JPH05310668A - 新規ロイシン誘導体並びにそれを含有する抗アレルギー剤及び抗炎症剤 - Google Patents
新規ロイシン誘導体並びにそれを含有する抗アレルギー剤及び抗炎症剤Info
- Publication number
- JPH05310668A JPH05310668A JP11490992A JP11490992A JPH05310668A JP H05310668 A JPH05310668 A JP H05310668A JP 11490992 A JP11490992 A JP 11490992A JP 11490992 A JP11490992 A JP 11490992A JP H05310668 A JPH05310668 A JP H05310668A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ubenimex
- ltb
- production
- lta
- leukotriene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 下記一般式(1)で表わされる〔(2S,3
R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ノイル〕−L−ロイシンのエステル化物並びに該化合物
を有効成分とする抗アレルギー剤及び抗炎症剤。 【化1】 (式中、Rはアルキル基を示す。) 【効果】 生体内でLTB4生成を抑制し、気管支喘息
などのアレルギー疾患、各種炎症、虚血−再灌流障害等
の治療・予防に有用である。
R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ
ノイル〕−L−ロイシンのエステル化物並びに該化合物
を有効成分とする抗アレルギー剤及び抗炎症剤。 【化1】 (式中、Rはアルキル基を示す。) 【効果】 生体内でLTB4生成を抑制し、気管支喘息
などのアレルギー疾患、各種炎症、虚血−再灌流障害等
の治療・予防に有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規ロイシン誘導体に
関し、さらに詳しくは生体内のロイコトリエンA4(L
TA4)からロイコトリエンB4(LTB4)への反応を
触媒するLTA 4ヒドロラーゼの活性阻害作用を有する
新規ロイシン誘導体とそれを有効成分とする抗アレルギ
ー剤及び抗炎症剤に関する。
関し、さらに詳しくは生体内のロイコトリエンA4(L
TA4)からロイコトリエンB4(LTB4)への反応を
触媒するLTA 4ヒドロラーゼの活性阻害作用を有する
新規ロイシン誘導体とそれを有効成分とする抗アレルギ
ー剤及び抗炎症剤に関する。
【0002】
【従来の技術】気管支喘息などのアレルギー性疾患や各
種炎症には、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグラン
ジン(PG)、ロイコトリエン(LT)、トロンボキサ
ン(TX)、リボキシン(LX)、血小板活性化因子、
リゾレシチン、各種リンホカインなど多数の因子が関与
している。
種炎症には、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグラン
ジン(PG)、ロイコトリエン(LT)、トロンボキサ
ン(TX)、リボキシン(LX)、血小板活性化因子、
リゾレシチン、各種リンホカインなど多数の因子が関与
している。
【0003】生体内のアラキドン酸代謝系に異常が起こ
ると、細胞内においてPG、LT、TXなどのアラキド
ン酸代謝産物の過不足が生じて血管透過性亢進、気管支
収縮、血小板凝集促進反応等が生じ、各種炎症やアレル
ギー性疾患の原因となる。
ると、細胞内においてPG、LT、TXなどのアラキド
ン酸代謝産物の過不足が生じて血管透過性亢進、気管支
収縮、血小板凝集促進反応等が生じ、各種炎症やアレル
ギー性疾患の原因となる。
【0004】そこで、アラキドン酸代謝系に異常をもた
らす種々の酵素の活性を阻害する薬剤が種々開発されて
いる。例えばシクロオキシゲナーゼ活性を阻害し、その
結果PG生成を抑制することにより抗炎症作用を示す薬
剤として、アスピリンやインドメタシンなど非ステロイ
