JPH05312981A - 原子炉の炉心 - Google Patents

原子炉の炉心

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JPH05312981A
JPH05312981A JP4120389A JP12038992A JPH05312981A JP H05312981 A JPH05312981 A JP H05312981A JP 4120389 A JP4120389 A JP 4120389A JP 12038992 A JP12038992 A JP 12038992A JP H05312981 A JPH05312981 A JP H05312981A
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fuel
core
steam
enrichment
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JP4120389A
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Masatoshi Kawashima
正俊 川島
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Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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Abstract

(57)【要約】 【目的】蒸気冷却高速中性子スペクトル炉の冠水時の炉
停止余裕の増大、運転時にTRU消滅に寄与する。 【構成】炉心燃料集合体12の一部をマイナーアクチノイ
ド富化率の高い燃料棒を含む燃料集合体13で置き換え、
炉心燃料集合体12の外側にブランケット集合体7を配置
し、ブランケット集合体7の外側に中性子吸収体8を配
置する。マイナーアクチノイド核種の入れ方は蒸気密度
の低い位置で高くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水蒸気を冷却材として利
用する蒸気冷却高速中性子スペクトル型原子炉の炉心に
関する。
【0002】
【従来の技術】ウラン,プルトニウムを燃料とする熱中
性子炉から取出される使用済燃料中にはネプツニウムN
p237 ,アメリシウムAm241 ,キュリウムCm242 ,
Cm243 ,Cm244 等のアクチノイド核種が含まれてお
り、同時にプルトニウム、残留ウラン等が含まれてい
る。これらの核種は回収し、再利用するか、または高レ
ベル放射性廃棄物として処理し、貯蔵されることにな
る。
【0003】これらのウラン,プルトニウム,ネプツニ
ウム,アメリシウム等のアクチノイド核種はそれぞれの
核種等に中性子エネルギーの関数として固有の核断面積
を有しており、この性質を利用して原子炉内で核分裂反
応を行わせ、燃料としての利用、中性子の捕獲反応によ
り核分裂能力の大きい核種への変換をさせる親物質とし
ての利用などが議論されている。その典型例がいわゆる
TRU消滅処理炉であり、高速スペクトル炉では効率良
く燃料としての利用ができることは多数報告されてい
る。また、炉心特性の改善にも役立つことが報告されて
いる。
【0004】さらに、熱中性子炉においては中性子との
捕獲断面積、核分裂断面積が高速中性子に対するそれら
の反応断面積より大きいことを利用して炉心特性の改良
ができることも知られている。
【0005】水を主な冷却材とするいわゆる沸騰水型、
加圧水型炉等においては上記のアクチノイドを燃料棒の
一部として燃料集合体に配置する場合は、プルトニウム
混合酸化物燃料ピンを用いる燃料集合体設計と同じ手法
で最適化をすることが可能であり、このような点で水を
冷却材とする炉心については集合体を構成する多数の燃
料棒の一部にネプツニウム,アメリシウム,キュリウム
を富化した燃料棒を配置する場合は、プルトニウム燃料
集合体設計と同一の技術を適用して行えることは明白で
ある。
【0006】高速中性子スペクトル型炉心については、
ナトリウム冷却炉においてネプツニウム,アメリシウ
ム,キュリウム(以下、MAと記す)を富化した燃料棒
の燃料集合体内の配置については、運転時炉心特性改
