JPH0533115A - フツ化不働態膜が形成されたステンレス鋼並びにこれを用いた装置 - Google Patents
フツ化不働態膜が形成されたステンレス鋼並びにこれを用いた装置Info
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Abstract
する不働態膜を形成すること。 【構成】ステンレス鋼表面の少なくとも一部に、略々化
学量論比を満足する金属フッ化物を主成分とするフッ化
不働態膜を形成し、且つ、上記ステンレス不働態膜の少
なくとも表面部分がフッ化クロムを主成分とする層とす
ること。
Description
れたステンレス鋼就中少なくともその表面部分がフッ化
クロムを主成分とする層からなる不働態膜が形成された
ステンレス鋼、及びこれを用いたガスまたは流体処理装
置に関する。
食性の強い特殊ガスたとえばBCl3、SiF4 、WF6
等が使用されており、雰囲気中に水分が存在すると加
水分解し、塩化水素やフッ化水素等の強い腐食性を示す
酸が発生する。通常これらのガスや溶液を扱う貯蔵容器
・配管・反応チャンバ等に金属材料を使用すると、容易
に腐食され問題が多い。
上させる傾向にあり、集積度が向上すると共に製造プロ
セスの低温化及び選択性の高いプロセスが不可欠となる
ため、プロセス雰囲気の高清浄度化が要求され、この様
な高清浄化を要求される装置に若干でも腐食が起こると
発生した不純物がウエハー表面に付着し、プロセスが劣
化する。従って金属表面の腐食防止が必要不可欠である
が、従来の装置ではガス供給装置の内面の腐食性対策が
充分に行われておらず、使用するハロゲン系特殊ガスの
強烈な反応性の為に二次的汚染が生じ、ガスの超高純度
化、およびプロセス雰囲気の超高純度化が達成されてお
らず技術の進歩の障害となっていた。
ザー発振器がフッ素に腐食され長期の使用に耐えず実用
化が遅れている現状にある。
例えば、RIE、CVDおよび/またはボンベと配管等
の装置内に不働態化処理を施していない場合、使用ガス
と金属表面の酸化膜や金属表面に吸着されている水分と
の間で反応が起こり、副生したガスが二次的汚染をひき
起こす。
ことが研究されており、この研究の1つに金属表面のフ
ッ素化の研究がある。
の研究のみであり、実用的フッ化不働態膜の形成に関す
るものは含まれていない。従って過酷な条件において完
全な耐食性が期待できるフッ化不働態膜の形成が強く要
求されている。
のフッ素化による不働態膜について研究を続けた結果、
金属就中ステンレス鋼表面に積極的フッ素化に十分な温
度でフッ素を作用させ、金属フッ化物を主成分とする不
働態膜を形成せしめた後、この不働態膜を熱処理するこ
とにより、腐食性ガスに対し良好な耐食性を有するフッ
化不働態膜を形成し得ることを見い出し、これに基づき
出願した(特開平2−175855号)。
働態膜を形成し得る技術を見い出した。
する課題は、ステンレス鋼の金属表面にフッ化不働態膜
を形成し、高純度ガスの純度低下防止、並びに特殊ガス
等の腐食ガスに対し十分な耐食性を有すると共に、水溶
液にたいして極めて優れた耐食性を有するステンレス鋼
並びに装置を提供することである。
鋼表面の少なくとも一部にフッ化クロムを主成分とする
フッ化不働態膜を形成することによって解決され、また
この様なフッ化不働態膜が形成されたステンレス鋼を装
置の構成部分の少なくとも一部として使用することによ
って解決される。
研究を重ねた結果、金属就中ステンレス鋼表面に積極的
フッ素化に十分な温度でフッ素を作用させ、金属フッ化
物を主成分とする不働態膜を形成せしめた後、この不働
態膜を熱処理することにより、腐食性ガスに対し良好な
耐食性を有するフッ化不働態膜を形成し得ることを見出
し、これに基づき出願した(特開平2−175855
号)。
き続き研究を行った所、次の様な新しい事実を見い出し
