JP3836203B2 - 活性酸素・フリーラジカル消去剤 - Google Patents

活性酸素・フリーラジカル消去剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒダントイン誘導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する新規な活性酸素・フリーラジカル消去剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
フリーラジカルや活性酸素による生体分子、膜、組織の損傷およびそれに由来する種々の疾患について、近年強い関心が寄せられている。フリーラジカルとは、不対電子を持つ化学種であり不安定で高い反応性を有する。また活性酸素種としては、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素が挙げられ、その内スーパーオキサイドとヒドロキシラジカルがラジカル種であり、特にヒドロキシラジカルは極めて反応性が高いフリーラジカルとして知られている。フリーラジカルや活性酸素による障害の生体内標的分子としては、脂質、核酸、酵素、蛋白質、糖質と多岐にわたり、特に細胞膜の脂質中に局在する高度不飽和脂肪酸は攻撃を受けやすく、酸化変性して過酸化脂質が生成される。それに伴い細胞膜は損傷を受け、膜構造の破壊のみならず、そこに局在し活動する蛋白質の酵素作用や受容体機能にも大きな損害を与えることになる。また生成した過酸化脂質は局所より血液中に流出し、血管病変をはじめとする二次的病変の原因となることも知られている。
【0003】
フリーラジカルや活性酸素と疾患の関連については多くの報告があり、フリーラジカル・活性酸素を消去する物質の医薬品としての有用性は非常に注目されている。生体内スーパーオキサイド消去物質SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)は代表的なフリーラジカル・活性酸素消去物質であり、薬剤としての開発が進められている。SODの治療ターゲットとしては、心筋梗塞、再灌流障害、脳梗塞、自己免疫疾患(膠原病、ベーチェット病、潰瘍性大腸炎)、線維症、肺疾患(肺浮腫、肺線維症)、皮膚疾患(火傷、外傷、ケロイド、日光過敏、皮膚炎)、関節疾患、抗ガン剤の副作用、放射線障害、細菌性ショック、炎症性疾患、白内障など多様な疾患が挙げられている(例えば「フリーラジカルの病態生化学と臨床、炎症と抗炎症」日本臨床、第46巻、第10号、93−97頁、1988年など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
SODは蛋白質製剤であり血中半減期が短い、細胞内に取り込まれにくい等の問題点があったため、種々の製剤化技術の検討が行われているのが現状である。従って、製剤化が容易で副作用の少ない新しいフリーラジカル・活性酸素消去剤の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、このような新規なフリーラジカル・活性酸素消去剤を提供することにある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明活性酸素・フリーラジカル消去剤の有効成分は下記一般式(I)で表されるヒダントイン誘導体である。
【化2】
Figure 0003836203
〔式中、R1 及びR2 は各々同一若しくは異なって水素、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、X、Yは各々同一若しくは異なっては水素、アルキル基、水酸基又はアルコキシ基、或いはX及びYでオキソ基を表す。〕
【0007】
上記一般式(I)において、R1 及びR2 は各々同一若しくは異なって水素、アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ジメチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ステアリル等の直鎖又は分枝状の炭素数1乃至20のアルキル基、又はシクロアルキル基、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3乃至8のシクロアルキル基を表す。
【0008】
X、Yは各々同一若しくは異なって水素、、アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル等の直鎖又は分枝状の炭素数1乃至3のアルキル基、水酸基又はアルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ等をの直鎖又は分枝状の炭素数1乃至5のアルコキシ基、或いはX及びYでオキソ基を表す。
【0009】
本発明において好ましい化合物は以下のとおりである。
〔化合物1〕ヒダントイン
〔化合物2〕1−メチルヒダントイン
〔化合物3〕3−メチルヒダントイン
〔化合物4〕1−エチルヒダントイン
〔化合物5〕1−プロピルヒダントイン
〔化合物6〕1−ブチルヒダントイン
〔化合物7〕1−t−ブチルヒダントイン
〔化合物8〕1−ヘキシルヒダントイン
〔化合物9〕1−(1,3−ジメチルブチル)ヒダントイン
〔化合物10〕1−デシルヒダントイン
〔化合物11〕1−ステアリルヒダントイン
〔化合物12〕1,3−ジメチルヒダントイン
〔化合物13〕1,5−ジメチルヒダントイン
〔化合物14〕3,5−ジメチルヒダントイン
【0010】
〔化合物15〕1−シクロペンチルヒダントイン
〔化合物16〕1−シクロヘキシルヒダントイン
〔化合物17〕1−シクロヘキシル−3−メチルヒダントイン
〔化合物18〕3−シクロヘキシルヒダントイン
〔化合物19〕1,3−ジシクロヘキシルヒダントイン
【0011】
〔化合物20〕5−ヒドロキシヒダントイン
〔化合物21〕5−ヒドロキシ−1−メチルヒダントイン
〔化合物22〕5−ヒドロキシ−3−メチルヒダントイン
〔化合物23〕5−ヒドロキシ−1−エチルヒダントイン
〔化合物24〕5−ヒドロキシ−1−プロピルヒダントイン
〔化合物25〕5−ヒドロキシ−1−ブチルヒダントイン
〔化合物26〕5−ヒドロキシ−1−t−ブチルヒダントイン
〔化合物27〕5−ヒドロキシ−1−ヘキシルヒダントイン
