JPH05319051A - ロール検出装置およびサスペンション制御装置 - Google Patents

ロール検出装置およびサスペンション制御装置

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JPH05319051A
JPH05319051A JP15572492A JP15572492A JPH05319051A JP H05319051 A JPH05319051 A JP H05319051A JP 15572492 A JP15572492 A JP 15572492A JP 15572492 A JP15572492 A JP 15572492A JP H05319051 A JPH05319051 A JP H05319051A
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JP
Japan
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roll
wheel speed
suspension
vehicle
wheel
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Application number
JP15572492A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Kondo
一弘 近藤
Masayuki Kawamoto
雅之 川本
Masaki Kasai
正樹 河西
Hidenori Ichimaru
英則 一丸
Takaaki Enomoto
高明 榎本
Yasuhiro Kagawa
泰広 香川
Kazutoshi Kunishima
和俊 國島
Satomi Tsuda
里実 津田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加速度センサを用いることなく、バネ上挙動
を検出して、車両前後軸周りの回転運動(ロール)の発
生を検出する。また、横風などの外乱により生じるロー
ルを検出し、サスペンション特性を制御して乗り心地を
改善する。 【構成】 左右輪に設けられた車輪速度センサにより求
めた左右の車輪速度VFL,VFRからバネ上共振周波数領
域の変動量△VWL,△VWRを求め、これを減算して両変
動量の逆相成分を反映した減算値△Vwを求める。この
加算値△Vwが閾値Vref より大きいか否かを判断し
て、ロールの発生を検出する。更に、バネ上の挙動のう
ち特にロールの発生を反映した減算値△Vwが閾値Vre
f より大きければ、サスペンション特性をハードに制御
し、閾値Vref 以下であれば、サスペンション特性をソ
フトに制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両前後軸周りの回転
運動であるロールを検出するロール検出装置、および車
両に生じたロールにより、ホイールと車体とを連結する
サスペンションの特性を変更するサスペンション制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両前後軸周りの回転運動、いわゆるロ
ールは、車両旋回時等に生じる。従来から、このロール
を低減するため、操舵角と車速を検出し、これらから車
両に加わる横加速度に求め、横加速度が大きくなる条件
下では、サスペンション特性をハードに切り換えるサス
ペンション制御装置が提案されている。旋回時に予めサ
スペンション特性を固くすることで、ロール速度やロー
ルのオーバシュートなどを低減するのである。例えば、
実願昭63−164631号には、車両の生じる横加速
度を検出するセンサを設け、この横加速度の微分値が大
きい場合に、サスペンション特性をハードに切り換える
ものが開示されている。
【0003】一方、ロールは旋回時のみならず、横風や
低摩擦係数の路面でも生じる。そこで、こうしたいわば
外乱により生じるロールに対してサスペンション特性を
切り換えようとすれば、車両に生じるロールを精度良く
かつ短時間に検出するロール検出装置が必要となる。通
常、こうした検出装置として考えられるのは、車両横方
向の加速度を検出する加速度センサを用いた構成やヨー
レートセンサを用いた構成である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、車体横
方向の加速度センサやヨーレートセンサは、高価である
