JPH05322827A - 湿度センサ - Google Patents

湿度センサ

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JPH05322827A
JPH05322827A JP14990092A JP14990092A JPH05322827A JP H05322827 A JPH05322827 A JP H05322827A JP 14990092 A JP14990092 A JP 14990092A JP 14990092 A JP14990092 A JP 14990092A JP H05322827 A JPH05322827 A JP H05322827A
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thin
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄型で、幅広い温度領域において良好な湿度
検知を行うことができる湿度センサを提供する。 【構成】 緻密で電気的絶縁性の高い基板15の一方の面
上に、(a) 第一の薄膜状電極14a と、(b) アルカリ土類
金属元素の酸化物の少なくとも一種を主成分とする第一
の薄膜層12と、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元
素系、及び貴金属元素以外の金属の酸化物を主成分とす
る第二の薄膜層11とが積層してなる感湿薄膜13と、(c)
第二の薄膜状電極14b とがその順に積層されているとと
もに、基板15の他方の面上に、(d) 薄膜状ヒータ16が形
成されてなり、ヒータ16の作動により、常時200℃以
上の高温状態に保持され、雰囲気中の湿度の変化に応じ
て感湿薄膜13の抵抗値が変化する湿度センサ1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は湿度センサに関し、更に
詳しくは、幅広い温度範囲に対応できる薄型(小型)の
湿度センサに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、大気中の湿度や各種ガス中の水分を検知するのに多
種多様の方法が行われているが、最近では、各種家電機
器等に湿度検知手段を付与し、機器の制御をすることが
行われるようになってきており、個体素子型の湿度セン
サが広く使用されるようになってきた。この個体素子型
の湿度センサは、その検知原理から、抵抗変化(イン
ピーダンス変化)を利用するもの、容量変化を利用す
るもの、周波数変化を利用するもの、熱伝導変化を
利用するものや、超音波や赤外線等を利用するものに
分類されるが、それらの中では、抵抗変化型や容量変化
型のものが主として用いられている。
【0003】これら抵抗変化型や容量変化型の湿度セン
サをその構成材料から分類すると、高分子系センサ(高
分子膜を用いたセンサ)と金属酸化物系センサとに大別
される。高分子系センサは、抵抗変化型及び容量変化型
のいずれの場合においても雰囲気中の相対湿度を検知す
るものであり、その材料特性(用いる高分子膜の性質)
から0℃以下の低温雰囲気、及び50℃程度以上の高温雰
囲気の測定には適しない。0℃以下の低温雰囲気では結
氷する可能性があり、また50℃程度以上の高温雰囲気で
は高分子膜が変質する可能性があるからである。通常、
この種のセンサは非加熱方式であるが、高分子系センサ
においては、使用雰囲気中の粉塵、油煙等による素子表
面(高分子膜表面)のよごれにより出力の変動がみられ
やすく、長期安定性が悪い。したがって、高分子系セン
サの使用環境条件は自ずと制限される。
【0004】一方、金属酸化物系センサにおいては、抵
抗変化型及び容量変化型とも常温作動のものが広く用い
られているが、この種のセンサも、上述した高分子系セ
ンサと同様に使用環境温度に制約があり、また、使用雰
囲気中の粉塵、油煙等による素子表面のよごれにより出