た。即ち、ステンレス鋼を前記出願の方法でフッ素化し
不働態膜を形成せしめた後、該不働態膜を例えば水分の
存在下で処理するか、あるいは水素存在下に熱処理する
ことにより、該不動態膜がフッ化クロムを主成分とする
フッ化不働態膜に組成転換し得ることを見い出した。こ
の新事実は、従来の常識では全く考えられない極めて特
異な現象であり、本発明者によって初めて見い出された
ことである。
フッ化物の中でも特に耐食性に優れており、フッ化クロ
ムを形成する手段としては通常金属クロムの表面に直接
フッ素を作用させてフッ化クロムを形成する方法が考え
られる。しかしながら、金属クロムに直接フッ素を反応
させると、低沸点物であるCrF4,CrF5 等の高次
のフッ化クロムが生成し、不働態膜としてのフッ化クロ
ムは形成し得ない。この理由により、従来から優れた耐
食性を示すフッ化クロムの不働態膜形成は困難と考えら
れていたものである。しかしながら、本発明者らの発見
した新しい技術により、優れた耐食性を示すフッ化クロ
ムを主成分とするフッ化不働態膜を形成し得る事実が判
明した。本発明はこの新しい事実により完成されてい
る。
ス鋼の表面にフッ化クロムを主成分とするフッ化不働態
膜を形成せしめること、及びこのフッ化不働態膜が形成
されたステンレス鋼をガス処理装置並びに流体処理装置
の構成材料の少なくとも一部として使用することであ
る。
フッ化不働態膜の形成方法は、まずステンレス鋼表面を
十分ベーキングし附着水分を除去した後フッ素化を行
う。次に再度不活性ガス中で熱処理を行った後、該不働
態膜を水分の存在下で処理するか、あるいは水素存在下
好ましくは水素気流中で熱処理することにより達成され
る。
常ステンレス鋼として従来から知られているものが広い
範囲でいづれも使用される。その代表的な一例としてク
ロム15〜28重量%、ニッケル3.5〜15重量%、
及び残部鉄から成り、その他の若干成分が更に2〜6重
量%含有されているものを例示できる。本発明に於いて
はこのステンレス鋼を先ずフッ素化して少なくともその
表面の一部、または全面に金属フッ化物からなるフッ化
不働態膜を形成せしめるものである。
300℃以上である。フッ素化の時間は1〜5時間であ
る。フッ素化は常圧で行うのを基本とするが、必要に応
じて加圧下で行うことも出来、この際の圧力としてはゲ
ージ圧力で2気圧以下程度で良い。フッ素化の雰囲気は
酸素の存在しない状態で行うのが好ましく、従ってフッ
素を単独であるいは適宜な不活性ガス例えば、N2 , A
r,He等で希釈することが好ましい。
好ましくは300〜600℃でN2,Ar,He等の不活
性ガス中で1〜5時間行う。以上の工程で形成されたフ
ッ化不働態膜は堅牢、且つ緻密で金属との密着性が良好
であり、更に耐食性並びにガス脱離性も十分認められる
フッ化不働態膜である。この不働態膜はしばしば化学量
論比で金属フッ化物を主成分とする膜となっているの
で、フッ化鉄が主成分の膜となっている。
の少なくとも表面部分がより耐食性に優れたフッ化クロ
ム主体のフッ化不働態膜に改善されている。改善の方法
は一例として、フッ化不働態膜を水と接触せしめること
により、水溶性のフッ化鉄が溶解すると同時に、ステン
レス鋼基盤中のクロムがフッ化不働態膜中へ拡散しフッ
化クロムリッチのフッ化不働態膜が形成される。水と接
触する手段の代表例は水中に浸漬する手段が最も簡単で
好ましいが、その他水と接触する限りどの様な手段でも
良い。例えば水蒸気と接触させても良く、また水を噴霧
しても良い。温度は室温でも良く、また100℃でも良
く、通常5〜50℃程度で良い。接触時間は温度により
異なるが、例えば室温の場合は1〜100時間程度であ
る。
する方法である。この方法の代表例は例えば水素気流中
で熱処理する方法である。この方法における水素濃度は
数ppm〜10%程度に不活性ガスで希釈するだけでよ