ド系抗炎症剤がある。しかし、これらはPG系が関与す
る炎症には有効であるものの、LTに起因する炎症を抑
制する作用は有しない。
らす種々の酵素の活性を阻害する薬剤が種々開発されて
いる。例えばシクロオキシゲナーゼ活性を阻害し、その
結果PG生成を抑制することにより抗炎症作用を示す薬
剤として、アスピリンやインドメタシンなど非ステロイ
ド系抗炎症剤がある。しかし、これらはPG系が関与す
る炎症には有効であるものの、LTに起因する炎症を抑
制する作用は有しない。
【0005】LT生成系においては、初発酵素である5
−リポキシゲナーゼによってアラキドン酸よりLTA4
が生成される。LTA4はLTC4シンセターゼによって
ペプチドLTであるLTC4、LTD4、LTE4等へと
導かれる。ペプチドLTは、気管支喘息の原因物質SR
S−A(アナフィラキシーの遅反応性物質:slowr
eacting substance of anap
hylaxis)の本体であり、気管支平滑筋の収縮、
粘膜の腫脹、粘液分泌の亢進を引き起こす。
−リポキシゲナーゼによってアラキドン酸よりLTA4
が生成される。LTA4はLTC4シンセターゼによって
ペプチドLTであるLTC4、LTD4、LTE4等へと
導かれる。ペプチドLTは、気管支喘息の原因物質SR
S−A(アナフィラキシーの遅反応性物質:slowr
eacting substance of anap
hylaxis)の本体であり、気管支平滑筋の収縮、
粘膜の腫脹、粘液分泌の亢進を引き起こす。
【0006】一方、LTA4ヒドロラーゼが作用すると
LTA4はLTB4に変換される。LTB4は極めて強力
な白血球誘引作用と白血球活性化作用を有するため、生
体内の局所でLTB4が生成すると血流中の白血球を強
力に誘引し、その結果血管外へ浸潤した白血球によって
炎症反応が引き起こされる。実際、関節リュウマチ患者
や痛風発作中の関節液、乾癬の皮膚組織中などに高濃度
のLTB4が検出される。
LTA4はLTB4に変換される。LTB4は極めて強力
な白血球誘引作用と白血球活性化作用を有するため、生
体内の局所でLTB4が生成すると血流中の白血球を強
力に誘引し、その結果血管外へ浸潤した白血球によって
炎症反応が引き起こされる。実際、関節リュウマチ患者
や痛風発作中の関節液、乾癬の皮膚組織中などに高濃度
のLTB4が検出される。
【0007】また、各種臓器における虚血−再灌流障害
においても再灌流心筋組織中に明らかな白血球の浸潤及
びアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝物質産生が観察さ
れており(例えばKuzuya,T.,Hoshid
a,S.ら、Jpn.Circ.J.,51,465,
(1989))、虚血−再灌流心筋組織障害に対するL
Tの関与が示唆されている。
においても再灌流心筋組織中に明らかな白血球の浸潤及
びアラキドン酸リポキシゲナーゼ代謝物質産生が観察さ
れており(例えばKuzuya,T.,Hoshid
a,S.ら、Jpn.Circ.J.,51,465,
(1989))、虚血−再灌流心筋組織障害に対するL
Tの関与が示唆されている。
【0008】このように気管支喘息、各種炎症反応及び
虚血−再灌流障害へのLTの関与が注目され、LT生成
の初発酵素である5−リポキシゲナーゼ活性阻害能を有
する化合物の研究開発が盛んになされている。
虚血−再灌流障害へのLTの関与が注目され、LT生成
の初発酵素である5−リポキシゲナーゼ活性阻害能を有
する化合物の研究開発が盛んになされている。
【0009】ところで、LTB4の生合成を触媒する酵
素であるLTA4ヒドロラーゼ活性阻害能を有する物質
の検索は、現在まで殆どなされていない。わずかに、最
近LTA4ヒドロラーゼが、そのアミノ酸配列の解析の
結果、種々のアミノペプチダーゼと高い相同性を有する
ことが見いだされ(Vallee,B.L.、Aul
d,D.S.、Biochemistry,29,56
47.(1990))、実際LTA4ヒドロラーゼはア
ミノペプチダーゼ活性を有することが証明された(例え
ば、Haeggstrom,J.Z.,Wetterh
olm,A.,Vallee,B.L.,Samuel
sson,B.ら、Biochem.Biophys.