力の変動がみられやすい欠点がある。そこで、その構成
材料(金属酸化物)の耐熱性を利用して、一時的に素子
を400 〜500 ℃に加熱して素子(金属酸化物)表面の汚
れを焼き飛ばしてしまういわゆるリフレッシュ機構を備
えたセンサも開発されている。
【0005】しかしながら、このリフレッシュ機構を作
動させて一時的に素子を加熱する(リフレッシングを行
う)と、リフレッシング及びリフレッシング後のしばら
くの間(再び初期安定レベルに復帰するまでの間)は湿
度センサとして機能できず、その間の湿度の検知は行え
ない。なお、金属酸化物系センサにおいては、金属酸化
物の低温における大きな吸湿能を利用し、水分の吸脱着
に伴う抵抗変化を測定して湿度を検知するように構成さ
れたものが広く利用されている。
【0006】以上述べた常温作動型のセンサ(リフレッ
シュ機構を備えたセンサも含む)における欠点(使用環
境温度の狭さや長期安定性の問題)を解決しようとした
ものとして、高温作動型の金属酸化物系センサが開発さ
れている。一般に、高温域での金属酸化物の湿度に対す
るインピーダンスの変化量は常温におけるそれよりは小
さくなるが、十分に湿度の変化を検知できる程度の変化
を示し、また、100 ℃以上の高温雰囲気中でも十分に湿
度の検知を行うことが可能である。このような高温作動
型の金属酸化物系センサにおいては、素子は常時数百℃
に加熱されているので特別なリフレッシングは必要な
く、素子表面は常に清浄な状態に保たれることになる。
したがって、検知レベルは長期間にわたって安定する。
【0007】高温作動型の抵抗変化型湿度センサには、
従来、ZrO2 、TiO2 、CaZrO3 等のセラミック粉体を
バインダー等とともに一旦ペーストにし、それをシート
状に成形、焼成して得られたセラミックシートをチップ
状に切断して得られた感湿体が用いられていた。そのよ
うな高温作動型の湿度センサの一例として、特開昭58−
138001号には図7に示す構成のセンサが開示されてい
る。図7に示す湿度センサ8は、金属酸化物のチップ基
板81(これが湿度の変化に伴って電気抵抗値を変化させ
るものであり、感湿体と呼ばれる)と、この基板81の両
面に形成された一対の多孔質の電極82、82と、これらの
電極に接続した白金等のリード線部84、84とを有する素
子の周りに、コイルヒータ83を配置してなる。なお、こ
の構造の湿度センサ8では、コイルヒータ83は感湿体に
接触しないように素子を取り巻くか、またはコイルヒー
タ83の表面に絶縁層を形成しておく必要がある。
【0008】図7に示す湿度センサ8では、間接的に素
子(感湿体)を加熱する構造となっているので、ヒータ
熱効率が悪い。また、素子(感湿体)を所望の作動温度
に加熱するためには比較的大きな電流を必要とし、消費
電力が大きくなる。したがって、この種の素子を機器に
組み込む場合には、容量の大きな高価な回路部品が必要
となる。
【0009】また、特開平1−158340号には、図8に示
すような湿度センサが開示されている。図8は湿度セン
サ9を一部破断して示しているが、この湿度センサ9
は、ヒータ92、電極94及び測温体93を1つの感湿体91内
に埋設した構造を有する。なお、湿度センサ9において
は、ヒータ92は、電極94に対向するもう一方の電極を兼
ねている。このような構造のセンサでは、ヒータ92は直
接的に感湿体91を加熱することになるので、熱効率は大
きくなる。なお、このような構造の湿度センサは、ヒー
タ92、測温体93、電極94をそれぞれ表面に形成した複数
のセラミックグリーンシートを重ね合わせ、これを焼成
することにより製造することができ、感湿体91に埋設さ
れたヒータ等への結線はスルーホール95を用いて行うこ
とができる。
【0010】図7及び図8に示すような従来の高温作動
型の湿度センサでは、ともに金属酸化物粉体から製造し
た成形体を焼成して感湿体としている。金属酸化物は、
組成及び不純物濃度にもよるが一般に高抵抗値を示す。
このため、この種の湿度センサにおいては、感湿体の厚
