JPH053372Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、自動車に載置される燃料タンクの
構造に関する。

［従来の技術］ 一般に自動車は居住性を良くするために車室内
をできるだけ広くしたいと云う要求がある。その
ために燃料タンクをフロアの下に抱くように取付
けるようにしているが、居住空間を大きくするに
はフロアを下げる必要があり、フロアを下げると
その下に抱いている燃料タンクの地上高が問題と
なる。そこで従来は例えば実公昭52−19081号公
報に記載されている第２図に示す様に燃料タンク
１の底部中央を凹入させ、この凹入部５にプロペ
ラシヤフト等を通すようにしている。ところがこ
のように燃料タンク１の底部中央を凹入させる
と、ガソリンが少なくなつた時、ガソリンがＡ室
とＢ室とに分かれ、しかもＡ室とＢ室とに於ける
ガソリンの量が等しくならない。これがためにゲ
ージの指示が不正確となつたり、或はエンジンへ
のサクシヨンパイプ２がある方のみガソリンが減
つてしまい他方には未だガソリンが残つているに
も拘らずエンジンがストツプしてしまうと云う不
都合があつた。このような不都合を無くするた
め、燃料タンク１内に両室を連通させる連通管ｃ
を設け、AB両室のガソリンの量を等しくしよう
とするものや、第２図に点線で示すようにAB両
室を下部で連通させる連通管c′を設けるもの、そ
の他、完全に分離して２つの独立の燃料タンクと
するもの、さらには、第２図に一点鎖線で示すよ
うに、底部中央に凹入部５を有する自動車燃料タ
ンク１において、凹入部５で形成される２室の境
目に連通穴４を有する仕切板３を設け、タンク上
方より吸出するエンジンへの燃料のサクシヨンパ
イプの先端をタンク１内で２室に分岐させたもの
等が提案される。

［考案が解決しようとする問題点］ しかるにタンク１内に連通管ｃを設けるもの
は、連通管ｃ内にガソリンが満たされているとき
はよいが、急旋回時や制動時にガソリンが移動
し、一度でも空気が連通管ｃ内に入ると永久に連
通の役目をしなくなる欠点がある。又、タンク１
の底部において両室を連通管c′で連通させるもの
は、この連通管c′が凹入部５に挿通するプロペラ
シヤフト等の挿通の邪魔になり、又、連通管c′自
体にこれを保護する丈夫なプロテクタを取付けね
ばならない等の問題がある。又、タンク１を完全
に２つに分離構成するものは、製作費の点、取付
手数並びに配管の点で極めて不利となる。

さらに、２室の境目に仕切板３を設けサクシヨ
ンパイプ２の先端を分岐させたものにあつても、
ガソリンの残量が少なくなくなると急旋回時や制
動時又は傾動時において、ガソリンが燃料タンク
の一部に片寄つてしまいサクシヨンパイプ２の両
先端部が同時にガソリンの液中から出てしまつて
ガソリンを供給できなくなり、エンジンがストツ
プしてしまうという問題があつた。

本考案は上述の点に鑑み、燃料タンク内の燃料
が少なくなつた場合で、車の急旋回、制動、傾動
時においても、安定して燃料をエンジンに供給で
きるようにするとともに燃料の無効残量を少なく
できる構造の簡素な自動車用燃料タンクを新たに
提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成する本考案の自動車用燃料タン
クは、底部中央に形成した凹入部によつて上部が
互いに連結した本室及び分室に区画された自動車
用燃料タンクにおいて、凹入部の頂部に本室方向
に延出する仕切板と、本室及び分室の底部に各々
配設された皿体と、本室に設けられた前記皿体内
に吸入口を臨ませたデリバリパイプに接続する吸
入ポンプと、吸込口が分室に設けられた前記皿体
内に臨み、かつ凹入部を超えて配設され、基端が
吸入ポンプに接続する吸入ホースとを有するもの
である。

［作用］ このように構成することにより、燃料タンク内
の燃料が少なくなつた場合で、車が急旋回、制
動、傾動した場合でも、更に残留燃料が少なくな
つた場合でも、皿体内の燃料移動が抑制され、燃
料の液面からポンプ吸入口及び吸入ホースの吸込
口が外れないように調整する作用を奏する。

