JP2011047959A - 燃料集合体 - Google Patents

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Abstract

【課題】軽水炉の経済性を損なうことなく安全余裕をさらに増大させることが可能な燃料集合体を提供する。
【解決手段】再処理で得られた核燃料物質を含んでおり且つ燃焼度ゼロの時点で含まれている全てのTRU中に占めるPu−239の割合が5%以上40%未満の範囲にある複数の燃料集合体が、BWRの炉心に装荷されている。これらの燃料集合体は、燃料有効長内において、上端より、上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7及び下部燃料領域8を形成し、下部ブランケット領域を有していない。原子炉の定格運転中、安全棒の中性子吸収材充填領域の上端が下部燃料領域8の下端の位置にある。上部ブランケット領域5Aの高さは30mmである。
【選択図】図22

Description

本発明は、燃料集合体に係り、特に、沸騰水型原子炉に適用するのに好適な燃料集合体に関する。
多くの同位元素があるアクチニド核種は、軽水炉の炉心内に装荷された燃料集合体内の核燃料物質に含まれた状態で炉心内にて燃焼されるとき、中性子捕獲や核崩壊等の種々の核反応により、同位元素間を順次移行する。アクチニド核種では、共鳴領域及び熱中性子に対して大きな核分裂断面積を有するいわゆる奇数核、及び高速中性子に対してのみ核分裂するいわゆる偶数核が存在するため、一般に燃焼とともに燃料集合体に含まれたアクチニド核種の各同位元素の存在割合が大きく変化する。この存在割合の変化は、炉心内における燃料集合体の装荷位置での中性子エネルギースペクトルに依存することが知られている。
現在の軽水炉は、低濃縮ウランを核燃料として使用している。しかしながら、天然のウラン資源は有限であるので、軽水炉に用いられる燃料集合体を、ウラン濃縮時の残渣である劣化ウランに、軽水炉の使用済み燃料集合体から抽出された超ウラン核種(以下、TRUという)を富化した核燃料物質を用いるリサイクル型燃料集合体に順次置き換えていく必要がある。商用炉が必要であると予想されるかなり長い期間にわたってTRUは有効な資源としてリサイクルされ、その間、常にTRUの量が増加するかほぼ一定に保たれていることが必要である。現在商用炉の大部分を占めている軽水炉で、核燃料の燃焼を通じて核分裂性Pu 量が増加またはほぼ一定である増殖炉を実現する技術が、特許文献1に記載されている。特許3428150号公報及びR.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Evaluation of Emerging Nuclear Fuel Cycle Systems. GLOBAL ’95 Versailles, France, September, 1995, P.938に記載されている増殖炉を実現した軽水炉は、複数の燃料棒を三角格子で稠密に配列した、横断面が六角形をしている複数の燃料集合体を、炉心に配置している。この軽水炉の炉心は、燃料棒の稠密配置によって燃料棒周りの水の量を少なくして共鳴及び高速エネルギー中性子の割合を増やすとともに、TRUの混合酸化物燃料領域の高さを低くしてその上下に劣化ウランのブランケット領域を配置し、安全基準である負のボイド係数を維持している。その炉心は、G. A. Ducat et al., “EVALUATION OF THE PARFAIT BLANKET CONCEPT FOR FAST BREEDER REACTORS”, MITNE-157, January, 1974に記載されたパッフェ型炉心の概念を適用して炉心部を二段重ねとして経済性を確保しつつ、増殖比を1以上にしている。
TRUをリサイクルするためには使用済み燃料の再処理が不可欠である。しかしながら、民生用のTRUが大量破壊兵器に転用される恐れから核不拡散に対する要求がますます厳しくなり、TRUリサイクル時の制約が厳しくなってきている。
また、将来のいつの日かに、核分裂炉に代わるより優れた発電システムが実用化されるときが必ず来るので、その時にはTRUは濃縮ウランに相当するきわめて有用な核燃料から厄介ものの長寿命廃棄物に成り下がることになる。したがって、TRUの処分方法を準備することが原子力開発の最重要課題になっている。
R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725には、使用済み核燃料を再処理して得られたTRUを新たな核燃料として再利用するリサイクルを繰り返し行う多重イサイクルを実現するために、TRUの各同位元素の存在割合をほぼ一定に保ってTRUをリサイクルする軽水増殖炉及びTRU消滅炉を提案している。この軽水増殖炉は、TRU量を一定に保持しもしくは増加する状態でリサイクルし、高燃焼度化及び核拡散抵抗性を高めた燃料集合体を装荷した炉心を有している。TRU消滅炉は、軽水炉がその使命を終えたときにTRUが超寿命放射性廃棄物になることを避けるために、TRUを核分裂で減少させながらTRUを順次集約し、最後の一炉心分を除いて全てのTRUを核分裂させる原子炉である。
特許3428150号公報
R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Evaluation of Emerging Nuclear Fuel Cycle Systems. GLOBAL ’95 Versailles, France, September, 1995, P.938 G. A. Ducat et al., "EVALUATION OF THE PARFAIT BLANKET CONCEPT FOR FAST BREEDER REACTORS", MITNE-157, January, 1974 R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725
R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Evaluation of Emerging Nuclear Fuel Cycle Systems. GLOBAL ’95 Versailles, France, September, 1995, P.938に記載されているTRUをリサイクルする軽水炉では、異常な過渡変化及び事故等の設計基準を満たすために十分な安全余裕を持ってTRU量を一定に保ってシード燃料として有効利用し、すべての劣化ウランを燃焼させることにより、エネルギー長期安定供給を実現し、核分裂炉がその使命を終えてTRUが不要になったときにTRUを全て核分裂させてTRUが超寿命廃棄物になることを防ぐことが出来るリサイクル炉が実現可能となった。一方、近年、安全に対する考え方をますます厳しくする動きがあり、例えば何らかの原因で炉心流量が急激に低下した時に制御棒全数挿入不能という複合事象時等の設計基準の枠外の事故(Anticipated Transient Without Scram(ATWS):スクラムなしの過渡事象)にも十分対応できる安全余裕を持つ、より安全ポテンシャルが高い炉心が求められている。
本発明の目的は、軽水炉の経済性を損なうことなく安全余裕をさらに増大させることが可能な燃料集合体を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、軽水炉の炉心に装荷される燃料集合体が、燃焼度ゼロのとき、この燃料集合体に含まれる全ての前記超ウラン核種中に占めるPu−239の割合が5%以上40%未満の範囲内にあり、上部ブランケット領域の高さが20mm以上100mm以下の範囲内にあり、及び燃料領域の下端が燃料有効長の下端に一致していることにある。
このような本発明によれば、上記した複数の燃料集合体を炉心に装荷している軽水炉において、この軽水炉の運転中に何らかの原因で炉心流量が急激に低下し、且つ、全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合でも、安全余裕を十分に確保することができる。そのような複合事象が発生した場合には、炉心内のボイド率が急激に上昇し若干サブクール状態で炉心下方から炉心に流入している冷却材の沸騰開始点が炉心の下端側へ移行し、炉心軸方向の出力分布が炉心の下端側へシフトする。このため、炉心の下端にシフトしてくる余分な中性子を、上端が炉心の下端付近に位置している、安全棒の中性子吸収材充填領域内の中性子吸収材によって炉心の下端にシフトしてくる余分な中性子を吸収することができる。この結果、非常用高圧炉心注水系から供給が可能な冷却材の容量によって炉心内の燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができ、設計基準を超える複合事象時においても十分な安全ポテンシャルを保つことができる。このように本発明は、軽水炉の経済性を損なうことなく上記の複合事象が生じた場合でも安全余裕を向上させることができる。
本発明によれば、軽水炉の経済性を損なうことなく安全余裕をさらに増大させることが可能になる。