ばかりでなく、車両に搭載するに足る信頼性を実現する
のが困難であるという問題があった。また、これらのセ
ンサを新たに搭載することで、部品点数や組立工数が増
加するといった問題があった。このため、横風等の外乱
によるロールの検出およびこれに基づくサスペンション
特性の制御を行なうことは、現実には極めて困難であっ
た。
【0005】本発明は、バネ上挙動が車輪速度に反映さ
れるとの新たな知見に基づいてなされたものであり、加
速度センサを用いることなく車両に生じるロールを精度
良く検出すること、および車両に生じるロールに基づい
てサスペンション特性の制御を行なうことを、その目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のサスペンション
制御装置は、発明の基本的構成を例示するブロック図で
ある図1(A)に示すように、車両の前後軸回りの回転
運動を検出するロール検出装置であって、車両左右の車
輪速度を各々検出する第1,第2の車輪速度検出手段M
1,M2と、該検出された左右の車輪速度に基づいて、
左右輪各々についてのバネ上共振周波数領域の車輪速度
の変動量を求める第1,第2の車輪速変動量抽出手段M
3,M4と、該求められた左右輪についての変動量の逆
相成分に基づいて、車両前後軸周りの回転運動の大きさ
を演算するロール演算手段M5とを備えたことを要旨と
する。
【0007】一方、本発明の検出装置は、図1(B)に
示すように、車輪と車体とを連結するサスペンションの
特性を変更可能なサスペンション制御装置であって、車
両左右の車輪速度を各々検出する第1,第2の車輪速度
検出手段N1,N2と、該検出された左右の車輪速度に
基づいて、左右輪各々についてのバネ上共振周波数領域
の車輪速度の変動量を求める第1,第2の車輪速変動量
抽出手段N3,N4と、該検出された左右輪についての
変動量の逆相成分が大きいほど、前記サスペンションの
特性を固めに変更する特性変更手段N5とを備えたこと
を要旨とする。
【0008】
【作用】以上のように構成された本発明のロール検出装
置は、第1,第2の車輪速度検出手段M1,M2により
各々検出された車両左右の車輪速度に基づいて、第1,
第2の車輪速変動量抽出手段M3,M4が、左右輪各々
についてのバネ上共振周波数領域の車輪速度の変動量を
求める。こうして求められた左右輪についての変動量の
逆相成分に基づいて、ロール演算手段M5が、車両前後
軸周りの回転運動の大きさを演算する。
【0009】車輪速度からバネ上挙動、延いてはロール
の大きさが検出可能であるのは、次の理由による。 (1)平坦路における車両の運動エネルギは、大部分が
水平方向のエネルギと考えられるが、種々の要因によ
り、その一部が上下方向に分割されることがある。バネ
上の振動として上下方向にエネルギが消費された場合、
その分、水平方向のエネルギは減少する。水平方向のエ
ネルギの増減は、結局車輪速度に反映されるから、車輪
速度からバネ上の挙動が推定できる。 (2)車輪は路面の凹凸をトレースするから、凹凸が大
きいほど車輪の実質的な走行距離が増大し、車両全体の
慣性速度が一定という条件下では、車輪は速く回転す
る。従って、路面の凹凸によるバネ上の振動の大きさ
と、車輪速度の変動の大きさとは、一定の関連を持つ。 (3)車体に、車両前後軸周りの回転運動であるロール
が生じると、左右の車輪の上下動は逆相となる。従っ
て、左右の車輪速度の変動も逆相となり、バネ上共振周
波数領域の車輪速度の変動量の逆相成分からロールの発
生を検出することができる。 なお、逆相成分は、左右の車輪についての車輪速度の変
動量の差の絶対値を検出することで、その大きさを容易
に検出することができる。また、変動量の変化の位相差
から判断することも可能である。更には、左右輪につい
ての変動量の信号を微分し、微分値の符号が逆になった
時、逆相と判断するなど、種々の構成か可能である。
【0010】左右各車輪の速度の変動には、上述した通
り、バネ上挙動が反映されているが、ロールとは無関係
な動き、バネ上挙動とは無関係な動きも含まれている。
例えば、片輪のみの突起の乗り越え等によりその車輪の
速度は変動するが、これはバネ上共振による振動である
ロールとは関係がない。本発明では車両左右の車輪の車
輪速度の変動における逆相成分に基づいて演算すること
で、ロールの発生を正確に判定する。なお、バネ上共振
周波数領域とは、サスペンションのバネ定数や減衰係
数,車両質量などにより定まるバネ上共振周波数を近傍
