JPH0532485A - 薄膜作成方法 - Google Patents

薄膜作成方法

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JPH0532485A
JPH0532485A JP3268924A JP26892491A JPH0532485A JP H0532485 A JPH0532485 A JP H0532485A JP 3268924 A JP3268924 A JP 3268924A JP 26892491 A JP26892491 A JP 26892491A JP H0532485 A JPH0532485 A JP H0532485A
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vacuum container
thin film
gas
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賢一 明田川
Sumio Sakai
純朗 酒井
Toru Tatsumi
徹 辰巳
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少なくとも二種の材質で表面が構成された基
板を真空容器内に収容し、少なくとも二種の材質の一つ
の材質に対して付着係数が低い分子を含む反応ガスを真
空容器内へ供給して、基板の他の材質の表面に選択成長
を行わせる薄膜作製方法である。 【構成】 反応ガスを供給した真空容器内の圧力を、反
応ガスの分子の平均自由行程(d)が、真空容器内の基
板と真空容器の真空側露出壁との間の最短距離(L)よ
りも長くなる(d>L)圧力領域に設定する。真空容器
内へ供給した反応ガスの総量が、該反応ガスに対して付
着係数が低い材質の表面で、薄膜を発生するだけの量に
達するまでに、反応ガスの供給を停止する。換言すれ
ば、基板に衝突する反応ガス分子の総量が、付着係数の
低い材質の表面で、薄膜を発生するだけの量に達するま
でに、供給を停止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、反応ガスの分子に対
して付着係数の低い材料でパターニングした基板に、選
択エピタキシャル成長を行い、前記パターニングで形成
された開口部のみに所望の薄膜を成長させる薄膜作成方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、反応ガスを用いて選択成長を行う
薄膜作成方法には、(1) パターニングで形成した膜(基
板に、酸化処理、拡散処理、レジスト処理、エッチング
処理、薄膜形成処理などを行う半導体デバイスの製造過
程中において、基板上に形成された膜を言う)に付着し
た薄膜に対して選択エッチングを同時に行って、結果と
してパターニングで形成された開口部のみに所望の薄膜
を成長させる方法、(2) 反応ガスの供給速度を遅くして
行う方法、(3) 基板の温度を低くして行う方法、などが
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来方法において、(1) の選択エッチングを同時に行う場
合は基板温度を高温にする必要があった。
【0004】例えば、Si基板にSi膜の選択成長を行う場
合には、Siをエッチングするガス(例えば、SiCl2 H 2
やHCl + SiH4 等)を組合せた反応ガスを用いて行われ
ていた。酸化膜上に形成されるポリシリコン膜をエッチ
ングしながらSi基板上にSi膜を成長させようとするもの
である。しかし、この方法ではポリシリコン膜のエッチ
ングを行わせるために、基板温度を高温にする必要があ
ると考えられる。また、ポリシリコンのエッチングと同
時にSi基板上のSiの成長も阻害されるので、Si膜の十分
な成長速度を得るためにも基板温度を高温にする必要が
あると考えられる。
【0005】Yew et al.の研究によれば(J. Appl. Phy
s. 65 (6), 15 march 1989, P2500-2507, "Selective s
ilicon epitaxial growth at 800 oC by ultralow-pres
surechemical vapor deposition using SiH4and SiH4
/ H2 " )、基板の温度は800℃くらい必要と報告され
ている。
【0006】このため、基板内に熱拡散法等により形成
した構造を、高温で破壊するおそれがある。
【0007】また、(3) の基板の温度を低くする方法で
は Hirayama et al.の研究報告がある。(Appl. Phys.
Lett. 52 (26), 27 June 1988, P2242-P2243, "Selecti
ve growth condition in disilane gas source silicon
melecular beam epitaxy")。この研究報告によれば、
基板温度を低くして選択成長を行おうとした場合、反応
ガスの供給速度を抑える必要があると報告されている。
しかし、この場合、高速選択成長が不可能で、半導体デ
バイスの製造に不向きと考えられてきた。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は以上のような
問題点に鑑みてなされたもので、基板温度を低く設定し
(例えば 800℃以下)、かつ高速の選択成長が可能な薄
膜作成方法を提供することを目的としている。
【0009】上記の目的を達成するために、この発明
は、反応ガスに対し基板の材質より付着係数の低い材料
を基板表面上に形成(以下「パターニング」という)し
た基板上に次の条件を守り、薄膜作成することを特徴と