核分裂性Pu増倍比1.01の炉心の定格出力運転時の炉心軸方向における平均出力分布、及び炉心流量が非常用高圧注水系の供給可能な冷却材の流量である4kt/hまで低下した場合の炉心軸方向の平均出力分布を示す説明図である。 核分裂性Pu増倍比1.01の炉心の定格出力運転時における炉心軸方向の平均出力分布、及び炉心流量が非常用高圧注水系の供給可能な冷却材の流量である4kt/hまで低下した場合の炉心高さ方向のボイド率分布を示す説明図である。 核分裂性Pu増倍比1.01の炉心の軸方向の熱中性子束分布を示す説明図である。 核分裂性Pu増倍比1.01の炉心における炉心流量と出力の関係を示す説明図である。 核分裂性Pu増倍比1.01の炉心における上部ブランケット領域の高さに対するボイド係数及び下部ブランケット領域と上部ブランケット領域の比の関係を示す説明図である。 核分裂性Pu増倍比1.01の炉心における上部ブランケット領域の高さに対する上下ブランケット領域の高さの和の関係を示す説明図である。 TRUを消滅させるBWR炉心の定格出力運転時における炉心軸方向の平均出力分布と炉心流量が非常用高圧注水系の供給可能な冷却材の流量である4kt/hまで低下した場合の炉心高さ方向の平均出力分布を示す説明図である。 TRUを消滅させるBWR炉心の定格出力運転時における炉心軸方向の平均出力分布、及び炉心流量が非常用高圧注水系の供給可能な冷却材の流量である4kt/hまで低下した場合の炉心軸方向のボイド率分布を示す説明図である。 TRUを消滅させるBWR炉心の炉心軸方向の熱中性子束分布を示す説明図である。 TRUを消滅させるBWR炉心の炉心流量と出力の関係を示す説明図である。 本発明の好適な一実施例である実施例1の炉心を適用した軽水炉の縦断面図である。 図11に示す炉心の横断面図である。 図12に示す燃料集合体格子の横断面図である。 図13に示す燃料集合体内の燃料棒とY字型制御棒の軸方向の位置関係を示した説明図である。 図11に示す炉心の平衡炉心状態における燃料集合体の配置を示す説明図である。 図15に示す平衡炉心におけるオリフィスの開口分布を示す説明図である。 図11に示す炉心の平衡炉心に装荷する新燃料集合体の軸方向における核分裂性Puの富化度分布を示す説明図である。 図13に示す燃料集合体の横断面における核分裂性Puの富化度が異なる各燃料棒の配置を示した説明図である。 図13に示す燃料集合体内の燃料棒の軸方向の構成を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の軽水炉の炉心における燃料集合体格子の横断面図である。 実施例2の軽水炉の平衡炉心における燃料集合体の配置を示す説明図である。 図21に示す炉心の平衡炉心に装荷する新燃料集合体の軸方向における核分裂性Puの富化度分布を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例3の軽水炉の炉心における燃料集合体格子の横断面図である。 実施例3の軽水炉の平衡炉心における燃料集合体の配置を示す説明図である。 図24に示す炉心の平衡炉心に装荷する新燃料集合体の軸方向における核分裂性Puの富化度分布を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例4の軽水炉の炉心における燃料集合体格子の横断面図である。 図26に示す炉心の平衡炉心に装荷する新燃料集合体の軸方向における核分裂性Puの富化度分布を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例5の軽水炉の平衡炉心に装荷する新燃料集合体の軸方向における核分裂性Puの富化度分布を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例6の軽水炉の平衡炉心に装荷する新燃料集合体の軸方向における核分裂性Puの富化度分布を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例6の燃料集合体内の燃料棒とY字型制御棒の高さ方向の位置関係を示した説明図である。
BWRの炉心内の燃料集合体を冷却する冷却水(冷却材)は、10℃程度のサブクール水として下方より炉心に流入し、燃料集合体を冷却しながら飽和水、及び蒸気と水の二相流になる。この冷却水は、炉心の出口では60から80%程度のボイド体積率を有する二相流になっている。したがって、中性子の減速に大きく寄与する水素原子の炉心軸方向の分布は、炉心の下部から上部に行くにしたがって減少する。このため、軸方向に一領域の濃縮度分布を有する燃料集合体をBWRの炉心に装荷した場合、炉心の下部領域に大きな出力ピークが形成される。何らかの原因で炉心の冷却水流量が低下した場合には、冷却水の沸騰開始点が、定格出力及び定格流量で原子炉が運転されている場合よりさらに下方に向かって移動し、出力ピークもさらに炉心下方に移動する。
発明者らは、上記したBWRの炉心の特徴を十分考慮し、再処理で得られた核燃料物質を含んでおり、且つ燃焼度ゼロの時点で含まれている全てのTRU中に占めるPu−239の割合が40%以上60%以下の範囲にある複数の燃料集合体が装荷されている軽水炉の炉心では、炉心下端付近に制御棒の中性子吸収材充填領域の上端を配置した場合に、(1)炉心の上部ブランケット領域の高さ厚さと下部ブランケット領域の高さの和が250mm以上600mm以下の範囲内で、且つ下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれの1.6倍以上12倍以下の範囲内にする、(2)下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれよりも高くし、且つ上部ブランケットの高さを30mm以上105mm以下の範囲内にする、及び(3)下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれよりも高くし、且つ炉心のPuを含む上部燃料領域の高さがPuを含む下部燃料領域の高さよりも10mm以上25mm以下の範囲内で高くする、のいずれかの構成を適用することによって、軽水炉の経済性を損なうことなく安全余裕をさらに増大させることができることを新たに見出した。すなわち、(1)、(2)及び(3)のいずれかの構成を適用することによって、何らかの原因で炉心内の冷却材が喪失し、さらに、何らかの原因で全ての制御棒の炉心への挿入が不可能になるような設計基準を超えた複合事象が生じたときであっても、炉心に供給される冷却材の流量(炉心流量)が急激に減少したときに炉心内のボイド率が急激に上昇すると共に炉心の軸方向の出力分布が、中性子吸収材が配置された炉心下端側にシフトし、炉心内の余剰の中性子が自動的に中性子吸収材に吸収される。このため、非常時に自動的に起動される非常用高圧炉心注水系によって炉心に供給される冷却材流量で冷却可能な原子炉出力まで自動的に原子炉出力が低下される。このように、発明者らは、(1)、(2)及び(3)のいずれかの構成を適用することによって、安全ポテンシャルがさらに高くなる軽水炉の炉心を提供できることを新たに見出した。また、上記のような安全余裕の増大は、(4)下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれよりも高くし、且つ事故時に発生する余剰中性子が集まる位置に中性子吸収物質を配置することによっても達成できることを、発明者らは見出した。
(1)、(2)、(3)及び(4)のうちの幾つかの構成を組み合せることによって、安全余裕をさらに向上させることができる。例えば、(1)に(2)を組み合せた場合には(1)単独よりも安全余裕がさらに高くなり、(1)及び(2)の組み合せに(3)をさらに組み合せた場合には(1)及び(2)の組み合せよりも安全余裕がさらに向上する。これらは、(2)を含む他の2つの構成の組み合せ、(3)を含む他の2つの構成の組み合せ、及び(4)を含む他の2つの構成の組み合せに対しても言えることである。また、(1)、(2)及び(3)の組み合せに(4)をさらに組み合せた場合には、(1)から(4)の各構成を含む幾つかの組み合せのうちで最も安全余裕が大きくなる。
さらに、発明者らは、再処理で得られた核燃料物質を含んでおり、且つ燃焼度ゼロの時点で含まれている全てのTRU中に占めるPu−239の割合が5%以上40%未満の範囲にある複数の燃料集合体が装荷されている軽水炉の炉心では、炉心下端付近に制御棒の中性子吸収材充填領域の上端を配置した場合に、(5)炉心内の燃料領域の下端が炉心の下端の位置に一致しており、且つ上部ブランケット領域の高さが20mm以上100mm以下の範囲内にする、及び(6)上部ブランケット領域を有しており、且つ炉心の上部燃料領域の高さが下部燃料領域の高さよりも10mm以上25mm以下の範囲内で高くする、のいずれかの構成を適用することによっても、TRUの多重リサイクルの設計目標の性能及び経済性を損なうことなく安全余裕をさらに増大させることができることを新たに見出した。(5)の構成に(6)の構成を組み合せることによって、(5)の構成または(6)の構成を単独で備えた軽水炉の炉心に比べて安全余裕がさらに向上する。
本発明は、再処理によって得られたTRUを含む核燃料物質を利用するリサイクル型軽水炉の安全性向上をめざしたものである。このような本発明は、特許3428150号公報に示す軽水炉で増殖炉(軽水増殖炉)としての性能を向上させる場合、及び不要になったときに長寿命放射性廃棄物として処分することが検討されているTRUを核燃料物質として利用しつつ最後に一つの炉心分のTRU以外のTRUをすべて核分裂させる場合において、設計基準を超えた多重事故時においても安全性を保って、TRUの多重リサイクルを継続することを可能にするために成されたものである。
増殖炉としての性能を向上させた軽水炉の炉心について説明する。例えば、BWRで核分裂性Puの残存比が1以上になる軽水増殖炉は、特許3428150号公報で初めて実現された。軽水炉で増殖炉を実現するためには、炉心内の中性子のエネルギーを高く保つ必要がある。しかし、増殖炉で、通常、冷却材として使用されるNaに比べて、軽水炉で冷却材として用いられる水を形成している水素原子の質量が小さいため、中性子が一回の衝突で失うエネルギーが大きく、核燃料物資の単位体積あたりの冷却材の割合を小さくする必要がある。全てのTRU中に占めるPu−239の割合が60%よりも大きな範囲にある核燃料物質でリサイクルを行った場合には、(a)炉心内の核燃料物質に対する冷却能力が不足する、(b)燃料集合体の燃焼度が低くなって燃料経済性が損なわれる、及び(c)燃料集合体を構成する燃料棒間隙が狭くなりすぎて燃料集合体の製作が困難になる、等の不都合が生じる。全てのTRU中に占めるPu−239の割合が40%未満になっている核燃料物質でリサイクルした場合には、(d)核分裂断面積が大きい奇数核種の割合が、核分裂断面積の小さい偶数核種のそれに比べて小さくなって、核分裂性Puの残存比1以上を実現することが困難になる、及び(e)炉心が大きくなって安全性の指標であるボイド係数が悪化する、等の不都合が生じる。したがって、軽水増殖炉では、全TRU中に含まれるPu−239の割合を40%以上60%以下の範囲内にする必要がある。
