JPH09274091A - 高速炉の炉心 - Google Patents

高速炉の炉心

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JPH09274091A
JPH09274091A JP8084945A JP8494596A JPH09274091A JP H09274091 A JPH09274091 A JP H09274091A JP 8084945 A JP8084945 A JP 8084945A JP 8494596 A JP8494596 A JP 8494596A JP H09274091 A JPH09274091 A JP H09274091A
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core
density
reactivity
fuel
neutron
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JP8084945A
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Kaoru Kobayashi
薫 小林
Katsuyuki Kawashima
克之 川島
Toshio Mita
敏男 三田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】大型高速炉の炉心において、炉心にマイナーア
クチニドを装荷するとナトリウム密度反応度が大きくな
るので、その密度反応度を小さくしながらもマイナーア
クチニドを効率よく消滅させる様にすることを課題にし
ている。 【解決手段】マイナーアクチニドを炉心内に存在させて
成る高速炉の炉心において、炉心周辺部には、前記炉心
周辺部のマイナーアクチニドの平均富化度が、炉心中央
部のそれに比べ4倍以上高い領域を備えていることを特
徴とした高速炉の炉心であって、この炉心によれば、ナ
トリウム密度反応度の小さい炉心でマイナーアクチニド
を消滅できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過出力時等のナト
リウム密度減少時の反応度を小さくして炉心安全性を向
上し、かつマイナーアクチニドを消滅させるに好適な高
速炉の炉心に関する。
【0002】
【従来の技術】高速炉の燃料集合体,炉心に関しては、
三木良平著「高速増殖炉」(三木良平:高速増殖炉,日
刊工業新聞社,1972年,p−44〜50)に詳細に
記載されている。
【0003】すなわち、高速炉の燃料集合体は、濃縮ウ
ランあるいはプルトニウム(以下、Puと略記)を富化
したウラン等の核燃料物質を、被覆管に封入して束ねた
燃料棒束と、これを取り囲むラッパ管,燃料棒束より上
方にある冷却材流出部、および燃料棒束の下方にある中
性子遮蔽体と冷却材流入部からなっている。
【0004】高速炉の炉心は、上記の燃料集合体を円筒
状に多数束ねて形成され、上記炉心の径方向中心より遠
くの燃料集合体ほど、核分裂性物質の原子数密度を高く
することにより、径方向の出力分布を平坦化している。
【0005】通常、上記炉心は、Pu富化度の低い燃料
集合体を配置した内側炉心と、Pu富化度の高い燃料集
合体を配置した外側炉心で構成される。
【0006】軽水炉等の熱中性子炉の使用済み燃料に含
まれるマイナーアクチニド(以下、MAと略記)は、ネ
プチニウム(以下、Npと略記),アメリシウム(以
下、Amと略記),キュリウム(以下、Cmと略記)を
主成分とするが、これらの元素の中には、例えば、Np
−237のように半減期の非常に長い核種が含まれてい
る。このMAを、高速炉の炉心に燃料として混合装荷す
ると、高速中性子の核分裂反応による消滅が期待でき
る。
【0007】従来は、「消滅処理研究の現状−新しい原
子力技術の可能性を求めて」(消滅処理研究の現状−新
しい原子力技術の可能性を求めて、社団法人日本原子力
学会,1994年,p−29〜35)に記載のように、
MAを消滅するためPuを富化したウラン等の核燃料物
質にMAを均一に装荷、あるいは出力分布を平坦化する
ため、MAを非均一に装荷していた。
【0008】特に、炉心燃料にMAを5から15%添加
すると、燃焼反応度を小さくできるため、例えば、電気
出力100万kWで、炉心寿命30年,燃焼度20万M
