JPH0532004U - アクスルハウジング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、アクスルハウジング、特に、軽量
でしかも、製造品質の信頼性を安定確保で、鋼板製の部
材により、アクスルシャフトの継手部の収容空間を確保
することのできるアクスルハウジングの改良を特徴とす
る。 【構成】 本考案によるアクスルハウジングは、アクス
ルシャフトを収容する車軸管（２）を複数の鋼板製の部
材（５ａ,５ｂ,５ｃ,５ｄ）を接合して形成し、前記車
軸管（２）に、前記アクスルシャフトを収容するアクス
ルシャフト収容部(12)と、前記アクスルシャフトの継手
部を収容する継手収容部(11)とを設け、前記アクスルシ
ャフト収容部(12)の断面積を前記継手収容部(11)の断面
積より小さくし、前記継手収容部(11)を前記アクスルシ
ャフト収容部(12)より膨出させた構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、アクスルハウジング、特に、軽量でしかも、製造品質の信頼性を安 定確保でき、鋼板製の部材により、アクスルシャフトの継手部の収容空間を確保 することのできるアクスルハウジングの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、建築機械として一般的に用いられている車両のアクスルハウジングとし ては、図４に示されたようなものがある。軸線方向に延在するアクスルシャフト （図示せず）及び終減速差動装置（図示せず）を収容するアクスルハウジング１ は、鋳物により成形されると共に、車軸管２と、車軸管２の車輪側両端に配置さ れた一対の軸受部３と、により構成されている。この車軸管２は、中央部に、終 減速差動装置を配置するためのデフ部４を有し、アクスルシャフトを包囲するよ う、軸線方向に延在し鋳物により一体成形してなるシャフト保護部材５を有して いる。デフ部４とシャフト保護部材５とは鋳物により一体成形されて車軸管２を 構成している。 前記軸受部３は、軸線方向に対し所定の傾角をもつキングピン軸受６と、軸線 方向に配置されたアクスルシャフトを支持するアクスルシャフト軸受７とから構 成され、軸受部３内部にアクスルシャフトの継手部（図示せず）を収容するため の継手収容部１１が形成されるように、これら軸受６と７は鋳物により一体成形 されている。 このような構成において、車軸管２と軸受部３とは、鋳物により別部品をなし 、アクスルシャフト軸受７とシャフト保護部材５の端部は、軸線に垂直な方向の 溶接部８により溶接される。従って、車軸管２と軸受部３とは溶接部８を介して 軸線方向に連続して一体をなし、全体としてアクスルハウジング１を構成してい る。このアクスルハウジング１は、ばね座にかかる上下方向荷重と、旋回時等の 横荷重による垂直曲げモーメントと、制動力及び駆動力による水平曲げモーメン ト，ねじりモーメントとを受け、これら種々の力を支持している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来のアクスルハウジングは、以上のように構成されていたため、次のような 課題が存在していた。 すなわち、鋳物で成形された車軸管２と軸受部３との２部品を溶接することに より、アクスルハウジング１全体が鋳物から構成されることになるため、アクス ルハウジング１は重量が重たくなり、製品となった場合の品質の信頼性に欠ける 、しかも、製造コストがかかるといった問題点があった。

【０００４】 本考案は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、重量が軽く 、製造品質の信頼性を安定確保でき、しかも鋼板製の部材により、アクスルシャ フトの継手部の収容空間を確保することのできるアクスルハウジングを提供する ことを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案によるアクスルハウジングは、アクスルシャフトを収容する車軸管を複 数の鋼板製の部材を接合して形成し、前記車軸管に、前記アクスルシャフトを収 容するアクスルシャフト収容部と、前記アクスルシャフトの継手部を収容する継 手収容部とを設け、前記アクスルシャフト収容部の断面積を前記継手収容部の断 面積より小さくし、前記継手収容部を前記アクスルシャフト収容部(12)より膨出 させた構成としたものである。

【０００６】

【作用】

本考案によるアクスルハウジングおいては、複数の鋼板製の部材を溶接等で接 合して車軸管を形成し、前記アクスルシャフト収容部の断面積を前記継手収容部 の断面積より小さくすることで、必要最小限に絞られたアクスルシャフト収容部 及び必要最小限に膨出した継手収容部を、鋼板製の部材により確保できるので、 重量が軽く、製造品質の信頼性を安定確保することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、図面と共に本考案によるアクスルハウジングの好適な一実施例について 説明する。ただし、図４と同一構成部分については同一の符号を付す。

【０００８】 図１〜３に示すように、本考案のアクスルハウジング１は、中央に配置したデ フ部４と、アクスルシャフト（図示せず）を包囲し軸線方向に延在する車軸管２ と、車軸管２の車輪側両端に配置した一対の軸受部３とから構成されている。

【０００９】 デフ部４は、終減速差動装置（図示せず）を収容するハウジングをなすと共に 、終減速差動装置を挿入配置するための開口の外周をなす蓋取付用リング部１０ を有している。このデフ部４のリング部１０を中間に配置した車軸管２は、軸線 方向に延在するシャフト保護部材５を有すると共に、アクスルシャフトを収容す る部分においては断面矩形をなしている。 シャフト保護部材５は、鋼製で板状をなす４つの部材、すなわち上側部材５ａ ，下側部材５ｂ，前側部材５ｃ及び後側部材５ｄから構成されている。これら部 材５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄはそれぞれ溶接等により互いに接合して固定され、断 面矩形で箱形の車軸管２を形成している。