く、熱処理温度は300℃〜500℃で数10分から数
時間で良い。水素処理の方は水分処理に比べ連続工程が
可能となり、より優れた処理方法である。
はフッ化クロムを主体とする層が形成されており、通常
不働態膜の表面附近程度の組成はフッ化クロムが少なく
とも%以上となっている。上記方法で形成されたフッ化
クロムの主体のフッ化不働態膜は更に機能性の向上した
不働態膜となっている。
しては、ステンレス鋼の表面を予め平滑にすることが好
ましい。この際の平滑度としては、Rmax=0.03
〜1.0μm(表面の凸凹の差の最大値)程度が好まし
く、これにより大きく耐食性が向上する。この際の鏡面
化処理手段自体は何ら限定されず、適宜な手段が広い範
囲で選択され、その代表的な一例として電解研磨、複合
電解研磨する手段を例示出来る。
400Å以上、好ましくは500Å程度以上の膜厚で形
成され、基材たるステンレス鋼に十分なる強度をもって
形成されるために容易には剥離せず、また亀裂等も殆ど
生じない不働態膜となっている。
発明の装置は、基本的にはガス、就中腐食性ガス並びに
腐食性水溶液に接触する部分に、前記フッ化不働態膜が
形成されたステンレス鋼を使用するものであり、更に接
触しない部分について前記ステンレス鋼を使用しても良
いことは勿論である。本発明者らは装置のハロゲン系特
殊ガス及び水溶液への耐食性及び高純度ガスの汚染につ
いて研究してきた結果、装置内面のステンレス鋼表面に
フッ素ガスでフッ化不働態膜を形成させることにより、
装置がハロゲン系特殊ガス並びに水溶液に対し耐食性を
有すると共に高純度ハロゲン系特殊ガスを汚染しないこ
とを見い出して装置に係わる発明を完成したものであ
る。
場合の一例を模式図で示した。反応チャンバー1より超
高純度のN2 又はArを、例えば毎分10l程度反応チ
ャンバー内に導入し、常温で十分パーヂすることにより
水抜きを行う。水抜きが十分かどうかは、例えばパーヂ
ライン4に設けられた露点計5でパーヂガスの露点をモ
ニターすることにより行えば良い。その後更に電気炉2
によりチャンバー3全体を200〜450℃程度に加熱
し、ほぼ完全に内表面に吸着しているH2O 分子を脱離
させる。次に高純度F2 をチャンバー内に導入し、チャ
ンバー内面のフッ素化を行う。所定の時間フッ素化を行
った後、再度チャンバー内に高純度N2又はArを導入
し、チャンバー内に残存している高純度F2 をパーヂす
る。パーヂ完了後もそのまま高純度N2 又はArをフロ
ーしながらチャンバー内壁に形成された不働態膜の熱処
理を300〜500℃で行う。熱処理後該装置を超純水
中に浸漬し、あるいは水素気流中で熱処理してフッ化ク
ロム膜主体の不働態膜を形成せしめる。
ハロゲン系水溶液に対しても極めて優れた耐食性を示
す。前記フッ化不働態膜を有するステンレス鋼を用いて
装置を作成するに際しては、予め不働態膜が形成された
ステンレス鋼を使用して装置を作成しても良く、また装
置を作成した後に必要な構成部分のステンレス鋼に、フ
ッ素を作用させてフッ化不働態膜を形成しても良い。こ
の際のフッ素化の条件等は前記に記載した条件で行えば
良い。
めに、以下に実施例及び比較例を例示する。
x=0.03〜1.0μm)を予めN2 ガス中でベーキ
ング後、100%F2 ガスでフッ素化し再度N2 ガス中
で熱処理した。フッ素化の条件は300℃、20分であ
る。熱処理の条件は400℃、180分である。図2に
前記条件で形成されたフッ化不働態膜のXRD解析図を
示す。図3に同サンプルのXPS解析図を示す。図2,
3から明らかなように前記条件で形成されたフッ化不働
態膜はフッ化鉄を主体とした不働態膜である。
純水中で25℃、24時間浸漬した後のフッ化不働態膜
のXRD解析図を図4に示す。図5には同サンプルのX
PS解析図を示す。図4,5より明らかなように前記条
件で水中処理したフッ化不働態膜はフッ化クロムを主体
