JPH05304043A - 導体形成用貴金属系組成物 - Google Patents

導体形成用貴金属系組成物

Info

Publication number
JPH05304043A
JPH05304043A JP4107493A JP10749392A JPH05304043A JP H05304043 A JPH05304043 A JP H05304043A JP 4107493 A JP4107493 A JP 4107493A JP 10749392 A JP10749392 A JP 10749392A JP H05304043 A JPH05304043 A JP H05304043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noble metal
dielectric
main component
mlc
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4107493A
Other languages
English (en)
Inventor
Yohachi Yamashita
洋八 山下
Hisami Okuwada
久美 奥和田
Hideyuki Kanai
秀之 金井
Osamu Furukawa
修 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP4107493A priority Critical patent/JPH05304043A/ja
Publication of JPH05304043A publication Critical patent/JPH05304043A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 誘電体と収縮カーブが類似しており、300
〜700℃における体積膨脹が生じにくく、MLC製造
時に誘電体表面に薄く塗布しても、焼結後に内部電極の
電極切れが生じず、かつ、エレクトロマイグレーション
が少ない、導体形成用貴金属系組成物を提供する。 【構成】 Pd含有率が10重量%以上のAg/Pd系
金属材料を主成分粒子(1)とし、Ti、TiN、Ti
O、Ti2 3 およびTi3 5 からなる群のなかから
選ばれた少なくとも1種のチタン系材料(2)を、Ti
換算で、前記主成分粒子に対して0.05〜3.0重量
%となるように、前記主成分粒子(1)の表面にコート
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層セラミックコンデ
ンサー(MLC)の内部電極等に使用される導体形成用
貴金属系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】Ag/Pd系金属材料は、大気中700
〜1300℃で焼成された後も高い導電性を示すことか
ら、ハイブリッド回路の配線や積層セラミックコンデン
サー(MLC)の内部電極等に、以前より広く用いられ
ている。
【0003】ところで、Agは導電率が高く、比較的安
価であるが、融点が980℃と低く、また、エレクトロ
マイグレーションが生じやすいために信頼性に劣るとい
う欠点がある。これに対し、Pdは、価格がAgの15
倍と高価ではあるが、融点が1550℃と高く、また、
Agと全率固溶するので、Agと合金化させることによ
り、高融点の金属材料を得たり、エレクトロマイグレー
ションを抑制するために用いられている。このような理
由から、最近のMLCではAg/Pd系金属材料(A
g:0〜85重量%、Pd:15〜100重量%)を使
用して、スクリーン印刷法などによって、乾燥後の重量
が1.2〜3.0mg/cm2 、換言すれば焼結後の厚
みが1.5〜4.0μmの内部電極が専ら形成されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MLC
においては、誘電体層の薄層化が進むにつれ、種々の問
題が生じてきている。まず第1は、内部電極に使用され
るAg/Pd系金属材料と誘電体材料との焼成後の収縮
カーブのミスマッチングに起因する層間剥離(デラミネ
ーション)の問題である。すなわち、例えば、低温焼成
が可能な誘電体材料として知られる鉛複合ペロブスカイ
ト化合物(リラクサ)では、焼成後900℃前後から体
積収縮するのに対し、このような誘電体材料を使用した
MLCにおいて通常用いられるAg含有率の多いAg/
Pd系金属材料では、650℃前後から急激な体積収縮
が始まる。また、高温焼成が必要な誘電体材料であるチ
タン酸バリウムが焼成後1100℃前後から体積が収縮
する一方、この誘電体材料に対して通常使用されるPd
含有率の多いAg/Pd系金属材料は、800℃前後で
急激な体積収縮が始まる。このように、従来のAg/P
d系金属材料は、収縮カーブが誘電体材料と一致してお
らず、これにより、例えばMLCの内部電極に使用した
場合、デラミネーションが発生しやすく、MLCの信頼