みが大きいほど抵抗値が上昇し、回路設計が難しくな
る。高温作動型の湿度センサの湿度感知は、基本的に感
湿体の抵抗値の変化によるものであるので、実際上は、
感湿体の抵抗値(インピーダンス)を1MΩ以下に設定
する必要があり、薄型の感湿体とするのが望ましい。
【0011】また、感湿体の厚みが大きい場合、以下の
ような不都合が生じやすい。すなわち、感湿体の表面層
部分は容易に雰囲気中の水分を吸収して抵抗変化を起こ
すが、一方、感湿体の内部(深部)には水分が到達しに
くく、もってほとんど抵抗変化を起こさない。このよう
な状態が生じると、素子抵抗(感湿体の抵抗)は徐々に
変化することになり、なかなか出力が一定しない。な
お、このような状態を回避するため、感湿体を多孔質に
形成して湿気を含む雰囲気ガスが感湿体の内部にまで容
易に到達するような工夫がなされている。
【0012】以上の観点から、感湿体自体を薄膜化する
ことが望ましいが、さらに近年では、電子回路の小型
化、電子デバイスの小型化が目指されており、高温作動
型の湿度センサにおいても小型化及び低消費電力型(低
電流型)のものが要求されるようになってきた。この観
点からも感湿体の薄膜化が望まれている。
【0013】ところで、一般に金属酸化物のシート状焼
結体を作製する場合、ドクターブレード法が用いられる
が、この方法によると、シートの厚みはいくら薄くして
も数10μm程度が限度であり、100 〜200 μm程度の焼
結体とするのが一般的である。この程度の厚みでは素子
の小型化(薄型化)は十分でない。なお、ドクターブレ
ード法で数10μm程度の焼結体を得たとしても、そのよ
うな薄型の焼結体ではその強度、寸法、ハンドリング等
に問題が生じることがあり、良好な素子を形成すること
は難しい。
【0014】さらに、以下のような問題も生じてくる。
すなわち、単に感湿体を薄膜化しただけでは素子の小型
化(薄型化)は達成できず、感湿体の両面に形成される
電極部も薄膜状に形成しなければならない。しかしなが
ら、Pt系の金属(合金)等でスパッタリング等により薄
膜状に電極を形成した場合、その電極の多孔度は、同種
の材料で焼結等により肉厚に形成した電極の多孔度より
もかなり小さくなる。したがって、従来の感湿体材料か
らなる薄膜状感湿体の両面に薄膜状の電極を形成してな
る素子では、薄膜電極を通して感湿体に到達する水分の
量がずっと少なくなり、素子の感度はかなり小さくな
る。
【0015】したがって本発明の目的は、薄型で、幅広
い温度領域において良好な湿度検知を行うことができる
湿度センサを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、湿度の変化に伴って電気抵抗値に
変化を生じる金属酸化物からなる層と、アルカリ土類元
素の酸化物からなる層とを積層して薄型の湿度感知膜
(感湿薄膜)とし、この感湿薄膜の両面に薄膜電極を形
成してなる素子部を、緻密で電気的絶縁性の高い基板の
一方の面上に形成するとともに、この基板の他方の面上
に薄膜状のヒータを形成すれば、全体的に薄型の湿度セ
ンサとすることができ、また、感湿薄膜中のアルカリ土
類元素の酸化物からなる層が大きな吸湿能(水分吸着
能)を有するため、良好な感度で湿度検知を行うことが
できることを発見した。さらに、ヒータを基板上に形成
しているために熱効率も良くなり、低消費電力化を達成
することができることを発見し、本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明の湿度センサは、緻密で
電気的絶縁性の高い基板の一方の面上に、(a) 第一の薄
膜状電極と、(b) アルカリ土類金属元素の酸化物の少な
くとも一種を主成分とする第一の薄膜層と、アルカリ土
類金属元素、アルカリ金属元素系、及び貴金属元素以外
の金属の酸化物を主成分とする第二の薄膜層とが積層し
てなる感湿薄膜と、(c) 第二の薄膜状電極とがその順に
積層されているとともに、前記基板の他方の面上に、
(d) 薄膜状ヒータが形成されてなり、前記ヒータの作動