良、MAの有効利用、消滅の観点から、例えば特願平1-
219039号「燃料集合体及び原子炉の炉心」に提案されて
いる。
【0007】以上のように従来は熱中性子炉、ナトリウ
ム冷却高速炉においてある程度の技術が知られている
が、水蒸気を主とする冷却材とする原子炉の燃料集合体
中の燃料棒にMA核種を富化した燃料を入れる場合の技
術は知られていない。
【0008】また、核分裂に伴う多数の核分裂生成物
(FP)の中には、半減期が非常に長いテクネチウム9
9,ヨウ素129 が含まれる。これらの超長半減期核種は
使用済燃料の再処理後の廃棄物として管理貯蔵が行われ
ており、安全な場所への処分が行われる予定になってい
るが、その半減期が 200万年と長いことから処分量が少
なくなることは望ましいと考えられる。これらの核種は
中性子捕獲により短半減期化し安定化する。
【0009】この中性子捕獲は高速中性子に対しては小
さく、熱中性子に対しては大きくなることが知られてい
る。この性質のためにテクネチウム99,ヨウ素129 は熱
中性子束が高いところに置くのが消滅量の増大の観点で
有効という一般的な技術事項はあるが、原子炉への装荷
という点では従来例は少ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ウランの有効利用のた
めには原子燃料サイクルを完成させることが肝要であ
り、我国の燃料サイクルの開発もその方向で進んでい
る。そこではプルトニウムを回収して燃料とすることが
中心となるが、プルトニウム以外にNp,Am,Cmが
含まれているので、その扱いも重要である。
【0011】MA核種を分離して、燃料としては高純度
Puを使用し、MAは別途Puと混合する方法などが考
えられる。また、MA混合燃料開発までの期間に高レベ
ル廃棄物用に貯蔵されていた廃液などからMAを分離回
収し、燃料に富化することも考えられる。
【0012】このように、MAを利用することはNp23
7 ,Am241 のように 200万年,4000万年と長い半減期
を有する物質を短寿命化できることになる。これらのM
Aは燃料またはその親物質としての性質を有しているの
で燃料棒として炉心に装荷することは有利であり、ウラ
ン,プルトニウムと異なる核的な特性を活用して炉心特
性を改善することと同時に行う。
【0013】水蒸気冷却の原子炉は、出力運転時は炉心
は蒸気で冷却され、燃料交換時または炉停止時は冠水し
ている。このとき、燃料,制御棒の交換時を含め、冠水
時の炉停止余裕を十分に確保することは炉の安全性の観
点で重要である。
【0014】これは、温度低下による反応度効果、燃料
まわりが水蒸気から水になることによる中性子漏れの減
少などによる反応度効果をカバーする反応度が制御棒挿
入などによらず炉心固有の特性として具備しているこ
と、またはその能力を向上させることにより達成され
る。
【0015】上述のようにMAを燃料,親物質として活
用することは超長寿命半減期核種を消滅することになる
が、一方、核分裂生成物テクネチウム99,ヨウ素129 の
ような超寿命FPも消滅することも同時に行われること
が超長寿命廃棄物量低減のためには必要である。
【0016】したがって、1つの原子炉の運転で生成,
消滅を行い一方的な蓄積につながる運転は避けることが
望ましい。これは原子力発電規模が増大してる状態では
特に重要と考えられる。
【0017】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、水蒸気冷却高速スペクトル炉の冠水時の炉停
止余裕の増大、炉運転時にマイナーアクチノイド核種の
消滅に寄与し、超長寿命半減期核種を短寿命化させ消滅
処理を行って炉心の特性を向上させる原子炉の炉心を提
供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は水蒸気を主な除
熱用の冷却材とする燃料集合体が多数装荷されてなる原
子炉の炉心において、前記燃料集合体内の燃料棒の少な
くとも一部にはネプツニウム,アメリシウム,キュリウ
ム等のマイナーアクチノイドの超ウラン元素が富化され
ており、前記燃料集合体は燃料棒間を軸方向に流れる水
蒸気により冷却されることを特徴とする。
【0019】
【作用】水蒸気冷却炉は例えば13MPaの圧力条件で、