Res.Commun.,173,431.(199
0))。このことから、アミノペプチダーゼの活性を阻
害する物質として知られるものが、同時にLTA4ヒド
ロラーゼ活性を阻害し得ると考えられた。
素であるLTA4ヒドロラーゼ活性阻害能を有する物質
の検索は、現在まで殆どなされていない。わずかに、最
近LTA4ヒドロラーゼが、そのアミノ酸配列の解析の
結果、種々のアミノペプチダーゼと高い相同性を有する
ことが見いだされ(Vallee,B.L.、Aul
d,D.S.、Biochemistry,29,56
47.(1990))、実際LTA4ヒドロラーゼはア
ミノペプチダーゼ活性を有することが証明された(例え
ば、Haeggstrom,J.Z.,Wetterh
olm,A.,Vallee,B.L.,Samuel
sson,B.ら、Biochem.Biophys.
Res.Commun.,173,431.(199
0))。このことから、アミノペプチダーゼの活性を阻
害する物質として知られるものが、同時にLTA4ヒド
ロラーゼ活性を阻害し得ると考えられた。
【0010】このようなアミノペプチダーゼ阻害物質の
1つとしてストレプトマイセス オリボレティキュリ
(Streptomyces olivoreticu
li)培養液の上澄から見出された〔(2S,3R)−
3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイ
ル〕−L−ロイシン(以下ウベニメクスということがあ
る)が試みられ(Umezawa,H.,Aoyag
i,T.,Suda,H.,Hamada,M.,Ta
keuchi,T.ら、J.Antibiot.,2
9,97.(1976))、ウベニメクスがLTA4ヒ
ドロラーゼ活性阻害すなわちLTB4生成阻害を示すこ
とが確認された(Orning,L.,Krivi,
G.,Fitzpatrick,F.A.ら、J.Bi
ol.Chem.266,1375.(1991))。
1つとしてストレプトマイセス オリボレティキュリ
(Streptomyces olivoreticu
li)培養液の上澄から見出された〔(2S,3R)−
3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタノイ
ル〕−L−ロイシン(以下ウベニメクスということがあ
る)が試みられ(Umezawa,H.,Aoyag
i,T.,Suda,H.,Hamada,M.,Ta
keuchi,T.ら、J.Antibiot.,2
9,97.(1976))、ウベニメクスがLTA4ヒ
ドロラーゼ活性阻害すなわちLTB4生成阻害を示すこ
とが確認された(Orning,L.,Krivi,
G.,Fitzpatrick,F.A.ら、J.Bi
ol.Chem.266,1375.(1991))。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記O
rningらの報告にあるように、ウベニメクスは、精
製LTA4ヒドロラーゼの活性は強く阻害するものの、
無傷好中球によるLTB4の生成はそれほど阻害しない
(最大40%)。好中球は、マクロファージとともに生
体内におけるLTB4生成の主要細胞をなす(Robe
rt,A.L.,Austen,K.F.ら、J.Cl
in.Invest.,73,889.(1984))
ものであるため、細胞レベルすなわち好中球等によるL
TB4生成に対するウベニメクスの阻害作用が不十分な
ものであるという事実は、該物質を医薬用途に供しよう
とするとき大いに問題となる。
rningらの報告にあるように、ウベニメクスは、精
製LTA4ヒドロラーゼの活性は強く阻害するものの、
無傷好中球によるLTB4の生成はそれほど阻害しない
(最大40%)。好中球は、マクロファージとともに生
体内におけるLTB4生成の主要細胞をなす(Robe
rt,A.L.,Austen,K.F.ら、J.Cl
in.Invest.,73,889.(1984))
ものであるため、細胞レベルすなわち好中球等によるL
TB4生成に対するウベニメクスの阻害作用が不十分な
ものであるという事実は、該物質を医薬用途に供しよう
とするとき大いに問題となる。
【0012】そこで、好中球等によるLTB4生成に対
しても十分な阻害作用を発揮し得る新規物質の開発が望
まれていた。
しても十分な阻害作用を発揮し得る新規物質の開発が望
まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意検討した結果、ウベニメクスのエステル化
物が、驚くべきことに、好中球によるLTB4生成を効
率的に抑制することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
情に鑑み鋭意検討した結果、ウベニメクスのエステル化
物が、驚くべきことに、好中球によるLTB4生成を効
