JPH0530258B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は写真素子および殺菌剤（biocide）を
含有するかかる素子の製造または処理のための液
体に関する。 細菌およびかびのための理想的な栄養源である
親水性コロイド例えばゼラチンを含有する写真素
子の劣化を防ぐため、これらの微生物を殺すため
通常フエノールである殺菌剤を加えることが必要
である。使用されるフエノールの中には、フエノ
ール自体、チモールおよびｐ−クロロ−ｍ−クレ
ゾールがある。 フエノールは特に不快な臭気を有し、ほ乳動物
に対し毒性であり、皮ふを刺戟し、従つて注意し
て取扱わなければならない。更にそれらは酸性水
性媒体に小さすぎる溶解度しか有せず、従つてそ
れらは酸性にされた写真組成物例えば個々のハロ
ゲン化銀ゼラチン被覆組成物および殺菌剤を写真
素子中にインビビシヨンによつて付与できる酸性
処理溶液と非相溶性であるといえる。 写真組成物中での殺菌剤としてのフエノール
は、工業的用途に好適な殺菌剤で置換できない、
何故ならば、多くの既知の殺菌剤は、それらを含
有する組成物で作つたまたは処理した写真素子の
感度測定特性に影響を与えるからである。 英国特許第1177048号には、酸性写真処理組成
物中での生物生長を阻止するのに有用な化合物と
してニトロ−アルコールが記載されている。 本発明によれば、かびおよび細菌の両者の生長
を、写真素子の感度測定特性に不利な影響を与え
ることなく阻止できる親水性コロイドを含有する
写真素子、上記素子製造のための液体被覆組成物
または写真法における上記素子を処理するための
液体を提供し、上記写真素子、液体被覆組成物ま
たは処理液体が殺菌剤として下記構造式 を有する５−ブロモ−５−ニトロ−１，３−ジオ
キサンを含有することを特徴とする。 ５−ブロモ−２−ニトロ−１，３−ジオキサン
の合成および化粧品用保恒剤としての使用はJ.
Soc.Cosmet.Chem.第28巻第427頁〜第439頁、
1977年８月号に記載されている。 上記ジオキサンは固体親水性コロイド組成物お
よび水性溶液中で0.02〜0.05重量％の濃度でグラ
ム陽性菌およびグラム陰性菌のみならずかびに対
して活性である。毒物学および皮ふ病学的研究で
は上記ジオキサンは不利な反応なしにほ乳動物に
よつて許容されることが証されている。 ５−ブロモ−５−ニトロ−１，３−ジオキサン
は中性、アルカリ性のみならず酸性の水性媒体に
可溶性であり、ゼラチンの如き蛋白質コロイド結
合剤を含有する層と（透明性に影響を与えること
なく）相溶性である。 本発明により親水性コロイド媒体中にジオキサ
ン殺菌剤を含有する写真材料には、例えばハロゲ
ン化銀親水性コロイド乳剤層を含有する写真素子
および感光性ではないが親水性コロイド層を含有
する素子および拡散転写反転（DTR）処理にお
ける写真ハロゲン化銀素子と組合せた受像素子と
して使用するに適した素子がある。 写真像形成のための素子、被覆組成物および処
理液体中での上記ジオキサン殺菌剤の最適量は、
細菌およびかびの生長を、殺菌剤を含有しない対
照液体（溶液、乳剤または懸濁液）および固体親
水性コロイド媒体および殺菌剤の増大する濃度を
含有するそれらと比較することによつて容易に決
定できる。 一つ以上の親水性コロイド層中に５−ブロモ−
５−ニトロ−１，３−ジオキサンを２mg〜30mg／
m²の被覆率で含有する写真素子、例えばハロゲン
化銀乳剤層材料が微生物生長に対して適切に保護
される。 ５−ブロモ−５−ニトロ−１，３−ジオキサン
の殺菌活性は、フエノールの殺菌活性の少なくと