Wd/tの設計が行われていた。
【0009】以下では、上記設計の中で非均一にMAを
装荷した炉心構成について記す。
【0010】上記従来例の非均一にMAを装荷した高速
炉の炉心の炉心断面図を図2に示す。図2において、2
5は、従来例のMAをMOX燃料に7.5% 富化した核
燃料物質を燃料とする燃料集合体、26は従来例のMA
をMOX燃料に15%富化した核燃料物質を燃料とする
燃料集合体である。
【0011】そして、上記従来例のMAをMOX燃料に
7.5% 富化した核燃料物質を燃料とする燃料集合体で
構成された炉心領域を従来例の内側炉心と呼び、上記従
来例のMAをMOX燃料に15%富化した核燃料物質を
燃料とする燃料集合体で構成された炉心領域を従来例の
外側炉心と呼ぶ。従来例の内側炉心と外側炉心でMAの
富化度の割合をそれぞれ7.5% ,15%にすること
で、炉心寿命を30年にすることができ、かつ燃焼期間
を通じて出力分布の変動を小さくしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】大型高速炉の炉心で
は、冷却材であるナトリウム(以下、Naと略記)の温
度が上昇するとNaの密度が減少するため、上記炉心に
正の反応度(以下では、Na密度反応度と呼ぶ)が添加
される。上記反応度が正になる主要因は、Naの密度が
減少することで、炉心内の中性子スペクトルが硬くな
り、ウラン−238の高速核分裂割合を増加することに
ある。
【0013】一方、炉心にMAを富化すると、MAには
ウラン−238より高速核分裂断面積の大きいNp−2
37等が含まれているため、Na密度反応度はさらに正
側へ移行しやすくなる。
【0014】上記従来技術では、長寿命炉心で、かつ出
力分布の変動を小さくするように炉心にMAを装荷して
いるため、Na密度反応度を小さくするという配慮がな
されていなかった。
【0015】本発明の目的は、高速炉の炉心において、
Na密度反応度が小さく、かつMAを消滅できる高速炉
の炉心を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的は、マイナーア
クチニドを炉心内に存在させて成る高速炉の炉心におい
て、炉心周辺部には、前記炉心周辺部のマイナーアクチ
ニドの平均富化度が、炉心中央部のそれに比べ4倍以上
高い領域を備えていることを特徴とした高速炉の炉心に
より達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例について説明す
る。本発明の一実施例を示す高速炉の炉心の概略横断面
図を図1に示す。この図において、1はPuを富化した
ウラン等の核燃料物質を燃料とする燃料集合体(以下、
内側炉心用燃料集合体と略記)、2はPu及びMAを富
化したウラン等の核燃料物質を燃料とする燃料集合体
(以下、外側炉心用燃料集合体と略記)、3は径ブラン
ケット領域に装荷されるウラン等の核燃料物質を燃料と
する燃料集合体(以下、径ブランケット用燃料集合体と
略記)、4は径遮蔽用集合体、5は主炉停止系制御棒、
6は後備炉停止系制御棒である。そして、上記内側炉心
用燃料集合体1で構成された領域の炉心を内側炉心と呼
び、上記外側炉心用燃料集合体2で構成された領域の炉
心を外側炉心と呼ぶ。本発明の一実施例を示す高速炉の
炉心の概略縦断面図を図3に示す。この図において、7
は内側炉心、8は外側炉心、9は径ブランケット炉心、
10は軸ブランケット炉心、11は径遮蔽体、12は軸
遮蔽体である。
【0018】本発明の一実施例の特徴は、上記内側炉心
にMAを燃料として装荷せず、炉心周辺部の一部領域で
ある上記外側炉心にMAを燃料として装荷している点に
ある。このような炉心構成にすることによりNa密度反
応度を低減することが可能である。
【0019】本発明における技術手段の物理的背景は、
次のとおりである。
【0020】まず、ウラン及びPuを燃料とする高速炉
のNa密度反応度について説明する。大型高速炉では、
高速炉の炉心の冷却材であるNaの密度が減少すると以
下に述べる原因の競合によって反応度が正になることが
ある。
【0021】すなわち、Naの密度低下の効果は、Na
による中性子の吸収が小さいため、ほとんどNaによる
中性子散乱の減少に基づいている。
【0022】Naによる中性子散乱が減少すると、 (1)高速炉の炉心からの中性子漏洩が増加し、反応度