〔化合物28〕5−ヒドロキシ−1−(1,3−ジメチルブチル)ヒダントイン
〔化合物29〕5−ヒドロキシ−1−デシルヒダントイン
〔化合物30〕5−ヒドロキシ−1−ステアリルヒダントイン
〔化合物31〕5−ヒドロキシ−1−シクロペンチルヒダントイン
〔化合物32〕5−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルヒダントイン
〔化合物33〕5−ヒドロキシ−1−シクロヘキシル−3−メチルヒダントイン
〔化合物34〕5−ヒドロキシ−1,3−ジメチルヒダントイン
〔化合物35〕5−ヒドロキシ−1,5−ジメチルヒダントイン
〔化合物36〕5−ヒドロキシ−3,5−ジメチルヒダントイン
〔化合物37〕5−ヒドロキシ−1,3−ジシクロヘキシルヒダントイン
【0012】
〔化合物38〕5−メトキシヒダントイン
〔化合物39〕5−メトキシ−1−メチルヒダントイン
〔化合物40〕5−メトキシ−3−メチルヒダントイン
〔化合物41〕5−メトキシ−1−エチルヒダントイン
〔化合物42〕5−メトキシ−1−プロピルヒダントイン
〔化合物43〕5−メトキシ−1−ブチルヒダントイン
〔化合物44〕5−メトキシ−1−シクロヘキシルヒダントイン
〔化合物45〕5−メトキシ−3−シクロヘキシルヒダントイン
〔化合物46〕5−エトキシヒダントイン
〔化合物47〕5−エトキシ−1−メチルヒダントイン
〔化合物48〕5−エトキシ−3−メチルヒダントイン
〔化合物49〕5−エトキシ−1−エチルヒダントイン
〔化合物50〕5−エトキシ−1−プロピルヒダントイン
〔化合物51〕5−エトキシ−1−ブチルヒダントイン
〔化合物52〕5−プロポキシヒダントイン
〔化合物53〕5−プロポキシ−1−メチルヒダントイン
〔化合物54〕5−プロポキシ−3−メチルヒダントイン
〔化合物55〕5−プロポキシ−1−エチルヒダントイン
〔化合物56〕5−プロポキシ−1−プロピルヒダントイン
〔化合物57〕5−プロポキシ−1−ブチルヒダントイン
〔化合物58〕5−ブトキシヒダントイン
〔化合物59〕5−ブトキシ−1−メチルヒダントイン
〔化合物60〕5−ブトキシ−3−メチルヒダントイン
〔化合物61〕5−t−ブトキシヒダントイン
〔化合物62〕5−t−ブトキシ−1−メチルヒダントイン
〔化合物63〕5−t−ブトキシ−3−ブチルヒダントイン
【0013】
〔化合物64〕イミダゾリジントリオン
〔化合物65〕1−メチルイミダゾリジントリオン
〔化合物66〕1−エチルイミダゾリジントリオン
〔化合物67〕1−ブチルイミダゾリジントリオン
〔化合物68〕1−イソブチルイミダゾリジントリオン
〔化合物69〕1−t−ブチルイミダゾリジントリオン
〔化合物70〕1−ヘキシルイミダゾリジントリオン
〔化合物71〕1−(1,3−ジメチルブチル)イミダゾリジントリオン
〔化合物72〕1−デシルイミダゾリジントリオン
〔化合物73〕1−シクロペンチルイミダゾリジントリオン
〔化合物74〕1−シクロペンチル−3−エチルイミダゾリジントリオン
〔化合物75〕1−シクロヘキシルイミダゾリジントリオン
〔化合物76〕1,3−ジメチルイミダゾリジントリオン
〔化合物77〕1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジントリオン
【0014】
本発明ヒダントイン誘導体は、前記一般式(I)で表される塩を包含し、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸、過塩素酸、チオシアン酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、ハロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、マロン酸、フマル酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイ皮酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸等との酸との付加塩、或いはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属又はアルミニウム、亜鉛等との金属との塩などが挙げられる。
これらの塩は公知の方法により遊離の本発明ヒダントイン誘導体より製造でき、或いは相互に変換することができる。
【0015】
また本発明化合物においてシス−トランス体、光学異性体、配座異性体等の立体異性体が存在する場合、或いは水和物や錯化合物の状態で存在する場合においても、本発明はそのいずれの立体異性体、水和物、錯化合物をも包含する。上記の本発明ヒダントイン誘導体及びその製造方法は、特開昭61−122275号公報、特開昭62−14号公報等に開示されている。
【0016】
本発明化合物は、適当な医薬用の担体若しくは希釈剤と適宜組み合わせて医薬とすることができ、通常の如何なる方法によっても製剤化可能であり、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の経口剤として、又は皮下、静脈内、筋肉内、直腸内、鼻腔内投与用の非経口剤として製剤化できる。
処方にあたっては、本発明化合物をその薬学的に許容される塩の形で用いてもよく、本発明化合物を単独で若しくは適宜組み合わせて用いることができ、又、他の医薬活性成分との配合剤としてもよい。
【0017】
経口投与製剤には、そのまま或いは適当な添加剤、例えば乳糖、マンニット、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クエン酸カルシウム等の慣用の賦形剤と共に、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、ゼラチン等の結合剤、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、その他増量剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料等を適宜組み合わせて錠剤、散剤、顆粒剤或いはカプセル剤とすることができる。
【0018】
