TRUを増殖することを目指したNa冷却高速炉は、増殖比を高くするため一回の核分裂あたりに発生する中性子数を表すν値が大きい高速中性子領域での場の中性子束が出来るだけ高くなるように設計されている。その高速炉は、臨界性を保つために重要な核分裂性Pu、すなわちPu−239、Pu−241にのみ注目して設計されていた。軽水増殖炉でも、この考え方が踏襲され、場の中性子エネルギーを高くするために中性子を減速させる水の量を燃料棒の冷却に必要な最小限にとどめていた。しかし、熱中性子炉に分類されている軽水炉で冷却材として用いられる軽水は、他の炉型の重水、黒鉛、Na及びPb等の冷却材と比べて、以下に示す二つの点で大きな特徴を有している。第1の特徴は、中性子の減速材である軽水の水素原子が中性子と同程度の質量を有しかつ高い減速能を有するので、偶数核種が奇数核種に移行するための中性子捕獲断面積の主要部分を占める共鳴及び熱エネルギー領域に多くの中性子を供給できることである。第2の特徴は、水素原子の散乱断面積が熱エネルギーから10keV付近までは約20バーンと大きな値であるが、その散乱断面積が10keV付近から急激に減少し始めて200keVで10バーン、4MeV 以上で2バーン以下となりNaの全断面積より小さくなって10MeVでは1バーンにまで減少するので、0.1MeV以上の高速中性子束は他の体系よりも高くなり、偶数核種の高速核分裂に寄与する高エネルギー領域にも多くの中性子を供給することができる。
発明者らは、上記した第1及び第2の特徴を十分考慮し、核分裂性PuだけではなくTRU全核種に着目し、軽水炉の一種である沸騰水型原子炉(BWR)の特徴である炉心冷却水が各燃料集合体のチャンネルボックスで分離されているため燃料集合体内部の構造が異なる燃料燃料集合体を一つの炉心に装荷することが可能であり、同位元素割合が異なる燃料集合体を炉心に装荷する必要がある場合にその集合体の水対燃料体積比を変えて中性子エネルギースペクトルを変化させて望ましい同位元素比に移行させながら使用したり、炉心流量制御により中性子エネルギースペクトルを変える機能を用いて同位元素割合を調整し、各サイク各サイクルの間でTRUの同位元素比を実質的に一定でリサイクルすることにより、TRU中のPu−239の存在比を一定値以下にすれば、負のボイド係数を保ちつつ十分な熱的余裕の下でTRUを増加させたり一定に保ったり速やかに減少させたりできる軽水炉を提供できることを新たに見出した。
本発明はリサイクル型軽水炉の機能拡張及び性能向上をめざしたものである。このような本発明は、特許文献1に示す軽水炉で増殖炉としての性能を向上させる場合、及び不要になったときに長寿命放射性廃棄物として処分することが検討されているTRUを核燃料として利用しつつ最後に一炉心分のTRU以外のTRUをすべて核分裂させる場合において、TRUを含む燃料集合体の燃焼度をより高め、TRUの多重リサイクルを可能にするために成されたものである。
ここで、パッフェ型炉心の概要について説明する。パッフェ型炉心は、装荷される新燃料集合体(燃焼度がゼロ)として、下端部から上端部に向かって下部ブランケット領域、下部燃料領域、内部ブランケット領域、上部燃料領域及び上部ブランケット領域をこの順で配置した燃料集合体を用いている。このため、パッフェ炉心も、下端部から上端部に向かって下部ブランケット領域、下部燃料領域、内部ブランケット領域、上部燃料領域及び上部ブランケット領域が形成される。下部燃料領域及び上部燃料領域は、TRU酸化物燃料(またはTRU酸化物とウラン酸化物の混合酸化物燃料)を含んでいる。なお、上部ブランケット領域と下部ブランケット領域の間に、内部ブランケット領域が存在しなく1つの燃料領域が存在する炉心を一領域炉心と称する。この一領域炉心の燃料領域もTRU酸化物燃料(またはTRU酸化物とウラン酸化物の混合酸化物燃料)を含んでいる。
本発明は、上記したリサイクル型の軽水炉及び軽水炉の炉心を対象としている。以下に、発明者らの検討結果を説明する。電気出力が1350MWで、炉心に装荷されている720体の燃料集合体及び燃料集合体当り271本の燃料棒を有する増殖比1.01のBWR炉心を例に挙げて説明する。
このBWR炉心では、特許文献1及び非特許文献1に記載されている上部及び下部ブランケット領域を除く上部及び下部燃料領域及び内部ブランケット領域を含む炉心部領域の燃焼度が45GWd/tである燃料集合体をさらに高燃焼度化するとき、従来の燃料集合体のまま高燃焼度化すると、以下に示す問題が生じる。この問題は、臨界を保つための反応度の不足、Puの同位元素比の劣化、増殖比の低下、及び安全上の指標であるボイド係数が正になる等が原因で、TRUのリサイクルを途中で中止せざるを得なくなることである。すなわち、多重リサイクルが不可能になる。
上記のBWR炉心を有するBWRを安全に運転しながらTRUのリサイクルを続けるためには、ボイド係数を所定の範囲に保つ必要がある。発明者らは、検討の結果、BWR固有の機能である炉心流量を所定の値に設定して炉心のボイド率を調整し、結果として中性子エネルギースペクトルを調整することによって、燃料集合体の燃焼度をより高めることができ、かつ、TRUの多重リサイクルを実現できることを新たに見出したのである。発明者らが見出した炉心流量の設定を行うことによって、ある運転サイクルでのBWRの運転終了時における、BWR炉心内に存在するTRUの複数の同位元素の割合を、その運転サイクルでのBWRの運転が開始できる状態、例えば、その運転サイクルでの運転開始直前における、そのBWR炉心内に存在するTRUのそれらの同位元素の割合と実質的に同じくすることができるという新たな知見が発明者らによって見出された。ボイド係数も、その運転サイクルにおいて所定の範囲(実質的に一定)に保持することが可能になる。そのBWR炉心には、上記の運転開始直前において、新燃料集合体(燃焼度がゼロである燃料集合体)、及び少なくとも1つの運転サイクルの間、炉心内に滞在した燃料集合体が装荷されている。BWR炉心に装荷されたある燃料集合体に着目すれば、この燃料集合体は、使用済燃料としてBWR炉心から取り出されるまでの間に、炉心内で、例えば、4つの運転サイクルでの運転を経験することになる。発明者らが見出した上記の炉心流量の調整を行うことによって、BWR炉心から使用済み燃料として取り出された時点でその燃料集合体が含んでいるTRUの複数の同位元素の割合を、その燃料集合体がBWR炉心に装荷される新燃料集合体の状態で含んでいるTRUのそれらの同位元素の割合と実質的に同じくすることができるのである。新燃料集合体は、原子炉内での運転を経験していない燃焼度がゼロの燃料集合体である。
上記したある運転サイクルでのBWRの運転終了時における、BWR炉心内に存在するTRUの複数の同位元素の割合を、その運転サイクルでのBWRの運転が開始できる状態における、そのBWR炉心内に存在するTRUのそれらの同位元素の割合と実質的に同じくすることを、便宜的に、TRU同位元素の割合保持と称する。また、BWR炉心から使用済み燃料として取り出された時点で燃料集合体が含んでいるTRUの複数の同位元素の割合を、その燃料集合体がBWR炉心に装荷される新燃料集合体の状態で含んでいるTRUのそれらの同位元素の割合と実質的に同じくすることも、TRU同位元素の割合保持の別の見方である。
上記したBWRでの上記した炉心流量の調節は、図2に示す特性によって定まる相対流量になるように行われる。図2は、炉心に装荷される新燃料集合体に含まれるTRU中のPu−239の割合と相対炉心流量との関係を示している。図2は新燃料集合体に含まれるTRU中のPu−239の割合が異なるTRU同位元素の割合を保持できる炉心流量を求めたものである。発明者らは、軽水炉で発生した使用済燃料集合体に含まれるTRUの各同位元素の組成を調査した結果、TRU中のPu−239の割合に着目して炉心流量を設定すれば、TRU同位元素の割合保持を実現できることを新たに見出したものである。
上記した炉心流量の設定は、各運転サイクルにおけるボイド係数を所定の範囲に保持するために行うものであって、炉心に装荷される新燃料集合体に含まれるTRU中のPu−239の割合によって図2により定まる相対炉心流量(設定炉心流量という)に基づいて行われる。各運転サイクルにおいて、原子炉出力が少なくとも定格出力になった時点では炉心流量は少なくとも調整が完了して上記の設定炉心流量になっている。炉心流量は、運転サイクルが終了するまで、その設定炉心流量に保持される。このため、原子炉出力の制御は、制御棒を用いて行われる。
反応度の不足を解消する他の対策案として、各燃料棒においてTRU中のPu−239の割合を大きくすることが考えられる。この他の対策案では、1つの運転サイクルの運転終了時での炉心内におけるTRUの各同位元素の割合を、その運転サイクルの運転開始時でのその割合と実質的に同じにすることができなくなる。それらを実質的に同じにしようとすると、炉心流量を設定炉心流量から減らす必要があるので、熱的制限条件の一つであるMCPRの基準を満たせなくなる。発明者らの検討の結果、図2に示すように新燃料集合体に含まれる全TRU中のPu−239の割合を45%以下に下げることにより、全ての制約条件を満たし増殖比1.01を維持しつつ燃料集合体の高燃焼度化等の炉心性能の向上を図ることができると共に、TRUの多重リサイクルを実現することができた。なお、燃料集合体の燃焼度をより高め、かつTRUの多重リサイクルを実現してTRUの有効利用を図るためには、新燃料集合体に含まれる全TRU中のPu−239の割合を40%以上で45%以下の範囲にすることが望ましい。その割合をその範囲にすることによって、BWR炉心内のTRUの量を、運転サイクルの開始時よりも減少させること無く、運転サイクルの終了時まで一定に保持でき、場合によっては運転サイクル終了時に増大させることができる。
次に、電気出力が1350MWで、燃料集合体1体当り331本の燃料棒を有する720体の燃料集合体が装荷されている他のBWR炉心を例に挙げて説明する。このBWR炉心は、TRUを消滅させる機能を有する。