は低下する。(中性子漏洩効果) (2)中性子束のスペクトルが硬化し、高速核分裂反応
は増加し、中性子捕獲反応が減少して反応度は上昇す
る。(中性子スペクトル効果) 図4に高速炉の炉心の径方向におけるNa密度の減少が
反応度に及ぼす効果を示す。
【0023】図4において、13は中性子漏洩効果、1
4は中性子スペクトル効果、15は中性子漏洩効果と中
性子スペクトル効果の和である。
【0024】上記中性子漏洩効果は常に負の反応度を与
えるが、その大きさは炉心内でのNa密度減少の位置に
依存し、炉心中心に近い領域では、炉心周辺領域に比べ
Na密度反応度の絶対値は小さい。
【0025】一方、上記中性子スペクトル効果は、正の
反応度を与える。これは、中性子束のスペクトルが硬化
し、そのためウラン−238及びPu−240の高速核
分裂が増加し、逆にPu−239等の中性子捕獲が減少
し反応度は上昇するためである。一般に、高速炉の炉心
では、Na密度反応度に及ぼす効果は、上記中性子漏洩
効果と中性子スペクトル効果の和15であり、炉心の中
心部では正,逆に炉心の周辺部では負である。
【0026】Na密度反応度は中性子漏洩効果と中性子
スペクトル効果の和であるが、炉心の大きさにより正あ
るいは負の値をもつ。
【0027】一般に、高速炉の炉心が小さく、しかも中
性子スペクトルが硬い場合には、上記中性子漏洩効果が
優先的となり、上記Na密度反応度は負である。高速炉
の炉心が大きくなると上記中性子漏洩効果が小さくな
り、その場合は上記中性子スペクトル効果が優先的とな
り、上記Na密度反応度は正である。
【0028】次に、ウラン及びPuにMAを富化した燃
料を用いた高速炉のNa密度反応度について説明する。
まず、MAは、軽水炉使用済み燃料を再処理して得られ
る組成と仮定した。この組成は、Np−237,Am−
241,Am−243,Cm−242,Cm−244の
割合が、それぞれ約80.4,5.7,9.9,0.6,
3.4(%)である。これら核種の特徴の一つは、中性子
スペクトル効果の主要因であるウラン−238の高速核
分裂断面積より、大きい高速核分裂断面積を持つことで
ある。
【0029】まず、ウラン−238の断面積を図5に示
す。ウラン−238の核分裂断面積は中性子エネルギー
が0.5MeV 以上で大きくなるしきい値反応であり、
例えば2MeVで約0.5barnである。一方、Np−2
37の断面積を図6に示す。Np−237の核分裂断面
積もウラン−238の核分裂断面積と同様にしきい値反
応であるが、核分裂断面積の値は、例えば2MeVで約
1.6barn とウラン−238に比べ、約3倍大きいとい
う特徴がある。
【0030】Am−241の断面積を図7に示す。Am
−241の核分裂断面積もしきい値反応であるが、核分
裂断面積の値は、例えば2MeVで約1.8barn とウラ
ン−238に比べ、約3.5 倍大きいという特徴があ
る。
【0031】Am−243の断面積を図8に示す。Am
−243の核分裂断面積もしきい値反応であるが、核分
裂断面積の値は、例えば2MeVで約1.4barn とウラ
ン−238に比べ、約3倍大きいという特徴がある。
【0032】Cm−242の断面積を図9に示す。Cm
−242の核分裂断面積もしきい値反応であるが、核分
裂断面積の値は、例えば2MeVで約2.2barn とウラ
ン−238に比べ、約4倍大きいという特徴がある。
【0033】Cm−244の断面積を図10に示す。C
m−244の核分裂断面積もしきい値反応であるが、核
分裂断面積の値は、例えば2MeVで約1.8barn とウ
ラン−238に比べ、約2.5 倍大きいという特徴があ
る。
【0034】上述のように、MAの主成分であるNp,
Am,Cmでは、高速核分裂断面積がウラン−238に
比べ大きく、これは上記中性子スペクトル効果を増長
し、Na密度反応度の値を大きくすることを示してい
る。一方、MA富化度は、MAの消滅率を高め、かつ消
滅量も多くするため、5から20%程度にするのが一般
的であり、上記富化度とともにNa密度反応度も増加す
る。
【0035】大型高速炉において、均一にMAを装荷し
た炉心のNa密度反応度を図11に示す。
【0036】この図より、炉心にMAを装荷するほど、
Na密度反応度の値も大きくなることが分かる。
【0037】このNa密度反応度の値は、炉心制御性及