次に、不要になったときに長寿命放射性廃棄物として処分することが検討されているTRUを核燃料物質として利用しつつ最後に一つの炉心分のTRU以外のTRUをすべて核分裂させることを実現する軽水炉(TRU消滅炉)の炉心について説明する。発明者らは、TRUが不要になった場合には、TRUを核分裂させて減少させ、減少量に応じて多くの炉心に分散されていたTRUを集約し、最後は一つの炉心にのみTRUが残されるようにすることを考えた。このとき、TRUが超寿命廃棄物になることを防ぐために、全TRU中に含まれるPu−239の割合が40%以上の状態で核燃料物質をリサイクルする場合には、TRUが減少する速度が遅くTRUを一つの炉心に集約するのに時間がかかりすぎる。また、全TRU中に占めるPu−239の割合が5%未満の核燃料物質を用いてリサイクルした場合には炉心が大きくなってボイド係数が悪化する。したがって、TRU消滅炉では、全TRU中に含まれるPu−239の割合を5%以上40%未満の範囲にする必要がある。
ここで、パッフェ型炉心の概要について説明する。パッフェ型炉心は、装荷される新燃料集合体(燃焼度がゼロ)として、下端部から上端部に向かって下部ブランケット領域、下部燃料領域、内部ブランケット領域、上部燃料領域及び上部ブランケット領域をこの順で配置した燃料集合体を用いている。このため、パッフェ型炉心も、下端部から上端部に向かって下部ブランケット領域、下部燃料領域、内部ブランケット領域、上部燃料領域及び上部ブランケット領域が形成される。下部燃料領域及び上部燃料領域は、TRU酸化物燃料(またはTRU酸化物とウラン酸化物の混合酸化物燃料)を含んでいる。
本発明は、上記したリサイクル型の軽水炉及び軽水炉の炉心を対象としている。以下に、発明者らの検討結果を説明する。
まず、軽水増殖炉の炉心を対象とした発明者らの検討結果を以下に説明する。軽水増殖炉の炉心の例である、電気出力が1350MWで、炉心に装荷されている720体の燃料集合体及び燃料集合体当り271本の燃料棒を有する増殖比1.01のBWR炉心を対象にして説明する。
このBWR炉心は、特許3428150号公報及びR.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Evaluation of Emerging Nuclear Fuel Cycle Systems. GLOBAL ’95 Versailles, France, September, 1995, P.938及びR.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725に記載されている炉心では設計基準内の異常な過渡変化及び事故に対しては十分安全に対応できるが、現在設計基準外とされている、何らかの原因で炉心流量が急激に減少した場合で、さらに、全ての制御棒が作動しない等の複合事象が生じたときには、必ずしも十分に対応できず、場合によってはTRUのリサイクルを途中で中止せざるを得なくなる可能性もある。すなわち、多重リサイクルの継続が不可能になる場合がある。
上記のBWR炉心で安全ポテンシャルを十分保ちながらTRUのリサイクルを続けるためには、ボイド係数を所定の範囲に保つ必要がある。発明者らは、再処理で得られた核燃料物質を含んでおり且つ燃焼度ゼロの時点で含まれる全てのTRU中に占めるPu−239の割合が40%以上60%以下の範囲にある複数の燃料集合体が装荷される、下部及び上部ブランケット領域を有する軽水炉の炉心を対象に、安全余裕の向上策について検討を行った。この検討の結果、発明者らは、BWR固有の機能である何らかの原因で炉心流量が急激に低下したとき、炉心内のボイド率が急激に上昇し、且つ若干サブクール状態になって下方から炉心に流入する冷却材の沸騰開始点が炉心の下端側に移行することにより、炉心の軸方向の出力分布が炉心の下端側にシフトするので、炉心下端付近に中性子吸収物質を配置することにより多重事故時においても十分な安全ポテンシャルを保つことができ、結果的にTRUの多重リサイクルが実現できることを新たに見出したのである。この知見に基づいて、前述の(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれかにより、TRUの増殖比を保ちつつ安全ポテンシャルを高めることが出来るという新たな知見が発明者らによって見出された。対象とする軽水炉の炉心では、制御棒が下方より炉心内に挿入される。
図1において、核分裂性Puの増倍比が1.01である炉心の定格出力運転時での炉心軸方向の平均出力分布を特性1で表し、炉心流量が非常用高圧炉心注水系の冷却材流量である4kt/hまで低下した場合における炉心軸方向の平均出力分布を特性2で表している。図2では、特性1に対応した炉心軸方向の平均ボイド率分布を特性3で表し、特性2に対応した炉心軸方向の平均ボイド率分布を特性4で表している。炉心流量が定格の21kトン/hから4kトン/hに急激に低下することによりボイド率分布が、特性3から特性4に急激に高くなり、これに併せて沸騰開始点も炉心の下端側に移行する。このため、炉心軸方向の出力分布も、特性1から特性2のように、炉心の下端側にシフトする。ここまで極端に炉心流量が低下すると、炉心下部の反射体(冷却水)に大きな出力ピークが発生して正の反応度が炉心に投入される場合がある。特許3428150号公報及びR.TAKED
A et al., Proc. of International Conference on Evaluation of Emerging Nuclear Fuel Cycle Systems.GLOBAL ’95 Versailles, France, September, 1995, P.938及びR.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725に記載されている炉心では、炉心高さが2m以下である比較的炉心高さが低い炉心において通常行われているように、定格出力運転時には炉心から引き抜かれている制御棒の一種である安全棒は、炉心に負の反応度を投入する影響を与えない位置(炉心の下端から20cm〜30cm下方の位置)まで引き抜かれた状態で待機している。この状態での炉心軸方向の熱中性子束分布を、図3において特性5で示している。そこで、原子炉の運転時には上記したように炉心の下端よりも下方に引き抜かれている安全棒の中性子吸収材充填領域の上端を炉心の下端に位置させ、この安全棒によって、炉心流量が急激に減少したときに炉心の下部にシフトしてくる余分な中性子を吸収する。このときの炉心軸方向の熱中性子束分布を、図3において特性6で示している。しかしながら、炉心の下端に安全棒の上端を位置させると炉心の反応度が低下する。
反応度の不足を解消する対策案として、燃料領域の高さを高くすることが考えられる。
しかし、この対策案では、燃料領域の単位体積あたりのブランケット領域の体積割合が低下して核分裂性Pu増倍比が低下し、核分裂性Pu増倍比の設計目標が満たされなくなる。核分裂性Pu増倍比を高めるためには、炉心内の上部及び下部ブラケット領域のそれぞれの高さをさらに高くする必要がある。これらの領域の高さの増加は、炉心軸方向の中性子漏洩割合の低下をもたらし、安全上の重要な指標であるボイド係数を悪化させる。
再処理で得られた核燃料物質を含んでおり且つ燃焼度ゼロの時点で含まれる全てのTRU中に占めるPu−239の割合が40%以上60%以下の範囲にある複数の燃料集合体が装荷される軽水炉の炉心を対象にして行った発明者らの検討の結果、炉心の下端付近に中性子吸収物質を配置したとき、上部ブランケット領域の高さを低くして下部ブランケット領域の高さを高くすることによって、ボイド係数の悪化が避けられることが分かった。
軽水増殖炉において、上記した炉心の下端付近とは、炉心の下端とこの下端から下方に、例えば、5mm下がった位置の間を言い、炉心に下部ブランケット領域が形成される場合にはこの下部ブランケット領域内もその下端付近に含まれる。下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれよりも高くする、すなわち、上部及び下部ブランケット領域のそれぞれの高さの和を250mm以上にし、且つ下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれの1.6倍以上にすることによって、図4に示すように、全ての制約条件を満たして増殖比1.01を維持しつつ何らかの原因で炉心流量が大幅に低下したときに全ての制御棒が作動しないという設計基準を超える複合事象時においても、非常用高圧炉心注水系から炉心に供給できる冷却材の容量で炉心内の燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、再処理で得られた核燃料物質を含んでおり且つ燃焼度ゼロの時点で含まれる全TRU中に占めるPu−239の割合が40%以上60%以下の範囲内にある燃料集合体が装荷された軽水炉の炉心において、安全余裕を向上させることができる。上部及び下部ブランケット領域のそれぞれの高さの和が600mmを超えた場合、あるいは下部ブランケット領域の高さが上部ブランケット領域のそれの12倍より大きくなる場合には、炉心から取り出される使用済燃料集合体内に存在する核燃料物質中の全TRUに含まれるPu−239の割合が、燃焼度ゼロの新燃料集合体に含まれるその割合よりも高くなる。このため、これらの値を同程度に保つために炉心流量を増加させた場合には、炉心の圧力損失が設計基準を超えるので、燃料集合体の構造設計が困難になる。したがって、上部及び下部ブランケット領域のそれぞれの高さの和は250mmから600mmの範囲内に含まれるようにする。
図5は、核分裂性Pu増倍比が1.01である軽水炉の炉心で上部ブランケット領域の高さを変化させたときのボイド係数の変化を特性31で示し、上部ブランケット領域の高さに対する下部ブランケット領域の高さの比を特性32で示している。図5に示すように、上部ブランケット領域の高さが105mm以下で、下部ブランケット領域の高さが上部ブランケット領域の高さの1.6倍以上になり、ボイド係数が−2×10−4Δk/k/%voidより負になることが分かった。ボイド係数の負の絶対値を大きくすることで、炉心流量が大幅に低下し、すなわち炉心内のボイド゛率が大幅に上昇し、且つ、全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象時においても非常用高圧炉心注水系の冷却材供給容量によって燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力が低下する。上部ブランケット領域の高さを30mm未満にした場合には、上部反射体中の熱中性子束の影響を大きく受けて上部ブランケット領域の上端近くに位置する燃料ペレットの出力が、その設計基準を超えてしまう。したがって、上部ブランケット領域の高さは30mm以上105mm以下の範囲内に設定する。
