JPH05329436A - 模様塗膜の形成方法 - Google Patents

模様塗膜の形成方法

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JPH05329436A
JPH05329436A JP3293243A JP29324391A JPH05329436A JP H05329436 A JPH05329436 A JP H05329436A JP 3293243 A JP3293243 A JP 3293243A JP 29324391 A JP29324391 A JP 29324391A JP H05329436 A JPH05329436 A JP H05329436A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄手の被塗物表面に対しても深み感、奥行き
感、及び立体感を有する模様を形成し得るようにするこ
とを目的とする。 【構成】 非磁性材料からなるスペーサの裏面には磁石
が配置されており、このスペーサの表面に被塗物を接触
させることにより、被塗物はスペーサに載置される。こ
の状態のもとで、被塗物の表面に塗料が塗布され、塗布
後に所定の時間が経過したならば、磁石をスペーサと共
に被塗物Wから取り外すと共に塗料の乾燥がなされる。
このように、スペーサを介して被塗物に磁石を配置する
ことにより、被塗物表面に作用する磁力を調整し、深み
感等を有する所望の模様塗膜面が被塗物表面に形成され
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベース塗料中に含有せ
しめた粉末状磁性材料を磁石を利用して種々に配向させ
塗膜に模様を形成する方法に関し、特に薄手の被塗物に
対して模様塗膜を形成する場合に有用な模様塗膜の形成
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塗膜表面に文字やマークあるいは
図柄などの模様を形成する方法として、所定の模様を印
刷した粘着テープを塗膜表面に貼着したり、あるいは、
所定の模様部分を切り取ったマスキング紙を塗膜表面に
被せてその上からさらに塗料を塗布する方法などが知ら
れていた。ところが、このような模様の形成方法は何れ
も塗膜表面に粘着テープあるいは塗膜による段差が生
じ、外観上好ましくないだけでなく、粘着テープやマス
クング紙の貼着作業等に多大の労力と時間とを要するた
めコスト的にも問題を有していた。また、模様の段差部
分に塵埃等が付着し清掃作業が困難であり、しかも、こ
の段差部分から粘着テープあるいは塗膜の剥れが生じる
虞れもあった。
【0003】かかる問題点を解消するために塗料中に粉
末状の磁性材料を混入し、磁石を利用してこの磁性材料
を配向させ、これにより塗膜中に所望の模様を形成する
方法が提案されている。従来、この種の技術としては、
例えば特開昭63−175,670号公報に記載された
ものがある。この模様塗膜の形成方法は、粉末状磁性材
料を含有せしめた液状塗膜を被塗物等の表面に形成し、
当該塗膜が流動状態にあるうちに目的とする部分の磁性
材料に磁石を作用させることにより模様を形成する方法
であって、流動性を有している塗膜に目的とする模様の
大きさや形状に磁石で磁力を作用させることによって塗
膜内全体に均一に分散している粉末状磁性材料のうち磁
力の作用を受けた部分の磁性材料のみの配向を他の部分
と異ならしめて模様を形成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような模様塗膜の
形成方法によって得られる模様塗膜の利点の1つは、ボ
カシ調の模様を形成することにより、深み感、奥行き
感、立体感のある模様を形成することができることであ
る。しかしながら、フィルム状のストライプテープ等の
ように薄手の被塗物の表面に模様塗膜を形成すると、被
塗物の裏面に磁石を配置して裏面から磁力を作用させて
も、被塗物表面に発生する磁力が強くなり過ぎて、境界
のボケが発生せずに、奥行き感や立体感のある模様が形