【００１０】 鋼板よりなる前記上側部材５ａ及び前記下側部材５ｂは、デフ部４を中央に配 置するよう、車軸管２の全長に亙って軸線方向に延在すると共に、軸受部３に後 述する軸受６，７を配置し且つアクスルシャフトの継手部を収容するために、端 部において、外方に突出した隆起部５ｅ，５ｆをそれぞれ有している。 上側部材５ａと下側部材５ｂは、アクスルシャフトを収容するに必要最小限の 間隔を保ちつつ、デフ部４の両側においてほぼ平行に配置され、隆起部５ｅと５ ｆの部分では間隔が広くなっている。 鋼板よりなる前記前側部材５ｃ及び前記後側部材５ｄは、車軸管２の左右でそ れぞれ一対をなし、デフ部４の蓋取付用リング部１０から車軸管２の両端すなわ ち上側及び下側部材５ａ，５ｂの両端まで延在している。デフ部４の蓋取付用リ ング部１０を中央に配置し、左右の前側部材５ｃ及び後側部材５ｄの上下両端は 、上側及び下側部材５ａ，５ｂの長手方向の端部に溶接等により固定し、前側部 材５ｃ及び後側部材５ｄの各内方端をリング部１０の外周に溶接し、その結果、 デフ部４を中央に配置した、断面矩形で箱形の車軸管２が形成され、車軸管２の 端部には、アクスルシャフトの継手部を収容できるように、アクスルシャフト収 容部１２の断面積より大きな断面積をもつ継手収容部１１が形成される。従って 、車軸管２の端部は外方に膨出した継手収容部１１を有することになる。

【００１１】 軸受部３は、前もって鋳物又はパイプで加工し別体として形成されたキングピ ン軸受６とアクスルシャフト軸受７とからなっている。前記キングピン軸受６は 、上側部材５ａ及び下側部材５ｂの両端の隆起部５ｅ，５ｆで、外方に突出して 配置され、キングピン（図示せず）の傾角に伴い所定角度をなして配置された上 側のキングピン軸受６ａ及び下側のキングピン軸受６ｂから構成されている。こ れら上側のキングピン軸受６ａ及び下側のキングピン軸受６ｂは、上側部材５ａ 及び下側部材５ｂの隆起部５ｅ，５ｆに形成された開口部９ａ及び９ｂにそれぞ れ心合わせされて、溶接等で上側及び下側部材５ａ，５ｂの隆起部５ｅ，５ｆの 外表面に固定されている。キングピン軸受６は、上下で対をなすものに限らず、 どちらか一方のみの場合もある。更に、車軸管２の内部両端においては、アクス ルシャフトを支持するためにデフ部４がわに向けて突出したシャフト支持部７ａ をもつアクスルシャフト軸受７が、シャフト保護部材５の内表面で且つ隆起部５ ｅ，５ｆの所定位置に溶接等により固定されている。

【００１２】 上述した構成をなす鋼板製の車軸管２の上下表面にキングピン軸受６ａ，６ｂ を配置し、車軸管２の内部にアクスルシャフト軸受７を配置し、車軸管２の中央 にデフ部４を配置し、車軸管２の両端部に継手収容部１１を膨出した状態で配置 することによりアクスルハウジング１を構成し、車軸管２と軸受部３とを溶接部 を介して軸線方向に連続させることなく、軸線方向に垂直な溶接部等の接合箇所 をなくすことで、ねじりや曲げモーメント等による力に対して強い構造となって いる。また、車軸管２は、アクスルシャフト収容部分では適度に絞られ、アクス ルシャフトの継手部分では適度に膨らみ、余分な材料を使うことがないので、原 材料の削減を可能にしている。

【００１３】 本考案は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることがで きるのは、言うまでもない。 例えば、シャフト保護部材５は板状の６部材により構成されて、デフ部両側で 断面矩形をなすことに限定されることなく、デフ部両側で板状の断面半円弧状を なす２部材により構成し、これらを溶接することによりデフ部両側で断面円形の 円筒体としてもよい。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によるアクスルハウジングは、以上のように構成されているため、次の ような効果を得ることができる。 すなわち、車軸管を複数の鋼板製の部材より構成することにより、鋳物からな る従来の車軸管に比べて重量が軽く、製造品質の信頼性を安定確保できる。しか も、鋼板製の部材により、絞られたクスルシャフト収容部及び膨出した継手収容 部を画成しているので、この部分を鋳物で画成する場合に比べ、製造コストを低 くすることができるといった利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のアクスルハウジングの一実施例を示す
正面図である。

【図２】本考案のアクスルハウジングの平面図である。

【図３】本考案のアクスルハウジングの側面図である。

【図４】従来のアクスルハウジングを示す正面図であ
る。

【符号の説明】

１ アクスルハウジング ２ 車軸管 ３ 軸受部 ４ デフ部 ５ シャフト保護部材 ５ａ 上側部材 ５ｂ 下側部材 ５ｃ 前側部材 ５ｄ 後側部材 ５ｅ，５ｆ 隆起部 ６ キングピン軸受 ７ アクスルシャフト軸受 ８ 溶接部 ９ａ，９ｂ 開口部 １０ 蓋取付用リング部 １１ 継手収容部 １２ アクスルシャフト収容部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アクスルシャフトを収容する車軸管
   （２）を有するアクスルハウジングにおいて、前記車軸
   管（２）を複数の鋼板製の部材（５ａ,５ｂ,５ｃ,５
   ｄ）を接合して形成し、前記車軸管（２）に、前記アク
   スルシャフトを収容するアクスルシャフト収容部(12)
   と、前記アクスルシャフトの継手部を収容する継手収容
   部(11)とを設け、前記アクスルシャフト収容部(12)の断
   面積を前記継手収容部(11)の断面積より小さくし、前記
   継手収容部(11)を前記アクスルシャフト収容部(12)より
   膨出させた構成よりなることを特徴とするアクスルハウ
   ジング。