している。その条件は、(1) 真空容器内の圧力を反応ガ
スが実質上、気相反応が起こらない低い圧力領域にし、
かつ、(2) 付着係数の低い材料上における反応ガスの表
面分子濃度が核形成が起きる表面分子濃度以下として、
薄膜作成を行う。
【0010】実際には、基板表面分子濃度を知り得るこ
とは容易ではない。しかし、後述するように、発明者等
は核形成が発生するかどうかが、供給した反応ガスの総
量で決定されることを見出した。そこで、この発明で
は、「付着係数の低い材料上における反応ガスの表面分
子濃度が核形成が起きる表面分子濃度以下とする」条件
を、「供給した反応ガスの総量が、付着係数の低い材料
上で核形成が起きる反応ガスの総量以下」とすることに
よって、満たすようにした。
【0011】反応ガスの供給総量を制御することは、一
定の条件において有効である。薄膜成長装置のガスノズ
ルの噴出口の形状、噴出口から基板までの距離、真空容
器の大きさ等の条件が変われば、核形成が起きて選択成
長が崩れるまでの供給総量は変化する。
【0012】そこで、「付着係数の低い材料上における
反応ガスの表面分子濃度が核形成が起きる表面分子濃度
以下とする」条件を、「基板に飛来する反応ガス分子の
総量が、付着係数の低い材料上で核形成が起きる分子数
(すなわち、基板上に衝突する分子数)以下」とするこ
とで普遍的な条件とすることができる。基板に飛来する
反応ガス分子の数量が、前記の条件を満足していれば、
薄膜成長装置の物理的な条件が変化しても、選択成長を
行うことが可能である。
【0013】気相反応が実質上、起らない圧力領域と
は、反応ガスの分子が、真空容器内で、互いに衝突する
前に、真空容器の内壁(真空側露出壁)或いは基板に衝
突する確率がきわめて大きくなるような圧力領域を意味
する。このような圧力領域においては、反応ガスの分子
間の衝突確率よりも、基板または内壁との衝突確率が大
きいため、分子間で熱を授受する確率が小さく、分子は
もっぱら基板または内壁との間で熱を授受することにな
る。分子間で熱を授受する確率が小さいということは、
気相中での熱伝導が非常に小さいことを意味する。この
ような条件においては、基板または内壁から、分子が熱
分解反応を生じる程度の熱エネルギーを受けたとして
も、気相中での熱伝導が小さいために、気相中全体で熱
分解反応が起きることはない。つまり、真空容器内の空
間においては、気相反応は実質上起らない。ここで、真
空容器の内壁の温度を、反応ガスの分子が熱分解反応を
起さないような温度に設定すれば、もっぱら基板表面上
でしか、反応ガスの熱分解反応は起らない。この結果、
基板表面上のみで反応ガスの熱分解反応による膜を生成
させることができる。気相反応が実質上起らない圧力領
域にするためには、反応ガスの分子の平均自由行程(me
an free path)を、基板と内壁の間の最短距離よりも長
くなるように、真空容器の圧力を設定するのが最適であ
る。即ち、反応ガスの分子の平均自由行程をd、基板と
内壁の間の最短距離をLとして数4の式を満たすように
する。
【0014】
【数4】
【0015】このように条件設定することによって、気
相中で反応ガスが熱分解反応を起すことが無くなる。つ
まり、基板に衝突して熱を受け取った分子が、基板から
飛び出したとしても、分子の平均自由行程が、基板と内
壁の間の最短距離よりも長いので、分子相互が衝突する
確率は小さく、分子が内壁と衝突する確率が大きいから
である。
【0016】反応ガスの分子相互が真空容器内で衝突し
ないようにするために、更に、ガスノズルと基板の距離
も、反応ガスの分子の平均自由行程よりも短くなるよう
に設定してもよい。ガスノズルと基板の距離をこのよう
に設定すると、ガスノズルから供給された反応ガスの分
子(一次分子)が分子間で衝突することなく、直接基板
へ到達する確率を大きくできるからである。
【0017】ここでは、熱分解反応の可能な熱エネルギ
ーを与えられた分子との衝突確率について考慮すれば良
いので、ガスノズルから供給されて、熱分解反応の熱エ
ネルギーが未だ与えられていない分子相互の衝突は考慮
する必要は無い。従って、d>Lの条件が満たされてい
れば十分である。
【0018】
【作用】基板と、反応ガスの付着係数が基板に比べて低
い材料に対して同じ供給速度で反応ガスを供給した場
合、基板に比べ、前記付着係数が低い材料上に核形成が
始まる時間は多く必要である。これは核形成が始まる表
面分子濃度に至るまでに供給する分子の総量が基板に比
べてより多く必要であるためである。この付着係数が低
い材料上で核形成が始まる条件は表面分子濃度のみであ
る。従って、この発明によれば、核形成が始まる臨界供
給量以下で成長を終了するので、基板に対する選択的な
結晶成長が、低い基板温度で、かつ速い成長速度で可能
となる。
【0019】一般的に、表面分子濃度とは、核の前駆体
(プレカーサー)として1ないしは2原子が会合した集
合体(または臨界核)が基板の単位面積上に存在する個
数とされている。
【0020】
【実施例】以下、この発明を反応ガスにジシラン(Si2
H 6 )ガスを用いたシリコンガスソースエピタキシーに
実施した例について説明する。
【0021】図1は実施例に用いた装置の概略の構成を
示したものである。なお、この図は、この発明が理解で
きる程度に各構成要素の大きさ、形状、および、配置関
係を概略的に示しているにすぎない。真空容器1にガス
ノズル2が設置してあると共に、真空容器1の内側に沿
って液体窒素シュラウド3が設置してあり、液体窒素シ
ュラウド3で囲まれた空間の上部に基板ホルダー4が設
置され、該基板ホルダー4に対向させて加熱装置5が設
置してある。
【0022】前記真空容器1は下部に連設されたターボ
分子ポンプ(1000l/sec )6および補助ロータリーポ
