JP3895607B2 - 熱中性子原子炉用mox燃料集合体 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、UO2を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、UO2を核燃料とする原子炉においてUO2を燃焼して生成された使用済み核燃料を再処理して得られたPuアイソトープの酸化物PuO2とUO2との混合物(以下MOX燃料と言う。)を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、使用されることができるMOX燃料集合体の改良に関する。特に、このMOX燃料集合体の製造コストを低減し、また、このMOX燃料集合体を燃焼した後に残される使用済み核燃料を核燃料として使用する場合の利用価値を向上する改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
Uを核燃料とする原子炉には種々あるが、従来実用されている原子炉は、相変位温度の低い金属Uと異なり、高温において変形することが少なく、取り扱いが容易であるセラミックスUO2を燃料とし、軽水を減速材兼冷却材とする熱中性子原子炉(PWRとBWR)が主流である。これらの原子炉にあっては、天然Uを濃縮して、核分裂性を有するUアイソトープである235Uの量を増加してある濃縮Uの酸化物UO2を直径約1センチメートル程度長さ約1センチメートル程度のペレット(円筒)状に成形して焼成してペレット(円筒)状セラミックスUO2とし、これを核燃料単位としており、核燃料ペレットと称する。この核燃料ペレットが水と直接接触すると、化学反応を発生するので、これを避けるために、核燃料ペレットを数百個重ねて長いジルカロイ-2製被覆管に収容・封入して、その被覆管の外側を減速材兼冷却材である水流が流されるようにされている。ジルカロイ-2製被覆管の長さは約4メートルであり、その内、核燃料ペレットの入っている部分が炉心の有効高さとなる。例えば、1,100MWの原子炉であると、燃料棒の総数は約50,000本に達し、炉心の等価直径(炉心の形状は正確には円形ではないが、円形と見なした場合の直径)は約5メートルになるが、これらの燃料棒の全てが均等に高速中性子を放出し、その高速中性子の全てに均等に減速材(水)が接触して熱中性子を生成し、全ての燃料棒が均等に核分裂し、全ての燃料棒が概ね同一の温度を保持しながら発熱・発電を継続することが望ましい。ところで、約50,000本の燃料棒を一括取り扱うことは現実的に容易でないので、約60〜100本づつの燃料棒を束ねて収束されたものを実質的取り扱い単位とすることが便利であるから、この約60〜100本の燃料棒を束ねて収束して、所謂燃料チャンネルボックスに収容したものを燃料集合体と命名して、実質的取り扱い単位としている。したがって、1,100MWの原子炉においては、約764個の燃料集合体が整然とマトリックス状に配列され、燃料集合体相互間にボロン等を含む制御棒が挿入・引き抜き可能な形態で配置されて、炉心を形成している。そして、燃料集合体相互の間にも、減速材兼冷却材である水流が流れるようにされている。燃料集合体の下部には、減速材兼冷却材の水流供給装置が配置され、また、燃料集合体の上部には、気水分離装置を始め、蒸気タービンに約290℃・約7MPaの高温高圧水蒸気を送るための装置が設けられており、これらの付属設備も含めて、炉心全体が、厳重に放射能遮蔽が施されている圧力容器に収納されている。
【0003】
このようにして創出されたUO2燃料集合体が充足すべき要件は、概ね下記のとおりである。
1.長期間、事実上は4〜5年間、燃料集合体の被覆管が破損せず、原子炉が安定に臨界状態を維持できるように、原子炉に対する保護機能を有するとゝもに、核分裂生成物を被覆管中に閉じ込める保護機能を有すること。
2.核分裂により発生した熱を、安定に、効率良く、冷却材に伝達することができること。
3.全ての燃料集合体が概ね均一に核分裂をなして、全ての燃料集合体の温度が概ね均一になるようにすること(ローカルピーキングの発生を抑制すること)。
4.減速材兼冷却材である水は、燃料棒に沿って上昇するにともない、気化して一部がボイドになるが、水は気化すると単位体積当たりの水の分子数が減少して減速機能が減少するので、その領域における核分裂が低下するという現象があり、この現象を表す指数にボイド係数という指数があるが、このボイド係数が負の適切な値であること。
【0004】
上記の学術的意味における要請に加えて、商業炉用燃料としてのUO2燃料集合体の開発に当たり、
1.出力密度を極力向上すること、すなわち、燃料集合体の発生する出力を増大して、原子炉の炉心単位体積当たりの出力を大きくすること
2.核分裂可能な物質から熱エネルギーを取り出して利用する能力、すなわち、燃料棒の寿命に亘って取り出しうる熱エネルギーの量であり、学術的には燃焼度と言い、通常、GWd/t(ギガワットデイ/トンと読む。)という単位を使用して表す量(燃焼度)をできるだけ大きくすること
3.新しい核燃料は、装荷当初、核分裂反応度が高過ぎる時期があるが、その時期に出力を適切な値に抑制すること
等が求められる。
そこで、これらの現実的要請を満足するために、