び安全性の観点から小さいほど好ましい。
【0038】そこで、本発明の一実施例で用いているN
a密度反応度の低減方法について述べる。
【0039】本発明の一実施例の特徴は、前述したよう
に外側炉心のみに、MAを燃料として装荷している点に
ある。
【0040】このような装荷方法による利点について述
べる。
【0041】図12に高速炉の全炉心領域において、N
a密度が減少する前後の炉心径方向の相対出力分布を示
す。
【0042】この図において、16はNa密度が減少す
る前の相対出力分布、17はNa密度が減少した後の相
対出力分布を示している。
【0043】上記Na密度が減少した後の相対出力分布
17は、Na密度が減少する前の相対出力分布16に比
べ内側炉心で減少し、逆に外側炉心で増加する。
【0044】このNa密度が減少する前後の相対出力分
布の変化によって、Na密度反応度を減少することがで
きる。
【0045】これは、中性子スペクトル効果が顕著に現
れる炉心中心部の出力を減少し、逆に中性子漏洩効果が
顕著に現れる炉心周辺部の出力を増加させるためであ
る。
【0046】上記外側炉心にMAを装荷することによっ
てNa密度反応度が低減できることを数値例に基づき説
明する。
【0047】本発明の一実施例の高速炉の炉心では、内
側炉心用燃料集合体のPu富化度は約16%、外側炉心
のPu富化度は約21%、MA富化度は20%である。
【0048】このように内側と外側炉心でPu富化度に
差があるのは、出力分布を平坦化するためである。
【0049】なお、径ブランケット及び軸ブランケット
用燃料集合体の燃料は天然ウランである。
【0050】上記高速炉の炉心では、外側炉心にのみM
Aを装荷することによってNa密度反応度を低減してい
る。
【0051】図13に内側炉心と外側炉心のMA富化度
をかえた場合のNa密度反応度を示す。
【0052】この図において縦軸はNa密度反応度を、
横軸は全MA装荷量に対する外側炉心のMA装荷量の割
合を示している。
【0053】そして、図13に記述してあるMA平均富
化度は、内側炉心と外側炉心に均一にMAを富化したと
きのMAの平均的な富化度であることを示している。
【0054】そして、内側および外側炉心へ装荷できる
燃料の体積はほぼ等しいため、上記横軸の0.5はMA
を炉心に均一に装荷していることを表わし、1.0は外
側炉心のみにMAを装荷していることを表わしている。
【0055】MAを均一に装荷した炉心から、内側炉心
のMA装荷量を減らし、その減少分を外側炉心に装荷す
ると、Na密度反応度は最初増加し、その後減少するい
わゆる山形のピークを持つ特性を示す。
【0056】上記特性の物理的背景は、次のとおりであ
る。
【0057】外側炉心では、MA装荷量が増加するのに
ともないPu装荷量が減少するため、MAを炉心に均一
に装荷した炉心に比べ、外側炉心の出力は低くなり、逆
に内側炉心の出力は高くなる。
【0058】これは、中性子スペクトル効果を増加し、
中性子漏洩効果を減少させるため、Na密度反応度に対
して正の寄与がある。
【0059】一方、Na密度が減少すると、外側炉心の
相対出力が増加するため、Na密度反応度に対して負の
寄与がある。
【0060】Na密度反応度は、これら効果の和であ
り、内側炉心と外側炉心のMA装荷量の比が約1:2
(図13の横軸の0.67 に対応)まで増加し、上記比
がさらに大きくなるに従い減少する。
【0061】特に、上記比が1:4(図13の横軸の
0.8 に対応)より大きい場合には、MAを均一に装荷
した炉心よりNa密度反応度を小さくすることが可能と
なる。特に、外側炉心のみにMAを装荷すると、Na密
度反応度の低減効果は大きくなる。
【0062】そのため、本発明の一実施例では、外側炉
心のみにMAを装荷している。
【0063】なお、外側炉心に装荷するMAの量が多い
と、外側炉心でのPu装荷量が減少し、燃焼初期におけ
る外側炉心の出力が内側炉心に比べ相対的に低下する。
【0064】上記低下をさけるには、外側炉心のPu富
化度を高くすれば良い。
【0065】本発明の一実施例の構成にすることによ
り、Naの密度が減少する前後では、Naの密度減少の
割合に依存し、例えば、外側炉心でのMAの高速核分裂
反応が約20%増加すると、それにともない内側炉心相
対出力が低下し、ウラン−238の高速核分裂反応は約2.