ンプ7で真空に排気できるようになっており、真空容器
1内の圧力を側壁に設置したヌードイオンゲージ8を介
して測定できるようになっている。ヌードイオンゲージ
8は成膜中には点灯しない。また、前記基板ホルダー4
に保持した基板9の表面観察のために、電子銃10とス
クリーン11で構成されるRHEED装置(反射高速電
子線回析)が設置してある。
【0023】一方、前記ガスノズル2には三方弁12を
介設したガス導入系13が接続してある。ガス導入系1
3はマスフローコントローラ14、バルブ15、16、
レギュレータ17でライン構成してあるもので、レギュ
レータ17がガスボンベ(ジシランガスボンベ)18に
接続してある。前記三方弁12の一方には、ターボ分子
ポンプ19と補助ロータリーポンプ20で構成した排気
系が接続してあり、ガス導入系13の配管内を排気でき
るようになっている。
【0024】上記の如くの構成の真空容器1の到達圧力
は、1.0 ×10-9 Torr 以下であった。本実施例では液体
窒素シュラウド3を用いて散乱分子を吸着し、基板に至
る分子はガスノズル2から直接飛来した分子のみとな
る。また、基板に至る分子総量を供給したガスの総量で
把握した。さらに、液体窒素シュラウド3の冷媒を水に
して水冷シュラウドとした場合でも(特願平2−253
002号)、水冷シュラウドで散乱した分子が基板に飛
来したとしても、基板に飛来する分子の総量は供給した
ガスの総量で把握できる。
【0025】Si2 H 6 ガスはガスライン13に設置され
たマスフローコントローラ14により流量を制御され、
ガスノズル2を通して基板9に供給される。ガスは三方
弁12により切り替えられ、ガスを基板に照射しない時
は配管排気用ターボ分子ポンプ19により排気する。
【0026】ここで、Si2 H 6 ガスを導入し、真空容器
1内の圧力を1.5 ×10-3 Torr とした時に、前記d>L
の条件を満足するか否か検討する。装置の基板9と液体
窒素シュラウド3との最短距離Lは40 mm であった。
【0027】分子の平均自由行程d(m)は、数5の式
で求められる。
【0028】
【数5】
【0029】Tは気体の温度(K )、Pは圧力(Pa)、
Dは分子の直径(m)である。
【0030】そこで、数6の式を用いてSi2 H 6 ガス分
子の平均自由行程を求めてみる。Si2 H 6 ガス分子の直
径Dを求めるに当って、図2の分子構造モデルを用い
た。このモデルにおいて、Si原子間の距離は2.34オング
ストローム、Si原子とH 原子間の距離は1.480 オングス
トロームである。また、Si原子と3つのH 原子で構成さ
れた三角錐体の頂角(図中θ)は110.2 °である。した
がって、前記三角錐体の高さを計算で求めると、0.475
オングストロームとなる。
【0031】Si2 H 6 分子の直径Dは、(Si原子間距
離)+2(三角錐体の高さ)で求められ、D=3.29オン
グストロームすなわち3.29×10-10 mである。
【0032】この直径Dの値と、T=298 K (常温を25
℃とした)、P=1.5 ×10-3 Torr=0.1995 Pa を数7
の式に代入する。この結果、Si2 H 6 ガス分子の平均自
由行程は、 d = 42.9 ×10-3m= 42.9 mm となる。
【0033】L = 40 mmであったので、d>Lの条件を
満たしていると言える。従って、真空容器1内の圧力が
1.5 ×10-3 Torr 以下であれば、気相反応が実質上、起
らない圧力領域に設定したことになる。
【0034】通常、反応ガスの分子の大きさ(直径D)
は数オングストロームであり、また、基板と真空容器の
真空側露出壁の最短距離は数cmの程度に構成されるのが
一般的である。そのため、真空容器1内の圧力は1 ×10
-3 Torr 以下に設定すれば、気相反応が起らない条件を
達成することが可能である。
【0035】反応ガスが混合ガスであっても、全体が1
×10-3 Torr またはそれ以下であれば、それぞれのガス
の分子の平均自由行程が数cm以上となる。
【0036】以上のことは、反応ガスの分子と基板、内
壁および分子間との衝突確率を考慮したものである。し
かしながら、巨視的観点から、気相状態の熱伝導が非常
に小さければ、気相全体に均一に熱が伝搬されない。つ
まり、実質的な気相反応は起きないことを意味する。
【0037】実際に、発明者等は前記の装置で、Si2 H
6 ガスを導入した真空容器の圧力を1.5 ×10-2 Torr 程
度としても、気相反応で起因すると考えられる、後述の
選択性が低下する現象は観察されなかった。
【0038】このことは、反応ガスであるSi2 H 6 ガス
の分子の熱伝導が1.5 ×10-2 Torr程度でも十分に小さ
かったためと考えられる。つまり、熱エネルギーが与え
られた分子との衝突確率がある程度大きくなったとして
も、熱伝導によって、気相状態の反応ガスの全体に熱が
均一に分布しなければ、実質的な気相反応は起らないも
のと考えられる。
【0039】真空容器1内の圧力を、反応ガスの気相反
応が実質上起らない圧力領域とすることは、基板に対し
て選択成長を行う上で重要である。
【0040】Si2 H 6 ガスをソースガスとして用い、Si
と SiO2 の間で選択成長を行う場合、基板に到達する前
に十分に分解反応してしまった反応ガス(pre-cracked
source-gas)では、選択成長はほとんど起らないと考え
られるからである。このことは次のような事実から類推
される。a. 固体Siの蒸着では、基板上で選択成長は起
らない如く、完全なSiは選択成長しない。b.真空容器
の真空側露出壁が高温の装置を用いると、選択成長膜が
薄い。例えば Recannelli et al.の報告(Appl. Phys.
