JPH05311922A - 耐震壁 - Google Patents

耐震壁

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JPH05311922A
JPH05311922A JP12303492A JP12303492A JPH05311922A JP H05311922 A JPH05311922 A JP H05311922A JP 12303492 A JP12303492 A JP 12303492A JP 12303492 A JP12303492 A JP 12303492A JP H05311922 A JPH05311922 A JP H05311922A
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Haruo Kuramochi
春夫 倉持
Jun Mochizuki
洵 望月
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DE P KENSETSU KOGYO KK
De-P Kensetsu Kogyo Kk
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DE P KENSETSU KOGYO KK
De-P Kensetsu Kogyo Kk
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フレームとプレキャストコンクリート製の壁
版とからなる耐震壁の強度と剛性の調整を可能にし、ま
た耐震壁の施工性を高める。 【構成】 柱2と梁3からなるフレーム4と、フレーム
4内に設置されるプレキャストコンクリート製の壁版5
と、壁版5の周囲とフレーム4間の一部,もしくは全周
に充填され、フレーム4の水平力を壁版5に伝達する充
填材6とから構成され、充填材6を介してフレーム4と
壁版5とが一体化したもので、充填材6の充填箇所や充
填区間が調整されることによりフレーム4と壁版5の水
平力の分担の割合が制御されて耐震壁1の強度と剛性が
調整され、またフレーム4に対して壁版5を設置し、充
填材6を充填するのみで構築されることにより施工性が
高められたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は主にプレストレスが導
入されたコンクリート造のフレームとプレキャスト化さ
れた壁版とから構成される耐震壁に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】柱と梁の
各軸方向にプレストレスが導入されたプレストレストコ
ンクリート造のフレーム内に組み込まれる耐震壁は従
来、フレーム内に現場打ちで構築される鉄筋コンクリー
ト造の耐震壁と、フレームの柱や梁と共にプレキャスト
化された壁版を設置するプレキャストコンクリート製の
耐震壁とに大別されるが、前者はフレームの構築とプレ
ストレスの導入後に型枠の組み立て及び配筋とコンクリ
ートの打設によって構築されるため工期の長期化を招く
ことから、施工上は後者のプレキャスト化された壁版を
設置する方法が有利である。
【0003】プレキャスト化された壁版はその周囲から
突出した金物や鉄筋がフレームの内周側に突設された接
合金物や鉄筋に接続されることにより、もしくは壁版の
周囲に形成されたシアコッターの回りとフレーム間にコ
ンクリートが充填されることによりフレームと一体化さ
れるが、フレームを含めた耐震壁の抵抗機構は概して壁
版の壁厚や内部の配筋,ブレースの配置等に基づく壁版
自身の強度や剛性で決まり、耐震壁の強度や剛性の調整
は壁版単位で行われるため、プレキャスト化された特定
の特性を持つ壁版とフレームとの組み合わせからなる耐
震壁の強度と剛性の調整はこれまで行われていない。
【0004】また耐震壁の構築は壁版の設置後に、その
周囲の複数個の金物をフレームに取り付いた接合金物に
接続する、あるいは鉄筋をフレームの鉄筋に溶接する等
により行われるため現場打ちの場合と同様に施工が煩雑
化する傾向がある。
【0005】この発明はプレキャスト化された壁版から