率的に抑制することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0015】
【化2】
【0016】(式中、Rはアルキル基を示す。)で表わ
される〔(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ
−4−フェニルブタノイル〕−L−ロイシンのエステル
化物を提供するものである。
される〔(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ
−4−フェニルブタノイル〕−L−ロイシンのエステル
化物を提供するものである。
【0017】本発明は、さらに、上記化合物(1)を有
効成分とする抗アレルギー剤及び抗炎症剤を提供するも
のである。
効成分とする抗アレルギー剤及び抗炎症剤を提供するも
のである。
【0018】本発明の化合物(1)のアルキル基Rは炭
素数1〜6のものが好ましく、なかでもメチル基、エチ
ル基等が特に好ましい。
素数1〜6のものが好ましく、なかでもメチル基、エチ
ル基等が特に好ましい。
【0019】本発明の化合物(1)はウベニメクスにエ
ステル化反応を施すことにより得られる。エステル化
は、公知の方法により行なうことができる。例えばウベ
ニメクスを酸塩化物とした後アルコールと反応させる方
法、ウベニメクスとアルコールとを少量の酸の存在下で
反応させる方法等が挙げられる。高収率で目的のエステ
ル化物が得られる点で前者は優れ、反応を、大過剰のア
ルコール中、一段階で容易になしうる点で後者は優れ
る。
ステル化反応を施すことにより得られる。エステル化
は、公知の方法により行なうことができる。例えばウベ
ニメクスを酸塩化物とした後アルコールと反応させる方
法、ウベニメクスとアルコールとを少量の酸の存在下で
反応させる方法等が挙げられる。高収率で目的のエステ
ル化物が得られる点で前者は優れ、反応を、大過剰のア
ルコール中、一段階で容易になしうる点で後者は優れ
る。
【0020】さらに、高純度の化合物(1)を得るに
は、上記反応による生成物を、例えば逆相カラム等を用
いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン
交換クロマトグラフィー等で精製分取すればよい。
は、上記反応による生成物を、例えば逆相カラム等を用
いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン
交換クロマトグラフィー等で精製分取すればよい。
【0021】本発明の化合物(1)を有効成分とする抗
アレルギー剤又は抗炎症剤は、該化合物(1)をそのま
ま又は公知の担体、賦形剤等を用いることにより錠剤、
カプセル剤、液剤、注射剤、座剤等の剤型として経口的
に又は非経口的に投与することができる。
アレルギー剤又は抗炎症剤は、該化合物(1)をそのま
ま又は公知の担体、賦形剤等を用いることにより錠剤、
カプセル剤、液剤、注射剤、座剤等の剤型として経口的
に又は非経口的に投与することができる。
【0022】投与量は、その対象、径路、症状等により
異なるが、例えば成人の気管支喘息に対し投与する場合
には通常1日0.1〜50mg/kg(体重)程度投与す
る。
異なるが、例えば成人の気管支喘息に対し投与する場合
には通常1日0.1〜50mg/kg(体重)程度投与す
る。
【0023】なお、本発明の化合物(1)は、モルモッ
ト腹腔内において刺激剤で遊走浸出させ、採取分離した
好中球を用いた細胞毒性試験により、有効濃度(50μ
M)以上でも細胞障害をひき起さないことが確認されて
いる。
ト腹腔内において刺激剤で遊走浸出させ、採取分離した
好中球を用いた細胞毒性試験により、有効濃度(50μ
M)以上でも細胞障害をひき起さないことが確認されて
いる。
【0024】
【発明の効果】本発明の化合物は、生体内のアラキドン
酸カスケード中でLTA4ヒドロラーゼの活性を効率的
に阻害することにより、その代謝産物であるLTB4の
生成を抑制することができる。従って、本発明の化合物
を有効成分とする抗アレルギー剤又は抗炎症剤は気管支
喘息などのアレルギー疾患、各種炎症、虚血−再灌流障
害等の治療・予防に極めて有用なものである。
酸カスケード中でLTA4ヒドロラーゼの活性を効率的
に阻害することにより、その代謝産物であるLTB4の
生成を抑制することができる。従って、本発明の化合物
を有効成分とする抗アレルギー剤又は抗炎症剤は気管支
喘息などのアレルギー疾患、各種炎症、虚血−再灌流障
害等の治療・予防に極めて有用なものである。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】実施例1 ウベニメクス(日本化薬社製)3mgを5%塩酸−メタノ
ール溶液0.2mlと60℃で3時間反応させ、反応終了
後真空乾固してウベニメクスメチルエステルを得た。
ール溶液0.2mlと60℃で3時間反応させ、反応終了