4%しか増加しない。
【0066】そのため、MA及びウラン−238の高速
核分裂による中性子スペクトル効果の増加割合は、炉心
全体では小さくすることが可能となり、Na密度反応度
は次に述べるMAを均一に装荷した炉心に比べ小さくな
る。
【0067】炉心にMAを均一に10%富化した炉心に
ついて記す。
【0068】MAの高速核分裂反応は、例えば、内側炉
心で約14%、外側炉心で2%増加する。
【0069】一方、ウラン−238の高速核分裂反応
は、内側炉心で13%増加する。
【0070】このように、MAを炉心に均一に装荷する
と、内側炉心での中性子スペクトル効果の増加が支配的
となり、結果としてNa密度反応度は大きくなる。
【0071】上記外側炉心のみにMAを装荷すると、N
a密度反応度の低減効果は大きいが、上記外側炉心では
出力が低いため、MAを均一装荷した場合に比べ、MA
消滅量は少ない。
【0072】そのため、MA均一装荷した炉心と同じM
Aの量を消滅するには外側炉心のMA装荷量を増加させ
れば良い。
【0073】上記増加は、Na密度反応度を増加させ
る。
【0074】以下では、MA消滅量を一定とした条件の
下でも、MAを均一に装荷した炉心に比べ、内側炉心と
外側炉心のMA装荷量の比が約1:4以上でNa密度反
応度を低減できることを示す。
【0075】MA消滅量を一定としたときのNa密度反
応度を図14に示す。
【0076】この図において、縦軸はNa密度反応度
を、横軸は全MA装荷量に対する外側炉心へ装荷した割
合を示している。
【0077】この図より上記比が1:4(図14の横軸
の0.8 に対応)より大きい場合には、MAを均一に装
荷した炉心よりNa密度反応度を小さくすることが可能
となる。
【0078】本発明の一実施例では、Na密度反応度の
小さい炉心でMAを消滅することができる。
【0079】本発明の他の実施例について説明する。
【0080】本発明の他の実施例を示す高速炉の炉心の
概略縦断面図を図15に示す。
【0081】この図において、20は内側炉心の中央領
域、21は外側炉心の中央領域、22は内側炉心の上下
領域、23は外側炉心の上下領域である。
【0082】この炉心の特徴は、炉心周辺部の一部領域
である内側炉心の上下領域22及び外側炉心の上下領域
23にMAを装荷した点である。
【0083】内側炉心及び外側炉心の上下領域は、上記
中性子スペクトル効果に比べ中性子漏洩効果が大きいた
め、前記一実施例と同様の物理的背景によりNa密度反
応度を低減することができる。
【0084】図16に高速炉の炉心の軸方向におけるN
a密度の減少が反応度に及ぼす効果を示す。
【0085】この図において、27はNa密度が減少す
る前の軸方向相対出力分布、28はNa密度が減少した
後の軸方向相対出力分布を示している。
【0086】このNa密度が減少する前後の軸方向相対
出力分布の変化によって、Na密度反応度を減少するこ
とができる。
【0087】これは、中性子スペクトル効果が顕著に現
れる炉心中心部の出力を減少し、逆に中性子漏洩効果が
顕著に現れる炉心上下部の出力を増加させるためであ
る。
【0088】本発明の他の実施例について説明する。
【0089】本発明の他の実施例を示す高速炉の炉心の
概略縦断面図を図17に示す。
【0090】この図において、20は内側炉心の中央領
域、22は内側炉心の上下領域、24はMAを富化した
燃料で構成された外側炉心である。
【0091】この炉心の特徴は、炉心周辺部、すなわち
炉心の半径と上記半径より小さい半径で囲まれた円筒状
の領域(上記MAを富化した燃料で構成された外側炉心
24)、及び内側炉心の上下領域22にMAを装荷した
点である。
【0092】上記炉心周辺部では、上記中性子スペクト