性を低下させていた(JOHN G.PEPIN,HIGH FIRE MULTILA
YER CERAMIC CAPACITOR ELECTRODE TECHNOLOGY,41ST EL
ECTRONIC COMPONENTS & TECHNOLOGY CONFERENCE,PP.328
-334(1991))。
【0005】デラミネーションを防止するためには、い
うまでもなく、同時焼成される誘電体材料とAg/Pd
系金属材料の収縮率や収縮カーブが一致していることが
望まれる。このため、Ag/Pd系金属材料にチタン酸
バリウム等誘電体層と同一の材料を一部添加する方法も
提案されているが、誘電体層の厚さが5μm以下と薄い
場合には、その効果が現れにくい。
【0006】また、Ag/Pd系金属材料では、脱脂、
焼成のための昇温時に300〜700℃の温度で、Pd
の酸化反応により体積膨脹が生じる。したがって、特に
Pd含有率の多いAg/Pd系金属材料においては、こ
れによっても、デラミネーションが発生しやすくなる。
【0007】第2の問題は、内部電極の電極切れの問題
である。すなわち、誘電体層の厚みが5μm前後となる
と、デラミネーションを防止するために、内部電極も相
対的に薄くしなければならない。しかしながら、従来用
いられている、平均粒径0.2〜1.0μmのAg/P
d合金粒子を内部電極に使用する場合には、乾燥後の重
量が、1.0mg/cm2 以下(焼結後の膜厚換算で
1.3μm)では、焼結時にAg/Pd合金粒子の凝集
が生じ、焼結後、いわゆる電極切れをもたらす。その結
果、MLCとして所望の電気的容量が得られないばかり
でなく、誘電損失が増大するという欠点があった。
【0008】そこで、本発明は、上記誘電体材料のよう
なセラミックと収縮カーブが類似しており、300〜7
00℃の温度範囲における体積膨脹が生じにくく、例え
ばMLCの内部電極に使用したときに、その塗布量(乾
燥後の重量)を0.5〜1.0mg/cm2 とした場合
でも、焼結後に内部電極の電極切れが抑えられ、かつ、
エレクトロマイグレーションが少ない、AgとPdとを
含む導体形成用貴金属系組成物を提供することを課題と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】上記課題を解決
するために、本発明は、Pdを10重量%以上含むAg
/Pd系金属材料の粒子を主成分とし、Ti、TiN、
TiO、Ti2 3 およびTi3 5 からなる群のなか
から選ばれた少なくとも1種のチタン系材料を、前記主
成分に対してTi換算で0.05ないし3.0重量%の
割合で含有することを特徴とする、導体形成用貴金属系
組成物を提供する。以下、本発明をさらに詳しく説明す
る。
【0010】本発明の導体形成用貴金属系組成物におい
て、主成分粒子は、Pdを10重量%以上含むAg/P
d系金属材料からなる。本発明で用いるAg/Pd系金
属材料は、Pd単独、Ag/Pd合金、およびAg粒子
の表面をPdでコートしたものを含む。なおこのAg/
Pd系金属材料中には、Pt、Auなどの貴金属が10
重量%程度まで含有されていてもよい。Ag/Pd系金
属材料の好ましいPd含有率は、15重量%以上であ
る。Pd含有率が10重量%未満では、Pdの有する優
れた特性が充分に発揮されない。これらの粒子の好まし
い平均粒径は、1.0μm以下であり、より好ましくは
0.2〜0.5μmである。この理由は、平均粒径が
1.0μmを越えると、このような粒子を積層セラミッ
クコンデンサー(MLC)の内部電極に使用する場合、
0.5〜1.0mg/cm2 の塗布量(乾燥後の重量)
で塗布した際、所望の容量を得ることが困難となるため
である。
【0011】本発明の貴金属系組成物は、上記主成分粒
子に加えて、Ti、TiN、TiO、Ti2 3 および
Ti3 5 からなる群のなかから選ばれた少なくとも1
種のチタン系材料を、Ti換算で主成分粒子の0.05
〜3.0重量%の割合で含有する。0.05重量%未満
では、後述するチタン系材料の添加の効果が十分ではな
く、3.0重量%を越えると、形成される導体の抵抗値
が上昇し、例えばMLCの内部電極に適用した場合、等
価直列抵抗ESRが増加する。チタン系材料には、一部
に少量のZr、Cr、Co、Ni、Au、Ptなどを含
んでもよい。ただし、Ti以外のこれらの元素は、多く
ても10重量%以下であることが好ましい。
【0012】チタン系材料は、主成分粒子の表面を実質
的に連続膜として被覆した形態で、あるいは、分散性に
優れた微粒子(粒径約1μm以下)として、主成分粒子
と混合され、もしくは主成分粒子表面を覆った形態で、
本発明の貴金属系組成物に含まれる。好ましくは主成分
粒子の表面を覆った形態である。この形態を図1に示
す。図1に示すように、この形態の貴金属系組成物3
は、主成分粒子1の表面が、チタン系材料2の膜でコー
トされた構造を有している。
【0013】本発明の貴金属系組成物は、例えば、前記
主成分粒子を、チタン系材料でコートすることにより調
製することができる。コーティング方法としては、スパ
ッタ法、CVD法、蒸着法およびゾルゲル法等を使用す
