JPH05331820A - 防波堤及び防波ケーソン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 外海からの波浪を遮断するとともに、防波堤
内外での海水の流通を可能にする防波堤及びこのような
防波堤を構成する防波ケーソンを提供する。 【構成】 防波堤１０は、複数の防波ケーソン２０が所
定の間隔を配して配置されており、防波ケーソン２０の
入波方向の鉛直壁２１は折曲しており、防波ケーソン２
０は防波堤外から防波堤内を見通すことができないよう
に配置されて構成されている。また、防波ケーソンは断
面が矩形状に連続する形状であって、少なくとも互いに
対向する１対の鉛直面が折曲して構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、港湾や沖合人工島等に
おいて外海からの波浪を防ぐために利用される防波堤及
び防波ケーソンに係り、特に、その内外での海水の流通
を可能にする防波堤、及びこのような防波堤を構成する
防波ケーソンに関する。

【０００２】

【従来の技術】防波堤は外海からの波浪を防ぎ、港湾内
や沖合人工島等の静穏を保つために築造される突堤であ
る。

【０００３】従来の防波堤は連続した直立壁であり、こ
れが構築された範囲では防波堤内外を完全に遮断するも
のであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の防波堤は防波堤内外の海水の流通を完全に遮断する
ものであり、防波堤内の海水を防波堤外に拡散すること
ができないため、防波堤内の海水が滞留し、海水の汚濁
やこれに伴う周辺領域の環境の悪化をきたすことがある
という問題があった。

【０００５】本発明は上述した問題点を解決するために
なされたものであり、外海からの波浪を遮断するととも
に、防波堤内外での海水の流通を可能にする防波堤及び
このような防波堤を構成する防波ケーソンを提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記の
目的を達成するために以下のような構成とした。すなわ
ち、複数の防波ケーソンが所定の間隔を配して配置され
た防波堤であって、前記防波ケーソンの入波方向の鉛直
壁は折曲しており、前記防波ケーソンは防波堤外から防
波堤内を見通すことができないように配置されるように
構成した。

【０００７】また、断面が矩形状に連続する形状の防波
ケーソンであって、少なくとも互いに対向する一対の鉛
直面が折曲するように構成した。

【０００８】

【作用】本発明に係る防波堤においては、防波堤を構成
する防波ケーソンの波浪入波方向の鉛直壁は折曲してお
り、この防波ケーソンは防波堤外から防波堤内を見通す
ことができないように配置されているので、防波堤外か
らの波浪が鉛直壁に衝突し、直接的に防波堤内に入波す
るのを防止する。

【０００９】一方、防波ケーソンは所定の間隔を配して
配置されているので、これらの防波ケーソンの間に海水
を流通させることが可能になり、防波堤内の海水が滞留
することがなくなる。

【００１０】また、本発明に係る防波ケーソンにおいて
は、断面が略矩形状に連続する防波ケーソンであって、
少なくとも互いに対向する一対の鉛直面が折曲するよう
に構成されているので、この防波ケーソンを所定の間隔
を配して、折曲する鉛直面が外海の波浪方向に指向する
ように配置することにより上述の防波堤が築造される。

【００１１】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図１〜図４は本発明に係る防波堤１０を示
す。

【００１２】図１〜図４において、本発明に係る防波堤
１０は、鉄筋コンクリートで形成された断面が矩形状に
連続する形状の防波ケーソン２０が所定の間隔を配して
多数並設されることにより構成されている。

【００１３】この防波ケーソン２０は、対向する一対の
湾曲形状の鉛直壁２１を備えており、この鉛直壁２１は
中空又は中実の防波ケーソン本体２２より上方に突出し
ている。

【００１４】防波ケーソン本体２２より上方に突出した
鉛直壁２１間には、突出した鉛直壁２１を補強するため
の補強水平板２３が設けられている。そして、防波ケー
ソン本体２２の上面と補強水平板２３の間には、これを
貫通する導水口２４が形成され、防波堤１０内外の海水
はこの導水口２４を通じて流通することができるように
構成されている。

【００１５】また、鉛直壁２１のうち、補強水平板２３
より上方に突出する部分により凹部となった導水路２５
が形成されている。防波堤１０内外の海水、特に表面の
波浪はこの導水路２５に導かれることによっても流通す
ることができるように構成されている。

【００１６】尚、防波ケーソン２０の各部は、設置され
る海域の状態に合わせた任意の大きさで形成されるが、
図１又は図３に示されるように、設置される海域の干潮
時における海面３０が補強水平板２３よりやや上方に位
置し、満潮時における海面が鉛直壁２１の最上部より下
方に位置するような大きさに形成されることが好まし
い。

【００１７】本発明に係る防波堤１０は、上述の構成を
有する防波ケーソン２０が所定の間隔を配して、かつ、
防波堤１０外から防波堤１０内を見通すことができない
ように配置されることにより構成される。尚、上述の構
成の防波ケーソン２０は、図３に示されるように、捨石
２７が敷設されること等により基礎工事が施された海底
２８に設置されることが好ましい。

【００１８】このような構成を有する防波堤１０におい
ては、図４に示されるように、防波堤１０外からの波浪
（矢印Ａ方向）は防波ケーソン２０の間に導かれ、この
防波ケーソン２０間で鉛直壁２１の突出した部分に衝突
して弱められた後、防波堤１０内（矢印Ｂ方向）に導か
れる。このように、本発明に係る防波堤１０は防波堤１
０外から防波堤１０内を見通すことができないように防
波ケーソン２０が配置されることにより構成され、外海
からの波浪が直接港湾内に到達するのが防止されるの
で、十分な防波効果を奏することが可能である。

【００１９】また、防波ケーソン２０上部の、導水口２
４、導水路２５に導かれた波浪も同様の作用により弱め
られる。一方、本発明に係る防波堤１０においては、防
波ケーソン２０は所定の間隔を配して配置されており、
また、防波ケーソン２０自体に導水路２５及び導水口２
４が形成されているので、防波堤１０内の海水が自由に
防波堤１０外に拡散することが可能である。従って、防
波堤１０内の海水が滞留することにより防波堤内の海水
が汚濁するのを防止することが可能になる。

【００２０】また、本発明の防波堤１０は、防波ケーソ
ン２０が所定の間隔を配して配置されているので、従来
の連続した直立壁の防波堤よりも材料費等の低減を図る
こともできる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように構成した本発明の防波堤に
よれば、十分な防波効果を維持する一方、防波堤内外の
海水を流通させることが可能になり、防波堤内の海水が
滞留することによる海水の汚濁や、これに伴う周辺環境
の悪化を防止することが可能になるという効果を奏す
る。

【００２２】また、本発明の防波ケーソンによれば、港
湾等に所定の間隔を配して配置することにより上述の防
波堤を築造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る防波堤を示す斜視図。

【図２】 本発明に係る防波堤を示す平面図。

【図３】 本発明に係る防波堤を示す断面図。

【図４】 本発明に係る防波堤による防波を説明するた
めの図。

【符号の説明】

１０・・・防波堤 ２０・・・防波ケーソン ２１・・・鉛直壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の防波ケーソンが所定の間隔を配して
   配置された防波堤であって、前記防波ケーソンの入波方
   向の鉛直壁は折曲しており、前記防波ケーソンは防波堤
   外から防波堤内を見通すことができないように配置され
   ていることを特徴とする防波堤。
2. 【請求項２】断面が矩形状に連続する形状の防波ケーソ
   ンであって、少なくとも互いに対向する一対の鉛直面が
   折曲していることを特徴とする防波ケーソン。