の所定範囲の領域を言い、通常の車両ではおおよそ1H
zないし3Hzの範囲となることが多い。もとより、バ
ネ上共振周波数は車両の構造により異なるから、この範
囲に限るものではない。
【0011】また、バネ上共振周波数の近傍のある範囲
での車輪速度の変動を検出すれば良いから、必ずしも共
振周波数を含んだ領域で車輪速度の変動を検出しなくと
も差し支えない。実際、共振周波数は、積載重量によっ
ても変化するから、バンドパスフィルタなどにより車輪
速度の変動を取り出す構成において、固定的なフィルタ
の帯域が共振周波数を含まないものとなっている場合も
存在する。もとより、バンドパスフィルタの帯域を車載
重量や減衰係数の切換に応じて可変する構成としても差
し支えない。こうした構成は、車輪速度の変動を取り出
す手段をソフトウェアにより実現する場合には容易であ
る。
【0012】一方、本発明のサスペンション制御装置で
は、車両の隣接する車輪の各々に設けられた第1,第2
の車輪速度検出手段N1,N2により検出された左右の
車輪速度に基づいて、第1,第2の車輪速変動量抽出手
段N3,N4が、左右輪についてのバネ上共振周波数領
域の車輪速度の変動量を求める。こうして求められた左
右輪についての変動量について、その逆相成分が大きい
ほど、特性変更手段N5が、サスペンションの特性を固
めに変更する。
【0013】本発明のサスペンション制御装置におい
て、特性変更手段M5が行なうサスペンションSCの特
性の変更は、左右輪の車輪速度の変動量の逆相成分の大
きさが所定以上の場合に、サスペンション特性をハード
の側に切り換えるものとしてもよいし、3段階以上の切
換を行なうものとしても良い。こうしたサスペンション
特性の切換には、判定基準にヒステリシスを持たせた
り、一旦切換が行なわれると所定時間そのサスペンショ
ン特性を維持するといった構成をとり、ハンチングを防
止することも、各種アクチュエータの耐久性や信頼性の
観点から望ましい。また、サスペンション特性が連続的
に変更可能な構成をとれば、バネ上共振周波数領域の変
動量の逆相成分に応じて特性を連続的に変更するものと
しても差し支えない。更に、こうしたサスペンション特
性の切換条件を、車両走行にかかわる他の条件、例えば
車速や操舵角などにより補正・変更することも好適であ
る。
【0014】上述した各発明を構成する各手段は、ディ
スクリートな回路によりハード的に実現しても良いし、
その一部または全部をソフトウェアにより実現しても差
し支えない。また、車輪速度検出手段M1,M2,N
1,N2は、制動力制御装置などにおける車輪速度セン
サと共用することが可能である。
【0015】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。図2は、実施例としてのサスペンション制御装
置とこれに用いるロール検出装置を搭載した車両におけ
る各部材の配置を示す説明図、図3はサスペンション制
御を行なう制御装置を中心とした構成を示すブロック図
である。
【0016】図示するように、車両20の左右前後の車
輪21,22,23,24の懸架機構には、バネ定数,
減衰力および車高を調整可能な減衰力可変アクチュエー
タ31,32,33,34と、車輪21ないし24と車
体との距離を検出する車高センサ41,42,43,4
4とが設けられており、更に、遊動輪である左右の前輪
21,22には、車輪の回転速度に対応した信号を出力
する車輪速度センサ46,48が設けられている。
【0017】減衰力可変アクチュエータは31ないし3
4は、コントロールロッドを回転させてバイパスオリフ
ィスを開閉するオリフィス可変式のものであり、空気圧
による車高制御を組み合わせた周知の構成を有する。車
両20には、これらの減衰力可変アクチュエータ31な
いし34に送り込む圧縮空気を作るコンプレッサ50、
コンプレッサ50から前輪21,22のアクチュエータ
31,32への圧縮空気の通路を開閉する前輪ハイトコ
ントロールバルブ52、同じくコンプレッサ50から後
輪23,24のアクチュエータ33,34への圧縮空気
の通路を開閉する後輪ハイトコントロールバルブ54等
が設けられている。
【0018】車両20には、上述した車高センサ41な
いし44、車輪速度センサ46,48以外にも、走行状
態にかかわる各種パラメータを検出するセンサが設けら
れている。こうしたセンサとしては、図3に整理した形
で示すように、操舵角を検出するステアリングセンサ6
0、ブレーキペダル62の操作を検出するストップラン