Lett. 58 (19), 13 May 1991, P2096-P2098, "Low-temp
erature selective epitaxyby ultrahighvacuum chemic
alvapor deposition from SiH4 and GeH4 /H2 " )が
ある。これは反応ガスが高温の真空側露出壁である程度
分解したため、選択性が低下したものと考えられる。即
ち、気相中で反応ガスが分解反応により、生成物が気相
中で生じ、これが基板上に蒸着するようになるからだと
考えられる。つまり、Si2 H 6 の分解反応により、気相
中でSi原子ないしは、より選択性の悪い分子(Six H
y )が生成してこれが蒸着すると考えられる。
【0041】選択成長を行うに際し、基板9は 4インチ
( 001)基板にCVD法によりSiO2膜を形成し、この S
iO2 膜にパターニングしたものを使用し、セッティング
前にアンモニア過水溶液( H2 O: H2 O 2: NH3 OH=2
0:6:1)で沸騰洗浄し、その後基板ホルダー4にセ
ットした。真空容器1内で加熱装置5を用いて850 ℃、
10分の加熱洗浄を行って、自然酸化膜を除去した後、種
々の基板温度で選択エピタキシャル成長を行った。 SiO
2 膜とSi膜(基板)では、 SiO2 膜のSiに対する付着係
数が低いと考えられている。選択成長に関する各種文献
から当業者に周知である。選択成長か否かはRHEED
装置のスクリーン11上の像により決めた。パターニン
グによって形成された酸化膜上にポリシリコンの核形成
が観られない場合、RHEED像は図3(a) の2 × 1+
ハローの状態で、この時の基板9の表面の走査型電子顕
微鏡(SEM)像は図3(b) の状態であった。これに対
して、酸化膜上にポリシリコンの核形成が観られる場
合、RHEED像が図4(a)の2 × 1+リングが観察さ
れ、この時の基板9の表面のSEM像は図4(b) の状態
であった。反応ガス(ジシランガス)を真空容器1に導
入した時の圧力は電子銃10のフィラメントを劣化させ
るため、RHEED観察は周期的に行った。成長速度は
選択成長後、フッ酸(HF)溶液によりパターニングによ
る酸化膜を除去し、基板中心部のエピタキシャル膜の膜
厚を段差法で測定し、算出した。
【0042】RHEED像を一定間隔の時間で観察し、
像の変化により選択成長が崩れる時間を調べた。その結
果、酸化膜上のポリシリコンの核形成が、ある潜伏期間
をおいて発生し、基板温度が600 ℃の時、潜伏時間と反
応ガス供給速度の積、即ち潜伏時間中の供給ガス量がガ
ス供給速度によらず一定であった。つまり、ポリシリコ
ンの核形成が発生するまでの供給ガス総量、即ちポリシ
リコンの核形成が始まる臨界供給量は、基板温度が一定
であれば、ガスの供給速度によらず一定となることが判
明した。
【0043】図5にポリシリコンの核形成が発生して選
択成長が崩れる臨界供給量の基板温度依存性を示す。こ
の臨界供給量の基板温度依存性に示すように、基板温度
650℃以下では臨界供給量が基板温度によってのみ変化
し、反応ガスの供給速度によらないこと、更に、臨界供
給量は基板温度の上昇と共に減少することがわかる。一
方、基板温度750 ℃以上では臨界供給量は基板温度とガ
スの供給速度に依存して変化し、それぞれ基板温度と共
に増加し、供給速度の増加と共に減少することが明らか
になった。
【0044】低温領域(650 ℃以下)における反応ガス
の臨界供給量の存在は、酸化膜上のポリシリコンの核形
成メカニズムが、酸化膜表面の分子密度がある量を越え
た結果、核形成が始まる従来のMBE(モレキュラービ
ームエピタキシー)法での三次元島状成長と同じメカニ
ズムであると考える。
【0045】このことは、次のようなモデル化した選択
成長のメカニズムから容易に知り得る。
【0046】まず、酸化膜( SiO2 )上のポリシリコン
膜とシリコン上のエピタキシャルシリコン膜は互いに影
響し合わないと考える。即ち、SiO2 上のポリシリコン
膜の形成は、基板全面が酸化膜の時のポリシリコン形成
のメカニズムで成長し、シリコン上のシリコン膜はエピ
タキシャル成長のメカニズムで成長し、この成長の差が
選択成長を起したと考える。
【0047】具体的には、酸化膜( SiO2 )上のポリシ
リコン膜は図6に示したような段階を経て、発生、成長
する。即ち、 (1) Si2 H 6 分子が酸化膜上に飛来する。
【0048】(2) Si2 H 6 分子の大部分は反射される
が、一部は酸化膜上に付着し、熱分解する。
【0049】(3) 熱分解で生成した核の前駆体が酸化膜
上に滞在し、前駆体の量が次第に増加する。
【0050】(4) 前駆体の量がポリシリコン膜の核形成
を始める臨界量を超えた時に、酸化膜上にポリシリコン
膜が発生し、成長する。この時点で選択成長は崩れてし
まう。
【0051】Si2 H 6 分子が分解してから、Siとなるま
では、実際には複雑な過程が存在していると考えられ
る。しかし、最後には前駆体(Si原子もしくはSiにいく
つかのH が付いた形と考えられる)の数がある量(数原
子程度)以上になり、ポリシリコンを形成すると考えら
れる。
【0052】上記の(1) 〜(4) の段階が進む間に、パタ
ーニングされた基板のSi上では酸化膜上の反応とは独立
にSiのエピタキシャル成長が進行する。この差が選択成
長となって表われる。
【0053】この現象は次のように数式化することで容
易に理解できる。
【0054】数式化に当り、以下の前提または定義を行
う。
【0055】 基板温度: 一定 SiO2 上のSi2 H 6 分解効率(ここでは反射する分子は
分解しないものとする) :P Si2 H 6 フラックス量: F(個/
時間) 単位時間に SiO2 上に形成される前駆体の量:n(個) ここでは前駆体を、ポリシリコンを形成する最終的な形
の原子の意味で用い、Si原子とする。前駆体の量はSi2
H 6 を供給する限り増加し、減少することはない。これ
は、反応ガスの供給を停止してRHEEDの観察で実験
を行うような、間欠的なガスの供給を行っても、臨界供
給量(供給総量)が変わらないことから推定できる。