後真空乾固してウベニメクスメチルエステルを得た。
【0027】上記5%塩酸−メタノール溶液を5%塩酸
−エタノール溶液に替え、他は同様にしてウベニメクス
エチルエステルを得た。
−エタノール溶液に替え、他は同様にしてウベニメクス
エチルエステルを得た。
【0028】ウベニメクスのエステル化は、逆相オクタ
デシル(ODS)カラムを用いたHPLC及び質量分析
により確認した。結果を図1及び図2に示す。図1〜3
は、ODS−カラム(Cosmosil C18,6×2
5mm、ナカライテスク社製)を用いたHPLCによる分
析結果を示す。
デシル(ODS)カラムを用いたHPLC及び質量分析
により確認した。結果を図1及び図2に示す。図1〜3
は、ODS−カラム(Cosmosil C18,6×2
5mm、ナカライテスク社製)を用いたHPLCによる分
析結果を示す。
【0029】溶出は10%アセトニトリル−0.1%ト
リフルオロ酢酸(TFA)から50%アセトニトリル−
0.1%TFAへの30分間の直線濃度勾配で行った。
流速は1.5ml/分としλ=220nmでウベニメクス
及びウベニメクスのエステル化物をモニターした。リテ
ンションタイム12分のウベニメクス(図1)がエステ
ル化され、それぞれウベニメクスメチルエステル(1
3.5分、図2)、ウベニメクスエチルエステル(1
4.8分、図3)へ溶出位置が移動した。収率はそれぞ
れ93%、88%であった。
リフルオロ酢酸(TFA)から50%アセトニトリル−
0.1%TFAへの30分間の直線濃度勾配で行った。
流速は1.5ml/分としλ=220nmでウベニメクス
及びウベニメクスのエステル化物をモニターした。リテ
ンションタイム12分のウベニメクス(図1)がエステ
ル化され、それぞれウベニメクスメチルエステル(1
3.5分、図2)、ウベニメクスエチルエステル(1
4.8分、図3)へ溶出位置が移動した。収率はそれぞ
れ93%、88%であった。
【0030】図4〜6は質量分析の結果を示すものであ
り、分子量308(実測値はMr+1で示される)のウ
ベニメクス(図4)がエステル化によりウベニメクスメ
チルエステル(分子量322、図5)及びウベニメクス
エチルエステル(分子量336、図6)に変換されたこ
とが確認された。
り、分子量308(実測値はMr+1で示される)のウ
ベニメクス(図4)がエステル化によりウベニメクスメ
チルエステル(分子量322、図5)及びウベニメクス
エチルエステル(分子量336、図6)に変換されたこ
とが確認された。
【0031】試験例1 (ウベニメクスのエステル化物による好中球LTB4生
成阻害−濃度依存性)LTB4生成細胞としてモルモッ
ト腹腔内において刺激剤で遊走浸出させ、採取分離した
好中球を用いた。すなわち、体重500g前後のモルモ
ットの腹腔内に5%カゼイン−ナトリウム溶液50mlを
投与して約16時間後腹腔内浸出液を採取し、遠心分離
や低張処理による赤血球の溶血除去により好中球を分離
した。1.4mM Ca2+、0.8mM MgCl2を
含むハンクス液−20mM HEPES(pH7.2)に
懸濁した好中球(0.5ml中1×107細胞数)を0〜
50μMの各試剤と10分間、25℃で保持し、前処理
とした。続いて基質として最終濃度100μMのアラキ
ドン酸、刺激剤として5μMのカルシウムイオノフォア
A23187(シグマ社製)を加え、25℃で10分間
ロイコトリエン生成反応を行った。1N HCl 50
μlを添加して反応を停止させた後、内部標準として1
50pmol.のプロスタグランジンB2(PGB2)を
加え、1mlの酢酸エチルによりロイコトリエンを抽出し
た。抽出操作は2回行い、得られた抽出液を窒素ガスに
より吹き付け乾固後、30μlのメチルアルコールに溶
解しHPLC分析の試料に供した。
成阻害−濃度依存性)LTB4生成細胞としてモルモッ
ト腹腔内において刺激剤で遊走浸出させ、採取分離した
好中球を用いた。すなわち、体重500g前後のモルモ
ットの腹腔内に5%カゼイン−ナトリウム溶液50mlを
投与して約16時間後腹腔内浸出液を採取し、遠心分離
や低張処理による赤血球の溶血除去により好中球を分離
した。1.4mM Ca2+、0.8mM MgCl2を
含むハンクス液−20mM HEPES(pH7.2)に
懸濁した好中球(0.5ml中1×107細胞数)を0〜
50μMの各試剤と10分間、25℃で保持し、前処理
とした。続いて基質として最終濃度100μMのアラキ
ドン酸、刺激剤として5μMのカルシウムイオノフォア
A23187(シグマ社製)を加え、25℃で10分間
ロイコトリエン生成反応を行った。1N HCl 50
μlを添加して反応を停止させた後、内部標準として1
50pmol.のプロスタグランジンB2(PGB2)を
加え、1mlの酢酸エチルによりロイコトリエンを抽出し
た。抽出操作は2回行い、得られた抽出液を窒素ガスに