飽和蒸気が入口温度 331℃,出口温度 550℃とすると、
定格運転時の水蒸気密度は約0.06g/ccから約0.03g/
ccへの変化が炉内の分布として生ずる。この違いを考慮
してMA添加率を高くし有効利用をはかり、炉心特性の
改善ができる。
【0020】また、MAの主成分Np237 ,Am241 な
どの長寿命(半減期)核種を消滅促進ができる。さら
に、水蒸気冷却炉であることを活用して中性子しゃへい
体領域でTc−99,I−129 の消滅を促進でき、しかも
交換回数が少ない長時間の照射によりTc−99,I−12
9 の取扱量を最小化し、消滅量を最大化できる。
【0021】
【実施例】図1から図6を参照しながら本発明に係る原
子炉の炉心の一実施例を説明する。図1は高速中性子ス
ペクトル型蒸気冷却炉の基本概念を示しており、図1中
符号1は上下両端が密閉された炉容器で、この炉容器1
内にはシュラウド2および炉心支持板3が設けられ、炉
心支持板3に炉心6が設置されている。炉心6には炉容
器1の頂部から挿入されグリッド板5を貫通する制御棒
ドライブライン4が設けられている。炉心6は炉心燃料
集合体12、ブランケット集合体7および中性子しゃへい
体8が配置されたものからなっている。
【0022】炉容器1の上部側面には蒸気入口配管9が
接続され、また、シュラウド2の上部側面および炉容器
1の側面を貫通して蒸気出口配管10が接続されている。
炉心支持板3と炉容器1の底面との間にはプレナム11が
形成されている。
【0023】炉心6は図2に拡大して示したように炉心
燃料集合体12、ブランケット集合体7および中性子しゃ
へい体8からなっている。すなわち、炉心燃料集合体12
の外側をBで示すブランケット集合体7が取り巻いてお
り、ブランケット集合体7の外側を中性子しゃへい体8
が取り巻いている。炉心燃料集合体12の一部は後述する
MA富化率の高い燃料棒を含む燃料集合体13で置き換え
られている。なお、図中符号14は制御棒位置を示してい
る。
【0024】炉心燃料集合体12は図3および図4に示し
たように構成されている。なお、図4は図3のA−A矢
視断面を拡大して示している。
【0025】すなわち、六角形の角筒状ラッパ管15内に
は燃料棒16が多数本束ねられて配置され、ラッパ管15の
下部には蒸気入口部17を有するエントランスノズル18が
接続され、ラッパ管15の上部には蒸気出口部19を有する
ハンドリングヘッド20が接続されている。ラッパ管15内
の燃料棒16は図4に示したようにラッパ管15の内側に近
い部分にMA富化率の高い燃料棒16aが配列され、この
燃料棒16aの内側にMA富化率が低いかまたはゼロの燃
料棒16bが配列されている。
【0026】図5(a)はMA富化率の高い燃料棒16a
の例を示しており、図5(b)はMA富化率が低いかま
たはゼロの燃料棒16bを示している。すなわち、図5
(a)および(b)において符号21は被覆管で、この被
覆管21の上下両端は上部端栓22および下部端栓23により
密封され、上部端栓22側にはスプリング24が、下部端栓
23側にはガスプレナム25が設けられている。ガスプレナ
ム25の上方には下部ブランケット26が、スプリング24の
下方には上部ブランケット27が充填されている。ここ
で、MA富化率の高い燃料棒16aにおいては下部ブラン
ケット26と上部ブランケット27との間にMA低(無)富
化燃料29とMA高富化燃料30が充填されている。また、
MA富化率が低いかまたはゼロの燃料棒16aにおいては
通常の燃料28が充填されるか、またはMA富化率の低い
燃料が充填される。
【0027】図6(a)〜(b)は図2におけるブラン
ケット集合体7を示している。すなわち、ブランケット
集合体7は六角筒状のラッパ管31の上端にはハンドリン
グヘッド32が、下端にはエントランスノズル33が接続さ
れている。また、ラッパ管31の外周面には上方から上部
スペーサパッド34、中間部スペーサパッド35、下部スペ
ーサパッド36が固定されている。ハンドリングヘッド32
には冷却材の蒸気流出孔37が形成されている。
【0028】ラッパ管31内には円筒状案内管38と、この
案内管38内に蒸気流路39を有して同心的に円筒状保護管
40が挿入されており、この保護管40内にTc−99,I−
129を含むピン(以下、ピンと記す)41が複数本配置さ
れている。各ピン41間には水領域42が形成されている。