TRUを減少させる目的でTRUのリサイクルを繰り返す場合には、通常、奇数核種だけが先に燃えて途中で未臨界になり、TRUが燃え残るという問題が生じる。この問題は、発明者らが見出した上記したTRU同位元素の割合保持によってTRUの各同位元素の割合を実質的に一定に保ち、TRUを燃焼させることによって解決できる。このため、燃料集合体の燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルを実現させることができる。しかし、TRUを減少させるためにはTRU中の全TRUに占めるPu−239の割合を低下させ、リサイクルのたびに新たにU−238から供給されるPu−239の量を少なくする必要がある。
図3は、パッフェ型炉心及び一領域炉心において、装荷される新燃料集合体に含まれるTRU中のPu−239の割合と、水対核燃料物質比(単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合)との関係を示している。図3に示されたこれら関係は、それぞれの炉心においてTRU同位元素の割合保持が実現されることを前提にして、発明者らが求めたものである。特性41は、パッフェ型炉心に対するものであり、特性42は一領域炉心に対するものである。図3に示すように新燃料集合体内の燃料棒を細径化することによってTRUに対する水の割合が増加(水対核燃料物質比が低下)するので、共鳴領域及び熱エネルギー領域の各中性子が増加する。これらの中性子の増加によって偶数核種の中性子捕獲が進み、偶数核種から奇数核種への核変換効率が向上してTRUの燃焼効率が増加する。したがって、TRUをより早く減少させることができる。なお、TRUの燃焼効率は、燃料集合体の寿命中における全核分裂量に対するTRUの正味の減少量で定義される。
図4は、パッフェ型炉心及び一領域炉心において、装荷される新燃料集合体に含まれるTRU中のPu−239の割合と、燃焼効率及びボイド係数との関係を示している。TRU中のPu−239の割合と燃焼効率の関係は、パッフェ型を対象とした特性10及び一領域炉心を対象とした特性43で表される。TRU中のPu−239の割合とボイド係数との関係は、パッフェ方炉心を対象とした、炉心取出燃焼度47GWd/tの特性11及び炉心取出燃焼度65GWd/tの特性12、及び一領域炉心を対象とした炉心取出燃焼度75GWd/tの特性44で表される。図4に示すようにPu−239が少なくなった体系でのボイド係数は、燃焼中のTRUの各同位元素の割合が実質的に一定に保たれている限りにおいては、Pu−239が少なくなればなるほど正のボイド反応度成分を有する高速エネルギー成分が増殖比1の炉心より相対的に少なくなるので、負に維持される。また、炉心内の水の量は増殖比1の炉心におけるその量よりも多くなるのでMCPRについても問題ない。一方、パッフェ型炉心では全TRUに占めるPu−239の割合が8%未満になると高速エネルギー領域でしか核分裂しない偶数核種の割合が多くなるため臨界を維持するのに炉心の高さが高くなりボイド反応率が正になるので、軽水炉の安全基準を満たせなくなる。パッフェ型炉心よりも炉心の高さが低くボイド反応率がより負である一領域炉心も、全TRUに占めるPu−239の割合が3%未満になるとやはりボイド反応率が正になるので、軽水炉の安全基準を満たせなくなる。軽水炉の安全基準を満足すためには、全TRUに占めるPu−239の割合を、パッフェ方炉心で8%以上、一領域炉心で3%以上にする必要がある。炉心内のTRUを減少させるためには、パッフェ型炉心は全TRUに占めるPu−239の割合を8%以上40%未満にし、一領域炉心はその割合を3%以上40%未満にしなければならない。しかし、一領域炉心は炉出力が小さいため、全TRUに占めるPu−239の割合が8%より大きいところでは、TRUの燃焼効率が少し高くても、TRUの正味の減少量が低下する。その割合を3%以上8%以下にすることによって、TRUの燃焼効率をさらに大きくすることができ、TRUの正味の減少量も増大させることができる。なお、全TRUに占めるPu−239の割合が、3%以上40%未満の範囲で15%以下になるとTRUの燃焼効率が著しく大きくなるので、TRUを急激に減らすことができる。
どちらの炉心も、チャンネルボックス内の単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合が55%を超えると燃料棒相互の間隙が1mm未満となるので燃料集合体の組み立てが極めて困難になる。このため、単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は、55%以下にする必要がある。その面積割合が30%未満になると、燃料棒が細くなりすぎて横断面での核燃料物質の量が少なくなるので、燃料棒の長さを長くする必要があり、ボイド係数が正になる。したがって、その面積割合は30%以上にしなければならない。
TRUを再処理してマイナーアクチニドを取り除いた核燃料物質を用いて製造した新燃料集合体を炉心(例えば、パッフェ型炉心)に装荷することも可能である。このような炉心においても、炉心内に装荷するその新燃料集合体に含まれる全Pu中のPu−239の割合に対応して定められる設定炉心流量になるように炉心流量を調節することによって、上記したTRU同位元素の割合保持を実現できる。核燃料物質としてマイナーアクチニドを取り除いた核燃料物質を用いる場合において、燃料集合体の燃焼度をより高め、かつTRUの多重リサイクルを実現するためには、新燃料集合体に含まれる全Pu中のPu−239の割合を3%以上50%以下及びその全Pu中のPu−240の割合を35%以上45%以下にする必要がある。Pu−239の割合が50%を超えた場合には、除熱能力が低下するので、原子炉出力を定格出力よりも下げる必要がある。したがって、BWRが保有する発電能力を十分に活用することができなくなる。以上の理由により、そのPu−239の割合は、50%以下にする必要がある。また、全Pu中のPu−239の割合が3%未満になるとボイド係数が正になるので、そのPu−239の割合は3%以上にしなければならない。全Pu中のPu−240の割合が45%を超えるとボイド係数が正になるので、そのPu−240の割合は45%以下にしなければならない。また、全Pu中のPu−240の割合が35%未満になると、除熱能力が低下するので、BWRが保有する発電能力を十分に活用することができなくなる。したがって、そのPu−240の割合は35%以上にする必要がある。
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の軽水炉を、図1、図5〜図11及び表1を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、電気出力1350MW用の炉心を備え
ているが、出力規模はこれに限定されるものではない。炉心に装荷された燃料集合体の体数を変更することによって、本実施例が適用できる他の出力規模の軽水炉を実現することができる。
本実施例の軽水炉である電気出力1350MW用のBWRの概要を、図5に基づいて説明する。BWR19は、原子炉圧力容器27内に、炉心20、気水分離器21、蒸気乾燥器22を配置している。炉心20は、パッフェ型炉心であり、原子炉圧力容器27内で炉心シュラウド25によって取囲まれている。気水分離器21は炉心20の上方に配置され、蒸気乾燥器22は気水分離器21の上方に配置される。複数のインターナルポンプ26が原子炉圧力容器27の底部に設置され、インターナルポンプ26のインペラが原子炉圧力容器27と炉心シュラウド25との間に形成されるダウンカマ内に配置される。主蒸気配管23及び給水配管24が原子炉圧力容器27に接続される。炉心20には、図6に示すように、720体の燃料集合体1が装荷されている。3体の燃料集合体1に1本の割合でY字型の制御棒2が設けられ、223本の制御棒2が炉心20内に挿入可能に配置されている。それぞれの制御棒2は原子炉圧力容器27の底部に設けられた別々の制御棒駆動装置29に連結されている。制御棒駆動装置29は、モータ駆動であり、軸方向における制御棒2の移動を微調整することができる。制御棒駆動装置29が、制御棒2の炉心20からの引き抜き、及び制御棒2の炉心20への挿入の各操作を実行する。中性子検出装置である複数の局所出力領域検出装置(LPRM)32が炉心20内に配置されている。これらのLPRM32は、平均出力領域モニタ(APRM)31に接続され、APRM31は制御棒駆動制御装置30に接続される。
図7は燃料集合体格子の横断面を示している。燃料集合体1は、六角形の筒であるチャンネルボックス4内に、直径10.1mmの271本の燃料棒3を正三角形格子に配置している。燃料集合体1の横断面の形状は六角形をしており、燃料棒3の相互間の間隙が1.3mmである。核燃料物質によって構成された複数の燃料ペレット(図示せず)が、軸方向に並ぶように、燃料棒3の被覆管(図示せず)内に配置されている。最外層の燃料棒列には9本の燃料棒3が配置される。チャンネルボックス4内の単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は54%である。Y字型制御棒2は、中心に位置するタイロッドから外側に向かって伸びる3枚の翼を有する。各翼は、B4C が充填された複数の中性子吸収棒を備えており、タイロッドの周囲に120度の間隔を持って配置される。制御棒2は、軽水より減速能が小さい物質である炭素で構成されたフォロアー部を、炉心20に最初に挿入される挿入端部に設けている。
BWR19が運転されているとき、インターナルポンプ(冷却材供給装置)26の回転によってダウンカマ内の冷却材が加圧されて炉心20に供給される。炉心20内に供給された冷却材は、各燃料集合体1内に導かれ、核分裂性物質の核分裂によって発生する熱で加熱されて一部が蒸気になる。気液二相流状態の冷却材は、炉心20から気水分離器21に導かれて蒸気が分離される。分離された蒸気は、蒸気乾燥器22によって水分がさらに除去される。水分が除去された蒸気は、主蒸気配管23を通ってタービン(図示せず)に供給され、タービンが回転される。タービンに連結された発電機(図示せず)が回転され、電力が発生する。タービンから排出された蒸気は、復水器(図示せず)で凝縮されて凝縮水となる。この凝縮水(給水)は、給水配管24を通って原子炉圧力容器27内に導かれる。気水分離器22で分離された液体の冷却材は、ダウンカマ内で上記の給水と混合され、再び、インターナルポンプ26で加圧される。