により、常時200℃以上の高温状態に保持され、雰囲
気中の湿度の変化に応じて前記感湿薄膜の抵抗値が変化
することを特徴とする。
【0018】
【実施例及び作用】以下、添付図面を参照して本発明を
詳細に説明する。図1は本発明の一実施例による湿度セ
ンサを示す概略断面図である。この湿度センサ1におい
て、緻密で電気絶縁性を有する基板15の一方の面上に、
(a) 第一の薄膜状電極14a と、(b) 湿度の変化に伴って
電気抵抗値を変化させる金属酸化物からなる層(以下、
感湿抵抗体層と呼ぶ)11と、アルカリ土類元素の酸化物
からなる層12とが積層してなる感湿薄膜13と、(c) 第二
の薄膜状電極14とがその順に積層されている。また、基
板15の他方の面上には、薄膜状のヒータ16が形成されて
いる。なお、基板15の面上に形成されたヒータ16は蛇行
しているので、図1に示す断面図ではヒータ16の断面部
分が離隔して示されている。
【0019】まず、湿度センサの基板15は、緻密で、電
気絶縁性に良好な材料からなるものを用いる。具体的に
は、Al2 3 、SiO2 等からなる基板を用いるのが好ま
しい。
【0020】基板15の上に設けた第一の薄膜状電極14a
、及び後述する感湿薄膜13の上面に形成する第二の薄
膜状電極14b は、ともにPt、Pt系金属、またはそれらの
合金から形成することができる。この二つの電極の厚さ
はそれぞれ500 〜2000オングストローム程度とするのが
好ましい。薄膜状電極14a 、14b はスパッタリング法等
により形成することができる。
【0021】第一の薄膜状電極14a 上には、感湿抵抗体
層11と、アルカリ土類元素の酸化物からなる層12とが積
層してなる感湿薄膜13が形成されている。本実施例で
は、感湿薄膜13中の感湿抵抗体層11とアルカリ土類元素
の酸化物からなる層12とはそれぞれ1層ずつであるが、
後述するように、本発明はこれに限定されない。
【0022】感湿薄膜13中の感湿抵抗体層11は、従来の
高温作動型の金属酸化物系センサに用いる感湿体(感湿
抵抗体)と同様の材料から形成されてなるが、本発明で
は、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素系、及び
貴金属元素以外の金属の酸化物を用いる。具体的には、
ZrO2 、TiO2 、CeO2 、La2 3 、Nb2 5 、Y2
3 、Ta2 5 、Cr2 3 、Ni2 3 、Fe2 3 、ZnO、
2 5 等や、これらの酸化物の混合物を用いることが
できる。ただし、感度の点から見ると、ZrO2、Ti
2 、Ta2 5 、Nb2 5 、ZnOが好ましい。上述した
材料からなる感湿抵抗体層とすれば、200 ℃を超す雰囲
気温度でも良好に湿度の検知を行うことができるように
なる。
【0023】感湿抵抗体層11の厚さは、0.2 〜5μm程
度とするのが好ましく、さらに好ましくは1〜2μm程
度とする。感湿抵抗体層11が0.2 μm未満では電極の短
絡が発生しやすくなる。また5μmを超すと、素子を薄
膜化して小型化するという目的が達成できず、またイン
ピーダンスが大きくなる等の不都合も生じる。
【0024】上述したように感湿抵抗体層11は薄く形成
するので、その形成においては気相成長法を利用するの
がよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、感
湿抵抗体層11を上述した厚さに形成することができれば
その他の方法を用いてもよい。具体的には、スパッタリ
ング法、CVD法等の蒸着法、ゾルゲル溶液法等の方法
により形成することができる。特にスパッタリング法
(高周波スパッタリング法)が好ましい。この方法によ
ると1μm程度の厚さの感湿抵抗体層を容易に形成する
ことができる。高周波スパッタリング法で金属酸化物を
成膜(金属酸化物層を形成)する場合、通常、成膜速度
は40〜100 オングストローム/分程度であるので、2〜
4時間のスパッタリングを行えば1μm程度の厚さの感
