JPH0529844Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、プレキヤストコンクリート板を成型
する型枠に係り、より詳しくは、型枠内に打設さ
れたコンクリートが周辺枠における配筋等の突出
部分から漏洩するのを防止するためにエアーチユ
ーブを用いるようにした型枠に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

プレキシヤストコンクリート板（以下PC板と
言う）の成型用型枠において、従来、予め配置さ
れた鉄筋、配管、金具等の埋込部材が周辺枠から
露呈する部分には、例えば、その部分の枠板に鉄
筋を通過させる複数の孔を設けたり、また枠板に
その長手方向に沿つた長孔を設けてそれに張つた
網部材から鉄筋を突出させたり、さらには枠板を
上下二つ割りとしてその合せ目に設けた凹部に鉄
筋を挾み込むなどして、鉄筋等の露呈する周辺枠
から打設コンクリートの漏洩するのを防止するよ
うにしていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述のいずれの漏洩防止手段に
おいても、コンクリートの漏洩を充分には阻止し
得ず、仕上がりが良好でないのみでなく、その枠
板の設定に手数が掛り、脱型にも作業性が悪く、
PC板の厚さの種類ごとに異なつた枠板を要する
などの欠点を免れなかつた。

そこで、本考案は叙上の点に鑑み、鉄筋類の露
呈する周辺枠部分からコンクリートが漏洩するの
を効果的に阻止し得るとともに、作業性に優れ、
製品仕上がり良好な型枠を提供することを目的と
するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、ベツド上に
設定されたプレキヤストコンクリート板の成型用
型枠において、鉄筋を突出させた該型枠の端面部
分を上枠と下枠との上下２段に分割し、かつこれ
ら上下枠間の上記鉄筋を突出させた開口部に、該
鉄筋を上下方から挾着して該開口部を閉塞する充
填空気により膨脹された複数のエアーチユーブを
配設したことを特徴としている。

〔作用〕

本考案によれば、鉄筋を上下から挾着するよう
にエアーチユーブを設けて型枠開口部を塞ぐもの
であるため、エアーチユーブの両端部を抑えるだ
けで簡便に設定できるとともにその脱型も容易で
あり、かつコンクリートの漏洩を効果的に阻止し
得る結果、製品の仕上がりが均一で安定し、しか
も鉄筋類の変形やコンクリートの付着を著しく減
じ得られる。

〔実施例〕

以下、第１図及び第２図に示す一実施例に基づ
き本考案を詳述すると、図中、１は敷設したベツ
ドで、このベツド１上には、平面凹字状のPC壁
板２を成型する型枠３を組み立て、この型枠３内
には、当該型枠３の端面開口部から外部に水平に
突出する複数の軸筋４及び複数の配力筋５を配置
している。

６は該ベツド１上に締結具を用いて立設した支
持部材で、この多数の螺子孔を備えた支持部材６
には、第１図に示す如く、取付部材７を水平に螺
着し、この取付部材７の端部下面には、型枠３の
端面開口部上端を閉塞する溝状の上枠８を取着し
ており、又ベツド１上には、該上枠８に対向して
該端面開口部の下端を閉塞する倒Ｌ字状の下枠９
を配置している。そして、この下枠９と上枠８と
は、第２図に示す如く、PC壁板２の端面上下側
部に平坦面２ａを形成させ、これにより正確な接
続端面を区画させることができる。

１０は上記複数の配力筋５内に配置した本考案
に係る複数のエアーチユーブで、この縦列に配置
された複数のエアーチユーブ１０は、第１図に示
す様に、空気の充填に基づき膨脹して上下から軸
筋４を挾み、あるいは配力筋５の突出間隙を埋め
て相互に密着し、型枠３の開口側部中央を閉塞さ
せることができ、この開口部分からのコンクリー
トの漏洩を防止するフエンス機能を営む。そし
て、この複数のエアーチユーブ１０の使用に伴
い、PC壁板２の端面中央部分は、第２図に示す
如く、連続した半円状の凹面２ｂに形成され、こ
れにより端面部分の強固な接続を行わせることが
可能となる。

また、上述した上枠８は取付部材７を支持部材
６の所定の螺子孔を螺着することによつて高さを
変えることができるので、プレキヤストコンクリ
ート板の厚さが変つてもエアーチユーブの配置数
を変えるだけで容易に対応することができる。し
たがつて、型枠の種類は上枠８および下枠９それ
ぞれ１種類で済む。

然して、１１は、ベツド１上に立設した逆Ｕ字
状のガイドピンで、このガイドピン１１により、
上記複数のエアーチユーブ１０の両端部を挟んで
正確な位置に設定保持させることができる（第１
図参照）。

従つて、PC壁板２の成型にあつては、第１図
に示す様に配置した複数のエアーチユーブ１０に
空気を充填して膨脹させ、その後、型枠３内にコ
ンクリートを打設するだけで良く、これにより膨
脹して相互に密着した複数のエアーチユーブ１０
が型枠３内から外部へのコンクリートの漏洩を露
呈鉄筋類があるにも拘らず効果的に堰止めるの
で、該漏洩を確実に阻止することができるととも
に、成型作業の作業性を著しく向上させることが
可能となる。また、成型後は、空気を放出させて
エアーチユーブ１０を窄ませれば、エアーチユー
ブ１０の取り外しを極めて容易に行うことができ
るので、脱型作業の作業性の大幅な向上が期待で
きる。そして、これらエアーチユーブ１０の使用
によりPC壁板２の端面の仕上がりの均一化や、
軸筋４および配力筋５の変形ならびにコンクリー
トの付着の減少等を期待できるとともに、PC壁
板２への手直し作業の必要性を大幅に減少させる
ことが可能となる利点を有する。

尚、上記実施例では、エアーチユーブ１０を
PC壁板２の成型に使用したものを示したが、広
くPC板の成型に使用できるのは言うまでもない。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、ベツド上に設け
られプレキヤストコンクリート板を成型する型枠
の開口側部に、露呈鉄筋を挟んで空気の充填に基
づき膨脹し該開口側部を閉塞するエアーチユーブ
を配設するようにしたので、作業性の向上及び脱
型作業の容易化を図ることができるとともに、効
果的にコンクリートの漏洩を阻して良好な製品仕
上がりを得られる効果がある。また、型枠を上下
２段に分割したことにより、型枠の種類を変える
ことなく、エアーチユーブの配設数を変えるだけ
でプレキヤストコンクリート板の厚さの変化に容
易に対応できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るエアーチユーブを用いた
型枠の一実施例を示す説明図、第２図は本考案に
係るエアーチユーブを用いた型枠により成型され
たPC壁板を示す斜視図である。 図中、１はベツド、２はPC壁板（プレキヤス
トコンクリート板）、３は型枠、５は配力筋、１
０はエアーチユーブである。尚、図中同一符号は
同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベツド上に設定されたプレキヤストコンクリー
   ト板の成型用型枠において、鉄筋を突出させた該
   型枠の端面部分を上枠と下枠との上下２段に分割
   し、かつこれら上下枠間の上記鉄筋を突出させた
   開口部に、該鉄筋を上下方から挾着して該開口部
   を閉塞する充填空気により膨脹された複数のエア
   ーチユーブを配設したことを特徴とするエアーチ
   ユーブを用いた型枠。