ることができる。微粒子のチタン系材料を用いる場合
は、主成分粒子に表面吸着させることにより、または、
主成分粒子と混合することにより、調製することができ
る。
【0014】本発明で使用するチタン系材料は、酸素と
の反応活性を有しているため周囲酸素を取り込んで、主
成分粒子中のPdの酸化を防ぐ。したがって、本発明の
組成物は、Pdの酸化に起因する体積膨脹が抑制され、
また、体積収縮カーブがセラミックのそれと近似するこ
とになる。なお、本発明では、チタン系材料の酸素との
反応活性を利用しているため、このような活性のないT
iO2 は、本発明で使用するチタン系材料から除外され
る。また、チタン系材料は、鉛複合ペロブスカイト化合
物(リラクサ)などの酸化物をわずかに還元し、前記酸
化物に対する貴金属系組成物のぬれを向上させる。した
がって本発明の組成物を、リラクサ等の酸化物を誘電体
材料として用いたMLCの内部電極に使用し、この組成
物を含むペーストを0.5〜1.0mg/cm2 の塗布
量(乾燥後の重量)で塗布した場合でも、焼結後の電極
切れが抑えられる。
【0015】さらに、本発明においては、前記の貴金属
系組成物とバインダーと有機溶剤とを3段ロールなどを
用いて混合し、ペーストとして作製することができる。
このようなペーストにおける貴金属系組成物の好ましい
含有率は、35重量%以上70重量%以下である。この
理由は、35重量%未満では、所望の厚みに印刷するこ
とが困難なばかりでなく、MLCの内部電極に使用した
場合に十分な容量が得られず、また、70重量%を越え
るペーストを調製することは極めて困難だからである。
【0016】前記バインダーとしては、エチルセルロー
ス等を用いることができる。その含有率は、5〜15重
量%程度が好ましい。前記有機溶剤としては、ターピオ
ネール、石油ベンジン等を用いることができる。上述し
たような本発明の貴金属系組成物を含むペーストは、比
較的濃度の薄いものは、スクリーン印刷法により、所定
の基材上に印刷することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の具体例を示し、本発明をより
具体的に説明する。
【0018】主成分となる粒子として、100%のPd
粒子および、共沈法により作製した数種類のAg/Pd
合金粒子を使用した。粒子は、いずれも、平均粒径が
0.4μm、タップ密度が4.0g/cc、比表面積S
Aが2.0m2 /gである。なお、合金粒子におけるP
d含有率は、80重量%、30重量%および15重量%
の3種類とした。
【0019】まず、100ccのガラス容器に、20g
の100%Pd粒子を採取し、表面を有機溶剤で洗浄し
た。その後、市販のRFマグネトロンスパッタ装置を用
いて、直径4インチのTi3 5 ターゲットに200ワ
ットの電力を投入し、0.1〜1時間の所定時間、Pd
粒子の表面にコーティングを行なった。この際、Pd粒
子に対して、ランプなどを用いた加熱は行なわなかった
が、超音波振動を与えて、粒子表面が均一にコーティン
グされるようにした。得られた貴金属系組成物を、試料
1とした。
【0020】以下、ターゲットまたは粒子の組成を変化
させて、所定時間、コーティングを行なうことにより、
下記表1に示す試料2〜13、および比較例A、B、
C、Dを用意した。使用した粒子の質量は20gと一定
であり、いずれも、有機溶剤で洗浄して用いた。なお、
得られた各試料について、ICP方法により化学分析
し、Ti量の質量分析を行なった。
【0021】さらに、各試料について、熱膨脹率を調べ
た。まず、内径が5mmの金型を用いて、5mmの厚み
の成型体を作製した。この際の圧力は500kg/cm
2 とした。得られた成型体を、市販の熱膨張計を用いて
1200℃まで10℃/分の速度で大気中で昇温し、膨
脹率の変化を調べた。その膨脹率の最大値を、各試料の
組成とともに下記表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、本発明の貴金属
系組成物の膨脹率は、最大でも2%以下と小さく、特
に、試料9においては、最大膨脹率は0.2%である。
主成分粒子におけるPd含有率が、試料9の二分の一で
ある試料10においては、コーティングに用いたTi量
も二分の一であるにもかかわらず、最大膨脹率は、同様
に0.2%である。また、試料3の結果に示されるよう
に、100%のPd粒子であっても、Ti量が主成分粒
子の3.0重量%となるようにコーティングを行なうこ
とにより、その最大膨脹率を、0.8%に抑えることが
できる。一方、チタン系材料によるコーティングを行な
わない比較例A、BおよびCの膨脹率は、いずれも4%
以上と大きい。
【0024】また、主成分粒子の組成およびコーティン
グに使用したターゲットが同一の試料7と比較例Dとを
比較すると、比較例Dの膨脹率は、3.8%と大きい。
一方、試料7の膨脹率は、1.0%にとどまっている。
したがって、貴金属系組成物におけるTiの量は、主成
分粒子に対して0.05重量%以上、必要であることが