なる耐震壁の現状を踏まえてなされたもので、強度と剛
性の調整が可能で、施工性のよい耐震壁を新たに提案し
ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明ではプレキャスト
コンクリート製の壁版を、その周囲とフレーム間に充填
される充填材によってフレームと一体化し、充填材の充
填箇所等を調整することによりフレームから壁版への水
平力の伝達量を制御し、更に加えて壁版の内部に引張材
を鉛直方向に挿通し、その張力を調整することにより壁
版とフレームとの一体性を制御し、壁版とフレームから
なる耐震壁の強度と剛性の調整を可能にし、また壁版の
設置と充填材の充填によって耐震壁を構成することによ
り耐震壁の施工性を高める。
【0007】充填材は壁版の周囲とフレームの内周間の
一部,もしくは全周に充填され、壁版とフレーム間に介
在することによりフレームに作用する水平力を圧縮力と
して壁版に伝達し、充填箇所や充填区間が適当に設定さ
れることにより壁版に加わる圧縮力、すなわちフレーム
に作用する水平力の、壁版の分担の割合を制御し、フレ
ームと壁版のそれぞれが負担する水平力の大きさが調整
されることにより耐震壁の強度と剛性が調整される。
【0008】壁版の内部に引張材が配置された場合、引
張材は、端部がフレームの上下の梁に付着,もしくは定
着され、緊張されない場合を含めて導入される張力、す
なわち壁版へのプレストレス力が調整されることにより
壁版とフレームの一体化の度合いを制御し、充填材と併
せて壁版自身の強度と剛性及び終局耐力と共に、耐震壁
の強度と剛性を自由に調整する。
【0009】また壁版内に鉛直方向の引張材に加え、水
平方向にも引張材を配置することによって耐震壁の強度
と剛性の、より詳細な調整が可能となる。
【0010】耐震壁は壁版の設置と充填材の充填によ
り、また引張材が挿通する場合は更に引張材による壁版
とフレームとの圧着接合によって構築され、金物や鉄筋
を用いた接合がなくなることにより施工が単純化され、
施工性が高められる。
【0011】
【実施例】以下本発明を一実施例を示す図面に基づいて
説明する。
【0012】この発明の耐震壁1は図1,図2に示すよ
うに柱2と梁3からなるフレーム4と、フレーム4内に
設置されるプレキャストコンクリート製の壁版5と、壁
版5の周囲とフレーム4間に充填される充填材6とから
構成され、充填材6によってフレーム4と壁版5とが一
体となって挙動し、充填材6の充填箇所によって強度と
剛性が自由に調整可能となったものである。実施例では
柱2と梁3がプレキャストコンクリート製で、その各軸
方向にPC鋼材10によってプレストレスが導入され、フレ
ーム4がプレストレストコンクリート造の場合の架構を
示しているが、フレーム4は通常の鉄筋コンクリート造
や鉄骨鉄筋コンクリート造の他、鉄骨造の場合もある。
【0013】壁版5は図1,図5に示すようにフレーム
4内に、四周の内の少なくとも1辺とフレーム4の内周
との間に空隙を残して設置され、この空隙の少なくとも
一部にモルタルやコンクリート等の充填材6が充填され
ることによりフレーム4と一体化される。壁版5はフレ
ーム4の水平力を負担すればよいことから、下側の梁3
上に構造的に絶縁された状態で単純に置かれる場合もあ
り、またフレーム4の内周面に空隙となる溝を形成し、
この溝内に差し込まれることによっても設置される。壁
版5のフレーム4内への設置状態と、それに伴う充填材
6の充填箇所や充填区間は必要とする耐震壁1の強度と
剛性に従い、また後述の引張材7を併用する場合の引張
材7との組み合わせに応じて任意に設定される。
【0014】充填材6は壁版5のフレーム4内への設置
状態や、引張材7の配置とその張力の大きさに応じて壁
版5の側面と柱2間等、壁版5とフレーム4間の一部の
区間,または壁版5の周囲を周回して連続的に充填され
る。充填材6は壁版5とフレーム4間に充填されること
によりフレーム4に作用する水平力を圧縮力として壁版
5に伝達し、壁版5に曲げモーメントとせん断力を作用
させる役目を持ち、図示する実施例では壁版5の全周に
充填材6を充填しているが、上記の通り、充填材6の充
填箇所や充填区間が適当に設定されることによりフレー