平衡炉心の状態にある炉心20内での燃料集合体1の配置を、図8を用いて説明する。
炉内滞在期間が最も長い、運転サイクルが4サイクル目である燃料集合体1Dが、中性子インポータンスの低い炉心最外周領域に配置される。その内側に位置する炉心外側領域には、中性子無限増倍率が最も高い、炉内滞在期間が1サイクル目である燃料集合体1Aが装荷されており、炉心の半径方向における出力分布の平坦化を図っている。炉心内側領域には、炉内滞在期間が2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。このような分散配置によって、炉心内側領域における出力分布の平坦化を図っている。燃料集合体1A,1B,1C,1Dは、それぞれ、図7及び後述の図10及び図11に示す燃料集合体1である。これらの燃料集合体の下部タイプレート(図示せず)は、炉心20の下端部に配置されている炉心支持板(図示せず)に設けられる複数の燃料支持金具(図示せず)に支持される。燃料集合体に冷却材を導く冷却材通路が燃料支持金具内に形成されており、燃料支持金具に設置されたオリフィス(図示せず)がその冷却材通路の入口部に配置される。炉心20は、半径方向において最外周領域6及びその内側に位置する内側領域1の二領域が形成される(図9参照)。燃料集合体1の出力が小さい最外周領域2に位置するオリフィスの口径は、内側領域1に位置するオリフィスの口径よりも小さくなっている。
燃料集合体1は、燃料有効長の部分に、その上端から下端に向かって、図10に示すように、上部ブランケット領域5、上部燃料領域6、内部ブランケット領域7、下部燃料領域8及び下部ブランケット領域9の5つの領域を順次形成している。それぞれの領域の高さは、以下の通りである。上部ブランケット領域5の高さは120mmであり、上部燃料領域6の高さは227mmであり、内部ブランケット領域7の高さは450mmであり、下部燃料領域8の高さは225mmであり、下部ブランケット領域9の高さは180mmである。燃料集合体1が燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1の全ての燃料棒3は、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量172の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。なお、各ブランケット領域には劣化ウランのかわりに、天然ウランや、使用済み燃料集合体から回収される減損ウランを用いてもよい。
燃料集合体1は、図11に示す5種類の燃料棒3を含んでいる。これらの燃料棒3は燃料棒3A〜3Eである。燃料棒3A〜3Eは図11に示すように燃料集合体1内に配置される。燃料棒3A〜3Eのそれぞれの上部燃料領域6及び下部燃料領域8にそれぞれ充填された混合酸化物燃料は、新燃料集合体の状態において、燃料棒3Aで核分裂性Puの富化度が10.7wt%、燃料棒3Bでその富化度が13.5wt%、燃料棒3Cでその富化度が16.8wt%、燃料棒3Dでその富化度が18.2wt%及び燃料棒3Eでその富化度が19.5wt%となっている。それぞれの燃料棒3の各ブランケット領域にはTRUが存在しないが、それぞれの燃料棒3の上部燃料領域6及び下部燃料領域8の各混合酸化物燃料は表1に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1は、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が44wt%である。表1はまた、燃料集合体1が炉心20から取り出された後、燃料貯蔵プールや燃料再処理施設に2年、燃料製造施設に1年、合計3年間炉外に滞在して、再度炉心に新燃料として装荷されるときのTRU組成でもある。
ある運転サイクルでのBWR19の運転を停止した後、平衡炉心である炉心20内に配置された燃料集合体1のうち、例えば、4分の1の燃料集合体1が燃焼度ゼロの燃料集合体(新燃料集合体)1と交換される。新燃料集合体1が炉心20に装荷された後、次の運転サイクルでのBWR19の運転が開始される。この新燃料集合体1は、次の運転サイクルでは1サイクル目の燃料集合体となる。インターナルポンプ26が駆動され、上記したように冷却材が炉心20に供給される。炉心20に供給される冷却材の流量(炉心流量)はミニマム流量になっている。インターナルポンプ26の回転速度は炉心流量制御装置(冷却材流量制御装置)33によって制御される。制御棒駆動制御装置30からの制御信号に基づいて制御棒駆動装置29が駆動され、制御棒2が炉心20から引き抜かれる。臨界状態になったBWR19の昇温昇圧が終了した後、さらに制御棒2が引き抜かれることによって原子炉出力が上昇する。制御棒2の引き抜きによる原子炉出力の上昇が一旦停止される。
炉心流量制御装置33の記憶装置(図示せず)は、図2の特性を記憶している。オペレータは、入力装置(図示せず)から、上記の燃料交換時に炉心20に装荷された新燃料集合体1に含まれる全TRU中のPu−239の割合のデータ(割合情報という)、すなわち、44wt%を入力する。炉心流量制御装置33は、入力された割合情報及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。割合情報である44wt%に対応する設定炉心流量は、図2に示す特性によれば、相対炉心流量1.00になる。炉心流量制御装置33は、インターナルポンプ26の回転速度を増加させ、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量制御装置33は、炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転速度の増加を停止させ、炉心流量の増加を停止させる。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量は、炉心流量制御装置33によって、その設定炉心流量に保持される。炉心流量が設定炉心流量まで増加されるのに伴って、原子炉出力も増加する。炉心流量の増加が停止された後、制御棒2の引き抜きが再開され、原子炉出力が設定出力である100%まで上昇される。その運転サイクルの終了時に制御棒2が炉心20内に挿入され、BWR19の運転が停止される。
BWR19が原子炉出力100%で運転されている場合での、炉心20の軸方向における出力分布及びボイド率分布を図12に示す。炉心の平均ボイド率は67%で、炉心出口の蒸気重量率は41wt%である。BWR19が設定出力で運転されているとき、各LPRM32は核分裂で発生する中性子の検出によって検出信号を出力する。APRM31は入力したこれらの検出信号を平均して原子炉出力を求め、この原子炉出力が制御棒駆動制御装置30に入力される。制御棒駆動制御装置30は、入力した原子炉出力が定格出力になるように、制御棒駆動装置29を操作して制御棒2を炉心20から引き抜く。このようにして、運転サイクルの期間中、原子炉出力が定格出力に保持される。
新燃料集合体1に含まれる全TRU中のPu−239の割合が44wt%、及び設定炉心流量、すなわち、相対炉心流量が1.00である本実施例において、TRU同位元素の割合保持が実現できる理由を、図1に示すアクチニド核種の生成崩壊チェーンを用いて以下に具体的に説明する。
新燃料集合体1に含まれている表1に示されたTRUの複数の同位元素のそれぞれの絶対量は、その新燃料集合体1が炉心20から使用済燃料集合体として取り出されるまでの炉内滞在期間(4つの運転サイクル)の間で減少する。しかしながら、アクチニド核種の生成崩壊チェーンに示す核変換が生じるので、炉心20から使用済燃料集合体として取り出され、再度炉心に新燃料集合体として装荷されるときの燃料集合体1に含まれているTRUの各同位元素の割合は、上記の新燃料集合体1のその割合と実質的に同じになる。上記のTRUの代表的な同位元素として、表1に示されたPu−239、Pu−240、Pu−241及びAm−243を例に挙げて説明する。新燃料集合体1の上部燃料領域6及び下部燃料領域8に含まれているPu−239の量はその新燃料集合体1が使用済燃料集合体として炉心20から取り出されたときには減少している。しながら、4つの運転サイクルの期間中において、各ブランケット領域に存在するU−238が、中性子捕獲反応とそれに引き続くβ崩壊によりPu−239に転換され、新たなPu−239が生成される。Pu−240も、燃料集合体1が炉心20から取り出された時点で上部燃料領域6及び下部燃料領域8において減少しているが、各ブランケット領域でU−238より新たに生成される。Am−243は、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在するTRUの他の同位元素から新たに生成される割合とAm−243の中性子捕獲による減少割合が釣り合っている。Pu−241は、上部燃料領域6及び下部燃料領域8での核分裂による減少量よりも、各ブランケット領域での生成量が多くなる。Pu−241は、新燃料集合体の状態よりも使用済燃料集合体において約20%重量増加する。しかしながら、Pu−241は半減期14.4年と比較的短い半減期を持っているので、炉心20から使用済燃料集合体として取り出され、再度炉心に新燃料として装荷される間に崩壊により減少する。このため、使用済燃料集合体として取り出され、再度炉心に新燃料集合体として装荷されるときの燃料集合体に含まれたTRUの各同位元素の割合は、新燃料集合体1におけるそれらの同位元素の割合と実質的に同じになる。なお、運転サイクルでのBWRの運転終了時における、BWR炉心内に存在するTRUの複数の同位元素の割合も、その運転サイクルでのBWRの運転が開始できる状態における、そのBWR炉心内に存在するTRUのそれらの同位元素の割合と実質的に同じになる。