も20倍も強力であることが判つた。フエノールの
殺かび活性と比較した殺かび活性は更に大であ
る。比較試験から、５−ブロモ−５−ニトロ−
１，３−ジオキサンは、前述した英国特許第
1177048号に記載されたニトロ−プロパノール
（ニトロプロパノールは酸性媒体中でのみ安定で
ある）よりも強力な殺菌剤であることが更に判つ
た。 上記ジオキサン殺菌剤は、発色剤の如き写真成
分をコロイド組成物中に混入するため当業者によ
つて知られている任意の方法でハロゲン化銀乳剤
層またはそれと水透過性関係にある他のコロイド
層の被覆組成物中に混入できる。 写真素子に写真成分を混入するのに好適な方法
の調査は英国特許第1546371号に記載されている。
例えばそれらは有機水混和性溶媒中の溶液から混
入する。 ジオキサン殺菌剤は、写真素子の製造において
用いられる例えば重合体の水性分散液（ラテツク
ス）を含む写真成分の溶液または分散液の形で混
入できる。これらの分散液または溶液は写真素子
の層の被覆組成物中に混入する前に、通常何日か
または何週間か貯蔵されるから、ジオキサン殺菌
剤もこれらの溶液または分散液にその有利な殺菌
活性を働かせる。 本発明の写真材料の製造に使用される液体被覆
組成物は、例えば上記ジオキサン殺菌剤を50mg〜
500mg／の範囲での濃度で含有する。 特別の例によれば、結合剤として作用する親水
性コロイドは例えば米国特許第4245036号および
英国特許第1453057号に記載されている如くラテ
ツクスから付与される合成重合体との混合物の形
で使用され、かかる混合物は、本発明による写真
像形成のための素子の製造に使用する前に既に上
記ジオキサン殺菌剤を含有する。 上記ジオキサン殺菌剤は、銀塩が例えば臭化
銀、沃化銀、塩化銀または混合ハロゲン化銀例え
ば塩化臭化銀、臭化沃化銀および塩化臭化沃化銀
であることができる任意の種類の写真ハロゲン化
銀乳剤と組合せて使用できる。これらのハロゲン
化銀乳剤においては、潜像は主としてハロゲン化
銀結晶の表面で形成されても良く、あるいは主と
してハロゲン化銀結晶の内部で形成されてもよ
い。 ハロゲン化銀用ビヒクルとして使用する親水性
コロイドは、例えばゼラチン、コロイド状アルブ
ミン、ゼイン、カゼイン、セルロース誘導体例え
ばカルボキシメチルセルロース、合成親水性コロ
イド例えばポリビニルアルコールまたはポリ−Ｎ
−ビニルピロリドンであることができる。所望に
よつてはハロゲン化銀を分散させるため２種以上
のこれらのコロイドの相溶性混合物を使用でき
る。 本発明による写真素子の製造において使用する
感光性ハロゲン化銀乳剤は化学的にのみならず光
学的に増感できる。それらはアリルチオシアネー
ト、リチルチオ尿素またはチオ硫酸ナトリウムの
如き硫黄含有化合物の少量の存在下熟成を行なう
ことによつて化学的に増感できる。乳剤はまた還
元剤例えばフランス特許第1146955号に記載され
ている錫化合物、英国特許第789823号に記載され
ている如きイミノアミノメタンスルフイン酸化合
物、および金、白金、パラジウム、イリジウム、
ルテニウムおよびロジウム化合物の如き貴金属化
合物の少量により増感することもできる。それら
はシアニンおよびメロシアニン染料によつて光学
的に増感できる。 上記ハロゲン化銀乳剤はまた現像促進によつて
乳剤を増感する化合物、例えば米国特許第
2531832号、第2533990号、英国特許第920637号、
第940051号、第945340号、第991608号および第
1091705号に記載されている如きアルキレンオキ
サイド縮合生成物の如きポリオキシアルキレン型
の化合物；英国特許第1121696号に記載されてい