1.出力密度を向上し、燃焼度を向上するため、燃料棒の径を小さくし、UO2燃料の濃縮度を向上して、UO2燃料中に含まれる核分裂性の235Uの量を増加し、炉内の条件に対応して適切な濃縮度の燃料棒を配置するという技術が開発された。
2.出力密度を全炉心に亘って幾何学的に平均化するため、炉の直径方向にも、高さ方向にも、UO2燃料の濃縮度を調節する(変化させておく)という技術が開発された。
3.UO2燃料が新たに装荷された当初は、の核分裂反応度が過剰になるので、新たに装荷されたUO2燃料の出力を抑制するため、GdとUO2とを含むGd燃料棒を使用する技術が開発された。なお、Gdは、装荷されて暫くすると、中性子を吸収する効果が無くなり、通常のUO2燃料棒と同様に振舞うようになる。
5.ボイド係数を調節する手段として、燃料集合体の周辺部以外の領域にウオーターロッドと呼ばれる水(減速材兼冷却材)を通過させる太い配管を設ける技術が開発された。Uの分子数に対する水の分子数の比が大きくなり、中性子減速効果が大きくなり、核分裂発生の可能性が大きくなるからである。
【0005】
このようにして開発された、UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材とする熱中性子原子炉に使用される、UO2を燃料として設計された燃料集合体の1例の平面配置を、図を参照して説明する。
図4参照
図4は、UO2を燃料とし、水を減速材兼冷却材とする燃料集合体の1例の平面図である。図4において、1・2・3・4・5は、UO2燃料棒の番号であり、長さは約4メートルであるが、それぞれ、濃縮度(235Uの含有量)が異なる。各燃料棒の直径は約11ミリメートルであり、燃料集合体の各辺の長さは約15センチメートルである。Wは、減速材の効果が弱い領域に配置され、減速材兼冷却材たる水流を通過させる通路として機能するウオーターロッドであり、その1辺の長さは約4センチメートルである。燃料棒1は、235Uの濃縮度が最も高い高濃縮UO2燃料棒であり、使用数は約10本である。235Uの濃縮度は1から5に向かって順に低くされている。燃料棒2・燃料棒3・燃料棒4・燃料棒5の使用数は、それぞれ、30本・4本・24本・4本である。図示するように、中央部に高濃縮度のUO2燃料棒が配置され、これを囲んで、外周に行くにしたがい濃縮度が低くされているUO2燃料棒が配置される。また、燃料棒の長さ方向にも濃縮度が調節されており、中央部での濃縮度が高くされ、先端部において濃縮度が低くされている。
要するに、この燃料集合体における設計思想は、235Uの含有量(濃縮度)の異なる極めて多種類のUO2燃料棒を用意しておき、燃料集合体内の領域の要請に応じ、適宜、当該領域に最適の濃縮度のUO2燃料棒を選択的に配置することゝされていることである。
【0006】
この燃料集合体を、熱中性子原子炉で燃焼すると、235Uは、中性子との衝突を条件として、核分裂して発熱・発電に寄与する(235Uが核分裂した後は分子量がかなり小さな核分裂生成物となり、この核分裂生成物は、事実上利用価値がない。)が、238Uは、中性子を吸収すると、239Pu、240Pu、241Pu、242Puへと遷移する。これらのアイソトープの内、核分裂性を有するものは、239Puと241Puとである。これらは、現に使用されている熱中性子原子炉内でも、また、使用済み核燃料を再処理して得られたMOX燃料としてゞも利用しうる。
【0007】
この性質を利用して、使用済み核燃料を再処理して求めたMOX燃料(Pu(239PuO2と240PuO2と241PuO2と242PuO2とUO2とを含む混合物)を核燃料としたものが、本発明の改良の対象である。換言すれば、熱中性子原子炉で使用されたUの大部分である238Uは、原子炉中で中性子を吸収して核分裂性を有する239Puと241Puとを生成するので、燃焼した後の使用済み核燃料にも、少なからぬ利用価値がある。そこで、Uを燃焼して生成された使用済み核燃料を再処理して取り出した239Puと241Puとを含むPuアイソトープの酸化物とUO2との混合物を、MOX燃料として積極的に利用することにされていることは周知であり、MOX燃料は、燃料経済上極めて利用価値が高く重要である。
【0008】
そこで、UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、MOX燃料を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、使用されることができるMOX燃料の燃料集合体が開発された。
UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、MOX燃料を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、使用されることができるMOX燃料(PuO2とUO2との混合物)の燃料集合体の1例の平面配置を、図を参照して説明する。
図5参照