注射剤としては、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖注射液等の水性溶剤、又は植物油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル、プロピレングリコール等の非水性溶剤の溶液、懸濁液若しくは乳化液とすることができ、必要に応じ溶解補助剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、保存剤等の通常用いられる添加剤を適宜加えてもよい。
さらに疾患の種類や患者に応じて、その治療に最適な上記以外の剤型、シロップ剤、坐剤、吸入剤、エアゾール剤、点眼剤、外用剤(軟膏剤、ゲル剤、貼付剤など)等に製剤化することができる。
【0019】
本発明化合物の望ましい投与量は、投与対象、剤形、投与方法、投与期間等によって変わるが、所望の効果を得るには、一般に成人に対して有効成分量で一日に1乃至1000mg、好ましくは5乃至600mg経口投与することができる。非経口投与(例えば注射剤)の場合は一般的に経口投与より少量で効果が期待できるため、例えば前記の経口投与量の3乃至10分の1の用量レベルで十分と考えられる。
【0020】
以下に本発明化合物を有効成分として含有する医薬組成物の処方例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【表1】
Figure 0003836203
【0021】
前記一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有する本発明活性酸素・フリーラジカル消去剤の好ましい実施態様を以下に挙げる。
(1)一般式(I)のX及びYのいずれか一方が水素である化合物を有効成分として含有する活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(2)上記(1)記載の化合物のうち、X及びYの残り一方が水酸基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(3)上記(2)記載の化合物のうち、R1 及びR2 のいずれか一方がアルキル基でもう一方が水素である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(4)上記(3)記載の化合物のうち、R1 がアルキル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(5)上記(4)記載の化合物のうち、R1 が炭素数1乃至4のアルキル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(6)上記(5)記載の化合物のうち、R1 がメチル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
【0022】
(7)一般式(I)のX及びYが共に水素である化合物を有効成分として含有する活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(8)上記(7)記載の化合物のうち、R1 及びR2 のいずれか一方がアルキル基でもう一方が水素である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(9)上記(8)記載の化合物のうち、R1 がアルキル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(10)上記(9)記載の化合物のうち、R1 が炭素数1乃至4のアルキル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(11)上記(10)記載の化合物のうち、R1 がメチル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
【0023】
(12)上記(1)記載の化合物のうち、X及びYの残り一方がアルコキシ基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(13)上記(12)記載の化合物のうち、R1 がアルキル基、R2 が水素である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(14)上記(13)記載の化合物のうち、R1 がメチル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
【0024】
(15)上記(1)記載の化合物のうち、X及びYの残り一方がアルキル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(16)上記(15)記載の化合物のうち、R1 がアルキル基、R2 が水素である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(17)上記(16)記載の化合物のうち、R1 がメチル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
【0025】
(18)一般式(I)のX及びYでオキソ基である化合物を有効成分として含有する活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(19)上記(18)記載の化合物のうち、R1 がアルキル基、R2 が水素である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(20)上記(19)記載の化合物のうち、R1 がメチル基である活性酸素・フリーラジカル消去剤。
(21)一般式(I)で表される化合物を有効成分として含有するヒドロキシラジカル消去剤。
(22)上記(1)乃至(20)の各々に記載に化合物を有効成分として含有するヒドロキシラジカル消去剤。
【0026】
特に好ましい化合物としては、低毒性で副作用がほとんど無いことが確認されている5−ヒドロキシ−1−メチルヒダントインが挙げられる。
【0027】
【実施例】
(1)ヒドロキシラジカル消去能の測定