本実施例によれば、炉心流量制御装置33によって、炉心流量が、新燃料集合体1におけるTRU中のPu−239の割合である44wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節される。この調節によって中性子エネルギースペクトルも調節され、上記したように、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に含まれるTRUの該当する同位元素の減少及び各ブランケット領域におけるその同位元素の生成により、さらに、各ブランケット領域でほとんど生成されないTRUの同位元素においては、この同位元素の消滅、及び上部燃料領域6及び下部燃料領域8に含まれるTRUの他の同位元素からの生成により、上記したTRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、安全上の制約条件を守りながら、核不拡散抵抗性をより大きくすることができる。本実施例は、TRU中のPu−239の割合が44wt%であるので、炉心20から取り出された燃料集合体1内のTRUの量を新燃料集合体1よりも増加させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器27でABWRと同じ電気出力1350MWを発生させるBWR19において、上部及び下部ブランケット領域を除く上部及び下部燃料領域及び内部ブランケット領域を含む炉心部領域の取り出し燃焼度45GWd/tの、特許文献1に記載されている軽水炉増殖炉よりも高燃焼度化した炉心部領域の取り出し燃焼度54GWd/t、上部及び下部ブランケット領域を含んだ炉心20の取り出し燃焼度47GWd/tを実現する。さらに、本実施例は、ボイド係数が−2×10−6Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、TRUの各同位元素の割合を上記したように実質的に一定に保った状態で、増殖比1.01を実現することができる。
本実施例は、原子炉出力が設定原子炉出力(例えば、定格出力)から低下したときの原子炉出力の制御は、炉心流量制御装置33ではなく、制御棒駆動制御装置30が制御棒駆動装置29を制御して制御棒2を操作する(挿入する)ことによって行われる。したがって、本実施例は、TRU同位元素の割合保持の実現、及び原子炉出力の制御を両立させることができる。
本発明の他の実施例である実施例2の軽水炉を、図13及び図14、表2を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図13に示す炉心
20Aに、燃料集合体1を図14に示す燃料集合体1Hに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同じ構成の説明は省略する。炉心20Aはパッフェ型炉心である。
炉心20Aに配置される燃料集合体1Hは、図14に示す寸法及び表2に示すTRUの組成を除いて実施例1で用いる燃料集合体1と同じ構成を有している。燃料集合体1Hも、単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合が実施例1と同じ54%である。炉心20Aは、平衡炉心の状態において図13に示すように、燃料集合体1A〜1Eを配置している。燃料集合体1Eは、炉内滞在期間が最も長い、運転サイクルが5サイクル目の燃料集合体であり、炉心20Aの炉心最外周領域に配置される。炉心最外周領域の内側に位置する炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。なお、炉心最外周領域には3体の燃料集合体1Dが配置される。このような燃料集合体の配置により、炉心20Aの半径方向における出力分布の平坦化が図られている。本実施例で用いられる燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Hである。TRUを再処理しマイナーアクチニドを取り除いたプルトニウム及びAm−241、劣化ウランの混合酸化物燃料を用いることにより高燃焼度化を実現している。新燃料に含まれるAm−241は、TRUを再処理しマイナーアクチニドを取り除いたプルトニウムが新燃料として炉心20に装荷されるまでの間にプルトニウム中のPu−241の崩壊により生成されたものである。
燃料集合体1Hは、燃料集合体1と同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している。図14に示すように、上部ブランケット領域5の高さは200mmであり、上部燃料領域6の高さは211mmであり、内部ブランケット領域7の高さは310mmであり、下部燃料領域8の高さは207mmであり、下部ブランケット領域9の高さは220mmである。燃料集合体1Hが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Hの全ての燃料棒3は、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUを再処理してマイナーアクチニドを取り除いたプルトニウム及び再処理後Pu−241の崩壊で生成したAm−241の合計の重量を100としたときに劣化ウランを重量198の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。燃料集合体1Jも、実施例1と同様に、燃料棒3A〜3Eを含んでいる。これらの燃料棒3A〜3Eは燃料棒3である。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各混合酸化物燃料は表2に示す組成を有している。燃料集合体1Hは、新燃料集合体の状態で、全Pu及びAm−241中のPu−239の割合が48.6wt%、全Pu及びAm−241中のPu−240の割合が39.7wt%である。
炉心流量制御装置33は、入力装置から入力された割合情報(全Pu及びAm−241中のPu−239の割合が48.6wt%)及び図2と同様にTRUを再処理しマイナーアクチニドを取り除いたPu及びAm−241を新燃料集合体として用いた炉心において、新燃料集合体中の全Pu及びAm−241中のPu−239の割合が異なる複数の炉心毎に全Pu及びAm−241同位元素の割合を保持できる炉心流量を求めて得られた特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。炉心流量制御装置33は、実施例1と同様に、インターナルポンプ26の回転速度を増加させ、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量制御装置33は、炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転速度の増加を停止させる。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心20Aに装荷される新燃料集合体1Hにおける全Pu中のPu−239の割合である48.6wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例も、炉心20から取り出された燃料集合体1H内のTRUの量を新燃料集合体1Hよりも増加させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器27でABWRと同じ電気出力1350MWを発生させるBWR19において、実施例1よりも高燃焼度化した炉心20Aの取り出し燃焼度51GWd/t、上部及び下部ブランケット領域を除いた炉心部領域での取り出し燃焼度68 GWd/tを実現することができる。本実施例は、ボイド係数が−3×10−5Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、Pu及びAm−241各同位元素の割合を実施例1で述べたように実質的に一定に保った状態で増殖比1.01を実現することができる。
本発明の他の実施例である実施例3の軽水炉を、図15〜図17、表3を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図16に示す炉心2
0Bに、燃料集合体1を図15及び図17に示す燃料集合体1Jに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同じ構成の説明は省略する。炉心20Bはパッフェ型炉心である。
炉心20Bに配置される燃料集合体1Jを、図15を用いて説明する。燃料集合体1Jは、横断面が六角形をしており、チャンネルボックス4内に、直径9.2mmの331本の燃料棒3Jを正三角形格子に配置している。燃料棒3Jの相互間の間隙が1.1mmである。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は53%である。炉心20Bは、平衡炉心の状態において図16に示すように、燃料集合体1A〜1Dを配置している。炉心20と同様に、炉内滞在期間が最も長い、運転サイクルが4サイクル目の燃料集合体1Dは、炉心20Bの炉心最外周領域に配置される。炉心最外周領域の内側に位置する炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。
炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Dが環状に配置された中間領域が存在する。炉心20Bは半径方向における出力分布が平坦化されている。図16に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Jである。
燃料集合体1Jは、燃料集合体1と同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図17参照)。上部ブランケット領域5の高さは90mmであり、上部燃料領域6の高さは241mmであり、内部ブランケット領域7の高さは560mmであり、下部燃料領域8の高さは241mmであり、下部ブランケット領域9の高さは90mmである。