より吹き付け乾固後、30μlのメチルアルコールに溶
解しHPLC分析の試料に供した。
【0032】HPLCはODS−カラムを用い展開溶媒
を36%アセトニトリル−14%メタノール15mM酢
酸−アンモニア(pH6.6)として溶出液をλ=270
nmで検出し、PGB2を内部標準として各出現ピーク
の積分値より定量した。図7〜8にその結果を示す。
を36%アセトニトリル−14%メタノール15mM酢
酸−アンモニア(pH6.6)として溶出液をλ=270
nmで検出し、PGB2を内部標準として各出現ピーク
の積分値より定量した。図7〜8にその結果を示す。
【0033】図7に示される結果より明らかなように、
LTB4の生成はウベニメクスにより阻害を受け50μ
M濃度でその生成は37%になり、又、50%阻害濃度
IC 50は30μMであった。ウベニメクスのエステル化
物はより強くLTB4の生成を阻害し、50μMのメチ
ルエステル、エチルエステルで各々LTB4の生成を2
1%、15%まで減少させた。IC50は各々6μM及び
5μMでありウベニメクスのエステル化物はウベニメク
スに比べ5〜6倍強く好中球によるLTB4生成を阻害
することが示された。
LTB4の生成はウベニメクスにより阻害を受け50μ
M濃度でその生成は37%になり、又、50%阻害濃度
IC 50は30μMであった。ウベニメクスのエステル化
物はより強くLTB4の生成を阻害し、50μMのメチ
ルエステル、エチルエステルで各々LTB4の生成を2
1%、15%まで減少させた。IC50は各々6μM及び
5μMでありウベニメクスのエステル化物はウベニメク
スに比べ5〜6倍強く好中球によるLTB4生成を阻害
することが示された。
【0034】一方、コントロールとして用いたウベニメ
クスに類似した構造を持つPhe−Leuメチルエステ
ルは50μM添加しても全く阻害作用を示さず、ウベニ
メクスのエステル化物のLTB4生成阻害能がエステル
化ジペプチド様物質に由来するものではないことがわか
った。
クスに類似した構造を持つPhe−Leuメチルエステ
ルは50μM添加しても全く阻害作用を示さず、ウベニ
メクスのエステル化物のLTB4生成阻害能がエステル
化ジペプチド様物質に由来するものではないことがわか
った。
【0035】さらに、図8に示されるように、LTA4
ヒドロラーゼを阻害する結果蓄積することが期待される
LTA4量(HPLC分析においてはその分解物6−ト
ランス−LTB4及び5,6−ジ−HETEとして同定
定量される)は、LTB4の生成量に逆比例しており、
ウベニメクスのエステル化物は白血球内のLTA4ヒド
ロラーゼを特異的に、しかもウベニメクスよりも効果的
に阻害することがわかった。
ヒドロラーゼを阻害する結果蓄積することが期待される
LTA4量(HPLC分析においてはその分解物6−ト
ランス−LTB4及び5,6−ジ−HETEとして同定
定量される)は、LTB4の生成量に逆比例しており、
ウベニメクスのエステル化物は白血球内のLTA4ヒド
ロラーゼを特異的に、しかもウベニメクスよりも効果的
に阻害することがわかった。
【0036】試験例2 (ウベニメクスのエステル化物による好中球LTB4生
成阻害−前処理時間依存性)エステル化ウベニメクスに
よる白血球LTB4生成阻害における前処理時間の影響
を検討した。試験例1の条件下で各阻害剤(5μM)と
好中球を25℃、10〜60分間保持した後アラキドン
酸及びカルシウムイオノフォアA23187を加え、1
0分間ロイコトリエン生成反応を行った。図9に結果を
示す。ウベニメクスによる前処理では60分後において
も63pmol.(60分後におけるコントロールとの
比では81%)のLTB4が依然生成された。
成阻害−前処理時間依存性)エステル化ウベニメクスに
よる白血球LTB4生成阻害における前処理時間の影響
を検討した。試験例1の条件下で各阻害剤(5μM)と
好中球を25℃、10〜60分間保持した後アラキドン
酸及びカルシウムイオノフォアA23187を加え、1
0分間ロイコトリエン生成反応を行った。図9に結果を
示す。ウベニメクスによる前処理では60分後において
も63pmol.(60分後におけるコントロールとの
比では81%)のLTB4が依然生成された。
【0037】一方、ウベニメクスメチルエステル及びウ
ベニメクスエチルエステルは、60分後にはLTB4生
成量をそれぞれ17pmol.及び16pmol.(6
0分後におけるコントロールとの比ではそれぞれ22%
及び21%)まで減少させた。ウベニメクスのエステル
化物、特にウベニメクスエチルエステルの白血球LTB
4生成阻害は速やかであり、10分以内に強い阻害作用
を示した。
ベニメクスエチルエステルは、60分後にはLTB4生
成量をそれぞれ17pmol.及び16pmol.(6
0分後におけるコントロールとの比ではそれぞれ22%
及び21%)まで減少させた。ウベニメクスのエステル