わかる。
【0025】ここで、試料8、比較例C、および後述す
る誘電体1の収縮カーブを図2に示す。試料8および比
較例Cにおける主成分粒子のPd含有率は、いずれも3
0重量%である。また、誘電体1は、MLC製造時に通
常Pd含有率が30重量%のAg/Pd合金粒子が内部
電極に使用されるリラクサである。図2において、曲線
aおよびbは、それぞれ試料8および比較例Cの収縮カ
ーブを表わし、曲線cは、誘電体1の収縮カーブを表わ
す。図2から、本発明の試料8は、300〜700℃の
温度範囲における膨脹が極めて小さいことがわかる。ま
た、試料8は、800℃からの収縮カーブが、誘電体1
の収縮カーブと、ほぼ一致している。このため、誘電体
に印刷してMLCを製造する場合、焼結時にクラックや
デラミネーションが発生せず、信頼性の高いMLCを得
ることができる。
【0026】一方、チタン系材料でコーティングを行な
わない比較例Cについては、300〜700℃におい
て、膨脹が大きく、その後、急激に収縮している。この
ように、チタン系材料を含有しない場合の収縮カーブ
は、誘電体の収縮カーブから大きくずれており、これ
が、デラミネーションの原因となっている。
【0027】次いで、得られた貴金属系組成物を用いて
ペーストを調製し、このペーストが印刷された誘電体グ
リーンシートを積層した後、焼成することによりMLC
を製造して、その特性を調べた。
【0028】このとき、誘電体材料としては、低温焼成
タイプの下記式(1)に示す組成のリラクサ(誘電体
1)と、高温焼成タイプのチタン酸バリウム(誘電体
2)とを使用し、以下に示すような方法により誘電体グ
リーンシートを作製した。 (Pd0.88Ba0.12) ((Zn1/3 Nb2/3 ) 0.3 (Mg1/3 Nb2/3 ) 0.5 Ti0.2 )O3 ・・・(1)
【0029】すなわち上記誘電体1の出発原料として
は、化学的に高純度なPbO、BaCO3 、MgO、N
2 5 、およびTiO2 を用いた。これらを、純度補
正を行なった後に、上記の組成となるように所定量を秤
量し、純水を加えて、ボールミルを用いて混合した。混
合の際は、ZrO2 ボールを用い、22時間行なった。
得られた混合物を乾燥した後、ライカイ機で十分に解砕
し、アルミナサヤに入れ、800℃で2時間仮焼した。
仮焼体を再び、上記ボールミルで粉砕し、平均粒径が
0.4〜0.7μmの粉体を得た。この粉体1kgを、
バインダー440gとともにボールミル中で混合し、ス
ラリーを得た。混合の際は、5mm径のZrO2 ボール
を用い、16時間行なった。なお、混合の際に使用した
バインダーは、ジオクチルフタレート370g、エタノ
ール1200g、トルエン540g、およびポリビニル
ブチラール樹脂540gを、均一に混合することにより
調製した。次に、スラリーを400メッシュのナイロン
フィルターを用いて濾過した。濾過後のスラリーの粘度
は、約1500cpsであった。次いで、脱気し、リバ
ースロールコータ装置を用いて、50μmのPETフィ
ルム上に厚さ8μmの誘電体グリーンシートを得た。ま
た誘電体2としては、市販のチタン酸バリウムを主体と
するEIA規格のX7R規格の誘電体であるTAM社の
タムトロン302Hを用いた。この誘電体2を使用した
場合も、誘電体1を使用した場合と同様に、リバースロ
ールコータ装置を用いて、厚さ8μmの誘電体グリーン
シートを50μmのPETフィルム上に作製した。
【0030】而してこのようにして得られた誘電体グリ
ーンシート上に、実施例1で得られた貴金属系組成物を
含むペーストを用いて、MLC用内部電極パターンをス
クリーン印刷法により印刷した。
【0031】なおここで、ペーストの調製方法について
説明する。ペーストは、表1に示した所定の貴金属系組
成物を、バインダーおよび有機溶剤と、3段ロールを用
いて混合することにより得た。貴金属系組成物の含有率
は、35重量%以上とした。バインダーとしては、エチ
ルセルロースを使用し、その割合は10重量%程度とし
た。また、有機溶剤としては、ターピオネールを用い
た。前記貴金属系組成物としては、まず試料8を使用
し、組成物の含有率が約50重量%のペーストを、前述
の方法により調製した。さらに得られたペーストを、3
5重量%以上の所定の濃度となるように適宜ターピオネ
ールで稀釈して薄めのペーストを調製した。
【0032】このように稀釈されたペーストを用いて、
前述の誘電体グリーンシート上に6.6×5.8mmの
パターンを印刷した。印刷の際は、400メッシュのス
テンレススクリーンを用いた。印刷後に、80℃で20
分間乾燥し、有機溶剤を蒸発させ、乾燥後の重量を測定
した。この結果、ペーストの塗布量は、0.5mg/c
2 であることがわかった。
【0033】次いで、パターンを印刷した誘電体グリー
ンシート6枚を打ち抜いた後、金型中で積層を行なっ
て、有効5層の成型体を作製した。条件は、温度120
℃、圧力0.5トン/cm2 で10分間とした。これを
切断した後に、500℃まで15℃/時間の昇温速度で