燃料集合体1Jが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Jの全ての燃料棒3Jは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量153の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。燃料集合体1Jも、実施例1と同様に、燃料棒3A〜3Eを含んでいる。これらの燃料棒3A〜3Eは燃料棒3Jである。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各混合酸化物燃料は表3に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Jは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が40.1wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。
炉心流量制御装置33は、入力装置から入力された割合情報(40.1wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。炉心流量制御装置33は、実施例1と同様に、インターナルポンプ26の回転速度を増加させ、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量制御装置33は、炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転速度の増加を停止させる。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心20Bに装荷される新燃料集合体1JにおけるTRU中のPu−239の割合である40.1wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例も、炉心20Bから取り出された燃料集合体1J内のTRUの量を新燃料集合体1Jよりも増加させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器で、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させるBWR19において、炉心20Bの取出燃焼度53GWd/tを達成することができ、−3×10−6Δk/k/%voidのボイド係数も実現することができる。本実施例は、MCPRが1.3あり、上記したようにTRU同位元素の割合保持を実現できて増殖比1.01を実現することができる。
本発明の他の実施例である実施例4の軽水炉を、図18〜図20、表4を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図19に示す炉心2
0Cに、燃料集合体1を図18及び図20に示す燃料集合体1Kに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と同じ構成の説明は省略する。炉心20Cもパッフェ型炉心である。
炉心20Cに配置される燃料集合体1K(図18参照)は、チャンネルボックス4内に、直径7.7mmの331本の燃料棒3Kを正三角形格子に配置している。燃料棒3Kの相互間の間隙が2.6mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Kが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は36%である。
炉心20Cは、平衡炉心の状態において図19に示すように、経験した運転サイクル数の異なる燃料集合体1A〜1Dを配置している。4サイクル目の燃料集合体1Dは、炉心最外周領域に配置される。炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Cは半径方向における出力分布がより平坦化される。図19に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Kである。
燃料集合体1Kは、燃料集合体1と同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図20参照)。上部ブランケット領域5の高さは30mmであり、上部燃料領域6の高さは194mmであり、内部ブランケット領域7の高さは560mmであり、下部燃料領域8の高さは194mmであり、下部ブランケット領域9の高さは30mmである。
燃料集合体1Kが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Kの全ての燃料棒3Kは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量7の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域にはその混合酸化物燃料が充填されていない。燃料集合体1Kも、燃料棒3Kである燃料棒3A〜3Eを含んでいる。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各混合酸化物燃料は表4に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Kは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が14.4wt%である。
炉心流量制御装置33は、実施例1と同様に、割合情報(14.4wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。炉心流量制御装置33は、インターナルポンプ26を制御し、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転が停止される。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心20Cに装荷される新燃料集合体1KにおけるTRU中のPu−239の割合である14.4wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心20Cから取り出された燃料集合体1K内のTRUの量を新燃料集合体1Kよりも減少させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器で、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させるBWR19において、炉心20Cの取り出し燃焼度65GWd/tを達成できる。本実施例は、TRUの燃焼効率が44%で、ボイド係数が−2×10−4Δk/k/%voidで、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例5の軽水炉を、図21、図22、表5を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例4において炉心20Cに配置する燃料集合
体1Kを図21、図22に示す燃料集合体1Lに替えた構成を有し、他の構成は、実施例4と同じである。本実施例の構成は、実施例4と異なる部分について説明する。本実施例で用いられる炉心もパッフェ型炉心である。
燃料集合体1Lの構成を、図21及び図22を用いて説明する。燃料集合体1Lは、チャンネルボックス4内に、直径7.4mmの331本の燃料棒3Kを正三角形格子に配置している。燃料棒3Kの相互間の間隙が2.9mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Kが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は31%である。本実施例における炉心の半径方向における燃料集合体1Lの配置は図19に示す配置と同じである。
燃料集合体1Lは、燃料集合体1Kと同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図22参照)。上部ブランケット領域5の高さは20mmであり、上部燃料領域6の高さは237mmであり、内部ブランケット領域7の高さは560mmであり、下部燃料領域8の高さは237mmであり、下部ブランケット領域9の高さは20mmである。燃料集合体1Lが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Lの全ての燃料棒3Lは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に、TRU酸化物燃料を充填している。このTRU燃料の核分裂性Puの富化度は13.3wt%である。上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRU及び劣化ウランの混合酸化物燃料を充填していない。各ブランケット領域はTRU酸化物燃料を含んでいない。燃料集合体1Lも燃料棒3Lである燃料棒3A〜3Eを含んでおり、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各TRU燃料は表5に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Lは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が8.5wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(8.5wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。炉心流量制御装置33は、インターナルポンプ26を制御し、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転が停止される。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1LにおけるTRU中のPu−239の割合である8.5wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1L内のTRUの量を新燃料集合体1Lよりも減少させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器で、ABWRと同じ電気出力1350MWを発生させるBWR19において、炉心の取り出し燃焼度65GWd/tを実現できる。本実施例は、TRUの燃焼効率が55%、ボイド係数が−3×10−5Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例6の軽水炉を、図23〜図25、表6を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図24に示す炉心2
