルピ
ロリドンに溶解し溶液Cを得た。
【0045】一方、共重合体Aをクロルメチル化し、次
いでトリメチルアミンでイオン交換容量2.0ミリ当量
/g乾燥樹脂とした膜厚25μmの陰イオン交換膜Dを
得た。得た陰イオン交換膜Dの片面に、陽イオン交換樹
脂溶液Cを流延した後、50℃で2時間加熱乾燥するこ
とにより、膜厚30μmの複層膜Eを作成した。
【0046】かくして得られた複層膜Eにより2室に区
画された透析セルの陽イオン交換層側に1.4Nのしゅ
う酸と0.4Mのアルミニウムを含有する溶液を満た
し、もう一方の室に純水を満たし、純水側に透過する酸
とアルミニウムの透過速度を求めた。表1に酸の透過速
度と、選択性としてのアルミニウムの透過速度/酸の透
過速度比を示した。実施例1の結果は、以下の比較例1
および比較例2と比較して、透過性、選択性とも優れて
いることがわかる。
【0047】[比較例1]実施例1のイオン交換容量
2.0ミリ当量/g乾燥樹脂とした膜厚25μmの陰イ
オン交換膜Dを使用して実施例1と同様にして1.4N
のしゅう酸と0.4Mのアルミニウムを含有する溶液で
の拡散透析性能を求め表1に示した。
【0048】[比較例2]旭硝子社製セレミオンDSV
(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の陰イオン交換
膜、膜厚120μm、イオン交換容量2.0ミリ当量/
g乾燥樹脂)を使用して実施例1と同様にして1.4N
のしゅう酸と0.4Mのアルミニウムを含有する溶液で
の拡散透析性能を求め表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】従来の陰イオン交換膜または陽イオン交
換膜による拡散透析において、しゅう酸水溶液中のアル
ミニウムイオンの如き不純物を含有するしゅう酸の透過
性および/または選択性が低下し、酸の回収が実質的に
不可能であった回収系においても、本発明によればしゅ
う酸の実用的な回収プロセスが提供でき、環境保全や資
源の有効利用が図れる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】拡散透析膜の片面に、不純物を含有するし
    ゅう酸水溶液を接触せしめ、もう一方の面に水を接触せ
    しめ、上記しゅう酸水溶液からしゅう酸を分離回収する
    方法において、上記拡散透析膜が、陰イオン交換膜層
    と、上記しゅう酸水溶液に接触する側の強酸性陽イオン
    交換膜層との複層膜からなることを特徴とするしゅう酸
    の分離回収方法。
  2. 【請求項2】強酸性陽イオン交換膜層が、イオン交換容
    量0.5〜4.0ミリ当量/g乾燥樹脂、厚み0.01
    〜25μmのスルホン酸基を有する陽イオン交換膜層で
    ある、請求項1のしゅう酸の分離回収方法。
  3. 【請求項3】強酸性陽イオン交換膜層が、実質的に芳香
    族環と連結基から構成された重合体であって、繰り返し
    単位内に一般式(1)−X−Ar−Y−(但し、式中
    X、Yは、−O−、−S−、炭素数1〜13のアルキレ
    ン基または単結合である。Arは 【化1】 を有する。ここで、R1 〜R5 は、互いに同一または異
    なるハメットの置換基定数が負の置換基。aは0〜3、
    b+cおよびd+eはいずれも0〜5。)を含有する重
    合体からなり、その芳香族環に、スルホン酸基が導入さ
    れた陽イオン交換膜層である、請求項1または2のしゅ
    う酸の分離回収方法。
  4. 【請求項4】強酸性陽イオン交換膜層が、CF2 =CF
    (OCF2 CFCF3m O(CF 2n SO2 F(m
    は0〜2、nは0〜4であり、mとnは同時に0になら
    ない)と四フッ化エチレンとの共重合体からなり、SO
    2 F基がSO3 H基に変換された陽イオン交換膜層であ
    る、請求項1または2のしゅう酸の分離回収方法。
  5. 【請求項5】陰イオン交換膜層が、繰り返し単位内に、
    一般式(1)−X−Ar−Y−(但し、式中XまたはY
    は、−O−、−S−、炭素数1〜13のアルキレン基ま
    たは単結合である。Arは 【化2】 を有する。R1 〜R5 は、互いに同一または異なるハメ
    ットの置換基定数が負の置換基。aは0〜3、b+cお
    よびd+eはいずれも0〜5。)を含有する重合体から
    なり、その芳香族環に、陰イオン交換基が導入されたイ
    オン交換容量0.5〜4.5ミリ当量/g乾燥樹脂の陰
    イオン交換膜層である、請求項1〜4のいずれか1つの
    しゅう酸の分離回収方法。
  6. 【請求項6】陰イオン交換膜層の厚みが1〜100μm
    であり、拡散透析膜の厚みが10〜125μmである、
    請求項1〜5のいずれか1つのしゅう酸の分離回収方
    法。
  7. 【請求項7】不純物を含有するしゅう酸水溶液が、アル
    マイト皮膜加工において発生する排液である、請求項1
    〜6のいずれか1つのしゅう酸の分離回収方法。
  8. 【請求項8】不純物を含有するしゅう酸水溶液が、アル
    ミニウムコンデンサー製造工程において、アルミニウム
    箔をしゅう酸の電解液を使って陽極酸化し、表面に酸化
    皮膜を形成させる時に発生する排液である、請求項1〜
    6のいずれか1つのしゅう酸の分離回収方法。
  9. 【請求項9】不純物を含有するしゅう酸水溶液が、希土
    類の精製において発生する排液である、請求項1〜6の
    いずれか1つのしゅう酸の分離回収方法。
JP17618792A 1992-06-10 1992-06-10 しゅう酸の分離回収方法 Withdrawn JPH05339197A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0966421A4 (en) * 1996-12-09 2000-03-29 Ashland Inc PROCESS FOR THE PURIFICATION OF ACIDS FOR THE TREATMENT OF SEMICONDUCTORS
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