JPH05339118A - 歯質表面塗布用プライマーおよび歯質表面に歯質修復用材料のための接着剤層を形成する方法 - Google Patents
歯質表面塗布用プライマーおよび歯質表面に歯質修復用材料のための接着剤層を形成する方法Info
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Abstract
りなる群から選ばれる少なくとも一種類の金属化合物と
溶媒からなる溶液であることを特徴とする歯質表面塗布
用プライマーおよび歯質表面にこのプライマーを塗布し
次いでプライマー塗布層上にトリアルキルホウ素あるい
はその部分酸化物および重合性モノマーを含む硬化性組
成物を塗布して接着剤層を形成することを特徴とする、
歯質表面に、歯質修復用材料のための接着剤層を形成す
る方法。 【効果】 本発明の接着剤を使用することにより、象牙
質に対して酸処理を行うこと無しに、高い接着力を得る
ことが可能になる。
Description
ーおよびそれを用いて歯質表面に歯質修復用材料のため
の接着剤層を形成する方法に関する。さらに詳しくは、
特定の金属化合物を含有するプライマーおよびこのプラ
イマーを用いることにより、特に歯の象牙質に対して象
牙質表面を酸処理すること無しに優れた接着性能を示す
接着剤層を付与する方法に関する。
牙質と、この歯質を修復するための材料(たとえば高分
子物質、金属、陶材等)とを強く接着する必要があり、
そのための接着剤がすでに種々提案されている。
ー、(2)重合触媒あるいは重合開始剤および(3)充
填剤の3成分構成であるのが一般的である。このような
接着剤の代表的な例としては、(1)重合性モノマーと
しての(メタ)アクリル酸エステルと、(2)重合触媒
としての過酸化ベンゾイルと芳香族第3級アミン系との
混合物、あるいはこの混合物にスルフィン酸塩を添加し
た触媒成分と、(3)ポリマー、シリカ等の充填剤とか
らなる接着剤組成物、あるいは(1)重合性モノマーと
しての(メタ)アクリル酸エステルと、(2)光増感剤
としてのカンファーキノンと、還元剤としてのN,N-ジ
メチルアミノエチルメタクリレートとからなる光重合開
始剤と、(3)ポリマー、シリカ等の充填剤とからなる
接着剤組成物、さらには(1)重合性モノマーとしての
(メタ)アクリル酸エステルと、(2)重合触媒として
のトリブチルボラン部分酸化物(TBBO)と、(3)
ポリマー、シリカ等の充填剤とからなる接着剤組成物等
が提案されている。
では、重合性モノマーの重合開始剤として種々の化合物
が用いられており、かつ、このような接着剤の接着性を
改善するために、接着促進モノマーあるいは歯質と親和
性を有するモノマーを使用することが提案されている。
この接着促進モノマーあるいは歯質と親和性を有するモ
ノマーとしては、例えば4−メタクリロイルオキシエト
キシカルボニルフタル酸(4−MET)あるいはその無
水物(4−META)および10−メタクリロイルオキ
シデシルマロン酸(MAC−10)のようなカルボキシ
ル基(あるいはカルボキシル基に変換しうる基)を有す
るモノマー、10−メタクリロイルオキシデシルジハイ
ドロジェンホスフェートのようにリン酸基を有するモノ
マー等を挙げることができる。
エナメル質はその成分のほとんどがハイドロキシアパタ
イトであり、表面を燐酸等でエッチングし前記の接着剤
を用いることにより、実用上問題がない程度の接着強度
及び接着耐久性が得られている。
むクエン酸溶液でエッチングし、TBBOを重合開始剤
として用いる接着剤で接着する場合に高い接着力が発現
するが、その他の接着剤を用いた場合には良好な接着力
が発現しないことが多い。
用いる接着剤は最も優れたものではあるが、この接着剤
を用いて良好な接着力を発現させるためには歯質に前処
理を施す必要がある。すなわち、TBBOを重合開始剤
として用い、歯質を3%の塩化第二鉄を含む10%クエ
ン酸水溶液で30秒間エッチング(このような処理は一
般には「10−3処理」と言われている)することが推
奨されている。この10−3処理は、象牙質における接
着強度を上げる処理方法としては有用性が高いが、酸処
理であるため、処理後充分に水洗して酸を除去する必要
があり、また、象牙質を必要以上に損傷することがあ
り、接着後長期間が経過すると象牙質の損傷した部分か
ら接着剤が剥離する危険性が指摘されている。
開口し、接着部分の刺激(圧力、温度の変動やモノマー
等の化学物質)が直接歯髄に到達し、患者が強い痛みを
感じる等の問題点が更に指摘される。
で、充分な接着力が発現するような接着剤の開発が切望
されている。
面塗布用プライマーを提供することにある。本発明の他
の目的は、象牙質を損傷させること無く、またその上に
形成される硬化性樹脂組成物と一緒になって形成する歯
質表面上の接着剤層に、高い接着強度を発現させること
ができる歯質表面塗布用プライマーを提供することにあ