ヒドロキシラジカルの検出に繁用されているESRスピントラッピング法を利用して被検物質のヒドロキシラジカル消去能を測定した。ヒドロキシラジカルの発生は、DTPA(diethyleneamine-pentaacetic acid)でキレートした二価鉄が過酸化水素と反応してヒドロキシラジカルを発生するフェントン反応を利用して行った。DMPO(dimethyl-pyrroline-N-oxide)は発生したヒドロキシラジカルとすばやく反応し、その反応の生成物は特徴的な1:2:2:1の強度比を持つ4本線のESRシグナルを示す。この反応系にヒドロキシラジカル消去作用を有する被検物質を共存させると、上記の特徴的なシグナルは抑制されるため、これを指標としてヒドロキシラジカル消去能を測定できる。
【0028】
即ち、1mMの硫酸第一鉄とDTPAとの混合溶液〔100mMのリン酸緩衝液(pH7.8)中に溶解〕75μlを試験管に入れておき、被検物質を含む試料溶液50μl、および1mM又は2mMのDMPO20μlを加え、最後に1mMの過酸化水素溶液75μlを加えて反応を開始させた。過酸化水素溶液は各実験の直前に調製し、反応は室温で行った。本反応系におけるESRスペクトルは常法に従って測定した。DMPO−OHによるシグナル強度が被検物質の存在下で、非存在下の場合に比して50%に抑制される被検物質濃度(IC50)を求めた。
【0029】
DMPO1mMにおける結果の一例を以下に示す。ヒドロキシラジカル消去作用を有することが知られているジメチルスルホキシドを比較対照薬として示した。
【表2】
Figure 0003836203
【0030】
(2)活性化白血球による内皮細胞の障害抑制作用
ヒドロキシラジカルによる細胞の障害抑制作用を以下の実験系を用いて測定した。
ウシ下行大動脈から酵素処理して得られた血管内皮細胞を、15%ウシ胎児血清を含むMEM Earleを用い48ウェルプレートで培養した。コンフルエントに達した内皮細胞に51Cr(クロム酸ナトリウム)3.7KBqを添加し、18時間培養を行い、51Crを内皮細胞中に取り込ませた。メディウム中のクロムを洗浄除去した後、被験薬、ヒト白血球及びホルボールエステル(ホルボールミリステートアセテート)を加え、6時間培養した。活性化された白血球により障害を受けた内皮細胞からメディウム中に遊離されたクロムの放射活性をγカウンターで測定し、内皮細胞の障害割合を下記計算式より求めた。
Figure 0003836203
【0031】
被検薬非存在下における上記障害割合を100%(対照群)とした結果の一例を図1に示す。
【図1】
【0032】
【発明の効果】
上記の試験結果より、本願発明物質はヒドロキシラジカル消去作用を有することが示された。上記薬理試験(1)においては、添加するDMPO濃度を変えると、それに比例して本発明化合物のIC50も変化することから、本発明化合物のヒドロキシラジカル消去作用はDMPOとの競合的拮抗作用であることが示唆された。
【0033】
従って、活性酸素・フリーラジカル消去作用を有する本発明ヒダントイン誘導体は、活性酸素やフリーラジカルが関与する疾患、例えばSODの適応症として挙げられている心筋梗塞、再灌流障害、脳梗塞、自己免疫疾患(膠原病、ベーチェット病、潰瘍性大腸炎)、線維症、肺疾患(肺浮腫、肺線維症)、皮膚疾患(火傷、外傷、ケロイド、日光過敏、皮膚炎)、関節炎、抗ガン剤の副作用、放射線障害、細菌性ショック、炎症性疾患、白内障など多様な疾患を治療するための薬剤として有用である。本発明化合物は、細胞障害作用を有するジメチルスルホキシド等とは異なり、極めて低毒性で安全性が高く、且つ経口投与可能なため、長期投与を要する慢性的な疾患にも用いることができ、その医薬としての有用性は高い。
【図面の簡単な説明】
図1はヒドロキシラジカルによる細胞障害に対する本発明化合物の抑制作用を表した結果の一例である。

Claims (15)

  1. 一般式(I)で表されるヒダントイン誘導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
    Figure 0003836203
    〔式中、R1及びR2は各々同一若しくは異なって水素、アルキル基を表し、X、Yは各々同一若しくは異なっては水素、アルキル基、水酸基又はアルコキシ基を表す。〕
  2. 心筋梗塞治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  3. 再灌流障害治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  4. 脳梗塞治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  5. 自己免疫疾患治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  6. 線維症治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  7. 肺疾患治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  8. 皮膚疾患治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  9. 関節炎治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  10. 抗ガン剤の副作用の治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  11. 放射線障害治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  12. 細菌性ショック治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  13. 炎症性疾患治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  14. 白内障治療剤である請求項1記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
  15. ヒダントイン誘導体が5−ヒドロキシ−1−メチルヒダントインである請求項1乃至14のいずれか一項記載の活性酸素又はフリーラジカルの消去剤。
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