JPH0533769Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ねじ頭部、特に合成樹脂製防錆部材
にて被覆されたねじ頭部の改良に関する。

〈従来の技術〉 従来のこの種のねじ頭部としては、第６図に示
すものが知られている。このねじ頭部は、タツピ
ングねじａ頭部として形成されたもので、金属製
軸部ｂと共に一体形成された金属製頭部（図示せ
ず）と、この金属製頭部全体を被覆する合成樹脂
製防錆部材ｃとから構成されている。この防錆部
材ｃは、座面ｄと、その基端側に突設された締付
工具に対する係合部ｅとからなる。この係合部ｅ
は、６個の側面を有する六角柱状をなし、六角ビ
ツト等の締付工具に係合する。このねじ頭部は、
合成樹脂製防錆部材ｃにより、金属製頭部全体が
被覆されれているため、錆の発生が防止され、屋
外やさらに悪い環境下において広く使用されてい
る。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところが、このねじ頭部を締付工具によつて締
め付けた場合、全体が合成樹脂製防錆部材ｃにて
被覆されているため、締付工具との間にすべりが
生じ、充分な締付作業を行い得ないという問題が
ある。特に、防錆部材ｃは合成樹脂製であるた
め、通常の金属製の頭部に比して軟らかく、六角
柱状の角部が変形し易い。そのため、充分なトル
クで締め付けを行い得ないと共に、一度締め付け
たねじを緩めたり、再度締め付けたりすることは
極めて困難となる。

〈課題を解決するための手段〉 そこで本考案は、ねじ軸部と一体形成された金
属製頭部と、この金属製頭部を被覆しねじ頭部の
外形を構成する合成樹脂製防錆部材とからなるね
じ頭部において、次の特徴を備えたねじ頭部を提
供することにより、上記の課題を解決する。本考
案のねじ頭部は、座面と座面の基端側に形成され
た締付工具に対する係合部とを備え、この係合部
に十字状に交わる２本の工具受容溝が形成されて
なる。各工具受容溝は、係合部の一方の側部から
対向する側部にかけて形成されている。そして、
少なくともこの係合部の外形が合成樹脂製防錆部
材により構成されると共に、金属製頭部が上記十
字状の工具受容溝に対応して４分割された支持突
起を備えてなる。

〈作用〉 本考案のねじ頭部は、十字状の工具受容溝によ
つて回転トルクを受けるため、従来のねじのよう
に、合成樹脂製防錆部材の変形やすべりが生ずる
ことがない。特に、金属製頭部の４分割された支
持突起が、十字状の工具受容溝における合成樹脂
製防錆部材を内部から支持する。これにより、工
具受容溝の変形は確実に防止される。

〈実施例〉 以下図面に基づき本考案の一実施例を説明す
る。

第１図は一実施例のねじの斜視図であり、この
ねじは、軸部１の先端にドリル状の案内端２が形
成されたセルフドリリングねじで、軸部１の基端
にはねじ頭部３が形成されている。このねじ頭部
３は、第２図に示すように、軸部１と一体形成さ
れた金属製頭部４と、この金属製頭部４を被覆し
ねじ頭部３の外形をなす合成樹脂製防錆部材５と
からなる。この被覆は、防錆部材５をインサート
成形することによりなされる。

金属製頭部４は、第２図及び第３図に示すよう
に、フランジ部１１と、フランジ部上に立設され
た支持突起１２…とからなる。この支持突起１２
は、後述する十字状の工具受容溝２４，２５に対
応して４分割されており、各突起１２…間に溝１
３を形成している。この溝１３の形状は、第２図
に示すように、上方に向かうに従い幅が広くなる
略Ｖ字状をなすが、上下に同一の幅をなすＵ字状
としてもよい。又、溝１３底部の幅を、図示のも
のより広くしてもよい。さらに突起１２は、外方
に傾斜して立設されているが、直立させてもよ
い。

