JPH0530803Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、帯鋼巻取設備のピンチロール装置に
適用される上ピンチロールの支持構造に関する。

〔従来の技術〕

帯鋼巻取設備のピンチロール装置は、搬送され
てくる帯鋼の進行方向を振り分けすると共に、帯
鋼圧延機又は帯鋼巻取機との間の帯鋼に張力を付
加する機能を持つ装置であり、従来のピンチロー
ル装置の機構と特徴とを第２図〜第４図に基づい
て説明する。

第２図は、ピンチロール装置のもつとも古い形
式のものの機構を示す。上ピンチロール１を保持
する上チヨツク３−ｂはスイングアーム４に固定
して取り付けられており、スイングアーム４の一
端はケーシング５ａによつて支点ピン１０を中心
に支持されると共に、他端は圧下シリンダ８のロ
ツドエンドでピン支持されている。

下ピンチロール２は、そのチヨツクを介してケ
ーシング５ａに固定して取付けられている。本形
式のピンチロール装置においては、上ピンチロー
ル１の開閉作動及び上ピンチロール１の帯鋼１３
に対する押付力の保持は圧下シリンダ８のみによ
つて行なわれているが、スイングアーム４が上ピ
ンチロール１と共に開閉作動及びジヤンピングす
る為に、即ち上ピンチロール組立品１，３−ｂ、
及び４の重量が大きい為に、上ピンチロール１の
帯鋼１３に対する押付安定性が悪い欠点があつ
た。

特に帯鋼１３が板厚が厚く、材質が高抗張力材
である巻取設備においては、圧下シリンダ８によ
る圧力、即ち帯鋼１３に対する上ピンチロール１
の押付力を大きくとる必要があることから、スイ
ングアーム４はその強度を保持する為に重量が大
きくなり、従つて上ピンチロール１の押付安定性
が更に悪くなる不都合があつた。

前記の不具合点を改善するために、従来更に２
種類の形式のピンチロール装置が実用されてお
り、これらを第３図と第４図に基づいて説明す
る。

第３図はスイングアーム形式のピンチロールに
おいて上チヨツク３−ｃを、スイングフレーム４
に対してチヨツクライナ１１を介して摺動自在に
支持すると共に、スイングフレーム４の上に固定
された圧下シリンダ７によつて支持する形式のも
のである。

上ピンチロールの開閉作動は開閉シリンダ６に
よつて行ない、上ピンチロールの押付力調整は圧
下シリンダ７の作動流体の押付圧力を調整するこ
とによつて行なう。本形式のピンチロール装置に
おいては、上ピンチロール組立品の重量が低減し
て上ピンチロール１の応答性が向上する利点はあ
るが、上チヨツク３−ｃとスイングフレーム４と
の間の摺動部であるチヨツクライナ１１におい
て、密封潤滑が困難であるため、摩耗が発生し易
く、摩耗が進行した場合上ピンチロール１の駆動
側と作業側との帯鋼１３の進行方向のずれによつ
て帯鋼１３の蛇行を生じる事からチヨツクライナ
１１の保全頻度を高くしなければならない不都合
があつた。また圧下シリンダ７は上ピンチロール
１の回転中心の垂直上方に配置されている為上ピ
ンチロール１が帯鋼１３を押し付けている時の垂
直上方反力を直接支持する必要がある事から大き
な出力を有するシリンダ内径の大きなシリンダを
採用しなければならない不都合があつた。

第４図はハウジング式ピンチロール装置の機構
図を示す。

ハウジング式ピンチロール装置は、上ピンチロ
ール１と下ピンチロール２のそれぞれのチヨツク
（軸受箱）を金属圧延機と類似したハウジング５
−ｂで支持することにより、帯鋼１３に対して強
力な押付力を加えた時の上ピンチロール１と下ピ
ンチロール２との剛性向上を計つたものである
が、チヨツクライナ１２の保全頻度を高くしなけ
ればならない事及び圧下シリンダ８の内径を大き
くしなければならない事の不都合があることは第
３図に示すスイングアーム式ピンチロール装置の
場合と同様であり、更に他形式のピンチロール装
置と比較すると、本装置の設備重量が大きくなる
為に（通常約２割アツプ）設備コストが大となる
不都合があつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ピンチロール装置においては、帯鋼の破断又は
変形が生じない範囲で強力で、かつ安定した張力
を帯鋼に付加する機能を持つことが要求されてお
り、このことによつて帯鋼の蛇行を防止すると共
に、帯鋼巻取機によつて巻取りされるコイルの巻
姿を向上させる効果がある。

ピンチロール装置に於ける上ピンチロールと下
ピンチロール間のローラギヤツプは、帯鋼の先端
部の突入を待機している状態では、張力を付加す
べき帯鋼の板厚より僅かに小さい値に設定されて
おり、従つて帯鋼の先端部が突入してきた時、上
ピンチロールが強制的に押し上げられジヤンピン
グした後、帯鋼を押し付けする。