る。本発明のさらに他の目的は、本発明のプライマーを
用いて、歯質表面上に歯質修復用材料のための接着剤層
を提供することにある。本発明のさらに他の目的および
利点は以下の説明から明らかとなろう。
の上記目的および利点は、第1に、鉄化合物、銅化合物
およびコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくと
も一種の金属化合物と溶媒からなる溶液であることを特
徴とする歯質表面塗布用プライマーによって達成され
る。
属化合物を含む溶液である。本発明においては上記金属
化合物は、鉄化合物、銅化合物およびコバルト化合物の
中から選択される。かかる金属化合物としては、具体的
には、上記金属の塩化物、フッ化物等のハロゲン化物;
硝酸塩および硫酸塩等無機酸の塩;酢酸塩、アクリル酸
塩、メタクリル酸塩およびその他の有機酸の塩;アセチ
ルアセトンとの錯体のような有機錯体が挙げられる。こ
れら金属化合物はいずれの価数のものでもあってもよ
い。より具体的に、鉄化合物の例としては、塩化鉄、硝
酸鉄および硫酸鉄のような無機酸の塩、酢酸鉄、アクリ
ル酸鉄およびメタクリル酸鉄のような有機酸の塩、なら
びにアセチルアセトン鉄のような錯塩を挙げることがで
きる。また、銅化合物の例としては、塩化銅、フッ化
銅、硝酸銅および硫酸銅のような無機酸の塩;酢酸銅、
アクリル酸銅およびメタクリル酸銅のような有機酸の
塩;ならびにアセチルアセトン銅のような錯塩を挙げる
ことができる。さらに、コバルト化合物の例としては、
塩化コバルト、硝酸コバルトおよび硫酸コバルトのよう
な無機酸の塩;酢酸コバルト、アクリル酸コバルトおよ
びメタクリル酸コバルトのような有機酸の塩;ならびに
アセチルアセトンコバルトのような錯塩を挙げることが
できる。
合わせて使用することができる。プライマー中における
金属化合物の配合量は通常は0.0001〜1重量%の
範囲内にある。
溶解もしくは分散させて使用される。ここで上記のよう
な特定の金属化合物を溶解もしくは分散させる溶媒とし
ては、人体に対して高い毒性が無ければ随意に使用でき
る。例えば、水または有機溶媒または水と水混和性有機
溶媒との混合液が好ましく用いられる。かかる溶媒の具
体例としては、例えば水、エタノール、イソプロパノー
ル、アセトン、テトラヒドロフラン等を例示することが
できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用する
ことができる。
含有しない。水混和性モノマーの含有は歯質表面に塗布
する前に酸処理することを要求する。本発明のプライマ
ーは、歯質表面に塗布されそしてその上に塗設される硬
化性組成物と一緒になって、歯質表面に歯質修復用材料
のための接着剤層を形成する。
上に塗設される硬化性組成物は、トリアルキルホウ素
(TBB等)あるいはその部分酸化物(TBBO等)お
よび重合性モノマーとからなる。重合性モノマーとして
は、(メタ)アクリロイル系モノマー等が例示できる。
この(メタ)アクリロイル系モノマーとしては、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)
アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート、4−
メタクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸及び
その無水物、5−メタクリロイルアミノサリチル酸、1
0−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホス
フェート等の酸性基含有(メタ)アクリロイル化合物を
挙げることができる。なお、この硬化性組成物には、接
着剤としての特性を損なわない範囲内で、例えばポリメ
チルメタクリレート粉末のような他の成分が配合されて
いてもよい。すなわち、この接着剤は、そのまま金属等
の充填物の接着剤として使用することもできるし、また
コンポジットレジンのライナーとしての接着剤であって
もよい。
ライマーを塗布し、乾燥させた後、このプライマー塗布
面に上記硬化性組成物を塗布することにより歯質と種々
の材料を接着することができる。
面に本発明のプライマーを塗布し次いでプライマー塗布
層上にトリアルキルホウ素あるいはその部分酸化物およ
び重合性モノマーを含む硬化性組成物を塗布して接着剤
層を形成することを特徴とする、歯質表面に、歯質修復
用材料のための接着剤層を形成する方法が同様に提供さ
れる。
硬化する前に充填剤あるいは補修剤等を積層してこの硬
化剤の接着力を利用して歯質に接着させることができ
る。
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
0番のエメリー紙で研磨して接着面を形成した。この接