昇温し、脱バインダーを行なった。脱脂後の成型体をマ
グネシアの緻密なさやに入れ、バッチ炉で焼成した。焼
成条件は、1000℃、2時間とした。焼成後の誘電体
層の1層の厚みは、約5.0μmであった。さらに焼成
後に素子の端面に、外部電極として、Ag/Pdペース
トを600℃で焼き付け、得られたMLCを、試料14
とした。
【0034】以下、誘電体材料、ペーストに用いる貴金
属系組成物を変えて、所定のペースト塗布量で、下記表
2に示すように試料15〜20および比較例1〜6のM
LCを製造した。
【0035】各MLCは、表2に示す各焼成温度で焼成
する以外は、試料14と同様の手順により製造し、得ら
れた各MLCについて、静電容量、誘電損失および容量
取得率を、各々20個について測定した。測定条件は1
kHz、1Vrmsとし、室温で行なった。測定結果の
平均値を下記表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2から、本発明の貴金属系組成物を内部
電極に用いたMLCは、ペーストの塗布量が0.5mg
/cm2 でも、設計容量の90%以上の容量が得られる
ことがわかる。一方、比較例3および4に示すように、
主成分粒子にチタン系材料でコーティングを行なわない
場合は、ペーストの塗布量を1.0mg/cm2 とした
場合でも、MLCの容量は、設計容量の15%以下であ
る。特に塗布量が、1.0mg/cm2 未満の比較例1
および2では、ほとんど容量が得られない。また、比較
例6に示すように、コーティングを行なってもそのTi
量が、主成分粒子に対して0.01重量%以下の貴金属
系組成物を用いた場合も、MLCの容量は、設計容量の
15%以下の値しか得られない。さらに、これらのML
Cは、誘電損失も5%以上と極めて大きくなることがわ
かる。
【0038】なお、比較例5に示すように、主成分粒子
にチタン系材料でコーティングを行なわない場合でも、
ペーストの塗布量を1.5mg/cm2 とすると、10
0%の容量が得られ、誘電損失も比較的小さい。しかし
ながら、この塗布量では、誘電体層の1層当たりの厚さ
が10μm以下である大容量のMLCを製造することが
できない。
【0039】さらに、主成分粒子が同一であって、か
つ、ペースト塗布量も、ともに1.0mg/cm2 の、
試料16と比較例3とについて比較する。試料16は、
主成分粒子の粒子表面をチタン系材料でコートしてお
り、一方、比較例3は、コーティングを行なっていな
い。このとき、試料16の場合は、100%の容量取得
率が得られるのに対し、比較例3の場合は、6%の容量
取得率しか得られない。したがって、主成分粒子をチタ
ン系材料でコートすることにより、調製されるペースト
のぬれが改良され、誘電体上に薄く塗布した場合であっ
ても、電極切れが生じないことがわかる。
【0040】次に、MLCにおけるAg/Pd系金属材
料を含むペースト塗布量と容量取得率との一般的な関係
を図3に示す。図3中、曲線dおよび曲線eは、それぞ
れ本発明のMLCおよび、従来のMLCの特性を表わ
す。図3に示すように、本発明のMLCは、その塗布量
が0.5mg/cm2 から、100%近い容量が得られ
ている。これに対し、従来のMLCは、1.0mg/c
2 程度の塗布量でなければ、同等の容量を得ることが
できないことがわかる。
【0041】また、試料15および比較例5のMLCに
ついて、耐湿負荷試験を行なった。それぞれ20個につ
いて、85℃、95%の条件下で10Vの直流電流を印
加し、500時間の試験を行なった。MLCの良否判定
は絶縁抵抗の1分値が、100ΩF以下に低下したもの
を不良とした。その結果を、下記表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】この結果から、本発明の貴金属系組成物を
内部電極に用いたMLCは、耐湿負荷試験でも優れた特
性を示し、内部電極のエレクトロマイグレーションが少
ないことがわかる。一方、比較例5は、通常の条件下に
おいては容量は得られるが、高温多湿の条件下ではエレ
クトロマイグレーションが発生し、長期使用における信
頼性が低下する。
【0044】本実施例では、低温焼成タイプの誘電体材
料として、下記式(2)に示すリラクサを使用したが、
1000℃前後で焼成が可能な、それ以外のリラクサを
使用することができる。 (Pd0.875 Ba0.125 ) ((Zn1/3 Nb2/3 ) 0.26 (Mg1/3 Nb2/3 ) 0.44Ti0.3 )O3 ・・・(2)
【0045】例えば、(Mg1/3 Nb2/3 )O3 −Pb
TiO3 系材料、Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 系材
料、Pb(Ni1/2 1/2 )O3 系材料、Pb(Mg
1/2 1/2)O3 系材料、Pb(Fe1/2 Nb1/2 )O
3 系材料、(Pb,La)(Zr,Ti)O3 系材料等
を用いても同様の効果が得られる。また、高温焼成タイ
プの誘電体材料としては、EIAのX7R規格のチタン