前記の上ピンチロールのジヤンピングは、その
飛び上り量が小さくなると共に、その振動減衰性
が良い程、上ピンチロールの帯鋼に対する押付安
定性は向上するが、そのためには上ピンチロール
及び上チヨツクなど上ピンチロールと共にジヤン
ピングする物体（上ピンチロール組立品）の範囲
及び重量を極力小さくする必要がある。

本考案は、上ピンチロール組立品の重量を低減
し、上ピンチロールの押付安定性を向上させると
いう性能向上を計ると共に、ロールフレームの保
全頻度を大巾に低減させ、更にピンチロール装置
のコンパクト化を計るものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このため本考案のピンチロール装置は、上ピン
チロールを保持する軸受箱の支持手段を従来技術
である第２図に示す固定支持や、第３図又は第４
図に示すチヨツクライナを介した摺動支持とせ
ず、上ピンチロールを軸支するロールフレーム３
−ａの両端を円筒状のピンで支持する２段フレー
ムとし、前記ロールフレーム３−ａをスイングア
ーム４に対し回転運動させる構造としたことを特
徴としている。

〔作用〕

上述の本考案のピンチロール装置は、上ピンチ
ロールを保持する軸受箱の支持手段を回転支持の
みとしたことにより軸受箱支持部の密封潤滑が可
能となり、その保全頻度の低下が計られると共
に、圧下シリンダのチユーブ穴径の小径化が可能
となり設備のコンパクト化が計られるものであ
る。

〔実施例〕

第１図に本考案の一実施例を示す。

上ピンチロール１は上チヨツクを兼ねたロール
フレーム３−ａによつて保持されており、ロール
フレーム３−ａの一端はスイングアーム４に対し
て円筒状の支点ピン９を介してピン支持されてお
り、他端はスイングアーム４上のシリンダトラニ
オン１４によつて支持された圧下シリンダ７のロ
ツドエンドにおいて円筒状の支点ピン１５を介し
て支持されている。即ち本考案においては、上ピ
ンチロール１を軸支するロールフレーム３−ａの
両端を円筒状のピンで支持する２段フレームと
し、前記ロールフレーム３−ａをスイングアーム
４に対し回転運動させるよう構成している点を特
徴としている。

その他の機構即ちスイングアーム４の支持、作
動機構及び下ピンチロール２のケーシング５−ａ
による支持機構は第３図に示すピンチロール装置
において説明したものと同様である。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案のピンチロール装置に
よれば次に示す効果が得られる。

(1) 上ピンチロール組立品の重量が低減する結
果、従来の第３図、第４図に示すピンチロール
装置と同様に、上ピンチロール１の押付安定性
が向上する（応答性が向上するため）という性
能向上が計られる。

(2) 従来の第３図、第４図のピンチロール装置に
於けるチヨツクライナ１１が不必要となり、ロ
ールフレーム３−ａは密封潤滑が可能な回転支
持（支点ピン９及び１５）のみによつて支持さ
れることから、第３図、第４図に示す前記ピン
９，１５の摺動面は円筒状となるため、パツキ
ング等により摺動面の潤滑油（潤滑剤）を容易
に密封することが可能であることから、潤滑不
良による摩耗によつて発生する上ピンチロール
の駆動側と作業側のずれに起因する帯鋼の蛇行
が大幅に低減することが可能となり、ロールフ
レーム３−ａの保全頻度が大幅に低減する効果
が得られる。

(3) 圧下シリンダ７は「てこの原理」により、第
３図に示すピンチロール装置に於けるものより
も、そのチユーブ穴径が小さくできることか
ら、ピンチロール装置のコンパクト化（設備コ
ストの低減）が計られる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のピンチロール装置の一実施
例、第２図〜第４図は従来の各形式のピンチロー
ル装置の構造を示すもので、第２図は上チヨツク
固定式のスイングアーム式、第３図は上チヨツク
摺動式のスイングアーム式、第４図はハウジング
式の各ピンチロール装置である。 １……上ピンチロール、２……下ピンチロー
ル、３−ａ……ロールフレーム、３−ｂ，３−
ｃ，３−ｄ……上チヨツク、４……スイングアー
ム、５−ａ……ケーシング、５−ｂ……ハウジン
グ、６……ロール開閉シリンダ、７……圧下シリ
ンダ、８……圧下シリンダ、９……支点ピン、１
０……支点ピン、１１……チヨツクライナ、１２
……チヨツクライナ、１３……帯鋼、１４……シ
リンダトラニオン、１５……支点ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基礎に固設されたケーシングに、流体圧シリン
   グと回転軸受とによつて支持されたスイングアー
   ムを備えると共に、前記スイングアーム内におい
   て、上ピンチロールを軸支するロールフレームの
   一端をスイングアームに固定された軸受に円筒状
   ピンで支持させると共に、他端をスイングアーム
   上の圧下シリンダのトラニオンを介し圧下シリン
   ダのロツドと円筒状ピンで支持させた回転支持の
   ロールフレームを有する２段フレーム構造とした
   ことを特徴とする巻取機のピンチロール装置。