図5は、UO2を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計・製造された熱中性子原子炉にも使用されうる、MOX燃料を燃料とする燃料集合体の1例の平面図である。図5において、P1・P2・P3・P4・Gは燃料棒の番号であり、長さは概ね4メートルであるが、それぞれ、富化度(含有されるPuアイソトープ全量に対する核分裂性を有する 239 Puと 241 Puの割合)を異にする4種類のMOX燃料棒と1種類のGd燃料棒とである。各燃料棒の直径は約11ミリメートルであり、燃料集合体の各辺の長さは約15センチメートルである。Wは、減速材の効果が弱い領域に配置され、減速材兼冷却材たる水流を通過させる通路として機能するウオーターロッドであり、その1辺の長さは約3センチメートルである。燃料棒P1は、核分裂性Puの含有量が最も大きい高富化MOX燃料棒であり、燃料棒P1の富化度は約5%であり、使用数は20本である。そして、富化度は、P1・P2・P3・P4の順に低くされており、燃料棒P2・P3・P4の使用数は、それぞれ、16本・8本・4本である。Gd燃料棒Gの使用数は12本である。したがって、MOX燃料棒P1・P2・P3・P4の総数が燃料棒全体の数に占める割合は80%となる。既に述べたように、Gd燃料棒の機能は初期の反応度の抑制にあり、燃料装荷当初は核分裂を抑制し、数ヶ月経過後は中性子吸収効果がなくなり、UO2燃料棒と同様に燃焼(核分裂)に寄与することにある。この意味において、Gd燃料棒も燃料棒の総数に含めてある。
なお、この例においては、MOX燃料棒のみが使用されており、UO2燃料棒は使用されていないが、UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、MOX燃料を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、使用されることができるMOX燃料の燃料集合体が、MOX燃料棒のみを使用していても支障ないことは明らかである。
図示するように、中央部に高富化度のMOX燃料棒が配置され、これを囲んで、外周に行くにしたがい富化度が低くされているMOX燃料棒が配置される。しかも、重要なことは、富化度が段階的に低下されている4種類のMOX燃料棒が用意されているので、MOX燃料集合体の核分裂性Puの平均富化度は約3%であることである。そして、わが国の現行法制においては、MOX燃料装荷炉心のMOX燃料棒の装荷割合は1/3以下と規定されているから、燃料集合体の本数は約300本となり、燃料集合体1本当たりの核分裂性Puの重量は約5キログラムであるので、核分裂性Puの重量は、炉心全体では約1,600キログラムである。
要するに、この燃料集合体の設計思想は、従来のUO2燃料集合体(図4を参照して説明した燃料集合体、すなわち、MOXを使用しない燃料集合体)の設計思想をその侭受け継いだものであり、従来のUO2燃料集合体のUO2燃料棒を、単に、濃縮度に応じた富化度のMOX燃料棒に取り替えただけのものである。
すなわち、濃縮度が最も高いUO2燃料棒を富化度が5%程度であるMOX燃量棒に替え、濃縮度がそれ程高くないUO2燃料棒を富化度がそれ程高くないMOX燃量棒に替えたと言うものであり、UO2を燃料とする燃料集合体の場合と同様、5%程度以下のかなり多種類の富化度のMOX燃料棒(燃料棒の総数に占める割合は80%に相当する。)を用意しておき、燃料集合体内の領域の要請に応じ、適宜、当該領域に最適の富化度のMOX燃料棒を選択的に使用することゝされていることである。
【0009】
この設計思想は、下記のように整理することができる。
1.相互に富化度が異なる多種類のMOX燃料棒が使用される。
2.各MOX燃料棒の富化度は5%程度以下と比較的低い。
3.使用されるMOX燃料棒の総数は極めて多く、燃料棒総数の約80%である。
4.これらの低富化度・多種類のMOX燃料棒を、燃料集合体全体の温度が平均化するように、結果的に、炉心全体の温度が平均化するように、適宜、選択配置する。
【0010】
この設計思想は、UO2の特性とMOXの特性との相違にもとづき、下記の欠点を惹起する。
1.UO2燃料の原料である天然Uは核分裂性Uである235Uを0.3%しか含まないので、UO2燃料の場合は、濃縮度を5%に上昇するには、多額のコストを必要とする。ところが、MOX燃料の原料である、使用済み核燃料の再処理によって得られるMOXは、核分裂性Pu(239Puと241Pu)を60〜70%含むので、MOX燃料の場合は、富化度を5%に低下するために多額のコストを必要とする。要するに、UO2燃料の場合は、濃縮度が低ければ低い程、コスト負担は少ないが、MOX燃料の場合は、富化度が低ければ低い程、コスト負担は大きくなる。つまり、濃縮度/富化度とコストとの関係は、UO2の場合とMOXの場合とでは全く反対である。
2.種類が多くなればなる程、コスト負担が大きくなることは通常である。
3.UO2燃料の使用済み燃料は、核燃料として使用する意味における価値が大きいが、MOX燃料の使用済み燃料は、核燃料として使用する意味における価値の低下が甚だしい。その理由は、UO2燃料の使用済み燃料は、239Pu・240Pu・241Pu・242Puを含み、核分裂性Puである239Puと241Puとを多量に含むが、MOX燃料の使用済み燃料の239Puと241Puとの含有量は少なく、非核分裂性Uである240Puと242Puとが多いからである。
【0011】