プスイッチ64、車速を検出するスピードセンサ66、
図示しないエンジンのスロットル開度を検出するスロッ
トルポジションセンサ68等がある。これらのセンサ
は、サスペンションコントロール装置70に接続されて
いる。
【0019】サスペンションコントロール装置70は、
周知のCPU,ROM,RAM,I/Oインタフェー
ス,タイマ等を内蔵する電子回路であり、このサスペン
ションコントロール装置70には、上述した各センサの
他、減衰力制御のオンオフを指示する減衰力コントロー
ルスイッチ72、車高制御のオンオフを指示するハイト
コントロールスイッチ74、図示しない変速機がニュー
トラルポジションにあることを検出するニュートラルス
タートスイッチ76などが接続されている。
【0020】また、サスペンションコントロール装置7
0は、上述した各種センサやスイッチからの信号を読み
取り、減衰力可変アクチュエータ31ないし34,コン
プレッサ50,前輪ハイトコントロールバルブ52、後
輪ハイトコントロールバルブ54を制御するが、これら
のアクチュエータ31ないし34以外にも、インパネ7
8に設けられたインジケータ80などの各種出力機器が
接続されている。
【0021】サスペンションコントロール装置70が実
行するサスペンション制御について説明する。サスペン
ションコントロール装置70は、電源投入後、車両が走
行を開始すると、図示しない他の処理ルーチンと共に、
図4,図5に示すサスペンション制御ルーチンを、内蔵
するタイマによって5msec毎に起動される割込処理とし
て実行する。なお、電源投入直後の初期化の処理によ
り、変数やフラグFなどは初期値に設定される。後述す
るフラグFについては、値0に設定される。
【0022】図4,図5に示すルーチンが起動される
と、まず、車輪速度センサ46,48からの信号に基づ
いて、左右の車輪速度VFL,VFRを演算する処理を行な
う(ステップS100)。車輪速度センサ46,48
が、前輪21,22の所定回転角毎にパルス信号を出力
するタイプのセンサである場合には、このパルス信号を
割込源として起動される図示しない他の処理ルーチンに
より、入力したパルス信号の時間的な間隔を計測してお
き、これを用いて車輪速度VFL,VFRを演算することが
できる。また、一定時間以内に、車輪速度センサ46,
48から入力されたパルス数に基づいて、車輪速度VF
L,VFRを演算しても良い。もとより車輪速度センサ4
6,48が車輪速度の瞬時値を直接出力可能なタイプで
あれば、その信号をそのまま使用するものとしても差し
支えない。
【0023】次に、ステップS100で求めた車輪速度
VFL,VFRに対して、バンドパスフィルタ処理を行な
い、左右輪の車輪速度の変動量△VWL,△VWRを算出す
る処理を行なう(ステップS110)。バンドパスフィ
ルタ処理は、車輪速度の変化に対して、帯域1ないし3
Hzの成分のみを取り出す処理であり、車輪速度に所定
の重み付けを施してそれまでの演算結果との減算平均を
とり、その最大値と最小値との偏差を変動量△VWL,△
VWRとして算出する処理などが考えられる。この他、ソ
フトウェアにより離散型のフーリエ変換を行ない、1な
いし3Hzの信号の強度を取り出す構成としても良い。
【0024】バンドパスフィルタ処理により1ないし3
Hzの成分のみを取り出すのは、直流成分とノイズの影
響を除去し、バネ上共振周波数近傍の振動のみを抽出す
るためである。フィルタ処理の帯域は、適用する車両の
バネ上共振周波数、とりわけロールの発生する周波数
(本実施例では、約2.5Hz)領域に対して、最適な
範囲に調整すれば良いが、バネ上共振周波数近傍であれ
ば、必ずしもバネ上共振周波数自体を含まなくとも差し
支えない。
【0025】次に、こうして求めた左右輪についての車
輪速度の変動量△VWL,△VWRを減算し、変動量の逆相
成分に当たる量△Vwを求める処理を行なう(ステップ
S120)。左右輪についての変動量△VWL,△VWRを
減算することで、逆相成分の動きが強められ、同相成分
は打ち消しあう。即ち、減算値△Vwには、車体前後軸
周りに生じている回転運動が大きく反映される。
【0026】続いて、左右輪についての車輪速度の変動
量の減算値△Vwの絶対値が、閾値Vref より大きいか
否かの判断を行なう(ステップS130)。なお、比較
を行なう閾値Vref は、車速Vが大きくなれば同じ路面
を走行していても車輪速度の変動量△VWL,△VWRは大
きくなるから、サスペンション特性の無用な切換が起き