【0056】ポリシリコン膜の形成が開始するまでの前
駆体の臨界量: Qc(個) 実際に観察されるポリシリコン膜の形成が開始するまで
の前駆体の臨界量: qc(個) 単位時間にSiO として蒸発する分子の量:E(個/時
間) 単位時間に SiO2 上に形成される前駆体の量nを増加し
た時、SiO として蒸発する分子の量Eはnに比例して増
加する。しかし、nがある一定量を超えた時Eは反応律
速になる。つまり、nの増加速度に比べEは非常に小さ
く反応律速になり、一定値になっている。
【0057】さて、単位時間に SiO2 上に形成される前
駆体の量nは、数8の式で求められる。
【0058】
【数8】
【0059】これは、数9の反応式から理解できる。
【0060】
【数9】
【0061】ただし、この反応式のSiは膜を構成するSi
原子ではなく、前駆体となるSi原子と仮定する(図6の
段階)。
【0062】また、実際に観察される前駆体の臨界量q
cは、数10の式で表わされる。
【0063】
【数10】
【0064】そこで、SiO の蒸発が無い場合(低温領
域)、臨界量に達するまでの時間tは、 SiO2 上に形成
された前駆体が減少することはないので、数11の式で
表わされる。
【0065】
【数11】
【0066】つまり、数12の式で表わされる。
【0067】
【数12】
【0068】従って、数13の式により、実際に観測さ
れる臨界量qcは、数14の式で表わされる。
【0069】
【数14】
【0070】この結果、臨界量qcはSi2 H 6 のフラッ
クス量Fに依存しないことがわかる。但し、 SiO2 上の
前駆体は基板温度と共にマイグレーション長(分子の動
き回れる距離)が増加することや、Si2 H 6 の分解速度
(分解効率)が増加して、前駆体が多く形成されること
などから、他の分解分子と出会う確率が増加する。この
結果、ポリシリコンを形成する確率が増加するため、前
駆体の臨界量Qcは基板温度の上昇と共に少なくなると
考えられる。
【0071】次に、SiO の蒸発がある場合(高温領
域)、単位時間当りに生成する前駆体の量nは、数15
の式で表わされる反応により、SiO が蒸発するため、n
−E(個)となる。
【0072】
【数15】
【0073】臨界量に達するまでの時間は、数16の式
から、数17で表わされる。
【0074】
【数17】
【0075】従って、この場合の実際に観測される前駆
体の臨界量qcは数18の式で表わされる。
【0076】
【数18】
【0077】この場合は、反応ガスの供給速度に依存し
ていることがわかる。また、数19の式から、 (1) 観測される臨界量qcは、理論的な臨界量Qcより
多くなる。つまり、基板の温度が高温になると、臨界量
が増加することを示している。
【0078】(2) Si2 H 6のフラックス量Fが小さく、
2F×Pが蒸発分子量Eと等価になると、式の右辺は無
限大となり、逆にFが大きく、2F×Pが大きくなる
と、式の右辺は限りなくQcに近づく。つまり、反応ガ
スの流量依存性を示している。
【0079】図7に基板に選択成長させたエピタキシャ
ルシリコン膜の成長速度の基板温度依存性を示す。得ら
れた選択成長膜の膜厚を段差法で測定し、成長速度を求
めた。低温領域(650 ℃以下)でも数オングストローム
〜100 オングストローム/min の成長速度が得られるこ
とが認められた。また、図5で得られた反応ガスの臨界
供給量以下で成長を行うことで、全ての温度領域で選択
成長が可能であった。基板温度700 ℃、ガス流量 30 sc
cmで成長速度 640オングストローム/min で、膜厚1280
オングストロームのシリコン高速選択成長エピタキシャ
ル膜が得られた。
【0080】尚、液体窒素シュラウド3に代えて、シュ
ラウドの媒体を水とする水冷シュラウドとしても気相反
応が起らない条件を満足できる。このことは、同一発明
者の別出願(特願平2−253002号)において証明
されている通りである。水冷シュラウドとすれば、更に
成長速度が速くでき、エピタキシャル膜の膜厚を厚くす
ることができる。
【0081】尚、実施例はシリコン基板に対して選択エ
ピタキシャル成長を行った場合について説明したが、Ga
As基板など、他の基板に対しても実施できるのは言うま
でもない。基板の材質に従って反応ガスが決定され、ま
た、反応ガスに対して付着係数の低いパターニングの材
料も決定される。
【0082】図8は、Si3 N 4 膜でパターニングされた
Si基板上で選択成長を行った実施例の結果である。この
場合も、反応ガスとしてSi2 H 6 ガスを用い、Si基板上
にSiのエピタキシャル成長を行った。この場合、Si3 N
4 膜上でSiがSiO に変化して、蒸発してしまうことがな
い。そのため、基板温度700 ℃以上の高温においても、
選択成長を崩す臨界供給量はSi2 H 6 ガスの供給速度に
は依存しない。この図8から、もう一つ重要な結果を知
り得る。つまり、基板温度が高くなればなるほど、選択
成長を崩す臨界供給量が減少していることである。これ
は、Si2 H 6 の分解速度(分解効率)が増加して前駆体
が多く形成され、さらに前駆体としての原子が会合した
集合体(または臨界核)が、基板温度が高温となれば、
基板上で移動(マイグレーション)しやすくなるからと
考えられる。集合体(臨界核)が移動しやすくなれば、
他の集合体(臨界核)と出合い、合体する確率が増加す
る。集合体(臨界核)どうしが合体を始めれば、すぐに
膜形成が起こる。このため、基板温度が高くなれば、表
面分子濃度が小さくても十分に膜形成が始まることにな
る。それ故に、臨界供給量が少量でも、基板の温度が高
ければ、選択成長は崩れる。また、同じ温度における臨
界供給量が、Si3 N 4では SiO2 の場合に比べ約 1/10
である。これは、Si3 N 4 上でのSi2 H 6 分子の吸着点
(Site)の密度が SiO2 の場合に比べ10倍近く高いた
めと考えられる。
【0083】実際に形成したポリSiの膜を比較したのが
図9(a)(b)のSEM写真である。図において(a) が SiO
2 膜の場合、(b) がSi3 N 4 膜の場合である。基板温度