ム4からの水平力の、壁版5への伝達量、すなわちフレ
ーム4と壁版5の水平力の分担の割合が制御され、耐震
壁1の強度と剛性が調整される。
【0015】図1,図2はまた、壁版5内にPC鋼材等の
引張材7を鉛直方向に挿通し、その両端をフレーム4の
上下の梁3,3に付着させる,もしくは定着することに
より充填材6と引張材7とによって耐震壁1の強度と剛
性を調整する場合の実施例を示している。引張材7には
アンボンドPC鋼材を含むPC鋼材の他、鉄筋や形鋼等の鋼
材が使用される。鉄筋等の鋼材を使用する場合、引張材
7はそれが挿通する梁3,3の貫通孔内に充填されるグ
ラウト材の付着耐力によってもそのまま梁3,3に接続
される。鉄筋を使用する場合は引張材7を緊張する場合
もある。
【0016】引張材7は張力が導入された場合に壁版5
にプレストレスを与え、その張力の大きさに応じて壁版
5とフレーム4の一体化の度合いを制御し、充填材6と
併せて耐震壁1の強度と剛性及び履歴特性を調整する。
引張材7は張力が与えられたときには壁版5自身の強度
と剛性及び履歴特性も調整し、壁版5の終局耐力、すな
わち破壊モード(靱性)も制御する。引張材7は張力が
導入されない場合には壁版5内に配筋された鉄筋と同様
の役目を果たし、この場合の壁版5は現場打ちコンクリ
ート造でフレーム4に一体化された構造と同等となる。
引張材7はまた、充填材6の剥離を防止し、面外方向の
水平力作用時の壁版5の転倒を拘束する役目を持つ。
【0017】図3は引張材7を挿通させる場合の壁版5
の製作例を、図4は更に運搬の便宜を考慮して図3に示
す壁版5を横方向に2分割した場合の製作例を示したも
のである。後者の場合、分割された壁版5,5間の一体
性は互いに対向する面にシアコッター51,51を形成する
とともに、各壁版5のシアコッター51,51間の端面から
コッター筋52,52を突設し、図6に示すようにコッター
筋52,52を互いに突合せ溶接すると同時に、対向する目
地にコンクリートや充填材6を充填することにより確保
される。
【0018】図5は図3に示す壁版5を用いた耐震壁1
の、図6は図4に示す壁版5,5を用いた耐震壁1の組
み立て例をそれぞれ示したものである。この図は耐震壁
1の曲げ破壊試験用のモデルであり、柱2と梁3がプレ
キャストコンクリート製で、梁3が柱2に、柱2が梁3
にそれぞれPC鋼材10で圧着接合され、フレーム4がプレ
ストレストコンクリート造の場合である。
【0019】引張材7は図3,図5に示すように壁版5
の内部に埋設されたシース8内に上下の梁3,3を貫通
して挿通され、前記の通り、両端がフレーム4の外周側
に付着,もしくは定着される。
【0020】図2に示す実施例のように耐震壁1が連層
となる場合、引張材7は鉛直方向に連続して配置される
ことになるが、図示するように壁版5の下端と梁3との
間の目地の位置に設置されるカプラー9によって1層
分,または複数層分に分割されて配置され、目地を挟ん
で上下に隣接する引張材7,7はこのカプラー9によっ
て連結される。この場合、引張材7は下層側から順次緊
張され、梁3の天端に定着される毎にカプラー9に接続
される。
【0021】引張材7を用いる場合の施工は壁版5の設
置後、引張材7を挿通して端部を梁3,もしくはカプラ
ー9に仮締めした状態で、壁版5とフレーム4間の目地
に充填材6を充填し、引張材7を梁3やカプラー9に緊
結する、という要領で行われ、壁版5にプレストレスを
導入する場合は引張材7を緊張して梁3に定着した後に
これをカプラー9に接続し、その後、シース8内にグラ
ウト材が充填される。
【0022】フレーム4がプレストレストコンクリート
造の場合は、梁3と柱2を互いに圧着接合した後に壁版
5のフレーム4への引張材7による接合が行われる。
【0023】引張材7は梁3への定着時の緊張力の大き
さに応じてフレーム4と壁版5の水平力の分担の割合を
制御し、壁版5自身や耐震壁1の強度と剛性を調整する
が、耐震壁1の強度と剛性は基本的に充填材6によって
調整されることから、上記した通り、緊張されずに梁3
に単純に付着される場合もある。
【0024】壁版5内にはまた、図示しないが、場合に
より水平方向にも引張材7が配置され、その端部が柱