図6には、上部ブランケット領域の高さを変化させたときにおける上部及び下部ブランケット領域のそれぞれの高さの和を特性33で示している。上部ブランケット領域の高さを105mm以下にすることによって、上部及び下部ブランケット領域のそれぞれの高さの和が250mm以上になることが分かった。また、安全棒の中性子吸収材充填領域の上端を炉心下端付近に位置させて原子炉を運転した場合には、安全棒に含まれる中性子吸収材であるのボロン−10が早くなくなる可能性がある。このため、場合によっては、各燃料集合体に含まれる燃料棒内において、下部ブランケット領域の下方に、ボロン,ガドリニア,Dy,Sm,Eu等の中性子吸収物質を含んだペレットを配置することも有効である。
下部ブランケット領域の高さを上部ブランケット領域のそれよりも高くし、且つ炉心のTRUを含む上部燃料領域の高さがTRUを含む下部燃料領域の高さよりも10mm以上25mm以下の範囲内で高くしている。上部燃料領域の高さを下部燃料領域の高さよりも10mm以上高くすることによって、前述の複合事象が発生した場合でも、炉心の安全余裕を向上させることができる。上部燃料領域の高さを下部燃料領域の高さよりも25mmを超えて高くした場合には、上部燃料領域の出力が高くなりすぎ、出力の設計基準を超えてしまう。
次に、R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725に記載さ
れているTRU消滅炉の炉心を対象とした発明者らの検討結果について説明する。TRU消滅炉の炉心の例である、電気出力が1350MWで、燃料集合体1体当り397本の燃料棒を有する720体の燃料集合体が装荷されている他のBWR炉心を対象にして説明する。
TRUを減少させる目的でTRUのリサイクルを繰り返す場合、すなわち、再処理で得られた核燃料物質を含んでおり且つ燃焼度ゼロの時点で含まれる全TRU中に占めるPu−239の割合が5%以上40%未満の範囲内にある燃料集合体の炉心への装荷を、運転サイクルごとに繰り返す場合は、炉心下部の反射体領域に存在する水を形成する水素原子の中性子減速効果により、炉心から漏れ出した高速中性子が減速されて熱中性子の大きな出力ピークが発生する。中性子流連続の条件により炉心内で隣接している燃料集合体のそれぞれの下部燃料領域の下端近くに位置する各燃料ペレットの出力が設計基準の値を超える不具合を防ぐために、R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007,
P.1725に記載されているTRU消滅炉においては、下部燃料領域の下方に20mm程度の高さの下部ブランケット領域を付設している。発明者らが見出した上記の安全ポテンシャルを高める前述の(5)及び(6)のいずれかの方法を適用して、炉心下端付近に制御棒の中性子吸収材充填領域の上端を位置させることによって、その下端付近の反射体(冷却水)内での熱中性子の出力ピークの発生を抑えられるので炉心の下部に下部ブランケット領域を設ける必要がなくなる。すなわち、燃料領域、特に、下部燃料領域の下端が炉心の下端の位置と一致している。TRU消滅炉において、制御棒の中性子吸収材充填領域の上端を位置させる上記した炉心の下端付近とは、炉心の下端とこの下端から下方に、例えば、5mm下がった位置の間を言う。
図7には、定格出力運転時の炉心軸方向の平均出力分布が特性11で示され、炉心流量が非常用高圧炉心注水系で供給可能な冷却水の流量である4kt/hまで低下した場合での炉心軸方向の平均出力分布が特性12で示される。図8では、特性11に対応した炉心軸方向の平均ボイド率分布を特性13で示し、特性12に対応した炉心軸方向の平均ボイド率分布を特性14で示している。炉心流量が定格の20kトン/hから4kトン/hに急激に低下することによって炉心軸方向の平均ボイド率分布が図8に示す特性13から特性14に急激に増加する。これに併せて沸騰開始点も炉心の下端側に移行することにより炉心軸方向の出力分布も、図7に示す特性11から特性12にシフトされる。ここまで極端に炉心流量が低下すると、炉心下部の反射体に大きな出力ピークが発生して正の反応度が炉心に投入される場合がある。炉心高さが2m以下である比較的炉心高さが低い炉心において通常行われているように、定格出力運転時には炉心から引き抜かれている安全棒は、炉心に負の反応度を投入する影響を与えない位置(炉心の下端から30cm下方の位置)まで引き抜かれた状態で待機している。炉心下端付近に安全棒の中性子吸収材充填領域が配置されていない状態で高さ20mmの下部ブランケット領域を設けた炉心において、炉心軸方向の熱中性子束分布を、図9において特性15で示している。そこで、原子炉の運転時には炉心の下端よりも下方に引き抜かれている安全棒の中性子吸収材充填領域の上端を炉心下端に位置させたときに炉心流量が急激に減少した場合には、炉心の下部にシフトしてくる余分な中性子をその安全棒で吸収することができる。このときにおける炉心軸方向の熱中性子束分布を、図9において特性16で示している。図10に示すように、何らかの原因で炉心流量が大幅に低下したときに全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象時においても、非常用炉心注水系から炉心に供給できる冷却材の容量で炉心内の燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、再処理で得られた核燃料物質を含んでおり且つ燃焼度ゼロの時点で含まれる全TRU中に占めるPu−239の割合が5%以上40%未満の範囲内にある燃料集合体が装荷された軽水炉の炉心において、安全余裕を向上させることができる。
TRU消滅炉の炉心では、上部ブランケット領域の高さを100mm以下にすることによってその炉心の安全余裕を向上させることができる。しかしながら、上部ブランケット領域の高さが20mm未満になった場合には、軽水増殖炉の場合と同様に、上部反射体中の熱中性子束の影響を大きく受けて上部ブランケット領域の上端近くに位置する燃料ペレットの出力が、その設計基準を超えてしまう。したがって、上部ブランケット領域の高さは20mm以上100mm以下の範囲内に設定する。
TRU消滅炉の炉心で、上部燃料領域の高さが下部燃料領域の高さよりも10mm以上25mm以下の範囲内で高くしている理由は、軽水増殖炉でそれらの値を設定している理由と同じである。
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の軽水炉の炉心を、図11〜図19及び表1を用いて以下に詳細に説明する。
Figure 2011047959
本実施例の軽水炉の炉心20は、電気出力1350MW用の炉心であるが、出力規模はこれに限定されるものではない。炉心20に装荷された燃料集合体の体数を変更することによって、本実施例が適用できる他の出力規模の炉心を実現することができる。
本実施例の炉心20が適用される電気出力1350MW用の軽水炉であるBWRの概要を、図11に基づいて説明する。BWR19は、原子炉圧力容器27内に、炉心20、気水分離器21、蒸気乾燥器22を配置している。炉心20は、パッフェ型炉心であり、原子炉圧力容器27内で炉心シュラウド25によって取り囲まれている。複数の制御棒2が炉心20に挿入可能な位置に配置されている。これらの制御棒2は下方より炉心20に挿入される。気水分離器21は炉心20の上方に配置され、蒸気乾燥器22は気水分離器21の上方に配置される。複数のインターナルポンプ26が原子炉圧力容器27の底部に設置され、インターナルポンプ26のインペラが原子炉圧力容器27と炉心シュラウド25との間に形成されるダウンカマ内に配置される。主蒸気配管23及び給水配管24が原子炉圧力容器27に接続される。BWR19には何らかの原因で炉心に供給される冷却材が喪失した場合の非常用炉心冷却系として低圧炉心注水系31と高圧炉心注水系32を備えている。炉心20には、図12に示すように、720体の燃料集合体1が装荷されている。3体の燃料集合体1に1本の割合でY字型の制御棒2が設けられ、223本の制御棒2が配置されている。223本の制御棒2の約1/6が、運転中のBWR19の炉心20内に挿入したり引き抜いたりすることにより原子炉の出力を調整する制御棒(出力調整用制御棒)であり、残り約5/6が、運転中のBWR19の炉心20から引き抜かれた状態で、原子炉を停止するときに炉心20内に挿入される制御棒2(以下、安全棒という)である。燃料集合体1は、燃料有効長の部分に、その上端から下端に向かって、上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9の5つの領域を順次形成している(図17参照)。複数の燃料集合体1が装荷された炉心20は、上端から下端に向って、上部ブランケット領域5によって形成される上部ブランケット領域5A、上部燃料領域6によって形成される上部燃料領域6A、内部ブランケット領域7によって形成される内部ブランケット領域7A、下部燃料領域8によって形成される下部燃料領域8A及び下部ブランケット領域9によって形成される下部ブランケット領域9Aの5つの領域を順次配置している。領域5A,6A,7A,8A及び9Aは、炉心20の軸方向において、燃料集合体1のそれぞれの領域5,6,7,8及び9と同じ位置に位置している。
燃料集合体1は、図13に示すように、六角形の筒であるチャンネルボックス4内に、直径10.1mmの271本の燃料棒3を正三角形格子に配置している。燃料集合体1の横断面の形状は六角形をしており、燃料集合体1に含まれた複数の燃料棒3の相互間の間隙が1.3mmである。核燃料物質によって構成された複数の燃料ペレット(図示せず)が、軸方向に並ぶように、各燃料棒3の被覆管36内に配置されている。最外層の燃料棒列には9本の燃料棒3が配置される。燃料棒3は、図14に示すように、下端部を下部端栓33で上端部を上部端栓35でそれぞれ密封した被覆管36内に、再処理で得られた核燃料物質を用いて作成された複数の燃料ペレットを充填している。燃料有効長14が、これらの燃料ペレットが充填されている領域である。ガスプレナム34が密封された被覆管36内で燃料有効長14の上端と上部端栓35の間に形成される。それぞれの燃料棒3の燃料有効長14に、上記した上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9の5つの領域を上端から下端に向って順次形成している。