湿抵抗体層を得ることができる。なお、高周波スパッタ
リング法により形成された感湿抵抗体層は、その層中の
金属酸化物の酸素欠損の補完、及び層に生じた歪みの除
去等の目的で、大気中で加熱処理するのが好ましい。
【0025】アルカリ土類元素の酸化物からなる層12は
50〜5000オングストローム程度の厚さに形成するのが好
ましい。アルカリ土類元素の酸化物層12の厚さが50オン
グストローム未満であると、アルカリ土類元素の酸化物
層12を湿度感知膜13内に設けた効果が十分に現れず、素
子の感度が良好にならない。また、本発明者等の研究に
よれば、この層12を5000オングストロームを超す厚さと
しても良好な感度が得られない。アルカリ土類元素の酸
化物層12が厚すぎると、この層に吸着した水が感湿抵抗
体層11まで到達するのに長い距離を移行しなければなら
ず、結果として感湿抵抗体層11に十分な量の水分が到達
できないためと思われる。なお、複数のアルカリ土類元
素の酸化物層12と複数の感湿抵抗体層11とを積層して湿
度感知膜とする場合には、複数のアルカリ土類元素の酸
化物層12の合計の厚さを50〜5000オングストローム程度
とするのが好ましい。
【0026】アルカリ土類元素の酸化物としては、Mg
O、BaO、CaO、SrOを用いるのが好ましく、さらにこ
れらを混合して用いてもよい。このアルカリ土類元素の
酸化物からなる層12の形成も、上述した感湿抵抗体層11
と同様の方法で形成することができる。
【0027】一方、薄膜状のヒータ16は、白金ペースト
を用いたスクリーン印刷やフォトリソグラフィー等の方
法により基板15の他方の面に形成することができる。特
に、フォトリソグラフィー法によれば、容易に、かつ精
度よくヒータをパターニング形成でき、生産効率が非常
に高くなる。また、パターニング精度が高いので、ヒー
タの抵抗値のバラツキも非常に小さくなる。
【0028】なお、薄膜状の各電極及び薄膜状のヒータ
16に接続するリード線17としては、Pt線、Pt系合金から
なる線等を用いることができる。
【0029】図1に示した構成とすると、スパッタリン
グ等により形成された薄膜状の電極14a 、14b の多孔度
がたとえ小さくても(スパッタリングにより形成された
Pt等の電極薄膜では、孔径は一般に数10オングストロー
ム程度となる)、感湿薄膜13内に設けたアルカリ土類元
素酸化物層12が有する大きな水分吸着能により水分が感
湿薄膜13内に取り込まれる。これによって、感湿薄膜13
内の感湿抵抗体層11にも水分が到達し、感湿抵抗体層11
に水分の量に見合った抵抗変化が生じる。
【0030】図1に示す実施例では、感湿薄膜13は、1
つの感湿抵抗体層11と1つのアルカリ土類元素の酸化物
からなる層12とを積層した構成となっており、感湿抵抗
体層11が外側(基板15から遠い方)に形成されている
が、本発明はこれに限定されない。たとえば、感湿薄膜
13中の感湿抵抗体層11と1つのアルカリ土類元素の酸化
物からなる層12とを反対に積層した構造としてもよい。
また、感湿薄膜13と薄膜状の電極14b との密着性を向上
する等の目的で、図1に示す実施例において、アルカリ
土類元素の酸化物層12の上にさらに感湿抵抗体層11を設
けた積層構造としてもよいし、さらには、感湿抵抗体層
11とアルカリ土類元素の酸化物層12とをそれぞれ交互に
複数回積層することもできる。
【0031】しかしながら、アルカリ土類元素の酸化物
層12の役割を考えると、できるだけ雰囲気側(湿度感知
膜の表層部)にアルカリ土類元素の酸化物層12を配置す
るのが好ましい。すなわち、少なくとも感湿薄膜13の表
層部にはアルカリ土類元素の酸化物層を配置するのが好
ましい。
【0032】以下、具体的実施例に基づき、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0033】実施例1 以下の要領で、図1に示す構造の湿度センサを製造し
た。2mm×2mm×0.2 mmの大きさのアルミナ基板(純度