0Dに、燃料集合体1を図23及び図25に示す燃料集合体1Mに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明する。本実施例の軽水炉は電気出力が450MWであり、炉心20Dは一領域炉心である。
炉心20Dに配置される燃料集合体1M(図23参照)は、チャンネルボックス4内に、直径8.7mmの331本の燃料棒3Mを正三角形格子に配置している。燃料棒3Mの相互間の間隙が1.6mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Mが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は46%である。
炉心20Dにおける平衡炉心の状態を図24に示す。4サイクル目の燃料集合体1Dは、炉心最外周領域に配置される。炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Dは半径方向における出力分布がより平坦化される。図24に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Mである。
燃料集合体1Mは、燃料有効長の部分に3つの領域を形成している(図25参照)。上部ブランケット領域5の高さは20mmで、下部ブランケット領域9の高さは20mmで、これらのブランケット領域の間に形成された燃料領域15の高さは201mmである。
燃料集合体1Mは、燃焼度ゼロの新燃料集合体状態のとき、全ての燃料棒3Mの2つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、それらの燃料領域15にTRU酸化物燃料を充填している。このTRU酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は7.4wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1Mも、燃料棒3Mである燃料棒3A〜3Eを含んでいる。燃料領域15に存在するTRU酸化物燃料は表6に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Mは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が4.0wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(4.0wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。炉心流量制御装置33は、インターナルポンプ26を制御し、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転が停止される。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心20Cに装荷される新燃料集合体1KにおけるTRU中のPu−239の割合である4.0wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心20Dから取り出された燃料集合体1K内のTRUの量を新燃料集合体1Kよりも減少させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器で電気出力450MWを発生されるBWR19において、炉心20Dの取り出し燃焼度75GWd/tを達成できる。本実施例は、TRUの燃焼効率が80%、ボイド係数が−4×10−5Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例7の軽水炉を、図26〜図29、表7を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図26、図28に示
す炉心20Eに、燃料集合体1を図27及び図29に示す燃料集合体1Nに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明する。本実施例の軽水炉の電気出力は実施例1より低い830MWであり、炉心20Eはパッフェ型炉心である。
炉心20Eに配置される横断面が正方形の燃料集合体1Nは、チャンネルボックス4A内に、直径8.1mmの196本の燃料棒3Nを正方格子に配置している。燃料棒3Nのピッチは9.4mmであり、燃料棒1Nには10本の燃料棒3Mが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は41%である。炉心20Eは、炉心20E内に872体が配置され、4体の燃料集合体1Nに一本の割合で十字型の制御棒2Aを備えている。図27のチャンネルボックス4A外側のギャップ領域の十字型制御棒2Aの挿入されない側には図示していないが、チャンネルボックス4A外側のギャップ領域の水を排除する機能を有する水排除板が炉心上部格子板からつり下げられている。
炉心20Eにおける平衡炉心の状態を図28に示す。4サイクル目の燃料集合体1d及び5サイクル目の燃料集合体1eは、炉心最外周領域に配置される。炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1aが配置され、炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1b,1c,1dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Eは半径方向における出力分布がより平坦化される。
燃料集合体1Nは、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図29参照)。上部ブランケット領域5の高さは40mm、上部燃料領域6の高さは180mm、内部ブランケット領域7の高さは560mm、下部燃料領域8の高さは174mm、下部ブランケット領域9の高さは90mmである。燃料集合体1Nが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Nの全ての燃料棒3Nは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に、TRU酸化物燃料を充填している。このTRU燃料の核分裂性Puの富化度は17.8wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在するTRU酸化物燃料は表7に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Nは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が12.9wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(12.9wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定する。炉心流量制御装置33は、インターナルポンプ26を制御し、炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。炉心流量が設定炉心流量になったとき、インターナルポンプ26の回転が停止される。これ以降、その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1NにおけるTRU中のPu−239の割合である12.9wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1N内のTRUの量を新燃料集合体1Nよりも減少させることができる。
具体的に説明すると、本実施例によれば、電気出力848MWを発生できる現行のABWRにおいて、炉心20Eの取り出し燃焼度45GWd/tを実現できる。本実施例は、TRUの燃焼効率が43%、ボイド係数が−2×10−5Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例8の軽水炉を、図30〜図32、表8を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図31に示す炉心2
0Fに、燃料集合体1を図30及び図32に示す燃料集合体1Pに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明する。本実施例の軽水炉は電気出力が1350MWであり、炉心20Fはパッフェ型炉心である。