この性質を、稍詳細に説明すると、下記のとおりである。UO2燃料は、これを熱中性子原子炉で燃焼すると、235Uが、中性子との衝突を条件として、核分裂して発熱・発電に寄与する一方、238Uは、中性子を吸収すると、239Pu、240Pu、241Pu、242Puへと遷移し、これらの同位体の内、主に239Puと241Puとが核分裂性を有し、将来の利用可能性がある。これに対して、MOX燃料は、当初からPuを含んでいるので、原子炉内で発生するPuの変化は、下記のとおりである。先ず、238Uが、中性子を吸収すると、239Pu、240Pu、241Pu、242Puへと、UO2燃料と同様に、大きな質量数を有するPuへと遷移し、239Puは、240Pu、241Pu、242Puへと遷移し、240Puは、241Pu、242Puへと遷移し、241Puは、242Puへと遷移する。一方、240PuO2、242PuO2も更に高次のPuアイソトープに遷移する。つまり、MOX燃料の場合は、質量数の大きなPuの全Pu量に対する割合が必然的に大きくなる。換言すれば、UO2燃料は、熱中性子原子炉で燃焼した後も、各種の核分裂性Puアイソトープが生成されるので、かなりの利用価値があるが、MOX燃料は、熱中性子原子炉で燃焼した後は、核分裂反応に寄与しない240Pu・242Puが、Pu全量中で大きな割合を占めるので、核燃料としての利用価値が少ない。
【0012】
そこで、これらの経済的不利益は、除去しうるものなら、是非、除去するべきであるという要請がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これらの要請を満足させることにあり、UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、MOX燃料を核燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも使用することができるMOX燃料集合体の製造コストを低減することを可能にするとゝもに、そのMOX燃料集合体を燃焼した後に残された使用済みのMOX燃料を再処理して、核燃料として再利用するという前提の下に、そのMOX燃料集合体の使用済みのMOX燃料の利用価値を向上することを可能にする改良を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱中性子原子炉用MOX燃料集合体の技術思想は、従来の熱中性子原子炉用MOX燃料集合体の技術思想とは、根本的に異なり、MOXの基本的性質にもとづき、コストの観点からも、その使用済みのMOX燃料の利用価値の観点からも、最も有利になるようにすることを追求した発想にもとづくものであり、その技術思想は、下記のとおりである。
1.MOX燃料の種類を、単一とする。
2.その単一種類のMOX燃料棒の富化度は、5〜15重量%、好ましくは、10〜15重量%と、従来のものに比べて顕著に高くする。
3.MOX燃料集合体に使用される単一種類のMOX燃料棒の本数は、従来のものに比べて顕著に少なくする。
4.MOX燃料棒は、減速材の効果が弱い領域に配置する。
その結果、上記の目的は、原子炉用核燃料が被覆管に封入されている原子炉用核燃料棒の複数が、チャンネルボックスの中にマトリックス状に配列され、原子炉用核燃料棒相互間とチャンネルボックスの周囲とを減速・冷却材たる水流が通過することゝされている熱中性子原子炉用MOX燃料集合体において、核燃料棒の本数の20〜40%は、核分裂性Pu(239Puと241Pu)を5〜15重量%好ましくは5〜15重量%に含む単一種類のMOX燃料棒であり、前記燃料棒の本数の80〜60%好ましくは20〜40%は、235UO2を好ましくは1〜5重量%含むUO2燃料棒である熱中性子原子炉用MOX燃料集合体によって達成される。
そして、高富化の単一種類のMOX燃料棒は、減速材の効果が少ない領域に集中的に配置すると、有効である。その理由は、核分裂が活発過ぎることを抑制するためである。また、減速材の効果が強い領域に、235Uを好ましくは1〜5重量%に含むGd燃料棒が配置されることが望ましい。その理由は、燃料棒の装荷当初核分裂を適度に抑制し、装荷後暫くした後は、Gdの中性子吸収効果がなくなるので、UO2燃料棒と同様に燃焼に寄与することになるからである。なお、結果として、MOX燃料棒とGd燃料棒とは、相互に隣接して配置されることになる。減速材の効果が弱い領域には、減速材兼冷却材たる水流を通過させる通路として機能するウオーターロッドが設けられることが望ましい。核分裂を促進し、燃焼度を向上し、核分裂の発生が全ての領域で平均化するために有効であるためである。
なお、現在稼動中の、UO2を主たる燃料とする原子炉には、図4等に示すように、燃料集合体の中心領域にウオーターロッドが設けてあるが、MOX燃料を主たる燃料とする原子炉にあっては、ウオーターロッドの配置位置は、MOX燃料棒近辺を含め、任意の領域に選択することができる。
【0015】
【作用】
本発明に係るMOX燃料集合体の作用と特徴的利益とは、下記のとおりである。
第1に、上記したとおり、MOX燃料の原料は、UO2燃料を燃焼した後に残された使用済み核燃料であり、それを再処理して得られたMOXは、核分裂性Pu(239Puと241Pu)を60〜70%含むので、MOX燃料の場合は、富化度を5%程度に低下するために多額のコストを必要とする。一方、UO2燃料の原料である天然Uは核分裂性Uである235Uを0.3%しか含まないので、UO2燃料の場合は、濃縮度を5%程度に上昇するには、多額のコストを必要とする。本願発明に係るMOX燃料集合体には、富化度が5〜15重量、好ましくは、10〜15重量%の高富化MOX燃料棒が使用されているので、製造コストが廉くなる利益がある。