97%)の片面に、高周波マグネトロンスパッタリング法
によりPt薄膜電極を形成した。このときのPt電極の厚さ
は約2000オングストロームであった。
【0034】次に、Pt薄膜電極上に、同じく高周波マグ
ネトロンスパッタリング法によりZrO2 層(感湿抵抗体
層)を厚さ約2μmになるように成膜(層形成)した。
さらに、このZrO2 層の上に、高周波マグネトロンスパ
ッタリング法によりMgO層を500 オングストロームの厚
さに形成した。
【0035】次に、ZrO2 層及びMgO層中の酸素欠損の
補完及び膜歪みの除去の目的で、得られた積層体を大気
中、600 ℃で2時間加熱した。
【0036】さらに、上記の積層体のMgO層上に、スパ
ッタリングによりPt電極膜を形成し、両Pt電極膜にそれ
ぞれリード線を接続した。
【0037】次に、基板の反対側の面に、スパッタリン
グによりPt薄膜を約3000オングストロームの厚みに
成膜後、フォトリソグラフィーにより蛇行したパターン
のヒータを形成し、リード線を接続し、湿度センサとし
た。
【0038】この湿度センサ1を用いて図2に示す回路
を形成した。ここで、センサ1中のヒータ16の電源とし
ては直流電圧電源Eを用いた。また、信号電圧電源31は
交流70Hz、7V0-P とし、信号検出負荷抵抗RL を500
kΩとした。なお、信号電圧電源31として交流電源を用
いたのは、吸着水の分極を防ぐためである。
【0039】図2の回路を用い、センサの周囲の雰囲気
中の湿度を変化させて、センサ(作動)温度を400 〜50
0 ℃とした場合の雰囲気中の絶対湿度とインピーダンス
との関係を調べた。結果を図3に示す。
【0040】また、10℃における40%相対湿度(以下、
10℃/40%RHと記す。ここで、RHは相対湿度を示
す。なお、10℃/40%RHの場合の空気中の水の量は2.
92g/kgである。)でのセンサのインピーダンスR
1 と、35℃/80%RH(24.64 g/kg)でのセンサのイ
ンピーダンスR2 とから下記式(1)に従って湿度検出感
度Sを計算した。 S=log (R1 /R2 )・・・(1) 各温度における湿度検出感度Sを図3中に記す。
【0041】図3からわかるように、本実施例の湿度セ
ンサは、作動温度が400 〜500 ℃の高温領域でも湿度に
応じてセンサ素子インピーダンスが十分に大きく変動し
ており、良好な感度を有することがわかる。特に、作動
温度が450 ℃のときに感度が最もよいことがわかる。
【0042】また、図2に示す回路を用い、作動温度が
400 〜500 ℃の時のセンサの応答時間を測定した。この
応答時間の測定では、雰囲気の絶対湿度を2.92g/kgか
ら6.69g/kgへ急激に(ステップ的に)変化させた時、
7.16g/kgから14.31 g/kgへ急激に(ステップ的に)
変化させた時、及び14.31 g/kgから24.64 g/kgへ急
激に(ステップ的に)変化させた時の各々の90%応答時
間(T90)を求めた。結果を図4に示す。
【0043】図4からわかるように、作動温度が450 ℃
または500 ℃の場合には良好な応答特性が得られる。以
上、感度と応答特性の観点からみると、本実施例のセン
サにおいては、作動温度は約450 ℃程度が最適であると
思われる。
【0044】実施例2、及び比較例1 基板15の大きさを4mm×4mm×0.2 mmとした以外は、実
施例1と同様にして図1に示す構造の湿度センサ(実施
例2)を作製した。
【0045】一方、基板のもう一方の面(感湿薄膜及び
電極が形成されないほうの面)に薄膜状のヒータを設け
ない以外は実施例2と同様の湿度センサ素子を作製し
た。このセンサ素子の回りに、図6に示すようにコイル
ヒータ(0.1 mm径のPt線からなるコイルヒータ)30を配
置し、湿度センサ(比較例1)とした。
【0046】実施例2及び比較例1の湿度センサをそれ
ぞれ450℃で作動させ、同一時間内の消費電力を測定
した。実施例2の湿度センサでは1.1 W であり、ま
た、比較例1の湿度センサでは1.5 Wであった。すなわ