成されないということが判明した。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、被塗物表面に作用する磁力
を調整することにより、所望の品質の模様を被塗物表面
に形成し得るようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、非磁性材料により構成された被塗物の表面
に模様塗膜を形成する方法であって、裏面に磁石が配置
された非磁性材料からなるスペーサの表面に前記被塗物
の裏面を接触させて、前記被塗物を前記スペーサに載置
するセット工程と、粉末状磁性材料を含有する塗料を前
記被塗物の表面に塗布する塗布工程と、塗料が塗布され
た後に所定の時間間隔をおいて前記磁石を前記スペーサ
と共に被塗物から取り外す取り外し工程と、塗料の乾燥
工程とを有することを特徴とする模様塗膜の形成方法で
ある。
【0007】
【作用】上記構成の本発明においては、スペーサを介し
て磁石が配置された非磁性の被塗物に対して、磁性材料
を含有する塗料が塗布されることになる。したがって、
被塗物表面に作用する磁力はスペーサの厚みを調整する
ことによって任意に変化させることができ、薄手の被塗
物の塗膜に深み感や奥行き感のある模様を形成すること
ができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の一実施例を示す工程図であり、
図2は同実施例の第1工程におけるワークを示す断面図
である。図2に示されるように、本実施例に係る被塗物
Wは、その表面Waに模様塗膜を形成するための基材で
あって非磁性材料により構成されている。具体的な材質
や形状などは特に限定されることなく、プラスチックや
アルミニウム等を用いることができると共に、自動車部
品を初めとして種々の製品に適用される。自動車用部品
としては種々の部品を上げることができるが、ストライ
プテープ等のように、薄手のものに対して有用である。
これらの被塗物Wは必要に応じて前処理、下塗り塗装、
中塗り塗装を行っても良い。
【0009】被塗物Wは、図2に示されるように、スペ
ーサ11の表面11aに載置されるようになっており、
このスペーサ11の裏面11bには予め磁石12が配置
されている。磁石12はスペーサ11の裏面11bに接
着剤等により予め接合するようにしても良く、図示しな
い支持台の上に磁石12を載置した後に、磁石12の上
に更にスペーサ11を載置するようにしても良い。磁石
12は可撓性を有する永久磁石であって、例えばマグネ
ットラバー(ニトリルゴムを基材としたフェライト磁
石)等を用いることが好ましい。特に、被塗物Wの形状
が湾曲しており複雑である場合には、所定の形状に予め
形成しておくことも可能である。磁石の形状は目的とな
る模様の輪郭に対応して種々に形成され、例えば、
「N」という文字を塗膜に描きたい場合には、板状の磁
石12を用いると良い。スペーサ11の厚みは、被塗物
Wの厚みに応じて種々に設定することが可能であるが、
図示する場合には、フィルム状の被塗物Wよりも厚手の
スペーサ11を使用した。
【0010】本実施例に係る塗料は、ベース塗料とクリ
ア塗料とをウェットオンウェットにて塗装する2コート
1ベーク型塗料である。ただし、1コート1ベーク型塗
料を使用しても良い。2コート1ベーク型塗料とした場
合におけるベース塗料は、ビヒクル成分と溶剤とを主成
分とする塗料中に粉末状磁性材料を混入した液状塗料で
あって、必要に応じて着色顔料、染料、アルミニウム
粉、パール状顔料、雲母等を配合することができる。ビ
ヒクル成分としては通常の塗料用樹脂を用いることがで
き、常温で乾燥もしくは反応硬化する樹脂や、加熱して
硬化もしくは溶融する樹脂などが挙げられる。具体的に
は、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂、ビニル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂などが好ましい。また、溶剤として
は有機溶剤や水が挙げられる。塗料の形態としては、有
機溶剤型、非水ディスパージョン型、水溶液型、エマル
ジョン型などの液状が挙げられる。