横断面がY字型の制御棒2は、中心に位置するタイロッドから外側に向かって伸びる3枚の翼を有する。各翼は、中性子吸収材であるBC が充填された複数の中性子吸収棒を備えており、タイロッドの周囲に120度の間隔を持って配置される。制御棒2は、軽水より減速能が小さい物質である炭素で構成されたフォロアー部16を、炉心20に最初に挿入される挿入端部に設けている。制御棒2内でフォロアー部16の下方には、それぞれの中性子吸収棒内に充填された中性子吸収材によって形成される中性子吸収材充填領域15が存在する(図14参照)。
BWR19が定格出力で運転されているとき、全引き抜き状態となっている制御棒2である安全棒は、中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長14の下端に位置するように、炉心20から引き抜かれている(図14参照)。
BWR19が運転されているとき、インターナルポンプ(冷却材供給装置)26の回転によってダウンカマ内の冷却材が加圧されて炉心20に供給される。炉心20内に供給された冷却材は、各燃料集合体1内に導かれ、核分裂性物質の核分裂によって発生する熱で加熱されて一部が蒸気になる。気液二相流状態の冷却材は、炉心20から気水分離器21に導かれて蒸気が分離される。分離された蒸気は、蒸気乾燥器22によって水分がさらに除去される。水分が除去された蒸気は、主蒸気配管23を通ってタービン(図示せず)に供給され、タービンが回転される。タービンに連結された発電機(図示せず)が回転され、電力が発生する。タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて凝縮水となる。この凝縮水(給水)は、給水配管24を通って原子炉圧力容器27内に導かれる。気水分離器22で分離された液体の冷却材は、ダウンカマ内で上記の給水と混合され、再び、インターナルポンプ26で加圧される。BWR19の定格流量は22kトン/hである。
平衡炉心の状態にある炉心20内での燃料集合体1の配置を、図15を用いて説明する。炉内滞在期間が最も長い、運転サイクル5サイクル目の燃料集合体1Eが、中性子インポータンスの低い炉心最外周領域に配置される。その内側に位置する炉心外側領域には、中性子無限増倍率が最も高い、炉内滞在期間が1サイクル目である燃料集合体1Aが装荷されており、炉心の半径方向における出力分布の平坦化を図っている。炉心内側領域には、炉内滞在期間が2、3、4サイクル目の各燃料集合体1B,1C、1Dがそれぞれ配置されている。このような配置によって、炉心内側領域における出力分布の平坦化を図っている。燃料集合体1A,1B,1C,1D,1Eは、それぞれ、図13及び後述の図17及び図18に示す燃料集合体1である。これらの燃料集合体の下部タイプレート(図示せず)は、炉心20の下端部に配置されている炉心支持板(図示せず)に設けられる複数の燃料支持金具(図示せず)に支持される。燃料集合体に冷却材を導く冷却材通路が燃料支持金具内に形成されており、燃料支持金具に設置されたオリフィス(図示せず)がその冷却材通路の入口部に配置される。炉心20は、半径方向において最外周領域6及びその内側に位置する内側領域1の二領域が形成される(図16参照)。燃料集合体1の出力が小さい最外周領域6に位置するオリフィスの口径は、内側領域7に位置するオリフィスの口径よりも小さくなっている。燃料集合体1は、燃料有効長の部分に、その上端から下端に向かって、図17に示すように、上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9の5つの領域を順次形成している。それぞれの領域の高さは、以下の通りである。上部ブランケット領域5(上部ブランケット領域5A)の高さは70mmであり、上部燃料領域6(上部燃料領域6A)の高さは241mmであり、内部ブランケット領域7(内部ブランケット領域7A)の高さは520mmであり、下部燃料領域8(下部燃料領域8A)の高さは225mmであり、下部ブランケット領域9(下部ブランケット領域9)の高さは280mmである。燃料集合体1が燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1の全ての燃料棒3は、3つのブランケット領域に劣化ウランの酸化物ペレットを充填した。上部燃料領域6及び下部燃料領域8には、平均でTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量172の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料中のTRUと劣化ウランの合計重量に対する核分裂性Puの重量割合、すなわち、平均核分裂性Pu富化度は18wt%である。TRUは、使用済の燃料集合体1に含まれている核燃料物質から、再処理によって抽出された物質である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。なお、各ブランケット領域には劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料集合体から回収される減損ウランの酸化物ペレットを用いてもよい。燃料集合体1は、図18に示す5種類の燃料棒3を含んでいる。これらの燃料棒3は燃料棒3A〜3Eである。燃料棒3A〜3Eは図18に示すように燃料集合体1内に配置される。燃料棒3A〜3Eのそれぞれの上部燃料領域6及び下部燃料領域8にそれぞれ充填された混合酸化物燃料は、新燃料集合体(燃焼度ゼロ)の状態において、燃料棒3Aで核分裂性Puの富化度が10.7wt%、燃料棒3Bでその富化度が13.5wt%、燃料棒3Cでその富化度が16.8wt%、燃料棒3Dでその富化度が18.2wt%及び燃料棒3Eでその富化度が19.5wt%になっている。上部及び下部燃料領域6,8の平均核分裂性Pu富化度はどちらも18wt%である。それぞれの燃料棒3の各ブランケット領域にはTRUが存在しないが、それぞれの燃料棒3の上部燃料領域6及び下部燃料領域8の各混合酸化物燃料は燃焼度ゼロの状態において、表1に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1は、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が44wt%である。表1は、燃料集合体1が炉心20から取り出された後、燃料貯蔵プール及び燃料再処理施設に2年、燃料製造施設に1年、合計3年間の間、炉外に滞在し、使用済燃料集合体内の核燃料物質の再処理で得られた、炉心に装荷される新燃料集合体に含まれる核燃料物質に存在するTRUの組成である。再処理で得られて新燃料集合体1内に存在する核燃料物質には、表1に示すTRUの複数のTRUの同位体が含まれている。本実施例は、運転サイクルでの運転が終了したときに炉心から取り出される燃料集合体に存在するTRUの組成と、その運転サイクルでの運転が開始できる状態の炉心に新たに装荷される燃料集合体に存在するTRUの組成が実質的に一定というTRU多重リサイクルを実現している。
上部ブランケット領域の高さと下部ブランケット領域の高さの和が350mmで下部ブランケット領域の高さが上部ブランケット領域の高さの4倍になっている本実施例によれば、原子炉の定格運転開始時において全引き抜き状態となっている制御棒2である安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端を、燃料棒3の燃料有効長14の下端(炉心20の下端)に位置させることにより(図14参照)、BWR19を運転中に何らかの原因で炉心流量が急激に低下し、且つ、全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合でも、安全余裕を十分に確保することができる。その様な複合事象が発生した場合には、炉心内のボイド率が急激に上昇し若干サブクール状態で炉心下方から炉心に流入している冷却材の沸騰開始点が炉心の下端側へ移行し、炉心軸方向の出力分布が炉心の下端側へシフトする。このため、上端が、炉心の下端、すなわち、下部ブランケット領域9Aの下端に位置している中性子吸収材充填領域15内のBCによって炉心の下端にシフトしてくる余分な中性子を吸収することができる。その結果、本実施例は、非常用高圧炉心注水系から供給が可能な冷却材の容量で炉心20内の燃料集合体1を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができ、設計基準を超える複合事象時においても十分な安全ポテンシャルを保つことができる。このような本実施例は、軽水炉である軽水増殖炉の経済性を損なうことなく上記の複合事象が生じた場合でも安全余裕を向上させることができる。
本実施例は、下部ブランケット領域の高さが上部ブランケット領域の高さよりも高くなっており且つ上部ブランケット領域の高さが105mm以下の70mmになっているので、上記の複合事象が生じた場合における炉心の安全余裕をさらに向上させることができる。本実施例は、下部ブランケット領域の高さが上部ブランケット領域の高さよりも高くなっており且つ上部燃料領域の高さが下部燃料領域のそれよりも10mm以上である16mm高いので、上記の複合事象が生じた場合における炉心の安全余裕をもっと向上させることができる。
BWR19の定格出力運転中に全引き抜き状態となっている制御棒2である安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端を、燃料棒3の燃料有効長14の下端に位置させている場合における炉心反応度低下を抑制する対策として、上部燃料領域6の高さを241mm、下部燃料領域8の高さを225mmにすることを採用している。また、ボイド係数への影響ができるだけ小さくなるようにしつつ、増殖比1.01を維持する対策として、上部ブランケット5の高さを70mm、下部ブランケット9の高さを上部ブランケット5の1.6倍以上の280mmとした。