ないように車速Vに連れて大きくすることも望ましい。
【0027】以上説明したステップS100ないしステ
ップS130の処理が、ロールの発生を検出するロール
検出装置としての処理に相当する。ここで、車輪速度V
FL,VFRに基づいて、バネ上の挙動のうちロールの発生
を判別することができるのは、現実の車両において、車
輪速度がバネ上の振動に対応して変動しているからであ
る。車輪速度VFL,VFRがバネ上の振動を反映するメカ
ニズムについては、作用の項で説明した。
【0028】こうして車輪速度からバネ上の挙動を判別
し、左右の車輪速度の変動量の減算値△Vwが、閾値V
ref より大きくなっていれば、バネ上にロールが生じて
いると判断し、カウンタCをリセットし(図5、ステッ
プS150)、フラグFを値1にセットする(ステップ
S160)。その後、減衰力可変アクチュエータ31な
いし34を制御して、サスペンション特性をハードに切
り換え(ステップS170)、「RTN」に抜けて本ル
ーチンを一旦終了する。サスペンション特性をハードに
切り換えるのは、本実施例では、オリフィスを絞って減
衰力可変アクチュエータ31ないし34の減衰力を大き
くすることにより行なっているが、エアサスペンション
の場合には、バネ定数を大きくしても差し支えない。
【0029】一方、車輪速度の変動量の減算値△Vw
が、閾値Vref 以下となっていれば、バネ上にロールは
生じていないと判断し、まずフラグFが値1にセットさ
れているか否かを判断する(ステップS180)。フラ
グFが値1であれば、サスペンション特性がハードに切
り換えられていたと判断できるから、カウンタCを値1
だけインクリメントして(ステップS190)、このカ
ウンタCの値が予め設定した所定値Tより大きいか否か
の判断を行なう(ステップS200)。カウンタCの値
が所定値T以下であれば、サスペンション特性の切り換
えは行なわず、サスペンションをそのままハードに制御
する(ステップS170)。
【0030】一方、カウンタCの値が所定値Tを上回っ
ていれば、フラグFを値0にリセットし(ステップS2
10)、その後サスペンション特性をソフトに制御して
(ステップS220)、リターンに抜けて本ルーチンを
終了する。なお、最初からフラグFが値0であれば、サ
スペンション特性をそのままソフトにする制御が継続さ
れる(ステップS180,220)。車輪速度の変動量
の減算値△Vwが閾値Vref 以下となってもフラグFが
値1の場合、サスペンション特性を直ちにソフトに切り
換えないのは、変動量の僅かな増減で、減衰力可変アク
チュエータ31ないし34の無用な切り換えを行なわせ
ないためであり、結果的にアクチュエータの作動頻度を
無用に増大させないためである。カウンタCの使用に代
えて、あるいはカウンタCと併用して、一旦サスペンシ
ョン特性をハードに切り換えた後は、閾値Vref を所定
量だけ小さな値に設定する構成を採り、サスペンション
特性の切換にいわゆるヒステリシスを持たせて、サスペ
ンション特性の切換頻度を低減することも考えられる。
【0031】以上、説明した実施例のロール検出装置お
よびサスペンション制御装置によれば、車両におけるロ
ールの発生を、車体の加速度センサやヨーレイトセンサ
を用いることなく、正確に検出し、ロールが生じたと
き、サスペンション特性をハードを切り換えて、乗り心
地を改善することができる。また、左右の車輪速度の変
動量△VWL,△VWRの減算値△Vwを用いて、即ち左右
輪の速度変動の逆相成分を抽出して判断を行なっている
ので、ロールの発生を正確に判断することができる。例
えば、図6に示すように、両輪21,22の車輪速度が
逆相で変動する場合には、サスペンション特性をハード
に切り換え、あおりやピッチングにより左右輪の車輪速
度が同じように変動した場合には、切り換えを行なわな
い。従って、サスペンション特性の無用な切換を生じる
ことがなく、減衰力可変アクチュエータ31ないし34
の動作頻度を低減し、装置の信頼性を高めている。
【0032】特に、本実施例では、運転者のハンドル操
作によらずに生じるロール、即ち横風や低μ路などの外
乱によるロールの発生を確実に検出することができ、こ
れに対してサスペンション特性をハードに切り替えるこ
とで、乗り心地を良好に保っている。従来、こうした外
乱によるロールの発生は、横加速度センサ等なしでは検
出できなかった。なお、ハンドル操作に起因するロール
の発生に対しては、本実施例の構成でサスペンション特
性を切り替えてもよいが、操舵角と車速とに基づく従来