次に、合成樹脂製防錆部材５は、底面２１を有
するスカート部２２と、スカート部２２上に立設
された締付工具に対する係合部２３とからなる。

この係合部２３は、側部に６個の側面を有する
略六角柱状をなし、その上部に十字状に交わる２
本の工具受容溝２４，２５が形成されている。
夫々の工具受容溝２４，２５は、係合部２３の一
方の側部から対向する側部にかけて形成されてい
る。詳しくは、一の工具受容溝２４が、六角柱状
の係合部２３における一方の側面から対向する側
面にかけて形成され、他の工具受容溝２５が、係
合部２３の一方の角部から対向する角部にかけて
形成されている。

次に、このねじは、第４図及び第５図に示す締
付工具を用いて締付をなすことができる。この工
具は、一端に回転トルクを与える電動工具等に接
続されるシヤンク３１を備え、他端にねじ頭部に
係合する筒状部３２を備える。筒状部３２の内面
は六角形をなし、ねじ頭部の係合部２３に係合す
る。そして、この筒状部３２の底部には十字状に
交わる２本の凸条３３，３３が突設されており、
ねじ頭部の工具受容溝２４，２５に係合する。こ
れにより、このねじ頭部３は係合部２３の側面及
び十字状の工具受容溝２４，２５によつて回転ト
ルクを受けるため、従来のねじのように、合成樹
脂製防錆部材５の変形やすべりが生ずることがな
い。よつて、良好な締緩をなすことができ、又、
再度の締め付けも支障なく行うことができる。

特に、金属製頭部４の４分割された支持突起１
２…が、十字状の工具受容溝２４，２５における
合成樹脂製防錆部材５を内部から支持する。これ
により、工具受容溝２４，２５の変形は確実に防
止されるため、この工具受容溝２４，２５と締付
工具との係合のみによつても、有効なねしの締緩
をなすことができる。

従つて、ねじ頭部の係合部２３は、あえて六角
柱状にしなくともよく、円柱状等にしてもよい。

尚、実施例では、座面を合成樹脂製防錆部材５
にて構成したが、金属製頭部４の座面を露出させ
るようにしてもよい。

〈考案の効果〉 以上本考案のねじ頭部は、十字状の工具受容溝
によつて回転トルクを受けるため、従来例のよう
に、合成樹脂製防錆部材の変形やすべりが生ずる
ことがない。特に、金属製頭部の４分割された支
持突起は、十字状の工具受容溝における合成樹脂
製防錆部材を内部から支持するため、工具受容溝
の変形が確実に防止されるものである。その結果
本考案のねじ頭部は、従来のねじ頭部のように、
合成樹脂製防錆部材の変形やすべりが生ずること
がない。よつて本考案は、充分な回転トルクで良
好な締緩をなすことができ、又、再度の締め付け
も支障なく行うことができる防錆ねじ頭部を提供
し得たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例のねじの斜視図、第２図は同
ねじ頭部の正面図、第３図は同ねじ頭部の平面
図、第４図は締付工具の正面図、第５図は同底面
図、第６図は従来のねじの斜視図である。 １……軸部、２……案内端、３……ねじ頭部、
４……金属製頭部、５……合成樹脂製防錆部材、
１２……支持突起、１３……溝、２４，２５……
工具受容溝、２１……底面、２２……スカート
部、２３……係合部、３２……筒状部、３３，３
３……凸状。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ねじ軸部と一体形成された金属製頭部と、この
   金属製頭部を被覆しねじ頭部の外形を構成する合
   成樹脂製防錆部材とからなるねじ頭部において、
   このねじ頭部が、座面と、座面の基端側に形成さ
   れた締付工具に対する係合部とを備え、この係合
   部に十字状に交わる２本の工具受容溝が形成さ
   れ、各工具受容溝が係合部の一方の側部から対向
   する側部にかけて形成され、少なくともこの係合
   部の外形が合成樹脂製防錆部材により構成される
   と共に、金属製頭部が上記十字状の工具受容溝に
   対応して４分割された支持突起を備えてなること
   を特徴とする防錆ねじ頭部。