は 580℃とした。(a) と(b) の核密度は、明らかに異な
っている。
【0084】さらに、Si2 H 6 と GeH4 ガスを用いてSi
/Geの混晶を形成する場合も、同様の方法で選択成長が
できた。
【0085】また、選択W−CVDでも同様に臨界の供
給量が存在することがわかった。また、さらに、アモル
ファスSi上にSi2 H 6 を照射すると、ポリSi膜が形成さ
れることもわかった。この結果より、酸化膜とアモルフ
ァスSiとの間で同様の方法で選択的ポリSi膜の形成が可
能であることがわかった。さらにSi3 N 4 と SiO2 上で
選択的ポリSi膜の形成も可能である。
【0086】ここまでの説明では、薄膜の選択成長が行
なわれる薄膜成長装置を一定の構造、つまり図1に示し
たような構造で、ガスノズル2と基板9の距離、真空容
器1の大きさ、液体窒素シュラウド3の大きさなどの物
理的条件を一定として、選択成長が崩れるまでの、反応
ガスの臨界供給量を求めた。従って、実施例で使用した
薄膜成長装置と異なる装置を用いたときには、臨界供給
量は異なる値となる。
【0087】この方法を、さらに、基板9の表面に飛来
する反応ガス分子の総量に発展させて考えれば、薄膜成
長装置の物理的な条件に影響されない普遍性を与えるこ
とができる。
【0088】以下、基板9の表面に飛来する反応ガス分
子の総量で薄膜の選択成長を制御する方法について説明
する。
【0089】基板表面に衝突する反応ガス分子の量Γm
(g/cm2 ・sec )は、数20の式で表わすことができ
る。
【0090】
【数20】
【0091】式中、P(Torr)は反応ガスの圧力、T
(k)は反応ガスの温度、Mは反応ガスの分子量であ
る。
【0092】数21の式で求められる反応ガス分子の量
Γm (g/cm2 ・sec )を反応ガス分子の個数Γn (個/
cm2 ・sec )で表わすと、数22の式となる。
【0093】
【数22】
【0094】式中、NA は分子のアボガドロ数( 6.02
×1023個)である。
【0095】SiO2 膜上の臨界核が臨界量に達して、選
択成長が崩れるまでの時間がt cri(sec) とすると、核
形成が始まるまでに基板表面に飛来する反応ガス分子の
総量Γcri(個/cm2 )は、数23の式より、数24の
式で表わすことができる。
【0096】
【数24】
【0097】これが臨界分子総量である。
【0098】図10および図11は、シュラウドの媒体
を水として、選択成長を行なった時のデータである。図
10は、基板温度とSi2 H 6 ガスの臨界供給量の関係を
示すグラフであり、図11はSi2 H 6 ガスの流量と真空
容器1の圧力の関係を示すガラフである。
【0099】このデータに、数25の式をあてはめて、
選択成長が崩れる臨界分子総量Γ criを求めてみる。基
板温度TS = 680℃のとき、臨界供給量は約20 cc であ
った。Si2 H 6 ガスを 10 sccmの供給速度(v)で真空
容器に供給した時の圧力は約1.2 ×10-3 Torr であっ
た。
【0100】この場合、選択成長が崩れるまでの時間t
criは、数26の式で表わされる。
【0101】
【数26】
【0102】vは反応ガスの供給速度である。すなわ
ち、 t=20/10= 2 min= 120 sec である。Si2 H 6 ガスの分子量Mは62.22 である。温度
Tは25℃= 298 Kとする。数27の式に代入すると、数
28のようになる。
【0103】
【数28】
【0104】この臨界分子総量Γ criは、反応ガスの供
給速度に関係なく、一定である。例えば、反応ガスの供
給速度を5 sccmとすると、真空容器の圧力は図11か
ら、約6 ×10-4 Torr であり、t criは 240 secである
から、臨界分子総量Γ criは数17の式から数29の式
となり、同一の値となる。
【0105】
【数29】
【0106】同様に反応ガスの供給速度を1 sccmから10
sccm まで変化したとしても、臨界分子総量Γ criは約
3.7 ×1019〜約6 ×1019(個/cm2 )の値となった。こ
のような、ある程度の範囲をもつのは、マスフローコン
トローラの流量制御誤差や、圧力測定誤差によるものと
考えられる。
【0107】この選択成長が崩れる時点までの、臨界分
子総量Γ criは、薄膜成長装置の物理的条件に全く無関
係な値である。例えば、ガスノズル2の噴き出し口の形
状、基板との距離、シュラウドの温度、真空容器の形
状、大きさなどの物理的条件が挙げられる。これらの条
件の変更によっても、臨界分子総量Γ criは変化しな
い。もちろん、反応ガスの供給速度にも関係しない。臨
界分子総量Γ criを決定するのは、反応ガスの圧力、温
度および分子量などの物性値と、さらに、付着係数を決
定する基板の材質と温度である。
【0108】図10に示された各基板温度に対する臨界
衝突分子総量Γ criを求めて、表2に示した。
【0109】
【表2】
【0110】この臨界分子総量は反応ガスがSi2 H 6
スで、基板温度が680 ℃、630 ℃、580 ℃、530 ℃のと
きの固有な値を示すものである。したがって、その他の
条件がどのように変化しても、この臨界分子総量に達し
た時点で、選択成長は崩れていく。
【0111】このことは、前記の臨界供給量とは異なる
意味を持つ。つまり、臨界供給量の場合は、一定の条件
で同一の値となるものである。一定の条件とは、例え
ば、ガスノズルの噴出口の形状、基板とガスノズルの距
離および相対的位置関係、シュラウドの温度、真空容器
の大きさなどである。したがって、臨界供給量をある装
置で知り得たとしても、別の装置では異なった臨界供給
量となる。
【0112】シュラウドの温度を変えた場合を説明す
る。ひとつの装置ではシュラウドに液体窒素を循環さ
せ、別の装置では水を循環させた。水を循環させた装置
における臨界供給量は、液体窒素を循環させた装置にお
ける臨界供給量の約1/10であった。図5がシュラウド
に液体窒素を循環させた場合であり、図10が水を循環
させた場合である。水を循環させたシュラウドの表面で
は、衝突した反応ガス分子が散乱されるので、供給され