【0029】ピン41は図6(c)に示した構造になって
いる。すなわち、被覆管43の上下両端は上部端栓44およ
び下部端栓45によって密封されており、被覆管43の外面
には上部端栓44から下部端栓45にわたり螺旋状に巻回さ
れたワイヤスペーサ46が設けられている。また被覆管43
内には上方からスプリング47,Tc−99とI−129 を含
む物質48およびステンレス鋼製スペーサ49が配置されて
いる。
【0030】上記構成の炉心を収容した水蒸気冷却炉に
おいて、炉停止時には、炉心は冠水させる。炉運転時に
は圧力13MPaで、入口の蒸気温度 331℃の飽和蒸気が
供給され、出口の蒸気温度は平均 550℃とする。冷却材
は炉心6部の下方から供給される。
【0031】なお、図1における蒸気冷却炉は冷却材と
しての飽和蒸気発生装置としての沸騰水型原子炉のよう
な部分は図示していないが、飽和蒸気は蒸気入口配管9
から供給され、過熱蒸気は蒸気出口配管10からタービン
側へ供給される。
【0032】供給される蒸気(低温側)は炉容器1に沿
って下方に流れ、プレナム11部を経由して炉心6部で過
熱されシュラウド2内は高温蒸気に過熱される。高温過
熱蒸気は蒸気出口配管10に達する。
【0033】炉心6部は燃料集合体12,13、ブランケッ
ト集合体7、制御棒ドライブライン4からなる。シュラ
ウド2は永久構造物であるので炉心6側からの高速中性
子照射を制限範囲内とするために中性子しゃへい体8が
配置されている。中性子しゃへい体8の構造はブランケ
ット集合体7とほぼ同様である。
【0034】炉心停止時には炉心は冠水状態となるが、
それはここには図示されていない配管により水が注入さ
れる。この点、運転時と冠水時の炉心の中性子スペクト
ルの違いは大きくなる。高速スペクトル炉であるナトリ
ウム冷却炉、ガス炉と異なる点である。沸騰水型原子炉
とも異なるところである。
【0035】出力運転状態の炉心設計では蒸気密度の変
化に炉心の反応度が小さくなるように設計されることが
考えられる。蒸気で冷却する運転時にはウラン,プルト
ニウム燃料の場合にも、MAを含んだ燃料の場合にも高
速スペクトル炉心では本質的な違いは小さくできる。
【0036】冠水時には中性子スペクトルが異なるが、
燃料棒ピッチ、集合体ピッチ、燃料体積比濃縮度、Pu
富化度などに依存した反応度を持つことになる。また、
運転中に何らかの原因で注水事故が生じ、制御棒吸収体
が不挿入というATWS事象を想定しても炉に負反応度
が挿入される必要がある。
【0037】前述のようにMAを含む燃料棒を有するこ
とで、一層の負の反応度がはいるので、冠水時、注水時
の炉の反応度を低減させるので炉の安全性を増強させる
ことができる。
【0038】MA富化率の高い燃料棒を含む燃料集合体
13内の配置については、図4のように構成することによ
り燃料集合体の周辺部で冠水時に水の多い領域にMAが
近いので少ない本数で冠水時の負の反応度を投入でき
る。
【0039】なお、炉心燃料集合体12は図3に示したよ
うに下部の蒸気入口部17から蒸気がラッパ管15内に流入
する構造になっている。また、逆にMAをより多く富化
した燃料棒を集合体中心に置く場合は、このような燃料
集合体を多数装荷する場合に有効である。
【0040】Pu富化度、ウラン濃縮度はMAを含む燃
料棒のものと他のものを同一とすることは可能であり各
設計により数適化可能である。親物質を含むブランケッ
ト集合体7を利用することは、設計対象の設計のオプシ
ョンの1つとして増殖化などの炉心特性要求との関係で
有効である。この場合にも図4のように配置することが
できる。
【0041】MAの富化割合を軸方向に分布させる場合
は、図6(a)に示したように上部領域にMA高富化燃
料30を配置する。蒸気密度が高い燃料下部ではNp237
,Am241 量を少なくすることが反応度へのインパク
トを最小とし、Pu,濃縮ウランへの濃縮度増加要求な
どを緩和できる。
【0042】これまでは図1に示すように飽和蒸気発生
炉(沸騰水型炉)と蒸気冷却炉を同一の炉容器内に配置
する図7に例示する一体型蒸気冷却炉においても、図7
では上部に配置されている過熱部の燃料棒部において
も、これまで説明したMA添加燃料棒を配置することが
できる。
【0043】図6は、Tc−99,I−129 消滅機能を持