ち、実施例2の湿度センサは比較例1の湿度センサより
約30%近く消費電力を低減することができる。
【0047】参考例1 湿度センサの基板の大きさと、湿度センサ作動に費やし
た消費電力との関係を調べるために、基板の大きさは異
なるが、ともに図1に示す構造を有する複数の湿度セン
サを作製した。ここで、基板以外の湿度センサ素子のサ
イズは同一とした。また、各湿度センサの基板は、その
厚さを0.2 mmと一定とし、一辺の長さがそれぞれ異なる
正方形状とした。
【0048】得られた複数の湿度センサについてそれぞ
れ同一作動条件での消費電力を求めた。結果を図5に示
す。
【0049】図5から容易にわかるように、基板サイズ
を小さくすれば、センサの消費電力を著しく低減するこ
とができる。
【0050】
【発明の効果】以上の構成を有する本発明の湿度センサ
は以下の効果を有する。
【0051】良好な感度を有し、400 〜500 ℃程度の
高温においても感度の良い湿度測定を行うことができ
る。また、その応答性も良好である。
【0052】ヒータ、電極、感湿体をすべて一体化、
かつ薄膜化しており、湿度センサ(素子)の小型化が達
成される。
【0053】ヒータの加熱による熱効率が良好で、ま
たヒータを薄膜化しているので、ヒータ電流値を低減す
ることができる。
【0054】上述の通り、基板上に設けるヒータ、電
極、感湿体が全て薄膜状になるので、スパッタリング、
フォトリソグラフ等の方法を用いて歩留りの良い大量生
産を行うことができる。
【0055】本発明による湿度センサは小型化でき、ま
た、大きな電力を必要としないので、各種民生用機器、
たとえば室内空調用センサ、電子レンジの調理用センサ
等として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による湿度センサを示す概略
断面図である。
【図2】実施例で用いた湿度検知回路を示す回路図であ
る。
【図3】雰囲気中の絶対湿度と、400 〜500 ℃における
実施例1のセンサのインピーダンスとの関係を示すグラ
フである。
【図4】雰囲気中の絶対湿度と、400 〜500 ℃における
実施例1のセンサの応答時間との関係を示すグラフであ
る。
【図5】湿度センサの基板の大きさと、その消費電力と
の関係を示すグラフである。
【図6】コイルヒータを用いた湿度センサを示す概略断
面図である。
【図7】従来の高温作動型の湿度センサの一例を示す斜
視図である。
【図8】従来の高温作動型の湿度センサの別な例を示す
一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1、10 湿度センサ 8、9 バルクタイプの湿度センサ 11 感湿抵抗体層 12 アルカリ土類元素の酸化物層 13 感湿薄膜 14a 、14b 薄膜状電極 16 薄膜状ヒータ 17 リード線 30 コイルヒータ 81、91 感湿体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緻密で電気的絶縁性の高い基板の一方の
    面上に、(a) 第一の薄膜状電極と、(b) アルカリ土類金
    属元素の酸化物の少なくとも一種を主成分とする第一の
    薄膜層と、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素
    系、及び貴金属元素以外の金属の酸化物を主成分とする
    第二の薄膜層とが積層してなる感湿薄膜と、(c) 第二の
    薄膜状電極とがその順に積層されているとともに、前記
    基板の他方の面上に、(d) 薄膜状ヒータが形成されてな
    る湿度センサであって、前記ヒータの作動により、常時
    200℃以上の高温状態に保持され、雰囲気中の湿度の
    変化に応じて前記感湿薄膜の抵抗値が変化することを特
    徴とする湿度センサ。
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