のサスペンション制御と組み合わせても差し支えない。
【0033】この他、本実施例では、車輪速度センサ4
6,48を、制動力制御と共用することができるので、
部品点数や組み付け工数、コストの低減を図ることがで
きる。また、処理をソフトウェアにより実現しているの
で、減衰力可変アクチュエータ31ないし34と車輪速
度センサ46,48を搭載した既存の車両では、ソフト
ウェアを変更するだけで、新たなサスペンション制御を
実現でき、資源の有効利用にも資することができる。
【0034】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。第2実施例のロール検出装置およびサスペンショ
ン制御装置は、図7に示すように、サスペンションコン
トロール装置70の内部に、ディスクリートな電子回路
を組み込み、第1実施例の判断と制御をハードウェアに
より実現したものである。この検出装置およびサスペン
ション制御装置は、図示するように、カットオフ周波数
が4Hzであり車輪速度センサ46,48からの信号を
入力するロウパスフィルタ302,304、ロウパスフ
ィルタ302,304にシリーズに接続されたカットオ
フ周波数0.5Hzのハイパスフィルタ306,30
8、ハイパスフィルタ306,308の出力を減算する
減算回路310、減算回路310の出力と閾値Vref と
を比較する比較器312、比較器312の出力がセット
端子Sに接続されたR−Sフリップフロップ314、R
−Sフリップフロップ314の出力に基づいて減衰力可
変アクチュエータ31ないし34を駆動する駆動回路3
16、比較器312の出力をインバータ318で反転し
た信号により起動されその出力がR−Sフリップフロッ
プ314のリセット端子Rに接続されたタイマ320、
から構成されている。
【0035】図7に示す装置によれば、第1実施例と同
様に、左右の前輪21,22の車輪速度VFL,VFRから
0.5ないし4Hzの帯域の振動成分(変動量)のみを
抽出し、両者を減算した信号を閾値Vref と比較して、
変動量の減算値が所定レベルを越えた場合に、減衰力可
変アクチュエータ31ないし34を駆動してサスペンシ
ョン特性をハードに切り換える。また、変動量の減算値
が閾値Vref 以下となった場合には、タイマ320によ
る遅延時間の経過後に、R−Sフリップフロップ314
を切り換えて減衰力可変アクチュエータ31ないし34
を駆動する。
【0036】従って、本実施例によれば、第1実施例と
同様に、車両のバネ上挙動の一つであるロールの発生を
車輪速度から正確に検出し、サスペンション特性を切り
換えて乗り心地を良好に保つことができる。また、本実
施例では、バネ上共振周波数近傍の変動量を抽出するの
に、ハイパスフィルタ,ロウパスフィルタを利用してい
るので、構成が極めて簡易にできるという利点がある。
しかも、ハードウェアにより構成しているので、バネ上
挙動の検出、サスペンション特性の切換をより高速に行
なうことができる。
【0037】以上本発明のいくつかの実施例について説
明したが、本発明のこうした実施例に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例え
ば検出装置において車輪速度の変動量の逆相成分を抽出
するのに、両変動量△VWL,△VWRを作動増幅器に入力
し、逆相成分を増幅する構成などをとることができる。
更に、4輪すべてに車輪速度センサを設け、前後の左輪
21,23の回転速度の変動量の和(もしくは平均)と
前後の右輪22,24の回転速度の変動量の和(もしく
は平均)とを求め、両者の偏差を用いて判断を行なうこ
とにより、ロールの発生を一層精度良く検出することが
できる。なお、サスペンション制御装置としては、減衰
力制御に代えてバネ定数の制御、姿勢制御、アクティブ
サスペンションの制御に適用することも可能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明のロール検出
装置によれば、ロールの発生を、左右輪の車輪速度に基
づいて正確に検出することができる。特に、横風や低摩
擦係数路面などの外乱によるロールのように、従来車体
の加速度センサなしでは検出できなかったロールの発生
を確実に検出することができる。従って、加速度センサ
やヨーレイトセンサを用いる必要がなく、検出手段の共
用やコストの低減を図ることができる。また、逆相成分
を用いて判断を行なっているので、片方の車輪にのみ影