たせた水内蔵中性子しゃへい体は図6のように示され
る。中性子しゃへい体も炉心燃料集合体と同様にラッパ
管に構造材と水が高速中性子のしゃへい材である。Tc
−99,I−129 を有効に消滅させるために中性子スペク
トルを軟化させる水の内部にピン形状で配置する。
【0044】図7(a)は一体型蒸気冷却炉の基本概念
を示す斜視図で、図7(b)は冷却材の流れを示してい
る。すなわち、六角筒状の炉容器60内に下方から上方へ
向けて水供給部51、蒸気発生炉心55、蒸気発生炉心55、
水・蒸気分離領域58および蒸気冷却炉心56が設けられて
いる。蒸気発生炉心55には沸騰部燃料棒57が、蒸気冷却
炉心56には過熱部燃料棒59がそれぞれ配列されている。
【0045】ここで、図7(b)に示したように水供給
部51から蒸気発生炉心55に流入した冷却材は加熱されて
沸騰し、蒸気発生炉心55上で沸騰水の流れ52と飽和蒸気
53とに分かれる。飽和蒸気53は蒸気冷却炉心56を通過し
過熱蒸気54となって流出することになる。
【0046】炉心設計によっては、ブランケット型集合
体を利用することが可能で、その場合は上述した構成の
燃料集合体を使用する。炉心は、この当該集合体以外の
燃料を装荷することで構成される。MAの富化割合を高
くした燃料棒を集合体内の径方向に配置する際には、中
性子スペクトルの硬い中心部におくことが運転時の特性
改善の点では有効である。
【0047】一方、炉心の固有の特性によって、冠水時
の炉停止余裕を増大させるためには、冠水による中性子
スペクトルの軟化する影響を受ける位置にMA富化率を
高くした燃料棒を配置することが、その燃料棒の局所的
k∞が低下するので炉の反応度は低下する。
【0048】それは集合体内の水は通常一本の燃料棒当
りの水領域の面積は周辺が多く、また集合体まわりの水
によるスペクトル軟化の影響が大きくなる。一方、出力
運転中は、蒸気となることでスペクトルが硬くなりMA
のk∞のスペクトル依存性から影響は小さくなるという
特徴を利用している。
【0049】MAと合せて、超長寿命FPを中性子捕獲
反応により短寿命化・安定化させることは核分裂炉の運
転に伴うテクネチウム99,ヨウ素129 の全インベントリ
ーの増加の抑制にとって重要と考える。中性子スペクト
ル場によってTc−99,I−129 の中性子吸収断面積は
大きく変化するといわれている。
【0050】
【0051】このように、軟化したスペクトル場で高い
中性子束レベルであることが消滅率向上には重要であ
る。また照射時間を長くすることは有効である。
【0052】炉心内にTc−99,I−129 をあらかじめ
入れておくことは、初期量の消滅による減少という点で
は有効であるが、Tc−99,I−129 を入れることによ
る燃料体積比の低減など、また燃料は交換頻度が多く、
Tc−99,I−129 等の取扱回数が増大するなどの不利
な点もある。
【0053】水蒸気冷却炉ではもともと炉心まわりの永
久構造物への高速中性子照射量を低減させるために炉心
まわりには中性子しゃへい体が必要となる。水蒸気冷却
炉では水を集合体内に内蔵させることが容易であり、万
一水が漏れ出してもその影響は実質上なしとすることが
できる。
【0054】水を内蔵し、その水中に燃料ロッド形状の
棒にTc−99,I−129 を多量に含む物質を封入するこ
とで、中性子スペクトルの軟らかい位置に当該ロッドを
容易に設置できる利点がある。
【0055】すなわち、水蒸気を主な冷却材とする原子
炉の中性子しゃへい体領域に装荷する交換可能な中性子
しゃへい体においてしゃへい体用集合体内に水を有し、
その水中に浸るようにテクネチウム99,ヨウ素129 等の
超長寿命核分裂生成核種を含む棒状のピン束を配置す
る。
【0056】MA,Tc−99,I−129 の有効利用,消
滅を促進するためおよび炉心の炉停止能力を燃料物質の
固有の特性を活用して強化するために、前述した1種類
以上の燃料集合体を装荷して炉心を構成する。
【0057】通常の燃料,制御棒の取り換えなどの想定
時に、冠水時の負の反応度強化役のMA装荷集合体と制
御棒吸収体が隣接して負の干渉をしないようにMA燃料
棒装荷集合体と制御棒位置関係を考慮した炉心を構成す
る。すなわち、前述した燃料集合体を炉心の反応度制御
等に用いる制御棒吸収体を含む燃料集合体の位置に隣接
しないように装荷して炉心を構成する。