化物、特にウベニメクスエチルエステルの白血球LTB
4生成阻害は速やかであり、10分以内に強い阻害作用
を示した。
【図1】ウベニメクスのHPLC分析結果を示す図であ
る。
る。
【図2】ウベニメクスメチルエステルのHPLC分析結
果を示す図である。
果を示す図である。
【図3】ウベニメクスエチルエステルのHPLC分析結
果を示す図である。
果を示す図である。
【図4】ウベニメクスの質量分析結果を示す図である。
【図5】ウベニメクスメチルエステルの質量分析結果を
示す図である。
示す図である。
【図6】ウベニメクスエチルエステルの質量分析結果を
示す図である。
示す図である。
【図7】ウベニメクス、ウベニメクスメチルエステル、
ウベニメクスエチルエステル等による好中球LTB4生
成阻害の濃度依存性を示すグラフである。
ウベニメクスエチルエステル等による好中球LTB4生
成阻害の濃度依存性を示すグラフである。
【図8】ウベニメクス、ウベニメクスメチルエステル、
ウベニメクスエチルエステル等によるLTA4蓄積の濃
度依存性を示すグラフである。
ウベニメクスエチルエステル等によるLTA4蓄積の濃
度依存性を示すグラフである。
【図9】ウベニメクス、ウベニメクスメチルエステル、
ウベニメクスエチルエステル等による好中球LTB4生
成阻害の前処理時間依存性を示すグラフである。
ウベニメクスエチルエステル等による好中球LTB4生
成阻害の前処理時間依存性を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる〔(2
S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニ
ルブタノイル〕−L−ロイシンのエステル化物。 【化1】 (式中、Rはアルキル基を示す。) - 【請求項2】 請求項1記載の化合物(1)を有効成分
とする抗アレルギー剤。 - 【請求項3】 請求項1記載の化合物(1)を有効成分
とする抗炎症剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11490992A JPH05310668A (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | 新規ロイシン誘導体並びにそれを含有する抗アレルギー剤及び抗炎症剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11490992A JPH05310668A (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | 新規ロイシン誘導体並びにそれを含有する抗アレルギー剤及び抗炎症剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05310668A true JPH05310668A (ja) | 1993-11-22 |
Family
ID=14649670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11490992A Pending JPH05310668A (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | 新規ロイシン誘導体並びにそれを含有する抗アレルギー剤及び抗炎症剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05310668A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5834512A (en) * | 1993-05-28 | 1998-11-10 | Suntory Limited | Prevention and improvement of allergy caused by leucotriene B 4 |
CN104984318A (zh) * | 2015-06-12 | 2015-10-21 | 上海来益生物药物研究开发中心有限责任公司 | 3-氨基-2-羟基-4-苯基-缬氨酰-异亮氨酸的新应用 |
JP2018154567A (ja) * | 2017-03-16 | 2018-10-04 | 二村 芳弘 | 抗アレルギー作用を呈するフェニルペプチド誘導体 |
-
1992
- 1992-05-07 JP JP11490992A patent/JPH05310668A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5834512A (en) * | 1993-05-28 | 1998-11-10 | Suntory Limited | Prevention and improvement of allergy caused by leucotriene B 4 |