響を与える路面の状態によって、サスペンション特性を
切り換える条件を誤判断することがない。従って、サス
ペンション特性の無用な切換を生じることがなく、サス
ペンション特性を切り換えるアクチュエータの動作頻度
を低減し、装置の信頼性を高めることができる。
【0039】一方、本発明のサスペンション制御装置に
よれば、車体にロールを生じている場合、左右輪の車輪
速度の変動量に基づいてこれを検出し、サスペンション
特性を固めに変更して、乗り心地を改善することができ
る。特に、横風や低摩擦係数路面などの外乱によるロー
ルのように、従来車体の加速度センサなしには検出でき
なかったロールの発生を確実に検出して、サスペンショ
ン特性を制御することができる。従って、加速度センサ
やヨーレイトセンサを必要とせず、検出手段の共用やコ
ストの低減を図ることができ、構成を簡略にして信頼性
を向上させることができるという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成を例示するブロック図であ
る。
【図2】本発明の第1実施例としてのサスペンション制
御装置とこれに用いる検出装置を搭載した車両における
各部材の配置を示す説明図である。
【図3】サスペンションコントロール装置70を中心と
した構成を示すブロック図である。
【図4】サスペンションコントロール装置70における
サスペンション制御ルーチンの一部を示すフローチャー
トである。
【図5】図4と共にサスペンション制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図6】左右輪の速度の変動量△VWL,△VWRとその減
算値△Vwとの関係およびサスペンション特性の切換の
様子を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施例の構成を示す回路ブロック
図である。
【符号の説明】
M1,M2,N1,N2…第1,第2の車輪速度検出手
段 M3,M4,N3,N4…第1,第2の車輪速変動量抽
出手段 M5…ロール演算手段 N5…特性変更手段 SC…サスペンション 21,22…前輪 23,23…後輪 31ないし34…減衰力可変アクチュエータ 41ないし44…車高センサ 46,48…車輪速度センサ 52…前輪ハイトコントロールバルブ 54…後輪ハイトコントロールバルブ 60…ステアリングセンサ 66…スピードセンサ 70…サスペンションコントロール装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一丸 英則 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 榎本 高明 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 香川 泰広 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 國島 和俊 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 津田 里実 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後軸回りの回転運動を検出する
    ロール検出装置であって、 車両左右の車輪速度を各々検出する第1,第2の車輪速
    度検出手段と、 該検出された左右の車輪速度に基づいて、左右輪各々に
    ついてのバネ上共振周波数領域の車輪速度の変動量を求
    める第1,第2の車輪速変動量抽出手段と、 該求められた左右輪についての変動量の逆相成分に基づ
    いて、車両前後軸周りの回転運動の大きさを演算するロ
    ール演算手段とを備えたロール検出装置。
  2. 【請求項2】 車輪と車体とを連結するサスペンション
    の特性を変更可能なサスペンション制御装置であって、 車両左右の車輪速度を各々検出する第1,第2の車輪速
    度検出手段と、 該検出された左右の車輪速度に基づいて、左右輪各々に
    ついてのバネ上共振周波数領域の車輪速度の変動量を求
    める第1,第2の車輪速変動量抽出手段と、 該求められた左右輪についての変動量の逆相成分が大き
    いほど、前記サスペンションの特性を固めに変更する特
    性変更手段とを備えたサスペンション制御装置。
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