【0058】本発明に係るMAを富化した燃料を使用す
ることは、MAの一方的な蓄積を避け燃料サイクル全体
としてMA核種のリサイクルを行い、原子力発電容量の
増大等に伴うMA量の増大を抑制することができる燃料
集合体および炉心を提供するために、MAを含む燃料棒
からなる燃料集合体を水蒸気と主な冷却材とする原子炉
において使用する。
【0059】ウラン燃料を使用する熱中性子炉の運転で
生成される原子炉の使用済燃料中のMAはNp237 を主
成分としAm241 が次に多いことが知られている。これ
らの核種の炉内における特性は実効吸収断面積から次の
k∞値のように整理できる。
【0060】
【表1】
【0061】水蒸気冷却炉においても、熱スペクトル型
する場合は、本質的には水冷却炉と同様に燃料富化度を
調整することによりMA富化率と関連してウラン濃縮
度、プルトニウム富化度を上げることになる。
【0062】炉の中性子スペクトルの観点からは水蒸気
密度0.06g/cc〜0.03g/cc程度の高速中性子スペクト
ル型炉では、Np237 の中性子吸収で生成されるPu23
8 が基本的には正の反応度の物質であり、この影響で運
転に伴う燃焼反応度変化が低減するなど運転特性を向上
させることができる能力が示唆されている。したがっ
て、超長半減期核種Np237 の消滅と有効利用ができ
る。
【0063】以下、高速中性子スペクトル型炉心を用い
て説明する。上記のように水蒸気冷却高速スペクトル型
炉では、水蒸気の平均密度によりNp237 ,Pu238 ,
Am241 ,Am242mのk∞値は変化するが、水蒸気密度
が大きいとk∞値が低下する傾向にある。したがって、
冷却材温度によって密度が変化することに合せ、水蒸気
流入側はk∞が低くなる。
【0064】燃料棒の上下の運転時の反応度の違いを小
さくするようにするためにMAの富化率をつけることが
運転時の炉の反応度へのインパクトを最小化することに
なる利点が生ずる。すなわち、MAの富化率を高めた燃
料棒において、冷却材の流入部分のMA富化率を低く、
流出側で富化率を高くする。
【0065】上記のようにMA富化率を冷却材の流入側
/流出側で差をつけた場合に、運転特性を向上させるた
めに必要な燃料濃縮度、富化度分布をつけることによ
り、炉特性、濃縮度、富化度分布への要求を最小化でき
る。つまりMAの富化率の軸方向分布に合せて局所的な
反応度差を小さくするようにウラン,プルトニウムの富
化度を調整する。
【0066】MAの富化率を特定の複数の燃料棒に入れ
た場合は、他の燃料棒のPu富化度、ウラン濃縮度とす
ることは燃料製造上のメリットがある。MAの装荷した
ことによる影響は全体の燃料棒として富化度、濃縮度を
調整することができる。
【0067】また、MAを富化した燃料棒と、その他の
燃料棒に含まれるプルトニウム量は等価フィッサイル法
等の利用によりPu同位元素の異なる場合でも核的に同
等といえる範囲で同一のPu富化割合を有する。濃縮ウ
ランを使用する場合も同一の濃縮度とする。さらにMA
を富化した燃料棒と、その他の燃料棒のPu富化度また
はウラン濃縮度を異ならしめることができる。
【0068】次に本発明に係る原子炉の炉心の実施態様
を要約すれば次のとおりである。 (1) 水蒸気を主な除熱用の冷却材とする原子炉の炉心に
おいて、多数の燃料棒を束ねた燃料集合体内の少なくと
も一部の燃料棒に、ネプツニウム,アメリシウム,キュ
リウム等の超ウラン元素を富化した複数の燃料棒に含
み、これらの燃料棒間を軸方向に流れる流体による冷却
すること。
【0069】(2) 燃料集合体に含まれる燃料棒のうち少
なくとも半径方向周辺部に位置する複数の第1の燃料棒
で構成し、この第1の燃料棒中のマイナーアクチノイド
の割合を半径方向より内側に位置する複数の第2の燃料
棒のマイナーアクチノイドの割合よりも高くするか、M
A富化度の高い燃料棒を半径方向の周辺部に配置しない
こと。
【0070】(3) マイナーアクチノイドの富化率を高め
た燃料棒において冷却材の流入側部分のマイナーアクチ
ノイド富化率を低く、出口側でマイナーアクチノイド富
化率を高くするか、マイナーアクチノイド富化率の軸方
向分布に合せて局所的な反応度差を小さくするようにウ
ラン・プルトニウム富化度を調整すること。
【0071】(4) MAを富化した燃料棒と、その他の燃