第2に、如何なる場合でも、単一種類の大量生産が、多種類少量生産よりコスト的に有利なことは明らかである。本願発明に係るMOX燃料集合体には、単一種類のMOX燃料棒しか使用されていないので、この点からも、製造コストが廉くなる利益がある。
第3に、原子炉において、臨界を維持するに必要な核分裂性物質の量は概ね予想できる。したがって、使用されるMOX燃料棒の種類が1種類で、使用されるMOX燃料棒の富化度が高い場合には、使用されるべき燃料棒の本数は少なくなり、濃縮度の低いUO2燃料棒の数が増大する。この理由により、本願発明に係るMOX燃料集合体に使用される高富化度のMOX燃料棒の本数は少なくて済むことになる。
第4に、本願発明に係るMOX燃料集合体の使用済み燃料の価値が従来のものより高い理由に就いて、図面を参照して、説明する。
【0016】
図6参照
その理由は、235Uと239Puと240Puと241Puと242Puとの核反応断面積(吸収と核分裂との双方を含む。)の相違にもとづく。そこで、これらの物質の核反応断面積と温度(熱エネルギー)との関係を示す図6を参照して説明する。図6に示すように、235Uの核反応断面積は熱中性子に対応するエネルギー領域(低エネルギー領域)において大きく高速中性子に対応するエネルギー領域(高エネルギー領域)において小さいが、239Puと240Puと241Puと242Puとの中性子吸収断面積は熱中性子よりはエネルギーの高い熱外中性子領域に大きな共鳴吸収ピークを有する。このことは、235U燃料の場合は、放出された中性子のかなりの量は熱中性子となり、核分裂性の23 5Uと衝突して核分裂に寄与する確率があるが、MOX燃料の場合は、放出された中性子のかなりの量は、Puに途中で吸収されて(Puを高次化して)、核分裂に寄与する確率が低いことを意味する。
【0017】
この事実は、下記する表1に示す、燃焼前のMOX燃料集合体中のPu全体の組成と燃焼後のMOX燃料集合体中のPu全体の組成とを比較しても、明らかである。
表から明らかなように、核分裂性Pu(239Puと241Puとの和)の減少率(燃焼前の67%から燃焼後の47%に減少している。)が大きい。このことは、言葉を変えれば、MOX燃料の使用済み燃料の核分裂性Puの含有量(239Puと241Puとの和)の全Pu量に対する割合が少ないということである。
【0018】
ところで、燃料棒単位で考慮すると、下記する表2に示すように、使用済みのUO2燃量棒に含まれる239Puと241Puとの和の量の使用済みのUO2燃量棒に含まれるPuアイソトープ全量に対する割合は68%であるが、使用済みのMOX燃料棒に含まれる239Puと241Puとの和の割合は、39%である。この比較から明らかなように、MOX燃料集合体(MOX燃料棒とUO2燃料棒とを含む。)においても、高次化の問題は大きな問題ではあるが、使用済み燃料の利用価値が顕著に低下するのはMOX燃料棒においてのみであり、本発明に係る燃料集合体の総数中、かなり多くを占めるUO2燃料棒においてはそれ程大きな問題ではなく、UO2燃料棒の使用済み燃料は已然として、かなりの利用価値を保持することがわかる。このように、本発明の発明者等は、MOX燃料棒の富化度を高くし(核分裂性Puの含有量を5〜15重量%好ましくは10〜15重量%と高くし)、富化度の種類を1種類に制限し、高富化MOX燃料の使用本数を制限すれば(燃料棒全体の20〜40%好ましくは20〜25%に制限すれば)、上記の要請を満足しうることが明らかであるという自然法則を発見し、この自然法則を巧みに利用して、本願発明を完成した。
【0019】
上記の理由は、下記のように整理することができる。
1.上記したとおり、MOX燃料集合体のそれぞれが含有するべき核分裂性Puアイソトープの量は、予め特定されている。もし、そのMOX燃料集合体が含有するPuアイソトープの全量に対する核分裂性アイソトープの量の割合が減少すれば、そのMOX燃料集合体が含有するPuアイソトープの全量は増加する筈である。ところで、核分裂性Puアイソトープも、非核分裂性Puアイソトープも、α線を放出するので、その使用済み核燃料を再処理する工場での放射能遮蔽の要求は厳しくなり、不利益を惹起する。したがって、MOX燃料集合体が含有するPuアイソトープの全量に対する核分裂性アイソトープの量の割合は多いことが有利である。
2.240Puの中性子吸収断面積は大きいので、240Puの含有量が多くなると、核分裂性Puアイソトープの所要量が増大する。したがって、240Puの含有量が43%と大きいMOX燃料棒の使用済み核燃料は優れた核燃料とは認められない。
3一方、240Puは、核分裂性Puアイソトープである241Puを生成するので、240Puは、将来の核分裂を増大する結果を惹起する。この現象は、将来に亘っての原子炉特性の予想を複雑にし、設計上の困難を惹起する欠点を伴う。
4.したがって、本発明に係るMOX燃料集合体において、MOX燃料棒の富化度を高くし(核分裂性Puの含有量を5〜15重量%好ましくは10〜15重量%と高くし)、富化度の種類を1種類に制限し、高富化MOX燃料の数量を制限(燃料棒全体の20〜40%好ましくは20〜25%に制限)することは、綜合的に判断して、有利なことである。
【0020】