2,2に定着されることによって鉛直方向の引張材7と
の組み合わせにより耐震壁1の強度と剛性の、より詳細
な調整が可能となる。
【0025】耐震壁1のフレーム4と壁版5の水平力の
分担は主に充填材6と引張材7によって自由に制御さ
れ、同時に壁版5の破壊モードも制御されることから、
耐震壁1の被震時にフレーム4を健全に維持したまま壁
版5のみを破壊に至らせることが可能であり、その場合
には損傷した壁版5のみを回収し、新たに設置すること
により耐震壁1の修復を容易に行うことができる。
【0026】
【発明の効果】この発明は以上の通りであり、プレキャ
ストコンクリート製の壁版を、その周囲とフレーム間に
充填され、フレームの水平力を壁版に伝達する充填材に
よってフレームに一体化し、充填材の充填箇所や充填区
間を調整することにより壁版に加わる圧縮力を制御し、
フレームに作用する水平力の、壁版の分担の割合を設定
するものであるため、壁版とフレームからなる耐震壁の
強度と剛性及び履歴特性を自由に調整することができ
る。
【0027】更に壁版の内部に引張材を鉛直方向に挿通
した場合には、張力を導入しない場合を含め、その張力
を調整することにより壁版とフレームの一体化の度合い
が制御されるため、充填材と併せて壁版自身の強度や剛
性と共に、耐震壁の強度と剛性を調整することができ、
水平方向にも挿通した場合にはより詳細な調整を行うこ
とが可能である。
【0028】本発明では充填材と引張材によって耐震壁
の強度と剛性及び履歴特性の制御が可能となる結果、地
震時にフレームを健全に残したまま壁版のみを破壊させ
ることができるため耐震壁の修復が容易である。
【0029】また耐震壁は壁版の設置と充填材の充填に
より、また引張材が挿通する場合は更に引張材によるフ
レームとの圧着接合のみによって構築されるため施工が
単純化される結果、施工性が高められ、工期の短縮化が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐震壁を組み込んだ架構例を示した立
面図である。
【図2】耐震壁が連層の場合の架構例を示した立面図で
ある。
【図3】壁版の製作例を示した配筋図である。
【図4】他の壁版の製作例を示した配筋図である。
【図5】図3に示す壁版を使用した耐震壁の構築例を示
した立面図である。
【図6】図4に示す壁版を使用した耐震壁の構築例を示
した立面図である。
【符号の説明】
1……耐震壁、2……柱、3……梁、4……フレーム、
5……壁版、51……シアコッター、52……コッター筋、
6……充填材、7……引張材、8……シース、9……カ
プラー、10……PC鋼材。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱・梁のフレームと、フレーム内に設置
    されるプレキャストコンクリート製の壁版と、壁版の周
    囲とフレーム間の一部,もしくは全周に充填され、フレ
    ームの水平力を壁版に伝達する充填材とから構成され、
    充填材を介してフレームと壁版が一体化されていること
    を特徴とする耐震壁。
  2. 【請求項2】 壁版内には引張材が鉛直方向に挿通し、
    その端部がフレームの上下の梁に付着,もしくは定着さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の耐震壁。
  3. 【請求項3】 壁版内には引張材が水平方向に挿通し、
    その端部がフレームの両側の柱に付着,もしくは定着さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の耐震壁。
  4. 【請求項4】 フレームは柱と梁の各軸方向にプレスト
    レスが導入されたプレストレストコンクリート造である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の耐震壁。
  5. 【請求項5】 柱と梁はプレキャスト化されたプレキャ
    ストコンクリート製であり、互いに圧着接合されている
    ことを特徴とする請求項4記載の耐震壁。
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