料棒に含まれるプルトニウム量は、等価フィッサイル法
等の利用によりPu同位元素の異なる場合でも核的に同
等といえる範囲で同一のPu富化割合を有すること。濃
縮ウランを使用する場合も同一の濃縮度とする。MAを
富化した燃料棒とその他の燃料棒のPu富化度またはウ
ラン濃縮度が異なること。
【0072】(5) 第1または第2の燃料棒の燃料充填部
において、主として燃料親物質からなるブランケット燃
料を充填すること。
【0073】(6) 水蒸気を主な冷却材とする原子炉の中
性子しゃへい体領域に装荷する交換可能な中性子しゃへ
い体において、しゃへい用集合体内に水を有し、その中
にテクネチウム99,ヨウ素129 等の超長寿命核分裂生成
核種を含む棒状のピン束を前記水に浸漬するように配置
すること。
【0074】(7) 少なくとも1種類の集合体を装荷した
水蒸気を主な冷却材とし、燃料集合体を反応度制御等に
用いる制御棒吸収体を含む集合体位置に隣接しないよう
に装荷すること。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば水蒸気冷却高速中性子ス
ペクトル炉の冠水時の炉停止余裕の増大、運転時にマイ
ナーアクチノイド核種の消滅に寄与する。また、超長寿
命半減期核種を短寿命化させ消滅処理を行い、炉心の特
性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉の炉心を説明するための高
速中性子スペクトル型蒸気冷却炉を示す基本概念図。
【図2】本発明に係る原子炉の炉心の一実施例を示す平
面図。
【図3】図2における炉心の燃料集合体を示す縦断面
図。
【図4】図3における燃料集合体のA−A矢視断面を拡
大して示す横断面図。
【図5】(a)は図2における燃料集合体におけるMA
富化率の高い燃料棒を示す縦断面図、(b)は同じくM
A富化率が低いかまたはゼロの燃料棒を示す縦断面図。
【図6】(a)は図2における炉心のブランケット集合
体を示す斜視図、(b)は(a)のB−B矢視断面を拡
大して示す横断面図、(c)は(a)におけるピンを一
部断面で示す斜視図。
【図7】(a)は一体型蒸気冷却炉の基本概念を示す斜
視図、(b)は(a)に対応した冷却材の流れを示す模
式図。
【符号の説明】
1…炉容器、2…シュラウド、3…炉心支持板、4…制
御棒ドライブライン、5…グリッド板、6…炉心、7…
ブランケット集合体、8…中性子しゃへい体、9…蒸気
入口配管、10…蒸気出口配管、11…プレナム、12…炉心
燃料集合体、13…MA富化率の高い燃料棒を含む燃料集
合体、14…制御棒位置、15…ラッパ管、16…燃料棒、17
…蒸気入口部、18…エントランスノズル、19…蒸気出口
部、20…ハンドリングヘッド、21…被覆管、22…上部端
栓、23…下部端栓、24…スプリング、25…ガスプレナ
ム、26…下部ブランケット、27…上部ブランケット、28
…通常の燃料、29…MA低(無)富化燃料、30…MA高
富化燃料、31…ラッパ管、32…ハンドリングヘッド、33
…エントランスノズル、34…上部スペーサパッド、35…
中間部スペーサパッド、36…下部スペーサパッド、37…
蒸気流出孔、38…案内管、39…蒸気流路、40…保護管、
41…ピン、42…水領域、43…被覆管、44…上部端栓、45
…下部端栓、46…ワイヤスペーサ、47…スプリング、48
…Tc−99とI−129 を含む物質、49…ステンレス鋼製
スペーサ、50…一体型蒸気冷却炉、51…水供給部、52…
沸騰水の流れ、53…飽和蒸気、54…過熱蒸気、55…蒸気
発生炉心、56…蒸気冷却炉心、57…沸騰部燃料棒、58…
水・蒸気分離領域、59…過熱部燃料棒、60…炉容器。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水蒸気を主な除熱用の冷却材とする燃料
    集合体が多数装荷されてなる原子炉の炉心において、前
    記燃料集合体内の燃料棒の少なくとも一部にはネプツニ
    ウム,アメリシウム,キュリウム等のマイナーアクチノ
    イドの超ウラン元素が富化されており、前記燃料集合体
    は燃料棒間を軸方向に流れる水蒸気により冷却されるこ
    とを特徴とする原子炉の炉心。
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