としたフッ化不働態膜である。
%HF水溶液中に25℃、5時間浸漬し、耐食性を調査
した。図6に耐食性テスト後のXRD解析図を示す。図
7に同サンプルのXPS解析図を示す。耐食性テスト前
の解析図(図4,並びに図5)に対し耐食性テスト後の
図6、並びに図7は何ら変化は認められない。腐食性の
強い5%HF水溶液に対し優れた耐食性が認められた。
ッタで形成された純クロムを比較例の条件でフッ素化し
た場合の結果を図8及び図9に示す。但し、第8図はス
パッタにより形成されるクロムのスパッタ膜を示し、ま
た第9図はこれをフッ素化した場合を示す。尚、これ等
図において、11はステンレス鋼又はSiウエハーを、
12はクロムのスパッタ膜を示し、13はフッ素化した
場合を示す。純クロムをフッ素化するとCrF4 、Cr
F5 等の低沸点高次フッ化物が形成されるために、フッ
化不働態膜は形成し得ない。
N2 で希釈された0.5%の水素気流中で、400℃、
1時間熱処理した後のフッ化不働態膜のXRD解析図を
図10に示す。図11には同サンプルのXPS解析図を
示す。図10、11より明らかな様に、上記条件で水素
処理したフッ化不働態膜はフッ化クロムを主体としたフ
ッ化不働態膜である。
は、強力な溶解性を示すHF水溶液に対しても著しい耐
食性が認められる。フッ化不働態膜が形成された金属材
料は超LSIの微細加工装置に大きな効果が期待出来
る。即ち酸性水溶液に対し本発明によるフッ化不働態膜
を金属表面に形成することにより、従来の技術がウエッ
トプロセスにも使用可能となる。即ち、従来よりウエッ
トプロセスに採用されている樹脂製装置の場合、使用条
件に制約がある。例えば真空下での使用は強度面で問題
が有り、使用出来ないが、本発明を採用することによ
り、この様な条件下でも使用可能となる。
る。
解析図である。
ある。
ある。
漬した後のXRD解析図である。
る。
にて形成した膜の図面である。
面である。
る。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】ステンレス鋼表面の少なくとも一部に、略
々化学量論比を満足する金属フッ化物を主成分とするフ
ッ化不働態膜が形成され、且つ、上記ステンレス不働態
膜の少なくとも表面部分がフッ化クロムを主成分とする
層からなることを特徴とするステンレス鋼。 - 【請求項2】ステンレス鋼の表面が鏡面化されたもので
ある請求項1に記載のステンレス鋼。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載のステンレス鋼を、
その構成部分の少なくとも一部に用いたことを特徴とす
るガスまたは流体処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03208446A JP3084306B2 (ja) | 1991-07-24 | 1991-07-24 | フッ化不動態膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03208446A JP3084306B2 (ja) | 1991-07-24 | 1991-07-24 | フッ化不動態膜の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0533115A true JPH0533115A (ja) | 1993-02-09 |
JP3084306B2 JP3084306B2 (ja) | 2000-09-04 |
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JP (1) | JP3084306B2 (ja) |
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