些か蛇足の感はあるが、学術的表現をもって、上記事項を再度述べる。実際に、使用済みのUO2燃料を再処理して得られるPuには、239Pu〜242Puが、ある組成比をもって分布しており、Puを熱中性子炉で燃焼すると、Puが大きな質量数に向かって遷移することが確認されている。学術的には、この現象を、Puの高次化と称する。また、MOX燃料を使用する場合も、Puの高次化現象は発生する。その上、MOX燃料には、当初からPuが含まれているから、熱中性子原子炉中で燃焼された後のPuの高次化状態は、UO2燃料の場合より、遥かに進む結果となる。Puの核分裂性アイソトープは、239Puと241Puとであるから、Puの高次化現象は、Puアイソトープ総量に対する核分裂性Puアイソトープの割合の低下を意味し、使用済みPuの核燃料材料としての価値を低下することを意味する。この事実は、使用済み核燃料の再処理を前提として考慮する場合、UO2燃料の場合と異なり、MOX燃料の場合は、燃焼そのものゝ最適化もさることながら、高次化現象を抑制する必要があることを示す。MOX燃料がPuを当初から含んでいるために、高次化現象が促進されるのであるから、高富化度のMOX燃料棒を少量使用すれば、Puの高次化現象を少量のMOX燃料棒のみに限定し、多くのUO2燃料棒は、使用後再処理することができ、全体としては、高次化現象の悪影響を避けることができ、有利であることが明らかである。したがって、本発明は、この着想を具体化して、使用済みのMOX燃料を再処理して利用可能の核分裂物質を取り出すという前提の下に、使用済みMOX燃料の価値を向上することを求める要請を満足したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るMOX燃料集合体(UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、MOX燃料を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも使用されうるMOX燃料(PuO2とUO2との混合物)の核燃料集合体)の3例の平面配置(断面)を、図を参照して、説明する。
【0022】
第1実施例
現在稼動中の軽水炉では、運転サイクルの長さや燃焼度等に法制上の制限があるため、本発明の要旨に係る、極めて富化度の高い、少数のMOX燃料棒を使用する核燃料集合体を使用することには、法制上の制約がある場合がある。しかし、第1実施例にあっては、そのような現行法制上の規制に捕らわれることなく、本MOX燃料集合体を燃料として、長期サイクル運転や高燃焼度使用に対して、最大限能力を発揮しうる設計を想定してある。その結果、単一種類のMOX燃量棒の富化度を14%と高くし、燃料棒の総数に占めるMOX燃量棒の割合を33%に下げてある。
図1参照
図1は、MOX燃料を主たる燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、UO2燃料を主たる燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも使用されることができ、燃焼度が70GWd/・tonであるMOX燃料を燃料とする燃料集合体の1例の平面図である。図1において、1・2・3・Gは、それぞれ、燃料棒の番号であり、長さは概ね4メートルである。各燃料棒の直径は約11ミリメートルであり、燃料集合体の各辺の長さは約15センチメートルである。Wはウオーターロッドであり、その1辺は約4センチメートルである。燃料棒1は、235Uを0.225%含み核分裂性Puを14重量%含む高富化MOX燃料棒であり、使用数は24本である。燃料棒2は、235Uを4.9重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は24本である。燃料棒3は、235Uを4.5重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は4本である。燃料棒Gは、235Uを3.5重量%とGdを3.5重量%含むGd燃料棒であり含み、使用数は20本である。
図示するように、唯1種類の高富化(富化度14重量%)MOX燃料棒1は、減速材の効果が少ない領域に集中的に配置されている。2・3はUO2燃料棒であり、MOX燃料棒は1のみであるから、MOX燃料棒の燃料棒全数に対する割合は33%である。したがって、富化度は従来技術における5重量%より、顕著に大きくされており、また、MOX燃料棒の燃料棒全数に対する割合は、従来技術におけるMOX燃料棒の数の燃料棒総数に対する割合80%(図5に示す従来技術に係るMOX燃料棒と燃料棒総数との比)に比し、顕著に少なくされている。Gd棒の機能は、上記と同様であり、装荷当初は核分裂反応を抑制し、装荷後暫くした後は、中性子吸収効果が無くなり、UO2燃料と同様に振舞う。
上記のMOX燃量集合体の製造方法は従来の方法と概ね同一である。
第1工程において、ピュウレックス法、または、その他の乾式法または湿式法を使用して、使用済みMOX燃料から核分裂性Pu(239Puと241Pu)を取り出す。
第2工程において、PuO2粉とUO2粉とを混合して、所望の富化度のMOXを得る。
第3工程において、MINAS法またはSBR法を使用して、上記のMOXをよく混合する。
第4工程において、上記のMOXを成形・焼成して、PuO2・UO2のセラミックスペレットを製造する。
第5工程において、上記のPuO2・UO2のセラミックスペレットをジルカロイシースに封入して、MOX燃量棒を製造する。