本実施例により、全ての制約条件を満たし増殖比1.01を維持しつつ何らかの原因で炉心流量が大幅に低下したときに全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合においても、非常用高圧炉心注水系から炉心に供給可能な冷却材の容量によって燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、軽水増殖炉であるBWR19の安全余裕を向上できる(図4参照)。
現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器27を用いて、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させる、炉心20を適用したBWR19において、上部ブランケット領域5A及び下部ブランケット領域9Aを除く上部燃料領域6A、下部燃料領域8A及び内部ブランケット領域7Aを含む炉心部領域の取り出し燃焼度を、この燃焼度が45GWd/tである、特許3428150号公報に記載されている軽水増殖炉よりも高燃焼度化することができる。炉心20の炉心部領域の取り出し燃焼度が53GWd/tとなり、上部ブランケット領域5A及び下部ブランケット領域9Aを含んだ炉心20の取り出し燃焼度が45GWd/tとなる。本実施例によれば、MCPRは1.3であり、また、ボイド係数は−3×10−4Δk/k/%voidで、R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725に記載されている軽水増殖炉のボイド係数−2×10−5Δk/k/%voidよりも絶対値が一桁大きくなる。さらに、本実施例によれば、TRUの各同位元素の割合を上記したように実質的に一定に保った状態で1.01の増殖比が実現できる。
本実施例において、全引き抜き状態となっている安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長14の下端(下部ブランケット領域9Aの下端)に位置させる(図14参照)替りに、各燃料集合体に含まれる各燃料棒3の燃料有効長14の下方に、ボロン、ガドリニア、Dy,Sm.Eu等の中性子吸収物質を含んだペレット21を配置しても同様の効果が得られる(図19参照)。
本発明の他の実施例である実施例2の軽水炉の炉心を、図20〜図22、表2を用いて以下に詳細に説明する。
Figure 2011047959
本実施例の軽水炉の炉心20Aは、実施例1において燃料集合体1を図20及び図22に示す燃料集合体1Kに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同じ構成の説明は省略する。炉心20Aもパッフェ型炉心である。炉心20Aが適用される軽水炉は、炉心20を炉心20Aに置き換えた、図11に示すBWR19である。炉心20Aが適用されたこのBWR19は、炉心20以外は実施例1の炉心が適用されるBWR19と同じ構成を有する。炉心20Aは、TRU消滅炉に適用される炉心である。
炉心20Aに配置される燃料集合体1K(図20参照)は、チャンネルボックス4内に、直径7.2mmの397本の燃料棒3Kを正三角形格子に配置している。燃料棒3Kの相互間の間隙が2.2mmであり、最外層の燃料棒列には11本の燃料棒3Kが配置される。炉心20Aは、平衡炉心の状態において図21に示すように、経験した運転サイクル数が異なる燃料集合体1A〜1Dを配置している。4サイクル目の燃料集合体1Dは、炉心最外周領域に配置される。炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Aは半径方向における出力分布がより平坦化される。図21に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Kである。
燃料集合体1Kは、燃料有効長の部分を4つの領域に分割しており、燃料集合体1から下部ブランケットを取り除いた構成となっている(図22参照)。上部ブランケット領域5の高さは30mmであり、上部燃料領域6の高さは228mmであり、内部ブランケット領域7の高さは560mmであり、下部燃料領域8の高さは215mmである。燃料集合体1Kが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Kの全ての燃料棒3Kは、2つのブランケット領域に劣化ウランの酸化物ペレットを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRU酸化物燃料を充填している。このTRU酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は13.0wt%である。燃料集合体1Kに用いられるTRUは、使用済燃料集合体の核燃料物質を再処理することによって得られる。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各TRU燃料は表2に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Lは、燃焼度ゼロの状態で、全TRU中のPu−239の割合が8.5wt%である。炉心20Aは、上部ブランケット領域5によって形成される上部ブランケット領域5A、上部燃料領域6によって形成される上部燃料領域6A、内部ブランケット領域7によって形成される内部ブランケット領域7A及び下部燃料領域8Aによって形成される下部燃料領域8Aを、上端から下端に向かって順次配置している。炉心20Aでは、下部燃料領域8Aの下端が炉心20Aの下端の位置と一致しており、下部ブランケット領域が形成されていない。
本実施例も第1実施例の図14と同様に、BWR19が定格出力運転されているとき、全引き抜き状態となっている制御棒2である安全棒は、BC が充填された中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3Kの燃料有効長の下端に位置するように炉心20Aから引き抜かれる。制御棒2は、中性子吸収材充填領域15の上方に、軽水より減速能が小さい物質である炭素で構成されたフォロアー部16を設けている。
上部ブランケット領域の高さが100mm以下である30mmであり且つ下部燃料領域の下端が炉心20Aの下端と一致して下部ブランケット領域が設けられていない本実施例によれば、全引き抜き状態となっている複数の安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長14の下端、すなわち、下部燃料領域8Aの下端に位置させることにより(図14参照)、TRU消滅炉であるBWR19の運転中に何らかの原因で炉心流量が急激に低下し、かつ、全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合、炉心20A内のボイド率が急激に上昇し若干サブクール状態で炉心20Aの下方から流入している冷却材の沸騰開始点が炉心20Aの下端側に移行し、炉心軸方向の出力分布も炉心の下端側にシフトする。このとき、上端が下部燃料領域8Aの下端に位置している各中性子吸収材充填領域15内に存在するBC によって炉心の下端側にシフトしてくる余分な中性子を吸収することができる。その結果、非常用高圧炉心注水系から炉心20Aに供給可能な冷却材の容量によって燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、設計基準を超える複合事象が発生した場合においても、TRU消滅炉で十分な安全ポテンシャルを保つことができる。このような本実施例は、軽水炉であるTRU消滅炉の経済性を損なうことなく上記の複合事象が生じた場合でも安全余裕を向上させることができる。
本実施例は、上部ブランケット領域を有し且つ上部燃料領域の高さが下部燃料領域のそれよりも10mm以上である13mm高いので、上記の複合事象が生じた場合における炉心の安全余裕をさらに向上させることができる。
BWR19を運転中に全引き抜き状態となっている安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長の下端(下部燃料領域8Aの下端)に位置させた場合の炉心反応度低下の対策を実施しつつ、ボイド係数への影響ができるだけ小さくなるように、上部ブランケット領域5の高さを30mmとし、上部燃料領域6の高さを下部燃料領域8の高さより13mm高くした。
上部ブランケット領域の高さが100mm以下である30mmであり且つ下部燃料領域の下端が炉心20Aの下端と一致して下部ブランケット領域が設けられていない本実施例によれば、全ての制約条件を満たしつつ何らかの原因で炉心流量が大幅に低下したときに全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合でも、非常用高圧炉心注水系から炉心20Aに供給が可能な冷却材の容量で燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる(図10参照)。このため、そのような複合事象が発生しても、炉心20Aの安全余裕を向上させることができる。炉心20Aは、燃料集合体1Kに含まれているTRUの量を燃焼度ゼロのときよりも減少させることができる。
現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器を用いて、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させる、炉心20Aを適用したBWR19において、炉心20Aの取り出し燃焼度65GWd/tを達成できる。本実施例によれば、MCPRは1.3であり、また、ボイド係数は−4×10−4Δk/k/%voidで、R.TAKEDA et al., Proc. of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems. GLOBAL ’07 Boise, USA, September, 2007, P.1725に記載されているTRU消滅炉のボイド係数−2×10−5Δk/k/%voidよりも絶対値が一桁大きくなる。さらに、本実施例によれば、TRU同位元素の割合保持を実現しつつTRUを減少させることができる。