【0011】粉末状磁性材料は、磁力により配向が変化
する粉末であって、例えば、ニッケル、鉄含有率の高い
ステンレス、鉄などの粉末が好ましい。磁性材料の形状
は、鱗片状、薄板状、粒状など何れでも良く、一方、磁
性材料の大きさは長手方向もしくは直径が1〜50μ
m、好ましくは20〜30μmである。この粉末状磁性
材料の配合比は、前述したビヒクル成分100重量部
(固形分)に対して1〜30重量部、特に10〜20重
量部が好ましい。
【0012】本実施例に係るクリヤ塗料は、ビヒクル成
分と溶剤とを主成分とする塗料中に粉末状磁性材料を混
入した液状塗料であって、ビヒクル成分としては通常の
塗料用樹脂を用いることができ、常温で乾燥もしくは反
応硬化する樹脂や、加熱して硬化もしくは溶融する樹脂
などが挙げられる。具体的には、アルキド樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹
脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが
好ましく、前述したベース塗料のビヒクル成分と同一の
樹脂を用いることがさらに好ましい。また、溶剤として
は有機溶剤や水が挙げられる。塗料の形態としては、有
機溶剤型、非水ディスパージョン型、水溶液型、エマル
ジョン型などの液状が挙げられる。
【0013】次に本実施例の模様塗膜の形成方法につい
て説明する。図2に示すように、磁石12をスペーサ1
1の裏面11bに配置しておき、被塗物Wは、これの裏
面Wbをスペーサ11の表面11aに接触させて載置す
ることによりスペーサ11にセットされる。被塗物W
は、必要に応じて前処理、下塗り塗装、中塗り塗装等を
施しておく。
【0014】このように、スペーサ11を介して被塗物
Wの裏面に磁石12を配置した状態のもとで、粉末状磁
性材料13が含有されたベース塗料14を、被塗物Wの
表面Waつまり塗布面に乾燥膜厚で15〜35μmとな
るように塗布する。このとき、図3に示すように、磁石
12から発せられた磁力がベース塗料14中の粉末状磁
性材料13に作用し、この粉末状磁性材料13が流動性
を有するベース塗料14中で配向を開始する。ベース塗
料14を塗布した後に、所定の間隔(3〜5分程度が好
ましい)をおいて、このベース塗料14上にクリヤ塗料
15を乾燥膜厚が15〜35μmとなるように塗布す
る。このクリヤ塗料15を塗布している間も磁石12か
ら粉末状磁性材料13に磁力が作用しており、図4に示
すように、粉末状磁性材料13の配向は進行を続ける。
通常、ベース塗料14に含まれる溶剤はウェットオンウ
ェットで塗布されるクリヤ塗料15との相溶性や塗装ブ
ース等の設備条件等の制約によりソリッド塗料やクリヤ
塗料に用いられる溶剤に比べ沸点が低く、速乾性の溶剤
が用いられている。したがって、ベース塗料14を塗布
してからクリヤ塗料15を塗布するまでの間にベース塗
料14の塗膜粘度は上昇し、これにより粉末状磁性材料
13の配向は一時抑制されることとなるが、本実施例に
あっては、クリヤ塗料15を塗布している間も磁石12
を配置させているために、クリヤ塗料15に含まれる溶
剤がベース塗料14中に浸透して、一旦ベース塗料14
の塗膜粘度を低下させ、これにより再び粉末状磁性材料
13の配向は促進されることとなる。クリヤ塗料15を
塗布した後、一定時間経過後(例えば5分)に被塗物W
の裏面Wbに配置されたスペーサ11を磁石12と共に
取り外す。そして、被塗物Wを熱風乾燥炉等に搬送し、
ベース塗料14およびクリヤ塗料15を所定の乾燥条件
で焼き付ける。
【0015】粉末状磁性材料13の配向作用は以下のよ
うに生じる。すなわち、図4に示すように、磁力が作用
していないか、あるいは磁力の作用が比較的弱い部位に
ついては、磁石12を取り付けずに塗装した場合と同様
に、粉末状磁性材料13はベース塗料14中でランダム
に配列する。これに対して、磁石12が取り付けられて
磁力が作用している部位についてはこの磁力線に沿って
粉末状磁性材料13が配向する。特に、磁石12の周辺
部12aは磁力が強いことから、この周辺部12aの近
傍に粉末状磁性材料13が吸引されて粉末の密度が高く