酸バリウムを用いたが、他のNdTiO3 やMgTiO
3 を主体とした高温焼成タイプの誘電体材料等でも同様
な結果が得られる。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の導体形成
用貴金属系組成物は、例えば誘電体材料として用いられ
るセラミックと類似した収縮カーブを有し、セラミック
と導体間での層間剥離の発生が防止される。また、本発
明の貴金属系組成物を含むペーストを誘電体表面に印刷
する場合、その塗布量が0.5〜1.0mg/cm2
あっても、電気的容量を安定して得ることができ、誘電
損失も小さくすることができる。このため、例えば本発
明の貴金属系組成物をMLCの内部電極に使用したと
き、特に誘電体層の厚みが5μm前後の大容量のMLC
がに高い歩留まりで得られる。さらに、内部電極の使用
量を減少させることにつながるので、大容量のMLC
を、比較的低コストで提供することができる。加えて、
本発明の貴金属系組成物は、エレクトロマイグレーショ
ンが、従来の材料よりいっそう少なくなるため、長期使
用においても、耐湿負荷特性などの信頼性に優れたML
Cの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導体形成用貴金属系組成物の一形態の
構造を示す断面図。
【図2】本発明の貴金属系組成物、従来のAg/Pd合
金および誘電体1(リラクサ材料)の収縮カーブを示す
特性図。
【図3】本発明の貴金属系組成物と従来のAg/Pd合
金とを内部電極に用いたMLCにおける、ペースト塗布
量と、容量取得率との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1…主成分粒子,2…チタン系材料,3…貴金属系組成
物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 修 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pdを10重量%以上含むAg/Pd系
    金属材料の粒子を主成分とし、Ti、TiN、TiO、
    Ti2 3 およびTi3 5 からなる群のなかから選ば
    れた少なくとも1種のチタン系材料を、該主成分に対し
    てTi換算で0.05ないし3.0重量%の割合で含有
    することを特徴とする、導体形成用貴金属系組成物。
JP4107493A 1992-04-27 1992-04-27 導体形成用貴金属系組成物 Pending JPH05304043A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4107493A JPH05304043A (ja) 1992-04-27 1992-04-27 導体形成用貴金属系組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4107493A JPH05304043A (ja) 1992-04-27 1992-04-27 導体形成用貴金属系組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05304043A true JPH05304043A (ja) 1993-11-16

Family

ID=14460612

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4107493A Pending JPH05304043A (ja) 1992-04-27 1992-04-27 導体形成用貴金属系組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05304043A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07192528A (ja) * 1993-12-27 1995-07-28 Nec Corp 導電性ペースト
JP2002026528A (ja) * 2000-07-12 2002-01-25 Hitachi Metals Ltd 導電性ペーストおよび多層セラミック基板
US6690571B2 (en) 2000-12-28 2004-02-10 Denso Corporation Laminate-type dielectric device, a production method and an electrode paste material
US6734607B2 (en) 2000-12-28 2004-05-11 Denso Corporation Integrally fired, laminated electromechanical transducing element
JP2017228533A (ja) * 2017-07-20 2017-12-28 日本化学工業株式会社 被覆導電性粉体、被覆導電性粉体の製造方法、被覆導電性粉体を含む導電性接着剤及び接着構造体