本実施例においても、実施例1と同様に、全引き抜き状態となっている安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長14の下端(下部燃料領域8Aの下端)に位置させる(図14参照)替りに、各燃料集合体に含まれる各燃料棒3の燃料有効長14の下方に、ボロン、ガドリニア、Dy,Sm.Eu等の中性子吸収物質を含んだペレット21を配置しても同様の効果が得られる(図19参照)。
本発明の他の実施例である実施例3の軽水炉の炉心を、図23〜図25及び表3を用いて以下に詳細に説明する。
Figure 2011047959
本実施例の軽水炉の炉心20Bは、実施例2の炉心20Aにおいて燃料集合体1Kを図24及び図25記載された燃料集合体1Lに替えた構成を有し、他の構成は、実施例2と同じである。炉心20Bが適用される軽水炉は、炉心20を炉心20Bに置き換えた、図11に示すBWR19である。炉心20Bが適用されたこのBWR19は、炉心20以外は実施例1の炉心が適用されるBWR19と同じ構成を有する。炉心20Bは、TRU消滅炉に適用される炉心である。本実施例の構成は、実施例2と異なる部分について説明し、実施例2と同じ構成の説明は省略する。
本実施例に用いられる燃料集合体1L(図24参照)は、チャンネルボックス4内に、直径7.6mmの397本の燃料棒3Lを正三角形格子に配置している。燃料棒3Lの相互間の間隙が1.8mmであり、最外層の燃料棒列には11本の燃料棒3Lが配置される。炉心20Bは、平衡炉心の状態において図23に示すように、経験した運転サイクル数が異なる燃料集合体1A〜1Dを配置している。4サイクル目の燃料集合体1Dは、炉心最外周領域に配置される。炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Bは半径方向における出力分布がより平坦化される。図23に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Lである。
燃料集合体1Lは、燃料集合体1Kと同様に、燃料有効長の部分を4つの領域に分割しており(図25参照)、上部ブランケット領域5の高さは50mmであり、上部燃料領域6の高さは183mmであり、内部ブランケット領域7の高さは560mmであり、下部燃料領域8の高さは173mmである。燃料集合体1Lが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Lの全ての燃料棒3Lは、2つのブランケット領域に劣化ウランの酸化物ペレットを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRU酸化物燃料を充填している。このTRU燃料の核分裂性Puの富化度は18.0wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各TRU酸化物燃料は表3に示す組成のTRUを含んでいる。このTRUは使用済燃料集合体の核燃料物質を再処理することによって得られた物質である。燃料集合体1Lは、燃焼度ゼロの状態で、全TRU中のPu−239の割合が13.4wt%である。炉心20Bも、上部ブランケット領域5によって形成される上部ブランケット領域5A、上部燃料領域6によって形成される上部燃料領域6A、内部ブランケット領域7によって形成される内部ブランケット領域7A及び下部燃料領域8Aによって形成される下部燃料領域8Aを、上端から下端に向かって順次配置している。炉心20Bでは、下部燃料領域8Aの下端が炉心20Bの下端の位置と一致しており、下部ブランケット領域が形成されていない。
本実施例も第1実施例の図14と同様に、BWR19が定格出力運転されているとき、全引き抜き状態となっている各安全棒(制御棒2の一部)の中性子吸収材充填領域15の上端が、燃料棒3Lの燃料有効長の下端(下部燃料領域8Aの下端)に位置している。Y字型の制御棒2は、中性子吸収材充填領域15の上方に、軽水より減速能が小さい物質である炭素で構成されたフォロアー部16を設けている。
上部ブランケット領域の高さが100mm以下である50mmであり且つ下部燃料領域の下端が炉心20Bの下端と一致して下部ブランケット領域が設けられていない本実施例によれば、全引き抜き状態となっている各安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長14の下端、すなわち、下部燃料領域8Aの下端に位置させることにより(図14参照)、TRU消滅炉であるBWR19を運転中に何らかの原因で炉心流量が急激に低下し、かつ、全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合、炉心20B内のボイド率が急激に上昇し若干サブクール状態で炉心20Bの下方から流入している冷却材の沸騰開始点が炉心20Bの下端側に移行し、炉心軸方向の出力分布が炉心20Bの下端側にシフトする。このとき、上端が下部燃料領域8Aの下端に位置している各中性子吸収材充填領域15内に存在するBC によって炉心20Bの下端側にシフトしてくる余分な中性子を吸収できる。その結果、非常用高圧炉心注水系から炉心20Bに供給可能な冷却材の容量によって燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、設計基準を超える複合事象が発生した場合においても、TRU消滅炉で十分な安全ポテンシャルを保つことができる。このような本実施例は、TRU消滅炉の経済性を損なうことなく上記の複合事象が生じた場合でも安全余裕を向上させることができる。
本実施例は、上部ブランケット領域を有し且つ上部燃料領域の高さが下部燃料領域のそれよりも10mm高いので、上記の複合事象が生じた場合における炉心の安全余裕をさらに向上させることができる。
BWR19を運転中に全引き抜き状態となっている安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長の下端(下部燃料領域8Aの下端)に位置させた場合の炉心反応度低下の対策を実施しつつ、ボイド係数への影響ができるだけ小さくなるように、上部ブランケット領域5の高さを50mmとし、上部燃料領域6の高さを下部燃料領域8の高さより10mm高くした。
本実施例により、全ての制約条件を満たしつつ何らかの原因で炉心流量が大幅に低下したときに全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合でも、非常用高圧炉心注水系から炉心20Bに供給が可能な冷却材の容量で燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、そのような複合事象が発生しても、炉心20Bの安全余裕を向上させることができる。炉心20Bは、燃料集合体1Lに含まれているTRUの量を燃焼度ゼロのときよりも減少させることができる。
現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器を用いて、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させる、炉心20Bを適用したBWR19において、炉心20Cの取り出し燃焼度65GWd/tを達成できる。本実施例は、ボイド係数が−6×10−4ΔΔk/k/%voidになり、MCPRが1.3になって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例3の軽水炉の炉心を、図26、図27及び表4を用いて以下に詳細に説明する。
Figure 2011047959
本実施例の軽水炉の炉心20Cは、実施例2の炉心20Aにおいて燃料集合体1Kを図26及び図27に示す燃料集合体1Mに替えた構成を有し、他の構成は、実施例2と同じである。炉心20Cが適用される軽水炉は、炉心20を炉心20Cに置き換えた、図11に示すBWR19である。炉心20Cが適用されたこのBWR19は、炉心20以外は実施例1の炉心が適用されるBWR19と同じ構成を有する。炉心20Cは、TRU消滅炉に適用される炉心である。本実施例の構成は、実施例2と異なる部分について説明し、実施例2と同じ構成の説明は省略する。
本実施例に用いられる燃料集合体1M(図26参照)は、チャンネルボックス4内に、直径7.1mmの397本の燃料棒3Mを正三角形格子に配置している。燃料棒3Mの相互間の間隙が2.3mmであり、最外層の燃料棒列には11本の燃料棒3Mが配置される。本実施例の平衡炉心における燃料集合体の配置は実施例2の図21と同じである。
燃料集合体1Mは、燃料集合体1Kと同様に、燃料有効長の部分を4つの領域に分割しており(図27参照)、上部ブランケット領域5の高さは30mmであり、上部燃料領域6の高さは240mmであり、内部ブランケット領域7の高さは560mmであり、下部燃料領域8の高さは227mmである。燃料集合体1Mが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Mの全ての燃料棒3Mは、2つのブランケット領域に劣化ウランの酸化物ペレットを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRU酸化物燃料を充填している。このTRU酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は11.6wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各TRU燃料は表4に示す組成のTRUを含んでいる。このTRUは使用済燃料集合体の核燃料物質を再処理することによって得られた物質である。燃料集合体1Mは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が7.0wt%である。炉心20Cも、上部ブランケット領域5によって形成される上部ブランケット領域5A、上部燃料領域6によって形成される上部燃料領域6A、内部ブランケット領域7によって形成される内部ブランケット領域7A及び下部燃料領域8Aによって形成される下部燃料領域8Aを、上端から下端に向かって順次配置している。炉心20Cでは、下部燃料領域8Aの下端が炉心20Cの下端の位置と一致しており、下部ブランケット領域が形成されていない。