た反応ガス分子の大部分が基板上に飛来する。それに対
して、液体窒素を循環させたシュラウドの表面では、反
応ガス分子が吸着されてしまう。そのため基板上に飛来
する反応ガスの分子数は液体窒素シュラウドの方が少な
い。したがって、核形成が始まるまでの量、すなわち臨
界供給量に達するまでに、より多くの反応ガスを供給し
なければならない。
【0113】このように、シュラウドの温度変化によっ
て、反応ガスの臨界供給量が変化するが、その他の条件
の変化によっても臨界供給量は変化する。しかし、選択
成長を崩す臨界条件を基板に飛来する分子の数でとらえ
れば、薄膜成長装置の状態や内部構造に全く関係しなく
なる。このことは、ある装置で、ある基板に対してある
反応ガスの臨界分子総量を知り得れば、別の装置でも、
その臨界分子総量で選択成長を制御できることを意味し
ている。
【0114】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば、パターニングの材料とされた、反応ガスの分子に対
して付着係数の低い材料上で、反応ガスの分子による核
形成が開始する前に、選択エピタキシャル成長を終了す
るので、選択成長を確実に行える効果がある。また、基
板の温度を高温にすることなく、かつ成長速度を速くで
きるので、半導体デバイスの製造に適用でき、超高集積
度デバイスの製造に寄与する効果がある。
【0115】従来は、選択成長はガス流量が少ない場
合、もしくは基板温度が低い場合だけ可能と考えられて
いた(例えば、Hirayama et al., Appln. Phys. Lett.
52 (26), 27 June 1988, P2242-2243)。これに従う限
り、成長速度がガス流量と基板温度に依存する系では成
長速度を低く抑える必要がある。
【0116】これに対し、この発明は選択成長がガス流
量や、基板温度でなく、供給したガスの総量で決まるこ
と(選択性を崩す臨界の供給量の存在)を見出し、臨界
量に達するまでに成長を終了することとした。このた
め、臨界の供給量を守る限り、成長速度を左右するガス
流量や基板温度を変えることが可能であり、ガス流量や
基板温度を上げることで成長速度をいくらでも上げるこ
とができる。(Si2 H 6 ガスを用いたSiの選択成長では
表面からの水素脱離反応で律速される成長速度が存在す
るので、これ以上は増速できない。)つまり、基板温度
が一定ならば、選択成長の崩れる条件は、ガスの供給方
法によらず、供給した結果の総量で決定する。例えば、
図8から基板温度600℃のとき選択成長が崩れる臨界量
は約20 cc である。反応ガスの供給速度が 30 sccmであ
れば、40秒間流すと、選択成長が崩れる。同様に、15 s
ccm であれば80秒間で、さらに10 sccm であれば120 秒
間流せば選択成長が崩れる。また、10 sccm の供給速度
で10秒間の間隔をおいて10秒間ずっと流すのを12回繰り
返せば、選択成長が崩れる。このように間欠的にガスを
供給しても、その供給量の総量で選択成長の崩れる条件
が決定される。
【0117】このように、この発明の最大の特徴は、選
択成長の崩れる条件を反応ガスの総量で決定できること
にある。従って、反応ガスがその総量に達する前に供給
を停止すれば、常に選択成長が行える。つまり、反応ガ
スの総量で選択成長が制御できることである。この観点
から、膜形成が始まるまでの潜伏期間として選択成長を
制御すること(例えば、Murota et al., Applln. Phys.
Lett 54 (11), 13 March 1989, P1007-1009, "Low-tem
perature siliconselective deposition and epitaxy o
n silicon using the thermal decomposition of silan
e under ultraclean environment")とは、技術思想が全
く相違するものである。選択成長を制御する手段として
本発明は“ガス供給の総量”を、Murata etal. では
“潜伏期間”としているからである。
【0118】そこで、具体的に選択成長を行うには、い
くつかの方法があるといえる。ひとつには、成膜条件
(例えば、基板材質、温度、反応ガスの種類など)か
ら、あらかじめ臨界供給量を知っていれば、臨界供給量
に達するまでに反応ガスの供給を停止する。これによ
り、選択成長を行うものである。もうひとつは、全く臨
界供給量がわからなければ、あらかじめ適当な成膜条件
で成膜を行い、選択成長が崩れた時の反応ガス供給総量
を求めておく。その次の膜形成から、その求めた反応ガ
ス供給総量を臨界供給量として、選択成長条件とする。
それにより、選択成長を行うものである。
【0119】また、ある基板の材質と、ある反応ガスと
の関係で、臨界分子総量Γ criが既知である場合、数3
0、数31の式からある装置における臨界供給量Qcを
数32の式で求めることができる。
【0120】
【数32】
【0121】M、NA は定数であり、Tは常温と考えら
れる。したがって、ある装置で任意のvの供給速度での
圧力Pを求めておけば、臨界供給量Qcは求められる。
すなわち、あらかじめ、実際に成膜を行なって選択成長
が崩れる時の反応ガスの供給総量を求める必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に用いた装置の構成図であ
る。
【図2】Si2 H 6 ガスの分子構造モデルである。
【図3】この発明の実施例において、酸化膜上にポリシ
リコンの核形成が無い場合の写真で、(a) はRHEED
像の写真、(b) は表面のSEM像の写真である。
【図4】同じく実施例において、酸化膜上にポリシリコ
ンの核形成が起った場合の写真で、(a) はRHEED像
の写真、(b) は表面のSEM像の写真である。
【図5】この発明の実施例の選択成長を崩す臨界量の基
板温度依存性を示すグラフである。
【図6】酸化膜上で成長するポリシリコンの成長のメカ
ニズムをモデル化して示した図である。
【図7】エピタキシャルシリコン膜の成長速度の基板温
度依存性を示すグラフである。