第6工程において、上記のMOX燃量棒とUO2燃量棒とをチャンネルボックスに装入して、MOX燃量集合体を完成する。
このように、使用されるMOX燃料棒の種類は1種類に制限され、使用されるMOX燃料棒の数は低減され、使用されるMOX燃料の富化度が高くされているので、本発明の目的であるMOX燃料集合体の製造コストの低減と使用済みのMOX燃料集合体の利用価値の向上とが実現する。
【0023】
第2実施例
上記したとおり、現在稼動中の軽水炉では、運転サイクルの長さや燃焼度等に法制上の制限があるため、本発明の要旨に係る、極めて富化度の高い、少数のMOX燃料棒を使用することには、法制上の制約がある場合がある。そこで、第2実施例にあっては、現法制の下における規制に違反しない範囲において、本MOX燃料を燃料として、長期サイクル運転や高燃焼度使用に対して、最大限能力を発揮しうる設計を想定してある。すなわち、単一種類のMOX燃量棒の富化度を6%と高くし、燃料棒の総数に占めるMOX燃量棒の割合を25%に下げてある。
図2参照
図2は、MOX燃料を主たる燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも、UO2燃料を主たる燃料とし水を減速材兼冷却材として設計された熱中性子原子炉にも使用されることができ、燃焼度が45GWd/・tonである、MOX燃料を燃料とする燃料集合体の1例の平面配置図(断面図)でる。図2において、1・2・3・4・Gは、それぞれ、各燃料棒に付されている番号であり、長さは概ね4メートルであり、長さは概ね4メートルである。各燃料棒の直径は約11ミリメートルであり、燃料集合体の各辺の長さは約15センチメートルである。Wはウオーターロッドであり、その1辺は約4センチメートルである。燃料棒1は、235Uを0.225%含み核分裂性Puを約6重量%含む高富化MOX燃料棒であり、使用数は16本である。燃料棒2は、235Uを約4重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は28本である。燃料棒3は、235Uを約3.5重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は8本である。燃料棒4は、235Uを約3重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は4本である。燃料棒Gは、235Uを約2重量%とGdを2.2重量%含むGd燃料棒であり、使用数は16本である。
図示するように、唯1種類の高富化(富化度6重量%)MOX燃料棒1は、減速材の効果が少ない領域に集中的に配置されている。2・3・4はUO2燃料棒であり、MOX燃料棒は1のみであるから、MOX燃料棒の燃料棒全数に対する割合は25%である。したがって、富化度は従来技術における5重量%より、顕著に大きくされており、また、MOX燃料棒の燃料棒全数に対する割合は、従来技術におけるMOX燃料棒の数の燃料棒総数に対する割合80%(図5に示す従来技術に係るMOX燃料棒と燃料棒総数との比)に比し、顕著に少なくされている。Gd燃料棒の機能は、上記と同様であり、装荷当初は核分裂反応を抑制し、装荷後暫くした後は、中性子吸収効果が無くなり、UO2燃料と同様に振舞う。
上記のMOX燃量集合体の製造方法は第1実施例の方法と全く同一である。
このように、使用されるMOX燃料棒の種類が単一種類に制限され、使用されるMOX燃料棒の数が低減され、使用されるMOX燃料棒の富化度が高くされているので、本発明の目的であるMOX燃料集合体の製造コストの低減と使用済みのMOX燃料集合体の利用価値の向上とが実現する。
第3実施例
上記したとおり、現在稼動中の軽水炉は、本来UO2を燃料とすることゝされているため、構造的制約があり、本発明の要旨に係る、極めて富化度の高い、少数のMOX燃料棒を使用することには、種々制約がある場合がある。そこで、第3実施例にあっては、この制約を想定し、現在稼動中の軽水炉にも使用することを想定した上で、可能なかぎり、本発明の特質を実現してある。すなわち、単一種類のMOX燃量棒の富化度を6%と高くし、燃料棒の総数に占めるMOX燃量棒の割合を33%に下げてある。
図3参照
図3は、UO2を燃料とし水を減速材兼冷却材として設計・製造した熱中性子原子炉に使用されることができ、燃焼度が45GWd/・tonであり、MOX燃料を燃料とする燃料集合体の1例の平面配置図(断面図)でる。図3において、1・2・3・4・Gは、それぞれ、燃料棒の番号であり、長さは概ね4メートルである。各燃料棒の直径は約11ミリメートルであり、燃料集合体の各辺の長さは約15センチメートルである。Wはウオーターロッドであり、その1辺は約3センチメートルである。燃料棒1は、235Uを約0.225%含み核分裂性Puを約8重量%含む高富化MOX燃料棒であり、使用数は24本である。燃料棒2は、235Uを約4重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は20本である。燃料棒3は、235Uを約3.5重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は8本である。燃料棒4は、235Uを約3重量%含むUO2燃料棒であり、使用数は4本である。燃料棒Gは、235Uを約2重量%とGdを2重量%含むGd燃料棒であり、使用数は16本である。