US5861433A (en) * | 1993-05-28 | 1999-01-19 | Suntory Limited | Prevention and improvement of inflammation caused by leucotriene B4 |
CN104984318A (zh) * | 2015-06-12 | 2015-10-21 | 上海来益生物药物研究开发中心有限责任公司 | 3-氨基-2-羟基-4-苯基-缬氨酰-异亮氨酸的新应用 |
CN104984318B (zh) * | 2015-06-12 | 2018-02-06 | 上海来益生物药物研究开发中心有限责任公司 | 3‑氨基‑2‑羟基‑4‑苯基‑缬氨酰‑异亮氨酸的新应用 |
JP2018154567A (ja) * | 2017-03-16 | 2018-10-04 | 二村 芳弘 | 抗アレルギー作用を呈するフェニルペプチド誘導体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH05500659A (ja) | アミノアルギニンの分離および身体内の酸化窒素生成を遮断するための用途 | |
US5455271A (en) | Tight-binding inhibitors of leukotriene A4 hydrolase | |
FR2528050A1 (fr) | Facteurs 1, 2, 3, 4 et 5 isoles purs de la teichomycine a2 utiles notamment comme medicaments antibiotiques et procede pour leur preparation | |
JP2001512740A (ja) | カリウムチャンネルオープナー活性を有するペプチド | |
CA2193551C (en) | Eliminating agent for activated oxygen and free radicals | |
Syed et al. | Bioconversion of mevastatin to pravastatin by various microorganisms and its applications–a review | |
JPH05310668A (ja) | 新規ロイシン誘導体並びにそれを含有する抗アレルギー剤及び抗炎症剤 | |
CA1317962C (en) | Cell proliferation inhibitors | |
JPH06234693A (ja) | 新規イソテトラセノン系物質及びその製造法 | |
JP3987909B2 (ja) | 新規なデプシペプチド化合物 | |
Chiu et al. | Edema formation and degranulation of mast cells by a basic phospholipase A2 purified from Trimeresurus mucrosquamatus snake venom | |
JPH09176083A (ja) | 新規化合物f−12509a | |
TATSUMI et al. | Metabolism of drugs. LXXX. The metabolic fate of nitrofuran derivatives.(3). Studies on enzymes in small intestinal mucosa of rat catalyzing degradation of nitrofuran derivatives | |
JP3836203B2 (ja) | 活性酸素・フリーラジカル消去剤 | |
JPH03251543A (ja) | アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | |
JPH0368845B2 (ja) | ||
JP3110075B2 (ja) | アンギオテンシン変換酵素阻害剤含有組成物の製造方法 | |
US4868159A (en) | Novel substances KS-501 and KS-502 and process for their preparation | |
JPS6136227A (ja) | アンジオテンシン転換酵素阻害剤 | |
JP3040389B2 (ja) | ペプチドの製造法 | |
JPH10182627A (ja) | 新規化合物S−15183a及びS−15183b | |
JP3586481B2 (ja) | アラキドン酸代謝阻害剤 | |
JP2979271B2 (ja) | 生理活性物質tan−1515,その製造法及び用途 | |
JP4054061B2 (ja) | 酵素イノシトールモノホスファターゼの阻害剤としてのトロポロン誘導体の利用 | |
JPH08151394A (ja) | ジペプチド化合物 |