本実施例も第1実施例の図14と同様に、BWR19が定格出力運転されているとき、全引き抜き状態となっている各安全棒(Y字型の制御棒2の一部)の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3Mの燃料有効長の下端(下部燃料領域8Aの下端)に位置している。制御棒2は、中性子吸収材充填領域15の上方に、軽水より減速能が小さい物質である炭素で構成されたフォロアー部16を設けている。
上部ブランケット領域の高さが100mm以下である30mmであり且つ下部燃料領域の下端が炉心20Cの下端と一致して下部ブランケット領域が設けられていない本実施例によれば、全引き抜き状態となっている各安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長14の下端、すなわち、下部燃料領域8Aの下端に位置させることにより(図14参照)、TRU消滅炉であるBWR19を運転中に何らかの原因で炉心流量が急激に低下し、かつ、全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合、炉心20C内のボイド率が急激に上昇し若干サブクール状態で炉心20Cの下方から流入している冷却材の沸騰開始点が炉心20Cの下端側に移行し、炉心軸方向の出力分布が炉心20Cの下端側にシフトする。このとき、上端が下部燃料領域8Aの下端に位置している各中性子吸収材充填領域15内に存在するBC によって炉心20Cの下端側にシフトしてくる余分な中性子を吸収できる。その結果、非常用高圧炉心注水系から炉心20Cに供給可能な冷却材の容量によって燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、設計基準を超える複合事象が発生した場合においても、TRU消滅炉で十分な安全ポテンシャルを保つことができる。このような本実施例は、TRU消滅炉の経済性を損なうことなく上記の複合事象が生じた場合でも安全余裕を向上させることができる。
本実施例は、上部ブランケット領域を有し且つ上部燃料領域の高さが下部燃料領域のそれよりも10mm以上である13mm高いので、上記の複合事象が生じた場合における炉心の安全余裕をさらに向上させることができる。
BWR19を運転中に全引き抜き状態となっている安全棒の中性子吸収材充填領域15の上端が燃料棒3の燃料有効長の下端(下部燃料領域8Aの下端)に位置させた場合の炉心反応度低下の対策を実施しつつ、ボイド係数への影響ができるだけ小さくなるように、上部ブランケット領域5の高さを30mmとし、上部燃料領域6の高さを下部燃料領域8の高さより13mm高くした。
本実施例により、全ての制約条件を満たしつつ何らかの原因で炉心流量が大幅に低下したときに全ての制御棒が作動しない設計基準を超える複合事象が発生した場合でも、非常用高圧炉心注水系から炉心20Cに供給が可能な冷却材の容量で燃料集合体を冷却できる出力まで自動的に出力を低下させることができる。このため、そのような複合事象が発生しても、炉心20Cの安全余裕を向上させることができる。炉心20Cは、燃料集合体1Mに含まれているTRUの量を燃焼度ゼロのときよりも減少させることができる。
現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器を用いて、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させる、炉心20Cを適用したBWR19において、取り出し燃焼度65GWd/tを達成できる。本実施例は、ボイド係数が−3×10−4Δk/k/%voidになり、MCPRが1.3になって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例5の軽水炉の炉心を、図28を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉の炉心は、実施例1の炉心20に装荷する燃料集合体1を図28に示す構成とし、他の構成は、実施例1と同じである。
燃料集合体は、燃料有効長の部分に、その上端から下端に向かって、図28に示すように、上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9の5つの領域を順次形成している。それぞれの領域の高さは、以下の通りである。上部ブランケット領域5の高さは105mmであり、上部燃料領域6の高さは248mmであり、内部ブランケット領域7の高さは520mmであり、下部燃料領域8の高さは232mmであり、下部ブランケット領域9の高さは280mmである。図28に示す各領域が形成された複数の燃料集合体1が装荷された炉心20も、上部ブランケット領域5によって形成される上部ブランケット領域5A、上部燃料領域6によって形成される上部燃料領域6A、内部ブランケット領域7によって形成される内部ブランケット領域7A、下部燃料領域8Aによって形成される下部燃料領域8A及び下部ブランケット領域9によって形成される下部ブランケット領域9Aを、上端から下端に向かって順次配置している。
本実施例の炉心も実施例1で生じる各効果を得ることができる。
設計基準内の安全性のみを考慮した本実施例では、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器を用いて、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させる、本実施例の炉心を適用したBWR19において、実施例1より高燃焼度化を実現でき、炉心部領域の取り出し燃焼度66GWd/t、上部及び下部ブランケット領域を含んだ炉心の取り出し燃焼度55GWd/tを実現できる。本実施例は、ボイド係数が−5×10−5Δk/k/%voidになり、MCPRが1.3になって、TRUの各同位元素の割合を上記したように実質的に一定に保った状態で、増殖比1.01を実現することができる。
本発明の他の実施例である実施例6の軽水炉の炉心を、図29及び図30を用いて以下に詳細に説明する。
本実施例の炉心は、実施例1の炉心20に装荷する燃料集合体1を図29に示す構成とし、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例では、本実施例の炉心が適用された軽水炉が定格出力運転されているとき、全引き抜き状態となっている安全棒(Y字型の制御棒2の一部)の中性子吸収材充填領域15の上端が、下部ブランケット領域9の下端から、下部ブランケット領域9の高さの1/5の位置に位置している(図30参照)。
この燃料集合体は、燃料有効長の部分に、その上端から下端に向かって、図29に示すように、上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9の5つの領域を順次形成している。それぞれの領域の高さは、以下の通りである。上部ブランケット領域5の高さは60mmであり、上部燃料領域6の高さは235mmであり、内部ブランケット領域7の高さは450mmであり、下部燃料領域8の高さは219mmであり、下部ブランケット領域9の高さは280mmである。本実施例の炉心も、炉心20と同様に、図29に示された燃料集合体に形成された上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9と同じ軸方向の位置に、上部ブランケット領域5A、上部燃料領域6A、内部ブランケット領域7A、下部燃料領域8A及び下部ブランケット領域9Aを形成している。
本実施例の炉心も実施例1で生じる各効果を得ることができる。
現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器27を用いて、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させる、本実施例の炉心を適用したBWR19において、炉心部領域の取り出し燃焼度54GWd/t、上部及び下部ブランケット領域を含んだ炉心20の取り出し燃焼度45GWd/tを実現できる。さらに、本実施例は、ボイド係数が−3×10−4Δk/k/%voidになり、MCPRが1.3になって、TRUの各同位元素の割合を上記したように実質的に一定に保った状態で、増殖比1.01を実現することができる。
1,1K,1L,1M…燃料集合体、2…制御棒、3…燃料棒、5,5A…上部ブランケット領域、6,6A…上部燃料領域、7,7A…内部ブランケット領域、8,8A…下部燃料領域、9,9A…下部ブランケット領域、14…燃料有効長、15…中性子吸収材充填領域、19…BWR、20,20A,20B,20C…炉心。

Claims (3)

  1. 超ウラン核種の複数の同位元素を含む核燃料物質を有し、上部ブランケット領域及び前記上部ブランケット領域の下方に配置されて前記超ウラン核種を含む燃料領域を形成している燃料集合体において、
    装荷された燃焼度ゼロの前記燃料集合体は、この燃料集合体に含まれる全ての前記超ウラン核種中に占めるPu−239の割合が5%以上40%未満の範囲内にあり、前記上部ブランケット領域の高さが20mm以上100mm以下の範囲内にあり、及び前記燃料領域の下端が燃料有効長の下端に一致していることを特徴とする燃料集合体。
  2. 前記燃料集合体は、内部ブランケット領域、前記上部ブランケット領域と前記内部ブランケットの間に配置されて前記超ウラン核種を含む、前記燃料領域である上部燃料領域及び前記内部ブランケット領域の下方に配置されて前記超ウラン核種を含む、前記燃料領域である下部燃料領域を有しており、
    前記上部燃料領域の高さが前記下部燃料領域の高さよりも、10mm以上25mmの範囲内で高くなっている請求項1に記載の燃料集合体。
  3. 前記燃料領域の下端の下方に、中性子吸収材を含む核燃料物質が配置されている請求項1または2に記載の燃料集合体。
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CN114530266A (zh) * 2022-01-24 2022-05-24 中国原子能科学研究院 一种安全棒及空间核反应堆
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