［実施例］ 以下、本考案の自動車用燃料タンクの一実施例
を第１図によつて説明する。

なお、この第１図において第２図に対応する部
分には同一符号を付すこととして説明の便に供す
る。

第１図はガソリンタンクが傾斜した状態を示す
縦断面図で、ガソリンタンク１における凹入部５
の頂部内面には仕切板１０を設置する。

この仕切板１０は一枚の平板であつて、ガソリ
ンタンク１の一側から他側に亘つて隙間のないよ
うに固定され、本室Ａ側に向かつて水平方向に延
びるように設置される。

なお、この仕切板１０の延出方向は凹入部５の
高さ等を勘案し所要の傾角をもつて下向き又は、
わずか上向きに設置することを可とし、さらにそ
の巾は、この仕切板で抑制される燃料の液面が傾
斜してもポンプの吸入口から外れないように調整
し得るようにすることを勘案して決定する。

また、この燃料タンクの本室Ａと分室Ｂにはそ
れぞれ残留燃料を溜め置くための皿体１１ａ，１
１ｂを設置し、本室Ａの皿体１１にはエンジンに
燃料を供給するためのデリバリパイプ１２の先端
に設置された吸入ポンプ１３の吸入口を臨ませ
る。また分室Ｂの皿体１１ｂにはこの吸入ポンプ
１３に基端１４ｂが接続し、かつ凹入部５を超え
るように配設された吸入ホース１４の吸込口１４
ａを臨ませる。このようにしてタンク内の燃料が
僅少となつた場合でもこれら各皿体１１ａ，１１
ｂ内の燃料の移動を抑制し、各皿体１１ａ，１１
ｂ内に燃料が溜まるようにして吸入ポンプ１３の
吸入口及び吸入ホース１４の吸込口１４ａが液面
から外れるのを防ぎ、吸入ポンプ１３で吸入され
易いようにする。

また、吸入ポンプ１３で吸いあげられデリバリ
パイプ１２で送られた燃料のうち、余乗な分はリ
ターンパイプ１５により再び燃料タンクに送り返
される。

なお、１６はフイラーホースで１７は空気抜き
パイプである。

上述のように構成された燃料タンク１では、本
室Ａから分室Ｂに向けて燃料が移動するのを仕切
板１０で押さえるようにする。

しかし、分室Ｂ内の燃料は仕切板がないので自
由に本室Ａに移動する。

このため、本室Ａ側に多くの燃料を確保し、安
定化させ、本室Ａ、分室Ｂからの燃料の吸上げ量
を適正分配し、残留していても使用できない無効
残量を極力少なくしたものである。

すなわち、仕切板１０により本室Ａから分室Ｂ
に燃料が移動するのを抑制するとともに、吸入ポ
ンプ１３に接続する吸入ホース１４で分室Ｂ内の
燃料を本室Ａに吸入して、本室Ａ内の残留燃料の
量を増やし、これを吸入ポンプ１３で安定して吸
入し、デリバリパイプ１２で送給するようにして
本室Ａ、分室Ｂからの吸上げ量を適正分配し、無
効残量を少なくし残留燃料が極く少量になるまで
使用しようとするものである。

［考案の効果］ 以上詳述したように、本考案の自動車用燃料タ
ンクによれば、燃料タンクの凹入部に本室に向か
つて延出する仕切板を設置し、更に吸入ポンプの
吸入口を本室に設けた皿体内に、かつ吸入ポンプ
に接続する吸入ホースの吸込口を分室に設けた皿
体内を各々臨ませるよう構成したので、燃料タン
ク内の燃料が少なくなつた場合で、車の急旋回、
制動、傾動時においても、安定して燃料をエンジ
ンに供給できる。

また、燃料が少なくなつた場合でも本室側の残
量が増加するよう本室と分室の残留燃料を分配
し、無効残量を僅少に押さえることができる。

しかも、構造が簡素で部品点数も少なく製造も
容易で大量生産に適するから安価な製品を提供で
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の自動車用燃料タンクの一実施
例を示す傾斜した状態の縦断面図、第２図は従来
の燃料タンクを例示する縦断面図である。 １……燃料タンク、５……凹入部、１０……仕
切板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底部中央に形成した凹入部によつて上部が互い
   に連結した本室及び分室に区画された自動車用燃
   料タンクにおいて、凹入部５の頂部に本室Ａ方向
   に延出する仕切板１０と、本室Ａ及び分室Ｂの底
   部に各々配設された皿体１１ａ，１１ｂと、本室
   Ａに設けられた前記皿体１１ａ内に吸入口を臨ま
   せたデリバリパイプ１２に接続する吸入ポンプ１
   ３と、吸込口１４ａが分室Ｂに設けられた前記皿
   体１１ｂ内に臨み、かつ凹入部５を超えて配設さ
   れ、基端１４ｂが吸入ポンプ１３に接続する吸入
   ホース１４とを有することを特徴とする自動車用
   燃料タンク。