【図8】Si3 N 4 膜でパターニングされたSi基板に選択
成長を行なった実施例の臨界量の基板温度依存性を示す
グラフである。
【図9】SiO2 膜およびSi3 N 4 膜表面に形成したポリS
i膜のSEM写真であり、(a)は SiO2 、(b) はSi3 N 4
に対するものである。
【図10】この発明の別の実施例の選択成長を崩す臨界
量の基板温度依存性を示すグラフである。
【図11】同じく別の実施例のSi2 H 6 ガスの流量と圧
力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 真空容器 2 ガスノズル 3 液体窒素シュラウド 4 基板ホルダー 5 加熱装置 6 ターボ分子ポンプ 7 補助ロータリーポンプ 8 ヌードイオンゲージ 9 基板 13 ガス導入系 14 マスフローコントローラ
【数6】
【数7】
【数13】
【数16】
【数19】
【数21】
【数23】
【数25】
【数27】
【数30】
【数31】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/205 7454−4M (72)発明者 辰巳 徹 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種の材質で表面が構成され
    た基板上に、少なくとも1種の材質の表面上のみで薄膜
    を作成する方法において、 (1) 基板を真空容器内に収容し、真空容器内を真空排気
    し所定の圧力に達した後、真空容器内に反応ガスを導入
    し、 (2) 反応ガスを供給した真空容器内の圧力を、反応ガス
    の分子の平均自由行程(d)が、真空容器内の基板と真
    空容器の真空側露出壁との間の最短距離(L)よりも長
    くなる(d>L)圧力領域に設定し、 (3) 基板表面を構成した少なくとも2種の材質の一方の
    材質上のみで薄膜を成長させ、真空容器内に導入された
    反応ガスの供給総量が、他方の材質上で薄膜が発生する
    だけの量に達するまでに、反応ガスの真空容器内への導
    入を停止することを特徴とする薄膜作成方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも2種の材質で表面が構成され
    た基板上に、少なくとも1種の材質の表面上のみで薄膜
    を作成する方法において、 (1) 基板を真空容器内に収容し、真空容器内を真空排気
    し所定の圧力に達した後、真空容器内に反応ガスを導入
    し、 (2) 反応ガスを供給した真空容器内の圧力を、反応ガス
    の分子の平均自由行程(d)が、真空容器内の基板と真
    空容器の真空側露出壁との間の最短距離(L)よりも長
    くなる(d>L)圧力領域に設定し、 (3) 基板表面を構成した少なくとも2種の材質の一方の
    材質上のみで薄膜を成長させ、基板に反応ガス分子が飛
    来する総量が、他方の材質上で薄膜が発生するだけの量
    に達するまでに、反応ガスの真空容器への導入を停止す
    ることを特徴とする薄膜作成方法。
  3. 【請求項3】 反応ガスを供給した真空容器内の圧力
    は、1.5 ×10-2 Torr以下に設定する請求項1又は2記
    載の薄膜作成方法。
  4. 【請求項4】 基板の表面を構成した少なくとも2種の
    材質は、反応ガスに対して付着係数がそれぞれ相違する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜作成方法。
  5. 【請求項5】 基板に反応ガス分子が飛来する総量Γ c
    riは、数1の式で求められることを特徴とする請求項2
    記載の薄膜作成方法: 【数1】 ここで、Tは反応ガスの温度、Mは反応ガス分子の分子
    量、NA はアボガドロ数、Pは反応ガスの圧力を示す。
    さらに、t criは圧力Pとしたときの反応ガスの供給速
    度vで、他方の材質上で薄膜が発生したときの反応ガス
    の供給総量Qcを割った値である、数2の式で求められ
    る値とする。 【数2】
  6. 【請求項6】 基板の表面は SiO2 とSiで構成され、反
    応ガスをSi2 H6 ガスとし、基板の温度と反応ガスの臨
    界分子総量の間で、表1の条件とした請求項2記載の薄
    膜作成方法。 【表1】
  7. 【請求項7】 ある装置で、反応ガスを供給した時の、
    反応ガスの供給速度(v)と真空容器内の圧力(P)を
    求めた後、これらの値を用いて臨界供給量Qcを次の数
    3を用いて計算で求め、この臨界供給量を、反応ガスの
    真空容器内への導入を停止すべき量とする請求項2記載
    の薄膜作成方法。 【数3】 Tは反応ガスの温度、Mは反応ガスの分子量 NA はアボガドロ数、Γ criは臨界分子総量
  8. 【請求項8】 少なくとも2種の材質で表面が構成され
    た基板上に、少なくとも1種の材質の表面上のみで薄膜
    を作成する方法において、 (1) 基板を真空容器内に収容し、真空容器内を真空排気
    し所定の圧力に達した後、真空容器内に反応ガスを導入
    し、 (2) 反応ガスを供給した真空容器内の圧力を、反応ガス
    の分子の平均自由行程(d)が、真空容器内の基板と真
    空容器の真空側露出壁との間の最短距離(L)よりも長
    くなる(d>L)圧力領域に設定し、 (3) 基板表面を構成した少なくとも2種の材質の一方の
    材質上のみで薄膜を成長させ、真空容器内に導入された
    反応ガスの供給総量が、他方の材質上で薄膜が発生する
    だけの量に達した時点の反応ガスの供給総量を測定し、
    以後の薄膜作成は、測定した反応ガスの供給総量に達す
    るまでに、反応ガスの真空容器内への導入を停止するこ
    とを特徴とする薄膜作成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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