炉心20Fに配置される燃料集合体1Pは、チャンネルボックス4内に、直径8.7mmの331本の燃料棒3Pを正三角形格子に配置している。燃料棒3Pの相互間の間隙が1.6mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Pが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は47%である。炉心20Fは、平衡炉心の状態において。4サイクル目の燃料集合体1Dが炉心最外周領域に配置され、炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置される。炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Fは半径方向における出力分布がより平坦化される。図31に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Pである。
燃料集合体1Pは、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図32参照)。上部ブランケット領域5の高さは90mm、上部燃料領域6の高さは240mm、内部ブランケット領域7の高さは560mm、下部燃料領域8の高さは240mm、下部ブランケット領域9の高さは90mmである。燃料集合体1Pが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Pの全ての燃料棒3Pは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量108の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1Mも、燃料棒3Mである燃料棒3A〜3Eを含んでいる。混合酸化物燃料は表8に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Pは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が31.6wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(31.6wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定し、インターナルポンプ26を制御して炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1PにおけるTRU中のPu−239の割合である31.6wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1P内のTRUの量を新燃料集合体1Pよりも減少させることができる。
本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器でABWRと同じ電気出力1350MWを発生するBWR19において、炉心20Fの炉心取出燃焼度を57Gwd/tまで高めることができる。本実施例は、ボイド係数が−2×10−5Δk/k/%void、TRUの燃焼効率が15%、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例9の軽水炉を、図33〜図35、表9を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20を図34に示す炉心2
0Gに、燃料集合体1を図33及び図35に示す燃料集合体1Qに替えた構成を有し、他の構成は、実施例1と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明する。炉心20Gはパッフェ型炉心である。
炉心20Gに配置される燃料集合体1Qは、チャンネルボックス4内に、直径8.5mmの331本の燃料棒3Qを正三角形格子に配置している。燃料棒3Qの相互間の間隙が1.8mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Qが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は45%である。炉心20Gは、平衡炉心の状態において。4サイクル目の燃料集合体1Dが炉心最外周領域に配置され、炉心外側領域には1サイクル目の燃料集合体1Aが配置される。炉心内側領域には2〜4サイクル目の各燃料集合体1B,1C,1Dがそれぞれ分散配置されている。炉心内側領域と炉心外側領域の間に、複数の燃料集合体1Bが環状に配置された中間領域が存在する。このような炉心20Gは半径方向における出力分布がより平坦化される。図34に示した燃料集合体1A〜1Eは、それぞれ、燃料集合体1Qである。
燃料集合体1Qは、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図35参照)。上部ブランケット領域5の高さは90mm、上部燃料領域6の高さは224mm、内部ブランケット領域7の高さは560mm、下部燃料領域8の高さは224mm、下部ブランケット領域9の高さは90mmである。燃料集合体1Qが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Qの全ての燃料棒3Qは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量79の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1Qも、燃料棒3Qである燃料棒3A〜3Eを含んでいる。混合酸化物燃料は表9に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Qは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が26.4wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(26.4wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定し、インターナルポンプ26を制御して炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1QにおけるTRU中のPu−239の割合である26.4wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1Q内のTRUの量を新燃料集合体1Qよりも減少させることができる。
本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器でABWRと同じ電気出力1350MWを発生するBWR19において、炉心20Gの取出燃焼度を58Gwd/tまで増大できる。本実施例は、ボイド係数が−3×10−5Δk/k/%void、TRUの燃焼効率が22%、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例10の軽水炉を、図36、図37及び表10を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例9において炉心20Gに配置する燃
料集合体1Qを図36、図37に示す燃料集合体1Rに替えた構成を有し、他の構成は、実施例9と同じである。本実施例の構成は、実施例9と異なる部分について説明する。本実施例で用いられる炉心もパッフェ型炉心である。
図36及び図37に示すように、燃料集合体1Rは、チャンネルボックス4内に、直径8.1mmの331本の燃料棒3Rを正三角形格子に配置している。燃料棒3Rの相互間の間隙が2.2mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Rが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は40%である。本実施例における炉心の半径方向における燃料集合体1Rの配置は図34に示す配置と同じである。
燃料集合体1Rは、燃料集合体1Qと同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図37参照)。上部ブランケット領域5の高さは40mm、上部燃料領域6の高さは212mm、内部ブランケット領域7の高さは560mm、下部燃料領域8の高さは212mm、及び下部ブランケット領域9の高さは40mmである。燃料集合体1Rが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Rの全ての燃料棒3Rは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量39の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1Rも燃料棒3Rである燃料棒3A〜3Eを含んでおり、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各混合酸化物燃料は表10に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Rは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が19.7wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(19.7wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定し、インターナルポンプ26を制御して炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1RにおけるTRU中のPu−239の割合である19.7wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1R内のTRUの量を新燃料集合体1Rよりも減少させることができる。
本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器でABWRと同じ電気出力1350MWを発生するBWR19にいて、炉心の取出燃焼度を59GWdtに高めることができる。本実施例は、ボイド係数が−4×10−5Δk/k/%void、TRUの燃焼効率が34%、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例11の軽水炉を、図38、図39及び表11を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例4において炉心20Cに配置する燃