着面を、水洗、乾燥した後、表1記載の各種金属塩の水
溶液をプライマーとして塗布し直ちに気銃にてエアーブ
ローして乾燥した。ついで、直径5mmの孔のあいたセロ
ハンテープを接着面に貼付して接着面積を規定した。
重量%の4-メタクリロイルオキシエトキシカルボニルフ
タル酸無水物(4−META)を含むメチルメタクリレ
ートに10重量%のトリブチルホウ素部分酸化物(TB
BO:サンメディカル(株)製)を重合開始剤として添加
した液およびポリメチルメタクリレート粉末の混合物
(硬化性組成物)を塗設して、この上に筆積み法により
アクリル棒を接着させた。
留水中に24時間浸漬した後、引張り試験を行い、アク
リル棒と歯質(象牙質)との接着強さを測定した。接着
強さは、5個の試験片で測定した値の平均値である。上
記のようにして測定した接着強さを表1に示す。
物を直接塗設した以外は同様にしてアクリル棒を接着し
た。この場合の接着強さは1.1MPaであった。
と無しに象牙質と各種材料との間に高い接着力を得るこ
とができる。また、接着力の経時低下が小さい。
Claims (4)
- 【請求項1】 鉄化合物、銅化合物およびコバルト化合
物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物
と溶媒からなる溶液であることを特徴とする歯質表面塗
布用プライマー。 - 【請求項2】 金属化合物の濃度が0.0001〜1重
量%の範囲内にある請求項1に記載のプライマー。 - 【請求項3】 溶媒が水または有機溶媒または水と水混
和性有機溶媒との混合液である請求項1に記載のプライ
マー。 - 【請求項4】 歯質表面に請求項1に記載のプライマー
を塗布し次いでプライマー塗布層上にトリアルキルホウ
素あるいはその部分酸化物および重合性モノマーを含む
硬化性組成物を塗布して接着剤層を形成することを特徴
とする、歯質表面に、歯質修復用材料のための接着剤層
を形成する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17770292A JP3238751B2 (ja) | 1992-06-12 | 1992-06-12 | 歯質表面塗布用プライマー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17770292A JP3238751B2 (ja) | 1992-06-12 | 1992-06-12 | 歯質表面塗布用プライマー |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05339118A true JPH05339118A (ja) | 1993-12-21 |
JP3238751B2 JP3238751B2 (ja) | 2001-12-17 |
Family
ID=16035614
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17770292A Expired - Fee Related JP3238751B2 (ja) | 1992-06-12 | 1992-06-12 | 歯質表面塗布用プライマー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3238751B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0684034A1 (en) | 1994-05-26 | 1995-11-29 | Sun Medical Co., Ltd. | Primer solution composition for dental bonding |
-
1992
- 1992-06-12 JP JP17770292A patent/JP3238751B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0684034A1 (en) | 1994-05-26 | 1995-11-29 | Sun Medical Co., Ltd. | Primer solution composition for dental bonding |
US5670559A (en) * | 1994-05-26 | 1997-09-23 | Sun Medical Co., Ltd. | Primer solution composition for dental bonding |
Also Published As
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---|---|
JP3238751B2 (ja) | 2001-12-17 |
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