る如きアミノ−Ｎ−オキサイドのオニウム誘導
体；および例えば英国特許第1455413号および第
1528951号に記載されている如きチオエーテル化
合物も含有できる。 ハロゲン化銀乳剤は黒白またはカラー型のもの
であることができる、従つてそれらは任意の種類
の発色剤、染料または染料プリカーサー例えば普
通のハロゲン化銀カラー写真または染料拡散転写
写真に使用されるのを含有できる。 ジオキサン殺菌剤はポジ−ネガ写真または反転
写真のための黒白およびカラー材料に使用でき
る。 更に乳剤は、安定剤例えばベンゾチアゾリン−
２−チオンおよび１−フエニル−２−テトラゾリ
ン−５−チオンの如き複素環式窒素含有チオキソ
化合物およびヒドロキシトリアゾロピリミジン型
の化合物を含有できる。それらはまたベルギー特
許第524121号および第677337号および英国特許第
1173609号に記載された水銀化合物の如き水銀化
合物で安定化することもできる。 上記ジオキサン殺菌剤を含有する感光性ハロゲ
ン化銀乳剤または親水性コロイド層は、1978年12
月のリサーチ・デイスクロジヤー、No.17643に記
載されているものの如き種類の成分も含有でき
る。 上記ジオキサン殺菌剤を含有するハロゲン化銀
乳剤は、広い種類の支持体に被覆できる。代表的
支持体には、例えばセルロースエステルフイル
ム、ポリビニルアセタールフイルム、ポリスチレ
ンフイルム、ポリエチレンテレフタレートフイル
ムおよび関連フイルムまたは樹脂材料のみならず
ガラス、紙、紙ボード、例えばプラスチツクで被
覆した紙または紙ボード例えばポリエチレン被覆
紙がある。 写真ハロゲン化銀材料の処理溶液に混入すると
き、ジオキサン殺菌剤は例えば50mg〜500mg／
の濃度で使用する。 かかる処理溶液には、例えばハロゲン化銀現像
溶液、ハロゲン化銀錯化溶液または銀金属漂白溶
液がある。 下記比較試験例は本発明を説明するものであ
る。 比較実施例 フエノール、２−ヒドロキシメチル−２−ニト
ロ−１，３−プロパンジオール、２−ブロモ−２
−ニトロ−１，３−プロパンジオールおよび５−
ブロモ−５−ニトロ−１，３−ジオキサンをそれ
ぞれ用いて生物学的生長の阻止を、ゼラチンの６
重量％水溶液中で種々の濃度で比較した。 試験溶液の一群は、変敗されたゼラチン溶液か
ら分離された細菌によつて同じ濃度で感染させ
た、他の試験溶液の群は変敗されたゼラチン溶液
から分離したかびによつて同様に感染させた。 生物学的生長を促進させるため、感染させた試
験溶液を37℃で保ち、24時間および３週間後にそ
の１mlの試料をとつた。 １mlの試料は、微生物のコロニーの発展のため
同じ環境の下で温置したそれぞれ細菌およびかび
のための市販栄養源を感染させるため使用した。 下表は、得られた調査結果を含む。ここで
（−）は微生物学的生長のないことを表わし、
（＋）はかなりの微生物学的生長があつたことを
示す。

【表】

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 写真素子の感度測定特性に不利に影響を与え
   ることなく、かびおよび細菌の両者の生長を阻止
   するようにした親水性コロイドを含有する写真素
   子において、上記写真素子が殺菌剤として下記構
   造式 を有する５−ブロモ−５−ニトロ−１，３−ジオ
   キサンを含有することを特徴とする写真素子。 ２ 上記素子がハロゲン化銀乳剤層を含む特許請
   求の範囲第１項記載の写真素子。 ３ 上記素子が２mg〜30mg／m²の被覆率で上記殺
   菌剤を含有する特許請求の範囲第１項または第２
   項記載の写真素子。