なる。一方、磁石12の中央部12bは磁力線が塗膜に
対してほぼ垂直に作用するため、粉末状磁性材料13が
直立することとなる。したがって、形成された模様塗膜
を観察すると、磁石12の周辺部12aに沿って粉末状
磁性材料13が高密度となり、この部分は磁性材料の色
彩が強くなる。また、磁石12の中央部12bは磁性材
料13が直立しているために反射光が弱くなって黒っぽ
い色彩となる。図5に示すような磁石12を用いて形成
された模様で説明すれば、図6に示すように、「N」の
文字の周縁部16はその周囲17の色彩に比べて白っぽ
く見え、「N」の文字の中央部18は周囲17の色彩に
比べて黒っぽく見える。また、このような色彩のコント
ラストによって「N」の文字の周縁部16はあたかも壁
が形成されているように観察され、これにより「N」の
文字全体が立体的に浮き出て見える。
【0016】図7は本発明の模様塗膜形成方法により得
られる塗膜模様の概略を示す図であり、非磁性材料のス
ペーサ11を介して被塗物Wに磁石12が配置されてい
るので、塗膜に作用する磁力の強弱が調整され、磁石1
2の周辺部に対応した境界部16aがボケることにな
り、模様に深み感、奥行き感、立体感が現われる。
【0017】図8はスペーサ11を介することなく、直
接被塗物Wの裏面に磁石12を配置した場合における模
様の形成状態を示す図であり、磁石12の周辺部に対応
した境界部16bは磁性材料13が集中して深み感が得
られない。比較例を示す図8と本願発明の模様塗膜の形
成方法を示す図7との比較から明らかなように、スペー
サ11を用いて被塗物Wと磁石12との間隔を調整する
ことによって、境界部16aの部分がボヤけて深み感の
ある模様が形成されることになった。
【0018】しかも、本実施例の模様塗膜の形成方法
は、ベース塗料14の塗膜粘度の変化と磁力の作用時間
とを一定に維持するように構成しているため、季節変動
によってベース塗料14の溶剤種類や塗装条件が変化し
ても、粉末磁性材料13の配向作用を一定状態に維持す
ることができ、模様塗膜の輪郭や色彩等を一定品質に維
持することができる。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、非磁
性材料からなるスヘーサを介して被塗物の背面側に磁石
を配置するようにしたので、被塗物表面に作用する磁力
の強弱を調整することが可能となり、薄手の被塗物に対
しても、深み感、奥行き感、立体感を持った模様を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の一実施例を示す工程図である。
【図2】はスペーサを介して被塗物に磁石を配置した状
態を示す断面図、
【図3】は図2に示された被塗物の表面にベース塗料を
塗布した状態を示す断面図、
【図4】は図3に示されたベース塗料の表面にクリア塗
料を塗布した状態を示す断面図、
【図5】は磁石の一例を示す正面図、
【図6】は図5に示された磁石を用いて形成された塗膜
を示す正面図、
【図7】は塗膜の形成状況を示す斜視図、
【図8】は比較例における塗膜の形成状況を示す斜視図
である。
【符号の説明】
W…被塗物、 11…スペーサ、11
a…スペーサの表面、 11b…スペーサの裏面、
12…磁石、 13…粉末状磁性材
料、14…ベース塗料、 15…クリヤ塗
料。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性材料により構成された被塗物の表
    面に模様塗膜を形成する方法であって、 裏面に磁石が配置された非磁性材料からなるスペーサの
    表面に前記被塗物の裏面を接触させて、前記被塗物を前
    記スペーサに載置するセット工程と、 粉末状磁性材料を含有する塗料を前記被塗物の表面に塗
    布する塗布工程と、 塗料が塗布された後に所定の時間間隔をおいて前記磁石
    を前記スペーサと共に被塗物から取り外す取り外し工程
    と、 塗料の乾燥工程とを有することを特徴とする模様塗膜の
    形成方法。
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