図1・図2に図示する場合と同様に、唯1種類の高富化(富化度6重量%)MOX燃料棒1は、減速材の効果が少ない領域に集中的に配置されている。2・3・4はUO2燃料棒であり、図1・図2に図示する場合と同様に、MOX燃料棒は1のみであり、MOX燃料棒の燃料棒全数に対する割合は33%である。したがって、富化度は従来技術における5重量%より、顕著に大きくされており、また、MOX燃料棒の燃料棒全数に対する割合は、従来技術におけるMOX燃料棒の数の燃料棒総数に対する割合80%(図4に示す従来技術に係るMOX燃料棒と燃料棒総数との比)に比し、顕著に少なくなくされている。Gd棒の機能は、上記と同様であり、装荷当初は核分裂反応を抑制し、装荷後暫くした後は、中性子吸収効果が無くなり、UO2燃料と同様に振舞う
上記のMOX燃量集合体の製造方法は第1実施例の方法と全く同一である。
このように、使用されるMOX燃料棒の種類は単一種類に制限され、使用されるMOX燃料棒の数は低減され、使用されるMOX燃料棒の富化度は高くされているので、本発明の目的であるMOX燃料集合体の製造コストの低減と使用済みのMOX燃料集合体の利用価値の向上とが実現する。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る原子炉用MOX燃料集合体においては、MOX燃料棒の富化度を単一種類に限定し、しかも、その富化度を高くし(核分裂性Puアイソトープの含有量を5〜15重量%好ましくは10〜15重量%と高くし)、その上、核分裂性Puアイソトープを高富化度に含有する燃料棒の使用量を、燃料棒全体の20〜40%好ましくは20〜25%と極めて少なくしてあるので、低富化度にするための高いコストを必用とせず、MOX燃料棒の種類は単一種類であるから、この点からも、コストが廉く、しかも、このMOX燃料集合体を燃焼した後に残った使用済み燃料棒の一部(UO2燃料棒の使用済み燃料棒)には、核分裂性Puアイソトープを多量に含むことになるので、使用済みのMOX燃料集合体を再処理して利用可能の核分性物質を取り出すという前提の下において、この使用済みMOX燃料集合体の価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るMOX燃料集合体の平面配置図(断面図)である。
【図2】本発明の第2実施例に係るMOX燃料集合体の平面配置図(断面図)である。
【図3】本発明の第3実施例に係るMOX燃料集合体の平面配置図(断面図)である。
【図4】従来技術に係るUO2燃料集合体の平面配置図(断面図)である。
【図5】従来技術に係るMOX燃料集合体の平面配置図(断面図)である。
【図6】235Uと239Puと240Puと241Puと242Puとの核反応断面積(吸収と核分裂との双方を含む。)と温度(熱エネルギー)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・2・3・4・G 図1・図2に示す本発明の第1・第2実施例に係るMOX燃料棒の番号
W ウオーターロッド
1・2・3・4・5 図3に示す従来技術に係るUO2燃料棒の番号
P1・P2・P3・P4・G1・G2 図4に示す従来技術に係るMOX燃料棒の番号
Claims (6)
- 原子炉用核燃料が被覆管に封入されてなる原子炉用核燃料棒の複数が、チャンネルボックスの中にマトリックス状に配列され、前記原子炉用核燃料棒相互間と前記チャンネルボックスの周囲とを減速・冷却材たる水流が通過することゝされてなる熱中性子原子炉用MOX燃料集合体において、
前記核燃料棒の本数の20〜40%は、核分裂性Puを5〜15重量%に含む単一種類のMOX燃料棒であり、前記燃料棒の本数の80〜60%は、少なくとも235Uを含むUアイソトープを含むUO2燃料棒であり、
前記単一種類のMOX燃料棒は前記減速材の効果が弱い領域に配置されてなる
ことを特徴とする熱中性子原子炉用MOX燃料集合体。 - 前記燃料棒の本数の20〜25%は、核分裂性Puを5〜15重量%に含む単一種類のMOX燃料棒であり、前記燃料棒の本数の80〜75%は、少なくとも235Uを含むUアイソトープを含むUO2燃料棒である
ことを特徴とする請求項1記載の熱中性子原子炉用MOX燃料集合体。 - 前記核燃料棒の本数の20〜40%は、核分裂性Puを10〜15重量%に含む単一種類のMOX燃料棒であり、前記燃料棒の本数の80〜60%は、少なくとも235Uを含むUアイソトープを含むUO2燃料棒である
ことを特徴とする請求項1記載の熱中性子原子炉用MOX燃料集合体。 - 前記UO2燃料棒が含む235Uの量は、1〜5重量%である
ことを特徴とする請求項1、2、または、3記載の熱中性子原子炉用MOX燃料集合体。 - 前記減速材の効果が強い領域にGd棒が配置されてなる
ことを特徴とする請求項1、2、3、または、4記載の熱中性子原子炉用MOX燃料集合体。 - 前記減速材の効果が弱い領域に、前記減速材兼冷却材たる水流を通過させる通路として機能するウオーターロッドが設けられてなる
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、または、5記載の熱中性子原子炉用MOX燃料集合体。
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