ル効果に比べ中性子漏洩効果が大きいため、前記一実施
例と同様の物理的背景によりNa密度反応度を低減する
ことができる。
【0093】よって、Na密度反応度の小さい炉心でM
Aを消滅することができる。
【0094】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、高速炉におけ
る過出力時等のNa密度減少時の反応度を小さくして炉
心の制御性及び安全性を向上しつつ炉心内でマイナーア
クチニドを効率よく消滅できる効果が得られる。
【0095】請求項2の発明によれば、請求項1の効果
に加えて、炉心中央部用としてマイナーアクチニドの富
化度を設定する煩わしさが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す高速炉の炉心の概略横
断面図。
【図2】従来例の非均一にMAを装荷した高速炉の炉心
の炉心断面図。
【図3】本発明の一実施例を示す高速炉の炉心の概略縦
断面図。
【図4】高速炉の炉心の径方向におけるNa密度が反応
度に及ぼす効果を示すグラフ図。
【図5】ウラン−238の中性子吸収断面積と中性子エ
ネルギーとの関係を示したグラフ図。
【図6】Np−237の中性子吸収断面積と中性子エネ
ルギーとの関係を示したグラフ図。
【図7】Am−241の中性子吸収断面積と中性子エネ
ルギーとの関係を示したグラフ図。
【図8】Am−243の中性子吸収断面積と中性子エネ
ルギーとの関係を示したグラフ図。
【図9】Cm−242の中性子吸収断面積と中性子エネ
ルギーとの関係を示したグラフ図。
【図10】Cm−244の中性子吸収断面積と中性子エ
ネルギーとの関係を示したグラフ図。
【図11】均一にMAを装荷した炉心のNa密度反応度
を示したグラフ図。
【図12】Na密度が減少する前後の炉心径方向の相対
出力分布図。
【図13】内側炉心と外側炉心のMA富化度をかえた場
合のNa密度反応度を示すグラフ図。
【図14】MA消滅量を一定としたときのNa密度反応
度を示すグラフ図。
【図15】本発明の他の実施例を示す高速炉の炉心の概
略縦断面図。
【図16】高速炉の炉心の軸方向におけるNa密度の減
少が反応度に及ぼす効果を示すグラフ図。
【図17】本発明の他の実施例を示す高速炉の炉心の概
略縦断面図。
【符号の説明】
1…Puを富化したウラン等の核燃料物質を燃料とする
燃料集合体、2…Pu及びMAを富化したウラン等の核
燃料物質を燃料とする燃料集合体、3…径ブランケット
領域に装荷されるウラン等の核燃料物質を燃料とする燃
料集合体、4…径遮蔽用集合体、5…主炉停止系制御
棒、6…後備炉停止系制御棒、7…内側炉心、8…外側
炉心、9…径ブランケット炉心、10…軸ブランケット
炉心、11…径遮蔽体、12…軸遮蔽体、20…内側炉
心の中央領域、21…外側炉心の中央領域、22…内側
炉心の上下領域、23…外側炉心の上下領域、24…M
Aを富化した燃料で構成された外側炉心。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイナーアクチニドを炉心内に存在させて
    成る高速炉の炉心において、炉心周辺部には、前記炉心
    周辺部のマイナーアクチニドの平均富化度が、炉心中央
    部のそれに比べ4倍以上高い領域を備えていることを特
    徴とした高速炉の炉心。
  2. 【請求項2】請求項1において、炉心周辺部のみにマイ
    ナーアクチニドが富化してあることを特徴とした高速炉
    の炉心。
JP8084945A 1996-04-08 1996-04-08 高速炉の炉心 Pending JPH09274091A (ja)

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