WO2024004392A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ
WO2024004393A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07192528A (ja) * 1993-12-27 1995-07-28 Nec Corp 導電性ペースト
JP2002026528A (ja) * 2000-07-12 2002-01-25 Hitachi Metals Ltd 導電性ペーストおよび多層セラミック基板
JP4524876B2 (ja) * 2000-07-12 2010-08-18 日立金属株式会社 導電性ペーストおよび多層セラミック基板
US6690571B2 (en) 2000-12-28 2004-02-10 Denso Corporation Laminate-type dielectric device, a production method and an electrode paste material
US6734607B2 (en) 2000-12-28 2004-05-11 Denso Corporation Integrally fired, laminated electromechanical transducing element
US6960271B2 (en) 2000-12-28 2005-11-01 Denso Corporation Laminate-type dielectric device, a production method and an electrode paste material
JP2017228533A (ja) * 2017-07-20 2017-12-28 日本化学工業株式会社 被覆導電性粉体、被覆導電性粉体の製造方法、被覆導電性粉体を含む導電性接着剤及び接着構造体
WO2024004392A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ
WO2024004393A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4604676A (en) Ceramic capacitor
KR100313232B1 (ko) 유전체 세라믹 조성물 및 적층 세라믹 커패시터
EP1156498B1 (en) Multi-layer ceramic electronic device and method for producing same
EP0851444B1 (en) Ceramic composition and multilayer ceramic capacitor made therefrom
US5853515A (en) Process for producing a multilayer ceramic capacitor
US5036424A (en) Multilayer ceramic capacitive element
US5801111A (en) Dielectric ceramic composition and monolithic ceramic capacitor using the same
KR100271099B1 (ko) 유전체 세라믹 조성물 및 이를 이용한 적층 세라믹 커패시터
EP0794542A2 (en) Dielectric ceramic and monolithic ceramic electronic part using the same
JPH113834A (ja) 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法
KR980011543A (ko) 적층 세라믹 커패시터
KR20170135665A (ko) 적층 세라믹 콘덴서 및 그 제조 방법
KR980009197A (ko) 적층 세라믹 커패시터
JP2002217054A (ja) 電子部品およびその製造方法
EP0103338B1 (en) Low-fire ceramic dielectric compositions
JPH05304043A (ja) 導体形成用貴金属系組成物
JP2000264729A (ja) 誘電体組成物およびこれを用いたセラミックコンデンサ
JP4487371B2 (ja) 誘電体組成物およびこれを用いたセラミックコンデンサ
JPH11283867A (ja) 電子部品およびその製造方法
JP4496639B2 (ja) 電子部品およびその製造方法
JPH11121276A (ja) 電子部品およびその製造方法
KR910001347B1 (ko) 초저온에서 소결되는 세라믹 조성물 및 그 제조방법
JPH11102835A (ja) 積層型セラミック電子部品およびその製造方法
JPH0337725B2 (ja)
JP2023143031A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法