料集合体1Kを図38、図39に示す燃料集合体1Sに替えた構成を有し、他の構成は、実施例4と同じである。本実施例の構成は、実施例4と異なる部分について説明する。本実施例で用いられる炉心もパッフェ型炉心である。
図38及び図39に示すように、燃料集合体1Sは、チャンネルボックス4内に、直径7.6mmの331本の燃料棒3Sを正三角形格子に配置している。燃料棒3Sの相互間の間隙が2.7mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Sが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は35%である。本実施例における炉心の半径方向における燃料集合体1Sの配置は図19に示す配置と同じである。
燃料集合体1Sは、燃料集合体1Kと同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図39参照)。上部ブランケット領域5の高さは35mm、上部燃料領域6の高さは189mm、内部ブランケット領域7の高さは560mm、下部燃料領域8の高さは189mm、及び下部ブランケット領域9の高さは35mmである。燃料集合体1Sが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Sの全ての燃料棒3Sは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に、TRU酸化物燃料を充填している。このTRU酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1Sも燃料棒3Sである燃料棒3A〜3Eを含んでおり、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各TRU酸化物燃料は表10に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Sは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が12.9wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(12.9wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定し、インターナルポンプ26を制御して炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1SにおけるTRU中のPu−239の割合である12.9wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1S内のTRUの量を新燃料集合体1Sよりも減少させることができる。
本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器でABWRと同じ電気出力1350MWを発生するBWR19において、炉心の炉心取り出し燃焼度65Gwd/tを実現することができる。本実施例は、TRUの燃焼効率が47%、ボイド係数が−3×10−4Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例12の軽水炉を、図40、図41及び表12を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例4において炉心20Cに配置する燃
料集合体1Kを図38、図39に示す燃料集合体1Tに替えた構成を有し、他の構成は、実施例4と同じである。本実施例の構成は、実施例4と異なる部分について説明する。本実施例で用いられる炉心もパッフェ型炉心である。
燃料集合体1Tは、チャンネルボックス4内に、直径7.5mmの331本の燃料棒3Tを正三角形格子に配置している。燃料棒3Tの相互間の間隙が2.8mmであり、最外層の燃料棒列には10本の燃料棒3Tが配置される。単位燃料棒格子の横断面積に占める燃料ペレットの横断面積の割合は34%である。本実施例における炉心の半径方向における燃料集合体1Tの配置は図19に示す配置と同じである。
燃料集合体1Tは、燃料集合体1Kと同様に、燃料有効長の部分に5つの領域を形成している(図41参照)。上部ブランケット領域5の高さは30mm、上部燃料領域6の高さは204mm、内部ブランケット領域7の高さは560mm、下部燃料領域8の高さは204mm、及び下部ブランケット領域9の高さは30mmである。燃料集合体1Tが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Tの全ての燃料棒3Tは、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に、TRU酸化物燃料を充填している。このTRU酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は16wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1Tも燃料棒3Tである燃料棒3A〜3Eを含んでおり、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各TRU酸化物燃料は表12に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Tは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が11.0wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(11.0wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定し、インターナルポンプ26を制御して炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1TにおけるTRU中のPu−239の割合である11.0wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1T内のTRUの量を新燃料集合体1Tよりも減少させることができる。
本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器でABWRと同じ電気出力1350MWを発生するBWR19において、炉心の取り出し燃焼度65Gwd/tを実現することができる。本実施例は、TRUの燃焼効率が50%、ボイド係数が−2×10−4Δk/k/%void、MCPRが1.3であって、TRU同位元素の割合保持を実現でき、TRUを減少させることができる。
本発明の他の実施例である実施例13の軽水炉を、図42及び表1を用いて以下に詳細に説明する。本実施例の軽水炉は、実施例1において炉心20に配置する燃料集合体1を図42に示す燃料集合体1Uに替えた構成を有し、他の構成は、実施例14と同じである。本実施例の構成は、実施例1と異なる部分について説明する。本実施例で用いられる炉心もパッフェ型炉心である。
燃料集合体1Uは、燃料集合体1の5つの領域を図42に示すように形成したものである。燃料集合体1Uの他の構成は、燃料集合体1と同じである。燃料集合体1Uにおいて、上部ブランケット領域5の高さは120mm、上部燃料領域6の高さは226mm、内部ブランケット領域7の高さは450mm、下部燃料領域8の高さは224mm、及び下部ブランケット領域9の高さは180mmである。燃料集合体1Sが燃焼度ゼロの新燃料集合体のとき、その燃料集合体1Uの全ての燃料棒は、3つのブランケット領域に劣化ウランを充填し、上部燃料領域6及び下部燃料領域8にはTRUの重量を100としたときに劣化ウランを重量172の割合で混合した混合酸化物燃料を充填している。この混合酸化物燃料の核分裂性Puの富化度は18wt%である。各ブランケット領域はTRUを含んでいない。燃料集合体1USも燃料棒3A〜3Eを含んでおり、上部燃料領域6及び下部燃料領域8に存在する各混合酸化物燃料は表1に示す組成のTRUを含んでいる。燃料集合体1Uは、新燃料集合体の状態で、全TRU中のPu−239の割合が44wt%である。
炉心流量制御装置33は、割合情報(44wt%)及び図2に示す特性に基づいて定まる設定炉心流量を設定し、インターナルポンプ26を制御して炉心流量を設定炉心流量になるまで増加させる。その運転サイクルでのBWR19の運転が停止されるまで、炉心流量はその設定炉心流量に保持される。
本実施例も、炉心に装荷される新燃料集合体1UにおけるTRU中のPu−239の割合である44wt%によって定まる設定炉心流量になるように調節されるので、実施例1と同様に、TRU同位元素の割合保持を実現できる。したがって、本実施例は、燃焼度をより高めることができ、かつTRUの多重リサイクルが可能になる。本実施例は、炉心から取り出された燃料集合体1U内のTRUの量を新燃料集合体1USよりも減少させることができる。
本実施例によれば、現行のABWRとほぼ同じ大きさの原子炉圧力容器でABWRと同じ電気出力1350MWを発生するBWR19において、上部及び下部ブランケット領域を除く上部及び下部燃料領域及び内部ブランケット領域を含む炉心部領域の取り出し燃焼度45Gwd/tの、特許文献1に記載されている軽水炉増殖炉よりも高燃焼度化した炉心部領域の取り出し燃焼度52Gwd/t、上部及び下部ブランケット領域を含んだ炉心の取り出し燃焼度45Gwd/tを実現することができる。本実施例は、MCPRが1.3、ボイド係数が−2×10−5Δk/k/%voidになって実施例1より負の絶対値を大きくしつつ、TRU同位元素の割合保持を実現でき、増殖比1.01を実現できる。